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5D相関図。付いて来れるかな♪

 長い間、空手形のままで気になっていた5D表示の1つの答えが出たので、紹介しよう。
3D表示からの進歩をおさらいすると、
COP = f ( 負荷率・冷却水温度 ) のような相関式を表示するには、特性値および説明係数2つ、都合3つの数値を表示する必要があるため、3D空間に表示することになる。
 描画はDirectX でもよかったが、4角ポリゴンの方が考え方が楽だしポリゴン数も少ないだろうとOpenGLを使用させてもらった。
数値読み取りは、目盛りを付けたとしてもパースペクティブにより最早不可能なので、pickにて相関曲面、データとも読み取れるようにした。
これにより暫く実機の効率関係データを眺めつつ、その内在するポテンシャルに我ながら驚いていた。
 ある時、監視装置メーカーさんに得意気に3D相関図をプレゼン?している最中にしゃべりながらふと閃いたのが、離散的で良ければもう1次元増やせるということであった。
これによりCOP = f ( 負荷率・冷却水温度・冷却水流量 ) やCOP = f ( 冷水入口温度・冷水流量・冷却水温度 ) のような相関式を表示出来るようになった。
表示はあくまで3D空間内であるが、離散相関曲面軸を重ね見ることにより、その数値によりCOPなどの特性値がどう動くのか判るようになった。
 また、「3D空間に1次元増やして表示するから4D相関図だ」と牽強付会をやったので、出来るだけ突込みされないように各説明係数の扱いは等価にした。即ちどの説明係数でも直ちに相関曲面軸を初めとした各軸に貼り付け変更可能とした。
これにより更に利用価値が上がった。

 人間の欲望は限りなく、そうすると今度は冷却塔電力 = f ( 湿球温度・湿球冷却水温度差・冷却水往還り温度差・冷却水流量 ) やCOP = f ( 冷水入口温度・冷水流量・冷却水温度・冷却水流量 ) のような相関式を扱いたくなり、今までの云いで行けば5D相関図だということになるが、なかなか手が付かなかった。
 もう一つの軸も離散表示が許されるならば、理屈上は更に離散相関曲面軸群を重ねても良いはずだが、どの様な色彩表示を多用するにしても、最早識別は不可能だろう。
 今物理学で4次元と言う場合、空間3次元+時間1次元となる。それならば離散相関曲面軸による4D相関図を時間方向で振らせ、これを時間軸と呼べば何とかもう1次元増やせるのではないか。又もや離散表示にならざるを得ないが。
ということでやってみたのが、下図である。

5d

 時間軸は表示がこれだけで図と同時に見なければならないので大きめにして、色調も変化するが、自動でトラッキングしてくれるし、手動で自由に変えられる。
勿論、各説明係数の各軸への貼り付け設定は等価である。
 最初時間軸に張り付ける係数を決めると、残る3つが相関曲面軸コンボボックスに表示されるから選択すると、残り2つがXおよびZ軸に割り振られる。
 ちょっと懇切に説明しようと (あるいは、こんな事もやってるんだぞと威張ろうと) すると直ぐこんな図になるが、実際に動かしてみれば直ぐわかる。
 4D図が出来た時は、かなりヘビーでラジカルな気がしたが、時間軸で5Dをやってみて係数落ち (計算で相関を拾ってくれなくて式に入ってこない) などで4D図に戻るとホント寒々とした印象になる。だって動かないんだもの。

 配列も野放図に使っているので、パソコンのリソースがパンクするかも知れない。
描画の途中でポリゴンを作ると時間が掛かるので、データ粒の大きさを変える時以外、各軸区分数が決まったら一気に作ってしまう。従って殆どのポリゴンは時間軸数値が自分の出番になるまで、描画されずに隠れているわけだが、配列は使用されている。
 相関曲面は1辺が60区分としてポリゴンで約3600個、これが8面あるとして3万個。また時間軸方向に10区分として30万個になってしまう。これの4隅のポイントはベクトルで120万個である。
データが3000個あるとしてポリゴンは18000個。ポイントで7万個のベクトルである。
ポイントについてはベクトルだけ格納すればよいが、ポリゴンは4隅のポイントNO、描画するか否か、法線ベクトル、pickされたか否か、離散曲面軸のどのグループかなど種々の数値を保持しておく配列が必要になる。
 おっと、相関曲面裏側の光の当たり方も表現することにしたが配列の合理化努力をしてないから、表裏でその2倍だ。 (データキューブの6面については、裏から見られることは無いから1方だけ作ればよいが)

 更に説明係数が増えたことから、共線性のある係数でも何でも取り込んで、「寄与度が高い」と悦に入る危険性があるが、貼り付け軸を変えながら観察すれば何れ気付くし、Excel で2者の相関を見ればよい。
それよりもやはり、必要な係数を取り込めることから、より正確な分析が可能となるメリットのほうが勝る。
 例えば今まで吸収式の冷水出口温度高でCOPが高くなるというデータを確認出来ないでいた。「annoying result.」 など参照。
これは吸収式の「冷水入口温度が上がったら定格付近で運転していて余裕が無ければ、冷水出口温度もなかなか下がってくれない」という運転状況を考えても、冷水出口温度には冷水入口温度と強い共線性があると想定され、cop = f ( 冷水出口温度 ・ 冷水流量 ・ 冷却水入口温度 ) などとしても、相関を拾えないか逆の傾向さえ出てくる有様であった。
 ふり返れば、これが相関図の次元を上げていったモチベーションの1つでもあったから、それはそれで「機会や機械が薫陶してくれる」と有難く受け止めて置けばよいが。
 冷水出口温度が単独で上がるのならCOPも高くなるかもしれないが (理論的にはそうなることを確認済み「3Dデューリング線図の試作」参照) 、冷水入口温度上昇による冷水出口温度高である場合、前者が上がることは負荷率が上がることになり、COPは低下するから、冷水出口温度高がCOPの低下に結びつく。
 これはちょっと考えれば気付くことで予想はしていたが、5D相関図でその点がクリアーに把握できた。
実は上図がそれで、COP = f ( 冷水出口温度 ・ 冷水流量 ・ 冷却水流量 ・ 冷却水入口温度 ) である。但し同一冷水入口温度14℃~15℃の範囲で括ってデータ数240個である。
 相関曲面軸に冷水出口温度CSTmpが設定されており、温度が高い方が高COPであることが判る。6.28℃~8.08℃30%の変動幅でこれだけの差である。
 右手冷水流量CSFlow大で低COPであることは、負荷率大だから当然であり、奥行き冷却水入口温度CWTmp高で低COPであることも既知である。
図は固定だが、時間軸冷却水流量のスイープによりデータおよび曲面は上に向かって繰り返し動いており、736[m3/h]~699[m3/h]のたった5%の変動幅であるが、その間の冷却水流量の影響も拾ってくれた。

 それでは導入説明はこのくらいにして、実際に動かしてみよう。
プログラムはダウンロード 5D.exe (978.0K)である。glut32.dllが要る。
データが3組メモに書き込んである。
COP = f ( 冷水出口温度 ・ 冷水流量 ・ 冷却水流量 ・ 冷却水入口温度 ) と、COP = f ( 冷水入口温度 ・ 冷水流量 ・ 冷却水流量 ・ 冷却水入口温度 ) および冷却塔電力 = f ( 湿球温度・湿球冷却水温度差・冷却水往還り温度差・冷却水流量 ) である。同じ冷凍機である点は作為は無い。当所の低効率機でついつい注目したくなるから今回も見ているに過ぎない。
 データを選択して「② clipbrdCopy」ボタンを押せば、文字通り clipbrd 経由で表に取り込む。
後は③④と押し進むだけである。
直ちに5Dが描画される。
時間軸区分が8、曲面枚数が4だから、ポリゴン数は20万を超えるが、相関計算を含めて描画まで1瞬である。
 マシン語 ( 昔Vtune と言うインテルアーキテクチュアー内でマシン語コードベースでパイプラインの最適化など高速化を支援してくれるツールがあった ) はもとよりパスカルソースでも、高速化努力は全然しないで頭に浮かんだコードを書き連ねるだけでこれである。やればやるほど Delphi に惚れ直す。
 シェープアップはこれからゆっくりやろう。法線ベクトル配列不要の可能性もあるし、ポリゴンピッチ可変のアルゴリズムだってあるだろう。

 時間軸に冷水出口温度が張り付いていて、自動でスイープしている。これに伴い、COPは高めに動いていく。
相関曲面の動きに惑わされず、データの動きだけ見たい時は、「曲面表示」のチェックを外せばよい。近づいて見たい場合は縦のスライダーを前進させる。Ctrl パネル表示が off の時は、「↑PgUp 」でも良い。
 続いて相関曲面軸を「冷却水流量」にして見る。非常に幅が狭いが、冷却水流量が大きい方が高COPである。この号機では5%の変動幅しかないからこの表示だが、他号機でも冷却水流量がCOPに影響することは「You've told me that a thousand times already.」「You've told me that a million times already.」などに確認済みである。
時間軸に冷却水流量にして見ても、これの動きに伴いCOPが上がって行く。高い冷却水温度、低い冷却水流量の時の方が効きが大きいようだ。

 いろいろ動かしてみて納得したら、続いて相関Ⅰに戻り、「AR4_CrTmp」を選択して同様に②③④と進む。
今度は冷水入り温度が時間軸に張り付いていいて、自動でスイープしている。これに伴い、COPは下がって行く。さっきとは逆方向の動きである。これは負荷率大によるCOP低下だが、冷水入口温度高→冷水出口温度高になりやすく、ここをしっかり峻別しておかないと、冷水出口温度だけの影響がつかみにくかったわけである。

 続いて相関Ⅱに戻り、「CT_kwh」を選択して同様に⑥⑦⑧と進む。②③④と全く同一機能だが、3D対比は基本スペックだから2つ目のプラットフォームとして残してある。
これは冷却塔電力 = f ( 湿球温度・湿球冷却水温度差・冷却水往還り温度差・冷却水流量 ) だが、技術的に何か意味があるかというより、どちらかと言えば、5D図のチェックのために入れてある。
 描画したばかりでは、冷却水流量が時間軸、冷却水往還り温度差が曲面軸に張り付いている。上にどんどん伸びていくがこれは何だ?
右下の「limit」にチェックを入れるとギザキザの曲面が出てくるようになった。これは4隅の点の値が、垂直軸特性値の2倍を超えるポリゴンを描画しなくする機能だが、冷却塔電力は湿球冷却水温度差が小さいと急激に大きくなるから、0.5℃などの描画点で実際の特性値の最大をはるかに超える計算結果になったものである。
そこの調整を正攻法で行わず、小手先で大きなものは描画しないとしたから、ギザキザになったものであるが、何れにせよ成功したとはいえない。ポリゴン作製範囲から考慮しなければならない。
 ただギザキザで判るように、「相関曲面の1辺が60区分と言うのは多すぎないか」と思った人が居るとすれば、これが1つの答えである。

5d2

 また、冷却水流量の大きい方が、冷却水往還り温度差の大きい方が、冷却塔電力が大きいというのは、冷却塔入熱だから良いだろう。
しかし湿球温度の効きが「当然高い方が、電力も高くなるだろう」という期待と逆になったのはどう考えるか。
 湿球温度は当然湿球冷却水温度差と共線性がある他、冷却水流量とも共線性がある。また、冷却水流量は冷却水往還り温度差にも効いてくる。従って寄与率が0.88となっているのは兎も角、ここで湿球温度を説明係数に入れるのは間違いであった。
湿球温度の上昇に伴って、冷却水流量が増え、冷却水往還り温度差も大きくなるからそちらの係数の高い方に移る。当然湿球冷却水温度差は下がるから、低い方に移る。何れも冷却塔電力増加方向で、3つともそちらに動こうとするからバランスによっては湿球温度だけを取り出してみれば下がるように見えるのかも知れない。
 更に、湿球温度が高い時は夏季ピークの最中であり、当所では冷却塔電力も恣意的に抑制しているから、その影響もある可能性があり、まだ充分吟味出来てない。
出来栄えは兎も角、新酒が出来たお祝いのボージョレー・ヌーボーのように、5D相関図が出来たお祝いにとにかく乗せてみたと言うレベルにとどめておこう。
 今後展開するであろう未知の可能性に期待して。

 コピー元データ選択を「手動コピー」にすれば、Excel で下図の様式で作成したデータを丸々コピーした後②を押せば表に自動的に貼り付け、計算に供する事が出来る。
データのカウント以外何のチェックもしていないので、様式を間違えずデータを作成して下さい。

5d3

 気楽に作っているが、シェアーウェアーにするならこの辺からちゃんと作るんだね。

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高効率は、低結晶温度

 遠回りになるが、冷却水薬注2液化によるターボ効率アップ (厳密にはスライム成長による効率低下抑制) のカーブを見て、「一目で効果がわかる。なぜ吸収式はこんな綺麗なカーブが描けないんだ?俺は立体図に弱いんだ」と言う尤もな質問が出てくる。

Result_6 

 冷凍機のCOPは COP = f ( 負荷率・冷却水温度 ) あるいは COP = f ( 負荷率・冷却水温度・冷却水流量 ) と言うような変化をする。
 ターボは夜中殆ど定格一定負荷で運転している。夜中だから冷却水温度も夏季ピークのような余計な操作 (冷却塔電力抑制) をしていないからそれなりに安定。生のカーブを描いただけで綺麗に出てくる。
 一方吸収式は、高効率を目指して負荷率は冷水需要と蓄熱に見合って変化させる。夏季ピーク時間帯は、電力抑制で冷却塔は弱くする。冷凍機台数も減らし負荷率も上がる。
そのまま書けば下図のようになるが、これじゃ納得できない。
同じ負荷率と冷却水温度では多少上がっているようだが、判りにくい。

2lq_ln  

 従って吸収式でターボの絵のようなものを描かせるとしたら少なくても、冷却水温度・負荷率が同等の運転状態をプロットしなければならない。
 ちょっと大変だが、どんな風になるかやってみよう。

 気になるのは、当所の積算パルスの分解能の低さである。吸収式では半量運転時の蒸気量では3%近い誤差がある。時間内にパルスが入るのと、入らないで前後の時間に行くのでは、その2倍の差になる。半量運転時の熱量では1%である。
ターボも全量熱量に対して1%程度、電力で1.5%であるが。これが吸収式の場合一定運転とは言いがたいから、かなり誤差の行ったり来たりがあるはずである。
 これを出来るだけデータに取り込まないため、トリムという手法も取り入れたが、トリムは諸刃の剣である。吸収式の今回のような集計では返って逆効果の場合がありうる。
最終的に時間系列で見ようとする場合、トリム条件を余り厳しくすると、大きな時間帯に於いて脱落が生じ必要なデータ系列が得られない。
厳密に言えば、その間当該条件での静かな運転がなかったと言うことであり、それはそれで無くてもしょうがないが、特徴ある部分のデータ欠落と言うことにもならないとも限らない。トリムはその辺の兼ね合いも考慮して行う必要がある。

 トリムした後は、18GJから24GJ、冷却水温度を25'Cから28'Cまで区分して、それ以外のデータを外して時系列に曲線を描かせれば良いだけである。
これは全て Excel マクロでやってしまう。取り立てて言うほどのものではないが、知らなかったがやってみたかったと言う読者には参考になるだろう。該当する行を EntireRow.Delete する例である。
 ダウンロード ar1_2lq_ab_COP_WT.xls (282.0K)には 3D なら下図 (上方向COP大、右手方向負荷率大、奥行き冷却水温度高。赤が2液化前、青が2液化後) のようになる AR-1号機の 2008年4月1日から現在までの該当データ2000件に対し、少しトリムを効かした1257件がある。

2lq_ln_2

 「COP選択」ページの罫線内に選択する中心の GJ 、温度を設定して「row_delete」ボタンを押すと、無関係のデータは消えてしまう。マクロを見れば判るが、 GJ は±2GJ 、温度は±1℃ を超えて離れれば消去される。
これをシコシコやったのが下図である。横軸は2008年4月1日からの該当の運転時間で、少なければピッチが粗くなる。赤矢印が2液化変更時である。特徴が見やすいものに限ってある。これ以外はこれ以上に判りにくいと思ってもらってよい。
確かに2液化後場合によっては COP 0.05 程度の上昇があると言っても良い部分もあるようだが、変動が大きくとてもターボのようなグラフにはならない。

2lq_ln1 2lq_ln2 2lq_ln3

 これは既述の積算パルスの分解能の低さのせいもあるだろう。他に良い指標は無いだろうかと思案して思い出したのが、溶液濃度である。
溶液濃度は COP とは逆の関係にあるが、相関を計算すると寄与度が大きいことを確認してある。これを使えばもう少し見やすい曲線が引けるのではないかとやってみた。
 溶液濃度は、高再圧と高再温度から計算する。Excel 関数 DLLの出番である。
  溶液濃度[wt%] = ltbrtp_w ( 高再温度[℃] 、mp_mmhga ( 高再ゲージ圧[Mpa-g] )
同様に2008年4月1日からの該当運転時間を横軸にとり、赤矢印が2液化変更時である。COPのグラフよりは幾らか特徴がつかみ易い。2液化以降明らかに濃度が下がり、効率が上がったのがわかるが、局所変動は不明である。ターボのカーブには今だ覚束ない。

2lq_ln1_2 2lq_ln2_2 2lq_ln3_2 2lq_ln4

 この様に、吸収式の2液化前後の COP をターボのようにスッキリと描こうと言う目論みは、あまり成功したとは言えない。
じゃあ無駄だったかと言うとそうではない。転んでもただでは起きない。今まで言って来たことが、綺麗に表される事になっていたからである。
 これらのグラフから言えることは「高効率は低濃度、従って低結晶温度」だと言うことである。冷却水温度低減による高効率だって同じ理屈のはずである。
実際に負荷率・冷却水ごとに溶液濃度を平均して結晶温度を計算すると下図のようになる。冷却水温度が低い方が溶液濃度も低く、従って結晶析出温度も低くなっている。

2lq_ln_3  

 厳密には2液化前後で分けるべきを簡略化して単純平均しているが。すると「冷却水温度を下げたら結晶になった」あるいは「効率を上げるため冷却水温度を下げて行ったら結晶防止が働き始めたから、そこまでで止めた」と言うことはどうして起こるんだろうか。
 今までの観察でわかることは、結晶析出は急激な状況変化による場面が多いのではないかということである。
一定運転中に急激に高再熱入力が絞られ、温度は前のままだが、圧力だけ急に下がったなどという時が、溶液が煮詰まりやすい。
 「冷却水温度を下げたら結晶になった」と言うのも、今まで全力で運転していて高濃度の溶液が循環している状況で、部分的に冷却水だけ下げようとすると、その周辺から結晶析出が始まるんだろう。
そうではなくて、負荷率を下げて低い濃度で運転している状況で、冷却水温度を徐々に下げれば、更に濃度も下がり一段上の高効率を享受出来るのではないか。そのためにも、「溶液温度・圧力で濃度・結晶温度計算」と「濃溶液低温部実温度計測」対比の実現は有用である。

 また、2液化前後では、下図のとおり0.6%~0.9%程度の濃度低下が起こっている。この辺りのこの程度の変化がCOP0.05上昇に対応するんだろう。
見たら判るが、この機械では、薬注2液化だけで冷却水温度を2℃程度低下した場合と同等の効率改善がある。又は負荷を2GJ (8%) 程度下げた場合と同等の効率改善がある。
 当所の冷却水流量半減可能機では今だ全く効果は現れてないから、この意味でも、インバーターでポンプ動力がそれなりに削減できるとしても、冷却水半減が本当に有効なのか、充分検討すべきである。

2lq_ln_4  

 また、2液化直後に低下した溶液濃度が、気のせいか徐々に元に戻りつつあるように見えないこともない。まさか微生物に耐性が出てきたんじゃないよね。今後とも注目する必要があるポイントである。

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ダブルバンドルの優位性確認

 早速、連立ブレが出てきた。
 社民党が脱原発方針を堅持するんだそうである。
民主党の、20年までの温室効果ガス削減の中期目標「90年比25%減」とどうすり合せできるのか、国連でぶち上げちゃったんだから「具体的な政策手法は今後」などと先送りにしてないで、早くまじめに考えないと、一体自分達は何を言った事になるのか、実現のために自分自身としてどうすればいいのか、何時までも気付かないよ。
 今まで、Be anywhere with noting to do but convert oxygen into carbon-dioxide.【デンジャラス・ビューティ、マイケル・ケイン】だった夢想社民をどれだけ現実路線に向かわせられるか、鳩山さんの腕の見せ所。それとも小沢さんの一喝 (小沢氏が自党マニフェストの内容に興味があるとして) かな。
 それに、堀江メールドタバタの最終段階の時の、Why are you run around all by your obscene eyelashes.【CHASING LIBERTY、マンディ・ムーア】+【六本木心中、アン・ルイス】の国交相の人。八ッ場はじめダム工事は中止だと言うが、「温室効果ガス削減25%減」と言うのは水力の力は借りなくていいのかよ。
 経済産業相が対策の検討を指示したらしいが、通産の数多居る優秀なお役人だって誰だって、ウェイトの大きい前提はハッキリさせてくれなきゃ、作業の進めようが無い。原子力無しでこの成立は不可能だ。
 「脱原発でやったらどうなるか、水力凍結でやったらどうなるか、それぞれ可能なものから立案して並列して見せればいいじゃないか」と、作業の遅延に青筋立てるセンセイが居るかも知れないが、それこそ素人の浅ましさじゃない浅はかさ。餅屋じゃあるまいしそんな単純な切った貼ったで世の中出来てない。産業関連という言葉知っているでしょう?(産業関連表については、次回物言いしよう)
 通産のお役人、難題で頭が疲れたら「2020年までの温室効果ガス排出削減目標、05年比15%減!」「蒸気サイクル低温熱回収計算ツール」「当所の省エネ実績」を始め当 blog のそこ此処を覘いて気分転換してください♡。アイデアの触発もあるでしょう。

 話変わって、近年、熱ユーザーの DHC 離れが少なからず進行しているんだそうだ。
遠い DHC から、伝熱ロスを含めてわざわざ買うより、急激に進歩して来たビルマルなどの機械を並べて運転した方が、あるいは安くなる場合があるのだろう。
DHC 関係者も反省しなければならない。
 反省材料の1つに、「HWTへのボイラー排ガス熱回収」や「実濃溶液温度監視による低冷却水温度指向」などの省エネアイデアが俎上に上がっても、「工事が大変だ」「溶液温度は一様ではない。局部低温の領域があったらどうするんだ」などと、今までの経験から、即座に反発し、折角の可能性の発芽を abort させるビヘイビアがある。
純粋に技術的な指摘は大歓迎だし、議論して不可能なら止めれば良いんだが、その入口で話の腰を折ってしまう。
 その辺はこちとらとっくに検討済み。「一圧にしなくて良いから、仕様・工事はかなり楽になる」「ギリギリ結晶析出温度まで近づけるとは言ってない。10℃程度の余裕を見ての話なんだ」と言う説明を聞いても、そこまで付いて来てくれない。深層意識下では話題入口での自分の経験から来る第一印象から頑なに抜け出そうとしてくれない。
 これはユーザーにもメーカーにも設計にもコンサルにもいる。経験を積めば積むほど (経験を積んだと思うから、それが全てだと思い込み) その様な傾向が強くなるようでもある。
 更に長年役所などに苛められてきたトラウマもあるんだろう。規則を異常な程厳格に適用しなければ、まるで自分のレゾンデートル喪失だとでも思っているような人が多いから。
行政不況 (例えば環境整備が整わない内に耐震規制だけを見切り発車した結果のドタバタにはじまる建設業界不況) ・官製不況・コンプライアンス不況・官製不便 (「官僚の恐ろしいところは、誰も反対できないような極端な事例を挙げて、一般的利便の抑制とコストの上昇を招くことです」堺屋太一、2008年10月文芸春秋<堺屋太一は通産OB、念のため。かって筆者は旧庁舎の廊下で、顔が売れ始めたばかりの堺屋太一とすれ違ったことがある。雑誌編集担当者と思しき妙齢の女性と一緒だった>) 、というような言葉知っているんだろうね。更に後者には「自分の懐は全然痛まないから。下手をすると仕事をしたと言う自負心の慰撫さえできて」と言う言葉を付け加えたい。
 また、昨今の炭酸ガスコストについて「フランスが10年から炭素税を課す、2200円/ton程度らしい。これが相場だとして炭酸ガス取引が ton 3千円だとすると ton 5千円程になる。一方現状で炭酸ガス削減のための新規設備費は ton 8千円程度と想定できるから、省エネするより金で買った方が経済的だ」などと、省エネ努力を冷ややかに眺めるのがカッコいいとでも言うような言辞が、コンサル会社の上司などにも散見される。
 省エネ努力とセンスが身につかないとどんな高価な設備を買っても何れ性能はジリ貧。機器のチューンアップで性能的寿命を伸ばし、総量規制のステップともタイミングを合わせ、後続機の効率が一段とアップした時にリプレースした方が、設備投資効果としても、運転技術の蓄積としても合理的だ」と考えないんだろうか。
 それに皆が買い出したら、売り手市場で単価が高騰するじゃないかよ。所詮は身銭を切らない、設備をマネージメントしない、第三者のお気軽セリフでしかない。こんな言い方が一見ニヒルで真実をついている。かっこいいと思う奴がまた居るんだよね。
 これらがあいまって、既存 DHC の省エネは足踏み。これが一般的実績となって集計され、新規熱ユーザーの DHC 離れを促進するベクトルとなる。
 一方、小型ビルマルなどは決定に多くの人は (あるいは新進気鋭の人しか) 絡まない。メーカーに、少数のちょっとマニアックに効率に拘る人がいれば、効率の良いものが出来る→すると個別ユーザーに売れる→あまり売れないDHC機器は後回し。と言うようなスパイラルに陥るのではないか。
 考えすぎだと言ってもらって良いが、要するに「俺も来年はリタイヤで、もはや気概喪失」とか、たかが一個の断片的な定性的経験から「そんなのは机上の空論だ」とか「役所の規定には勝てない。そんな適用は認めて貰えない (上記トラウマ) だろう」とかマイナスの気を吐かないで、「おお面白そうだな。一つやってみよう」と、仕事を楽しんでやる位の余裕を持って社会人人生最後の瞬間を輝かしたいものである。
 例えば、手前味噌、本 blog の3D・4D重相関図だが、今後エネルギー現場を含め、どんどん使用されるようになった場合のポテンシャルは計り知れない。殆どの事象は1対1の相関では説明不十分または不可能だからである。
これだって、「立体で相関を表示できたら面白いだろうな」位のお遊びで作ったものだが、当所省エネシーンでそのポテンシャルに気付いたものである。ソースもあるからメーカーさん含めてどんどん使ってもらいたい。見えない世界が見えてくる。
 「seamless」や「支援警報」にはどんなポテンシャルがあるんだろう。後者は原発に限らず全ての現場のプレコーションとして活躍できるだろうと、内心期待しているんだが。
 纏めれば、一定の権限もある。組織も予算も動かせる人たちが小さく逼塞せず、今までの人生経験を (ついでに官庁役人のテーブルも) ひっくり返すような気持ちでお遊びをやれば、若い人達の刺激にもなり、組織の閉塞を吹き飛ばし DHC にあっては省エネアイデア花盛り、収支改善・御家安定となるのである。でなければ DHC の将来先細り。

 再び話し変わって、「温水供給するところのメリット」等でダブルバンドルで温水を作れば、冷却水の排熱利用だから冷却塔負荷の軽減にもなり、1機で作れて有利であるという言い方をして来た。

 しかし温水製造費はまるっきりただではなく、一般的な冷却水より高い温度の温水を製造するため、純粋に冷水を製造する冷専時より効率が下がるから、この効率低下分が僅かながら温水製造費と考えられると言った。
更に温水を供給しない季節があれば、暫くダブルバンドルは冷専運転となるが、冷専機と比べて高圧対応インペラーを廻す分効率は低下していて、新規にシステム構築を検討する場合、それとの比較も必要だとしてきた。
 要するに何れも、冷専機のCOPと、同時期のダブルバンドル熱回収時のCOP、ならびにダブルバンドル冷専運転時のCOPとの比較になるが、当所の既設機器ではどうなるか、現在の機器ではどうなるか、見てみたい。
即ち何時までもダブルバンドル+温水供給の優位性が継続しているのかと言う点の確認であり、前者は、当所新設時に導入していたらどうだったか、後者は現段階でのリプレースによる省エネアイテムになりうるかという観点になる。

 当所ダブルバンドルの熱回収運転中のCOPは約2.7である。冷専運転中のCOPは約3.4である。シングルバンドルの冷専機は約4.5である。
この差は、DTRが50℃に対応する凝縮器圧1.3MPaまで圧縮できるコンプレッサーインペラー形状に対し、冷専中は0.95MPaの凝縮器圧しか必要ないため、ベーンでその能力を殺して運転していることから、0.95MPa吐出だけを考慮して形状を設計製作すれば良い冷専機に対して、その分不利になっているからである。
当所の冷専機の4.5はギリギリチューンナップしている所為もあるが。
 これに対し、温水を冷却水戻り温度からヒートポンプで製造することにすれば、ダブルバンドルは冷専ターボに置き換わり、高いCOPで運転できることになる。
問題はヒートポンプのCOPがどの程度になるかと、ヒートポンプの設備費である。
 ヒートポンプのCOPは、凝縮温度と蒸発温度の差が小さいことから、極めて有利であることが予想できる。

1.システム系統

Dtr_hp_1   

2.モーター動力差

 熱回収運転中のCOP 2.7と冷専運転中のCOP 3.4が4.5に置き換わるから、2008年度年間DTR冷熱をTRと同等のCOPで製造すると835,000[KWH]のモーター動力削減となる。

Dtr_hp_3

3.ヒートポンプCOP

 HF134aのp-h線図から次のエンタルピーが読み取れる。
圧縮後凝縮器入口エンタルピー:430[kJ/kg] (48℃)
凝縮後凝縮器出口エンタルピー:260[kJ/kg] (48℃)
蒸発後圧縮器入口エンタルピー:415[kJ/kg] (30℃)
 また、断熱効率と機械効率をそれぞれ0.9とすれば、ヒートポンプ COP = (415-260) / (430-415) × 0.9 × 0.9 ≒ 8となる
ヒートポンプで2008年度年間DTR温熱製造量 14,800[GJ] を製造するには、510,000[KWH]の動力が必要となる。この分差し引かなければならない。

4.冷却水ポンプ動力も加算

 また、温水ポンプ動力は同様としても、現状の熱回収時間中冷却水ポンプが連続運転することになる。現状の冷却水ポンプと同様とすると50[KW]×1800[hour]=90,000[KWH]が必要となり、モーター動力差のメリットは結果的に235,000[KWH]となった。炭酸ガス90[ton]相当である。
 総合的 (現状と比較するため増えた冷却水ポンプ分も加えた) COPは3.3である。
冷却塔の負荷は増えないが、ヒートポンプ設備費 (次の関係になるから、ヒートポンプ設備費が丸々オンするわけではないが) を削減電力料金で償却するのはちょっと厳しい。
(シングルバンドル + ヒートポンプ) システムの設備割高分 = ヒートポンプ設備費 - ダブルバンドルの冷専ターボに比べた複雑割高分
 と言うことで当所新設時に、「温水供給ありき」の前提では、ダブルバンドルの選択は正しかったと言えるだろう。もしかしてヒートポンプもそれ程進歩してなかったかも知れないし。

5.昨今の機械では

 最近の冷専ターボのCOPを6.5程度として、同等ダブルバンドルの熱回収運転中のCOPは約4.4、冷専運転中のCOPは約5.5と置く。
反論もあるかも知れないが、結果を際立たせるためちょっと高めに置いてある。
上記2.項と同様に計算すると、

Dtr_hp_4

となる。
 イメージしていたのと逆の結果になったが、考えてみれば当然である。
次第にCOPが高くなってきた範疇での比較であるから、電力量絶対値は小さくなっていて、そこで如何こうしても相対的な差は小さくならざるを得ない。
 従って、「温水供給ありき」の前提に立てば、ダブルバンドルは今後益々有益と言うことになる。

6.温水を蒸気で作ったら

 「蒸気を供給して、温水は必要ならお客さんで作ってもらおう」と言う場合はどうなるんだろう。
当所の数値を使えば、2008年度年間DTR温熱製造量 14,800[GJ] を製造するには、効率100%のボイラーで、364,000[Nm3]の燃料ガスが必要となる。
2.項でも5.項の計算でも、冷専機の高効率に置き換えた場合の削減電力量料金はこの燃料ガス料金より小さい。従って温水のニーズがある限り、ダブルバンドルで作るのが今後とも有利である。
 更にこれらの検討に、冷却塔の負荷低減は入ってない。

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当所の省エネ実績Ⅱ

 前回の吸収式に引き続き当所省エネのトレンドを。

Ⅱ.保温強化による給排気ファンの停止

 これは頭は使わない。必要なのはちょっとマニアックな程の根気だけである。
保温徹底による給排気ファンの停止」「素人保温工事の実際」「保温板金?ラジエーター?」に詳細を記してあるから、その後のファン動力の実績を示すと、以下の通りである。
 吸収式の溶液抜きなど換気を必要とする作業時は長期間運転する場合があるからトレンドは一定してない。

Result_2 


Result_2_2

 ポイントは、保温効果を機器効率とは離して考えることである。即ち空気中に逃がす熱を抑制し、室温維持のための給排気動力を削減すると思えば、定量的に大きなメリットが出る。
ファン動力削減では、CO2 300 [ton] カットである。これに対し、ボイラー保温追加の効率改善は全部足して、CO2 40 [ton] カットである。10倍近い差がある。
 「メーカーさんも後者だけ評価して保温する/しないを判断しないで、前者をグロスで判断すべきだ」と言ってもこれは1機器メーカーさんでは如何ともし難いんだろうから、システム設計屋さんが気を付けるべきである。
「○○メーカーさん、後○○○万円かけても良いから、保温を充実してください。給排気ファンが軽量化して、結果としてユーザーさんの運転費が大幅削減になるんだから。」

Ⅲ.インバーターポンプ動力の削減

 これは2つ要因があって、1つは、意味無く2台の冷水熱交2次ポンプの出口弁を同様開度で絞ってあったのを全開したに過ぎない。
 もう一つは、1,2次間DT低減のため冷水熱交を負荷に関係なく2台常時並列運転としたことである。
これにより圧損が低減しインバーターポンプは無駄な揚程を稼ぐ仕事から解放され、おおよそ下図の様な傾向で動力が低下した。

Result_4
 年度の当該ポンプ動力を見ると下のようになる。
1,2次ポンプ合計でカウントしているが、仮に2005年度の原単位のままでいた場合に比べ、その20%が削減された。 

Result_5

Result_2_3

 CO2 60 [ton] カットである。
「単なる出口弁絞り」だと思ったより大きい。ポンプ出口弁の無意味な絞りがあったら、初心に帰って開けられないか検討した方が良い。

Ⅳ.ターボチューンナップ

 ターボは最初吸収式ほど興味を引かなかったので、「何れは冷却水温度を下げて行こう」程度で省エネ意識の片隅に追いやられていた。
 しかしその内、内部ベーン実開度が知らないうちに下がっていた (外部表示は100%のまま。2007年度) ことから、逆に定格近傍の効率上昇に気付き、過負荷ギリギリのベーン開度にしてもらいその辺の高効率を享受している。
また、冷却水流量のCOPに対する影響もつかめるに至って、この管理を厳密にした。
 さらに、冷却水薬注2液化による、スライム成長なしの状況で、チューブ清掃後の効率低下が見られなくなり、早晩清掃頻度を見直そうとしている。

Result_6

 冷却水温度はまだ積極的に下げていない。吸収式の運用の延長線上である。
これらによりCOPのトレンドは次のようになっている。なお設計のCOPは3.85である。
2009年度に2液化メリットをまるまる享受することになり、仮に2004年度のCOPのままで居た場合に比べ、年間15[万kwh]、CO2 60 [ton] カットの見込みである。

Result_7

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Ⅴ.監視装置更新に伴う省エネ反映事項

 ちょっと観点が違うが、省エネを後押しする、監視装置の条件整備について見て見る。

1.監視装置更新と省エネ
 監視装置更新は、運転開始7年後と言う時点では如何にも時期尚早であったが、「パソコン構成部品の陳腐化などで至近時にメンテ不如意の状況になる」とメーカーに脅かされ、やむを得ず更新することにした。
しかし転んでもただでは起きない。逆手を取って省エネ対応ニーズを十二分に取り込み、省エネの実を取ることにしたものである。またこれに伴い種々の省エネツールも完備してきた。
 最大の反映事項は、①各調節計の遠隔操作化と②プロセス値の吸い上げ頻度の改善である。
省エネを追求しようとすると、どうしても中央監視室から平易に調節計SVなどに介入したくなる。
 既設に介入できるシステムは在ったが、専用プログラムで監視システムとは別に起動するため、2台あった監視画面はそれに専用され、監視が不自由になる。
 また、調節できても、データ取込みが従来のように20秒に1回の頻度では、その間自分の操作に対するアンサーバック情報が途絶え、怖くて操作できない。これを3秒に縮めやっと安心して操作できるようになった。
 省エネ観点での主な調節系への介入は、吸収式冷水流量、吸収式蒸気流量である。これのcascade/auto/manual、切替、SV,MVの直接操作、さらにはPID変更を可能とした。
前者は、吸収式冷水流量を連続可変とすることにより、出口温度変動によらない負荷制御が可能となり、吸収式の部分負荷の高効率を享受できる事となった。
また、吸収式と冷水熱交の負荷バランスもコントロールでき、要求される負荷に対し、きめ細かな製造配分が可能となり、蓄熱の有効活用がより計画的に出来るようになった。
 
2.監視ポイントの追加
 次いで、監視ポイントを追加したことである。主なものは、吸収式高再温度、高再圧力、ボイラー燃料ガス流量瞬時値などである。
 高再温度、圧力はこれにより溶液濃度および結晶温度が計算できるようになり、蒸気量が急激に低下して高再圧が下がっても、まだ高再温度は充分下がっていない時に、結晶に対して裕度がなくなるなど、有益な情報が見られるようになった。
 従来はボイラー燃料ガス瞬時値流量計が無いため、ガス流量は1時間値しか見えなかったが、これにより常時監視が可能となり、ボイラーターンダウンレシオが設計と大幅にずれていることなどが発見され、調整させた。
算定はしていないが、これにより頻繁なオンオフによる発停ロスが抑制されたものと考えられる。
 また、ボイラー火炎検知後のガス流量を自動記録することで、失火異常トラブルに対しても、パイロットバーナーの点火が不具合なのか、ガス遮断弁の開閉が悪いのかが検討付くようになり、後者の場合駆動リレーの接点荒れを発見して交換し、トラブルが少なくなり、落ち着いて省エネに専念出来る様になる等の副次効果も出てきている。

