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5D相関図。付いて来れるかな♪

 長い間、空手形のままで気になっていた5D表示の1つの答えが出たので、紹介しよう。
3D表示からの進歩をおさらいすると、
COP = f ( 負荷率・冷却水温度 ) のような相関式を表示するには、特性値および説明係数2つ、都合3つの数値を表示する必要があるため、3D空間に表示することになる。
 描画はDirectX でもよかったが、4角ポリゴンの方が考え方が楽だしポリゴン数も少ないだろうとOpenGLを使用させてもらった。
数値読み取りは、目盛りを付けたとしてもパースペクティブにより最早不可能なので、pickにて相関曲面、データとも読み取れるようにした。
これにより暫く実機の効率関係データを眺めつつ、その内在するポテンシャルに我ながら驚いていた。
 ある時、監視装置メーカーさんに得意気に3D相関図をプレゼン?している最中にしゃべりながらふと閃いたのが、離散的で良ければもう1次元増やせるということであった。
これによりCOP = f ( 負荷率・冷却水温度・冷却水流量 ) やCOP = f ( 冷水入口温度・冷水流量・冷却水温度 ) のような相関式を表示出来るようになった。
表示はあくまで3D空間内であるが、離散相関曲面軸を重ね見ることにより、その数値によりCOPなどの特性値がどう動くのか判るようになった。
 また、「3D空間に1次元増やして表示するから4D相関図だ」と牽強付会をやったので、出来るだけ突込みされないように各説明係数の扱いは等価にした。即ちどの説明係数でも直ちに相関曲面軸を初めとした各軸に貼り付け変更可能とした。
これにより更に利用価値が上がった。

 人間の欲望は限りなく、そうすると今度は冷却塔電力 = f ( 湿球温度・湿球冷却水温度差・冷却水往還り温度差・冷却水流量 ) やCOP = f ( 冷水入口温度・冷水流量・冷却水温度・冷却水流量 ) のような相関式を扱いたくなり、今までの云いで行けば5D相関図だということになるが、なかなか手が付かなかった。
 もう一つの軸も離散表示が許されるならば、理屈上は更に離散相関曲面軸群を重ねても良いはずだが、どの様な色彩表示を多用するにしても、最早識別は不可能だろう。
 今物理学で4次元と言う場合、空間3次元+時間1次元となる。それならば離散相関曲面軸による4D相関図を時間方向で振らせ、これを時間軸と呼べば何とかもう1次元増やせるのではないか。又もや離散表示にならざるを得ないが。
ということでやってみたのが、下図である。

5d

 時間軸は表示がこれだけで図と同時に見なければならないので大きめにして、色調も変化するが、自動でトラッキングしてくれるし、手動で自由に変えられる。
勿論、各説明係数の各軸への貼り付け設定は等価である。
 最初時間軸に張り付ける係数を決めると、残る3つが相関曲面軸コンボボックスに表示されるから選択すると、残り2つがXおよびZ軸に割り振られる。
 ちょっと懇切に説明しようと (あるいは、こんな事もやってるんだぞと威張ろうと) すると直ぐこんな図になるが、実際に動かしてみれば直ぐわかる。
 4D図が出来た時は、かなりヘビーでラジカルな気がしたが、時間軸で5Dをやってみて係数落ち (計算で相関を拾ってくれなくて式に入ってこない) などで4D図に戻るとホント寒々とした印象になる。だって動かないんだもの。

 配列も野放図に使っているので、パソコンのリソースがパンクするかも知れない。
描画の途中でポリゴンを作ると時間が掛かるので、データ粒の大きさを変える時以外、各軸区分数が決まったら一気に作ってしまう。従って殆どのポリゴンは時間軸数値が自分の出番になるまで、描画されずに隠れているわけだが、配列は使用されている。
 相関曲面は1辺が60区分としてポリゴンで約3600個、これが8面あるとして3万個。また時間軸方向に10区分として30万個になってしまう。これの4隅のポイントはベクトルで120万個である。
データが3000個あるとしてポリゴンは18000個。ポイントで7万個のベクトルである。
ポイントについてはベクトルだけ格納すればよいが、ポリゴンは4隅のポイントNO、描画するか否か、法線ベクトル、pickされたか否か、離散曲面軸のどのグループかなど種々の数値を保持しておく配列が必要になる。
 おっと、相関曲面裏側の光の当たり方も表現することにしたが配列の合理化努力をしてないから、表裏でその2倍だ。 (データキューブの6面については、裏から見られることは無いから1方だけ作ればよいが)

 更に説明係数が増えたことから、共線性のある係数でも何でも取り込んで、「寄与度が高い」と悦に入る危険性があるが、貼り付け軸を変えながら観察すれば何れ気付くし、Excel で2者の相関を見ればよい。
それよりもやはり、必要な係数を取り込めることから、より正確な分析が可能となるメリットのほうが勝る。
 例えば今まで吸収式の冷水出口温度高でCOPが高くなるというデータを確認出来ないでいた。「annoying result.」 など参照。
これは吸収式の「冷水入口温度が上がったら定格付近で運転していて余裕が無ければ、冷水出口温度もなかなか下がってくれない」という運転状況を考えても、冷水出口温度には冷水入口温度と強い共線性があると想定され、cop = f ( 冷水出口温度 ・ 冷水流量 ・ 冷却水入口温度 ) などとしても、相関を拾えないか逆の傾向さえ出てくる有様であった。
 ふり返れば、これが相関図の次元を上げていったモチベーションの1つでもあったから、それはそれで「機会や機械が薫陶してくれる」と有難く受け止めて置けばよいが。
 冷水出口温度が単独で上がるのならCOPも高くなるかもしれないが (理論的にはそうなることを確認済み「3Dデューリング線図の試作」参照) 、冷水入口温度上昇による冷水出口温度高である場合、前者が上がることは負荷率が上がることになり、COPは低下するから、冷水出口温度高がCOPの低下に結びつく。
 これはちょっと考えれば気付くことで予想はしていたが、5D相関図でその点がクリアーに把握できた。
実は上図がそれで、COP = f ( 冷水出口温度 ・ 冷水流量 ・ 冷却水流量 ・ 冷却水入口温度 ) である。但し同一冷水入口温度14℃~15℃の範囲で括ってデータ数240個である。
 相関曲面軸に冷水出口温度CSTmpが設定されており、温度が高い方が高COPであることが判る。6.28℃~8.08℃30%の変動幅でこれだけの差である。
 右手冷水流量CSFlow大で低COPであることは、負荷率大だから当然であり、奥行き冷却水入口温度CWTmp高で低COPであることも既知である。
図は固定だが、時間軸冷却水流量のスイープによりデータおよび曲面は上に向かって繰り返し動いており、736[m3/h]~699[m3/h]のたった5%の変動幅であるが、その間の冷却水流量の影響も拾ってくれた。

 それでは導入説明はこのくらいにして、実際に動かしてみよう。
プログラムはダウンロード 5D.exe (978.0K)である。glut32.dllが要る。
データが3組メモに書き込んである。
COP = f ( 冷水出口温度 ・ 冷水流量 ・ 冷却水流量 ・ 冷却水入口温度 ) と、COP = f ( 冷水入口温度 ・ 冷水流量 ・ 冷却水流量 ・ 冷却水入口温度 ) および冷却塔電力 = f ( 湿球温度・湿球冷却水温度差・冷却水往還り温度差・冷却水流量 ) である。同じ冷凍機である点は作為は無い。当所の低効率機でついつい注目したくなるから今回も見ているに過ぎない。
 データを選択して「② clipbrdCopy」ボタンを押せば、文字通り clipbrd 経由で表に取り込む。
後は③④と押し進むだけである。
直ちに5Dが描画される。
時間軸区分が8、曲面枚数が4だから、ポリゴン数は20万を超えるが、相関計算を含めて描画まで1瞬である。
 マシン語 ( 昔Vtune と言うインテルアーキテクチュアー内でマシン語コードベースでパイプラインの最適化など高速化を支援してくれるツールがあった ) はもとよりパスカルソースでも、高速化努力は全然しないで頭に浮かんだコードを書き連ねるだけでこれである。やればやるほど Delphi に惚れ直す。
 シェープアップはこれからゆっくりやろう。法線ベクトル配列不要の可能性もあるし、ポリゴンピッチ可変のアルゴリズムだってあるだろう。