3.省エネツールの作成・運用
 省エネ用のツールとしては、運転支援プログラム、性能分析プログラム、支援警報プログラムなどがある。
 運転支援プログラムというのは多分何処でもあるだろう、予想気温などによる当日の予想負荷カーブに対してどの様に運転機器を組み合わせればよいか、表示してくれるものである。
但しその程度ならなにも他人に支援してもらわなくても、ちょっと経験したオペレーターにはすぐわかる。おそらく殆ど何処でも使われてないはずだ。
御社のが使える代物かどうか一発で判る方法を教えよう。簡単である。製造熱量をGJで扱っているプログラムは単なる積み木細工、有意義には使えない。まともに使うためには冷水流量×出入口温度差で計算してくれないと意味がない。
 当所のもその程度で殆ど支援パソコンは休止状態だったので、改良した。
 計算は実機を完璧にシミュレーションする。
吸収式の冷水流量は可変だし、製造冷水流量が需要流量を上回ればバイパスが流れ、冷凍機の入口温度も下がる。冷凍機製造量が少なければ冷水熱交の負荷が増える。
これにより、蓄熱が消費され、22時にちょうど空になるような設定ができるし、夜中にどの様にターボと吸収式を運転すれば、朝方満蓄になるかが判る。
 これにより、最も経済的な蓄熱運用が支援される他、組み合わせの機器総合効率も表示するようになっている。但し機器ごとの効率は参考程度で機器の運転の指標にはしていない。インターバルが偏っても良いのかの論議が出来ていないからである。
 性能分析プログラムは「立体重相関図の最終機能」や「UltraSuperDreadnoughts!OpenGL10基搭載!」「3Dデューリング線図の試作」のようなものである。これにより与えられた湿球温度・冷熱需要の与件のなかで、冷却水温度や、運転号機をどの様に運転すれば、どれだけの効率になるか、予めビジュアルに眺め、理解することが出来る。
ポイントは直ちに重相関を計算してくれる環境であるが、日々進歩している。
 支援警報プログラムは「支援警報プログラム」「blogのツールを原発へ」等に既述である。オペレーターのプレコーションマインドを喚起する。プラント運転状態は安定し、省エネに振り向けるエネルギーが創出される。
 先日もCGS蒸気が止まってからしばらくして「CGS冷却水が流れています」と、女の子が音声で教えてくれたので、相手方に連絡したら、「電磁弁のかじり付きのようで叩いたら止まりました。ありがとうございました」と言われたそうだ。自分の設備だけではなく、相手の心配までしてやっている。こんな不具合は1年に1度起こるかどうかだが、当たり前だがちゃんと気づいてくれる。

Cgs_clwtr_2 

 これは監視装置から3秒おきにファイルに全データを書き込んで、ユーザーが自由に読めるようにしてもらい、プログラム自体はユーザー手作りである。
筆者としては原発など大きな現場で使ってもらいたい希望がある。

Ⅵ.付録:ポンプのインペラーカット (インペラーの新規作成を含んで、ここではこの様に呼ぶ) について

 設計で揚程にも余裕を当然のように取り込む結果、省エネアイテムとして対オーバースペックのインペラーカットを検討する現場も多いだろう。
インペラーカットが既設省エネのメジャーアイテムになれるかどうか、次の点に掛かっているので、素人が盲蛇に怖じず、あえてプロのポンプ屋さんに議論をふっかける。
 1つのメーカーさんとしかやり合っていないので、筆者の考えが他メーカーさんにそれなりに首肯してもらるなら、おかしいのはその会社だけと言うことになる。(しかし、工場の設計屋さんだから大変だよ)
筆者が間違っていたら、「お騒がせしてすみません」。場合によっては断筆のはめになる。
 要点は何かと言うと、1段片吸込みシングルボリュート渦巻きポンプで、ポンプケーシングは流用し、インペラーの新規作成で揚程を落とす場合、
既存のインペラー形状の外周を削っただけで、「これが最善の手法です。これしかありません。但しヘッドは2乗で下がるが、流量も3乗で下がるから外周カットはそこで制限され、したがって揚程削減には自ずと限界があります」と言うのが正しいか、
「流量は同等に維持しながら、揚程だけ下げるんですか?ケーシング流用だからちょっと厳密には対応できませんが、タービンポンプじゃないから、インペラーの曲線を少し加工すれば比速度も変えられて揚程は下がります。但し、コンピューターで計算しなおす手間が掛かりますが。」と言ってもらえるかどうかである。
 絵で書くと次のようになる。

Result_8

 後者では必要揚程まで揚程が下げられ、省エネの目的を完遂できるが、前者では流量維持のため満足に揚程が下がらない。半分程度である。

 当所の経緯は「ポンプのオーバースペックの影響」に詳述しているが、CDP-1,2の吐出バタフライ弁は、25%程度に絞らないと定格冷却水流量に調整できないほどのオーバースペックになっていた。
 調べると、 実施設計計算の必要揚程は34.5[m]と見込まれ、更に仕様決定時には余裕を乗せて40[m]となっていたが、実際運転状態では、最悪の場合 (冷却塔入口弁を少なからず絞っていたが、流量バランスを保ちつつ更に開けられた) でも25[m]で十分であり、揚程を25[m]に出来ればモーター動力は200[kw]が150[kw]となる。
メーカーで検討すると、ローターをそのままの曲線で径を小さく作り直して、ケーシングは流用すると揚程低減は33[m]が限界だとのこと。
 インペラーカットと言っても、なにも既存のローターを削ろうと言うのではない。ローターは新作するんだから曲線も最適なラインに引き直せばずっと下がるだろうと主張したが、現行曲線はコンピューターで3次元設計したもので最適なものであり、これをカットするしかないと頑として聞いてくれない。
 この部分は、今後既設省エネの1つの目玉になれるかどうか、定量的に然るべき結果が欲しかったので、しつこく拘った。
「相似則か何か知らないが、揚程は2乗で下がるが、流量も3乗で下がる等と言っていること自体、設計さえし直せば揚程だけ下げられる根拠になるんでは無いんですか。既存のカーブにこだわるから、相似則が出てくるんじゃないですか?」
 しかし、東京から同行したJVの部長さん始め全員が向こう側。孤軍奮闘も矢折れ力尽き止むなしとした。・・・帰りに何故か京都の円山公園の坂本龍馬・中岡慎太郎の像の隣の料亭で一席あり、丹波のワインと言うのをご馳走になったが。



 また、ローター製作 (既存インペラーをカットした形状のまま) も又もや余裕を見たため、結局仕上がり揚程は35[m]で、動力減は200[kw]→180[kw]に留まり、出口弁も相変わらず35%開のままという、キャビテーションや磨耗の心配ないところまでは開いただろうが、省エネとして不十分な結末となっている。
 電力的には約60,000[kwh/年]の削減である。CO2低減は23[ton/y]となる。

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当所の省エネ実績Ⅰ

 民主党が、20年までの温室効果ガス削減の中期目標「90年比25%減」をアピールし出した。
 今回のは「2020年までの温室効果ガス排出削減目標、05年比15%減!」ページで実現へのアプローチを概観した既存目標の「05年比15%減(90年比8%減)」に対比すると、単純に「大きく政策転換」したと澄ませられない、大掛かりな経済パラダイムの再構築が必要であり、「具体的手法は今後۵」と相まって、2020年と言う期限は余りにも短すぎる。
 消費端での省エネ、エネルギー製造原単位の向上はもとより、EVへの移行、ソーラー発電、ミニ水力、日本の技術や資金による海外での削減分などの「排出権」、既排出の温暖化ガスの回収などあらゆる手法が動員されなければならない。
また蒸気タービン排気復水器熱回収なども急ピッチで進展させなければならない。
 自民党現環境大臣が民主案を評価し (「私もこの位ぶち上げたかった」とでも言うのかね) つつ「原子力の一層の活用」とも言っていたが、2020年となると原発は殆ど増えない。「2020年までの温室効果ガス排出削減目標、05年比15%減!」で見た通りである。発電所建設のリードタイム判っているんでしょうね。
しからば、「原子力の一層の活用」は現有原発の利用率向上しかない。そこで、当 blog でも立案している原発の信頼性回復の手法が活きてくる。
① 支援警報導入とプレコーションマインド喚起による安定稼動
② メーカー技術員招致による作業精度の向上
③ 行動の音声告知による、労災の撲滅・作業精度の向上
④ 一般向け・専門家向け、プレスリリースの2本立てによる広報活動の充実
等である。通産官僚は参考にしていただきたい。

 あらゆる手法の総動員と言う観点から、既設熱設備の高度運用という断面も重要視されるが、その守備範囲の人たちの参考になるように、改めて当所の省エネ事績を纏めてみよう。
勿論、既設熱設備の高度運用に類するものとして、高性能機器へのリプレースという選択肢もあるだろう。
 吸収式では三重効用やその他の手法を取り入れ、設計COP2に迫るかと言う機械もあるようだし、インバーター・ターボではエコノマイザー設置などにより、部分負荷 (定速型ベーン制御では、部分負荷はベーンで揚程を殺すだけだから効率は悪いが、インバーターでは回転数の乗数で損失削減が効いて来る) で冬場冷却水を可能な限り下げれば、COP20などと言う機械も出てきた。
 既設設備が充分貸与年数を消化し、効率も下がっていれば、高効率機へのリプレースは極めて有効である。
メーカーさんに電話1本すれば早速飛んできて、年間幾らの運転費削減になるか充分説明してくれるだろう。

 「いや、うちはまだ交換時期ではない。もう少し頑張ってもらう。その中でもう少し省エネの余地は無いか」という所、または「省エネは機械を代えただけでは充分ではないだろう。運転員が省エネマインドで事に当たらなければ、充分に実のあるものにならないはずだ」という所への、以下は参考である。
 金さえ掛ければ、誰でも高性能が手に入る。しかし何の努力も気付きも無しに平板に運転していたら、たちまちその高性能も低下してくるだろう。ちょっと観点が違うが最新の貫流ボイラー効率96%が何年も続くと仮定して、導入メリット計算するのは間違いである。
反対に10年選手の設備でもいろいろ工夫の余地はある。見直すほどの力を回復することもある。そのバイタルポイントの気付きの力が大切である。
その力があれば、古い設備でもそれなりの性能が引き出せる。機械の効率面での寿命が延びる。それで精一杯引き伸ばしたあと、その時点で最高の設備にリプレースするのが戦略的だろう。
 脱炭素が喧しいここに来て、まるで今までサボっていたのが一気に気が変わったような勢いで汎用エネルギー機器の効率が急激に伸びてきたので、日進月歩のOA機器の買い方と同じになる。
当所に於いては定量的に大きいものから微々たる物まで多くのアイテムがあり、詳細は既述の通りであるが、長い期間の取組みが断片的に延べられて、流れが掴みにくいと思われるので全体のトレンドを見て見る。

 まず始めに、当所吸収式のCOPの動きを見てもらいたい。
当所吸収式は5台、合計 100 [GJ]、設計は 4.3 [kg/h・RT] だからCOPは 1.23 である。
これに対し、2001年度~2009年8月までの実績の推移を見ると以下のようになっている。

Result

 COPは 1.27 から今年度は 1.4 を超える。
年間 100,000 [GJ] 吸収式で作るから、蒸気量約 3,200 [ton] の節約である。炭酸ガス 500 [ton] カット、当所の 5 [%] である。

 冷凍機の冷却水温度を下げれば、COPが良くなるというのは周知の通りである。
ある時COPを分析していると、冷却水温度の他に負荷率が低い方がCOPが良い傾向であることに気付いた。メーカーさんに訊くとそうでしょうと言う。
 文献をみてもそうなっている。
そこで作ったのが、3Dやがては4D重相関図で、COP=f ( 冷却水温度・負荷率 )、更にはCOP=f ( 冷却水温度・負荷率・冷却水流量 ) 等の関係が明確になった。

 負荷率については、2005年度までは全量半量の切替だけで決まっていた負荷率だが、2006年初めに監視装置の更新があり、冷水流量を遠方から連続コントロールできるようにして、吸収式同士またはCHXとの負荷バランスを自由に変えられるようにして、部分負荷運転に伴う冷凍機の追加起動が出来るだけ抑制できるようにして、この部分の高効率を有効に享受できるようになった。
 上図は主にこの2点をコントロールしながらCOPを改善してきたものである。

 冷却水温度低減と負荷率低減は当然無償ではない。
同じ湿球温度・冷却塔入熱で冷却水温度を下げるためには、より大きなファン動力が必要である。
このトレンドを見て見ると、下図のようになる。

Result_2

 冷熱販売量 GJ あたりの冷却塔電力は2001年度 1.5 [kwh/GJ] だったものが、2倍の 3 [kwh/GJ] に増えている。各年度の実際の冷熱販売量に 1.5 [kwh] をかけたもの (黄) と実冷却塔電力の差 (増分) が水色のカーブであり、200,000 [kwh/year] に達しようとしている。
炭酸ガス 76 [ton] 、当所の 0.8 [%] である。これは先ほどの蒸気削減量から割り引かなければならない。
蒸気分 500 [ton] カット対冷却塔電力分 76 [ton] 増、 5 [%] カット対 0.8 [%] 増、当所の冷却塔が比較的性能が出ているのかも知れないが、この比率が冷却水温度低減の差し引きの一つの目安であろう。

 また負荷率も同様である。低い負荷率で運転した場合は、一般的に高い負荷率よりも運転台数が多くなり、とくにポンプ動力が増えることが懸念された。
その実績が上の青と黄色の関係であった。
局所的には確かに吸収式負荷率と吸収式関連動力とは逆の関係にあるが、長いトレンドで見ると製造熱量当たりの動力は低下している。
この理由の大きなものとしては、冷却水圧損低減および冷水の差圧低減が考えられる。
 冷却塔の入口弁がバラツキはあるものの一様に閉まっているのに気付いた。
セル毎にL/Gを調整しているつもりだとしても、幾つかは全開のものがあって然るべきはずだ。それをベースに必要なものだけ絞っていけばよいだろうと開方向に調整し、L/Gのアンバランスが生じるかも知れないと言う懸念に対しては、各セルの出口温度を個別に監視することにして調整した結果、冷却水系統の圧損が低減し、冷却水ポンプ動力が低下した。
 経緯は不明だが冷水供給圧も当初よりは下がっているようである。(0.87[Mpa]→0.83[Mpa]何れも供給規定内)
更に昨今の低下には、1年にポンプ1台ずつ2台の冷却水ポンプのインペラーカット(200[kwh]→180[kwh])が寄与している。
 つまり低い負荷率運用は、冷凍機、ポンプの動力増に結びつくはずだが、ここを注目することにより返って無駄な運用に気付き、対策によりこれを抑制することが出来るという事例である。低負荷率に伴う冷凍機、ポンプの動力増は、当所に於いてはその誤差範囲にあった。

 最後に今年、冷却水温度、負荷率ともプラス要因はないのにCOPだけあがっているのは、冷却水薬剤2液化によるスライム成長抑制効果による。
 これについては「スライム抑制による冷凍機効率の改善(速報)」「2液化中間報告(副題:冷却水は半量にしてはならない)」に詳述してある。

 さて今後この吸収式は省エネ上どの様に運転されるのだろうか。
当然冷却水温度の低減である。
現状次の総量規制に向けた準備段階で、冷却水設定25℃で足踏みしているが、23℃の場合定量的には「2020年までの温室効果ガス排出削減目標、05年比15%減!」のページに既述のように想定できる。
 これの実現、更にそれ以下の低温領域に進展するために、現在条件整備中である。

 1つは、溶液高濃度部分の温度測定である。
現状低温熱交出口に温度計ウエルはある。監視装置にポイント上げしていないが、予備ポイントがあったためテンポラリーの温度計をその都度切替え状況を見ている。
 当所の吸収式は既述の通り高再圧、高再温度が遠方監視可能であり、これから高再濃度さらに結晶温度が計算できる。
急激に蒸気が絞られ、高再温度が充分下がらない内に高再圧が低下するようなら、溶液濃度が上がり、結晶温度的に厳しくなることなども掴んでいる。
 次のステップは部分負荷を含む実運転状態での、高再→低音部の溶液の時間遅れである。製造熱量従って蒸発量などからこれが判れば計算した高再濃度と実高濃度部温度、即ち結晶までの余裕を常時定量的に把握できる。
勿論これは、後1℃余裕があるとか、0.5℃まで近づいたという世界ではない。「10℃余裕があるから、後2℃冷却水温度を下げても大丈夫」と言う使い方になる。何故なら次の条件などもあるからである。
 2つとして、当所で意識的に実施している部分負荷では結晶濃度が低く出てくる傾向が判っている。さらに後日明確に主張したいが、冷却水温度を下げても結晶析出温度も下がっているのではないかと言う点である。これは吸収式の性能上からも予想しうることである。
 「いや、冷却水温度を下げて結晶を起こしている事例が多いじゃないか」と言われるだろうが、安定運転では冷却水温度が下がると結晶析出温度も下がっていて余裕は拡大しているんだが、高再温度が充分下がらない内に高再圧が低下するような何らかの変動が起こって変動幅がその裕度を食い尽くすようになると、低冷却水温度のためその実温度のボトムが結晶温度に抵触しやすいなどということではないか。
 何れにせよこの辺を充分吟味して、低冷却水温度を指向する必要がある。

 ところで、結晶と言えば、一時期電力需給が逼迫した時、停電時の結晶に関してメーカーに問い合わせがあり、各顧客に次のようなペーパーが出廻ったことがある。

*** 停電時の吸収式冷凍機結晶リスクに対する検討結果報告書 ***

 冷凍機運転中に停電停止した場合、高温再生器内の溶液濃度は、停電発生直前の状態に保持されます。
各負荷率の高温再生器濃度を計算し、結晶析出温度を検討いたしました。なお冷却水入口温度は32℃の条件といたしました。

Result_3

 以上の検討結果により、室温35℃と想定すると、負荷率85%以下であれば、停電停止となっても結晶しないことになります。

*******

 当該メーカーの冷凍機は低再出口配管など外壁温度が80℃あるのに保温していない。パラレル・フローで低再が最高濃度と言うわけではないが、こんな心配するなら、出来るだけ室温になりにくいように保温しとけばいいじゃないか。
当所では、高再上部の150℃近い鉄板や、当該部、低再周囲を徹底的に保温し、室温維持に必要な給排気ファンが全く不要となり、年間 800,000[kwh] 、CO2 300 [ton] のファン電力の削減に成功している。
当然万一の停電時の結晶リスクの低減にも繋がっている。エヘン。

 と言うことで、今回は吸収式のみでその他の省エネ実績は、次回以降。
但し、待ち行列も少なくないから、何処から行くか。

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Plein Unite

 省エネアイデアが浮かんできて一気呵成に立案に持って行こうと言う時に、その勢いを削がれるのが、基本的でない定量数値の単位変換である。
それ自体大した作業ではないが、流れてくるアイデアの奔流から意識を引き剥がされ、元に戻すレジュームに大きな労力を要する。
また blog の記事作成時にも間違っていないか何度も確認する必要がある。
 これへの対応として、単位変換ツールを作った。

 同様なものは多くあるが、なかなか自分の必要な単位系が上手くカバーされていると言うものは少ない。
そこでオリジナルの作成となるが、そんなところで労力を使いたくないから、http://hpcgi3.nifty.com/keaton/who.cgi にある、Keaton Masuda さんのツールを使わせてもらった。
非常に見やすいプログラムで、筆者のが如何に不細工なものか改めて思い知った。これじゃ「ソースあります」と言ってもだれも見向きもしないだろう۵

 とりあえず「圧力」「エネルギー」「温度」「動力」としたが、桁チェックの範疇を含め、場合によっては「密度」「力」「流量」「速度」などもあっても便利かも知れない。
また、「熱伝達係数」「熱伝導率」「熱流束」等もありうるだろう。表示などについて各自の好きなようにカスタマイズしてもらえるようにすれば良い。
 更に延長すれば、何も単位変換に限る必要は無い。「燃焼計算ツール」だって「煙突効果計算」だって「酸露点計算」だって「デューリング線図や臭化リチウムエンタルピー」だって「この運転は誰?」ページのベアリング寿命だってなんだって、盛り込んでユーザーの好きなようにカスタマイズ出来ればよいだろう。
 但し、2つ問題点がある。
1つは。筆者が改めてそれら計算式を勉強しなおす必要があり、暫くは blog を作成する時間的余裕がなくなることである。
もう一つは、出来上がったツールが1Mbyteのアップロード制限に掛からないかということである。現在490Kbyteだから大丈夫な気もするが (Delphi は Form を使った実行ファイルの初期値は大きいが、それ以降はリソースが膨大でない限りさほど大きくならない) 、引っかかったら機能制限か、アップロード制限の緩やかな所に引越しだ!

 と言うことで、今回はツール本体ダウンロード PleinUnité.exe (491.0K)のみアップロードする。ソースはこの次。
操作の説明は不要だろうが、下は「「正真正銘の」ボイラー効率2%増」で計算した、150℃と100℃の煙突効果の Pa から mmAq への変換例である。

Pleinunite

 今までやると言って実現していないものに、5D相関図パノラマ監視画面とそしてこのマルチ・ツールの3つがある。あまり空手形を乱発しても差し支えがあるが。

*** 外力の介入 ***

 「何の事かさっぱり判らん」だろうが、最近その様な外力の介入の具体的な解り易い例をまた見つけたので、経験者山岡鉄舟自身に語ってもらおう。「慶應戊辰三月駿府大総督府ニ於テ西郷隆盛氏ト談判筆記」からである。
 「既ニ六郷河ヲ渡レバ官軍ノ先鋒。左右皆銃隊。其中央ヲ通行スルニ止ムル人ナシ。隊長ノ宿営ト見ユル家ニ到リ。案内ヲ乞ハズシテ立入リ。隊長ヲ尋ヌルニ是ナルベシト思フ人アリ。(後聞ケバ篠原國幹ナリ) 則チ大音ニテ朝敵徳川慶喜家来山岡鉄太郎。大総督府ヘ通ルト断ハリシニ。其人徳川慶喜徳川慶喜ト。二聲小声ニテ云シノミ。此家ニ居合ス人凡ソ百人計リト思ヘドモ何レモ聲モ出サズ。唯余ガ方ヲ見タル計リナリ」
要するに、あの剛の者の篠原國幹は云うに及ばず百人ほどの官軍兵士全てが、山岡鉄周と益満休之助コンビが「朝敵徳川慶喜家来山岡鉄太郎。大総督府ヘまかり通る!」と大声を張り上げて通過するにもかかわらず、さっきまで「こいつを倒さなければ維新の意味がない」と皆で息巻いていたはずの敵の総大将の名前も一瞬理解出来なくなり、敵の勝手な往来を目にしてもどう対応して良いのか、みんなで金縛りに陥ってしまっているのである。
 明らかに「この者が、西郷と会談するのは、江戸市民の命・日本の将来にとって必要不可欠だから、絶対に通過の邪魔はさせない」と言う強い意思が、篠原初め一同の思考力を一時麻痺させているのである。金縛りまたは哀れなロボトミー状態である。
その後、至近で発砲されたのに弾が出なかったとか同様の事例は多数あるが、これが一番解り易い。
 「基本的に宗教を認められない共産主義は、何時までも存続させる訳には行かない」と言う強い意思が、ソ連終焉時に連邦内外の関連キーパーソン及び群集の意識に作用し、あれよあれよと言う間に崩壊に至ったことが判明している。
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seamless、seamless、seamless、seamless、seamless

 勿論、歌のリフレインではない。
 早い者勝ち。山武さん、日立さん、東芝さん、三菱電機さん、横河さん、新菱さんなどの監視装置メーカーさん (この業界に余り詳しくないので少ないが。日本ベーレーさんなんて言うのも在るのかな) にぜひ使ってもらいたい新監視画面のコンセプトである。数が5つあるのも畳複強調ではない。それだけの数だけコンセプトを反映しているつもりである。
 監視装置メーカーさんで、限られた画面の中でその数値を表示する/しないで悩んだことは無いだろうか。「客は表示してくれと言うし、画面は一杯でスペースは窮屈だし」と言うようなシチュエーションに於いて。
 また、1つの画面にどれだけの機器をどれだけの詳細さで表示させようか、悩んだことは無いだろうか。画素数一定の状況において、機器表示数と詳細さは両立しない。
 当該画面はそんな悩みは無用である。全ての数字を表示することにすればよい。そして画面が seamless に拡大縮小出来るから。拡大して文字が充分表示できる密度になったら表示するようにすれば良い。
即ち全体概要監視から注目機器ポイントへのフォーカスインまで、監視の精度が seamless に変更できることと、これに合わせて表示プロセス値も seamless に onoff 出来る。これで seamless 2つである。
 ついでにフォントも可変である。これも seamless 数にカウントしよう。3つ目である。これは前稿にその濫觴があった。
図を拡大した場合それとバランスをとって大フォントとする。また逆に値の表示数が少ない時にも、それに相応しく大フォントとする。
 百聞は一見にしかず、下の各図は同一画面のスケールが変っただけである。上は監視で最もラフな概要を知りたいだけの時である。例えば別室別置きモニターや大型モニターのガラス窓越しお偉いさん監視用画面の表示でも良い。
中は通常フラット監視。
そして下は機器注目細部監視用最大拡大画面である。
 最初に一言断っておくが、図形は余り凝った物になっていない。ここでの趣旨は画面表示を seamless と言うコンセプトで表現するとどの様なことが出来るかを見ることであり、殆ど図形の作成に情熱を注いでいないからである。
従ってプロの監視画面から見ればかなり貧弱なものである。その点でコンセプトそのものの評価が下がったら寂しいものがあるが。プロの皆さんならその隠れたるポテンシャルの程はわかるよね。

Seamless1

Seamless2

Seamless3_2 

 「確かに表示の自由度は上がったようだが、各数値の表示範囲をどうするかは同じ様に悩むじゃないか」と言われるかもしれないが、従来の場合表示させる/しないの取捨選択の影響は大きいものがあり、一度捨てたものの復活は、周囲との干渉チェックを含めちょっとした仕事になるから、メーカーさんも汗をかく。
当該画面では、何時ものように表示項目はxlsで指定できるから、ユーザーが好きなように設定しなおせる。そして数値をどのレベルから表示させるかも、即変更可である。

 4つ目の seamless とは何か?
 機器表示色にグラデーションが掛かる。機器画像はここでは2つの値を持つことが出来て、その結果により色が連続して変る。厳密にはグラデーションではなく、「配色がグラデーション的に変る」である。従って厳密には seamless でもないが。
 あるいは採用済みの監視装置もあるかも知れないが、これを情報表示に積極的に利用する。
例えば配管であれば流量と温度の値をキープすれば、前段との混合計算で当該部の値が算定でき、その結果により色を変えることができる。冷凍機の出口合流部の色を見れば、今温度が高くなっている機械も判るし、合流部で冷水供給温度を押し上げているのも判る。
 但し現時点で流速による配管内時間遅れは算定していないが、これはやった方が良いと思われる。最大負荷時と最低負荷時の時間遅れは数分から数十分に亘る。
今回は、プロセス値のファイルがアップロード制限1Mbyteで小さくならざるを得ないので、各部効果を表現するためにデータを間引きしていることなどに因り実行しなかった。当然筆者の手抜きにも因るが。
 データは実際のプロセス値を5分毎15回採取し、5秒ごとに表示している。従って殆ど「データが変りますよ」と言うデモンストレーションの意味しかない。
 他に色彩変化は、吸収式高再圧、ボイラー残圧などを表示してみた。それぞれ0~-0.1Mpa、0.8~0.4Mpaの間で赤~青で変化する。
吸収式の場合は「高再圧に注意しましょう。0Mpaでトリップですよ」となる。ボイラーへの必要性はちょっと弱いが「万が一ボイラー、CGSがトリップした時は、赤い方が残圧が高いので早くサービスイン出来ますよ」となるだろうか。あるいは「青いのは負荷率が低いので、小さいのに切り替えた方が、O2も低くなり過剰空気率が低く出来ますよ」などとしても良い。
 無理やり押し込んで表示させようとしたきらいもあり、充分練れてないが、現場の機器特性で色んな使い方があるだろう。
 これらは、プロセス値を色つきにしても良いが、スケール条件で onoff される値表示より、常時表示の機器色彩でも出来るよということでやってみた。dll も使うので今回見送ったが、吸収式溶液結晶温度と実溶液温度の差を結晶裕度として表示するなどの手法も考えられ、これはやはり常時描画される機器の色彩変化の方が適当ではないかと思えたからである。

 さてそれでは5つ目の seamless とは何か?
 これこそが今回の売りである。他に seamless の要素は何かあるか、ちょっと考えてみて欲しい。
ヒントは「4D重相関ヘビーデューティ」のところで、相関曲面軸の選択についても他の軸と等価っぽく見せたいので、「F1~F6キーで座標変換して行って、角度が一定値を越えたらグルッと回って垂直になった軸を局面に対応させるよう自動的に切り替える手がある。軸配置だけで考えればシームレスっぽく見えるだろう」と言っていたやつである・・・・・判らない?Die to know?
 それでは、「F1」または「F2」で回転させてみて欲しい。別の表示画面にクルッと切り替わってしまった。
 これは、映画【ソードフィッシュ】で Hugh Jackman がトラボルタに銀行システムのハッキングを強要されて、昔のソフト worm generator を起動する時モニターでくるくる廻っていたステータスインジケーターの動きを見ていて、監視画面に使えないだろうかと思っていたものである。

Seamless4

 「既存のシステムのように、画面を選択して切り替えるのとどう違うんだ」と言われるだろうが、最初に屁理屈を言ってしまうと、 seamless の名に恥じないよう全く同一空間内で管理されている。頭で「次に何の画面を見ようか」と考えて選択するのではない。右側に何があったか覚えていれば、そちらを覘き見るだけである。
今回第一ステップとしてフラット画面までにしたが、これを更に進展させて円筒形パノラマ監視画面にすれば、完璧 seamless になってしまう。この次は円形にしてみようっと♪
 更に孫の地球儀みたいに (Google Earth 大好き) すれば、どうなるんだろう。
 機器配置とフォント描画 (3D-FFT の高調波スペクトル表示と同様、座標変換できなければならない) でちょっと悩みそうだが、監視効果では面白いものが有るのではなかろうか。
使い方のアイデアがあったら教えてください。実装して、無料進呈します。
 最初の画面 (第2面) から右回りの画面 (第5面) では、冷却水系統の詳細データが表示されている。冷却塔のグラデーションは冷却水出口温度36~26℃を赤~青に対比させてみた。温度のばらつきは実際にはファンの運転極数 (赤:高速4ポール、橙:低速8ポール) および朝の立ち上げ時で極数を切り替えたばかりか否かによる。
運転が落ち着いたら、これらを見ながら冷却塔のL/Gを調整する余地はある。
 勢いあまって、冷凍機の冷却水出口配管までグラデーション配色にしてしまった。レンジは同じ36~26℃である。

 最初の画面から左回りの画面 (第4面) では、第一画面に精力を取られて、平坦な蓄熱槽になってしまった。各層温度が15~4℃でグラデーション配色しているが、ただそれだけである。

 後の第3面も同様で単なる冷水加圧タンクお茶を濁してしまった。一応レベルだけ+30~-30[mm]でグラデーション配色している。

Seamless5_2

 さてここで、この描画密度の差について考察してみよう。
第3面、4面などの図は難なく第2面に追加表示できるものである。その気になれば第5面の冷却水も行ける。小さく描画して大きく拡大表示が可能なことを思い出して欲しい。
これらをあえて別画面としたのは、最後の seamless  回転の例示をしたかったためだけである。
 従って「この程度の別画面を設置するために、わざわざ回転が必要なのか。何とまあ無駄で複雑なことを」と言うのはロンパリの視線である。
「ほほう、この表示密度で4画面できると言うことは、情報量は膨大なものになり得るな」と見切れるのが、技術審査眼を有する貴方のまともな反応なのである。
そして「当社でも、やってみるか」と続けるのが。

 もうお判りだろうが、図形描画は全て OpenGL 3D空間で処理している。ダウンロード Seamlessdisp.exe (893.0K) を実行してみてください。例によってglut32.dll (232.0K)が必要である。
 vaio系のPCなどでグラフィックカードの仕様か何かの関係か、画像の奥行き方向の分離がしにくいものがあるようだがご容赦願いたい。
 拡大縮小は、視線の前進後退である。回転は座標変換である。今回はx軸中心回転だけに留めた。
中途半端な回転で正面に戻したい時は「Q」を押せば、その時のメイン画面にマトリクスがイニシャライズされる。
 表示されるものは機器図形とプロセス値表示である。両者は1つの xls ファイルに次の様式で記述される。ちょっと複雑だが実際の監視画面の設計もこんなものだろう。
多分一番煩雑でトライアンドエラーの繰り返しになるのがleft,top,width,heightの設定だろう。これは支援警報の時も同じだったが、これらはCADにして図形を貼り付けたら自動的に作成できるように出来る。

Seamless7

 実際のデータは「ana_data」シートに表示されている。今回は読者のダウンロードの利便性に配慮してリソースで埋め込んである。

 勿論、pick (マウス右ボタンクリック) にも対応する。図形を構成するポリゴン群は図形グループとして一括管理されているから、どの機器が選択されたか判る。
 普通の機器はとりあえず pick されたと言うメッセージだけだが、「AR-1」「AR-2」号機は特殊なメッセージを返してくれる。これはミスオペ防止の意味も含め、最終的にはコンソール操作に応動する前に最低限この程度の確認をさせたいなと言うレベルの、オペレーターとのやり取りである。

Seamless8   

 プラントの特性に合わせ色々な手法が考えられるだろう。
勿論緊急時には煩雑だと言う意見に対しては、確認動作 kill の設定が可能だろう。

 表示 controller は不表示も可能で、この場合でも「↑」「↓」で視線の前進後退、「←」「→」で水平移動が可能である。
 最後におまけで電光掲示板のフリーソフトがあったので、プラントの現状を1言で表す表示をさせた。これも seamless だと得意の牽強付会もありうるが、他人の褌で相撲を取ってもしょうがないから止めておく。
これを起動するとかなりパフォーマンスが厳しくなっている。この次の時は単にビットマップを回転させるだけにしてみよう。大分楽になるはずだ。特殊なコンポーネントとしての別記 .pas も不要だし。と言うことはこの次は、パスカルソースも添付するつもりだな♪

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2液化中間報告(副題:冷却水は半量にしてはならない)

 カテゴリー省エネに初来訪の人のために、本題に至る前振りを少々。
① 冷凍機のCOPは、冷却水温度が低いと高くなるがそれだけでなく出力によっても変る。「吸収冷凍機の負荷率・冷却水温度とCOP
② 吸収式は出力が大きいとCOPは下がり、ベーンコントロール型ターボは出力が大きいとCOPは上がる。「吸収式各号機のCOPの特性」「ターボ冷凍機の特性
③ その程度は「相関が見られる」と言う程度に納まらず、ターボはより大きく、吸収式でも場合によっては冷却水温度と同等の傾きになる。
  「同等」とは、通常の変化幅の上限と下限で「同じ位の」の差が付くと言う意味で使っている。
④ 従って、COPの値を評価する時には、冷却水温度、負荷率の2つを対比してみる必要がある。更には冷却水流量も影響する。
⑤ 暫く冷却水流量一定で話をすると、冷却水温度、負荷率の2つに差がある場合にCOPの値を比較する場合は、その差を補正する必要があり、従って2つの変数とCOPの間の関係が判る必要がある。
⑥ 当 blog では、COP = f (冷却水温度、負荷率) 等という関係を計算するツールがあり、縦横無尽に活用している。「立体重相関図の最終機能
  これを図示するには、数値が3つ出てくるから3D図になる。
  更に進めると、COP = f (冷却水温度、負荷率、冷却水流量) という関係も成り立つが、これは4D図になる。「4D重相関ヘビーデューティ
⑦ また、負荷率を分解して COP = f (冷却水温度、冷水流量、冷水温度差) などと言うのもあるが、現在4D図が上限で、それ以上の図示方法は考え出していない。「5D相関図への道
⑧ 一方、当然冷却水流量もCOPに影響する。問題はこれも影響度合いが小さくないことである。
  当所には冷却水ポンプ2台の吸収式があり、50%負荷の時は1台運転にしてポンプ動力を半減できるが、50%負荷でも冷却水を全量相当流した時の効率と、50%負荷冷却水50%の時の効率差による入力エネルギー差はちょうどポンプ1台動力分に相当する。「冷却水半減で省エネ?
⑨ 従って当所のこの号機に限っては、冷却水に関する経済性に関して、50%負荷時にポンプを1台にすべきかどうかで悩む必要は無い。どちらでも良い。
  ただし、ピーク時電力調整契約などのメリットを引き出すため、出来るだけ電気を使わないと言う場合などは、自ずと選択が決まる。
⑩ また、冷却水ポンプがインバーターで、流量を吸収式冷凍機本体からカスケード制御しているものがあるが、これも制御を AUTO にして意識的に冷却水流量を上げてやると効率が上がる。今の所効率を上げる方がインバータ動力増より経済的である。「You've told me that a thousand times already.
⑪ つまり冷却水を減らす場合は、それに比例して冷却水ポンプ動力も下がってくる場合に、そのメリットは辛うじてトントンである可能性がある。例えばインバーターはこれに準ずるかも知れないが、冷却水ポンプ出口弁をただ絞っただけで流量を下げる場合は、流量が減った分動力は下がるが反面出口弁の圧損分ポンプの出入口部の揚程が上がるからモーター動力は流量に比例して下がらない。冷凍機の効率はそれ以上に下がっており、明らかに省エネに逆行する手法である。
⑫ これに気付かないのは、上記の通りCOPに2つ3つの説明変数があり、これを分析しにくいからである。当 blog ではツールをいたるところで (ソースも付けて) 提供している。「idea Delphi ソース」「UltraSuperDreadnoughts Delphi ソース」「1年分検索最低2秒、これが Delphi の実力だ
⑬ 更に冷却水流量低減で気になるのは、冷却水のスピードが下がるとスライムの成長が促進されるのではないかと言う心配である。
  日本冷凍空調工業会の「冷凍空調機器用水質ガイドライン」JRA-GL-02-1994 には次のような知見がある。「You've told me that a billion times already.
  これは初期付着誘導期における、流速とスライム付着量との関係だと言う事であるが、大げさに取れば設計流速で1[mg/dm2 month]以下、半量で4[mg/dm2 month]程度と見えないこともない。

Jra

⑭ 従って「インバーターで冷却水流量低減省エネ」を謳っても、この辺まで検討しておく必要がある。
⑮ 今般当所は冷却水薬剤を、防蝕・分散・殺菌の薬効オールインワンの薬から、殺菌剤と防蝕・分散剤の2種類の薬剤注入とし、個別に管理し始めたら、冷凍機チューブ内のスライムの成長が激減した。少しあっても粘り気が弱く、腰が無くなり、チューブ清掃直後の高効率が何時までも継続するようになった。「You've told me that a billion times already.
⑯ これによる経済効果も馬鹿にならないが、ここにも冷却水流量半減の影響としか思えない差異が現れていた。上記⑬の実証かも知れない。
 と言うことで、前振りを終わる。

本文の主旨は以下のようになる。
① 冷却水薬注を2液化して以降の冷却水清掃後 (AR-1:6/9、AR-2:1/26、AR-3:5/21、AR-4:6/8、AR-5:3/24) のデータが溜まってきた。即ち純然たる2液化の中での運転データである。ついては2液化前後の効率の差を比較してみる。
② 読者に手軽な様、データはプログラム埋め込みとした。
③ 定量的な改善量の評価については筆者の恣意的独断を排除するため機械的に、対応する相関曲面同士の差し引きを行い平均して評価した。読者には相関曲面をピックして比較するなど独自に判断してもらおう。
  読者がこれに専念出来る様更に操作を自動化し、ワンクリックで見える様にした。
④ またプログラム上の久々の大きな改良として、光源位置を図形の回転とは独立させたので見て欲しい。
⑤ 特別な機械では2液化による改善が見られない、これは冷却水半減に関係すると思われる。

 プログラムは ダウンロード arcmp_v2.exe (901.5K) である。glut32.dll (232.0K)が必要である。
同一ディレクトリーに置いて実行すると、データの入ったメモリー群の横に、赤いBold-Italic体の「OneClick」と言うボタンがあるから押してみよう。
自動的に色々切り替わるが、5秒後に目的の対比画面が表示されている。
 この間やっていることは、
① 選択号機の2液化前のデータをクリップボードにコピーする。
② 相関Ⅰの元データ表に貼り付ける。
③ 変化率20%以内でトリムする。
④ 残ったデータを相関計算して表示する。
⑤ 同一号機の2液化後のデータに対し、相関Ⅱプラットフォームにて①~④の操作を行う。
⑥ 相関ⅠⅡのグラフを対比表示する。
 人間が手でやると10ステップになるので、説明する方も面倒くさいし、やる方もそちらに精力がそがれるだろうと、自動化したものである。手動でやる場合の押す順番を付けてある。読者が同一フォーマットでデーターを作成し、計算・表示させたい時は、その順番で押してください。
下の様な様式のデータ群を Excel で作成してコピーし、相関ⅠまたはⅡに貼り付ければ計算・表示してくれます。これを可能とするため①②をクリップボード経由としているものである。単位が同じなら2つの相関を対比することも出来る。