 時間軸に冷水出口温度が張り付いていて、自動でスイープしている。これに伴い、COPは高めに動いていく。
相関曲面の動きに惑わされず、データの動きだけ見たい時は、「曲面表示」のチェックを外せばよい。近づいて見たい場合は縦のスライダーを前進させる。Ctrl パネル表示が off の時は、「↑PgUp 」でも良い。
 続いて相関曲面軸を「冷却水流量」にして見る。非常に幅が狭いが、冷却水流量が大きい方が高COPである。この号機では5%の変動幅しかないからこの表示だが、他号機でも冷却水流量がCOPに影響することは「You've told me that a thousand times already.」「You've told me that a million times already.」などに確認済みである。
時間軸に冷却水流量にして見ても、これの動きに伴いCOPが上がって行く。高い冷却水温度、低い冷却水流量の時の方が効きが大きいようだ。

 いろいろ動かしてみて納得したら、続いて相関Ⅰに戻り、「AR4_CrTmp」を選択して同様に②③④と進む。
今度は冷水入り温度が時間軸に張り付いていいて、自動でスイープしている。これに伴い、COPは下がって行く。さっきとは逆方向の動きである。これは負荷率大によるCOP低下だが、冷水入口温度高→冷水出口温度高になりやすく、ここをしっかり峻別しておかないと、冷水出口温度だけの影響がつかみにくかったわけである。

 続いて相関Ⅱに戻り、「CT_kwh」を選択して同様に⑥⑦⑧と進む。②③④と全く同一機能だが、3D対比は基本スペックだから2つ目のプラットフォームとして残してある。
これは冷却塔電力 = f ( 湿球温度・湿球冷却水温度差・冷却水往還り温度差・冷却水流量 ) だが、技術的に何か意味があるかというより、どちらかと言えば、5D図のチェックのために入れてある。
 描画したばかりでは、冷却水流量が時間軸、冷却水往還り温度差が曲面軸に張り付いている。上にどんどん伸びていくがこれは何だ?
右下の「limit」にチェックを入れるとギザキザの曲面が出てくるようになった。これは4隅の点の値が、垂直軸特性値の2倍を超えるポリゴンを描画しなくする機能だが、冷却塔電力は湿球冷却水温度差が小さいと急激に大きくなるから、0.5℃などの描画点で実際の特性値の最大をはるかに超える計算結果になったものである。
そこの調整を正攻法で行わず、小手先で大きなものは描画しないとしたから、ギザキザになったものであるが、何れにせよ成功したとはいえない。ポリゴン作製範囲から考慮しなければならない。
 ただギザキザで判るように、「相関曲面の1辺が60区分と言うのは多すぎないか」と思った人が居るとすれば、これが1つの答えである。

5d2

 また、冷却水流量の大きい方が、冷却水往還り温度差の大きい方が、冷却塔電力が大きいというのは、冷却塔入熱だから良いだろう。
しかし湿球温度の効きが「当然高い方が、電力も高くなるだろう」という期待と逆になったのはどう考えるか。
 湿球温度は当然湿球冷却水温度差と共線性がある他、冷却水流量とも共線性がある。また、冷却水流量は冷却水往還り温度差にも効いてくる。従って寄与率が0.88となっているのは兎も角、ここで湿球温度を説明係数に入れるのは間違いであった。
湿球温度の上昇に伴って、冷却水流量が増え、冷却水往還り温度差も大きくなるからそちらの係数の高い方に移る。当然湿球冷却水温度差は下がるから、低い方に移る。何れも冷却塔電力増加方向で、3つともそちらに動こうとするからバランスによっては湿球温度だけを取り出してみれば下がるように見えるのかも知れない。
 更に、湿球温度が高い時は夏季ピークの最中であり、当所では冷却塔電力も恣意的に抑制しているから、その影響もある可能性があり、まだ充分吟味出来てない。
出来栄えは兎も角、新酒が出来たお祝いのボージョレー・ヌーボーのように、5D相関図が出来たお祝いにとにかく乗せてみたと言うレベルにとどめておこう。
 今後展開するであろう未知の可能性に期待して。

 コピー元データ選択を「手動コピー」にすれば、Excel で下図の様式で作成したデータを丸々コピーした後②を押せば表に自動的に貼り付け、計算に供する事が出来る。
データのカウント以外何のチェックもしていないので、様式を間違えずデータを作成して下さい。

5d3

 気楽に作っているが、シェアーウェアーにするならこの辺からちゃんと作るんだね。

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高効率は、低結晶温度

 遠回りになるが、冷却水薬注2液化によるターボ効率アップ (厳密にはスライム成長による効率低下抑制) のカーブを見て、「一目で効果がわかる。なぜ吸収式はこんな綺麗なカーブが描けないんだ?俺は立体図に弱いんだ」と言う尤もな質問が出てくる。

Result_6 

 冷凍機のCOPは COP = f ( 負荷率・冷却水温度 ) あるいは COP = f ( 負荷率・冷却水温度・冷却水流量 ) と言うような変化をする。
 ターボは夜中殆ど定格一定負荷で運転している。夜中だから冷却水温度も夏季ピークのような余計な操作 (冷却塔電力抑制) をしていないからそれなりに安定。生のカーブを描いただけで綺麗に出てくる。
 一方吸収式は、高効率を目指して負荷率は冷水需要と蓄熱に見合って変化させる。夏季ピーク時間帯は、電力抑制で冷却塔は弱くする。冷凍機台数も減らし負荷率も上がる。
そのまま書けば下図のようになるが、これじゃ納得できない。
同じ負荷率と冷却水温度では多少上がっているようだが、判りにくい。

2lq_ln  

 従って吸収式でターボの絵のようなものを描かせるとしたら少なくても、冷却水温度・負荷率が同等の運転状態をプロットしなければならない。
 ちょっと大変だが、どんな風になるかやってみよう。

 気になるのは、当所の積算パルスの分解能の低さである。吸収式では半量運転時の蒸気量では3%近い誤差がある。時間内にパルスが入るのと、入らないで前後の時間に行くのでは、その2倍の差になる。半量運転時の熱量では1%である。
ターボも全量熱量に対して1%程度、電力で1.5%であるが。これが吸収式の場合一定運転とは言いがたいから、かなり誤差の行ったり来たりがあるはずである。
 これを出来るだけデータに取り込まないため、トリムという手法も取り入れたが、トリムは諸刃の剣である。吸収式の今回のような集計では返って逆効果の場合がありうる。
最終的に時間系列で見ようとする場合、トリム条件を余り厳しくすると、大きな時間帯に於いて脱落が生じ必要なデータ系列が得られない。
厳密に言えば、その間当該条件での静かな運転がなかったと言うことであり、それはそれで無くてもしょうがないが、特徴ある部分のデータ欠落と言うことにもならないとも限らない。トリムはその辺の兼ね合いも考慮して行う必要がある。

 トリムした後は、18GJから24GJ、冷却水温度を25'Cから28'Cまで区分して、それ以外のデータを外して時系列に曲線を描かせれば良いだけである。
これは全て Excel マクロでやってしまう。取り立てて言うほどのものではないが、知らなかったがやってみたかったと言う読者には参考になるだろう。該当する行を EntireRow.Delete する例である。
 ダウンロード ar1_2lq_ab_COP_WT.xls (282.0K)には 3D なら下図 (上方向COP大、右手方向負荷率大、奥行き冷却水温度高。赤が2液化前、青が2液化後) のようになる AR-1号機の 2008年4月1日から現在までの該当データ2000件に対し、少しトリムを効かした1257件がある。

2lq_ln_2

 「COP選択」ページの罫線内に選択する中心の GJ 、温度を設定して「row_delete」ボタンを押すと、無関係のデータは消えてしまう。マクロを見れば判るが、 GJ は±2GJ 、温度は±1℃ を超えて離れれば消去される。
これをシコシコやったのが下図である。横軸は2008年4月1日からの該当の運転時間で、少なければピッチが粗くなる。赤矢印が2液化変更時である。特徴が見やすいものに限ってある。これ以外はこれ以上に判りにくいと思ってもらってよい。
確かに2液化後場合によっては COP 0.05 程度の上昇があると言っても良い部分もあるようだが、変動が大きくとてもターボのようなグラフにはならない。