Dataformat

 結果の3D対比図を順次提示するが、相関曲面にも影響されたくないと言う人は「Q」キーを押すと、相関曲面がオルタナティブでon/off するので、消したままじっと回転させて観察しても良い。
 対応する相関曲面同士の差し引きとは、相関曲面の説明変数が重なり合う範囲について同じ説明変数の面の新旧COPについて差し引きしたものである。従ってデーターの偏在がどのようになっているか等は反映されない。言うなれば「曲面平均の分布で運転したらこれだけ改善される」というものである。
 データドットの大きさはデータが重なり合うと分布傾向が判りにくいので、小さめにしてある。光線の当たり方などを見るには一番右下のスライダーを右に動かして大きくしてみてください。
 ついでにここで、光源位置と座標回転の独立の効果を見てみる。この場合図形を原点にシフト (to the origin) した方がわかり易い。
「F1」~「F6」キーによる回転は glRotated によっているが、従来ポリゴンも罫線も光源も全て同じ座標系に入れてあったので、全てが一体で回転してしまっていた。
物体の光の当たり方について言えば、物体が回転しても光源も全く同じ様に廻るから各面の照度は変らず回転の面白味が半減していた。
これに対し、スライダーで設定する光源座標を、物体の回転とは独立して同じ位置に固定できれば、物体の回転に伴い各面の照度は変わる。
 光源をワールド座標、物体をローカル座標に設定すれば良いんだろうが、今回は glRotated で回転させた後のマトリックスを取り出し、逆方向に光源座標に作用させることで、数行の追加で拍子抜けするほど簡単に出来た。

procedure glRotatez(dst:integer);                              //既存、getmessageでParamがF5,F6なら跳んでくる
begin
  if dst=1 then begin                                             //F5による回転
    if rtz<0 then rtz:=0;
    rtz:=rtz+0.015;                                                 //既存、回転量は加速させている
    rtx:=0;
    rty:=0;
   end;
  if dst=-1 then begin                                            //F6による回転
    if rtz>0 then rtz:=0;
    rtz:=rtz-0.015;                                                 //既存、回転量は加速させている
    rtx:=0;
    rty:=0;
   end;
  glRotated(rtz, 0, 0, 1);                                          //既存、座標を回転させている
  glGetDoublev(GL_MODELVIEW_MATRIX, @modelMatrix);//今回追加行、MODELVIEW_MATRIXを取り出す
  illumination:=DatoMat(modelMatrix);                         //今回追加行、illuminationは光源座標用Matrix

  reDraw;
end;

function DatoMat(mda:TMatrixDblArray):TMatrix;            //今回追加関数、OpenGLのArrayをMatrixに変える
begin
result._11:=mda[0]; result._12:=mda[1]; result._13:=mda[2];
result._21:=mda[4]; result._22:=mda[5]; result._23:=mda[6];
result._31:=mda[8]; result._32:=mda[9]; result._33:=mda[10];
end;

                                   //既存、描画時の光線ベクトル計算
lv:=vvector(TrackBar11.Position,TrackBar13.Position,TrackBar12.Position);
                                   //既存、光源座標、TrackBarはそれぞれX,Y,Z座標
if lightfreeze then lv:=VTransform(lv,illumination);     //今回追加行、illuminationは上記光源座標用Matrix、
lvv:=Vdotproduct(lv,normi)/100;               //既存、面の照度は法線 normi と光源方向との内積

 これで、全体が glRotated で廻っても、光源はそれに影響されず固定とすることが出来る。物事常に前進だね。
lightdir をチェックすると、黄色の光線方向が表示される。実際の光源はこれの100倍先にあるが。
lightfreeze をチェックすると、座標変換で図形を回転させても光源の位置は変らない。例えば光線が視線方向 (手前) から当たるように設定すると、図形をどの様に廻しても陰影が全く無くなってしまう。
但しカメラ設定の変化では光源は図形と一緒に変る。
 ついでに、「3Dデューリング線図」のところで「だれかフォントくれーッ」とおらんでいたが、誰もくれないので仕方が無い、自分で作った。
自作ったって、まさか手作業でシコシコ作ったんじゃないからね。そんな根気はない。
通常のコンポーネントに普通に書いた文字列をビットマップにして文字ごとに区切り、自動的にフォントにしただけのこと。これにより今後どんな字体でも OpenGJ のラスターフォントにできることになった。「物事常に前進だね」再び。
 但し、管理の関係から英数字だけだが。
 念のため言うと、画面で新旧相関式が書かれているのは、Delphi の RichEdit、ピック結果とCOP差が出てくるのは、Edit コンポーネントであり、何れもシフトできる。
これに対し、3軸の名称、単位、値の表示は OpenGJ のラスターフォントとして描画されている。
 そして、カメラ前進・後退のスライダーが真ん中あたりを越えたところでフォントの大小が切り替わり、図の大きさにより見合ったフォントになる。

 またお遊びで、データと曲面の色が変るから配色の妙を楽しんでください。以下は余りセンスの無い一例である。
色を変えるには「相関Ⅰ曲面」「相関Ⅱdata」等のチェックボックスのラベルを右クリックすると、カラーリストがプルダウンするから、そこから選択する。

 それでは各号機の対比結果を見てみよう。赤系統色が昨年 (2液化前) 、青系統色が今年 (2液化後) で季節要素の差を排除するため同一期間としている。
 AR-1
 全ての点で一様に改善している。全ての機械がこの様であれば、説明でも苦労することがないんだが。

Ar1_2lq

 AR-2
 相関曲面が冷却水低側でクロスしたこともあり、そのままでは改善量 (相関曲面の差し引き、以下同じ) が0.03と低めになってしまった。
この機械は、「溶液結晶温度・実濃溶液温度対比」「冷却水温度が下がっても結晶裕度は増えた」などで見たように溶液循環量が変動している影響を受けて、冷水出口温度、蒸気入力などが常にハンチングしているもので、変動が去年より次第に大きくなっていて、今回これも効率の足を引っ張っているのではないかと6/23に、循環量および高再低再分配比率を調整してもらった。
 まだ変動は残っているが、この調整前後比較でCOP的には0.015改善された。
 この調整後の新旧比較になってしまったのでデータ個数的に不十分であるが、改善の跡は充分みえる。

Ar2_2lq

 AR-3
 これが問題の機械で、改善の跡は全く見えない。後でAR-5と比較してみて見る。

Ar3_2lq

 AR-4
 AR-1同傾向。相関曲面は一部クロスしているが、データ点の分布だけ見れば問題は無いだろう。データ数が少ないから何とも言えないが、相関曲面のクロスにより改善量が低めに評価されている可能性もある。

Ar4_2lq

 AR-5
 改善量が0.016と他号機に比べて低い。
 上のAR-3とこれだけが冷却水量可変である。AR-3は半量運転時冷却水ポンプが1台運転となる。AR-5は冷凍機負荷率により、冷却水量をカスケード制御する。半量だけでなく、全量⇔半量間を連続的に変化する。

Ar5_2lq

 2液化後チューブ清掃以降の運転中の流量変化は以下の通りであり、それぞれ800[m3/h]以下300[m3/h]以下を半量時間比率と呼べば、AR-3が昨年50%今年50%、AR-5が昨年10%今年25%である。
AR-5が半量まで落ちる頻度は少ない。この差が、改善量に利いているのではないか。

Halfcolflow

 上記冷凍空調機器用水質ガイドラインの記述などと重ね合わせると、半量運転により強固に生成した初期付着誘導期のスライムは全量運転になっても、なかなかせん断剥離されにくく、効率まで悪影響を及ぼすのではないか。
 とすると「スライム抑制による冷凍機効率の改善(速報)」などで、「冷却水インバータ化で思ったほど効果が上がらないところは、2液化で多少なりとも挽回の余地がある」と言ったが、半量運転などを相変わらず採用しようと目論んでいる所は、2液化の効果も少ない可能性があり、その既述は正確ではない。
 何処から押しても、冷却水は常時全量相当流すのが一番である。

 もう一度明確に言おう。冷却水薬注2液化は、それだけで吸収式では4%近いCOPの改善 (1.4→1.455) が期待出来る場合がある。しかしそのメリットを充分引き出そうと思う時は、決して冷却水量は半量に近づけて運転しないことである。

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蒸気サイクル低温熱回収計算ツール

 前回簡略化した熱回収蒸気サイクルのツールを作って動かしている内に、色々と考えることがあった。
今回は抽気を詳細に計算してみようと言うことだったが、その辺もちゃんとみて可能なら反映させる必要がある。
 蒸気サイクルから見た目標の1つは、どうやって回収熱量を増やせるように受け入れ先の条件を整備するかである。
ヒートポンプCOPとの関連で回収温度の上限が決まるなら、回収熱量を多くするための受け入れ先の条件整備は流量を増やすか、入口の温度を下げるかとなる。
 前者に関しては抽気を減らせばよいが、するとタービン排気も増えるので復水器排熱は増える。復水器排熱に対する回収率は変らない。
もう一つ抽気のドレンを熱回収の入口に戻せば回収部の流量としては増えるが、このドレン温度は熱回収出口温度以上だから、熱回収温度に上限がある中では結局熱回収増には繋がらない。
 もし将来100℃程度以下から150℃程度までポンプアップできる (この後も暗黙の内に「経済的に」「合理的に」という言葉が全て入る) 媒体が見つかれば、ドレンを冷やして、これを合流させることにより、下図の様に熱回収Ⅰの熱量を増やせる。

Heatpump

 「ところで熱回収ⅢとあるがⅡはどうしたのか?」よく聞いてくれた。聞くも涙、語るも涙の物語。一方「入口の温度を下げても排熱回収量は増えるはずである」と次の検討を始めた。
 熱回収入口温度とは何か→復水温度である→これを下げるにはどうするか→復水器真空度を上げればよい→真空度を上げるにはどうするか→海水入口温度を下げればよい→海水入口温度を下げるにはどうするか→ここにも熱回収を入れればよい。
 熱回収は、何も復水器出口だけでなくても良いだろう。復水器に入る前からも回収できる。しかし回収先は復水にすると元の木阿弥、入口温度が上がってしまう。
そうすると、残りは復水器出口海水である。本当か?結局は復水器排熱が動力分増えそれに対する回収率はあまり変らないのではないか?
 勿論そうかも知れない。しかし今気にしているのは、受け入れ先の入口温度を下げて熱回収増のポケットをつくることである。まずこれは幾許かの改善があるだろう。
 また復水器真空が上がれば、蒸気サイクル効率そのものが上がる。
ただ復水器真空が上がればタービン排気湿り度が増加して、効率だけでなくエロージョンの心配も出てくるが、それには再熱蒸気圧を下げるか再熱温度を上げて最初の入口エントロピーをあげておけば良い。再熱蒸気から断熱膨張で等エントロピー変化するだけだから (断熱効率分エントロピーが高めになる) 。

 ついでにお笑いとして、「中国が火力・原子力をどんどん建設して温排水を出し始めると、日本の回りも海水温度が上がってくる」と言うのがあるが、日本側プラントとして1つの防衛策にもなる。そこまで行かなくても、建設時には自分の排水が取水に回り込まないように深層取水や防潮堤を考慮しなければならないが、これが多少緩和されるだろう。ちなみに夏場火力近傍の海水温度の垂直分布は次の傾向である。

Seawater_tmp

 ということで、ルンルンで検討を始めたが、定量的には無駄骨だということに気付いた。
海水流量を見れば一目瞭然である。350,000[Mcal/H]の排熱を温度差7℃に押さえるためには、50,000[m3/h]の海水量となる。1℃変えるだけで、本体の熱回収と同程度の運搬熱量となる。
 勿論それに見合うメリットがあれば汗を掻くのにやぶさかではないが、復水器の真空はどの位上がるんだろう。
これは飽和温度に効いて来るんだからと言うことで、プログラムの排気圧を0.05→0.04[ata]に変えて計算してみた。下表である。

Condenser

 0.05→0.04[ata]の復水飽和温度差は4℃であり、発電出力3[MWH]増、発電η0.26[%]増である。計算が正しいと言うつもりは無い。オーダーチェックのつもりだが、どうも食指の動く改善幅ではない。そして1℃で得られる回収熱増分は高々800[Mcal/h]である。
 そして極めつけは回収動力である。目盛り目一杯動かしてCOP9として回収動力6.5[MWH]となる。温度関係からもっと良い値になる場合があるかも知れないが、それにしても発電増分まで下がる事は無いだろう。効率増で得られる出力以上のポンプを追加して効率増を図る馬鹿はいない。本件も打ち止めとする。

 以上により、前回考えていた延長線上に落ち着いた。
 抽気については、再生サイクル効率改善より、熱回収の上限温度からボイラー給水温度まで加熱するのが、主な役目に変わりつつあるから、既設で言えば脱気器辺りから上だけ考慮すれば良いんだろうが、このツールは「熱回収でこんな効率になります」と言うより「こんなプラントで採用したらこれだけ改善されます」と言う見方だから、やはり既設によく似た系統にしておく必要はある。
 しかし既設→熱回収切替時に抽気の状態は変るし、他の条件も大幅に変るから、これが本当に新旧比較と言えるかどうかは、読者に判断してもらうしかない。
 各抽気による給水の加熱は次のように考え、簡略化する。
① 抽気圧はユーザー設定により一定とする。
② 給水加熱器内では、抽気復水化放出潜熱とドレン冷却熱量により、給水温度が抽気飽和温度になるまで抽気がとられるものとする。
  ドレン出口、給水入口温度差は0とする。
③ 給水側出口温度は抽気飽和温度以降過熱戻し部のエンタルピーを加算されて更に温度上昇するものとする。
④ ドレンは直ちに給水に合流される
 ④は実際は脱気器またはドレンポンプまで戻ってから合流するが、計算簡略化した。許容範囲だろう。
 ②により実機と同様、給水入口温度により抽気量が変る。また本プログラムでは、給水温度が抽気飽和温度以上では抽気を取らなくなる。
これを8段やってみる。

Htr_ind

 プログラムは ダウンロード steamcyclep2.exe (532.5K) である。これと ダウンロード Steam97.dll (116.0K) をダウンロードして (DLLの扱いは周知とする) 実行すると、h-s線図という画面が表示される。蒸気h-s線図上にモデル火力のヒートサイクルをプロットしたものである。
 単位が古い[kcal/kg]、[ata]であること、水色と黄色の曲線は水の飽和曲線であること、貫流ボイラーではなくドラム型を表していること、サイクル図は各端部を直線で結んで描画してあることなどは前回と同様である。
 前回と違うのは、抽気を8段に分けて扱ったことである。抽気圧は可変である。
 抽気・給水加熱器まわりの加圧水は殆ど温度≒エンタルピーとしているが、ご容赦願うとして、各段での断熱効率を全て真面目に計算したら、断熱膨張中それらしい図示配置になった。
 抽気取出し点は赤で、抽気飽和蒸気点は黄色で、抽気飽和水点はグリーンの丸で表示してある。線分では結ばなかった。給水温度が抽気飽和温度以上で抽気を取らなくなったらこれらの表示は消える。
 第一抽気量が多いようで圧力を下げてみてもよいが、確かここは定格出力時はプラス圧だったような記憶があるから、実機ではその前段にグランド蒸気やエジェクターのコンデンサーがあって少し復水よりは温度が上がっているから、実機ではもう少し抽気量が少ないんだろう。
しかし、熱回収でこの辺は軒並みパスしてしまうから、余り細かくフォローしないことにする。
 実は、このサイクルの各値は全て記憶で書いている。物を残せない性質で資料は無く、ヒートバランスも web でもちょっと見かけないから、適当な抽気量の配分で設定した。
実機を扱っている人は実機に合わせてもらえば良い。スライドの範囲外でも窓に書き込めばその圧力で計算してくれる。
但しこの場合、計算のキュー出しには当該抽気以外のスライダーを動かす (またはクリックする) 必要がある。また妙な組み合わせだと計算が収束せず、図形が描画できないのでその場合はあしからず。
 最終抽気圧もどの辺か忘れてしまった。今回の抽気の働きは給水加熱というウエイトが大きいから、この辺で多量に抽気するように配分することもあるだろうから、第6抽気ぐらいまでは再熱の前後から抽気出来るようにした。
 「計算が収束せず」云々は、前稿の抽気量固定と違いこの抽気の計算手法では、給水入口温度で抽気量が変る→復水量が変る→熱回収がある場合は給水入口温度が変る、の繰り返し計算が必要だからである。
収束条件は、復水流量などを主とし、変化量1%以内で収束することにしてある。
 前回も又は今回熱回収が無い時でも最低3回計算するが、1回目各値設定、2回目全数値計算、3回目収束条件確立確認の手続きを踏むからである。これは筆者のものぐさを表していて、計算式の順番をじっくり考えていられない。従って式を思いつくままに記述して、後の方から計算できた値をもう一回パスを廻すことで前の方の式に代入すると言うような手法を取っているからこの様になったものである。
 熱回収が出てくれば、上記の当然の繰り返しが必要になりこの手法を採るエクスキューズにもなるが、最高9回ぐらい繰り返し計算しているようである。
 なお設定パネルおよびメモは邪魔な場合、上方でも何処でも画面外に隠しておける。✥のカーソルになったらドラグできる。

Fig1

 さて実行した最初の状態から熱回収量を徐々に上げていってみる。復水温度が上がる分抽気が減って発電量は増えるが、復水器排熱量も増えていく。
熱回収量が40,000[Mcal/h]を越えた時点で第1抽気がゼロとなり、50,000[Mcal/h]を越えた時点で第2抽気が、60,000[Mcal/h]を越えた時点で第3抽気量がゼロとなり表示が消えた。
 これは定性的には、実機と同じ挙動だろう。前稿で予想していたとおりである。
筆者は30年前、このような特性を見て、4段ある高圧給水加熱器の途中のものの給水出入口仕切り板の穴開きをその大きさと共に検知したことがある。
 次いで採るべき進む道としては、抽気をできるだけ下げないで発電出力も上げない、効率だけ注目する方向と、抽気を下げ復水量を確保し、回収温度を下げる方向があるだろう。勿論その中間も。
 回収温度とCOPはスーパーヒートポンプのそれぞれのトップ値に近いものが同時に達成されるとした。同時に達成と言うのは聞かないが、スーパーヒートポンプと同様の挑戦が今もどんどん進んでいるんでしょう?
 結果の纏めと、それぞれのサイクル図は下図である。

Result_3   

Fig2

Fig3

Fig4

 まず、どうしても抽気取出しが大きく変わる。これに伴うタービンダイヤフラム前後差圧の許容値確認と合わせ、タービン本体の改造が出てくるから、既設は一部手直し (発電機直結回収動力回路または所内変圧器の設置ぐらい) で、殆ど直ちに燃料減を享受できるということにはならないだろう。
 また発電機容量についても、もしかしてメーカーさんが許容するかもしれない5%程度以内の増容量に留め、何とか送電端電力は維持するという範囲の選択肢もありそうだが、原子力については、サイクル入熱が減るにしても原子力は熱出力を下げても余り意味がないから、発電機をそれに見合った大型にしなければならない。
 つまり、このアイテムを完全な形で実機に反映するためには、抽気取り出しおよび給水加熱器配置・タービンダイヤフラム耐圧・発電機容量全てに亘って設計し直しが必要である。またコンプレッサーは蒸気タービン駆動だという人が出てくるだろう。既設には簡単に反影できない。
従って例えば2020年と言う時限を考えるとこのアイテムはちょっと適用できない。
 そして当然「そんな温度に対する、そんな容量の、そんなCOPの熱回収が出来るのか?」という疑問はあるだろう。そこが本ツールを上梓した意味合いで、「ほほう、ここを改善すれば、蒸気サイクルではそんな効率になるのか」「うちの技術では後一歩だな」「温度では駄目だがCOPを頑張ったらどうなるんだろう」と言う見方で触ってもらえば、幸いである。
 更に、「蒸気計算の精度が悪い。もっと高性能詳細なのを作ってやろう」という、メーカーさん学生さんのインセンティブ喚起になっても、うれピー。
 媒体開発、設備開発も、その経済効果を考えて皆が前向きに取り組むと加速されるだろうと言うことで、得意の取らぬ狸の皮算用をやってみる。
要するに170℃以上、COP6の設備があれば送電端・入熱比で7%の効率アップが期待出来る。このメリットを国全体で2つの側面で享受できるとする。
 1つは、原発にこれが適用されて、同じ熱出力に対して送電量が増え、その分石炭火力の稼働率を減らせると言うものであり、もう一つは残った化石燃料火力にもこれが適用されて燃料が減るという側面である。2重取りに注意しよう。
 「原発システムはそんな入出力比の問題じゃないよ。入力は殆ど関係ない。立地さえ出来れば送電端には幾らでも電力は出てくるんだ。」という意見があるだろうが、ここでは炉熱出力が一つの制限枠だと考えれば、上記考え方も成り立つだろう。即ち、リプレース (同じ敷地内と言うつもりは無い) の断面などを考慮しても現在の合計熱出力は一応は確保済みというようなスタンスの時である。火力の煙源枠と同じである。
 2005年度の原発発電量を3060[億kwh]とすれば、同じ熱出力で210[億kwh]増えることになる。送電端増比率を発電端増比率としている。
その分石炭を減らす。
 次に、この再配分した電源構成に対して、化石燃料は7%のCO2発生減をもたらすものとする。但しガスは半分程度がコンバインドだと想定され、もともとそれなりに高い効率に対してモチベーションが沸くかどうか疑問だし、また蒸気サイクルがシステムの半分を占めるから、ガス火力に対しては半分の減率を適用した。
 結果は下表の通り、4,160[万トン]と国全体の2005年度の3.2%になる。計算範囲は事業用発電所だけだが、コンビナートにある私企業の自家発まで対象が広がればもう少し大きくなる。
 この計算ではCO2のカットに注目したため、ちょっと適当でないが、7%の燃費ダウンとCO2上のメリット (取引・炭素税) は、個々の企業にとってどの程度のインセンティブになるんだろう。

Deco2

 意気込んだ割にはちょっとパンチ力に弱い気がする。
もっと大きければ、「この程度の回収規模とCOPの実現が少々困難でも、これだけの経済性があるんだから、猪突猛進で取り組んで実現を目指そうと言う気概は出ませんか」と強引に纏めようと思っていたんだが。
 企業の温暖化対策姿勢に訴えようとしても、全員で「選挙違反無用宣言禁止法」のように「抜け駆けで、余計なことはやらない事にしよう」とソッポを向かれたら一向に進まない可能性がある。
残りは行政の強力なテコ入れだけが頼りだが、何処かメーカーさんで技術・効率・制作費の突破口を開いてくれたら進むかもしれない。
 もしかして中部電力さん辺りが最も実現に近いかもしれないが、特に石炭関連企業は頑張る必要があるだろう。

 最後に Delphi ソースはダウンロード steamcyclep2.dpr (0.2K)ダウンロード steamcycle2.pas (34.6K)ダウンロード steamcycle2.dfm (13.0K)、それに Steam97.dll 用ヘッダー ダウンロード SteamDLL.pas (4.0K) である。
多分プログラムを見ようと言う人は熱力は余り馴染みが無いはずなので、筆者にしてみればしつこいぐらいコメントを書き込んである。
上記の通り何度かループ計算を行っていて、途中経過を図示していたためそれ用のイメージが残っている。ループは19回廻せるように用意したが、条件をラフにして短時間で収束するため9回程度のようだ。
後はシコシコと作っているので、上記抽気・給水加熱器関係の他、以下のような変数ネーミングが慣れないとわかり難いかもしれない。
 またSteam97.dllは今回かなり幅広いレンジで使う事になり、使い方の所為か一部で関数が計算してくれないところがあり、バイパスしている。また単位設定もわからない所がある。この辺は使わせてもらっている立場として全てこちらで確認対処する。また代入変数の順序の入れ替えは Delphi では常に注意しておく必要がある。

Cycleind

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石炭関連企業はコンプレッサー開発が急務。副題「ダブルチェックからパラレルチェックへ」

 又もや柏崎刈羽原発の話題と2本立てで、表題もしっちゃかめっちゃか。
 「7号は安定、営業運転再開。6号は試運転開始、行け行けどんどん。これ以上何か文句あるのか?」と言われそうだが、一筆啓上。
6号機制御棒駆動機構と制御棒の結合不良に関する最終報告を原子力安全・保安院へ提出した。機械的に間違えないだろう再発防止対策も中長期的に実施だそうだ。
 「物理的に間違えられないような構造を考えよと言ったから、そうしたじゃないか」と言えば取りあえず及第点だが、それは一つの原因に対する対策でしかない。
1基200本以上のCRDシステムの改造は工期的にも、経費的にも大変だろうし、対外公約だから然るべきタイミングで実行されるんだろうが、それまでの間は「チェックシートの見直し・作成」「判定基準の明確化」「ダブルチェック出来るような体制の見直し」だそうである。
 是非とも最後の検討で気付いて欲しいのは「ダブルチェック出来るような体制の見直し」なんだから、今まで指摘したように「技術屋同士で会話が出来る体制を意識的に作る」ということである。
間違えようとしても物理的に間違えられないような構造が今後は必要だと言ったが、所詮それはある1つの不具合の可能性排除の個別対策でしかない。それよりももっと重要・汎用的な点が外されていると指摘していた。「いかにも、原発技術屋同士に会話の痕跡が無い」と言う点である。

 既述を何度も嫌味たらしく繰り返したくないが、めくり返すのが面倒だという人のために簡単に触れると、労災で声を掛け合ったら防げただろうと言うのは除いても、
 潤滑油30リッター漏洩などは、「ノズルが緩んだ。ちょっとホースを上げて持っているから、その間に廃油缶持ってきてぇ!」と叫べば1リッターもこぼれようがない。
(お判りだろうが、潤滑油が30リッター漏れたことをとやかく言っているのではない。その程度はままあることで、原発としてこの程度も不具合としてオープンにしなければならない立場には同情するものである。そうでは無くて、その事故原因はホース先端のノズル外れとしているが、ノズルの有無は漏洩とは無関係と認識出来るか否かの問題である。ノズルがあっても漏らせるし、無くても回収できる。誰でもおかしいと判断できるはずの解釈を天下に堂々と開示してはばからない姿勢は問題だと言っているのである。作業員の申し立てを何の疑問も無くそのまま羅列したか、もっと大きな事を隠すための配牌か知らないが、即ち、前者であれば厳密な原子力をマニピュレートする基本的観察力がそもそもお有りですかと言う疑問であり、後者であれば企業のコンプライアンス姿勢は兎も角、「もっと上手に嘘をつけ!」となる。)

Oil

 圧力抑制プールの水位上昇だって、プールの波立ちはパンフにも表現しているほど既知のRCICS運転時の常態だとすると、廻りの同僚・グループ長・当直長などが、「圧力抑制プールの水面は波立つことがあるから、四方のレベル計の動きを見て、同じ様に変るようなら注意しろよ」とか言えばハッと気付いた可能性は大きい。
「圧力抑制プールの水位は増えてないね」と、訊くだけでなく自分でちょっと立って行って後から覘き見たりしないんだろうか。
言われなくてもその位やっているさ。それでも不具合は起こったんだ」という事なら大変だが。
 水張り時の過剰ブローだって、「今から水張りするところの、エアベントとドレン弁はこことこことここだよね。はいバルブは閉めたでしょ。こことここは1人で見れるから、2人で監視していてね、今から水張りするから。何か在ったら怒鳴って教えてね」と言えば良いだけの話である。
 原子炉補機冷却水系への復水補給水系の水の混入だって純水を補給しようとする時、「今から純水補給弁を開けるから、補給水タンクの水位が下がってくるはず。また補給水積算計がカウントするから見ていて、動きが無かったら連絡してね」と言えば、間違いは気付いたはずで、復水補給水系のトリチウムが外に出ることも無かったろう。
 この辺は、コンビネーションで仕事をしているプラント操作員から見れば言うほどの事もない当たり前の話であり、この程度の会話があれば起こりえない不具合が、1人1人は寡黙で真剣に作業しているであろう原発では頻繁に起こるのである。

 CRのカップリング作業でも、1人がじっと目を凝らして作業を実行するのではなく、隣の同僚と「ほら荷重は良いよね、これで○○CRカップリング完了。確認して」「OK、○○CRD荷重良し、カップリング完了確認」とやれば「工事担当者の思い込みにより、CRの荷重のみかかっていることをもって、問題ないと判断した」 (さぶーっ、「当社協力会社の技術力は、何時までも同じような繰り返しで前進しないね」「それを改善させようと言う取組みも奏功しないね」「これを臆面も無く『これが原発の実態だからしょうがないじゃないか』と繰り返す自分達管理部門とは何なんだろう」と思えば、「さぶーっ」となら無いんだろうか) と言うようなことも起こらないだろう。
 1人が黙々と確認作業を200本もやっていれば、色々雑念も浮かんでくるだろうし、余程気を引き締めていなければ勘違いも起こるだろう。頭はあらぬ事を考えていて、「良」に○をくれる可能性は有る。
原発不具合の再発防止対策としての「チェックシートの見直し・作成」「判定基準の明確化」「張り紙やミーティングで注意喚起」「事象の把握を徹底する」等の連発は、【ダイハード4】でティモシー・オリファントに「You're a paperhanger in a digital age.」と笑われたが、作業員にこの様な過度の精神力を求めているに過ぎない。そして何度も同じ様に裏切られている。
 「ダブルチェック体勢」と言うのも同様な事が起こりうる。1人が真剣にある作業をチェックして、然る後にもう一人がチェックリストで同様に真剣にチェックしてもそれをすり抜ける不具合はあるだろう。
この「ダブルチェック体勢」と言うのを明瞭に「パラレルチェック体勢」と捉えなおして、同時にかつ会話により相互チェックすれば、しつこいが、発声の段階で軽いストレスが起こり、前頭葉の活性化を促し相手の結論と自らの観察結果の対比により、正確な判断が確保される。
折角「ダブルチェック」まで来たんだから、「パラレルチェック」体勢の確立まで前進させ、ついでに作業員全員に予定行動発声申告制を導入し、さらに支援警報導入でプレコーションマインドを喚起すれば、原発の不適合はたちまち改善される。嘘ではない、それでも改善されない場合があるとすれば、作業要領書の不備であるから、機械の裏まで知悉しつくしたメーカー技術員の招致を増やして、協力会社単独の技術作業を無くす。
 前稿でも見たように、地球温暖化対策での原発のウエイトは極めて大きいんだから、頑張って貰わなければならないとして、言いたくないことも言っているのである。
新潟工科大学で、電力の協力も得て原発の耐震性研究施設を設置との事で、「市民の安心感の醸成に繋がる」と期待も膨らむそうだが、上記の (詳細は当該ページで) 対策を実施すれば、たちまち原発は安定し市民の安心感は倍加されるだろう。

 さて本題である。前稿で、政府の「2020年までの温室効果ガス排出削減目標を05年比15%減」とする中期目標発表に際して、これを炭酸ガスに限定して、当 blog の今までのアイテムでこれが何処まで達成できるか見てみた。
 ハッキリ言って数字遊びだったし、「そう上手く行くはずもない」と言う見方も有るだろう。多少言い足らなかったこともある気がするので、チャンスがあればやろうと思っていた追加件名を行ってみる。
復水器冷却水の温熱の回収である。
 「火力発電所は発電機能付き海水ヒーター」などと揶揄されながら、コンバインドサイクルを除けば効率は殆ど改善されない。
蒸気サイクルの上方面、蒸気条件改善の努力はなされるが、低品位熱源である多量の排熱については手付かずのままである。
低温熱の回収については、一部電力系DHCに於いても温度差熱回収は実現しているが、ご本家の火力発電所では「火力というのはこんなものだ」と手付かず、紺屋の白袴状態に陥っている。
 原因の一つは、熱サイクル上には適当な熱回収先が無いからである。
ちょっと計算してみれば判る。復水器が30mmHg程度の真空度で運転しているとして、飽和温度は30℃、蒸発潜熱は低圧タービン排気蒸気1kg当たり580kcal/kgである。これを海水で冷やして復水にしている訳である。低圧タービン出口湿り度があればその分は既に水になっているから、もう少し少ないが。
そこでヒートポンプなどで高温が得られて、サイクル上の低温部に回収しようとしても、蒸気量≒復水量≒給水量とすると、この50%でも回収するためには、給水温度は320℃ (=30℃+580×50%) になってしまう、あるいはならなければならない。
 低圧タービン出口湿り度5%、抽気量20%としても250℃である。
つまり既設サイクルの最終給水加熱器出口温度に近い。即ち抽気は全て不要で再生サイクルが成立しない。またヒートポンプで250℃の温度上昇が合理的に出来るかと言う問題もある。
 そこまで頑張らなくても、少し回収しようとしても、そのままでは復水・給水の温度が上がった分抽気の凝縮能力が減り、結果として抽気量低減即ち出力が上がるが既設ではそれを許容出来ない。
 ガス炊き発電所はコンバインドサイクルという手段があって、より合理的に効率を上げているが、石炭などはこれの倣いとしてPFBC (加圧流動床上で石炭を燃やして、その排ガスでタービンを廻しかつボイラーも加熱する。炉を加圧するため些かグロテスク。温度分布もコロコロ変わるだろうから、非定常熱応力も大変なものだろう。またタービンを廻せるクリーンな排ガスにする技術としては石炭ガス化もある。IGCC) などの技術が研究されているが、日本では今の所商用運転にはなっていない。
 火力温排水は従って、回収どころか反対に蒸気霧の主犯説などで公害防止協定では低めの値を約束する事になり、益々回収とは縁遠くなっている。更にはこの制限が守れないでデータの改ざんまでやってしまう羽目になっている。殆どトホホの世界である。
蒸気霧は冬季自然に発生することもあるんだから、小型船の往来の激しい所は論外としても、行政も余り画一なことを言わないで、「少し高めにしておいた方が将来熱回収しやすいんじゃないですか」位の懐の深さを見せて欲しいものだ。「その代わり、放水口を市民の釣り場に開放してください」と言っても良い。

 プラントサイクルへの回収は難しいとなると発電所外への回収となるが、民生にするにしても近傍に適当な回収ターゲットはない。
また物理的には民生ターゲットへの熱回収が成立する条件があったとしても、発電所と周辺の往来が希薄で実現しにくいと言う点もあるだろう。公害源としての不人気もあるだろうし、発電所から見て運転に直結した顧客対応は敬遠する部分もあるかも知れない。
観点は違うが、先ほどの放水口は最高の釣り場になるが殆どの発電所で構内立入り禁止、釣り場としては開放してないはずである。最近では変わってきたかも知れないが。
この点DHCはお客様直結商売だから、多少進んでいる。低温熱でも回収して民生需要に結びつける。
 「CO2排出05年比15%減」に、原子力への追い風要素もあって全面協力するなら、電力にとってもここの改善も重要である。(えっ、「その辺は余り頑張らず、15%未達にして置いて、だから徹底して原子力じゃなければ駄目なんですよ」に持っていく?)