2lq_ln1 2lq_ln2 2lq_ln3

 これは既述の積算パルスの分解能の低さのせいもあるだろう。他に良い指標は無いだろうかと思案して思い出したのが、溶液濃度である。
溶液濃度は COP とは逆の関係にあるが、相関を計算すると寄与度が大きいことを確認してある。これを使えばもう少し見やすい曲線が引けるのではないかとやってみた。
 溶液濃度は、高再圧と高再温度から計算する。Excel 関数 DLLの出番である。
  溶液濃度[wt%] = ltbrtp_w ( 高再温度[℃] 、mp_mmhga ( 高再ゲージ圧[Mpa-g] )
同様に2008年4月1日からの該当運転時間を横軸にとり、赤矢印が2液化変更時である。COPのグラフよりは幾らか特徴がつかみ易い。2液化以降明らかに濃度が下がり、効率が上がったのがわかるが、局所変動は不明である。ターボのカーブには今だ覚束ない。

2lq_ln1_2 2lq_ln2_2 2lq_ln3_2 2lq_ln4

 この様に、吸収式の2液化前後の COP をターボのようにスッキリと描こうと言う目論みは、あまり成功したとは言えない。
じゃあ無駄だったかと言うとそうではない。転んでもただでは起きない。今まで言って来たことが、綺麗に表される事になっていたからである。
 これらのグラフから言えることは「高効率は低濃度、従って低結晶温度」だと言うことである。冷却水温度低減による高効率だって同じ理屈のはずである。
実際に負荷率・冷却水ごとに溶液濃度を平均して結晶温度を計算すると下図のようになる。冷却水温度が低い方が溶液濃度も低く、従って結晶析出温度も低くなっている。

2lq_ln_3  

 厳密には2液化前後で分けるべきを簡略化して単純平均しているが。すると「冷却水温度を下げたら結晶になった」あるいは「効率を上げるため冷却水温度を下げて行ったら結晶防止が働き始めたから、そこまでで止めた」と言うことはどうして起こるんだろうか。
 今までの観察でわかることは、結晶析出は急激な状況変化による場面が多いのではないかということである。
一定運転中に急激に高再熱入力が絞られ、温度は前のままだが、圧力だけ急に下がったなどという時が、溶液が煮詰まりやすい。
 「冷却水温度を下げたら結晶になった」と言うのも、今まで全力で運転していて高濃度の溶液が循環している状況で、部分的に冷却水だけ下げようとすると、その周辺から結晶析出が始まるんだろう。
そうではなくて、負荷率を下げて低い濃度で運転している状況で、冷却水温度を徐々に下げれば、更に濃度も下がり一段上の高効率を享受出来るのではないか。そのためにも、「溶液温度・圧力で濃度・結晶温度計算」と「濃溶液低温部実温度計測」対比の実現は有用である。

 また、2液化前後では、下図のとおり0.6%~0.9%程度の濃度低下が起こっている。この辺りのこの程度の変化がCOP0.05上昇に対応するんだろう。
見たら判るが、この機械では、薬注2液化だけで冷却水温度を2℃程度低下した場合と同等の効率改善がある。又は負荷を2GJ (8%) 程度下げた場合と同等の効率改善がある。
 当所の冷却水流量半減可能機では今だ全く効果は現れてないから、この意味でも、インバーターでポンプ動力がそれなりに削減できるとしても、冷却水半減が本当に有効なのか、充分検討すべきである。

2lq_ln_4  

 また、2液化直後に低下した溶液濃度が、気のせいか徐々に元に戻りつつあるように見えないこともない。まさか微生物に耐性が出てきたんじゃないよね。今後とも注目する必要があるポイントである。

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ダブルバンドルの優位性確認

 早速、連立ブレが出てきた。
 社民党が脱原発方針を堅持するんだそうである。
民主党の、20年までの温室効果ガス削減の中期目標「90年比25%減」とどうすり合せできるのか、国連でぶち上げちゃったんだから「具体的な政策手法は今後」などと先送りにしてないで、早くまじめに考えないと、一体自分達は何を言った事になるのか、実現のために自分自身としてどうすればいいのか、何時までも気付かないよ。
 今まで、Be anywhere with noting to do but convert oxygen into carbon-dioxide.【デンジャラス・ビューティ、マイケル・ケイン】だった夢想社民をどれだけ現実路線に向かわせられるか、鳩山さんの腕の見せ所。それとも小沢さんの一喝 (小沢氏が自党マニフェストの内容に興味があるとして) かな。
 それに、堀江メールドタバタの最終段階の時の、Why are you run around all by your obscene eyelashes.【CHASING LIBERTY、マンディ・ムーア】+【六本木心中、アン・ルイス】の国交相の人。八ッ場はじめダム工事は中止だと言うが、「温室効果ガス削減25%減」と言うのは水力の力は借りなくていいのかよ。
 経済産業相が対策の検討を指示したらしいが、通産の数多居る優秀なお役人だって誰だって、ウェイトの大きい前提はハッキリさせてくれなきゃ、作業の進めようが無い。原子力無しでこの成立は不可能だ。
 「脱原発でやったらどうなるか、水力凍結でやったらどうなるか、それぞれ可能なものから立案して並列して見せればいいじゃないか」と、作業の遅延に青筋立てるセンセイが居るかも知れないが、それこそ素人の浅ましさじゃない浅はかさ。餅屋じゃあるまいしそんな単純な切った貼ったで世の中出来てない。産業関連という言葉知っているでしょう?(産業関連表については、次回物言いしよう)
 通産のお役人、難題で頭が疲れたら「2020年までの温室効果ガス排出削減目標、05年比15%減!」「蒸気サイクル低温熱回収計算ツール」「当所の省エネ実績」を始め当 blog のそこ此処を覘いて気分転換してください♡。アイデアの触発もあるでしょう。

 話変わって、近年、熱ユーザーの DHC 離れが少なからず進行しているんだそうだ。
遠い DHC から、伝熱ロスを含めてわざわざ買うより、急激に進歩して来たビルマルなどの機械を並べて運転した方が、あるいは安くなる場合があるのだろう。
DHC 関係者も反省しなければならない。
 反省材料の1つに、「HWTへのボイラー排ガス熱回収」や「実濃溶液温度監視による低冷却水温度指向」などの省エネアイデアが俎上に上がっても、「工事が大変だ」「溶液温度は一様ではない。局部低温の領域があったらどうするんだ」などと、今までの経験から、即座に反発し、折角の可能性の発芽を abort させるビヘイビアがある。
純粋に技術的な指摘は大歓迎だし、議論して不可能なら止めれば良いんだが、その入口で話の腰を折ってしまう。
 その辺はこちとらとっくに検討済み。「一圧にしなくて良いから、仕様・工事はかなり楽になる」「ギリギリ結晶析出温度まで近づけるとは言ってない。10℃程度の余裕を見ての話なんだ」と言う説明を聞いても、そこまで付いて来てくれない。深層意識下では話題入口での自分の経験から来る第一印象から頑なに抜け出そうとしてくれない。
 これはユーザーにもメーカーにも設計にもコンサルにもいる。経験を積めば積むほど (経験を積んだと思うから、それが全てだと思い込み) その様な傾向が強くなるようでもある。
 更に長年役所などに苛められてきたトラウマもあるんだろう。規則を異常な程厳格に適用しなければ、まるで自分のレゾンデートル喪失だとでも思っているような人が多いから。
行政不況 (例えば環境整備が整わない内に耐震規制だけを見切り発車した結果のドタバタにはじまる建設業界不況) ・官製不況・コンプライアンス不況・官製不便 (「官僚の恐ろしいところは、誰も反対できないような極端な事例を挙げて、一般的利便の抑制とコストの上昇を招くことです」堺屋太一、2008年10月文芸春秋<堺屋太一は通産OB、念のため。かって筆者は旧庁舎の廊下で、顔が売れ始めたばかりの堺屋太一とすれ違ったことがある。雑誌編集担当者と思しき妙齢の女性と一緒だった>) 、というような言葉知っているんだろうね。更に後者には「自分の懐は全然痛まないから。下手をすると仕事をしたと言う自負心の慰撫さえできて」と言う言葉を付け加えたい。
 また、昨今の炭酸ガスコストについて「フランスが10年から炭素税を課す、2200円/ton程度らしい。これが相場だとして炭酸ガス取引が ton 3千円だとすると ton 5千円程になる。一方現状で炭酸ガス削減のための新規設備費は ton 8千円程度と想定できるから、省エネするより金で買った方が経済的だ」などと、省エネ努力を冷ややかに眺めるのがカッコいいとでも言うような言辞が、コンサル会社の上司などにも散見される。
 省エネ努力とセンスが身につかないとどんな高価な設備を買っても何れ性能はジリ貧。機器のチューンアップで性能的寿命を伸ばし、総量規制のステップともタイミングを合わせ、後続機の効率が一段とアップした時にリプレースした方が、設備投資効果としても、運転技術の蓄積としても合理的だ」と考えないんだろうか。
 それに皆が買い出したら、売り手市場で単価が高騰するじゃないかよ。所詮は身銭を切らない、設備をマネージメントしない、第三者のお気軽セリフでしかない。こんな言い方が一見ニヒルで真実をついている。かっこいいと思う奴がまた居るんだよね。
 これらがあいまって、既存 DHC の省エネは足踏み。これが一般的実績となって集計され、新規熱ユーザーの DHC 離れを促進するベクトルとなる。
 一方、小型ビルマルなどは決定に多くの人は (あるいは新進気鋭の人しか) 絡まない。メーカーに、少数のちょっとマニアックに効率に拘る人がいれば、効率の良いものが出来る→すると個別ユーザーに売れる→あまり売れないDHC機器は後回し。と言うようなスパイラルに陥るのではないか。
 考えすぎだと言ってもらって良いが、要するに「俺も来年はリタイヤで、もはや気概喪失」とか、たかが一個の断片的な定性的経験から「そんなのは机上の空論だ」とか「役所の規定には勝てない。そんな適用は認めて貰えない (上記トラウマ) だろう」とかマイナスの気を吐かないで、「おお面白そうだな。一つやってみよう」と、仕事を楽しんでやる位の余裕を持って社会人人生最後の瞬間を輝かしたいものである。
 例えば、手前味噌、本 blog の3D・4D重相関図だが、今後エネルギー現場を含め、どんどん使用されるようになった場合のポテンシャルは計り知れない。殆どの事象は1対1の相関では説明不十分または不可能だからである。
これだって、「立体で相関を表示できたら面白いだろうな」位のお遊びで作ったものだが、当所省エネシーンでそのポテンシャルに気付いたものである。ソースもあるからメーカーさん含めてどんどん使ってもらいたい。見えない世界が見えてくる。
 「seamless」や「支援警報」にはどんなポテンシャルがあるんだろう。後者は原発に限らず全ての現場のプレコーションとして活躍できるだろうと、内心期待しているんだが。
 纏めれば、一定の権限もある。組織も予算も動かせる人たちが小さく逼塞せず、今までの人生経験を (ついでに官庁役人のテーブルも) ひっくり返すような気持ちでお遊びをやれば、若い人達の刺激にもなり、組織の閉塞を吹き飛ばし DHC にあっては省エネアイデア花盛り、収支改善・御家安定となるのである。でなければ DHC の将来先細り。