 今後、特に石炭火力などはPFBCやIGCCしか道は無いのか。
発電所近傍のビニールハウスなど農芸需要、都市部の発電所で運よく集合住宅がある場合の暖房供給など、民生も含めて頭を絞って積極的に低位熱の回収を考えないと、何時までも「発電機能付き海水ヒーター」じゃガス以外の火力はお先真っ暗。
 ボイラーまたは原子炉+蒸気タービンシステムに於いて、技術改善により実現可能なヒートポンプの能力とCOPを反映した、再生サイクルの設計変更の可能性は無いのか。
回収により復水給水温度が上がって抽気の余地が減少したとしても、元々再生率を上げてきたのは、海水に熱を奪われるのを出来るだけ少なくしようと蒸気の復水器通過をバイパスしたためである。今回これがヒートポンプである程度回収できるとすると適当なバランス点は無いんだろうか。
 従来のヒートポンプの性能なら、そんな気も起こらなかったが、炭酸ガスの超臨界圧使用などヒートポンプも効率性能共に進歩した。考えてみる余地も出てきたように思える。
 勿論、入力の半分以上を海水の昇温に費やしているシステムである。これを回収しようとしても装置的にかなりグロテスクなものになることが予想されるが、然らばその程度はどうか。その効果の確認とともにやってみようと言う気は出てこないんだろうか。
 これを概観してみようとプログラムを作った。

 ダウンロード steamcyclep.exe (527.0K)と ダウンロード Steam97.dll (116.0K)を同じディレクトリー (DLLの扱いは周知とする) にダウンロードして実行すると、h-s線図という画面が表示される。蒸気h-s線図上にモデル火力のヒートサイクルをプロットしたものである。
まずこれから見ていく。単位は古い[kcal/kg]で表示してある。こちらの方が℃との関連付けも容易で直感的に使いやすい。ついでに圧力も[ata]である。
水色と黄色の曲線は水の飽和曲線である。図をクリックしてください。少し大きくなります。

P_s1 

 左下にボイラー給水エンタルピーの赤丸が表示されている。これから右上に上がると、このスケールでは見にくいが、蒸発部の等圧曲線が蒸発部の圧力とエンタルピーの動きと共に記述されている。
つまり貫流ボイラーではなくドラム型であり、ここの圧力は主蒸気圧+10[ata]である。
 その後主蒸気条件まで上昇するが、本来なら、圧力ロスが無ければ圧力一定のカーブで上昇するんだろうが、直線で結んで描画してある。
蒸気温度は、即ち1050[゚ F]になっている。
 タービンに入った主蒸気は等エントロピーで断熱膨張して仕事をするが、実際には断熱が完遂出来ない分多少のエントロピー増大を来たす。タービン断熱効率というが、この辺も端折って直線で引いてある。
 仕事をした蒸気は、まだ大分過熱度を持ったまま再熱器に導かれ再加熱される。再熱蒸気圧=再熱戻圧としている。
 再熱蒸気は仕事の途中で抽気され、給水の加熱に使われる。即ちその分それ以降のタービンでの仕事は減るが復水器通過熱量が減り、サイクル効率は改善されるわけである。
ここでは抽気は25%一挙に行うとしている。実機では8段ぐらいに分けて合理的に実施されるが、計算の簡略化のため1本化とした。
ちょっと無謀な仮定とも思えるが、過熱戻し部(ピンク部)、復水部(緑部)およびドレンクーリング部の伝熱面積などは充分あるものと仮定する。
残った75%の蒸気は最後までタービン内で仕事を継続し、7%程度の湿り領域の状態で復水器に排気される。これも原子力を除き実際よりちょっと大き目かな。
 主蒸気から再熱戻りまでのエンタルピー差、および再熱蒸気から抽気点までの全量、抽気点から排気までのエンタルピー差の75%がタービンの入力である。

 復水器の真空は0.05ataと置いてあるから、タービン排気のエンタルピー570[kcal/kg]は、勿体無いが海水で32.56℃まで冷やされる。計算では346,972[Mcal/h]となっている。ボイラー入熱の51.4%である。
これが効率低の原因であり、抽気を多くしてここを通る熱量を減らしたり、蒸気圧・温度を上げてここの通過熱量のウエイトを少なくしようとするのが今までの効率改善の取組みであるが、ここにヒートポンプの最新の技術を取り込んで捨てる熱量を回収してみようと言うのが、本稿の主題であった。
 サイクルを進めると、32.56℃の復水は全体の75%645[ton/h]であるが、833[kcal/kg]のエンタルピーを持った全体の25%の抽気215[ton/h]で加熱されて、かつ合流し、232[cal/kg]の給水となってボイラーの節炭器に入る。この規模のプラントの温度よりちょっと低めの数字である。この辺も抽気一括などの端折りもあり、また排熱回収によりどう変るかを見るためだけとしてこのまま進める。
 水の部分は、復水ポンプ、給水ポンプ、脱気器排気などの熱出入があるが無視している。また飽和曲線と紛らわしくなる部分もあるため、加圧水ラインは描画してない。
 ボイラーの出力は主蒸気エンタルピーとこの給水エンタルピーの差および再熱蒸気と再熱戻蒸気エンタルピーの差であり、ボイラー入力はこれをボイラー効率0.92で割り戻してある。

 右端に電力関係が図示してあるが、既述のタービン入力をタービン機械効率と発電機効率で96%とおいて、860[kcal/kwh]で割ると発電機出力となる。
これとボイラー入力の比が発電端効率である。
 蒸気量860[ton/h]で計算したが、一般的原発の1/4規模のプラントとなっている。
発電機出力は一部発電に必要な補機類のモーター動力に使われ、残りが送電される。これとボイラー入力の比が送電端効率である。
 発電に必要な補機類のモーター動力と発電機出力との比は所内率と言うが、ここではこれを5%と置いてある。実は、補機で最大のものは給水ポンプでありこれをモーターで回すか抽気駆動のタービンで廻すかで所内率は大きく変わる。また、次に大きいのはボイラー通風動力である。特に排ガスの処理を行う必要があり、そこの通風損失が大きい石炭などは通風動力も大きくその分所内率は高めである。
 色々な観点があるため決めにくいし、また定義は補機動力と発電出力との比ではあるが、これを一定とするのにも疑問はあるが、このプログラムの主旨は熱回収による変化を見ることだから余り拘らず5%と置いたものである。
但し熱回収には膨大な動力が必要だから、その分別建てとしてある。

 左上のコントロールパネルでこの内の幾つかの条件が可変である。
ヒートP入熱は本稿の主題であり、直ぐにも触ってみたいが、その前にプラントの特性、特にプラント効率改善の努力がどの様に奏効するかを見てみる。
 まず主蒸気温度・圧力・再熱蒸気温度を上げ下げしてみて欲しい。
これらを上げれば上げるほど効率は上がる。既述のとおり上の熱量が上がり復水器持ち出し熱量のウエイトが下がるからである。言わば間接的効率改善である。
これを上げる時貴方はUSC (UltraSuperCritical ・超々臨界圧) の取組みの成果を確認しているわけである。色々実機とは異なるところがあるから定性的にだが。
 再熱蒸気圧は下げた方が効率は良くなる。これは再熱温度が変らなければ、低圧の方がエンタルピーが高く上と同じ傾向になるからである。

 抽気を下げると、発電機出力は上がるが、給水加熱が減少して給水エンタルピーが下がり、ボイラー入力がそれ以上に増えて、発電端効率は低下する。
抽気圧力は上げるとボイラー入力も下がるが、タービンでの仕事が減って効率は低下する方向だが、今回1発抽気にしてしまったので余り意味は無さそうだ。

 それではお待ちかね。ヒートポンプによる回収を始めよう。と言っても筆者にはヒートポンプのトップの知見は無い。皆さんが出入口温度と媒体流量、コンプレッサー動力を見ながら、俺ならあるいはうちの技術ならこの程度は実現出来るなと考えながら触ってもらいたい。勿論この程度が出来れば良いなという、門外漢の気楽な操作でもかまわないが。
全てを初期に戻すため、再度実行し、ヒートポンプCOP5のまま、回収量(海水冷却側熱量)を10,000[Mcal/H]にして見る。これは復水器放熱量の2.9%を回収していることになる。
 回収先は回収出口エンタルピー(青丸)が51.17[kcal/kg]に上昇し、ボイラー給水エンタルピー(赤丸)も246.43[kcal/kg]に上昇した。
 発電端効率は39.88→40.66%に増加し、回収用ヒートポンプ動力が2.33オンしたものの送電端効率は37.88→38.32%と0.5%改善された。
 続いて回収量を20,000[Mcal/H]にしたのが下表である。

P_s3

 ここで一つ断っておくが、「この抽気で本当に給水温度がそんなに上がるの?」と言う疑問がある。あえて表示してあるが抽気圧の飽和温度は211.4℃である。また抽気のエンタルピーは833.1[kcal/kg]、抽気圧の飽和蒸気のエンタルピーは668.4[kcal/kg]である。
したがって給水加熱器の復水戻し部の温度は210℃程度で一定として、過熱戻し部のエンタルピー差は164.7[kcal/kg]でこれが加熱すべき給水の0.25しかないから温度的には41℃しか上がらないはずである。
 これは計算の簡略化のため、抽気を1段と極端な仮定を入れたため、起こった矛盾点である。実機に於いては、この程度の規模では抽気は8段ぐらい分けて行われ、この程度の給水温度は確保されている。抽気のバランスよい配分により、給水温度と抽気飽和温度ドレン温度との関係は維持され、給水温度は徐々に上昇していく。
従って、現時点の考察にあたっても実機ではその様に配分されると言うことで、余り極端な場合を除いて多少の矛盾は無視しこのまま継続する。一応参考として、抽気飽和温度から過熱戻し部のエンタルピーで上げられる熱量をlimitとして表示した。この辺の議論は温度≒エンタルピーとしている。

 更に回収量を上げていく。40,000[Mcal/H]で回収温度が100℃を超えた。134Aの臨界飽和温度である。
50,000[Mcal/H]で給水エンタルピーが300[kcal/kg]を超え、また回収動力も11MWHとなり、何台か並列運転するにしても大変なコンプレッサーになる。分割するにしても筆者にはちょっと想像できない。大きすぎるから、抽気タービン駆動か、モーターでも発電機電圧直接ドライブにするんだろうか。
言い忘れたが、媒体の動きも想定しようと、200[kJ/kg]の蒸発潜熱相当で幾ら流れるかも参考表示している。ここでこれが1000[ton/h]をこえた。
 このままの抽気圧・抽気率で直進するのは止め、またドリームジャンボCOPも許していろいろ動かしてみる。
一つの候補が最後の行である。プロに聞いたら無理だよと言う (炭酸ガスの超臨界圧理想サイクルでもこの温度だとCOP6程度) し、ヒートサイクルとしては一発抽気の無理もあって定性的な吟味に耐えないことが判ったので、今回はこれで打ち止めとしよう。送電端で4%アップだが、回収温度は134aなら100ataであり、1700ton/h以上流れる。

P_s2

 しかし、やはり煩雑でも5~8断程度の分割抽気にしないと、回収部からボイラー給水までの解析比較は出来ない。従って竜頭蛇尾の感は免れないが、今回は前振りとしてこれで筆を置き、直ちに次のステップに進むことにした。しかし石炭関連会社で今後販路を維持したいと思うところは、ぜひとも大型・高圧・高性能のコンプレッサーの開発と、また有効な媒体の開発が必要なことは容易に想像が付く。
 程なく新ツールをお目に掛ける。ソースも開示できるだろう。

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2020年までの温室効果ガス排出削減目標、05年比15%減!

 最近ちょっと言語設定Japanese以外の人のアクセスが気になってきた。DVDお笑いセリフの所為かとも思っていたが、よく見ると、明らかに技術アイテムで来ている。
過去4ヶ月の7400件中310件4%が、English、Chinese等の言語で、Koreanも在るがおもしろいのはFrenchが原子力アイテムにぴったり張り付いている。
 上位15件が下表で、これだけで3%になる。

En

 追加だが7/5にはSpanishの12件があり、省エネビデオの主なものを数回流して見て行ってくれた。
 もしかして、向うの言語の人の方が、「自由に持って行って下さい」と言っているアイデアやツールの価値を正当に評価して、積極的に持って行くかも知れない。Japaneseも負けないで!。

 さて、どうせ黒幕気取り奴のチャチャが入っただけの日本郵政社長の首の挿げ替え問題などでガタガタし、支持率が再び低下した麻生首相だが、一方で2020年までの温室効果ガス排出削減目標を「05年比15%減」とする中期目標を発表した。
Way to go!久々というより唯一のクリーンヒットではなかろうか。
 経済活性化の面でも、国民のモラル成長の面でも大きな期待が持てるからである。
 「15%等という数字は画餅に近い」と産業界から強い反発を呼んでいる程だから、エネルギーパラダイムに止まらない広範に渡る社会構造変革を必要とするだろうし、国もそれなりの腹を括って取り組む必要が有り、当然国民の相応の協力が必要となる。
 経済活性化については説明不要だろう。これだけの社会構造変革を実現するには膨大な投資を伴い、一気に経済が活気付く。産業界の反発は、単に「変化が怖い」または一部の「既得権益が薄れる」だけじゃないのか?それとも「我が技術者には最早そんな能力は無い」?
 一方、改革は相当数の国民に改めて相応の負担を課すことになり、国会議員を始め、官僚も、学府ですら(前2者は説明不要。後者は雨後の筍の大学がさらに商魂逞しく定員増と入学卒業のハードルを下げ、4年間授業料だけはきっちり納めてもらうようにして、低レベル学生を世に送り出している現状をさす)「わが身第一、儲かれば何でもやる」の気風瀰漫のご時勢に、自然、短時間であっても「地球自然のため、世界の人々の生活の為に自分は何をすべきか、したか」と言うそれらとは全く正反対の雄大清浄の気運を喚起し、薄汚い気風を吹き飛ばすことになる。
 国民のメンタル的成長に大きく貢献することにもなるから、経済活性化とあわせ、他の施策に比べて非常に有意義である。また当然わが身第一主義者は社会の面から消えて行くことになる。

 温室効果ガスの削減だから、フロン回収等の手法も併用する気かも知れないし、現場を知らない、官僚や強硬派学者センセイの考えに、政治家が便乗したという面があったとしても、折角の公器で省エネブログをやらして貰っている身としては、これを炭酸ガスに限定して、今まで触れたアイテムでこれが何処まで肉薄できるか見てみたい。
 ポイントは後10年後と言う点にある。技術的にはかなりシンプルになる。
発電所建設のリードタイムも無いから、どの電源を増やそうかなどの論議は不要。今あるものをどう使うか、進行中のものを上手く完成させるか、多少の増改造の余地しかない。新エネルギーのブレークスルーも期待出来ないだろう。
 一つ仮定するとすれば、この方針を出すには政府もそれなりの腹を括った筈だから、その点で政府の不退転の決意は継続するものと仮定する。

 僭越だが、当ブログで触れている項目を、出現順にとりあえず挙げると、
① 乗用車EV化
② 保温工事徹底による工場内給排気ファンの停止
③ 冷凍機冷却水温度低減
④ ガスボイラー排ガス熱回収
⑤ 冷凍機冷却水薬液注入変更による効率の改善
⑥ 原発利用率改善対策
 となる。これを定量的に見てみるが、と言っても量的な正確さと言う意味ではない。オーダー確認程度である。仮定を重ねて量的に見てみる程度だからあまり大きく出られない。
ブログでは景気づけに大風呂敷を広げたきらいもあるが、10年という時限、さらに反論もありうると言うことで、多少大人しい値で見てみる。仮定の数値に疑義のある人は自らの数値を代入してもらえばよい。また、元データもそこら中から拾ったものだから、全体や使い方に間違いがあるかも知れない。
 しかし、行政の産業関連表など、いかに精緻を装っていても、これより正確な数値が確保できている (確認のし様もないが) と自信を持って言えるかな?特に「県や市の」産業関連表ってやつ。「えっ、そんなのが有るのか?まるで意味無いじゃないか、税金の無駄遣いだ」と思った人は鋭い。変動相場の所為もあって、国の財政出動だって下手をすると国内じゃなく海外を潤しているという状況の中、県や市で括ってみようなんて、所詮関係者の自己満足だけで意味がない。仕事しているフリだけ、つもりだけ。後者は県や市の産業関連表に存在する意味が無いと理解できてないだけなお悪い。詳細は「めくら蛇におじずⅡ」にて。

 その前にCO2排出量のベースを揃えておこう。2005年度の国全体の排出は12億9300万トンだそうで、産業別には下表のようになるが排出比率には、「電力分配前」と「電力分配後」の2つがある。火力発電所では実際にこれだけ出ているが、電力使用先の省エネも見ようと発生した電力相当分は電気を使っているところに按分するというのが「電力分配後」である。
「電気自動車などは、運転中一切CO2は出ないが、充電電力は電源の種類に応じた比率で相応のCO2を出したことになるでしょ」と言うのが、後者である。
 従って、電力を含む省エネのベースは、後者で算定することにする。

Co2_ton


 さて、① 乗用車EV化については、「国会議員も、議事のふりした馬鹿話とスラプスティックコメディで無駄飯ばかり食ってないで、この程度のアクションを起こしてくれよ」と言う主旨で触れたものだが、いよいよ気運が高まってきた。
バッテリーとモーターの性能向上と充電インフラの充実だけが課題であり、重点施策として制度・補助で後押しすれば一気に進む。
 財政はどうするかって?大丈夫。当 blog では既に財政制度等審議会の財政健全化目処にぴったり一致する歳出削減計画を、それも審議会の答申が出る前に立案している。エヘン!
財政制度等審議会の見込みでは2015年度までに実現すれば良いと言うんだから、時間的余裕はある。この計画を直ぐに実行すれば何の問題も無い


 ハイブリッド車の話だが、ここんとこ年10万台のペースで増えてきて、更にプリウスなんか予約が数倍ペースに急増しているんだろ?
ハイブリッドという異種機能の混載と、スケール的にもかなり無理をした造りであの価格設定なんだから、純EVにしたら、半分程度の値段になるはずで、充電の心配さえ解決すれば一挙に普及する。
 下表の様にEV乗用車の新規登録台数が進めば後半は新規登録車の殆どがEVとなり、2020年には乗用車の40%がEVとなる。勿論ハイブリッドの純EV走行も含めて実効的にこの比率と見てもよい。
 「EVは静か過ぎて危険」等は理屈にはならない。必要な警報を完備すればよい。「EVは静か過ぎて物足りない」と言うのは、先ほどのモラルとも関係するが、皆で我慢するか暴走の気配の有るのは取り締まれ。現在の夜間の安眠妨害騒音に対して警察は何を遠慮しているのか知らないが、この辺も今から少しずつ強化して言ったほうがよい。
 ほら早速メンタルでもメリットが現れてくるでしょう?

Ev_2   

 経済波及効果についても、直感的に言っても大変な活性化に繋がるということが想像できる。
 また国内だけではなく、自動車産業の世界的ヘゲモニーを日本が確保できるかどうかの分かれ目である。これに追随出来ない自動車メーカー (価格・生産体制で) があるとすれば明日はない。
 おまけとして、モーター効率増の一環として磁気ギャップを極限まで減少していって、ベアリングの信頼性も重要になってきた場合の納入時チェックや、あるいは走行時でも路面状況に影響されずベアリングの傷インジケーションだけが拾える検出器を「3D-FFT」「3D-FFT再登場」に掲載してある。カーメーカーさんでも誰でも自由に持っていってください。

 EVの対ガソリン車CO2排出比は1/4~40%まで色々な見方があるが、技術進歩、下記原発稼動率向上なども先取りして30%と置く。
 現在乗用車とバスだけで150[百万ton]のCO2を出しているから、その内40%のEVの排出量が30%に低減すると、
150[百万ton]×((1-0.4)+0.4×0.3)=108[百万ton]となり、42[百万ton]削減される。これは国全体の排出量12億9300[万トン]の3.3%である。
 これは「2020年までの温室効果ガス排出削減目標を05年比15%減」の骨子を為すが、定量的には不十分である。

② 保温工事徹底による工場内給排気ファンの停止
  当所に於いては17年度827,000[kwh]だった給排気ファン電力が20年度にはとうとう33,000[kwh]まで削減できて、CO2は794,000[kwh]×0.385[CO2-kg/KWH]=306[ton]、事業所全体のCO2に対し3%の削減になったものである。
  これが全国にどの様に反映できるか給排気ファン動力の数値などは不明だから判断が難しいが、技術的に特殊なものは何も無い。ただ直営作業もふくめマニアックなまでに放熱を抑制して行っただけである。
 ここでも政府・通産・省エネセンターなどの特段のてこ入れを期待し、平易な汎用技術だと言う点も考慮して、ちょっと大きいと言われるかもしれないが、産業部門の30%の現場にこの数値が反映できるものとする。
 特段のてこ入れというのは
① 通産・省エネセンター・委託者の重点パトロールと、強力な(場合によっては罰則付きの)保温施工徹底指導。
② 簡易保温の規格統一・大量発注・補助制度・実施時期調整などによる、保温価格・工事費の大幅引き下げ。
③ 高圧ガス法・ボイラー則・その他規則の技術的不可欠以外のファン運転規定の見直し。
  (高圧ガス:換気装置常時運転ではなく、漏洩検知器連動起動可と明記する。
   ボイラー:消防法上の区画ダンパーを設置の上でドラフトが確保できれば少々の負圧でも良いと明記する等)
 産業部門で460[百万トン]のCO2を排出しているから、これの30%相当140[百万トン]排出の工場で同等の省エネが実現出来るとし、この3%を削減したとして、4[百万トン]である。国全体の0.3%になる。
 定量的に大きくはないが、官民あわせて喚起できる省エネ気運は小さくはないだろう。結果として「産業部門の30%」がそれ以上に拡大する可能性も無いではない。

③ 冷凍機冷却水温度低減
  冷却水温度低減による冷凍機効率の改善を種々の角度から見てきたが、いよいよその成果をギリギリ追求する場面が来た。
といっても色々と気になるところもあるから、とりあえず23℃を実現可能点として、それ以上は実溶液温度監視など状況を見ながら進めると言う事で、今後の努力代として取っておく。実際にこの程度のDHCもあるようだ。その意味で当所はトップランナーではない。またターボ単独運転中は21℃とする。
 23℃というのは当所では当然外挿の範囲だが、既知のデータの延長で見当が付くだろう。現状運転と冷却水温度23℃の冷凍機効率比較と、冷却塔電力の比較で現状よりどれだけ合理化されるか見ることになる。「冷凍機・冷却塔総合の省エネ効果」などでみたものの、プラント総合的、かつ通年的検討になる。従ってちょっと長く数字が続くことになるが、付き合いきれないという人は「結論」のラベルまで飛ばしてください。

 アプローチは次のようになる。
ⅰ 1年間の吸収式運転中の実COP、冷却塔電力、湿球温度、冷却水温度など必要データをピックアップする。
ⅱ 上記から吸収式COP=f(吸収式COP製造熱量・冷却水温度)を計算する。
ⅲ 冷却水温度に23℃を代入してⅱ式を計算し、ⅰの実際値と比較する。
ⅳ 既に判っている、冷却塔KWH=f(冷却塔入熱・湿球温度-冷却水温度)を計算する。入熱にはⅲの結果を使う、湿球温度は実際値を使う。冷却水温度は湿球温度17.5℃以下は23℃、以上は湿球温度の4℃アップとする。
ⅴ ⅲのメリットとⅳのデメリットを各時間集計する。
ターボ単独時も同様であるが、冷却水温度を21℃として計算する。

ⅰは4620時間となった。
ⅱは20%トリムにより2750時間残り、下図 (上COP大、左手冷却水温度高、奥行き製造冷熱大但し後を少し持ち上げてある) の様に
    AR-cop = 0.980557 + 0.603652 * 1/(AR-GJ ^ 0.5) + 5907.7 * 1/(Clwtr-Tmp ^ 3)
  となった。

Ars_cop

 ⅰ~ⅳまでの計算結果は、総額だけを羅列しても脳が無いので、計算のエビデンスと言うわけではないがグループ分けした表を下に示す。
表は上からそれぞれ、件数(時間)、実冷却水温度、実蒸気量、実COP、実冷却塔電力、目標冷却水温度、計算COP、計算蒸気量、計算冷却塔電力の表であり、縦方向の90~0が製造熱量、横方向0~27.5が湿球温度の区分の分布平均値となっている。

Lf_wbt1

Lf_wbt2

Lf_wbt3

 同様にターボは2830件、ダブルバンドルは1900件となり、
  ターボCOP = 13.712  - 22.940 ×1/(出力[GJ]^0.5) - 0.00470174 × (出力[GJ] × 冷却水温度[℃])
                                        全寄与率 0.89083
ダブルバンドル冷専COP = 10.449  - 22.494 ×1/(出力[GJ]^0.5) +  1378.4 ) ×1/(出力[GJ] ×出力[GJ] ×冷却水温度[℃])
                                        全寄与率 0.84538
となった。

ラベル「結論」

 3者の総計は下表のとおり、事業所全体のCO2に対し4%の削減となる。

Ars_trs_cop

 このアイテムには結構期待していたんだが、思ったより少なくてがっかりした。しかし経済的にはそれなりのメリットだし、当所に於いては既に半分以上絞った後からの効果だから、設計冷却水温度から始めるところがあれば(少ないとは思うが)それなりの効果は期待出来るのではないか。
 一般的にはこの値の1.5倍、5%の削減 (当所だって2005年から紐解けばそれ以上になる。上の計算は、この後どれ位ポケットが有るかを見たものである) を、産業部門460[百万トン]の20%の設備および事務所店舗学校など240[百万トン]の20%の設備に適用できるとすると、相当140[百万トン]排出の設備で同等の省エネが実現できこの5%が削減できるとして、7[百万トン]である。国全体の0.5%になる。

④ ガスボイラー排ガス熱回収
  これは、当所のような排ガスを100℃以上で排出しているボイラーの排ガス熱回収を考える。
  ガス焚き火力の全てに適用できれば言うことはないが、残念ながら再生蒸気サイクルを構成している発電所などでは有効に働かない。適当な熱の回収先が無いからである。低温の復水系統の何処かに回収できたとしても、その分低圧給水加熱器の入口温度が下がり、抽気が減り、再生率を低減させ余り効率向上に寄与しない。
一方ガスコンバインドは再生率が少ないから、回収すればプラスに効いて来る余地はあるが、一方排ガス温度はギリギリ落としてある所も多いから、回収率に制限がかかる。
 ここでは、環境対応の進んでいるガスコンバインド発電所では排ガス温度90℃の実績も多いことから、煙道材質は何かの観点もあるが、一般ガスボイラーも「酸露点が心配だ」などと利いた風なセリフで躊躇してないで、微小硝酸だけの時の露点をちゃんと計算して (quantitative, quantitative, toujous quantitative.【Plein soleil、Billy Kearns 】)、これに見習ってどしどし100℃以下にすべきである点を確認するだけにしよう。今後設置されるボイラーは全てそうなるだろう。
 既設改造もエコノマイザー追設等とマニアックなまでに難しく考えないで、ホットウエルタンクへの回収を計画すれば極めて平易でルンルンである。
万が一熱供給事業法などの規則に抵触する部分があったとしても。その影響度は小さいんだから、(エコノマイザー故障=ボイラー故障、ホットウエル熱回収故障=ボイラー効率が下がるだけ) 行政の迅速・前向きの対応があるはずだ。
 給排気ファンのところもそうだが、こんなところでガタガタ言っていたら、日本がリーダーシップを取れたはずの世界的温暖化対策が足踏みして、巷間言われる「消費者保護の皮を被ったアンチ行革官製不況」などとは比肩出来ない「技術盲目規制第一日本官製地球温暖化」になってしまうからね。
 当所ではまだ実装してないが2%程度のボイラー効率アップが期待出来る。その容易さと、今後の新設ボイラーの動向を予想して、産業部門460[百万トン]の10%のボイラーおよび事務所店舗学校など240[百万トン]の20%のボイラーに適用できるとすると、相当94[百万トン]排出のボイラーで同等の省エネが実現できこの2%が削減できるとして、2[百万トン]である。国全体の0.1%になる。
 ボイラー燃料のガス比率が不明なので弱気になった。

⑤ 冷凍機冷却水薬液注入変更による効率の改善
  冷却水薬注をスライムコントロール剤と、防錆・分散剤の2液化で、それぞれ適正に制御し始めたら、スライムの付着が激減しチューブ清掃直後の効率が何時までも維持できるようになった。
 途中経過でしかないが、2液化変更前後で冷凍機COP 0.05 程度の上昇が見られる。3%程度の削減が出ている。
薬効が何処でも同様に現れるのか、何時か耐性を獲得した微生物が出てくるのではないかなど、拡大には躊躇する点もあるが、とに角産業部門460[百万トン]の20%の冷凍機および事務所店舗学校など240[百万トン]の30%の冷凍機に適用できるとすると、相当160[百万トン]排出のボイラーで同等の省エネが実現できこの3%が削減できるとして、5[百万トン]である。国全体の0.4%になる。

⑥ 原発利用率上昇
  「東京電力・原子力運営管理部に緊急提言そのⅡ・始めに言葉ありき」「blogのツールを原発へ」「プレコーションマインドで原発を包め・支援警報の威力」等に既述の手法を徹底的に動員して、原発の信用度を高め、利用率を85%まで引き上げる。その分石炭の稼働率を引き下げる。
  2005年度の原発発電量は3,060[億kwh]である。
現在の原子力発電設備は4,800[万kw]であり、建設中は360[万kw]、建設準備中で2016年までに運開予定は700[万kw]となり、合計5,800[万kw]になる。これの利用率85%は4,320[億kwh]となる。
「定検日数などを勘案すると、85%は難しい」と言う声も出るだろうが、インターバルを伸ばすなど色んな手法を取り込む。電力には不退転の決意で望んでもらい、「東京電力・原子力運営管理部に緊急提言そのⅡ・始めに言葉ありき」「blogのツールを原発へ」「プレコーションマインドで原発を包め・支援警報の威力」等に既述の手法も縦横に取り入れてもらう。これにより原発技術に対する周辺住民の信頼度は大きく改善されている。もしかして、準備中の予定も周辺同意に関する限りずっと早まっている可能性もある。
 どうしてかと言う声に対してその既述の手法を簡単に再述すると、
① 作業員の労災撲滅に対しては、予定行動発声申告制を導入する。
  これは、隣接作業員とのコミュニケーション確立は言うに及ばず、発声行為そのものによって作業員の前葉頭が覚醒化し、周囲状況の危険予知と作業の精度維持に対する感受性が増大するため、従来のような不注意は撲滅される。
② メーカー技術員招致を拡大する。
  (色々不備のあるらしい)施工要領書首っ引きの作業でなく、餅は餅屋、メーカー技術員招致を徹底 (技術面に於ける、協力企業とやらの単独作業は信頼できないと言うことである) し、その蓄積された技能と「メーカーの看板を背負っている」というモラルから来る作業の緻密さを吸収する。
③ 強い権限を有する安全監視パトロール、防火監視パトロールを常時巡回させる。
  扱っている危険物の物性・危険指数を熟知して、ガス検知器なども携帯した防火監視員、作業安全知識を熟知した安全監視員を常時巡回させ、作業環境の点検、監督と作業者間の調整、飛込み作業発生時の周辺との調整など、強力な権限で防災、労災防止に当たらせる。
④ ユーザーオリエンテッドな警報システムを導入して、プレコーションマインドで事故・不具合をその前段で捕らえ、軽度の内に対処する。
  システムはユーザーが必要に応じて(必要な手続きに於いて全員参加で)平易に構築が可能、また不要な警報は出さないなど、事故時のオペレーターの対応が容易になる。
  また、レベルスイッチの不具合によるポンプ発停の不調による放射能水オーバーフローなど、プラントに良くある不具合も直ちに感知する。
  警報閾値に向かおうとするPV値をその前段で把握して注意を喚起する。  

 半信半疑の人も居るかもしれないが、詳細記述を読み返し、他に有効打があるか虚心坦懐にじっくり考えて納得してもらうとして、利用率が無事85%に行けば、原発電力は3,060[億kwh]から4,320[億kwh]へと1,060[億kwh]増える。
電力全体の消費量は今後省エネ家電などの普及で増えないとし、この分石炭が減るとすると、電源別のCO2排出量は975[g-co2/kwh]から22[g-co2/kwh]に減るから、
1,060[億kwh]×100,000,000[億kwh/kwh]×953[g-co2/kwh]×1/10,000,000,000[g/万トン]=10,100[万トン]と国全体の2005年度の 7.8%になる。(単位がこんがらかっちゃう)
 やはり原子力の脱CO2効果は定量的に大きなものがあった。要するに「2020年までの温室効果ガス排出削減目標を05年比15%減」などという目標を実現するには、EVでもあの程度だったから、原発は不可欠である。
 従って、上記原子力作業環境改善手法が納得できず、そんなことが出来るものか、そんな効果があるものかと思う人も、「2020年までのCO2排出05年比15%減」と言いたいならばこれを避けては通れない。実行あるように務めるべきである。さあどんどんやってみよう。
 もう一方で、「地球温暖化が大変だ。直ちに行動すべき」とアジっている人たちで、「原発運転反対」と言っている人たちがいる。例えば坂本龍一氏である。これも定量的に考えて矛盾だろう。さらに家庭のCO2排出量は多くないと言うことまでわかっていらっしゃる。
クリエーターとしての卓越した感性が地球温暖化の緊急性を感受し、また一方で原発運用の危機を感得しての止むに止まれぬ行動かもしれないし、若い頃の彼女.が坂本龍一のファンで、彼へのライバル意識でキーボードを始めたと言う経緯もあって茶々を入れている訳でもないが、「何でもカンデモ反対」としか聞こえない。

 フロン回収などに大きなウエイトを設定するのでなく、「CO2排出05年比15%減」と言えば原子力推進しかない。
 柏崎刈羽だけでも、全機稼動すれば、3,000[万トン] 2%強の削減になるという、第3者の計算もある。
協力会社の仕事抱え込みのためメーカー技術員の招致も少なく、「施工要領書」首っ引きの作業が時として十全の結果をもたらさず、不適合の連発と言う事態を招いていると言うのが、筆者の斜視で無ければ、これ程重要な電源の保守体制であるとの自覚薄弱な (だってそれが有ってこれだけ不適合が出たら、「恐れながら力不足です」または「メーカー技術員招致して下さい」と頭を下げるはずだよ) 「協力会社」とやらの、本社からの天下り重役の責任は重大だ。

 以上でしめて「CO2排出05年比13%減」と言う数字になった。エネルギー消費量の増加は見込んでない。誤差範囲としている。また本来DHCとしてエネルギー部門で括るべきだが、比率が少ないので、産業・事務所部門の何%としてそこに含んでいるものとする。
 ハッキリ言って数字遊びだった。そう上手く行くはずもないと言う見方も有るだろうが、半面実行の熱意があるかどうかにも掛かっている。少なくても新技術の実用化を待っているわけではない。ある場所において実際に実現されている事象である。
その意味で強力な牽引力さえあれば、進む。
 その他に細かいところでは、ポンプの出口弁を絞ってないか、などのチェックポイントがあるから、省エネ監査などで見る目のある人 (冷凍機の運転基準が紙切れに書いてあるかどうかなど運転管理手法ではなく、純技術的な省エネを) が見ていけば、いろいろの改善点に気付き、当ブログ以外の手法も一杯出てくるだろう。

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瞬時値によるボイラー効率計算(副題:だから言ったじゃないの)

[副題に関して]
 毎回気候の挨拶のようになってきたが、柏崎刈羽7号が75%まで出力が上がってきて同慶の至りである。
しかしその中でも不適合は発生し、今度は当blogで指摘しておいた項目が正しいと証明する事象が起きている。'09年5月25日、主排気塔から僅かな (測定指針に定める測定下限濃度に対し1/3以下の) ヨウ素が検出されたというものだ。
 調査結果、給水ポンプシール水戻り配管エアベントから復水回収タンク室への拡散らしい。
低出力運転時は給水ポンプ内圧が高く、内部水がシール戻り部に出やすくなったためと言うことであり、対策としてシール水圧を高め、ポンプ内部水がシール水戻り配管に混入する量を低減した。今回の事象は機器の故障によるものではないとの事である。
 これに対し当blogでは、'07年4月25日の6号機の給水ポンプシール水戻り配管ピンホールのトラブルに対し、「シール水の温度が高すぎはしませんか?給水ポンプ軸シール水量の管理方法をチェックした方がいいですよ」と言ってきた(東京電力・原子力運営管理部に緊急提言'09年4月14日上梓)。図示もして、更に支援警報の女の子などは「シール水流量を増やしてください」とまで指摘しているのである♪(blogのツールを原発へ'09年4月24日上梓)。やはり絞り過ぎのきらいがあるようで、温度管理も出来ていないようだ。
 だって温度管理が出来ていれば、「低出力運転時は給水ポンプ内圧が高く、内部水がシール戻り部に出やすく」なれば、温度も上がり傾向になり、シール水圧を上げる筈だから、自動的にヨウ素の混入も抑制される事になる。
 そう考えると原発でのここの温度管理は、軸シール部フラッシング対策に加えヨウ素放出抑制の意味でも重要なポイントであったことが判る。多分ちょっとでも進んでいる国内通常設備では、ここの温度を自動調節にしてあるところもあるはずだから、ラフなあちら製の原発設計思想を、そのまま後生大事にラフなまま運用している可能性もある。それとも自動調節はあったが、設定値をやたらあげ過ぎて、オフセットも大きく、宝の持ち腐れだったか?
 これに対し、blogの記述を読んで素直に運用を見直して是正していれば今回の不適合も不発だったはずで、折角注意してあげているのに勿体無い。
確かに「機器の故障によるものではない」が、部外者でも提起できる(ヨウ素の存在は知らなかったから、シール部軸端のフラッシングだけ考慮したので温度は高めに表現しているが、内部からのヨウ素の混入があるのならその段階で原子力プロフェッショナルとしての、更に一歩踏み込んだ検討・配慮が出来たはずだ。「シール水戻り温度は何度にするか→内部水の混入比率を幾つにするか→するとヨウ素混入は幾らになる、許容範囲 <測定指針に定める測定下限濃度以下であっても、あえて不適合として公表しなければならない範囲かどうか> か?」即ち問題提起である)、あるいはプログラムされた女の子でも指摘できる、機械の適切な運用管理方法に気付かなかったということになる。
 東電関係者の方、当blogに来訪されたら、ぜひ東電の人に教えてあげてください。他にも一杯参考になるものがあり不適合減少に繋がる可能性があるから。
 また、シール水の圧を上げてシール水戻り温度はどうなったか知りたかった。

[本文]
 さて、ボイラー蒸気量積算値の分解能が 0.1ton/1pulse と低く、1時間に1つパルスが入ると入らないのとでは、積算値による効率計算が大きく振ると言うことを「ボイラー効率あれこれ」「省エネの条件整備」等に見た。
これは、省エネマインド喚起の上でマイナスだから是非とも1桁上げたいところだが、薬品注入・ブローコントロールなどもその出力によっているため、変更するには関係者のちょっとした決意が必要である。「そこまでしてボイラー効率を管理してどうするんだ」というリタイヤ前の面倒くさがり屋の横槍も有るかも知れない。
 一方瞬時値の方は、アナログで連続的に変化する。例えばトレンドグラフの動きは、もっと細かく連続して動いているだろう。表示桁数は同じく 0.1ton/hだとしても、桁数制限は監視装置内で掛けてあるから、この桁数を上げてやれば細かい数値で扱える。
と言うことで、監視装置メーカーさんに頼んで各部蒸気流量は下2桁、各部圧力は下3桁に変更してもらった。項目ごとに設定してある表示精度を変えるだけだから直ぐ出来る。
 これにより、監視画面表示桁数は変わらないが、関連ファイルに書き込まれる桁数が全て細かくなった。

 「さあこれで、瞬時値を使えばもっと細かく効率が見えるだ筈だ。どうすれば良いか」と始めた。
今のところ些か竜頭蛇尾のきらいがないでもないが、途中経過としてみてもらおう。流れは次のようになる。
1.効率計算に必要な瞬時値を対比してみたが、運転状態がかなり変化していてそのまま入出力を割り算しても大きくばらつく。
  従って、有る程度の期間平均をとる必要があるようだが、その期間にも変化がないことを確認する必要が有る。
  効率が例えば負荷率により変化するとすれば、これが大きく変化していれば、何処の負荷率の時の効率か判らない。
  また、瞬時値採取の隙間のデータは反映されないから、平均算定に供する瞬時値のサンプリングも極めて細かくする必要が有る。
2.以上を見るために、排ガスロスを含めて入熱がどのように使われるか対比して、その時間的遅れを把握してみた。
3.一定期間安定運転が続いた場合の平均データで効率を計算した。上記は確認しただけ。「竜頭蛇尾のきらい」の所以である。

1.効率計算に必要な瞬時値を対比してみた。下は一例だが運転状態がかなり変化していてそのまま入出力を割り算しても大きくばらつく。
 当所のシステム上に残る(1日でペーパーアウトしてしまうが)最短データは5秒間隔である。これをベースに例えば蒸気量で見て見ると、下の通り変化している。
 瞬時値で計算すると言ったって、代表としてどのポイントを使うんだ?と言う悩みも出てくる。

Sb1_ton_hour

2.そこで燃料ガスによる瞬瞬の入熱がどのように使われるか対比して見て、その時間的遅れも把握しようとした。
  熱の出力としては、次の項目を考慮した。
① 蒸気による搬出熱量
② 給水温度補正量
③ 蒸気圧押上げ熱または蒸気圧低下の放出熱量
④ 排ガス持ち出し損失熱量
  これらを全て合計して、ガスによる入熱と比較する。

 各項目は具体的には次の式による。ダウンロード sb1effinst.xls (1005.5K)(内部セル書換にはダウンロード Steam97.dll (116.0K)ダウンロード ltbrfunc.dll (416.5K)必要)のセルを覗いて見てください。
また計算の時間を明確にするためdt=5secとした。
 入力は、
ガス熱量[kcal/dt]=ガス流量[Nm3/h]×5sec/3600sec×ガス低位発熱量[kcal/Nm3]である。

 出力は、
① 蒸気熱量[kcal/dt]=蒸気流量[ton/h]×5sec/3600sec×1000[kg/ton]×(乾き蒸気エンタルピー[kcal/kg]-60<給水温度固定>)
 実給水温度から加熱量を計算しても良いが、簡易計算の給水温度の値を使用し、その差を以下の式で補正することにする。給水時間遅れの要素を後々必要な場合計算に加味出来る様にするため別立てにしたものだが、夏場は兎も角この辺では定量的には影響無かった。
② 給水加熱補正量[kcal/dt]=蒸気流量[ton/h]×5sec/3600sec×1000[kg/ton]×(60-給水温度[℃])
 厳密にはブロー量を加えることになるのだが、少ないとして端折った。今回のデータでは60℃に対し殆ど変化がないので意味はないが、今後夏場の80℃近くの時に計算する場合も考慮して項目を残した。

 圧力変動吸収分は、
③ 飽和熱当量増分[kcal/dt]=貯水量10.9[m3]×1000[kg/m3]×飽和水エンタルピー[kcal/kg]の変動
 ボイラー圧の上昇下降による熱量の出し入れを加味する。当該ボイラーの標準水位貯水量は10.9[m3]であり、比重は1とした、蒸気分[kg]は少ないとして端折った。
まずSTM_sTp(圧力)関数により飽和温度を求め、これからSTM_sHtx(飽和温度,湿り度=1)関数により飽和水エンタルピーを求めた。蒸気関数の詳細は「Excel 関数 DLL」ページにある。
やってみれば判るが、そのままでは熱量が±に大きく振る。まずこの様な(5秒毎の区切りの)計算には圧力分解能が下3桁でも不足で、やむを得ず平均移動して中間値を得た。
 さらに、飽和水エンタルピーの出し入れもその瞬間瞬間に対応するものではなく、熱慣性や蒸発時間などでもう少し長期的な振る舞いをしているようで、前後7区分の平均移動とした。
この辺は熱慣性や飽和を挿んだ蒸発⇔温水間遷移のメカニズムにより今後数値の取り扱いの工夫が必要だろう。

 損失は、
④ 排ガス損失量[kcal/dt]=ガス流量[Nm3/h]×排ガス量比率[Nm3/Nm3]×5sec/3600sec
                              ×(排ガス温度[℃]-室温[℃])×排ガス比熱[kcal/]
 排ガス流量は一定でも良いが、13.7[Nm3/Nm3]~15.5[Nm3/Nm3]まで変化するので、排ガス02から実態の排ガス量を計算した。
詳細はsb1effinst.xlsの「燃焼排ガス量」シートにあるが、13Aガス組成のメタン・エタン・プロパン・ブタン毎に燃焼性生物を求め、また排ガス比熱も計算した。