 再び話し変わって、「温水供給するところのメリット」等でダブルバンドルで温水を作れば、冷却水の排熱利用だから冷却塔負荷の軽減にもなり、1機で作れて有利であるという言い方をして来た。

 しかし温水製造費はまるっきりただではなく、一般的な冷却水より高い温度の温水を製造するため、純粋に冷水を製造する冷専時より効率が下がるから、この効率低下分が僅かながら温水製造費と考えられると言った。
更に温水を供給しない季節があれば、暫くダブルバンドルは冷専運転となるが、冷専機と比べて高圧対応インペラーを廻す分効率は低下していて、新規にシステム構築を検討する場合、それとの比較も必要だとしてきた。
 要するに何れも、冷専機のCOPと、同時期のダブルバンドル熱回収時のCOP、ならびにダブルバンドル冷専運転時のCOPとの比較になるが、当所の既設機器ではどうなるか、現在の機器ではどうなるか、見てみたい。
即ち何時までもダブルバンドル+温水供給の優位性が継続しているのかと言う点の確認であり、前者は、当所新設時に導入していたらどうだったか、後者は現段階でのリプレースによる省エネアイテムになりうるかという観点になる。

 当所ダブルバンドルの熱回収運転中のCOPは約2.7である。冷専運転中のCOPは約3.4である。シングルバンドルの冷専機は約4.5である。
この差は、DTRが50℃に対応する凝縮器圧1.3MPaまで圧縮できるコンプレッサーインペラー形状に対し、冷専中は0.95MPaの凝縮器圧しか必要ないため、ベーンでその能力を殺して運転していることから、0.95MPa吐出だけを考慮して形状を設計製作すれば良い冷専機に対して、その分不利になっているからである。
当所の冷専機の4.5はギリギリチューンナップしている所為もあるが。
 これに対し、温水を冷却水戻り温度からヒートポンプで製造することにすれば、ダブルバンドルは冷専ターボに置き換わり、高いCOPで運転できることになる。
問題はヒートポンプのCOPがどの程度になるかと、ヒートポンプの設備費である。
 ヒートポンプのCOPは、凝縮温度と蒸発温度の差が小さいことから、極めて有利であることが予想できる。

1.システム系統

Dtr_hp_1   

2.モーター動力差

 熱回収運転中のCOP 2.7と冷専運転中のCOP 3.4が4.5に置き換わるから、2008年度年間DTR冷熱をTRと同等のCOPで製造すると835,000[KWH]のモーター動力削減となる。

Dtr_hp_3

3.ヒートポンプCOP

 HF134aのp-h線図から次のエンタルピーが読み取れる。
圧縮後凝縮器入口エンタルピー:430[kJ/kg] (48℃)
凝縮後凝縮器出口エンタルピー:260[kJ/kg] (48℃)
蒸発後圧縮器入口エンタルピー:415[kJ/kg] (30℃)
 また、断熱効率と機械効率をそれぞれ0.9とすれば、ヒートポンプ COP = (415-260) / (430-415) × 0.9 × 0.9 ≒ 8となる
ヒートポンプで2008年度年間DTR温熱製造量 14,800[GJ] を製造するには、510,000[KWH]の動力が必要となる。この分差し引かなければならない。

4.冷却水ポンプ動力も加算

 また、温水ポンプ動力は同様としても、現状の熱回収時間中冷却水ポンプが連続運転することになる。現状の冷却水ポンプと同様とすると50[KW]×1800[hour]=90,000[KWH]が必要となり、モーター動力差のメリットは結果的に235,000[KWH]となった。炭酸ガス90[ton]相当である。
 総合的 (現状と比較するため増えた冷却水ポンプ分も加えた) COPは3.3である。
冷却塔の負荷は増えないが、ヒートポンプ設備費 (次の関係になるから、ヒートポンプ設備費が丸々オンするわけではないが) を削減電力料金で償却するのはちょっと厳しい。
(シングルバンドル + ヒートポンプ) システムの設備割高分 = ヒートポンプ設備費 - ダブルバンドルの冷専ターボに比べた複雑割高分
 と言うことで当所新設時に、「温水供給ありき」の前提では、ダブルバンドルの選択は正しかったと言えるだろう。もしかしてヒートポンプもそれ程進歩してなかったかも知れないし。

5.昨今の機械では

 最近の冷専ターボのCOPを6.5程度として、同等ダブルバンドルの熱回収運転中のCOPは約4.4、冷専運転中のCOPは約5.5と置く。
反論もあるかも知れないが、結果を際立たせるためちょっと高めに置いてある。
上記2.項と同様に計算すると、

Dtr_hp_4

となる。
 イメージしていたのと逆の結果になったが、考えてみれば当然である。
次第にCOPが高くなってきた範疇での比較であるから、電力量絶対値は小さくなっていて、そこで如何こうしても相対的な差は小さくならざるを得ない。
 従って、「温水供給ありき」の前提に立てば、ダブルバンドルは今後益々有益と言うことになる。

6.温水を蒸気で作ったら

 「蒸気を供給して、温水は必要ならお客さんで作ってもらおう」と言う場合はどうなるんだろう。
当所の数値を使えば、2008年度年間DTR温熱製造量 14,800[GJ] を製造するには、効率100%のボイラーで、364,000[Nm3]の燃料ガスが必要となる。
2.項でも5.項の計算でも、冷専機の高効率に置き換えた場合の削減電力量料金はこの燃料ガス料金より小さい。従って温水のニーズがある限り、ダブルバンドルで作るのが今後とも有利である。
 更にこれらの検討に、冷却塔の負荷低減は入ってない。

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当所の省エネ実績Ⅱ

 前回の吸収式に引き続き当所省エネのトレンドを。

Ⅱ.保温強化による給排気ファンの停止

 これは頭は使わない。必要なのはちょっとマニアックな程の根気だけである。
保温徹底による給排気ファンの停止」「素人保温工事の実際」「保温板金?ラジエーター?」に詳細を記してあるから、その後のファン動力の実績を示すと、以下の通りである。
 吸収式の溶液抜きなど換気を必要とする作業時は長期間運転する場合があるからトレンドは一定してない。