13a

室温は25℃、排ガス比熱は0.33[kcal/Nm3]一定とする。
 排ガス損失は入熱の5%程度に止まった。この程度の出力時はそんなものかもしれないし、温度計の誤差、さらには温度上昇中であり安定すればもっと高くなるだろうと言うことも考慮する必要が有る。

 また他の伝熱・放射損失は一定かつ誤差範囲として計算しない。

 下図は上図の初期20分弱の間のON・OFF運転に対して、この様な計算を行った結果である。sb1effinst.xls の「瞬時データ」シート参照。
ガス量が殆ど99[Nm3]の低限リミットにかかり、入熱(ピンク)は1,335[kcal/dt]一定である。一方蒸気(藍)は1[ton/h]~1.9[ton/h]を変動しており、1,500[kcal/dt]を越える時も有る。

Sb1_kcal_dt
 
 入熱(ピンク)と蒸気(藍)の変動はボイラー圧(赤)の変化として吸収され、0.88[Mpa]で自動待機に入るが、その飽和水エンタルピーの変動は黄色であり、デコボコはあるものの殆ど蒸気変動を相殺していることがわかる。
排ガス損失(緑)もこの辺では70[kcal/dt]で比率は大きくは無い。
 これらの熱量を全て加算すると合計熱量(青)となり、これとガス入熱(ピンク)との差が伝熱・放射損失などであり微量のはずである。
この誤差を2乗して累計したものが、最終的にグラフに入るようにスケーリングしてあるので数値に意味はないが、誤差累計(細赤)である。これは後で使う。
 入熱(ピンク)と合計熱量(青)の差はしかし無視できるほど小さくは無い。入熱(ピンク)と蒸気(藍)の差は飽和水エンタルピーの変動で相殺しているといったが、まずこれがタイミング的にずれているように見える。
 これを合わせてみようと言う欲求が起こるのは当然であり、そこで圧力をベースにして全ての項目をシフトして対比できるようにしたのがsb1effinst.xls の「データシフト」シートである。
これを利用して出来るだけ誤差の少ない組み合わせを指向すると下図のようになり、累計誤差も半減した。点火中のピンクと青はかなり近づいている。

Sb1_kcal_dt2

 入熱(ピンク)一定下で、蒸気(藍)と飽和水エンタルピー(黄)の位相も一致したが、基本的な考え方に問題が内在しているようだ。
例えば非点火時に蒸発する場合(dt19辺り)は飽和水エンタルピーはもっとゆっくり低下した方が誤差は少なくなるが、点火中の蒸気増大時(dt226辺り)は飽和水エンタルピーはもっと早く低下した方が誤差は少なくなる。
ちなみに飽和水エンタルピー(黄)をさらに2倍(-8)ほど遅らせれば、下のように非点火時の誤差はさらに小さくなる(誤差の累積も少ない)が、技術的解明が出来てない現時点では単なるお遊びの類だろう。
 この計算方法について、熱慣性や飽和を挿んだ蒸発⇔温水間遷移のメカニズムを考慮したより正確な手法が編み出せれば、瞬時値による効率計算もかなり有意になってくるだろう。

Sb1_kcal_dt3

3.今までの考察はひとまず置いて、平板的に一定期間安定運転が続いた場合の平均データで効率を計算した。
 一定期間は15分(180dt)とした。安定運転とはその期間蒸気量が平均値に対して20%以上変化しないことを条件とした。供するデータは、完全停止を除いた5日間分で、29000dt、40時間分である。
このデータ群を180dtの間蒸気量が平均値に対して20%以上変化しないことをチェックして行って、パスすれば一つの区切りとして蒸気量、ガス量、給水温度などの平均値により効率を計算する。
 上の考察で飽和水エンタルピー変動の影響が大きい事が判っており、区切りの始端と終端の圧力同一条件を加味すべきだがそうするとデータ組数が殆ど無くなる。
やむを得ず圧力条件を付けずにカウントして40組である。即ち40時間の内15分の間蒸気変動が±20%内に収まっているのは40件と言うことである。
 結果は下図であるが、筆者から見れば分解能の悪い積算パルスで計算した効率の相関図より余程スマートに見える。
低いところの効率は高めに感じるが、個別計算では排ガスロスは排ガス温度が低い時は入熱の5%程度と言う計算も出来たし、当所ボイラーは「」でも触れたように徹底的に保温しているので、一定運転時の効率はこんなものかもしれない。
 5[ton/h]付近の高負荷では、ガス量440[Nm3/h]で排ガス温度が175[℃]以上になるから、排ガスロスは、
440[Nm3/h]×(175[℃]-30[℃])×14[Nm3/Nm3]×0.33[kcal/Nm3℃]≒295,000[kcal/h]となり、ガス入熱
440[Nm3/h]×9706[kcal/Nm3]≒4271,000[kcal/h]の7%となり、かなり効率引下げに働くから。
 従って暦日などの実運用の低効率は、発停、変動などによる効率低下要素が働いているものであろう。また缶水ブローによるロスもあるが、ここでは考慮していない。
データが多く扱えるようになれば、圧力変動無しのデータに限ってみよう。

Sb1_cop_inst

 ①~②項と③項の2つのアプローチについてはその手法が見えたと言う程度に留め、今後じっくり取り組んでみたい。

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ターボCOPと冷却水流量

 今まで「冷却水半減で省エネ?」から始まり「You've told me that a thousand times already.」「立体重相関図の最終機能」等で「吸収式の冷却水流量はCOP維持に関して重要ですよ。高い方がいいですよ」と言う言い方をしてきたが、ターボについての物言いではないので念のため。

当所のターボは(固定速度ベーンコントロール型・以下本 blog で同様)定格近傍一定運転で、冷却水流量も殆ど一定で運転しているため、この変動の影響は掴み難いが、じゃあターボの冷却水流量とCOPの関係はどうなのかを見て見る。

 その前に、原発に関して前回筆を置いて以降2,3の動きが有った事と、言い足らないことが有ったので稿を改めるほどではないが、先にちょっと触れたい。すみません。

 関係者の血のにじむ様な努力の甲斐あって柏崎刈羽7号機が運転再開の運びとなり、まずはおめでとうございます。
しかし慎重なスタートアップの最中にも色々な出来事が起こるようだが、どうしても通常設備運用との不可思議な乖離を感じざるを得ない。

 最初は圧力抑制プールの水位上昇警報で、水面が波立って水位の上昇傾向に気付かなくて水位下げ操作が遅れ発報に至ったもので、人為ミスだそうである。
人為ミスなら人為ミスでしょうがないが、それをカバーする態勢は出来ていないんだろうか。ちょっと可哀想な気がする。オペレーターが一人ポツネンと監視装置に対峙している訳じゃないよね。
 写真を見ると制御室には、多くの人が居るようだが、その時あの人たちは何をやっていたのだろう。廻りの同僚・グループ長・当直長などが、「圧力抑制プールの水面は波立つことがあるから、四方のレベル計の動きを見て、同じ様に変るようなら注意しろよ」とか言わないんだろうか。
あるいは「圧力抑制室の水位は安定してるね?」と訊かないんだろうか。訊くだけでなく自分でちょっと立って行って後から覘き見ないんだろうか。
「カバーする態勢」などと大げさに言わなくても、チームで仕事すると言うことはそう言う事だよね。
 「各自それぞれ緊張して張り付いているのにそれ所じゃない」と言ったって、より広い範囲を統括して見ている人は居るんでしょう?
 一人の人為ミスだったと言うなら、システム的に「防衛産業に緊急提言・営業コンサル・コンセプトは迅速・正確」のミサイル発射の誤報と同じ弱点があることになる。
緊急時の人間一人の判断なんか、かなりアブナイよ。そんなものに依存することしか出来ない原子力なら大変だよ。誤報はまだ誰かが修正できるが、こっちは操作直結だからね。
 また、「言われなくても当然2~3人のフォローはあったさ、それらを含めて人為ミスは免れなかったんだ」と言うのなら、最早何をかいわんやで、原子力をマニュピュレートするに足る陣容か否かが問われる。
 大体圧力抑制プールの波立ちはポンチ絵にも表現されている程でRCICS運転時の常態だとすると、平均移動や四隅の水位平均や慣性の大きなレベル計の採用など、正確に把握できるようにする当然の設備対応が出来てないで放置されていたことは、一方で2アウトオブ3指向等で「ゴージャス」に手厚くフォローされている計装設備万全完備の筈の現場としては如何にも片手落ちだ。
事後の再発防止対策でも、これを改良しようと言うモチベーションなど湧いてこないんだろうか。
お判りだろうが、当プログの支援警報システムはヒヤリハットを含むトラブル後の再発防止インセンティブもあるが、「可能な限り事前に対策しておこう」と言うモチベーションで追加されるウエイトも小さくない。これがプレコーションで、攻撃的運転管理指向。ロジック追加だけなら金も掛からない。
 「圧力制御室の水位変動の傾向をより詳細に把握し、水面の浪打を考慮しても水位が通常の範囲を超えないように、速やかに圧力制御室の水を移送できる準備・操作を行うことといたします。」これって「今までちゃんとやれてたのに、何だお前は╬。これからは充分気を付けろ。他の皆もだぞ」と、オペレーターに押し付けるだけで何もしないって事?
 また制御室の陣容に触れたが、極めて重要な時期だから、本社の偉いさんや保安院など役所関係者も詰めていたかも知れないが(大昔、筆者のいた現場で、監視盤とオペ机の間をうろちょろする見慣れない人が居るので、剛の者の先輩がマナー知らずな奴めと「おじさん、そんなところウロチョロしたら危ないよ」とクレームしたら、現場視察に来ていた本社の役員だったそうな۵♪)、そう言うシチュエーションだったら、当直長も部下掌握・設備把握の腕の見せ所じゃないんだろうか。
「厳粛な場面だから、そんなスタンドプレーに見られかねない言動をやれる状況じゃ無い」と言うのか「目立ちたがりだと、部下の総スカンを食ったら今後に差し支える」とじっとしているのか、同僚も「ライバルの失敗は蜜の味」と言うのか、以前の不具合の時も労災の時も感じたが、兎に角原発は相互コミニュケーションの気配が感じられない。本省の役所と同じ雰囲気。「グループの力を出し合って相乗効果で事に当たろう」なんてとても期待薄。「その時あの人たちは何をやっているのだろう」と言う疑問の所以である。
 事故の未然防止だ。上の話題は単なるジョークの類で、まさか無いとは思っているが、他人がどうこうの問題じゃなく、その能力を持った、あるいはそのポストに有る人が、必要な指摘・指揮を執るのは当然の責務なんだよ。

 2つ目主蒸気止め弁のラッチ圧力については、弁ステムのカップリングクリアランスも見ながら調整するんだろうが、かなり繊細な、本来はメーカーの熟練工によるものの筈だが、「今回の定期検査において、当該主蒸気止め弁の弁体の作動範囲の調整をした際、施工要領書の記載に不十分な点があったことから、弁体が弁箱に押し付けられ、弁棒に引張力が生じたため、・・・」等という報告記述を見ると、殆ど素人に毛が生えた程度の技工達が施工要領書と首っ引きで格闘しているシーンが目に浮かぶ。
 今回の一連の復旧工事にメーカーの十全の協力が得られなかったのか、あるいは重役天下り先「東電協力企業」が仕事抱え込みで、メーカーには「作業要領書だけ作ってくれ、後は俺達でやれるから」と言ったものの、重量物相手にかつ極めて繊細な精度が要求される作業ニーズを理解できず、それ程高度の技能者を集められなくてやっつけ仕事を繰り広げ、ボロがそこいら中で噴出したものか知らないが、今までのトラブル原因にも「施工要領書の記載に不十分な点が、」と言うclichésが多く見られることから判断すると、後者もあながちまるっきり間違いではないようだ。
 だとすると、これらは当然起こるべきして起こったものだと言うことが出来る。メーカー(または熟練工)の作成した施工要領書だけ見て、素人(熟練未満・素人以上)に充分な作業が出来るわけがないからである。それが可能なら技術の継承などで苦労するわけがないんだよ。
「俺達のノーハウを持って行かれる」と言う心理的抵抗も記述内容に影響するだろうし、要領書で作業する技工がどの程度の技量か不明だからある程度のレベルを想定するだろうし、「ここの部分のコツは不立文字!身をもって覚えるしかないんだよ╬」と言うのも多いはず。
下のゼロ調だって「ロックペンをしなさいとまで書く必要があるの?そんな奴達にこの仕事やらせるの?」と言われる可能性だって有る。
 また「当該系統が通常操作で停止できない事象が起こった」とあるが、主蒸気止め弁が閉まらなくても加減弁は閉まってタービンそのものは停止したはずですよね。であれば単なる「主蒸気止め弁閉動作不良」であり、でなければ加減弁作動不良・シート漏れなどもっと大きな問題になる。この辺の表現もちょっとあやふや。

 給水ポンプ調整弁開度計のゼロ点ずれなんかはロックペンキなど緩み防止がしてあれば絶対ずれない。シビア―な原発でそんな基本も出来てないなどということは、本当に不思議でしょうがない。
従って、別な思いも頭をかすめる。
 一つは、サボタージュ活動の存在である。今回のゼロ点ずれ、過去のジーゼル燃料の漏れ、電源パッケージの飛び出し等は、技術的には「サボタージュがあった」と言われた方が余程スッキリ納得できる。反原発グループか某国工作員か?極秘裏に捜索中?
もう一つは、「木は森に隠せ」の類である。殆ど重篤でない事故報告書を時々連発しておくことで、本物のクリチカルなトラブルが起こった場合に同等視させて危機感を希釈してしまおうというやつである。筆者の斜視かもしれないが、報告書の画一的対策・ルンルントーンはこちらの可能性を示唆している。
 ・・・これで片付けようとしたが、よく考えると弁の振動は差圧が大きい時が大きい。ポンプ吐出圧と炉内圧の差圧も子弁を使っている時の方が大きいはずだ。
開度発信器が同様システムだと子弁のゼロ調の方が緩む可能性が高いんじゃないか。これに触れて無いと言う事は、「子弁も問題ないか見る必要が有る」と言う水平展開が全く出来ないか、子弁の方は緩み対策がしてあったが「『親弁のが緩んでいた』だけで済まそう۵」。
即ち、親弁のゼロ調緩み対策忘れと言うことになり、この辺が微妙にぼかされている。

 運用で言い足らなかったことというのは、「アナログマインドの効用」である。
原発の不具合撲滅に、プレコーション思想に裏打ちされた支援警報を推奨し、かつプレコーション思想にはアナログマインドが重要だと言ったが、別の観点からも見て見る。
労災対策で「発声行動申告による前頭葉の活性化で労災撲滅」とも言ったが、オペレーターの前頭葉の活性化にはアナログマインドの喚起が一番である。
 要するに、このプロセスバリューは1分後10分後1時間後にはどうなるかを、常に予想する癖を付ける。最初は上がるか下がるかだけでも良い。そして結果が違っていれば、何故間違ったかを詰めていくと、「この物性はこんな特徴があるんだな」とか「この制御系はこんな特性になるんだな」とか「これだけキャパシティがあると時定数はこんなになるんだな」とかプロセス特性が判って来る。いざと言う時の不具合回避操作に有効に演繹または帰納できる。
 警報を受身で待つのではなく、思考回路が活性化し、能動的に、攻撃的にプロセスに対峙できる。
支援警報ロジックの追加の必要性に気付けば、不具合への移行初期のトラブルグレーゾーンにあるうちに網を掛けて待っていられる。監視はシステムに任せっ放しで一時忘れているとしても、ロジックをセットしたことはメンタリティは能動的に待つと言うことである。
 これに対し「デジタル指向」で、おしきせの警報発報後の対応動作だけ熟練しても事故時の度胸は付くかもしれないが(これも昔話だが、プラントが全停して、警報がピカピカフリッカーしだしたら、「何かしようとして慌てて2次災害を起こさない。とに角何もせずタバコを一本吸うのがかっこいいんだ」と言う言辞が膾炙したことがある)、そこは些か常態を逸脱したゾーンだから通常の監視操作に活かせる部分は少なく、不具合回避は不如意で、何時まで経っても警報が発生する事態は止まないということになる。
ましてや一度立ち上がったら何時までもフラット運転が続き、通常運転中はあまり発報がないとすれば、プロセス応動特性を身をもって勉学するチャンスは限られるから、ごくたまのスタートアップ操作でボロボロと出てきてしまう。今の実態はこのせいもあるんではなかろうか。
 「シミュレーターがあって定期的に訓練している」と言う反論もありうるが、シミュレーターなるものによる研修の大半はスイッチの入り切り、機器の発停順序のシーケンシァル教育、即ちそれこそ「デジタル」であって、アナログPV値に対する操作のフィードバックがまるで実機であるかの様に感得出来るというのは少ないのではないだろうか。
ここで言っているのは、PV値がさもそれらしく(制御棒を抜くに従って徐々に温度が上がってくる程度の)動けば良いというもんじゃない。実機と同様の感度幅・時定数で変わってくれなければ、返ってオペレーターに変なインプリントをしてしまう。
 制御系のPIDは発電ユニットにより異なるから、プロセス特性も異なることを勘案すれば、シミュレーターはユニットのスタートアップルーティーンを勉強するための導入教育用には有効だが、プロセス応動特性の感得は実機でのOJTに勝るものは無い。
全てのPIDのテーブルがあって、一括差し替え可能で、福島第一1号・柏崎刈羽7号コースと言うようなメニューが取り揃えられていれば使えるだろうが。
 またスタートアップルーティーン業務だけじゃなく事故対応の訓練も出来ると言うかも知れないが、基本想定事故は兎も角、今日本の原発で起こっているような不具合事故を訓練項目としてシミュレーターにセッティングするのは、並大抵じゃないだろう。

 さてお待たせしました。本旨に入って、ターボのCOPに対する冷却水流量の影響に行こう。
 冷却水量の変化幅が少ないので極めて計り難い。
更にスライムの影響がチューブ清掃以降の運転時間で効いてくる事が判っているので、その中で狭い冷却水量の変化幅によるCOPの変動を捉えようとすれば、自然2液化後のフラットな条件が不可欠であり、ある意味で2液化後の現時点に至って初めてターボの冷却水量の影響を云々する環境になったと言える。
 メーカーさんが工場テストでやるならどんなことでも出来るだろうが、こちらは実営業機での許容変化範囲で調べるしかないんだから。
 
 TRは325m3/h~345m3/h程度の範囲で振っている。6%の変動である。
これは冷却水本管の差圧およびストレーナー差圧により変化する。前者は冷却塔10セルの内幾つが開いているかにより冷却塔の差圧が変り、合計の冷却水量が幾らかにより、母管の圧損が変る。これらにより冷却水流量が影響されるからである。
 説明変数の取り方は、ターボCOP= f (製造冷熱量・冷却水温度・冷却水流量)とする。説明変数3個の、当ブログで言うところの4D重相関図になる。
 ツールとして、ここのところ何度も使用しているarcopcmp.exe(with glut32.dll) を使う。これは今まで2つの3D相関図対比用に特化したものとして使用していたが、4D重相関図も作れる。
データは ダウンロード tr_COP_ColWtrFlow.xls (246.5K) の 「TR」「DTR」シートにある。例によってワンクリック丸々コピーマクロも有る。

 tr_COP_ColWtrFlow.xls の 「TR」シートを開いて、データ群の枠内を正確にコピー (または「丸々コピー」を押す) して、arcopcmp.exeの相関Ⅰシートの中央のテーブルを右クリックして「clipbrd_copy」を選択すると、データが呼び込まれる。
②③と押すと相関図が作成される。
 出来た相関図は説明変数として冷却水流量が拾えず、2変数だけの式になっているから、相関Ⅰシートに戻ってトリム条件を変える。
時間変動の少ない落ち着いた部分のデータを採用するためトリムの変化率を全て10%とし、また極端に冷却水温度の低いのがある様だから下限を23℃にして、再度②を押すと1148件残るので③を押す。

Tr_trim_2 

 今度は3個とも拾ってくれたようだ。曲面軸作成選択の一番下をチェックしてTR-CoolWtr_Flowで曲面軸を作成すると、350.17m3/h~324.00m3/hまで4つの相関曲面ができている。左方向が負荷率低方向、上下がCOP、奥行きが冷却水温度高側である。
冷却水流量が増えるとCOPが上がる。上と下の差は流量で約25m3/h、COPで0.2である。定性的には吸収式と同じ動きである。

Tr_result

 データドットの大きさ。光線の当て方、色彩なども変えて判りやすくしてみて下さい。

 続いてダブルバンドルであるが、340m3/h~385m3/hまで変化している。10%以上の変動である。
これには訳があり、温熱製造時に温水温度高で冷却水ポンプがバックアップ起動するとき、冷却水温度制御が効いていてバイパスとメインラインの両方の調整弁が開くと、ポンプ定格の380m3/hを大幅に超えて450m3/hにもなることがあるので、温水時期は流量を絞るため、冷専時の冷却水も絞られたままだったからである。
 温熱製造時の冷却水温度制御とは、冷却水ポンプがバックアップしてもあまり温度を下げず、温水出口温度への影響を出来るだけ抑制するように、高温冷却水を冷却水入口部に戻し一定温度を維持するため、バイパスラインを設けているものである。
 とりあえず、TRと同じ要領でやってみる。トリムの変化率を全て10%としたら、冷専のデータとして637件残ったので③を押す。
出来たのは下図である。冷却水流量との関連は採れたものの、影響は少ない。また影響が少ないことによるものだが冷却水流量とCOPが逆の方向になっている。

Dtr_result

 おかしいな、冷却水流量を上げた時の状況は下図の通りで、冷却水流量にあわせCOPは上がっているが、冷却水温度の影響がかなり大きく、それに隠れているようにもみえる。

Dtr_flow_up

 データ採取の方法・期間・2液化時期との絡み(ターボとは温水製造期間分異なる)、温水が熱当量として隣に存在することの影響など、何らかの影響があるのかもしれないが、今のところ不明である。もう少しデータを蓄積、吟味してみる。
吸収式でもやったように外からデータを眺めているだけでは駄目で、ターボの内部理論・構造まで入っていく必要もありそうだ。

 なお、tr_COP_ColWtrFlow.xls のシートと同様な様式・順序でデータを揃えられれば(小数点以下の数列は10倍100倍してください。相関曲面作成に失敗することがあります)、2変数(3D相関図)でも3変数(4D相関図)でも計算できるので、色んなデータ解析に利用してください。新しい世界が広がり、思いもよらなかったデータマイニングに成功するかも知れません。

 一例として、後日気付いたが現在データ蓄積中の「スライム抑制による冷凍機効率の改善」に関し、2液化後の冷却水温度の吸収式COPに対する影響度合いが、緩和されているようにも見える。
下図は左方向が冷却水温度高方向、上下がCOP、奥行きが負荷率高側であるが、青の2液化後の方が、冷却水温度方向の傾きが緩やかである。即ち従来に比べ冷却水温度が高目でもCOPは高めに維持されているように見える。
 まだ充分なデータ個数ではないから確度は高くないが、2液化は冷却塔の弱いプラントにも明朗となるだろう。

Ar1_cltmp_gradient

Ar2_cltmp_gradient

Ar5_cltmp_gradient

 総合効率吟味における冷却塔電力と冷凍機効率の対比関係が変ってくるから(湿球温度が上がって、冷却塔に余り負荷を掛けなくて冷却水温度が上がっても、それなりの冷凍機効率を享受できるから)今後のフォローが楽しみである。

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インバーター化するなら冷水ポンプがお勧め

 冷却水流量を下げることを目論んだ、冷却水ポンプのインバーター化は色々と問題のあることが予想され指摘したが、実際に起こっていた
 「揚程のオーバースペックで出口弁がやたら絞りまくっている。絞った弁の下流側の侵食も心配だし、この圧力ロスだけでも何とかしたい」「冷却塔の入口弁を一様に絞りまくっていたことに気付いたがこれが開けられる目処が付いた。または冷却塔の更新で低ヘッド差のものが入るが、しかし、このままだと冷却水ポンプ出口弁でまた絞る事になる。何とかこの分省エネ出来ないか」と言う揚程主体の場合は別だが、冷却水流量低下による電力削減主体のポンプのインバーター化の一見美味そうな話には乗らないほうがよそさうだ。
「インバーターは流量も揚程も区別しないで効いてくるじゃないか」等と言うロンパリの反論は無しね。推奨する論の定性的メリットの主体が流量か揚程かと言う訊きかたなんだから。えっ、「揚程メリットなんか計算していない」?じゃあ「冷凍機低負荷で冷却水量を絞ったら、全量で置いておいた時よりどの位効率が下がるか」や「低流速でのスライム成長が早くならないか」等には当然触れてもいないんだろうね。

 冷却水量と効率の関係をビデオで見てください。




 冷却水ポンプに対し、じゃあ冷水ポンプはどうだとなるとこちらはそんな問題はない。さらにじっくり系統を吟味すると、さらにインバーターのメリットを享受できる要素もありそうだ。
 そのポイントは何かと言うと、冷水環圧力が冷水加圧タンクで加圧されている場合である。
冷水往圧力は往温度と共に供給規定の要であるから供給規定にも明記され、役所報告項目でもあり厳格に管理されているが、環圧力は供給規定に明記されていても報告項目でもなく、些か継子扱いされている。
 省エネの観点から言えば、往圧力は運転裕度を持たせてそのままに維持するにしても、環圧力を供給規定に抵触しない範囲で上げることが出来れば、冷水差圧が下げられることになり、ポンプ動力が減る。
もともと冷水ポンプのインバーター化は揚程を (+圧力ロス分を) ギリギリ絞って電力を下げようと言う (客先の冷水流量を勝手に絞ろうとは出来ないはずだから) 冷却水より控え目 (冷却水のインバータ化そのものが強気すぎた) なものだが、どうせやるならここまで検討すれば、その効果を充分に引き出せる。

 当所の冷水熱交2次ポンプ2台がインバーターで、関連計量点は次のようになっている。

Chx_p_count_2 

なお、圧ロス低減+1,2次間TD低減のための熱交常時並列運転については「What's gonna go wrong? その2」「熱交並列運転による合理化試験」「続報」参照。
○ ポンプモーター入力は、(冷水熱交1次ポンプ1台+2次ポンプ1台)セットで2系統あるがポンプはそれぞれ交互に切り替わるから、4台分グロスで見なければならない。1次ポンプだけ取り出すわけにも行かない。分解能は1パルス10kwhである。
○ 冷水差圧は、下2桁であったが変動幅が小さいため、下3桁に変更した。
 これで、ここ4ヶ月2889時間のデータをトリムして1119件の熱交1,2次ポンプ4台動力= f (熱交2次流量・冷水差圧) を相関計算すると、
[CHX_Pkwh] = 44.763 + 9.7390E-5 × [CSCR_DP]^2×[CHX_Flow]  となった。全寄与率は 0.85160である。
図の右手は差圧高方向で原点はずっと左、上下は熱交1,2次ポンプ4台電力、奥行きは流量大方向の3D相関図である。電力の離散的な事見てください。省エネのためにはもっと細かく設定しましょうね。

Chx_pkwh

 相関を実際にやって見たい人は、例によって2つの3D相関図対比用に特化した共通のツールarcopcmp.exe(with glut32.dll) を使う。
データはダウンロード chx_dp_kwh.xls (231.0K)に入っているから、データ群の枠内を正確にコピー (作業の軽減を期して、ボタン一つでコピー出来るマクロを用意してあります。押して下さい) して、arcopcmp.exeの相関Ⅰシートの中央のテーブルを右クリックして「clipbrd_copy」を選択すると、データが呼び込まれる。
 ②のtrimボタンを押す前に、電力の変化幅を10%にしておいてください。電力パルス数の同じものを残すためです。③と押すと相関図が作成されます。

Trim_2 

 データの分布により自動スケーリングで、図は右端にあるから、視線を後進させ、シフトして持ってきてください。データが判りにくい時は、Ctrl_Panelの右下の水平トラックバーを右にすれば、データドットが大きくなり見やすい。光線の当て方、色彩なども変えて判りやすくしてみて下さい。

 一方当所の冷水供給圧は実質0.83MPa(以下全てTP-17.2m)、冷水環圧力は0.46MPa、冷水差圧は0.37MPaで運転されているが、許容冷水環圧力変動幅の真ん中を狙うと、冷水差圧0.28MPaで運転しても良いことになる。
上記式に、実際のその時の冷水差圧と、0.28MPaを代入して全期間比較したのが下図である。ピンクの合計は年間680,000kwh、青は年間546,000kwh、その差は134,000kwhとなる。

Chx_pkwh_year

 外挿の範囲で心配だからチェックすると、1次2次ポンプの比率は設備容量的には1対2.4であるが、運転時間・負荷率等の関係 (2次側は状況により2台掛かることも多いが、1次側は殆ど1台運転など) から平均電力的には1対4位の比率になっているとすれば、この差は差圧の変動によるポンプ動力減とほぼ同等と言えないことも無いが、1対4位と言うのはドラスティック過ぎて差圧の影響を過剰評価した結果になってしまっているようだ。
精々が100,000kwh程度かも知れないが、それなりの経済性ではある。

 680,000kwhの内2次側ポンプ分で冷水差圧変動による減効果を受ける分=555,000kwh
 680,000kwhの内1次側ポンプ分                          =125,000kwh
 冷水差圧変動による2次側ポンプ減結果動力                  =420,000kwh=555,000kwh×0.28/0.37
 総合動力                                        =545,000kwh

 省エネ検討のため、計量の仕方もこんな苦労をしなくても良いように大型で定量的に意味の有る設備動力は個別に分離しておきたいね。だってずっと小さな設備の動力もマニアックなまでに計量しているんだよ。
 また、当所の小型冷凍機AR-5の冷水ポンプもインバーターであるが、モーター最大実動力80kwに対しパルス分解能が10kwと低く、相関計算で差圧は拾ってくれなかったが、年間動力が78,000kwhであるから、20,000kwh程度の削減は出てくるんだろう。
これを合せて全ての吸収式の冷水ポンプの年間動力は883,000kwhであり、全てインバーターだったとすれば、同様の処置で200,000kwh電力が削減される計算になるが、食指は動かない。
 なお、これらとは異なり余談であるが、インペラーカットした1,2号機冷却水ポンプの年間動力は570,000kwhであり、きっちり10%の動力削減結果が出ているが、年間57,000kwhの削減に止まる。
 何れも稼働率の低いものは金の掛け甲斐がないね。

 ところで、冷水還圧力の操作は、果たして自分達だけがよがって勝手にやってよいものだろうか?「プレコーションマインドで原発を包め」では、「今思い描いている系統の少なくても向うの閉止弁から、こちらの閉止弁までの間をイメージしろ。出来れば閉止弁の向うも意識しろ」と見栄を張ったが、この場合はどうなるんだろう。
 客の冷水使用形態としては、次のように①冷水熱交経由で空調負荷に供給。②DHCの供給圧で空調負荷に供給。③高層用ブーストアップポンプを設置して空調負荷に供給。の3ケースを考えると、それぞれに対して戻り圧を上げた時の影響を考慮しておかなければならない。

Surge_tank_2 

 勿論供給規定や覚書で範囲が規定されていて、その範囲での変化なら、必要な場合客先へのご挨拶だけで大手を振って変更できるだろうが、それはソフトの話であって、物理的には戻り圧の上昇および差圧の減少は、その変化するところを定性的に把握して置かなければならない。
①の冷水熱交経由の場合には、調整弁がアップアップしてなければ、吸収出来るだろう。
②直接供給の場合にも、空調負荷の必要差圧を充分維持する範囲なら可能である。
③高層階負荷用にブーストアップポンプを設置して、戻り圧突合せ調整のため戻り圧力保持弁がある場合は、当然その1次側圧-圧力保持弁最低差圧以上には上げられない。またその1次側圧も流量によって変り、夏場下がるから、じっくり客先事情を観察する必要がある。

 以上は、規定の範囲で変化する場合だが、更に積極的にその規定を変更して省エネを目指そうとする場合はどうなるか。
当所はインバーターが少なく、規定を変更までする程のモチベーションは沸いてこないが、大半の冷水ポンプがインバーターというヘビーデューティ (この言葉は今まで畏敬のニュアンスで使っていたが、ここではお金があるんだねと多少揶揄のトーンも込めて使わせてもらう) な所はもっと頑張ろうと考えてもおかしくはない。
また、「コンサルの甘い話につい乗せられて、冷水ポンプと冷却水ポンプ一緒にインバーターにしたが、冷却水流量が下がったお陰で冷凍機の効率が下がり、更にスライム成長で効率低下のダブルパンチを受け、何とか汚名挽回でそこらじゅうの差圧をぎりぎり切り詰め、インバーターのメリットを享受する必要がある」というところは、積極的にやりたくなるだろう。
 この場合どうすればよいか。
① の冷水熱交経由の顧客に対しては、「省エネのため差圧を小さくさせてください。御社熱交2次側もΔTが余り取れてないようですが、増段ポンプ投入時期の見直しなど、もう少し負荷に対してポンプ流量を下げれば省エネになりますよ(前後は全く無関係なのは承知。単なる話題提供)」とか何とか言えば、やらせてもらえるだろう。「省エネメリットは、どうするの?」と切り返されれば、何とか答えてください。
② 直接供給の顧客に対しては、「空調負荷の必要差圧は当然維持します」と言うか「多少差圧が割り込んでも、自動的に負荷制限が掛かり、御社の省エネの手助けにもなります(殆ど屁理屈の類だと判っている)」と言っても良い。
③ 高層階負荷にブースターポンプを噛ませている顧客に対しては、これじゃ済まない。図を見てもらえば判るが、戻り圧の上昇による差圧の減少は、戻り圧力保持弁の差圧減少になるが、ブースターポンプの揚程のウエイトが大きくなる。言い方を変えれば、「その分うちが頑張ってやってる事になるんじゃないか?還圧力上昇分の半分でも供給圧を上げてくれたら、うちも省エネになるんだが」と言われかねない。上①項の最後と同じである。
 客先のブースターポンプがインバーターかどうかによって定量的には違ってくるだろうし、客先が多ければ纏まりが付かないが、「時節柄DHCと客先と設備の総合的見地から、過大なポンプ運転・過剰な圧力設定があれば協力して互いの省エネに努めましょう」という話の持って生き方はあるだろう。
 冷水ピーク時以外の差圧低減(需給点圧力制御のことではなく)分の配分の話だって在り得るのではないか。

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スライム抑制による冷凍機効率の改善(速報)

 1ヶ月に亘って原子力の勉強が出来たのは、この間冷却水薬注2液化後チューブ清掃後の吸収式各号機の運転実績をひたすら蓄積していたからである。
2液化については工事費は別にしても、当所省エネマターの大きな一つ、保温強化 (当所では殆ど工事費ゼロ) に肉薄 (薬品メーカーさんの説明による薬品費削減も取り込んで) する経済効果の可能性が出てきたので、自然身が入ってくる。
 恵比寿近傍から、「冷却水ポンプもインバーター化したが、当ブログが指摘したような問題を惹起して思うようにメリットが出ていない」と言う話が漏れ聞えて来るが、もしかしたらこのアイテムで幾許かの失点回復の余地があるかも知れない。(ところでコンサル会社は何処なんだろう?)
スライム抑制で、下がった効率も多少は持ち直すだろう。経営が更なる追加投資を前向きに受け止めてくれるかどうかは別だが。
 駄目な場合はどうするかって?しょうがない。冷却水量は絞らないことだね。冷却水半減で省エネ?」「You've told me that a thousand times already.」「You've told me that a million times already.」などを読んでください。冷熱製造量が低下しても冷却水は全量あるいはそれ以上に維持する。スライムも付き難く、冷凍機の効率も回復する。
流量低減相当分の動力削減は諦めざるを得ないが、少なくても冷却水ポンプラインの絞りは少なくなった筈 (出口弁絞り制御→INV制御) だから、この優位点を徹底して享受できるようにする。
 まさか、冷却水ラインの何処かの弁がまだ絞ってあるなんてことはないだろうが、冷却塔入口弁なども水の分配の均等化を狙いすぎて一様に絞ってあるなんてことが無いように、絞りは必要最低限にする。とりあえずは全部開けてみて、本当に必要なところだけ絞る。
そうすると、ポンプ揚程に関する限り、INV化のメリットを享受できるようになる。
今後は、この様な点も考慮してオリフィスで行くか超音波・電磁等の低差圧流量計で行くか、設備費と運転費を比較検討するんだね。流量が大きいと圧ロスも馬鹿にならない。
 次稿でポンプ揚程低減のみによるINV動力減の実例をみるので楽しみにしてください。流量は冷却水の10/1以下の例であるが。

 さて本旨のスライムに戻る。内容はちょっとあちこち跳ぶがページは細切れにしないで一括して見てみる。オリエンテーションは、

1. スライムは経過日数によって成長するのか運転時間によって成長するのか
 冷却水薬液2液下での運転実績を前年度と対比しようとしてふと浮かんだのが、「比較するのは、チューブ洗浄後の時間経過か運転時間か」という疑問である。
 運転中に微生物の搬入があるとして、冷却水停止後もチューブ内に止まったままスライムとして成長する事もあるのだろうか。それとも冷却水と共に微生物が常時持ち込まれる運転中でなければ成長もないのだろうか。
即ち「効率を対比させるのは、チューブ洗浄後の同じ経過日数どうしか同じ運転時間どうしか」と言うことである。
 これは、何処かに知見やスライムメカニズムから解き明かした説明が在るのかも知れないが、探す暇と伝が無いので、COPデータから読み取ってみる事にする。

2. チューブ清掃前の吸収式の効率比較
 チューブ清掃半年後に2液化した。この頃以降はスライム成長度合い(効率低下度合い)はサチッたように見えるが、チューブ清掃後半年経った後でもスライムの成長度合いに差があるかどうか。

Ar_slime

3. 純然たる2液化後に於けるチューブ清掃後の吸収式の効率比較
 チューブ清掃で状況をリセットして、純然たる2液化後のスライム成長度合い比較。但し現時点で、3台、2,3ヶ月、50時間強の比較に止まる。

 全ての場面で2液化前後の比較が必要になるため、共通のツールarcopcmp.exe(2つの3D相関図対比用に特化したもの。glut32.dll要) を使う。
データだけそれぞれ idea (当所ではいよいよ病膏肓に入り、監視装置更新後データが valid になった、2006年5月1日から現時点までの1,100日超えの時間データを全て idea のリソースにして130Mbyteの実行ファイルを操作している。リソースのコンパイルは1分掛かるが、以後の検索が極めて速く快適である。) から選択された運転データを ダウンロード tr_cmp.xls (1022.0K)ダウンロード ar_cmp.xls (242.5K)ダウンロード ar_after_cmp.xls (81.0K)としてアップロードしているのでそれを選んで copy してもらう。
 1.であれば、各時期のデータはtr_cmp.xlsに運転時間別(hour)、経過日数別(days)に入っている。
 tr_cmp.xlsの比較したいデータ群の枠内を正確に (正確にセレクト出来ない۵ という人、面倒だと言う人のためにも、ボタン一つでコピー出来るマクロを用意してあります。どうですこの至れり尽くせり) コピーして、arcopcmp.exeの相関Ⅰシートの中央のテーブルを右クリックして「clipbrd_copy」を選択すると、データが呼び込まれる。②③と押すと相関図が作成される。
 続いて対比したいデータを同様に相関Ⅱシートの中央のテーブルに貼り付けて、②③と押すと相関図が作成される。
相関Ⅱシートに戻って「相関Ⅰ・ⅡCMP」が enabled になっているので押すと、両方が対比される。
 今までのページでもそうだが、一々言われたとおりの作業は面倒だと思うかもしれないが、汗をかいた人はそれだけ年○M\の省エネのネタを獲得することになる。騙されたと思ってやってみて欲しい。あちこち埋め込んであるビデオを見てインセンティブを掻きたてても良い。