Result_2 


Result_2_2

 ポイントは、保温効果を機器効率とは離して考えることである。即ち空気中に逃がす熱を抑制し、室温維持のための給排気動力を削減すると思えば、定量的に大きなメリットが出る。
ファン動力削減では、CO2 300 [ton] カットである。これに対し、ボイラー保温追加の効率改善は全部足して、CO2 40 [ton] カットである。10倍近い差がある。
 「メーカーさんも後者だけ評価して保温する/しないを判断しないで、前者をグロスで判断すべきだ」と言ってもこれは1機器メーカーさんでは如何ともし難いんだろうから、システム設計屋さんが気を付けるべきである。
「○○メーカーさん、後○○○万円かけても良いから、保温を充実してください。給排気ファンが軽量化して、結果としてユーザーさんの運転費が大幅削減になるんだから。」

Ⅲ.インバーターポンプ動力の削減

 これは2つ要因があって、1つは、意味無く2台の冷水熱交2次ポンプの出口弁を同様開度で絞ってあったのを全開したに過ぎない。
 もう一つは、1,2次間DT低減のため冷水熱交を負荷に関係なく2台常時並列運転としたことである。
これにより圧損が低減しインバーターポンプは無駄な揚程を稼ぐ仕事から解放され、おおよそ下図の様な傾向で動力が低下した。

Result_4
 年度の当該ポンプ動力を見ると下のようになる。
1,2次ポンプ合計でカウントしているが、仮に2005年度の原単位のままでいた場合に比べ、その20%が削減された。 

Result_5

Result_2_3

 CO2 60 [ton] カットである。
「単なる出口弁絞り」だと思ったより大きい。ポンプ出口弁の無意味な絞りがあったら、初心に帰って開けられないか検討した方が良い。

Ⅳ.ターボチューンナップ

 ターボは最初吸収式ほど興味を引かなかったので、「何れは冷却水温度を下げて行こう」程度で省エネ意識の片隅に追いやられていた。
 しかしその内、内部ベーン実開度が知らないうちに下がっていた (外部表示は100%のまま。2007年度) ことから、逆に定格近傍の効率上昇に気付き、過負荷ギリギリのベーン開度にしてもらいその辺の高効率を享受している。
また、冷却水流量のCOPに対する影響もつかめるに至って、この管理を厳密にした。
 さらに、冷却水薬注2液化による、スライム成長なしの状況で、チューブ清掃後の効率低下が見られなくなり、早晩清掃頻度を見直そうとしている。

Result_6

 冷却水温度はまだ積極的に下げていない。吸収式の運用の延長線上である。
これらによりCOPのトレンドは次のようになっている。なお設計のCOPは3.85である。
2009年度に2液化メリットをまるまる享受することになり、仮に2004年度のCOPのままで居た場合に比べ、年間15[万kwh]、CO2 60 [ton] カットの見込みである。

Result_7

Result_2_4

Ⅴ.監視装置更新に伴う省エネ反映事項

 ちょっと観点が違うが、省エネを後押しする、監視装置の条件整備について見て見る。

1.監視装置更新と省エネ
 監視装置更新は、運転開始7年後と言う時点では如何にも時期尚早であったが、「パソコン構成部品の陳腐化などで至近時にメンテ不如意の状況になる」とメーカーに脅かされ、やむを得ず更新することにした。
しかし転んでもただでは起きない。逆手を取って省エネ対応ニーズを十二分に取り込み、省エネの実を取ることにしたものである。またこれに伴い種々の省エネツールも完備してきた。
 最大の反映事項は、①各調節計の遠隔操作化と②プロセス値の吸い上げ頻度の改善である。
省エネを追求しようとすると、どうしても中央監視室から平易に調節計SVなどに介入したくなる。
 既設に介入できるシステムは在ったが、専用プログラムで監視システムとは別に起動するため、2台あった監視画面はそれに専用され、監視が不自由になる。
 また、調節できても、データ取込みが従来のように20秒に1回の頻度では、その間自分の操作に対するアンサーバック情報が途絶え、怖くて操作できない。これを3秒に縮めやっと安心して操作できるようになった。
 省エネ観点での主な調節系への介入は、吸収式冷水流量、吸収式蒸気流量である。これのcascade/auto/manual、切替、SV,MVの直接操作、さらにはPID変更を可能とした。
前者は、吸収式冷水流量を連続可変とすることにより、出口温度変動によらない負荷制御が可能となり、吸収式の部分負荷の高効率を享受できる事となった。
また、吸収式と冷水熱交の負荷バランスもコントロールでき、要求される負荷に対し、きめ細かな製造配分が可能となり、蓄熱の有効活用がより計画的に出来るようになった。
 
2.監視ポイントの追加
 次いで、監視ポイントを追加したことである。主なものは、吸収式高再温度、高再圧力、ボイラー燃料ガス流量瞬時値などである。
 高再温度、圧力はこれにより溶液濃度および結晶温度が計算できるようになり、蒸気量が急激に低下して高再圧が下がっても、まだ高再温度は充分下がっていない時に、結晶に対して裕度がなくなるなど、有益な情報が見られるようになった。
 従来はボイラー燃料ガス瞬時値流量計が無いため、ガス流量は1時間値しか見えなかったが、これにより常時監視が可能となり、ボイラーターンダウンレシオが設計と大幅にずれていることなどが発見され、調整させた。
算定はしていないが、これにより頻繁なオンオフによる発停ロスが抑制されたものと考えられる。
 また、ボイラー火炎検知後のガス流量を自動記録することで、失火異常トラブルに対しても、パイロットバーナーの点火が不具合なのか、ガス遮断弁の開閉が悪いのかが検討付くようになり、後者の場合駆動リレーの接点荒れを発見して交換し、トラブルが少なくなり、落ち着いて省エネに専念出来る様になる等の副次効果も出てきている。

3.省エネツールの作成・運用
 省エネ用のツールとしては、運転支援プログラム、性能分析プログラム、支援警報プログラムなどがある。
 運転支援プログラムというのは多分何処でもあるだろう、予想気温などによる当日の予想負荷カーブに対してどの様に運転機器を組み合わせればよいか、表示してくれるものである。
但しその程度ならなにも他人に支援してもらわなくても、ちょっと経験したオペレーターにはすぐわかる。おそらく殆ど何処でも使われてないはずだ。
御社のが使える代物かどうか一発で判る方法を教えよう。簡単である。製造熱量をGJで扱っているプログラムは単なる積み木細工、有意義には使えない。まともに使うためには冷水流量×出入口温度差で計算してくれないと意味がない。
 当所のもその程度で殆ど支援パソコンは休止状態だったので、改良した。
 計算は実機を完璧にシミュレーションする。
吸収式の冷水流量は可変だし、製造冷水流量が需要流量を上回ればバイパスが流れ、冷凍機の入口温度も下がる。冷凍機製造量が少なければ冷水熱交の負荷が増える。
これにより、蓄熱が消費され、22時にちょうど空になるような設定ができるし、夜中にどの様にターボと吸収式を運転すれば、朝方満蓄になるかが判る。
 これにより、最も経済的な蓄熱運用が支援される他、組み合わせの機器総合効率も表示するようになっている。但し機器ごとの効率は参考程度で機器の運転の指標にはしていない。インターバルが偏っても良いのかの論議が出来ていないからである。
 性能分析プログラムは「立体重相関図の最終機能」や「UltraSuperDreadnoughts!OpenGL10基搭載!」「3Dデューリング線図の試作」のようなものである。これにより与えられた湿球温度・冷熱需要の与件のなかで、冷却水温度や、運転号機をどの様に運転すれば、どれだけの効率になるか、予めビジュアルに眺め、理解することが出来る。
ポイントは直ちに重相関を計算してくれる環境であるが、日々進歩している。
 支援警報プログラムは「支援警報プログラム」「blogのツールを原発へ」等に既述である。オペレーターのプレコーションマインドを喚起する。プラント運転状態は安定し、省エネに振り向けるエネルギーが創出される。
 先日もCGS蒸気が止まってからしばらくして「CGS冷却水が流れています」と、女の子が音声で教えてくれたので、相手方に連絡したら、「電磁弁のかじり付きのようで叩いたら止まりました。ありがとうございました」と言われたそうだ。自分の設備だけではなく、相手の心配までしてやっている。こんな不具合は1年に1度起こるかどうかだが、当たり前だがちゃんと気づいてくれる。