 それではやってみよう。

1. スライムは経過日数によって成長するのか運転時間によって成長するのか
  データ:「ダウンロード tr_cmp.xls (1022.0K)
  →ターボで見ると、運転時間が経過日数にほぼ比例するため、峻別出来ないので判り難いが、2者択一を迫られればスライムは運転時間によって成長すると見た方が正しいと思われる。
2. チューブ清掃前の吸収式の効率比較
  データ:「ダウンロード ar_cmp.xls (242.5K)
  →効率でみると、全て同様に効率が上がっている。スライム成長の時定数が長いのか、上の理由もあるのか判らない。
3. 純然たる2液化後に於けるチューブ清掃後の吸収式の効率比較
  データ:「ダウンロード ar_after_cmp.xls (81.0K)
  →データ数が少ないが、2液化の方が2とほぼ同等の差で高効率である。機器によって効果が異なるが、2.と3.での傾向が似ているので結果はそれなりに評価できると思われる。

 具体的には以下の通りである。

1.スライム成長は経過日数によるか運転時間によるか

 吸収式の効率は負荷率・冷却水温度により変るため扱いにくいが、ターボはその点比較的シンプルだった。この命題に対しては、ターボのチューブも吸収式のチューブも銅だから定性的には同じに扱えると仮定して、ターボの動きを見てみることにした。
とは言うものの反面、ターボは毎年同様の運転パターンであり、運転時間と経過時間はほぼ同様の関係にあり、かなり分離しにくいが、取りあえずオリエンテーションとして、洗浄後次の洗浄までのCOPの変化を、90%以上運転時間経過(≒運転時間経過)と、単純経過日数の両方を係数として比較してみた。下図である。
 上は運転時間とCOPの対比、下は経過日数とCOPの対比である。一見区別も付かないが上と下のどちらに統一が取れているかと言う見方である。
 よく見ると、春秋でスピードが変るように見える。とすると全体での比較ではなく、2組ずつの比較となるからサンプル数が少ない。やむを得ず、監視装置更新途中の18年3月洗浄に対応するその後の4月20日以降(その前のデータは invalid である)のデータも追加してみた。

Tr_cop_hour_days

 この状態で比較すると、秋(黄色と黒の移動平均)については、両者に差は見られない。
春で比較(赤19_3、水色20_3、紫18_3)すると、赤と水色の比較は運転時間を取った方がよさそうだ。水色と紫は有意差は無いから逆に赤19_3と紫18_3は経過日数で見たほうが近いとなり、どうも甲乙付けがたい。これだけでは判らない。

 そこで、例によって冷却水温度を加味した3D相関図の登場である。
比較には、2つの3D相関図対比用に特化したarcopcmp.exe(with Glut32.dll)を使う。
各時期のデータはtr_cmp.xlsに運転時間別(hour)、経過日数別(days)に入っているから、比較したいデータ群の枠内を正確にコピー (作業の軽減を期して、ボタン一つでコピー出来るマクロを用意してあります。押して下さい) して、arcopcmp.exeの相関Ⅰシートの中央のテーブルを右クリックして「clipbrd_copy」を選択すると、データが呼び込まれる。②③と押すと相関図が作成される。
 続いてtr_cmp.xlsの対比したい(当然、運転時間どうし・経過日数どうしである)データを同様にarcopcmp.exeの相関Ⅱシートの中央のテーブルに貼り付けて、②③と押すと相関図が作成される。
相関Ⅱシートに戻って「相関Ⅰ・ⅡCMP」を押すと、両方が対比される。
 これを、運転時間どうし・経過日数どうしプログラムを2つ同時に実行して、解像度の大きいモニターなら2つ比較できるだろう。データが重なって判りにくい時は、Ctrl_Panelの右下の水平トラックバーを左にすれば、データドットが小さく重なりが少なく、分離しやすい。光線の当て方、色彩なども変えて判りやすくしてみて下さい。
 なお、このデータの日時は、連続した単なるダミーなので気にしないで下さい。
 
 これによって運転時間どうし経過日数どうし比較すると次のような観察ができる。
図は全て上方向↑COP、右手方向→時間経過、奥行き↑冷却水温度高側である。
なおここでの論議は、「スライムの付着が運転時間につれて成長するのか、運転停止にかかわらず経過日数につれて成長するのか、データの傾向はどちらに近いか見てみる」と言う2者択一だけの論議であるから念のため。
① 19_3と20_3の比較では、経過日数で比較すると中にぽっかりと空洞(実は上図で判るが、20_3のデータは180日程有るが、tr_cmp.xls がアップロード制限に引っかかって140日に削減せざるを得なかった。180日分だと水色はそのままの値で右に流れ本当に空洞が出来上がる)が空くほど乖離が大き過ぎるから、運転時間どうしの方がより妥当と思われる。

Tr_19_3_18_3cop

② 18_9と19_9の比較は、フィギュアー上余り有意差は指摘しにくいが、運転時間どうしの方が全体的にデータが締まっていて、両方のデータも絡み合っていて関連性が深いようにみえる。時間要素の寄与率の増分も運転時間の方が大きい。

Tr18_9_19_9cop

③ 18_3と19_3の比較も②と同様であるが、更に、平面図の赤19_3と紫18_3は経過日数で見たほうが近いと言う点に関しては、3D図で18_3の冷却水温度一定の方向から見ると殆ど有意差は無い。冷却水温度バラツキの影響である。従ってあの疑念は消えた。

Tr18_3_19_3cop_2

 これは以前はターボの冷却水温度にもそれ程注目しておらず、変動幅も大きく効率的にもばらついていた時のものである。
現在は吸収式の冷却水温度管理が徹底し、両者の運転時間も重なりまたは近接していることから、その影響でターボから見れば高め安定の冷却水温度となっている時もある。
 ターボの23℃台、時には22℃を下回る冷却水温度実績は、大幅低減可能性を示唆しており、吸収式の低減限界を探りつつ、または運転タイミングの縁が切れれば更に低減する方向で、省エネ待ち行列に入れてある。

Tr18_3cooltmp

④ 19_3は途中で10日余り運転の無い期間がある。短期間の事で言いにくいが、この間で特別低下したようには見えない。(この辺りは冷却水流量の変動は無い)
  要するに運転時間か経過時間かと言う選択ならば前者となる。
また停止1ヵ月後に効率が回復しているように見えるが、これは何か意味があるのか判らない。

Tr19_3cop

 以上の通り、相関寄与率の微少差を含め、それぞれは弱いながら運転時間か経過時間かと問われれば全て前者となる状況を示している。

2.チューブ清掃前の吸収式の効率比較(チューブ清掃半年後に2液化しているが半年後以降の成長に影響あるか否かの比較)
  図は全て上方向↑COP、右手方向→負荷率大、奥行き↑冷却水温度高側であるが、視線は冷却水によるCOP変化一定方向から見ている。また赤は2液化前、青が2液化後である。相関曲面および元データの分布でも確認できるように両方表示してある。要するに青の方が高めに分布しているだろうと言うことである。
またAR-3は当然冷却水流量全量同士で比較したものである。

Ar1_slime_cop

Ar2_slime_cop


Ar3_slime_cop

Ar4_slime_cop_2 

Ar5_slime_cop_2


 プログラムarcopcmp.exe(with Glut32.dll)で見る場合は、1.と同様に、
各号機のデータがダウンロード ar_cmp.xls (242.5K)に before⇔after として入っているから、比較したいデータ群の枠内を正確にコピー (マクロが生きれば、ボタンを押してもよい) して、arcopcmp.exeの相関Ⅰシートの中央のテーブルを右クリックして「clipbrd_copy」を選択すると、データが呼び込まれる。②③と押すと相関図が作成される。
 続いてar_cmp.xlsの対比したい (当然、同一号機であろうが、物理的には何でも可) データを同様にarcopcmp.exeの相関Ⅱシートの中央のテーブルに貼り付けて、②③と押すと相関図が作成される。
相関Ⅱシートに戻って「相関Ⅰ・ⅡCMP」を押すと、両方が対比される。
 相関計算結果より、自分の目で見て確認したいと言う人は、相関曲面ⅠⅡの表示チェックを外して、データーのバラツキだけで青が上の方に分布している事を確認してください。

 この間の比較において、負荷率・冷却水は説明係数だから他の差異は冷却水流量・冷水出口温度ぐらいであるが、大きく影響するほどは変わってない。他の違いは当然2液化の有無ぐらいである。
アングルは冷却水によるCOP変化一定方向から眺めているが、青の2液化後の方が高めに分布しているのが判る。COPも全ての冷凍機で0.04程度高めである。
 これは、チューブ清掃後暫くしてからでも、2液化の方がスライム成長が抑制されていると言うことであり、運転停止にかかわらず一様にスライム成長があるにしても時定数が長いか、下図のとおり上の1.の結論が正しいかどちらかであるが、ターボは半年前にCOP低下が止まっていること、またCOP改善量が下3.のCOP改善量とほぼ同等であることから、やはり上の1.の結論が正しいと思われる。

Slime_model
 

3.純然たる2液化後に於けるチューブ清掃後の吸収式の効率比較(3台、2,3ヶ月、50時間強の比較)

 1.で、定量的には運転時間同士での比較がより正しいらしいとなっているが、取りあえずデータが出始めたところの対前年比較をやってみる。
 データはar_after_cmp.xlsにあるが、扱いは上2.と同じである。
また図のディメンションも2.と同じであり、色調も赤が2液化前、青が2液化後である。青の方が高めに分布している。

Ar1_after_cop

Ar2_after_cop

 なお、AR-5の2液化後のデータは37個で、特に冷却水温度低側のデータが無いので、相関曲面対比ではクロスしてしまうが、データ分布では青が上方に分布している。

Ar5_after_cop

 また最新(5月22日まで)のデータで他号機と同様アングルでは下図のようになる。データ数は50個。差は平均的に0.06と評価できる。

Ar5_after_cop


 機器によって効果の程度が異なっているようだが、2.と3.での傾向が似ているので結果はそれなりに評価できると思われる。
 データ数が少なくまた1.項の結論も無視している (厳密に比較していない) ので定量的な比較は憚れるが、COP上の改善は上2.とほぼ同等、「Don't count your chickens before they are hatched.」ページで見た値の2倍はキープしているようだ。折角だからちょっと強気で0.05upとしてみよう。
 「強気」は筆者の何時もの大風呂敷故ではない。ちゃんと理由がある。2.の比較はスライム成長度合い(効率低下度合い)がサチりかけた後で2液化したものの比較であり、3.の比較はチューブ清掃直後の両者ともクリーンな状態での比較である点である。これらの比較で上のような値が出るとすれば、0.05upと言うのは控えめである可能性さえある。
何れにせよこれは速報であり、何れ充分なデータが蓄積された暁にはじっくりとお目にかけよう。勝負はやはり7,8月である。

 当所では92,500GJ/年を吸収式で製造しており、現状でCOP差1.385→1.435で蒸気量は1,000ton/年弱の削減になる。小さな数字ではない。
吸収式でエンタルピー662kcal/kg→90kcal/kgを使うとして、これを効率100%のボイラーで製造し途中のロスも無いとすると、ガス量は572kcal/kg×1,000ton×1,000kg/ton÷9706kcal/Nm3≒59,000Nm3となる。今のガス料金で計算して大変な額になる。
 これに「You've told me that a billion times already.」ページで見たターボのCOP改善を加え、薬屋さんの言う薬品費での削減が半分でもONされれば、当所での設備工事費は2年で元が取れる計算になる。薬効が持続するとしてだが。
 貴プラントでは1,000tonの蒸気製造に幾ら位掛かるんだろう。但し、水質上当所と同等の2液化効果が生じるかどうか保障できないから専門の薬屋さんに相談してください。

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防衛産業に緊急提言・営業コンサル・コンセプトは迅速・正確

 営業コンサルシリーズ第2弾である。
 北朝鮮ミサイルの発射誤報を生じたが、当 blog に既述している、支援警報システムを直ちに立ち上げて、コンセプトは迅速・正確で売り込んだらどうですかという防衛産業に対する、営業コンサルである。

 今回の誤報は、
「千葉県の空自のレーダー「FPS5」が日本海の何らかの航跡を探知し「スパーク・インフォメーション」となり、総隊司令部に伝わった。
受けた総隊の隊員が米軍の早期警戒衛星も探知したと勘違い「SEW(早期警戒情報)入感」を加え、別の隊員経由で防衛省地下の中央指揮所に伝わった。
そして官邸危機管理センターで、その音声をモニターしていた同省連絡官も「発射」とアナウンスし、政府通知となった。」
と言うものである。

 事前の、マスコミ報道の自治体の伝達訓練で、「10分で来ると言うミサイルの情報があんな手法で有効に伝わるのか」と懸念していたが、警報発信側の体制も似たり寄ったりで「素早く素早く」で突っ走ってしまったわけである。
 今回の騒動に際しては、PAC搬送車が電柱にぶつかるなどいやな予感がしていたが、警報発信体制にも目的達成のためにはシステム的にかなりの問題が内在していることが判った。これらは殆どお笑いの世界ではないのか。
 自衛隊のシステムは、監視がマイクロ波レーダーになり、伝達がデジタルパルスとなって一見高度化したと信じているようだが、メンタリティーは殆ど「敵艦見ゆ」に始まった頃と変わっていない。
 これは有る意味、長年防衛庁に多額の納品をしてきた防衛産業の怠慢である。実戦の評価にさらされない自衛隊システムが、機能のスキルアップのインセンティブなどは望むべくも無く、破壊力や解像力やボーレートなどのハード仕様の数値だけの改善が機能向上だと誤解されてきたツケが廻って来たのだろう。
 実戦の評価にさらされないと言うことは、評価は自称プロ達の独善だけであり、自分達が汗水流して稼いだ金ではない気安さも手伝って、どこかから鼻薬を嗅がされると、次期主力戦闘機の対抗機種比較機に旧式機を持ってきて議論を誘導することなど朝飯前のお茶漬けである。
 さらに、守屋某などの暗躍騒動はそれさえ無い、インテリジェンス・レスのスラプスティックコメディである。一般隊員に罪は無いが、幹部がそんな体たらくの組織に国が守れるのか?

 当 blog に既述している支援警報システムの、「複数のアナログ・デジタル入力とアンド・オアー・ディレイ条件でロジックを組む」「ロジックの組み替え・追加・削除は素人が1分以内」と言う特徴を生かせば、全電力の原子力で「タービン起動前にバイパスが閉まった事に気付かない」などと言う事が一切無くなるように、今後2度とミサイル誤報は起こらなくなる。
 勿論、入力情報は遙か遠方から来ることになるが、それこそ得意のリンクで難なく伝達できるだろう。
 遠回りになるが、当所の運転支援警報システムの触りを紹介する。

 手前味噌になるが、当所のオペレーターは昔とった杵柄、技術屋としての矜持を維持し続けている。彼ら自身は特に意識して無いがプレコーション行動は素晴らしいものがある。
 配管塗装膜の下地の小さな変色から、ピンホール前兆を発見したりする。これは若年者だがこれには筆者も驚いた。
出入りのメーカー作業員に「外したボルト類は高所の鉄骨の上に並べずに、ちゃんとバケツに保管しろ」「鋼管足場を、薄いどんがらの吸収式の本体から組上げていったらだめだ。組み立て前の350Aの鋼管を何本も乗せるんだろ?場所が無ければ上の鉄骨から支持しろ」など、他人のプレコーションまで気を使っている。(しかし、こう言うのを教える人が居なくなったのか。当人達も考えないのか)
 また「むこうのCGS冷却水ポンプの運転号機により、もって行く冷却水量が違う。多分逆止弁の動作不良だ」と連絡し、正にそのとおりで、たまに停止号機が逆転していた、と言うような事もある。
更に、CGS停止後暫くしても、還水返送ポンプ停止してないことを発見。CGS側に連絡し給水ラインの漏れを発見させたということもある。要するに「こういう状況の時は機器はこういう運転になっているはずだ」という観点で監視しているから、それに合わない事が起こるとおかしいとなる。勿論この程度は考えなくても直感で気付くはずだが。
 また、ターボベーン制御用のリレーの接点が焼き付いて交換したが、リレー動作を解析して「ベーン駆動電流をここでonoffしている。そんな必要は無い。こういうシーケンスに直したら、頻繁にonoffしてもここで電流を切らなくなるから接点消耗もなくなるはずだ」と回路を変更した。1年様子を見ているが再発は無い。
 このような彼らの、ノーハウと言うかプレコーションの観点での意見でユーザー独自の警報ロジックを設定し、軽度のうちに対処し不具合に掛る負荷軽減を図ったものが支援警報と読んでいるものである。(運転支援PCで動作させるからそう呼んでいる。何の芸も無い)
 下図は、ダウンロード ann.xls (23.5K) の24~38行目に相当するロジックで、あの読込みだけで自動的に作図してくれる。追加削除1分である。プログラムは運転支援警報である。
 ディレイ・プリミティブの動作進行状況も表示している。
 勿論音声告知である。(アップロードプログラムには無し)

Ann

 防衛産業の大メーカーさんならこんなのは1晩で出来てしまうだろう。「ソースをあげるなんておこがましい、もっと立派なのが幾らでも作れる」とあざ笑うだろう。そこに落とし穴があることに気付けないから。
 そういう人が、前に「これは長年防衛庁に多額の納品をしてきた防衛産業の怠慢である。実戦の評価にさらされない自衛隊システムが、機能のスキルアップのインセンティブなどは望むべくも無く、破壊力や解像力やボーレートなどのハード仕様の数値だけの改善が機能向上だと誤解されてきたツケが廻って来たのだろう」の端的な例である。
 「技術スペックの進歩と、運用ソフト面の進歩の強調が取れてない」と言い変えると何を言いたいか判ってくれるだろう。
 こんなツールは、コンピューターソフト的にはなんと言うことは無い。高校生のプロコン以下である。しかしそのことだけで評価して、安心、勝ったと思って。実現場でそのツールの稼動したときのポテンシャルに気付きもせず、また理解もできないと言うことは、ハード仕様の数値だけの改善だけが全てだとしてシステム運用の一面だけしか見えていないと言うことである。

 パソコン1台で出来るんだから、現場、総隊司令部、中央指揮所、なんなら官邸危機管理センターにも同様に置いておけばよい。ロジックは事前に関係者論議済みだから、進行状態を見て各自が納得しながら状況判断できるだろう。
何処へでも置いてと言うと、「情報には need to know の側面がある。全員で情報を共有する訳ではないんだ」と言うロンパリの反論も有りそうだが、need to know と言うのは、確度の高いインテリジェンスが、上から下に向かうベクトルの言葉なんだ。現状は下から上への need to unknown または need to misinformation じゃないか。(語呂合わせだけに拘泥していると言うのは承知の上だからね)
 これにより、伝達ルートに介在する唯一人の人間の勘違いで、国全体が赤っ恥をかき、「この程度の奴等が我が渾身のミサイルを迎撃する心算だって?」と金正日に笑われなくても済むようになる。
と言うより、迅速・正確の人一倍要求される「大」防衛省に、この程度のシステムさえ実用になって無かったんだよ。驚愕に値する。
 「システムとは名ばかり、何処でも見る陳腐な警報ロジックじゃないか」と言われるだろうが、その程度のものさえ配備されてなかった事は紛れも無い事実である。

 また女声の音声告知には、メンタル的観点から、期待以上の効用が有るかもしれない。
緊張した野郎共の上ずった声でなく、智的で落ち着いた低い声に、更に軽くエコーを掛けた静かなトーンの警報が、間接照明で柔らかく照度を抑制した厳粛な中央指揮所の、ダイナミックレンジの大きいアンプ(例えて言えばSONYのCelebrityⅡだね)で駆動される、天井埋め込みスピーカーから静かに流される時、誰だって、それを正と判断するか、誤報の可能性に思い至るか、事前のロジック検討と合わせ、冷静な判断が可能だろう。
 (いや、音声について言えば、酩酊気味ハイトーン・キンキラホンキートンク、ファンファーレ付きの方が好みだな。どっちかと言うと「キャーッ♪、キムジョンイル・ミサイルよ、イヤーン」)

 それは兎も角、今回の誤報騒動で一つ評価するのは、原因が直ちに出てきたことである。
勿論何時までも「調査中」で逃げる事が許されない事態ではあったが、原子力の「タービンバイパスが閉まっていた。閉まってしまった原因は調査中」などとはダンチの早さである。
 なぜ早いレスポンスが良いのかと言うと、内容によるが、早ければ早いほど技術的に信用できるからである。
時間をかけて出てきた「原因」は、間違いなく、現場でない中央の管理部門の手垢が付いている。「そのまま出したら差しさわりがあるから、こういう事にしておこう」と言う鳩首会談を経るのである。
 今回もその類だろうと思っていたら、原因が単純だったからか、とてもカバーしてやれないと言う即断か、直ちに出てきたので見直した。
 機械のトラブルについて言えば、複雑な事故は別だが、プロの技術屋なら不具合箇所をちょっと見れば、大体、直ちにあるいは短時間でその原因が判る。
時間が掛かるのは、例えばCTが焼損してしまって焼けた残骸から2次側オープンの形跡を顕微鏡で探さなければならないような場合ぐらいである。即ち破断面の粒界検査などに時間が掛かる場合である。あるいは機械畑ではないが菌の培養に時間がかかる場合ぐらいである。
 「タービンバイパスが一斉に閉まった原因」は、事前に開いていたのを確認していてそれが正動作 (開いていても良い時に開いていた) なら、①誤操作か、②接点不良か、③高インピーダンス部へのノイズまたは誘導による閉動作か、④制御開度を折れ線で設定してある場合であって、そのテーブルが書き換わっていた位しかない。
①や④なら直ぐ判る。③などは原子力で起こってもらっては困るが、バイパス弁閉動作のタイミング (記録が残って無いなんて言わないよね) と同じ頃起動した補機あるいは操作記録を調べれば判ってくる。②は関連リレー・スイッチの動作チェックを何度かやれば再発するだろう。
 また、上の前提が正動作でない場合は、まさか無いと思うが、開閉コネクターが別あるいは180度対称などで、挿し込み間違えの可能性がある。何れにせよその気になれば1日以内で目処が付くはずである。
 後は「官庁への速報に何処まで盛り込むか」を決めれば、正式報告期限まで内容は管理部門 (もしかして技術素人?) の自由裁量である。

 今度から、速報で「原因調査中」という場合、どの辺に時間が掛かっているのか、詳細報告が遅い場合、どの調査に時間が掛かったのかを併記してもらえば、純技術的に必要不可欠な時間が掛かったのか、他の余計な鳩首会談に時間が掛かったかが良くわかり、技術的な信頼度が明確になってくる。
 勿論、「なぜ技術的に正しい結果を公表しなければならなんだ(一見辻褄が合ってれば良いじゃないか)?もともと設備を知らない外野が『技術的に正しい結果』を知ってどうしようと言うんだ?」と言う反論は成り立つ。
こちらが『技術的に正しい結果』を知りたいのは、そのような重大設備をマニピュレートするに相応しい組織陣容を擁しているかどうかを知りたいが為である。
 またぞろ「空気抜きの失敗による、制御棒の不要動作」など、ミスオペに類する話題が聞こえてくる。数年前から「制御棒の不要動作」は喧しいが、同じ話題が続くと言うことはユーザーもメーカーも、同種不具合に対する水平展開も何も出来てない (ここで「いや、今回のは過去のトラブルとは、それぞれ微妙なところで違うんです」と言われれば、それこそ水平展開も出来ない危機管理マインドの欠如を露呈したことになるが) と勘繰ってしまうから。
 勿論「相応しい陣容かどうかわかってどうするんだ。これが実態なんだからしょうがないだろう。お前に大会社を創設して相応しい技術陣を集める器量があるのか」と言われればそれまでだが。

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Don't count your chickens before they are hatched.

 前々稿で、冷却水2液処理化でスライム抑制効果が表れ、ターボの効率低下が極端に少なくなったのを見た。

2wtr_tr

 こうなると吸収式も見てみたいが、残念ながら2液化の効果を享受できるタイミングに来ていない。

2wtr_ar

 そこで逆に考えて、吸収式がチューブ洗浄後どのように効率が低下していくか眺めることにした。これが幾らか抑制できるとすれば、それが2液化のメリットとしてカウントできる。
現段階でそれをやるのを「取らぬ狸の皮算用」と言う。

 まず最初に、はっきりと効果が表れたTRの3Dカーブが作れるかやってみた。
TRは殆ど定格運転だから、COPに影響するのは後は冷却水温度だが、これを無視して作ったのが上図であった。これを取り込むと、TR_COP=f(清掃後運転時間・冷却水温度) となる。
 清掃後運転時間は上記カーブの前半、即ち3月1日~9月9日の運転時間1880時間を数値にしただけで代入し、冷却水温度とあわせてトリマーで1650組になったので、これらとの相関を取って、
TR_cop=5.505-0.0231745*(sqrt(清掃後運転時間))-0.00003763*(冷却水温度^3)、寄与率=0.772となった。
 フィギュアーは下の通り(exe実行には glut32.dll が必要)であるが、当然ながら冷却水温度高側に傾いているだけ(「F1」でぐるっと廻すと判る)で、グラフと同様の動きとなっている。この方法で他の吸収式も見れるかもしれない。

Tr_slime_3d

ダウンロード slimecop_tr.exe (615.0K)

 但し、吸収式は負荷も振るからこれも取り込んで、
AR_COP=f(清掃後運転時間・製造熱量・冷却水温度) とする必要がある。即ち4Dとなる。

 取らぬ狸の皮算用だから、普遍的妥当性を見るために全ての吸収式について、チューブ洗浄後のCOPの推移を見るだけでなく、補完として効率と反対の関係になるはずの高再溶液濃度も見てみた。
 時間軸方向でみた全号機の4D図とプログラムを掲示する。

Timecop_ar1
ダウンロード slimecop_ar1.exe (873.0K)

Timeltbr_ar1
ダウンロード slimeltbr_ar1.exe (876.5K)

 プログラムを実行すると、曲面軸はCoolTmpで作成されており右手が時間経過方向となっている。



Timecop_ar2
ダウンロード slimecop_ar2.exe (876.5K)

Timeltbr_ar2
ダウンロード slimeltbr_ar2.exe (878.5K)

 相関式に疑義があったら、曲面表示のチェックを外せば元データの分布だけが眺められて、納得するか否かは読者の自由になる。

Timecop_ar3
ダウンロード slimecop_ar3.exe (873.0K)

Timeltbr_ar3
ダウンロード slimeltbr_ar3.exe (869.5K)

 AR2のCOPが非常に僅かな時間軸変動であることと、AR1のCOP一部条件以外は全て時間と共にCOPが低下する傾向となった。但しCOPに対する寄与率は0.5程度、高再濃度に対する寄与率は0.9以上である。

Timecop_ar4
ダウンロード slimecop_ar4.exe (871.0K)

Timeltbr_ar4
ダウンロード slimeltbr_ar4.exe (872.5K)

 特に、AR3のCOP、僅かだがAR4のCOP、AR2,AR4の溶液濃度には、TRと同様の清掃直後に指数的に低下する傾向が拾えている。

Timecop_ar5
ダウンロード slimecop_ar5.exe (889.5K)

Timeltbr_ar5
ダウンロード slimeltbr_ar5.exe (890.0K)

 AR1のCOPは、ごく低負荷でかえって効率が上がるカーブになっているが、該当データも少なく無視できるだろう。

 また面白いことに、AR3の高再溶液濃度は時間を長く取ると、時間の影響を拾ってくれず、130時間(1ヶ月)でようやく時間方向の動きが捉えられた。
寄与率が0.96であることもあり、半量運転の影響で早期にスライム付着、効率低下が表れていると言うのは考えすぎかな?偶然かな?
 「冷却水流量半減で省エネ」と言う人の感想を聞いてみたい。

 洗浄直後と、時間経過後のCOPの差は平均的に0.05程度であると見える。
 強気か弱気かの判断は任せるが、2液化により通年で平均0.02のCOP改善があるとして、当所は年間約96,000GJ吸収式で製造するから、蒸気量500tonの削減となる。
 薬品メーカーさんの言い値どおり薬品費の低減があるとして、更にターボの効果を併せて、2年強、薬品費の削減が無くても3年で転換工事費の元が取れることになる。
微生物の耐性が出来ず、薬効が持続するとしてだが。

 *** 立体相関図と glut32.dll について ***

 本稿に初来訪の方のため、改めて立体相関図について説明しておく。

 当blogでは機器の特性を把握するため、3D,4D,Duo3D立体図を縦横に使用しているが、これはOpenGLという手段を利用し、遠近法パースペクティブとピック機能により、関係を詳細に観察できるだろうという目算である。
 DirectX の方が図柄が綺麗に出るが、汎用性からOpenGLを使っている。簡単に使えることもあるが。(省エネでやることが無くなったらDirectXに行ってみよう)
 3Dは COP = f ( 冷却水温度 ・ 機器負荷率 ) 等のように、図示するには簡単な関係を表すが、4Dと言うのは、COP = f ( 冷却水温度 ・ 冷水流量・冷水DT ) 等のような、そのままでは3次元空間では表せない関係を、(離散的)相関曲面軸と言う軸を導入することにより、擬似的にもう1次元追加して表現したものである。
これは3つの説明係数を同等として扱うため、どれを相関曲面軸にするか選択できる。データもこれに対応した色分けになる。
 Duo3Dとは、同じ単位系の2つの3D相関を対比する機能である。これにより2つの機器、2つの時期、2つの運転パターンの特徴の比較が出来る。

 これらを実行するために glut32.dll が必要であり、貴PCに無ければ何処か適当なディレクトリーに、本体と一緒にダウンロードするか、一度、パスの通った「C:\WINDOWS\system32」等に置いておけば、平易に本 blog の省エネアイテムの膨大なライブラリーを閲覧することが出来るようになる♡。
 どんなライブラリーかって?以下に説明と、ビデオもあるので併記して幾つか例示する。

ダウンロード ctdf18fy.exe (802.5K)
冷却塔性能3D図  137回
 冷却塔ファン電力 = f ( 冷却塔入熱 ・ 湿球温度冷却水温度差 ) で、湿球温度-冷却水温度差が少ないと急激に電力が必要となるのが判るから、湿球温度が高い時は無暗に冷却水温度を下げるのは止めようとなる。

STARWARS_NEW_DIMENTION 再生39回
デューリング線図に垂直に結晶温度軸を追加した3D図。
その上に、冷媒サイクル、溶液サイクルが描画されている。
吸収式の冷却水温度、負荷率、冷水出口温度等運転条件を変化させて、蒸発器、再生器など各部の運転ポイントがどのように変化するか見え、「うん、効率が良くなるのも当然だな」と言うのが判る。

吸収式溶液結晶温度3D図
 吸収式臭化リチウム溶液の結晶温度 = f ( 負荷率 ・ 冷却水温度 ) である。
負荷率を下げれば、結晶温度に裕度が出来るのではないか。また冷却水温度も同傾向であるが、冷却水温度低下が結晶と結びついていることは確かなので、高再入熱が急に下がったなどで圧力が下がり、温度が低下するまでに溶液濃度が上がって、結晶に至るなど、変動の影響が大きいのではないだろうか。

吸収式4D性能図  102回
吸収式COP = f ( 冷却水温度 ・ 冷水流量 ・ 冷水DT ) の相関で、負荷率による効率の変化(低負荷率→高効率)と言う場合の負荷率は、冷水流量と冷水DTどちらから来るか見てみた。
両方とも同程度に影響するように見える。

吸収式4D性能図冷却水流量     再生回数 72
上と同じに見えるが、吸収式COP = f ( 冷却水流量・冷却水温度・負荷率 ) の相関で、冷却水流量がCOPにどう言う風に影響するかが見える。
「負荷が半分になったら、冷却水流量も減らせば省エネになる」と言うのは本当ですか?と言う疑義である。「それで低流速でスライム付着が起こったら、目も当てられませんよ」とも言っている。

吸収式Duo3D図冷却水流量対比    再生回数 68
同一冷凍機の冷却水流量による効率の差を冷却水全量/半量の3D図の対比で見ている。
上記と同様の趣旨である。

冷却水流量・溶液濃度・COP 再生回数 58
通常の冷却水流量の変化幅の範囲の狭さでCOPの変化が捉えられるかやってみた。上記と同様の趣旨である。
定格の10%程度の触れ幅でも効率が振っているのが判る。冷却水半減したらどうなるんでしょうね。

プラントCOPダブルバンドルターボ    再生129回
 プラント日COP = f ( 吸収式COP ・ 冷水熱交製造熱量 ・ 温水熱交製造熱量 ) の相関。
プラントの日総合COPは、吸収式冷凍機COPに比例して上昇するのは当然ながら、更に冷水熱交製造熱量および温水熱交製造熱量が増えれば増えるほど良くなる。
前者はターボのCOPが高いこと、後者はダブルバンドル温水の有効利用だから当然のことであるが目視に訴えるため作ってみた。

ダウンロード idea6.exe (25314.0K)
ダウンロード idea7.exe (903.5K)
ダウンロード idea10month.exe (36510.0K)
本 blog のメインツールである。管理日報用Rawデータから、直ちに3D,4D,Duo3D立体重相関図ができる。各種操作があるため、ビデオ化出来てない。
データがリソースになっているものは、cocolog のアップロード制限引下げで、今後データは更新できない。

ダウンロード integrator2p.exe (775.0K)
ダウンロード integratorpickp.exe (778.0K)
OpenGL10基搭載プラント性能シミュレータ 再生139回
idea で作成した、当所機器の性能を全て網羅したツールである。
プラント運転をシミュレートしており、冷熱・湿球温度・冷却水温度・各吸収式負荷を自由に調節して、各機器の運転ポイントがどう変化するか、プラント原単位がどう変るかが直ちに判る。超弩級ツール。
 

ベアリング探傷3D-FFT   再生回数 72
 省エネ番外であるが、牽強付会に「これにより機器の異常が早期に判っており合理的に対処(本体に合わせて、ポンプベアリング交換など)できれば、大事にならずに(プレコーション)無駄な労力が不要となり、その分省エネに力がシフトできる」としている。

 また、これらのデータがバラつき、寄与率も低く出るのは、「効率管理に必要な蒸気計測分解能」「省エネの条件整備」などで指摘した蒸気量などの分解能の低さも大いに影響している。ちゃんとしたデータ管理環境で作成すれば、もっとすっきりと纏まるだろう。

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You've told me that a billion times already.

 久々に「暁の啓示」があった。
目覚めに、うつらうつら「今日はターボのチューブ清掃があるな」との想いが浮かんできて、「前回同様ヌメリが有るんだろうか」→「いや2液化したから少ないかも」→「そうだCOPの動きを見てみよう」となった。(しかし、何も仕事のことを考えながら目覚めなくてもいいじゃないか)
 「最近ターボの効率がチューブ清掃後と変らず高めで推移しているな」と意識していたせいもあるが。

 それに行く前に、表題を済ましてしまおう。
冷却水半減で省エネ?」以降「thousand times」「million times」でしつこく指摘してきた、冷却水流速とスライムの関係の知見を少しだが見つけたので、今まで「These are theories and not evidence.【将軍達の夜、ピーター・オトール】」と思っていたコンサルさんに紹介する。
 以下は、日本冷凍空調工業会の、JRA-GL-02-1994「冷凍空調機器用水室ガイドライン」にあるので、ご存知の方も居るだろうが、4.5(2)(b)項に流速とスライム付着として「初期付着誘導期における流速とスライム付着量との関係」が図示されている。
スライム付着の進行は初期付着誘導期、対数的付着期、安定付着期とあり、初期付着誘導期における付着量は、流速1.5m/sで2.5mg/dm2・month、1.0m/sで4.9mg/dm2・month、0.5m/sで6.8mg/dm2・monthだそうである。(防食剤:リン酸塩-亜鉛塩系100mg/l、チューブ:STB340 16mmφ)
 単純に、定格流速2m/sで1mg/dm2・month (そのままスライドして0.5mg/dm2・month とも読めるが) だとしても、流速が半減して1m/sになった場合、初期付着量は5倍になる計算になる。
勿論、管材質、表面処理の有無・仕様、防食剤の種類、スライム成分によって異なるんだろうが、安定付着期の平衡状態を含め、定性的な傾向としては参考になるだろう。
 従って、「負荷にあわせて冷却水半減すれば省エネになります」と言っただけで、本体の効率低下は言わずもがな、スライムの動向について言及しないのは、全く考慮にないか、「いや銅チューブは、よりスライム付着しにくく、更に流速1.5m/s以上は殆ど流速に影響されないから、この辺で半量になろうが2倍になろうが殆ど関係ないんです」または「半量時に大きく成長させておいて全量時に一気に剥離させるから、かえって成長しないか、少なくてもトントンですよ」と胸を張って言える場合に限る。
 しかし管材質、表面処理、防食剤、スライム成分によって定量的に異なるだろうという認識があれば、少なくても「一定期間流速を変えてみて試験してみましょう。それで良ければ、いよいよインバーター化ですね♪」位のセリフにはなるんではないだろうか。
勿論試験でスライムが成長して効率や緑青の不具合を引き起こしたら大きなリスクになる可能性はあるが۵。
 また、冷却塔周辺環境に暫くの間変化(近傍で土壌掘削の工事など)が無く、スライムの状況が不変だと言えるとしてだが。

 それでは、スライムが主役の本題に入る。
 計画・実施済みのDHCも有るらしいが、当所では、冷却水薬液処理を2液化(防錆、分散、殺菌の薬能オールインワンの薬剤から、殺菌剤と防蝕・分散剤の2種類の薬品に分割し、それぞれ別個に繊細にコントロールすることにより、殺菌力を高め、系内生物の繁殖を抑制し、また防蝕・分散に対しても合理的な薬注を図るとことにした。「営業コンサル」ページ参照。
この設備は昨年10月稼動開始したが、変化があるとすればそろそろ表れてもよい頃だろう。直接的に関連付けていたわけでもないが、何となく「ターボの効率が高めで推移しているな」とも感じていた。
 出社して早速カーブを描いてみたら(この程度はideaで1件1分以内である)下図の通りである。
当所ではターボはほぼ定格運転であるから、グラフをそのまま読んでいっても良いだろう。

2wtr_tr

 2液化以降スライム生成が極めて少なく、効率低下が抑制されているのがはっきり判る。
従来は120日~半年でCOP4.6→COP3.9、2液化変更後はCOP4.6→COP4.5である。
 そうこうしていると、冷却水室の蓋が開いたということで見てみると、チューブ内面は洗浄の必要が無いと思われるほど綺麗であり、半年前のヌメリ付着とは全く異なる状況を呈していた。

 グラフに戻って。冷却水流量はスライム生成に影響されて下がっていく要素があるようだ。途中で何度か増方向調整しているが、あまり(スライムによる熱伝達阻害ほどには) COPにはね返っていない。
従って、TRについてはあまり神経質にならずに、ポンプのサーマル設定とも相談しながら、多少絞ってもよさそうだ。(実は効率に良いだろうとギリギリまで持ち上げていた)
 冷却水温度も低減方向で多少変化させているが、一見して、あまり(スライムによる熱伝達阻害ほどには) COPにはね返っていないようだ。
 従って冷却水流量・温度の影響と比較すると、スライムがCOPに最も影響しているようにみえる。効率維持には実はスライム抑制が最重要課題であったことがわかる。

 同様にダブルバンドル機を見てみると、下図のとおりスライム生成による効率低下は抑制されてはいるが、TR程ではない。従来COP3.4→COP3.3に対し、2液化変更後COP3.4→COP3.4-αというところか。(勿論冷専時のみ)

2wtr_dtr

 冷却水流量はドラスティックに変えたところもあり、それなりにCOPに影響している。冷却水温度も同様である。
これは、ダブルバンドルの構造によるものと思われる。また11月から熱回収運転となり、冷却水は2液化変更後1.5ヶ月程度しか運転されてない。

 吸収式についてはチューブ清掃は1年1回であり、まだ2液化によるスライム抑制効果を享受出来るところまで行っていない可能性がある。既述の通り、COPは冷却水温度・負荷率、また冷却水流量にも影響されるため、まだ明確にスライムと効率の関係を云々出来るところまでは行っていない。

2wtr_ar

 しかしAR-5号機は冷却水流量がインバータ制御のため、負荷に対して一義的に決まるとすれば、その分単純比較が可能になるが、一昨年の10月以降と比較してCOPにして平均0.02程度の効率アップがあるような比較3D図が描ける。

 *** ちょっと実演してみよう ***

 必要なファイルは ダウンロード arcopcmp.exe (1018.0K)ダウンロード AR5_WTR.xls (207.5K)である。また OpenGL 使用のため ダウンロード glut32.dll (232.0K)が必要である。
 arcopcmp.exe を実行すると、「相関Ⅰ」というシートが開いてある。
AR5_WTR.xls を開き、2007年度分の青の枠内を正確に選択してコピーする。
arcopcmp.exe に戻って、「相関Ⅰ」シートの中央の表を右クリックすると「clipbrdCopy」のメニューが表示されるので選択すると、コピーした内容が表に収まる。
②③を順次押すと直ちに3D相関図が出来る。そのまま相関図を眺めても良いが、冷却水温度と負荷率低下で上がり傾向のCOP図だから一瞥したら、次に行く。
 AR5_WTR.xls の2008年度分のピンクの枠内を正確に選択してコピーし、今度は「相関Ⅱ」シートの中央の表を右クリックする。
同様に「clipbrdCopy」のメニューを選択すると、表にペーストされるから、②③を順次押して3D相関図が出来る。
 3D相関図が出来たら「相関Ⅱ」シートに戻り、「相関Ⅰ/ⅡCMP」ボタンが enable になっているから押すと、二つの図が表示される。

2wtr_ar_cmp

 「相関曲面はクロスしているから、どちらが優位か判らんじゃないか」となるかも知れないが、coterminousのチェックを外してみよう。データの有るところだけ描画され、殆ど全ての範囲で2007年の方が下回ることが判る。
冷却水温度の高い方の、最も差の大きい範囲の相関面の同じ冷却水温度、出力のポリゴンをピック(右クリック)するとその差は0.06となる。
更に、相関曲面のチェックを外してデータ点表示だけにして色々眺めると、「そう言われればそうかな」と言う気もしてくる。
 当該号機の運転状態で前年と違うのは、冷却水温度と出力は説明変数で取り込んでおり、冷却水流量は冷凍機からINVで制御されるので一義的に決まるとして、残りは冷却水薬品処理の変更ぐらいであるから、それによる有意差と見て良いのではないか。

 おまけ:疲れたら、相関曲面やデータのチェックボックス名称を右クリックすると、150色のプルダウンリストが出て、色が自由に変えられるので、ヒーリングになるような色彩組み合わせを探して遊んでください。(上は悪い例である。)

 なお、AR5_WTR.xls の様な様式でデータの組み合わせが出来れば、Y = f (X1・X2) の形で重相関を計算し3D図化してくれるので、学生さんなど色々利用してください。
説明係数の内、相関が1つしか取れなかったらその旨言ってきます。
 また例のように、単位系が同じなら2つのデータの対比も出来ます。
これだけでも、充分利用価値があるでしょう。
日報データとリンクした説明・プログラムは「超弩級データマイニングギヤー堂々完成」「idea Delphi ソース」などにあります。

 *******

 さてTR、DTRのCOPがこのパターンで推移するとして、従来と同等の冷熱製造のための電気量は年間140,000kwh低減になる。CO2で70ton、当所の0.8%カットである。
薬品消費量は現在精査中だが、薬品会社の言い値どおり年1M\の削減があれば、2液化工事は4年で元が取れることになり、残りの吸収式に効果があれば更に短縮される計算になる。今は定量的に突っ込まないが今後楽しみである。
 後者が明確になるにはもう少し時間を要する。またこれら狸の皮算用は、微生物群に耐性が出来ず、薬効が永続すると仮定した場合の事である。

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You've told me that a million times already.