Cgs_clwtr_2 

 これは監視装置から3秒おきにファイルに全データを書き込んで、ユーザーが自由に読めるようにしてもらい、プログラム自体はユーザー手作りである。
筆者としては原発など大きな現場で使ってもらいたい希望がある。

Ⅵ.付録:ポンプのインペラーカット (インペラーの新規作成を含んで、ここではこの様に呼ぶ) について

 設計で揚程にも余裕を当然のように取り込む結果、省エネアイテムとして対オーバースペックのインペラーカットを検討する現場も多いだろう。
インペラーカットが既設省エネのメジャーアイテムになれるかどうか、次の点に掛かっているので、素人が盲蛇に怖じず、あえてプロのポンプ屋さんに議論をふっかける。
 1つのメーカーさんとしかやり合っていないので、筆者の考えが他メーカーさんにそれなりに首肯してもらるなら、おかしいのはその会社だけと言うことになる。(しかし、工場の設計屋さんだから大変だよ)
筆者が間違っていたら、「お騒がせしてすみません」。場合によっては断筆のはめになる。
 要点は何かと言うと、1段片吸込みシングルボリュート渦巻きポンプで、ポンプケーシングは流用し、インペラーの新規作成で揚程を落とす場合、
既存のインペラー形状の外周を削っただけで、「これが最善の手法です。これしかありません。但しヘッドは2乗で下がるが、流量も3乗で下がるから外周カットはそこで制限され、したがって揚程削減には自ずと限界があります」と言うのが正しいか、
「流量は同等に維持しながら、揚程だけ下げるんですか?ケーシング流用だからちょっと厳密には対応できませんが、タービンポンプじゃないから、インペラーの曲線を少し加工すれば比速度も変えられて揚程は下がります。但し、コンピューターで計算しなおす手間が掛かりますが。」と言ってもらえるかどうかである。
 絵で書くと次のようになる。

Result_8

 後者では必要揚程まで揚程が下げられ、省エネの目的を完遂できるが、前者では流量維持のため満足に揚程が下がらない。半分程度である。

 当所の経緯は「ポンプのオーバースペックの影響」に詳述しているが、CDP-1,2の吐出バタフライ弁は、25%程度に絞らないと定格冷却水流量に調整できないほどのオーバースペックになっていた。
 調べると、 実施設計計算の必要揚程は34.5[m]と見込まれ、更に仕様決定時には余裕を乗せて40[m]となっていたが、実際運転状態では、最悪の場合 (冷却塔入口弁を少なからず絞っていたが、流量バランスを保ちつつ更に開けられた) でも25[m]で十分であり、揚程を25[m]に出来ればモーター動力は200[kw]が150[kw]となる。
メーカーで検討すると、ローターをそのままの曲線で径を小さく作り直して、ケーシングは流用すると揚程低減は33[m]が限界だとのこと。
 インペラーカットと言っても、なにも既存のローターを削ろうと言うのではない。ローターは新作するんだから曲線も最適なラインに引き直せばずっと下がるだろうと主張したが、現行曲線はコンピューターで3次元設計したもので最適なものであり、これをカットするしかないと頑として聞いてくれない。
 この部分は、今後既設省エネの1つの目玉になれるかどうか、定量的に然るべき結果が欲しかったので、しつこく拘った。
「相似則か何か知らないが、揚程は2乗で下がるが、流量も3乗で下がる等と言っていること自体、設計さえし直せば揚程だけ下げられる根拠になるんでは無いんですか。既存のカーブにこだわるから、相似則が出てくるんじゃないですか?」
 しかし、東京から同行したJVの部長さん始め全員が向こう側。孤軍奮闘も矢折れ力尽き止むなしとした。・・・帰りに何故か京都の円山公園の坂本龍馬・中岡慎太郎の像の隣の料亭で一席あり、丹波のワインと言うのをご馳走になったが。



 また、ローター製作 (既存インペラーをカットした形状のまま) も又もや余裕を見たため、結局仕上がり揚程は35[m]で、動力減は200[kw]→180[kw]に留まり、出口弁も相変わらず35%開のままという、キャビテーションや磨耗の心配ないところまでは開いただろうが、省エネとして不十分な結末となっている。
 電力的には約60,000[kwh/年]の削減である。CO2低減は23[ton/y]となる。

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当所の省エネ実績Ⅰ

 民主党が、20年までの温室効果ガス削減の中期目標「90年比25%減」をアピールし出した。
 今回のは「2020年までの温室効果ガス排出削減目標、05年比15%減!」ページで実現へのアプローチを概観した既存目標の「05年比15%減(90年比8%減)」に対比すると、単純に「大きく政策転換」したと澄ませられない、大掛かりな経済パラダイムの再構築が必要であり、「具体的手法は今後۵」と相まって、2020年と言う期限は余りにも短すぎる。
 消費端での省エネ、エネルギー製造原単位の向上はもとより、EVへの移行、ソーラー発電、ミニ水力、日本の技術や資金による海外での削減分などの「排出権」、既排出の温暖化ガスの回収などあらゆる手法が動員されなければならない。
また蒸気タービン排気復水器熱回収なども急ピッチで進展させなければならない。
 自民党現環境大臣が民主案を評価し (「私もこの位ぶち上げたかった」とでも言うのかね) つつ「原子力の一層の活用」とも言っていたが、2020年となると原発は殆ど増えない。「2020年までの温室効果ガス排出削減目標、05年比15%減!」で見た通りである。発電所建設のリードタイム判っているんでしょうね。
しからば、「原子力の一層の活用」は現有原発の利用率向上しかない。そこで、当 blog でも立案している原発の信頼性回復の手法が活きてくる。
① 支援警報導入とプレコーションマインド喚起による安定稼動
② メーカー技術員招致による作業精度の向上
③ 行動の音声告知による、労災の撲滅・作業精度の向上
④ 一般向け・専門家向け、プレスリリースの2本立てによる広報活動の充実
等である。通産官僚は参考にしていただきたい。

 あらゆる手法の総動員と言う観点から、既設熱設備の高度運用という断面も重要視されるが、その守備範囲の人たちの参考になるように、改めて当所の省エネ事績を纏めてみよう。
勿論、既設熱設備の高度運用に類するものとして、高性能機器へのリプレースという選択肢もあるだろう。
 吸収式では三重効用やその他の手法を取り入れ、設計COP2に迫るかと言う機械もあるようだし、インバーター・ターボではエコノマイザー設置などにより、部分負荷 (定速型ベーン制御では、部分負荷はベーンで揚程を殺すだけだから効率は悪いが、インバーターでは回転数の乗数で損失削減が効いて来る) で冬場冷却水を可能な限り下げれば、COP20などと言う機械も出てきた。
 既設設備が充分貸与年数を消化し、効率も下がっていれば、高効率機へのリプレースは極めて有効である。
メーカーさんに電話1本すれば早速飛んできて、年間幾らの運転費削減になるか充分説明してくれるだろう。

 「いや、うちはまだ交換時期ではない。もう少し頑張ってもらう。その中でもう少し省エネの余地は無いか」という所、または「省エネは機械を代えただけでは充分ではないだろう。運転員が省エネマインドで事に当たらなければ、充分に実のあるものにならないはずだ」という所への、以下は参考である。
 金さえ掛ければ、誰でも高性能が手に入る。しかし何の努力も気付きも無しに平板に運転していたら、たちまちその高性能も低下してくるだろう。ちょっと観点が違うが最新の貫流ボイラー効率96%が何年も続くと仮定して、導入メリット計算するのは間違いである。
反対に10年選手の設備でもいろいろ工夫の余地はある。見直すほどの力を回復することもある。そのバイタルポイントの気付きの力が大切である。
その力があれば、古い設備でもそれなりの性能が引き出せる。機械の効率面での寿命が延びる。それで精一杯引き伸ばしたあと、その時点で最高の設備にリプレースするのが戦略的だろう。
 脱炭素が喧しいここに来て、まるで今までサボっていたのが一気に気が変わったような勢いで汎用エネルギー機器の効率が急激に伸びてきたので、日進月歩のOA機器の買い方と同じになる。
当所に於いては定量的に大きいものから微々たる物まで多くのアイテムがあり、詳細は既述の通りであるが、長い期間の取組みが断片的に延べられて、流れが掴みにくいと思われるので全体のトレンドを見て見る。

 まず始めに、当所吸収式のCOPの動きを見てもらいたい。
当所吸収式は5台、合計 100 [GJ]、設計は 4.3 [kg/h・RT] だからCOPは 1.23 である。
これに対し、2001年度~2009年8月までの実績の推移を見ると以下のようになっている。

Result

 COPは 1.27 から今年度は 1.4 を超える。
年間 100,000 [GJ] 吸収式で作るから、蒸気量約 3,200 [ton] の節約である。炭酸ガス 500 [ton] カット、当所の 5 [%] である。

 冷凍機の冷却水温度を下げれば、COPが良くなるというのは周知の通りである。
ある時COPを分析していると、冷却水温度の他に負荷率が低い方がCOPが良い傾向であることに気付いた。メーカーさんに訊くとそうでしょうと言う。
 文献をみてもそうなっている。
そこで作ったのが、3Dやがては4D重相関図で、COP=f ( 冷却水温度・負荷率 )、更にはCOP=f ( 冷却水温度・負荷率・冷却水流量 ) 等の関係が明確になった。

 負荷率については、2005年度までは全量半量の切替だけで決まっていた負荷率だが、2006年初めに監視装置の更新があり、冷水流量を遠方から連続コントロールできるようにして、吸収式同士またはCHXとの負荷バランスを自由に変えられるようにして、部分負荷運転に伴う冷凍機の追加起動が出来るだけ抑制できるようにして、この部分の高効率を有効に享受できるようになった。
 上図は主にこの2点をコントロールしながらCOPを改善してきたものである。

 冷却水温度低減と負荷率低減は当然無償ではない。
同じ湿球温度・冷却塔入熱で冷却水温度を下げるためには、より大きなファン動力が必要である。
このトレンドを見て見ると、下図のようになる。

Result_2

 冷熱販売量 GJ あたりの冷却塔電力は2001年度 1.5 [kwh/GJ] だったものが、2倍の 3 [kwh/GJ] に増えている。各年度の実際の冷熱販売量に 1.5 [kwh] をかけたもの (黄) と実冷却塔電力の差 (増分) が水色のカーブであり、200,000 [kwh/year] に達しようとしている。
炭酸ガス 76 [ton] 、当所の 0.8 [%] である。これは先ほどの蒸気削減量から割り引かなければならない。
蒸気分 500 [ton] カット対冷却塔電力分 76 [ton] 増、 5 [%] カット対 0.8 [%] 増、当所の冷却塔が比較的性能が出ているのかも知れないが、この比率が冷却水温度低減の差し引きの一つの目安であろう。

 また負荷率も同様である。低い負荷率で運転した場合は、一般的に高い負荷率よりも運転台数が多くなり、とくにポンプ動力が増えることが懸念された。
その実績が上の青と黄色の関係であった。
局所的には確かに吸収式負荷率と吸収式関連動力とは逆の関係にあるが、長いトレンドで見ると製造熱量当たりの動力は低下している。
この理由の大きなものとしては、冷却水圧損低減および冷水の差圧低減が考えられる。
 冷却塔の入口弁がバラツキはあるものの一様に閉まっているのに気付いた。
セル毎にL/Gを調整しているつもりだとしても、幾つかは全開のものがあって然るべきはずだ。それをベースに必要なものだけ絞っていけばよいだろうと開方向に調整し、L/Gのアンバランスが生じるかも知れないと言う懸念に対しては、各セルの出口温度を個別に監視することにして調整した結果、冷却水系統の圧損が低減し、冷却水ポンプ動力が低下した。
 経緯は不明だが冷水供給圧も当初よりは下がっているようである。(0.87[Mpa]→0.83[Mpa]何れも供給規定内)
更に昨今の低下には、1年にポンプ1台ずつ2台の冷却水ポンプのインペラーカット(200[kwh]→180[kwh])が寄与している。
 つまり低い負荷率運用は、冷凍機、ポンプの動力増に結びつくはずだが、ここを注目することにより返って無駄な運用に気付き、対策によりこれを抑制することが出来るという事例である。低負荷率に伴う冷凍機、ポンプの動力増は、当所に於いてはその誤差範囲にあった。

 最後に今年、冷却水温度、負荷率ともプラス要因はないのにCOPだけあがっているのは、冷却水薬剤2液化によるスライム成長抑制効果による。
 これについては「スライム抑制による冷凍機効率の改善(速報)」「2液化中間報告(副題:冷却水は半量にしてはならない)」に詳述してある。

 さて今後この吸収式は省エネ上どの様に運転されるのだろうか。
当然冷却水温度の低減である。
現状次の総量規制に向けた準備段階で、冷却水設定25℃で足踏みしているが、23℃の場合定量的には「2020年までの温室効果ガス排出削減目標、05年比15%減!」のページに既述のように想定できる。
 これの実現、更にそれ以下の低温領域に進展するために、現在条件整備中である。

 1つは、溶液高濃度部分の温度測定である。
現状低温熱交出口に温度計ウエルはある。監視装置にポイント上げしていないが、予備ポイントがあったためテンポラリーの温度計をその都度切替え状況を見ている。
 当所の吸収式は既述の通り高再圧、高再温度が遠方監視可能であり、これから高再濃度さらに結晶温度が計算できる。
急激に蒸気が絞られ、高再温度が充分下がらない内に高再圧が低下するようなら、溶液濃度が上がり、結晶温度的に厳しくなることなども掴んでいる。
 次のステップは部分負荷を含む実運転状態での、高再→低音部の溶液の時間遅れである。製造熱量従って蒸発量などからこれが判れば計算した高再濃度と実高濃度部温度、即ち結晶までの余裕を常時定量的に把握できる。
勿論これは、後1℃余裕があるとか、0.5℃まで近づいたという世界ではない。「10℃余裕があるから、後2℃冷却水温度を下げても大丈夫」と言う使い方になる。何故なら次の条件などもあるからである。
 2つとして、当所で意識的に実施している部分負荷では結晶濃度が低く出てくる傾向が判っている。さらに後日明確に主張したいが、冷却水温度を下げても結晶析出温度も下がっているのではないかと言う点である。これは吸収式の性能上からも予想しうることである。
 「いや、冷却水温度を下げて結晶を起こしている事例が多いじゃないか」と言われるだろうが、安定運転では冷却水温度が下がると結晶析出温度も下がっていて余裕は拡大しているんだが、高再温度が充分下がらない内に高再圧が低下するような何らかの変動が起こって変動幅がその裕度を食い尽くすようになると、低冷却水温度のためその実温度のボトムが結晶温度に抵触しやすいなどということではないか。
 何れにせよこの辺を充分吟味して、低冷却水温度を指向する必要がある。

 ところで、結晶と言えば、一時期電力需給が逼迫した時、停電時の結晶に関してメーカーに問い合わせがあり、各顧客に次のようなペーパーが出廻ったことがある。

*** 停電時の吸収式冷凍機結晶リスクに対する検討結果報告書 ***

 冷凍機運転中に停電停止した場合、高温再生器内の溶液濃度は、停電発生直前の状態に保持されます。
各負荷率の高温再生器濃度を計算し、結晶析出温度を検討いたしました。なお冷却水入口温度は32℃の条件といたしました。

Result_3

 以上の検討結果により、室温35℃と想定すると、負荷率85%以下であれば、停電停止となっても結晶しないことになります。

*******

 当該メーカーの冷凍機は低再出口配管など外壁温度が80℃あるのに保温していない。パラレル・フローで低再が最高濃度と言うわけではないが、こんな心配するなら、出来るだけ室温になりにくいように保温しとけばいいじゃないか。
当所では、高再上部の150℃近い鉄板や、当該部、低再周囲を徹底的に保温し、室温維持に必要な給排気ファンが全く不要となり、年間 800,000[kwh] 、CO2 300 [ton] のファン電力の削減に成功している。
当然万一の停電時の結晶リスクの低減にも繋がっている。エヘン。

 と言うことで、今回は吸収式のみでその他の省エネ実績は、次回以降。
但し、待ち行列も少なくないから、何処から行くか。

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Plein Unite

 省エネアイデアが浮かんできて一気呵成に立案に持って行こうと言う時に、その勢いを削がれるのが、基本的でない定量数値の単位変換である。
それ自体大した作業ではないが、流れてくるアイデアの奔流から意識を引き剥がされ、元に戻すレジュームに大きな労力を要する。
また blog の記事作成時にも間違っていないか何度も確認する必要がある。
 これへの対応として、単位変換ツールを作った。