 同じネタで何度も紙幅を稼いでいるから、いよいよ「You've told me that a million times already.」と言われそうだが、新しい展開になっているので、再々再度冷却水流量のCOPに与える影響を見てみる。
新しい展開と言うのは、相関図の精度が上がり、今まで最初から「蒸気や電力の分解能が低いから、計算結果もバラついていて無理だろう」とトライすることの無かった極少幅の分布でも、上手く行けばその変化を捉えてもらえる場合があることを経験したことである。
 従って今まで、冷却水流量とCOPについては、全量半量の変化幅を持つ3号または5号吸収式だけの関係を見てきたが、他の一定運転の号機も同様に表れるかを見てみようと言うものである。

 年間の吸収式の冷却水流量の動きを見ると、下図の様になる。

Coolflow_year

 夏場に流量が下がり気味なのは、当所は共通冷却水系1系統で、出口弁が同じ開度でも多量の冷却水流量により生じる圧損に押し勝ってポンプが流し込む力が相対的に弱くなるからである。
 「short summary of syoene category」ページの「Ⅴ.インバーターの導入について」や「立体重相関図の最終機能」ページの「Ⅳ インバーター関連でもう一つ」などでは、冷却水ポンプのインバーター化は、この様な多量の冷却水にならない夏季以外に運転頻度の高い冷凍機の冷却水ポンプを重点的にやるか、インバーター化したものはこの様な夏季以外の運転でそのメリットがより大きく享受できるだろう。最も効果を発揮して欲しい時期とちょっとずれますねと言うことを言っている。(また「スライム付着などのリスクはそちらで判断してくださいね」とも)
 ちなみに2号機はインペラーカット済みのポンプで出口弁開度は50%で、1号機はインペラーカット手配中で出口弁開度は20%まで絞ってある。「ポンプのオーバースペックの影響」参照。
従って、2号機は1号機に比べて冷却水本管の圧損の影響を大きく受けている。1号機はポンプ揚程オーバースペック35%分を出口弁で絞りまくっているので、ここでの圧損の比率が大きく本管側の影響は少なくなっている。
 また3号機は半量ポンプ×2台設置のもので、それぞれのポンプに流量調節計が付いているが、5月10日の定修前のように、出口手動弁やストレーナに流量抑制要素があると全量でない場合がある。これ以降、冷却水流量の重要さが判ったので、この辺の管理も充分留意しよう。

 さて冷却水流量の変化幅について言えば、例えば2号機ではその差は1,324m3/h対1,478m3/hと、10%となる。この幅の間の効率変化を拾ってみようということである。
例によって負荷率40%以上、年間2814件のデータをトリムして2062件に絞り、AR2COP=f(冷水負荷率・冷却水温度・冷却水流量)とついでにAR2高再溶液濃度=f(冷水負荷率・冷却水温度・冷却水流量)を計算すると、
AR2COP=1.379996+4954.521*1/(X2*X2*X2)-0.00004807943*(X1*X2)-3248.407*(x1/(x3*x3))、
       寄与率= 0.6074352
AR2溶液濃度=-19.64977+22.37465*ln(X2)+30.26577*(X1/X3)+43.57716*(x1/(x2*x2))、
       寄与率= 0.9338024
となった。
x1=冷水負荷率、x2=冷却水温度、x3=冷却水流量であり、冷却水流量を説明係数として何とか拾ってくれた。
 冷却水流量が増えればCOPは上がり、溶液濃度は低くなるから理屈どおりである。

 例によって4D重相関図プログラムと、ビデオを載せておく。



 プログラムはダウンロード CoolingFlow_Cop.exe (835.5K)ダウンロード CoolingFlow_Concentration.exe (815.5K)であり、ダウンロード glut32.dll (232.0K)が要る。
 CoolingFlow_Cop.exeを実行すると、右手冷却水温度、奥行き冷却水流量で相関曲面軸負荷率となっているから、F1でぐるっと廻しつつ、図を右に寄せていくと、左手方向冷却水流量となり、少しだが冷却水流量大でCOPが上がるという相関曲面になっている。局面表示のチェックを外してデータ分布だけを見ると余計その様に見える。
 更にデータグループも取捨選択して、データグループ2中心負荷率63.97%、データグループ3中心負荷率85.46%などのデータ分布を見ると、この辺は影響が大きいためか、更にはっきりする。
視点を後退させて全体を俯瞰すると、冷却水流量の狭い分布幅でよく傾向が拾えたものだと感心する。

Coolflow_cop  CoolingFlow_Concentration.exeも同様で、F1で廻して図を右に寄せると、左手方向冷却水流量となり、少しだが冷却水流量大で濃度が下がるという相関曲面になっている。局面表示のチェックを外して、データグループ2中心負荷率64.36%、データグループ3中心負荷率85.46%などのデータ分布を見ると、この辺は影響が大きいためか、更にはっきりする。
 
 要するにこの範囲のデータでも冷却水流量の効率に対する影響が確認できると言うことと、また更にはっきりさせたいときには、影響の大きい、この場合3/4負荷辺りのデータだけを見たほうが良い。全データでは例えば負荷対冷却水流量の比率が大きく、余り冷却水流量変動の表れにくい1/2負荷などの影響で全体の傾きが小さくなっていると言うようなことも判る。
 さあこれで納得できた人も出来ない人も「冷却水半減で省エネ?」「You've told me that a thousand times already.」「plein conte 劇場」等のページを見てください。

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大山鳴動して・・・

 「燃焼理論パラダイムへの挑戦?それとも・・・」で設置した燃焼効率改善マテリアル装着の6ヶ月の試験期間が満了した。
結論を言えば、炉筒煙管ボイラーでは効率の改善は見られなかった。ある程度の(あるいは技術的見地からは「当然の」と言うべきか)否定的予感もあったが、万が一と言う期待もあって残念な結果であるが決着はつけるべきである。
 試験は空振りだが、その間負荷変動発停の激しいボイラーの効率監視に色々な手法も考え、また基本数量の分解能の重要さを考える機会にも恵まれた。それらの経緯とボイラー効率に些かなりとも物言いが出来るようになった副次的成果は「Based upon first observations、I'd say ・・・」「効率管理に必要な蒸気計測分解能」「ボイラー効率あれこれ」「障害はあれば有るほど燃える」などに触れてある。結果が結果だけに歯切れの悪いところは止むを得ないが۵
 しかし当所の結果で言えることは「炉筒煙管ボイラーでは効率の改善は見られない場合がある」だけであり、その他の可能性まで否定するものではない。「もともとそんな理屈に合わない事が起こるはずはない。俺は端から信用してない」と言う向きは別だが。
 彼らの今までの成果の知見に対する主張の中に、「よく、『燃料が減ったが、蒸気量も減っているから効率は改善してない』と言われる場合が多いが、これを装着すると、そのボイラーの蒸気で仕事をさせる次の工程での蒸気原単位が向上するんです。同じ仕事、同じ製品を作るにも少ない蒸気量で済むんです」と言うのがあった。
 同一圧力の飽和蒸気のエンタルピーは同一で、これが燃焼が改善されても変ることは有り得ないため、熱学的見地からも理解し難いが念のため、装着した4号ボイラーのみで運転した5号冷凍機の効率を見て反論した。Idea にはお手の物で、分析の各々のステップは殆ど一瞬で終わってしまうから、労力にならない。

*** SB-4 蒸気による AR-5 運転時の効率について(当所の蒸気の後段工程で何らかの改善が見られるか) ***

 SB-4 は AR-5 と対で、その再生器加熱源として使用されるチャンスが多いため、SB-4 の蒸気のみ使用した時の AR-5 の効率を見てみる。
当所に於いては「同じ仕事をしても蒸気使用量そのものが減って、全体の効率が上がる場合もある」とすれば、ここで見つかるはずである。
 それ以降で同様の事態が生じるとすれば「当該ボイラーで作った蒸気は、それを使う吸収式冷凍機の性能には表れなくても、更にその先の客先冷熱負荷の冷房効率を上げ、同じ室温にするのでも少ない冷熱量で済むようになり、全体の効率が上がる場合もある」となるが、確かに省エネ努力か冷熱は多少減ってはいるが、これは最早検証の域を越える。→これはお笑いで書いているのは判りますね。

 下図はAR-5 COP= f ( 負荷率・冷却水温度 ) の関係を表したものである。
 2007年9月1日~12月31日までの4ヶ月間のSB-4・AR-5単独運転・CGS無し(従ってAR-5は、SB-4蒸気のみで運転) の組み合わせ613時間、データトリムで449時間→青
2008年8月6日~9月18日までの43日間のSB-4・AR-5単独運転・CGS無しの組み合わせ320時間、データトリムで227時間→赤
である。サンプリング期間の取り方は恣意的ではない。そのような運転チャンスの出現頻度の関係である。Sb4ar5_1

 後者(設置後)の負荷率方向の分布が低い方に固まっていることもあり、負荷率との相関を検出するに至っていない。従って高負荷率方向で効率が高く見えるが、ここには実績のデータは無い。高負荷率の低効率のデータが増えれば同等になってくると思われる。相関曲面をピックアップした①と②では0.04程差が有るが①はいずれ下がってくる。
データの分布を目視しても、赤の設置後のデータ領域近傍では両者とも同等であろう。

 また時間経過とともに徐々に改善してないか、上の赤のデータを更に分割して、8月6日~8月末(赤:127件)と9月~10月11日(青:82件)のSB-4 蒸気のみ使用した時の AR-5 の効率を比較しても、改善されてはいない。データ数が少ないため負荷率方向の変化は検出できていない。Sb4ar5_2

 *******

 このデータの説明の途中でふと気付いて、「10%も20%も効率(その蒸気を使う次の工程を含む総合の)が改善したというのは、もしかして全て貫流ボイラーではないんですか」と聞くと「その通りだ」と言う。
 「じゃあ、蒸発点前後の収熱配分が変り、スーパーヒートが生じた場合に蒸気エンタルピーが増えて、後段の工程の蒸気使用量原単位が下がる可能性が無いとは言えないが、炉筒煙管は蒸気加熱部が無く飽和蒸気だから、その余地は無いですよ」と言うことで、お互い丸く収まって試験終了の運びとなった。
発熱量云々の話とはちょっと繋がりにくいが、あの話はこちらが理解しやすい方に話を誘導し、向こうも半解気味に「そうですそうです」と返した可能性があるから。
 何れにせよ間に入った人の面子も気になり、どうやって幕引きするかを考えている向きにとって、丸く収まったのは何よりだったらしい。

 「しかし、10%も20%もの改善が本当だとしたら、ボイラーの設計に対してかなり伝熱部のヒートフラックスの変化が生じているはずだから、伝熱金属表面温度上昇には充分気を付けた方が良いですよ」

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「警告致します!繰り返し警告致します!」

                              【デイ・アフター・トゥモロー、警視庁パトカーの音声警告】

 「自動監視などにも力を入れ、省エネに集中出来る環境を構築している」と偉そうにぶっていたが、この間ちょっと驚かされたので、警告方々報告する。
 当所の計装コンプレッサーは通常の空気使用状態では8分オンロード8分オフロードのデューティ比50%で運転している。これが3台あって、5時間ごと順番に切り替わる。
従って女の子が音声告知してくれる「支援警報プログラム」(摸擬が「省エネの条件整備」にある)では、2台が運転したら直ちに、また1台の運転時間が9分を越えたら警報を発報するようにセットされている。発声内容のセリフを含め、ユーザーがcsvを追加削除することで簡単に出来る。
コンプレッサー設置台数とあわせ、運転監視は万全な態勢だと自負していた。
 一方1年前「水と空気の違い」で述べたように、「終端使用圧とコンプレッサー吐出圧の乖離が大きすぎる。省エネの観点から下げたらどうか」と言う某行政の指導があって、「たった年1,900kwhの省エネのため停電時などの余裕も全部吐き出せと言うのかよ」と毒づきながらも、泣く子と(思い込みの激しい)地頭には勝てないと言うことで、やむを得ず下のように運用圧力を下げて運転してきた。

旧   7kgf/cm2g ON  ⇒  試験  6kgf/cm2g ON
      8.5kgf/cm2g OFF              7.5kgf/cm2g OFF   電流差    0.243A
 
 ところが昨今、女の子の「コンプレッサーが長時間運転しています」というセリフが多発してきた。
万全な態勢だと信じる余り、「うん、湿気の多い時は運転時間も延びるんだよね。ドライヤー等で水分は捨てられるから」とか「これでコンプレッサーの能力の低下が判るじゃないか♪」とか「そろそろメンテ手配しようか」とか、まるで緊張感なしで、9分が10分に、10分が11分に、そして12分まで遅延時間を延ばしていた。

 そしてある日、何の前兆も無く「計装空気ヘッダー圧低」警報と「コンプレッサーが2台運転しています」と言う女の子の警告が同時に発生した。
現場に急行すると、1号機の吐出圧は1.8kgf/cm2g、ベルトの滑りなし異音などの異常なし、追起した2号機は正常の様だ、ヘッダー圧も徐々に回復しつつある。調べた結果、運転が3号機から1号機に切り替わったが、1号機の能力が突然全く出なくなっていて、4分間運転したが圧力は上がらず、バックアップの2号機が追起したが、同時に「ヘッダー圧低」も発報したものであった。
 「ヘッダー圧低」はもともと5kgf/cm2gで発報するが、バックアップ起動の方も調べたら設定圧マイナス1kgf/cm2と言うことで、これを6kgf/cm2gに下げてあったから、これにスライドして下がっていたものである。
この辺の関係を考慮してなかったのは、想像力の欠如である。
 また、運転時間警報が12分まで延びていたという点も気にはなっていたが、当所のレシーバー容量2m3から計算した消費量0.375m3/minを賄いながら昇圧出来ているとすれば設計値の600 l/minより上だから良いだろうと、突然のダウンまでは思い至らなかった。
 たまたまメーカーさんには定修の話を進めていたので、官庁関係掻き入れ時にもかかわらず、ほぼ即応してもらえたが、久々にヒヤッとさせられた。

 万全の態勢と信じていたのは、事態が徐々に進行し、まず運転時間が長くなって「設計よりかなり下がり、もはや正常な能力として期待出来なくなったら、メンテに入ればいいや」とか、「2台運転したら最初の運転号機に何らかの異常があるはずだから、確認して戦列から外してメンテすればいいや」と、「最終段階までにステップが踏めるだろう。その間に色んな対応が取れるだろう」と楽観視していたものであり、唐突に「計装空気ヘッダー圧低」まで行くと、時間的余裕が全く無く、あわてて2次事故をも起こしかねない。何とかステップを踏めるようにすべきである。
 「設定圧を下げるということは、その程度のリスクは計算済みのはずだから、最終の「計装空気ヘッダー圧低」警報レベルもそれなりに下げて、ステップを踏めば良いじゃないか」と言われるかも知れないが、現場空気弁の作動限界は直ぐ目と鼻の先である。これらを考慮すると、行政さんの言う「使用圧と、圧縮圧はせめて2kgf/cm2程度の差にすべきではないか」と言うのは、この辺の実態を勘案していない、blog で言っている「現場に出てきてください」の端的な例であろう。
 従って「警告致します」と言うのは、行政さんに押し切られるか、本blog を見て「計装コンプレッサー圧を下げたところもあるんだ、しょうがないうちもやるか」と言うところは、「ぜひコントローラーの設定を確認して、追起が最終警報に等しいかそれ以下にならないかを確認して、最終段階までに然るべきステップが踏めるよう確認する必要がありますよ」と言うことである。
 当所は、3台のメンテが終了するまで圧力設定は元に戻した。その後の対応は再検討。
しかし年間M\の省エネなら兎も角、その1/50だもんね。

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圧力計画像認識ソフト

 「DHC設計 tips」 や「If we have the explossives.」ページなどで色んな監視ポイントがあって活用できれば、安定運転や省エネに繋がるという言い方をしてきたが、「そう無暗に増やすわけにもいかないだろう、懐具合もあるだろうし」と言うことで、汎用の計器読み取りプログラムを試作したので紹介する。
 常設監視ポイントではなく、プラントで新しく短期的に注目してみたい、あるいはポイントの追加を計画しているが試験的にやってみるなどと言う時に、何処にでも仮設置して、例えば圧力計などをCCDカメラで睨んでいて、その画像から値を読み取ろうと言うものである。デジタル表示の読取りなら極めて簡単だから食指が湧かない、と言うよりデジタルで表示しているなら直ちに取り込めるから。
監視装置AIモジュールに予備ポイントを作っておいて、必要な時にADコンバーターで4~20mAなどで流してやって、レンジを設定すれば、監視できる。
 これらの内の、ビデオ取込から指針読取までをやってみる。「君の瞳に乾杯」ページの延長線でもある。

 例はボイラーガバナーの出口ガス圧の上昇状態である。これは従来遮断弁の駆動電流のミスマッチからか、時々開いてくれなかったりした時に監視したいなと思っていたものである。ガバナーの設定値を見るためのものではなく、起動時のダイナミック応答を見るためのもので、それ程精度は必要とせず、ガス圧がどんなタイミングでどの様に上がるかが把握できれば良いので、対象としてはぴったりである。
 市販カメラは安価なものがあるので、出来るだけこれらが使用できるように、あるいは短時間で読み取れるように、解像度は320×240としている。精度が欲しければ、高解像度にしてパソコンをグレードアップすれば良いだけの話だ。
画像は上手い具合に ۵ 少々ピンボケでもあり、読取ソースとしては最悪の部類だろう。これでどの程度やれるかやってみよう。

 画像を取り込んで平面微分すると下図のようになるが、実は、圧力計だと言う前提があれば指針の読取は極めて簡単である。中心点が判れば、そこから放射線状に走査することで、針の角度は直ぐ判る。
 従って最初に必要なアルゴリズムは指針の中心の計算である。その前に前提として、カメラの手振れを許容するか否かという問題点がある。固定してぶれないと言う前提なら、中心は何度かの切り取り画面で計算できるから精度が向上する。
手振れを前提にすると、毎回中心を計算しなおすから、光線やコントラストでプログラムの特徴点の掴み方が変わり多少変動する。この辺は画素数の少なさと合いまると、このシステムの誤差を大きくする原因になる。
 中心の計算も簡単である。画面の中心だと設定しているわけでは決して無い。圧力計の外周や目盛りの円周から切り出した円弧の垂直線の交わりだから下記の通り計算してくれる。

 指針の角度が判ったら、後は目盛りが判れば数値が読めるが、取りあえずrangeの最大最小値を設定して、その間比例とした。厳密には、比例ではない場合も多く、別途補正が必要な場合もあるだろう。
後は画面上で目盛りのrangeの最大最小位置は何処かと言うことであるが、半径方向目盛り位置と、予想角度範囲を規定してその間を走査して検出した。図で言えば下の通りである。

Gauge

 範囲を規定したのは、目盛り数値や色んな文字がノイズになって動作が安定しないからである。これらを含め、「目盛りのrangeはvital importance だから計算には任せられない、自分が決める」という人のために、「こういうのはどうでしょう」というスライダーが付録で付いているが、実際には機能していない。これは中心点と同様画像のブレはないという前提が必要である。
 例示プログラムでは、中心点、目盛りの最大最小の位置は全て毎回計算している。指針は、放射線状に一定(例60%以上)のドット数のあった角度、即ち指針だと検出された角度の平均で算出している。厳密にはドット率で加重平均するのかもしれないが、結果に殆ど影響は無い。指針の検出結果だけ図示するようにした。

 下の14枚のbmp画像に対する自動読み取りと、人力読み取りの差は下表の通りで、ブルレンジの2%最小目盛り程度の差が生じている。大体のダイナミックな動きを見たいという目的には充分である。また精度を上げたければ画素数を上げればよい。
 このサイズで一画面読取り 100millisec 以下(2.8GHz、pentium4シングル、XP Pro. V2002)だから、asmを活用した高速化もしなかった。スピードはこの範囲で幾らでも画素数増は可能である。

Gaugerror

 ビデオからの読取りだから、avi をメディアプレーヤーから取っても良いし、delphi にはそれ様のコンポーネントも有るし、奇特家のフリーウェアーのコンポーネントもある。実機に於いては、カメラとパソコン入力部のコンビネーションで色んな取り込み方が有るだろうが、blog 経由ではダウンロードした全てのパソコンの設定でスムーズに動作できるか自信がなかったので、avi から切り出した14枚のbmp を試料とした。ダウンロードが大変だが付き合って頂きたい。それに見合う報奨は得られるはずだ。
また参考に元のダウンロード gauge.avi (990.1K)も、見てもらえる。約4秒であり、14枚のbmp を300millisec 毎に開けば同等のスピードになる。14枚のbmp はプログラムと同一ディレクトリーに置いてもらう。
 操作は、、ダウンロード GaugeReader.exe (745.5K)ダウンロード SB20.bmp (300.1K)SB21.bmp SB22.bmp SB23.bmp SB24.bmp SB25.bmp SB26.bmp SB27.bmp SB28.bmp SB29.bmp SB210.bmp SB211.bmp SB212.bmp SB213.bmp の14枚のbmp をダウンロードして同一ディレクトリーに置き、GaugeReader.exe を実行して、「連続読取り」ボタンをクリックするだけである。
GaugeReader.exe の実行時の画像は、アップロード制限まで余裕があったのでリソースにした。即ちbmp をダウンロードしなくてもGaugeReader.exe は実行できて1枚は描画できる。
 計算スピードと関係なく、中心検出用円弧(実際は直線だが)検出部、目盛り最大最小の位置検出部などを表示させたい時は「特徴点表示」チェックボックスをチェックして計算させれば、表示してくれてどのように計算しているかが見える。この時描画と文字出力が増えて、最大 350millisec になっている。
 またシングルステップで1枚ごと納得しながら見ることも出来る。

 ビデオもあります。「短時間で直ぐ終わる」と不興の向きには、停止しながら見てください。

 「筆者が、高再圧力を入力して溶液濃度を計算できたら、省エネの余地が定量的に判るというから取りあえず試験的にやって見たい」
 「ターボの蒸発器圧や凝縮器圧を取り込めば、冷水冷却水とのTDが監視できて、合理的なチューブ洗浄のインターバルが考えられるかも知れないから、ちょっとやって見よう」
 「ボイラーがたまに失火検出するが、起動時ならちゃんとガス圧が立っているか、運転中にはガス圧の変動は無いか確認してみよう」
 「ポンプの空引き防止、過負荷防止などに吐出圧を見ていよう」
監視装置に予備座があればこのような使い方には最適である。メーカーさん、製品のオプションにどうですか?後から監視ポイントが増えるインセンティブにもなるでしょう。

 筆者の次の課題は、シーケンス不要動作解析用のリレー監視装置である。極たまに発生する不要動作の場合、LED表示付きのリレーが並んでいれば、高画素のCCDカメラで監視することにより、どのリレーが不要動作しているかわかるようになる。
考えられる原因は、リミットSWの接触抵抗や、動作位置のずれ、機器と駆動リレーの許容電流のミスマッチなどである。
 もう一つは大きく出て、ロボットパトロールである。電流や圧力はこのプログラムで読んでくれる。振動は既にFFT分析出来るとこまで行っている。後は漏れの目視認識が出来るか如何かである。これは撮影位置を前回パトロール時の位置とぴったり一致させ、前回画像と比較して、水溜りなどの色彩の微妙な変化が検知できれば、漏洩の検出になると思うが、今のところ実現していない。
 足回りや、駆動部などが大掛かりになると思うが、やって見たい以下のような位置制御のアイデアもある。考えるだけでも面白くなりそうである。

2diff

 人間は間違いなくこれに近いことをやっていて、ロボットスポーツ競技では不可欠だと思うんだけど、ロボコンなどのメカニズムでも、機構的に同等機能を具現したものが有るのかも知れないが、アナログ制御として実現できているのは有るのかしら。
或いは、アナログの2次微分動作とでも言うべきものなのか。数学の素養も無いから解らないが。

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3Dデューリング線図の試作

 何時までも「吸収式のCOPや結晶温度が、負荷や冷却水温度や冷水温度で、上がる下がる」と、データだけ見て騒いでいても面白くないので、内部まで立ち入ってみたいと思っていたら、八重洲ブックセンターで適当な本を見つけた。
探していた奴ではないが、省エネセンターの省エネルギー実践シリーズ、2004年刊の「吸収式冷凍機」という本である。
 これらを参考にしながら、筆者の力量で何処まで上の課題に肉迫出来るかやって見たい。
また、「冷却塔電力について」では、3D空間にデューリング線図だけ書いて、使い道が無いのでそのままにしていたが、これを活用する。

 それでは取りあえず ダウンロード 3dDuhring.exe.exe (665.5K)を実行してみよう。 ダウンロード glut32.dll (232.0K)が要るのは変らない。またスピードが欲しいこともあり臭化リチウム関数は組み込みにしてあるが、蒸気計算に ダウンロード Steam97.dll (116.0K)も必要である。例によって「煩わしい」と言う人向けに、ビデオもある。



 「何だ、この『遠い昔、はるか彼方の銀河系で・・・』のキャプションみたいな奴は」と思った人も居るかもしれないがエネルギーの人は判るだろう、いわずと知れた臭化リチウム溶液のデューリング線図である。結晶水の辺りちょっと端折っているが。

3dduhring0

 また「ただ3D風パースペクティブを掛けただけじゃないか」とも言われるだろう。
そこで、お遊びを終わって「return to base」にチェックを入れれば、宇宙空間から帰還できて通常のバックカラーになり、立体曲面が表示される。以降は、今までの「F8」立体曲面 on・off 操作と同じである。「show Ctrl」でコントロールパネルが出る。
 立体曲面は結晶温度を表示している。濃度56%以下の0℃以下は表示しない。また濃度69%以上も計算できないので表示しない。だから殆ど幅は無い。面白味のないのは筆者の責任ではなく、臭化リチウム溶液のせいだ!
 例によって、垂直方向のスケールは無いが、折れ曲がりが濃度65%の結晶温度41℃、上端が濃度69%の結晶温度128℃(図形バランス上無理やり作った。一般に図表は濃度67.5%までだから責任は持てない)、である。下の41℃以下の部分は実際にカーブしている要素も若干あるが、曲がっているように見える主な理由は配色のグラデーションの影響によるものである。
青線は冷媒のサイクル、緑 (「F8」で曲面を消すと見える) は溶液のサイクルを高さゼロ即ちデューリング線図上に、赤は溶液のサイクルを結晶温度曲面上に描画している。
 また、pick (右クリック) にも対応しているが、図表からデータを読み取ろうとしないで下さい。後述の通り、数値は計算式で作っているが印刷されている図表と細かい部分で一致せず、どちらが正なのかあるいは誤差範囲なのか筆者には判断できないし、上述のように尤もらしい偽装もあるからです。
しかし定性的に変化を眺めるだけの用途としては、取りあえずこれで何とかなるでしょう。
後は今までの立体図と同じだから、色々な方向から眺めて欲しい。この狭い範囲の中で結晶が起こる起こらないとやっているんだよ。
 もう主旨はわかって貰っただろうが、この図に吸収式の運転状態をプロットして、運転条件を変化させて各部の位置を見ると共に、特に結晶温度の変化に注目しようと言うものである。パラレルフローで計算してある。
取りあえず現設定での吸収式内部状態が図上に表示されている。濃溶液側が結晶温度的に厳しくなっている。

3dduhring

 さてオリエンテーションが終わって内部計算の説明に入る。
① 冷水出口温度から蒸発温度→蒸発器圧を求める。
② 冷却水温度を設定から吸収器温度を求める。
③ 吸収器温度と圧力から、希溶液濃度を求める。
④ 冷却水温度から凝縮器温度そして凝縮器圧求める。

 これらの計算は熱交換計算によるんだろうが、現時点で筆者には技能不足。教科書や、実機資料によりそれらしい値を設定し、①②④については温度効率不変として通過熱量(負荷率)比例で補正している。冒頭の目的からはこれでほぼ充分のはず。
値の出典と参考値は以下の通り。

Ar_dt

 これらの設定は、「計算」シートで出来る。
 再生器周りは次の計算を5回程度繰り返し、収斂を待つ。
⑤ 溶液比から希溶液濃度を求める。
⑥ 低再溶液温度=ltbrpw_t(低再圧力,ξl)
⑦ 高再蒸気温度=低再溶液温度+上表温度差
⑧ 低再飽和蒸気潜熱=STM_sHtx(乾き、低再蒸気温度)―STM_sHtx(水、低再蒸気温度)   //Steam97.dll
⑨ 高再飽和蒸気潜熱=STM_sHtx(乾き、高再蒸気温度)―STM_sHtx(水、高再蒸気温度)    //Steam97.dll
⑪ 高再圧力=STM_sPt(高再蒸気温度)                                      //Steam97.dll
⑫ ⊿ξh=⊿ξ×低再飽和蒸気潜熱/((1-x)×(高再飽和蒸気潜熱+低再飽和蒸気潜熱))
⑬ ⊿ξl=⊿ξ×高再飽和蒸気潜熱/(x×(高再飽和蒸気潜熱+低再飽和蒸気潜熱))
⑭ ⊿ξ=x×⊿ξh+(1-x)×⊿ξl
⑮ ξl=希溶液濃度+⊿ξl                             //低再出口溶液濃度
⑯ ξ2=希溶液濃度+⊿ξ                             //高再低再混合後溶液濃度
⑰ ξh=希溶液濃度+⊿ξh                            //高再出口溶液濃度
⑱ 高再溶液温度=ltbrpw_t(高再圧力,ξh)

 運転条件をスライダーで変えて、冷却水温度を下げたり、冷水出口温度を上げたり、負荷率を下げていくと溶液濃度が下がり、効率上昇に繋がる傾向になることが判る。これに伴い結晶温度も下がっていく。
 計算条件が異なるためか詳細な数値は違うが、教科書Aに記載されている上の変動に伴う変動が、定性的に表わされる。
「それならば、特に低負荷では冷却水温度は結晶には無関係ではないか」と言うことになるが、そうではないんだろう。注意すべきはこの図表はスタティックな計算でしかないから、実際にはダイナミックな変化に注意する必要がある点である。もともと高負荷で、従って高濃度で運転している時に、急に冷却水温度を下げたりしたらひとたまりもないだろう。
また「溶液結晶温度の挙動」「溶液結晶温度・実濃溶液温度対比」「溶液結晶温度対実溶液温度」で確認したように、高再蒸気入力が下がったが温度は未だそれ程下がっていないと言うような状況の時は、圧力だけ下がり急激に濃度が上がることも起こる。
 このような変動吸収の余裕幅をどれだけ見て、負荷率がどれだけの時は、冷却水をどれだけ下げて結果としての高効率を享受するか考えましょうと言うことである。勿論冷却塔電力との差し引きで。

 ところでこのような勉強を始めようとして、次のような障壁にぶち当たった。
① 計算式が入手できない。
  メーカーさんが、大枚をはたいて入手した虎の子のデータを、くれと言うのは厚かまし過ぎる。
  デューリング線図の式は、某メーカーの技術員が何かの手違いで間違ってオープンしてしまって、後で大目玉を食らったんじゃないだろうかなどと想像してしまう。
② 貰えても色んなところに、齟齬があるようだ。
  奇特な♡メーカーさんがくれても、重量%と容積%表示と計算レンジの限界との辻褄が合わないなど、素人には使えないものがある。
③ 刊行されている書籍の図表も、不審な部分がある。
  同一単位系の同種図でも、数値の異なる図面が出回っている。一々例示しないが教科書を2,3冊比較すれば、違う図表に遭遇するはず。蒸気線図のように、時々精度向上のため改定されるのだろうか。
  また数式が正しければ、デューリング線図の濃度曲線なども全てが一直線にはならないはずである。デューリング線図の式による算定値を、例えば0%値と相関を取り、その1次近似式で計算した値は中間で温度がプラス側に1℃以上振れる事になる。デューリング線図でこれだけ振れれば、例えば濃度0%(50%でも同傾向だが)を直線にすれば、濃度70%は直線にはならないはず。

Duhringerror

  カーブの間隔が一様に取られてない。これも一々例示しないが、端的にわかりやすい例は高再蒸気の濃度・圧力→エンタルピー線図である。これは一番欲しい範囲も提示されない。
  これらは「実験式で、実施手法により結果が異なる可能性はあるから、余り細かいことは言うな」ということかも知れないが、デジタイザーによる数値ピックアップでは致命的になる。

 これらは拗ね者、よくて門外漢の繰言だと言われるだろうし、メーカーさんが大事なデータの開示に慎重になるのは当然だが、その貴重なデータをちゃんと継承出来る体制は確立されているんだろうね。昔使ったデータは有るんだが、団塊のリタイヤ等で、中身の意味が判る技術屋が職場から居なくなって宝の持ち腐れなどと言う事は無いんだろうか。
その危惧があるんなら、現役の学生さんを始め社会に提示して、技量を有し使いたい人に自由に使ってもらった方が、社会の為になるんじゃないでしょうか。
 「金を掛けて入手したんだから自分専用。じゃなければ投資する意味が無い」と言うのは当然だが、反面、知見や、ノーハウや、tips や、データや、技術は抱え込まないでどんどんオープンした方が、結局自分自身(自社)のためにもなるのではないだろうか。相手がそれを利用して良い物を造ってくれば、自分もそれを超えて立派なものを造れば良いだけの単純な話だよ。アイデアは囲わないで流す癖をつければ、次々に湧き出てくる。
技術で飯を喰おうというなら、その位の自負は持とうよ。
 
 3Dデューリング線図の『試作』としたのは、とりあえず結晶温度の次元を描画しただけで面白味に欠ける。言った本人も赤面。3D表示としてのデューリング線図の最適な使い方を見つけた訳ではないと言う意味である。相関図では5Dを狙おうとするところまで進んでいる。デューリング線図ももっと色んな表現に使用できるだろう。今後が楽しなアイテムである。

 しかし、かな釘文字ではなく小さなフォントがつくづく欲しい。誰かくれーッ。

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初夢

 これからの日本の技術継承の心許なさを、少々心配していたが、産経1月2日配信の「LEDで省エネ漁、失明から回復も…産官学連携のいま」と言う記事を読んで、「我が意を得たり。頑張って居るところもあるんだ」と、些か安堵するところが有った。
 そして考えたのが、「我が『省エネ』に関しても、同様の産学連携は出来ないか」と言うことである。官は制度面で厄介になるかもしれないが、当面の主役は学である。
 要するに、当blogで実施しているような、機器の性能に関するデーターマイニングや新しい解析手法の開発と、1次エネルギーとの関連、出来ればその低減に結びつくようなアイデアの策定までを新進気鋭の学生さんにお願いするわけである。
 対象はDHC等エネルギー現場で、省エネ課題を抱えたところであるが、データーの開示は、全てだと言うと企業としても隠しておきたい部分もあるんだろうから、個別機器の性能関係・冷却塔の性能関係など限定したものになるのは止むを得ない。
 考えられるメリットを羅列していくことで、どの様な制度になるかを見ていこう。

 まず、産業側である。

○ 若い柔軟な思考による、機器特性の解析結果を享受できる。
 充実した陣容で、自前の分析力を有しているところもあるだろうが、多くは数名の経験者による、あえて悪く言えば偏った思い込みによる知見の頚木から逃れられない運転基準が幅を利かしている所も多いと思われる。
 メンバー年齢的にも、数学を縦横に駆使した解析も望み薄であろうし、所謂コンサルも、メーカー窓口も殆ど変わらない。低下したCOPのまま止むを得ず運転している現場の何と多いことか。
 視点を変えた省エネ運転が可能であれば、炭素排出費を含めた経済的メリットは大きいのみでなく、老朽化による更新・インバーターの導入時などにも、何処に力点を置くべきか合理的判断が可能となる。

○ 情報が共有できるようになれば、業界横断的またはそれを越えたインセンティブが発生する。
 現状でも各級組織レベルに於いて定期・横断的情報交換の活動はあるんだろうが、はたして他社の実績の咀嚼力・自らのモチベーションへの転換力は充分発揮できているのだろうか。
 今回は気軽に依頼できる。


 続いて、学側メリットである。

○ 何と言っても、学習のモチベーション付けである。
 余程抽象的思考の得意な人でないと、数式や理論だけ勉強しても、具体的にどう活用するかがわからないと、現在の勉強が無味乾燥に思えてしまうだろう。

○ 懐ではなく、思考力がリーダーシップを発揮すると言うことを、身をもって感得できるだろう。
 上記記事の出だしに「かつて『大学は企業の下請けではない』などとして研究者から抵抗が強かった『産学連携』だが」と言う文言がある。機器性能を左右するポイントを的確に把握し、その改善を指摘する場数の経験は、その様な「所詮ふんだんな開発費に裏付けされた企業には勝てない」と言う些か自虐的な見方とは無縁になるだろう。
 要するに相手の陣容の薄さは、裏返ってこちらの優位性である。

○ 上記と同じ切り口だが、機器のあらゆる運転条件下のデータ分析により、機器メーカーにも特性とその改善の提示ができる。
 広範のデーター解析はこれを可能にする。
 実はエネルギー企業から省エネ分の一部のキックバックを考えようとしたが、個々には年数百万単位でそれには些か小額かも知れないし、相手の反発も予想されるが、こちらは金銭的インセンティブの可能性がより大きい。製品の全ての運転パターンを総括できるほど、研究陣と費用に余裕あるメーカーは無いだろう。

○ エネルギーシステム構造の多様さを知るだろう。
 要するに、百聞は一見にしかずである。筆者もかつて蒸気エジェクターなるものの勉強をしたが、どれだけ文章を読んでも今一シックリ来ないものが、実物を見たとたんストンと腑に落ちたショックを、40年たった今でも強烈に思い出す。それまでの勉強が結実したという事なんだろうが、大きさや、鉄の感触を含め「そうかこれがエジェクターか」と言うことで全て完璧に判った気になったものである。
 「エネルギーシステム構造の多様さと言ったって、蒸気サイクルは殆ど蒸気条件向上で、ここはしっかり解析されていて鋼材の改良が主だから、治金部門以外に殆ど出番はないだろう」と言う意見も有るかも知れないが、もう直ぐ蒸気サイクル低温熱回収計算ツールのような検討も必要になる。


 そして官のメリット

○ 省エネ報告の客観性が出てくる。
 現在、色々な省エネ報告が徴収されているし、それを元に表彰などもあるが、企業が各々の考え方で作成した数値の精査は出来ているんだろうか。
 またCO2の集計で、火力発電所が申告し、更にDHCが1次エネルギー分として申告し、更にDHC需要家が1次エネルギー分として申告したものが2重3重に積算されているなんて事は無いんだろうか。「そんな理屈の判らない集計なんかするわけがない」と言われるだろうが、「提出企業の算定結果に入っていない事を精査出来ていますか」と言う意味である。
 なんせ気が遠くなるような、なんともグロテスクなCO2原単位表だぜ。
 更に最近では説明会で「CO2は産業関連表のを記入するんですか?」「お見込みの通りです」なんて会話も聞かれる。市や県の産業関連表には作成部門の糊口以外に意味は全く無いが、CO2の方も値の取り扱いには充分注意してね。

 そして官への宿題

 1.「省エネ関連産学連携で生じた経済性メリットを、企業・学校・学生で、分配できる制度を考えよ」
 2.「省エネ関連産学連携で培った実績を、学生が将来にわたって優遇される制度を考えよ」
 こんなのが一発で出てこないような、エネルギー関連役人はみんな首だ。「良かったね公務員は派遣社員じゃなくて」なんていってられないよ。


 「省エネ関連産学連携」を一言で言うと、「エネルギー現場・コンサル・メーカー・官など、コンペチターのいない、閉鎖的停滞集団があるとすれば、学生さんの若い柔軟な思考力と覚えたての知識で風穴を開けてしまえ」と言うことである。
 そうすれば、たった5.5kw、負荷率50%の計装コンプレッサーの吐出圧を下げなさい、などという、定量的に無意味な割りに事故時の余裕をも圧縮する「机上の空論省エネ指南」の類なども無くなるだろう。こんなのは上司はどう思っているんだろう。上司も含めて「少しでも省エネになるんなら、何でもやらせれば良いじゃないか。供給安定が少々損なわれても」の世界か?定量的には、他に落ち着いてやるべきことが山積みじゃないのか。「うちは、もう省エネのネタはやり尽くした」と言う現場の声、ご無理ご尤もか。
 実はこの意味でのメリットが一番期待されるところである。


 *** エネルギーシステム構造の多様さ ***

 数年前、北海道で出来た氷を夏の首都圏の冷熱源にしようと言う取り組みがあり、あるビルで試験的に実施された。
寡聞にして現在も継続中かどうか知らないが、そうだとすると以下は削除する必要があるが、そのFSグループの人と話した時の話である。

 まず輸送のエネルギーコストである。「今の話題はCO2ですよね。如何に還り舟を利用すると言っても、CO2的にもメリットは無いでしょう」と言ったら、「これは、首都圏のヒートアイランド現象を北海道の氷で緩和してやろうと言う主旨なんです。CO2は色んなファクターを考慮すると一概には算定しにくいんですよ」と歯切れが悪い。
こちらは、種々のケースの輸送CO2原単位を聞いているのではない。「船へのローディング前、アンローディング後に些かでも自動車による陸上輸送のパスが入れば、たちどころにCO2のメリットが無くなるのは、ちょっと電卓をたたくだけで判るでしょう」と言う主旨で言ったに過ぎないんだが。

 次いで「ton2千円なら売れますかね」と聞かれた。空かさず、ちょっと鯖を読んだが「千円なら買います」と答えた。
 実は氷は冷熱もさることながら、溶けた後の水としての扱いの意味合いが非常に大きい。下水に捨てれば300円の処理費がかかる。一方工業用水を使用してない現場では、400円の補給水の代わりに使えるかどうかである。プラスマイナス逆になる。
 「今、冷却塔補給水は上水に順ずるものしか使用できませんが、先生方の政治力でこの氷の解けたのも使えるようにすれば、400円の価値が出てきます。これは蒸発するから下水には行きません。放流しか出来なければ下水代が300円かかります。値段はその後ですね」と言ったが、その後どうなったか知らない。

*******

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DHC設計・運転 tips

 既述のものも多いが、省エネおよび安定運転に関して、DHC設計段階や運転で配慮し、実行した方が有利であると思われる項目について断片的に見てみる。

○ 水蓄熱槽を設置する場合は出来るだけ高さ方向のスペースを確保する。

 DHC設備はビルの顔ではないから、それ自体の必要充分なスペースの確保を主張することは贅沢なのかも知れないが、これから増嵩するであろうビル管理費を考慮しても、ある程度熱源の合理的運用の出来る設備にした方が有利である。
 例えば、成層蓄熱の場合は、層の安定的維持形成を期するためにも高さ方向のスペースは10m程度以上確保したい。
低いと上部空間および上下部デストリビューターまでのデッドスペースの比率が大きくなってその分成層の有効高さは制限され、高温低温層の混合が起こりやすく、蓄熱の利用効率(出力熱量/入力熱量)が低下する。
 「そこまでして蓄熱槽なんか要らない」と言うかもしれないが、そもそも蓄熱槽は「深夜電力の合理的利用をする、しない」と言うようなベースの問題ではなく、COPの高いターボを、高効率の定格近傍で運転するための緩衝装置であると見るべきである。すると省エネのためにはどうすればよいか見えてくる。下のビデオを見て欲しい。You'll know what to do.【パットン大戦車軍団、ジョージ・C・スコット】
 勿論、ターボは定格でベース運転、変動吸収は吸収式で(it's not an intentional joke.【シーウルフ、デビッド・ニーブン】と言う方法はあるが、それでは次の項目はどうしよう。

○ 熱源と需要家にスペース的な余裕があれば、ダブルバンドルの導入を指向する。

 温水は蓄熱槽だけでなく、蒸気に比べポンプ設備が増えるため、関連設備スペース的に不利かも知れないが、ダブルバンドルによる製造では製造費的に有利である。
 ビデオを見て欲しい。これは日毎のプラント総合COPを、吸収式COPの他に、その日の冷水熱交製造熱量と温水熱交製造熱量で見てみたものである。即ち自称4D相関図である。Your intelligence have got be more advanced and that means efficiency functioning on multiple levels and in multiple dimentions.【コンタクト、John Hurt】
 後2項は当然ターボによる製造であるが、夏場の温水の無い日、即ちダブルバンドル冷水専用運転の時期も含まれている。プラント総合COPは、当然ながら吸収式冷凍機COPに比例して上昇するが、更に冷水熱交製造熱量および温水熱交製造熱量が増えれば増えるほど良くなる。当然のことであるが目視に訴えるため作ってみたものである。




 ダブルバンドルによる温水製造は冷却水熱量の有効利用だから無料と考えてよい。
 冷却水を32℃→39℃に上げて冷却塔に捨てる代わりに、温水を例えば42℃→49℃に上げて蓄熱槽に貯める訳である。但しそのままではそこまで温度が上がらないので、凝縮機の圧力を、R134aなら冷却水の時の0.95MPaから温水製造時1.25MPaに上げてその飽和温度を取り出す。(実際は凝縮機取り出し温度が上がるから圧力が上がる。この辺はExcel 関数がある)
 更に冷却塔に捨てないから、冷却塔負荷の低減にもなる。

 厳密にはこの温水製造は無料ではなく、凝縮圧力が高くなったことにより冷水製造効率が低下するから、この低下分を温水製造コストと考えれば以下のようになる。

Doublebundle

 数値の出所は「温水供給するところのメリット」にあるが、これは既に設置済みの同一ダブルバンドルでの比較である。もともとシングルバンドルだけで、さらにそれが当所の例のように定格を越えた高効率範囲で運転できるとすれば、それと比較した温水製造コストはもう少し大きく評価される。要するに「ダブルバンドルで温水製造などと余計な事をして冷水製造費が増加したから、その差は温水製造費として計上するよ」と言うことである。

Singlebundle

 しかし何れの場合でも、温水製造蒸気量または蒸気そのものの 0.4ton/GJ、相当ガス量 27Nm3/GJ、相当CO2量 64CO2-kg/GJと比較して有利であることは間違いない。(原単位はかなりラフである)
 更に後者のダブル/シングルの比較は10年前の設備に於けるものであるが、最新の高性能の設備同士でも、ターボの効率について余程貪欲な取組みがないと実現しない比率である。通常の運転では前者と後者のちょうど中間あたりだろう。
 念のために再度ここでの温水製造コストの考え方を繰り返すと、「温水は冷却水と同等と考えて、廃物利用だから無料である」→「しかし、冷却水より高温なため、冷水製造効率が低下する」→「従って冷水で見ると本来フリーに製造した場合より製造コストが増える」→「この増分を温水製造コストとする」となる。
 勿論冷却塔の負荷も温水熱量だけ低減し、その分更に有利となり温水費は低下するはずだが、冷却塔動力は湿球温度に左右されるし、温水負荷増大時は冷却塔は左程厳しくないので、定量的算定はしにくい。

 *** 温水と蒸気のスペース比較 ***
① tonあたり有効利用熱量比は蒸気が90倍
② m2あたり有効利用熱量比は温水が3倍
③ 冷水/温水のピーク時期が違う事、高効率運転などを考慮すると温水蓄熱槽が要る。昼間時間最大5GJ/hとして、この60%を蓄熱、残りは追い駆け運転でカバーするとして、蓄熱容量は30GJ、47℃/40℃として水量約1,200m3、高さ12mとして平面積10m×10m。
 但し、「ダブルバンドルは温水主体で運転し、出来た冷水は冷水負荷のベース配分」と言う場合は、運転しにくいだろうが温水蓄熱槽は無くてもいけるかも知れない。一般的事務所であれば、OA機器もあり冬季でも昼間は冷水需要はあるから(例35万m2、平日昼間23GJ/h外気温5℃・夜間3GJ/h、2.4℃・年末年始最低2.5GJ/h、4℃)。しかし夜間は低負荷率、従って低効率とならざるを得ない。
④ 温水は供給側に循環ポンプが必要。需要側が高層なら加圧ポンプが必要。
⑤ 蒸気は需要側にホットウエルタンク、還水返送ポンプが必要。但しtonあたり有効利用熱量比からそれ程大きくは無い。
⑥ 導管スペースについては、m2あたり有効利用熱量比は温水が3倍だが、温水は往復で2本、蒸気は行き1本+還水のため保温も含めたら殆ど変らない。

 念のために付け加えると、昨今の省エネ技術の進歩により性能が急激に改善されている状況では、上記のダブルバンドル冷専COPとシングルバンドルCOPの対比は、大幅に変わって来る可能性がある。
この差は、ダブルバンドルの方は高い凝縮圧に出来るようなインペラー形状としているが、冷専時はダンパーでその揚程を殺しているから、低い凝縮圧だけにマッチするような形状にすれば良いシングルバンドルに比べその分デメリットになるなどの理由によるもので、昨今インバータターボなどでは冬場可能な限り冷却水温度を下げて、部分負荷でCOP20等と言う機械も出ている。
 そうすると全て高効率のシングルバンドルにしておいて、温水が必要なら別途ヒートポンプで製造するという手法も考えられる。冷却水と温水の10℃程度の差は、ヒートポンプのCOPには有利なはずだ。
 それらを総合的に判断して、システムを構築する必要がある。

○ 蒸気・製造熱量・電力等の効率管理に関するデータの分解能は必要十分な桁数を確保する。

 「蒸気の測定精度はそれ程良くないから、この程度で良いんだ」と言うわけでもないんだろうが、分解能0.1ton/pulseと言うのが多い。すると通過蒸気量が例えば1ton/hであれば、時間内に1パルス入るか次に行くかで、±10%の誤差を生じることになる。
 給水流量も同様で、電力は10kw/pulseと言うのもある。これでは小型機または部分負荷時の効率管理には不十分である
 瞬時値による積算値の補正という手も考えられるが、瞬時値表示も下1桁と言うのが多く、補正しても精度はその範疇を出ず意味をなさない。
 その他の数値による補正手段としては、ボイラー蒸気の場合、分解能のより大きいガス流量による補正という手も有りうるが、ある一定期間の比率一定を仮定することになり、ボイラー効率などを算定しようとすると、一部循環計算となる。ターボ電気量と製造熱量も (大きいCOPのものでは熱量側の分解能が大きくなるから、その様な補正が出来たとしても) 同様である。
 唯一補正が辛うじて考えられるのはボイラー補正蒸気量=(蒸気量積算値+(給水量積算値-ブロー量積算値)/2)位である。これは「パルスの行ったり来りは相殺されるだろう」と言う期待に基づいている。

○ 蓄熱槽の蓄熱用配管と払出用配管は別系統とする。

 配管省力化だけでなく配管引き回しスペースが確保し難い事もあるかもしれないが、蓄熱槽の払出用配管と蓄熱用配管が一部併用されている。すると、ターボ冷水ポンプの流量以下の払い出し流量だと、ターボ起動時の暖かい冷水がそのまま、熱交に流入する。
払い出し流量が多くても、ターボ起動時の高温冷水と蓄熱槽下部温度の混合したものが熱交に流入する。
 すると次のような変動を来たし、場合によってはターボ冷水入り口温度低→出口温度低で停止に至る場合もある。
  熱交2次出口温度高→熱交1次流量増→熱交1次出口温度低→ターボ冷水入り口温度低

Distributer

 これを回避するためには、熱交温調手動介入などを要するし、負荷に対して熱交出力比率が大きければ、供給温度にも影響する。
 あるコンサルさんに問題を提起したら「配管の併用は有るが、そんな問題はついぞ耳にした事が無い」と言われた。

○ オペレーターの調節系への介入操作が予想される場合は、データ収集スピードは数秒以下とする。

 監視装置などからSVやMVを操作する場合、アンサーバックが20秒間見えないなどと言うのは怖くて操作できない。
 「そんな操作はやらなくても良いんだ」という主張も成り立つだろうが、手動介入の有無にかかわらず、緩やかな室温変化などをイメージしたスピード設計の空調監視システムの延長線上の監視装置を熱源監視まで適用しようと言うのは、完全にミスマッチの世界である。
現在の調節系のPIDの時定数などを見れば、自ずとわかって来るはずで、このへんを適正にアドバイスできないコンサルはシステムのダイナミックな特性を具体的にイメージできてないことになる。
 初期投資設備費で有利だからの選択かもしれないが、その差を2,3年で取り戻せる省エネ合理化の必要条件を、みすみす放棄している可能性が高い。
省エネ的には吸収式冷水流量を制御して高効率の部分負荷運転にするなど、細やかな操作が有効である場合が多い。
 吸収式COPの負荷率に関するビデオを見て欲しい。ポイントは負荷率がどの程度COPに効くかである。





 コンピューターが陳腐化して、トラブル時の交換部品が入手できないなどの状況になった場合は、高速化のチャンスであるが、その時はぜひ吸収式の冷水流量調節計SVの遠隔化と、高再または低再の温度圧力、ついでに濃溶液低温部温度も監視ポイントに入れて、結晶温度との余裕がわかるようにしたら省エネに結びつく。
 下のビデオのように結晶までの余裕が常時監視できる。勿論この部位を見てれば充分であると言うつもりは無い。他に心配なところがあれば同様に監視すればよい。

 また蒸気量等の分解能が低く、吸収式のCOPがフラつき他の係数との関係が捉えにくい場合でも、COPの代わりに溶液濃度等を指標にすると、相関がずっと良く関係が判り易くなる。

○ 機器保温を充実させ、室温維持のための給排気ファン動力との差し引きを考慮する。

 ボイラー正面・吸収式高再低再廻りおよび配管、など5,60℃以上でもむき出しの部分は多い。これらを徹底的に保温し、また板金と内部の熱的接触がない(保温板金を高熱本体にくっつけない)ようにすれば、放熱量は極端に低下する。
 当所に於いて、弁グランドを含めた保温の徹底で殆ど給排気ファンは停止が可能になり、ボイラー側・高圧ガス側対応だけの若干の小型ファンの運転で、年間70万kwhのファン電力削減が出来た
 とりあえず機器メーカー言い値の放熱があるとして給排気ファンの一巡目設計が出来たら、その動力との比較で、後どの程度保温に金を掛けても良いか算定できるだろう。給排気ファンルームスペースの減少なども考慮してね。
 またこの場合ボイラー則「ボイラー室は負圧にしない」高圧ガス則「自動的に換気出来る装置」に対応する最低限のファンを設置 (都の指導基準での最小換気量は当所では18,900m3/hとなるが常時運転の必要があるのか、ガス検知→自動起動は省エネ観点から不可なのか) しておけば、給排気動力を最低限に抑えられる。

○ ポンプの揚程に関するオーバースペックは極力削減する。

 ポンプ揚程のオーバースペックは、インバーターで逃げなければ、配管ルートに抵抗を入れて消化するだけだから始末におえない。当所で必要揚程計算結果35m→余裕を見て40mとなっていたが、実際の必要揚程はストレーナー最大差圧など大きめに評価しても25mであった。
 インペラーカットを計画したが、「流量を確保しながら揚程引下げ25mまでは対応できない。頑張って33m」と言う説明で、「何も既存のインペラーをカットして使うとは言ってない。新作するんだから、既存のケーシングを流用して最適のインペラー曲線が描けるはずだ。インペラーカットが今後省エネのメジャーになれるかどうかだから考えて欲しい」と言ったが、殆ど「何だ、素人の浅知恵で」位の受け止め。やむを得ず33mで手を打ったが、またもや製作誤差か余裕か何か知らないが、仕上がり35mで、モーター入力200kwh→180kwhに留まった。出口弁は相変わらず半閉である。
 このように一度取り込まれたポンプ揚程のオーバースペックは、インバーター以外に排除しようが無く、冷却水ポンプなら出口弁絞り下流側の配管を一生懸命削るだけになる。従ってこれがため、出口弁は半閉でも以前より少しはマシだろと、投資効果的には余り期待できないインペラーカットだが、同種ポンプ2台目も実施する計画である。

○ インバーターはノイズ対策を充分に行う。インバーターの設置場所は電気的にも空間的にも、冷凍機機側盤内マイコン等とは出来るだけ離すまたはノイズ進入防止対策を徹底する

 冷凍機機側盤内にマイコンを有する某社機器の電子部品を交換したら、蒸気が入り難くなった。停止中は蒸気調整弁も規定どおりに開くが、実際に運転すると80%程度の開度にしかならない。
 色々調べたら、溶液ポンプが廻ると開度が下がるようだ、インバーターが同じ盤に設置されているが、これが運転するとマイコン(と言うより付属のアナログ電流出力だから周辺機器DAコンバーターだが)の調整弁制御信号電流が下がると言う。
 ノイズならば、回転数の少ないときのほうが影響が大きいはずだと調べてもらったら正にその通り。部品交換で入力部の対ノイズ性が低下したか、出力部の電源平滑性能が低下したか、現在対策を検討中である。
 
 インバーターは一見省エネの打ち出の小槌である。適所に設置すれば、直ちに不要な電力を削減してくれる。しかし次のような観点での検討は必要である。
① 冷却水流量を負荷にあわせて絞ろうとする時は、冷却水を絞ったことによる効率の低下を定量的に把握し、省エネ量を精査すること。「電力が減ったバンザイ・バンザイ」だけで評価してはならない。
  当所の例では、冷却水流量半減に伴うポンプ動力半減と、吸収式冷凍機効率低下(冷却水全量のまま負荷を半量にした時に比べて)はエネルギー費的にほぼ同等である。
 この場合インバーター化する意味も、それどころか冷却水ポンプを負荷に合わせて停止する意味も無い。これは極端な例だと思い、あるいはインバーター化のメリットを定量的に把握(ポンプのオーバースペックの解消だけなら、余程極端な場合に35%程度の削減が期待できる場合がある)しようとしたら、貴プラントでも調べてみる事だ。





② 冷却水流量を負荷にあわせて絞ろうとする時は、是非とも冷却水流速低下が、スライムおよびそれをバインダーとするスケール付着に悪影響を及ぼさないことを見極めておく。性能低下や緑青発生に繋がらないように。
③ インバーターは設置場所を精査し繊細な電子機器とは電気的にも空間的にも離す。またノイズ対策を充分に行う。ノイズ影響の評価はインバーター低負荷運転で見てみる。

○ 冷却水系統の滞留の起こりやすい弁はボール弁やスルース弁の縦方向とし、できるだけ異物の溜まりにくい設置を心がける

 運転6年後、吸収式機側盤の上方、冷却水ストレーナー差圧検出入口側取り出元弁の弁本体真下側にピンホールが発生した。
「電気盤に降りかからなくて幸いだった。早く気付いて良かったね」と製作不良か偶然の事故(韓国語では有故ユゴと言うらしい。【大統領有故】と言う朴大統領暗殺の映画かあった)と済ませられない心にかかる物があった。即ち、
① 冷却水系統の末端に位置するストレーナーの入口である
② 弁本体の下側がそれも局部的に腐蝕減肉している
 念のために下のストレーナー出口元弁の内部を点検すると、同一部位に同様の腐蝕が進行していることが発見され、メーカー持ち込み調査した。

Valvepinhole

 調査結果・想定原因は別紙の通り
① 最大1mm/y程度の減肉スピードであり、異物の滞留の少ない出口側弁下部は、0.2mm/y程度の減肉スピードである
② 死に水により、内部に異物が滞留
③ 酸素濃淡電池形成により、局部腐蝕が進行した
 
 当所では、冷却水系統の末端から2番目のストレーナー差圧入口弁なども注目している(電気品の近傍上部ではないので、漏れたらその時はその時)が、運転10年の今のところ進展は無い。
系統的には異物の多い、死に水になり易い部分が要注意であり、同様弁はボール弁やスルース弁を縦方向に配置するよう心がけて、異物の滞留が生じないようにしたほうが後顧の憂いを絶つ事になるでしょう。また電気盤の上方への設置は避けるなどの配慮も良いでしょう。

○ 計装回路電源は許される限り100Vとする。

 低電圧では接触抵抗が出ると電圧ドロップによりリレーをドライブできないことがあるためリミットSWは低接触抵抗型にする必要がある。低接触抵抗型リミットSWは金メッキなど特殊であり高価である。
 交換しようとしても入手が不如意と言うこともある。(SWメーカー直接ならそんな事も無いかもしれないが、機器メーカー経由でやろうとすると偶にある)

○ 調節弁作動中に、動作電流を測っておくと、弁のかじり傾向がわかる。

 高頻度の測定の必要は無い。クランプメーターで年に1回でも実施して、同タイプの弁同士比較しておけば、どの弁がかじり傾向にあるか判る。
当所にて需要家冷水調整弁が、設計2A、同機種の実際1.5A程度のもので、弁のかじり(一定の開度付近で特にかたい)により3Aのヒューズが頻繁に飛び、弁を交換した実例があり、その後同種弁を一斉点検した。

○ ドライブリレーの接点容量と、被ドライブ機器の電流がマッチしているかチェックしてみる。

 ボイラーガス遮断弁の開動作が悪く、調べたら遮断弁開時のモーター電流5アンペア弱を接点容量3アンペアのミニリレーで制御するシステム設計になっていた。とりあえずは動いていたかも知れないが、長期間開閉したら当然接点が荒れて接触抵抗は0.1~数Ω間をフラフラ。ラッチのかかる位置までモーターが駆動できず、遮断弁が途中で落ちていたのが判明した。
 メーカーに確認したら、営業曰く「当社は2~3年毎にリレーの交換を推奨しています。取説の17ページの13番『制御盤・接点部の消耗』の項目に『交換、整備時期の目安』として『1年』とちゃんと明記してあるじゃないですか」と言われた。ハハーッ。もうひれ伏すしかない。
 このような確信犯には自衛せざるを得ないから、もしガス遮断弁など比較的大きな被ドライブ機構の動作が不安定なら、ドライブリレーの接点容量との関係をチェックするのも手である。
 「そんなバカな話、有るはず無いだろう」って?誰でもそう思うでしょう?DHCに実績の多い某中堅メーカーの製品はそうなっているんです。

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plein conte 劇場Ⅱ

 またまた、絶大なるご好評に応えて(「来訪5人で?」「しつこいな、ココログビデオ共有では200人以上が見てるの!」) 、OpenGL10基搭載超弩級プラント性能シミュレーターをビデオにした。
このツールは、冷熱系統の性能に関する機能を殆ど網羅しているため、表示・操作アイテム数も多く、とても1巻のビデオでは表しきれない。
従って、どんな表現が出来るかとりあえず闇雲にやってみたものをアップロードしたと言うレベルに止まるが、blog の当該カテゴリーに於ける本ツールの重要さは極めて大きく、今後あらゆる手法を通じて多彩なパフォーマンスを収録していくつもりである。
 ダウンロードが煩わしかったり、操作が取っ付きにくいと言う人も、当ビデオでどんなことが出来るか眺めてみてください。そこでインセンティブが獲得されれば幸いです。
 プログラムはintegratorp.exe (774.0K)で、説明は「UltraSuperDreadnoughts!OpenGL10基搭載!」「UltraSuperDreadnoughts Delphi ソース 」にあります。(pickなし)

 [概略ストーリー]
 まず全体を俯瞰し、その後上下段の3D特性図をオリエンテーションしながら、各軸の説明をする。字幕やデータが読み切れない時は適宜停止してください。
また、少ない容量に出来るだけ多くの内容を持たせようとしたあまり、ビデオと言うより殆どスライドショーになってしまいました。
 図の外枠は、データ最大値の1.1倍で作成しているためCOPなど驚くほど大きいかも知れないが、これは「効率管理に必要な蒸気計測分解能」「省エネの条件整備」等に既述した、蒸気量の分解能の低さが災いして、高めのCOP計算結果となる時もあるからで、反対に低めのデータも同数あることになる。
 データーが低負荷帯で上下に広がる左向きの三角形となっていることが、これを裏付けている。
しかし、平均的な意味の相関曲面では相殺されるから、使用に供することに問題は無いだろう。
 中央のプラント操作画面には、冷熱総合の原単位、機器運転データ、性能数値などと共に、機器コントローラースイッチ類がある。
 次いで、操作のさわりとして冷凍機の出力を変化させ、運転ポイントが移動し併せてCOPや蒸気量、更には蓄熱放熱が変化する様を見る。
この時、特性図は見やすくする為クローズアップ・回転・アルファーブレンドを効かせた。図に陰影を出すため光線方向の設定などもう一工夫必要だろう。
 アップロード・ボリュームの関係で、終りは「to be continued.」になっている。
 当所では65インチスクリーンにこれがドカーンと表示される。

 [次回以降予告]
 "SEE YOU SOON!" 【ラッシュアワー2、オリジナル劇場予告編】の盗作 ۵
1.冷凍機出力変化による、冷却塔電力の変化、冷熱総合の原単位の変化
2.冷却水温度変化による、冷却塔電力の変化、冷凍機効率の変化、
3.湿球温度変化による、冷却塔電力の変化、冷熱総合の原単位の変化
4.ボイラーの切替え、蒸気原単位の変化
5.機器3D特性図 pick 機能実例
6.その他コンター色調節、光線方向調節実例

 [CMタイム]
 貴プラントの概略系統とデータの提示があれば、同様のツールを無償で作成する用意があります。

 

 次いで2つのビデオを提示する。「溶液結晶温度3D図」と「3D-FFT」である。
 前者は「結晶温度は負荷率により下がる」等に既述の溶液結晶温度 = f ( 負荷率 ・ 冷却水温度 )の特性を idea で実行して video にしたものである。
 後者は直接省エネとは関連しないが、プラントの安定という観点からの、ベアリング軸受け探傷のための「3D-FFT」「3D-FFTの適用の実際」ページに既述のツールの触りである。

 当所は高再圧と高再温度を遠隔監視可能にして、これから「Excel 関数 DLL」ページのデューリング式から溶液濃度を、そして若干の補正後結晶温度を得ることが出来る。これと負荷率・冷却水温度の関係を図示したものである。
5台の冷凍機とも、負荷率によりまた冷却水温度により結晶温度が下がる同じ特性であることを示すため、芸も無くただひたすらぶん回すだけのコマ割となっているが、ここを押さえておけば(フル運転時は避ける。冷却水は急に下げない)更なる冷却水温度低下運用が可能ではないか。
 我と思わんプラントは追試してみて欲しい。これは定量的省エネのメインである。(冷却塔の弱いところは別だが)

 FFTの方は、傷の実例が表示される。実際の傷の画像を見せたいが、顕微鏡写真でないと写らないほど微細な傷である。1番良く判るのは爪に引っかかるからである。
その程度の傷がこんな大きな波形で現われるということは、FFTによる探傷が有益だということである。



 初めの波形はデータを2秒間しか採ってなかった。後者は5秒だったので、高精度計算もできたものである。
また振動波計は、時間と共に大きく変動しているのが判る。従って振動値の増加率などというものを計算しようとするとかなりのサンプルが必要となるのが良く判る。このため当該プログラムは遠近法の perspective であることも有って、あえて振幅方向の値を表示していない。これを手抜きの言い訳と取るか否かは自由である。
滑りのスライダーが異様に大きいのは、プーリードライブのファンの軸受け等で減速比が大きい場合でも、これで調整してサイクルを合わせるためである。その後、60Hz に対応していないことに気付いたが、このスライダーをマイナスに振ることで対応可能である。

 ところで、貴DHCプラントの保安規定に「循環ポンプの軸受け部の磨耗および振動の有無」を13ヶ月 (12ヶ月と書いて、曜日などの関係で1日でも遅れていると、立ち入りの時「出来ない可能性があるときは13ヶ月にしておいてください」等と行政指導があるから。行政の査察なんて本質論は少なく殆どこんなの ۵、たまにあっても「吸収式もあるんですか?吸収式よりターボの方が効率的ですよ」「ハイハイ、この次建設する時は設計屋さんによく言っときます」) に1回検査するとなっていませんか。その場合「磨耗」はどうやって調べるんでしょう。昨今の原子力安全保安院の立入りの時訊かれた所は有りませんか?
「当該ツールで振動波計から検査しています」と言う回答が可能です。何もありませんというよりましでしょう?というより原子力安全保安院もちまちましたDHCなんかの重箱をつついて廻るより、原子力発電所の重要機器の軸受け管理がどうなされているのか調査する方が余程重要ですよね。
大型機器でメタル軸受けが大半なんだろうけど、大電力だから、多分同様のツールは常備されているでしょうが、プロの製品がどんなものか機能面で勝負してみたい。
 ビデオで見て、一部の機能がメーカーさんの製品に無くても黙って使ってもらって結構です。その内(今、対比可能な様にデュアル化を試行しているので時間が要る)パスカルソースも開示されるでしょう。完璧に見難いが۵

 OpenGLの3D図ばかり続いて食傷気味だが、3Dじゃないものも行ってみよう。
溶液結晶温度の挙動」「溶液結晶温度・実濃溶液温度対比」「冷却水温度が下がっても結晶裕度は増えた」等のページにある、溶液結晶温度と実濃溶液温度対比グラフの動きである。
 冷凍機の高再圧と高再温度から高再の溶液濃度を求め、シングルフローは濃度が更に2%増、パラレルフローは1%薄まると安全サイドに仮定して、濃溶液濃度としている。これから結晶温度を求めて実温度と比較する。
 実際には、高再→高濃度低温部まで数分の時間遅れが有るんだろうが、このグラフではリアルタイムの突合せだけにしている。学術的にはどの程度の余裕になるか知りたいが、実運用としては、山と山谷と谷のタイミングを一致させて、結晶温度の山と実温度の谷がかぶさる様な、下図のような運転は絶対しないだろう。

Cristaltmpcurv

 蒸気が絞ったりして高再温度に対して急激に圧力が下がると、溶液濃度、そして結晶温度は上昇し余裕はなくなる。



 実際のスピードの10倍早送りである。
 以前この様な考え良いのかメーカーさんに訊いたら「圧力が下がると、冷媒が急激に蒸発しています。多分正しいでしょう」と言う回答があった。
 貴プラントでも、チャンスがあったらメーカーさんに裏づけを取ってみてください。
何度も言うが「無理をして何かあったら責任を背負うと思う程、会社には入れ揚げてない」と言うのと、「年間○○○万円の省エネゲット!」のせめぎ合いである♪
 この例では、冷却水温度は27.5℃程度、負荷率は90%~86%程度で推移している。

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plein conte 劇場

 置いてあるビデオとその主張するところは、以下の通りである。
1.3D図「冷却塔電力=f (冷却塔入熱・冷却水温度-湿球温度)」
 湿球温度に近づけて冷却水温度を下げようとすると、たちまち動力が増えるから、湿球温度が高い時は無理をせず、湿球温度が低い時に冷却水温度低の高効率を享受しよう。
 また夏場に貴プラントの冷却塔の性能が出ないと感じている人は、この様な観点で再度眺めてみてください。
2.4D図「吸収式COP=f (冷却水温度・冷水流量・冷水出入口温度差)」
 吸収式の低負荷の高効率は、一般に「冷水出口温度を下げれば効率が上がる」と表現されていますが、冷水流量を下げても同様です。前者は供給温度に影響してやり難いですが、後者はその点大丈夫です。
 冷水負荷全量半量の切替がある機械は、その間連続的に冷水流量可変の場合が多いので、どうせなら監視装置から遠隔操作可能にすれば、低負荷の高効率が享受できます。

 その他の作品も今後どしどし追加する予定です。「こんな画面のビデオも」と言うリクエストも受け付けます。
 それでは開幕です。

 概略ストーリー
「冷却塔電力3D図」
 まず全体を俯瞰する。縦方向は冷却塔ファン電力である。縦枠の最上部が 600kwh である。右方向は冷却塔入熱で、2乗のカーブで増加するのが見て取れる。右枠の最大値は 160GJ で、これは製造熱+製造熱/COPだから、吸収式で最大製造熱は 90GJ 程度であることが判る。
 次いで、少しクローズアップして右に90度回転する。左方向は(冷却水温度-湿球温度)となる。最大値の30℃にはあまり意味は無いが、湿球温度に近づけて冷却水温度を下げようとすると、たちまち動力が増えることが判る。
更にクローズアップして、増え始めたところのデータと相関曲面をそれぞれピックすると、そこの数値が表示される。
後は全体の関係を眺めるためにグルッと一回りして終了する。

 実は、この重相関計算でこの相関関係を拾ってくれたのは、平成17,18年度の頃だけである。最近は何度やっても integrator2p.exe のCT図や idea.exe の例に様なる。
 ここにも当所の省エネの効果が現れていた。
 冷却塔入熱と(冷却水温度-湿球温度)の関係の特徴が掴みやすいので、説明もし易いし判りやすいだろうと、説明にはよくこれを使っている。
 

 「吸収式効率4D図」
 「吸収式COP=f (冷却水温度・冷水流量・冷水出入口温度差)」である。
これは、吸収式は部分負荷で高効率になるが、その部分負荷とは冷水流量が下がった場合か、冷水DTが下がった場合かを見ようとしたものである。「annoying result.」、「4D重相関ヘビーデューティ」、「高効率のための吸収式負荷率低減手法」など参照。
 まず、冷却水温度区分で相関曲面軸を作成する。温度範囲は25.82℃~32.27℃の8区分である。
 縦方向はCOPで、縦枠の最上部が 1.95 である。当然、冷却水温度は低い方が高効率だから、相関曲面軸も低い方が上に張り付く。
右方向は冷水流量で、定格860m3/hの1.1倍となっている。これは少ない方向が高効率である。奥行きは冷水DTで、手前少ない方向が高効率となっている。
従って定性的には両方とも効くようだ。
 ビデオの途中で、この事を、比較的見やすい冷却水温度26.74℃の相関曲面にCOPのコンターラインを引いて確認している。
最後には、実データ分布傾向と、冷却水温度区分の相関曲面軸の傾向が一致することを確認している。

 

 続いてplein conte 劇場第2弾である。
 ビデオとその主張するところは、以下の通りである。
1.Duo3D図「吸収式COP=f (冷却水温度・冷水負荷率)」冷却水量区別
 同じ機械で、部分負荷運転時に冷却水流量が半量の場合と全量の場合で効率がどのように違うか、2つの3D図を重ね合わせて比較します。
 「部分負荷時に冷却水流量を下げればモーター動力が減る分省エネになる」と言うのは、定量的にまるまるその通りではなく、効率が低下する分差し引いて考えなければならないのがわかります。
 インバータ化した場合の償却期間もその分伸びるはずです。
2.4D図「吸収式COP=f (冷却水温度・冷水負荷率・冷却水量)」
 上の主旨を4D図で見てみます。

 概略ストーリー

 「吸収式効率冷却水量別Duo3D図」
 まず冷却水流量全量時のデータ190件を表示し、続いて全てのデータ220件を表示する。増えた点が冷却水流量半量時のデータで、効率的に低いところにある。
相関曲面を当てはめると、赤は全ての場合、青は冷却水全量時のみであり、部分負荷時の性能が大きく違っている。冷却水半量のデータは30件であるが、それが相関曲面を引き下げている度合いは大きい。
 この機械は冷却水ポンプ2台で、冷却水半量で動力も半減するが、それと同等の蒸気(07年度の単価で電気代相当額のボイラーガス)を消費するようになり、どちらに転んでも同じと言うことになっている。
 また、確証は無いが、冷却水管スライムの付着・堆積が冷却水速度(3m/sec 対 1.5m/sec)に影響されるとすれば、それのもたらす性能低下・洗浄頻度増・最悪の場合の緑青などを考えると、簡単に「冷却水流量低下で省エネ」とは割り切れない。
 最後に鳴り止まぬアンコールに応えて各ポリゴンの色彩を150色から選択・変化させて、ヒーリング効果♪が有るかどうかを見ている。

 「吸収式効率4D図、相関曲面軸=冷却水流量」
 「吸収式COP=f (負荷率・冷却水温度・冷却水流量)」である。
これは、上記比較に対して、冷却水流量を相関曲面軸としたものである。
実際の冷却水流量は半量700m3/h近辺と、全量1400m3/h近辺とであるが、途中の変化を拾った場合は10分毎の6個の平均になる。データ個数が210個と少ないのでやむを得ずこれを使っている。流量範囲は6区分にした。
やはり中間のデータが少ないので、しっかりしたカーブになりにくいが、半量の近辺で冷却水流量の大小がCOPの差となってはっきり現われている。



 この図から、「筆者の冷却水流量半減で省エネ?」と言う疑義は根拠が弱いのではないかと言う反論も期待出来るが、それを待つためにあえて提示してある。
論議が活発になれば、めっけものだし、反論する人は上記Duo3D図や「冷却水半減で省エネ?」「You've told me that a thousand times already.」のデータをどう解釈するか、納得できる説明をする必要がある。

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