 同様なものは多くあるが、なかなか自分の必要な単位系が上手くカバーされていると言うものは少ない。
そこでオリジナルの作成となるが、そんなところで労力を使いたくないから、http://hpcgi3.nifty.com/keaton/who.cgi にある、Keaton Masuda さんのツールを使わせてもらった。
非常に見やすいプログラムで、筆者のが如何に不細工なものか改めて思い知った。これじゃ「ソースあります」と言ってもだれも見向きもしないだろう۵

 とりあえず「圧力」「エネルギー」「温度」「動力」としたが、桁チェックの範疇を含め、場合によっては「密度」「力」「流量」「速度」などもあっても便利かも知れない。
また、「熱伝達係数」「熱伝導率」「熱流束」等もありうるだろう。表示などについて各自の好きなようにカスタマイズしてもらえるようにすれば良い。
 更に延長すれば、何も単位変換に限る必要は無い。「燃焼計算ツール」だって「煙突効果計算」だって「酸露点計算」だって「デューリング線図や臭化リチウムエンタルピー」だって「この運転は誰?」ページのベアリング寿命だってなんだって、盛り込んでユーザーの好きなようにカスタマイズ出来ればよいだろう。
 但し、2つ問題点がある。
1つは。筆者が改めてそれら計算式を勉強しなおす必要があり、暫くは blog を作成する時間的余裕がなくなることである。
もう一つは、出来上がったツールが1Mbyteのアップロード制限に掛からないかということである。現在490Kbyteだから大丈夫な気もするが (Delphi は Form を使った実行ファイルの初期値は大きいが、それ以降はリソースが膨大でない限りさほど大きくならない) 、引っかかったら機能制限か、アップロード制限の緩やかな所に引越しだ!

 と言うことで、今回はツール本体ダウンロード PleinUnité.exe (491.0K)のみアップロードする。ソースはこの次。
操作の説明は不要だろうが、下は「「正真正銘の」ボイラー効率2%増」で計算した、150℃と100℃の煙突効果の Pa から mmAq への変換例である。

Pleinunite

 今までやると言って実現していないものに、5D相関図パノラマ監視画面とそしてこのマルチ・ツールの3つがある。あまり空手形を乱発しても差し支えがあるが。

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seamless、seamless、seamless、seamless、seamless

 勿論、歌のリフレインではない。
 早い者勝ち。山武さん、日立さん、東芝さん、三菱電機さん、横河さん、新菱さんなどの監視装置メーカーさん (この業界に余り詳しくないので少ないが。日本ベーレーさんなんて言うのも在るのかな) にぜひ使ってもらいたい新監視画面のコンセプトである。数が5つあるのも畳複強調ではない。それだけの数だけコンセプトを反映しているつもりである。
 監視装置メーカーさんで、限られた画面の中でその数値を表示する/しないで悩んだことは無いだろうか。「客は表示してくれと言うし、画面は一杯でスペースは窮屈だし」と言うようなシチュエーションに於いて。
 また、1つの画面にどれだけの機器をどれだけの詳細さで表示させようか、悩んだことは無いだろうか。画素数一定の状況において、機器表示数と詳細さは両立しない。
 当該画面はそんな悩みは無用である。全ての数字を表示することにすればよい。そして画面が seamless に拡大縮小出来るから。拡大して文字が充分表示できる密度になったら表示するようにすれば良い。
即ち全体概要監視から注目機器ポイントへのフォーカスインまで、監視の精度が seamless に変更できることと、これに合わせて表示プロセス値も seamless に onoff 出来る。これで seamless 2つである。
 ついでにフォントも可変である。これも seamless 数にカウントしよう。3つ目である。これは前稿にその濫觴があった。
図を拡大した場合それとバランスをとって大フォントとする。また逆に値の表示数が少ない時にも、それに相応しく大フォントとする。
 百聞は一見にしかず、下の各図は同一画面のスケールが変っただけである。上は監視で最もラフな概要を知りたいだけの時である。例えば別室別置きモニターや大型モニターのガラス窓越しお偉いさん監視用画面の表示でも良い。
中は通常フラット監視。
そして下は機器注目細部監視用最大拡大画面である。
 最初に一言断っておくが、図形は余り凝った物になっていない。ここでの趣旨は画面表示を seamless と言うコンセプトで表現するとどの様なことが出来るかを見ることであり、殆ど図形の作成に情熱を注いでいないからである。
従ってプロの監視画面から見ればかなり貧弱なものである。その点でコンセプトそのものの評価が下がったら寂しいものがあるが。プロの皆さんならその隠れたるポテンシャルの程はわかるよね。

Seamless1

Seamless2

Seamless3_2 

 「確かに表示の自由度は上がったようだが、各数値の表示範囲をどうするかは同じ様に悩むじゃないか」と言われるかもしれないが、従来の場合表示させる/しないの取捨選択の影響は大きいものがあり、一度捨てたものの復活は、周囲との干渉チェックを含めちょっとした仕事になるから、メーカーさんも汗をかく。
当該画面では、何時ものように表示項目はxlsで指定できるから、ユーザーが好きなように設定しなおせる。そして数値をどのレベルから表示させるかも、即変更可である。

 4つ目の seamless とは何か?
 機器表示色にグラデーションが掛かる。機器画像はここでは2つの値を持つことが出来て、その結果により色が連続して変る。厳密にはグラデーションではなく、「配色がグラデーション的に変る」である。従って厳密には seamless でもないが。
 あるいは採用済みの監視装置もあるかも知れないが、これを情報表示に積極的に利用する。
例えば配管であれば流量と温度の値をキープすれば、前段との混合計算で当該部の値が算定でき、その結果により色を変えることができる。冷凍機の出口合流部の色を見れば、今温度が高くなっている機械も判るし、合流部で冷水供給温度を押し上げているのも判る。
 但し現時点で流速による配管内時間遅れは算定していないが、これはやった方が良いと思われる。最大負荷時と最低負荷時の時間遅れは数分から数十分に亘る。
今回は、プロセス値のファイルがアップロード制限1Mbyteで小さくならざるを得ないので、各部効果を表現するためにデータを間引きしていることなどに因り実行しなかった。当然筆者の手抜きにも因るが。
 データは実際のプロセス値を5分毎15回採取し、5秒ごとに表示している。従って殆ど「データが変りますよ」と言うデモンストレーションの意味しかない。
 他に色彩変化は、吸収式高再圧、ボイラー残圧などを表示してみた。それぞれ0~-0.1Mpa、0.8~0.4Mpaの間で赤~青で変化する。
吸収式の場合は「高再圧に注意しましょう。0Mpaでトリップですよ」となる。ボイラーへの必要性はちょっと弱いが「万が一ボイラー、CGSがトリップした時は、赤い方が残圧が高いので早くサービスイン出来ますよ」となるだろうか。あるいは「青いのは負荷率が低いので、小さいのに切り替えた方が、O2も低くなり過剰空気率が低く出来ますよ」などとしても良い。
 無理やり押し込んで表示させようとしたきらいもあり、充分練れてないが、現場の機器特性で色んな使い方があるだろう。
 これらは、プロセス値を色つきにしても良いが、スケール条件で onoff される値表示より、常時表示の機器色彩でも出来るよということでやってみた。dll も使うので今回見送ったが、吸収式溶液結晶温度と実溶液温度の差を結晶裕度として表示するなどの手法も考えられ、これはやはり常時描画される機器の色彩変化の方が適当ではないかと思えたからである。

 さてそれでは5つ目の seamless とは何か?
 これこそが今回の売りである。他に seamless の要素は何かあるか、ちょっと考えてみて欲しい。
ヒントは「4D重相関ヘビーデューティ」のところで、相関曲面軸の選択についても他の軸と等価っぽく見せたいので、「F1~F6キーで座標変換して行って、角度が一定値を越えたらグルッと回って垂直になった軸を局面に対応させるよう自動的に切り替える手がある。軸配置だけで考えればシームレスっぽく見えるだろう」と言っていたやつである・・・・・判らない?Die to know?
 それでは、「F1」または「F2」で回転させてみて欲しい。別の表示画面にクルッと切り替わってしまった。
 これは、映画【ソードフィッシュ】で Hugh Jackman がトラボルタに銀行システムのハッキングを強要されて、昔のソフト worm generator を起動する時モニターでくるくる廻っていたステータスインジケーターの動きを見ていて、監視画面に使えないだろうかと思っていたものである。

Seamless4

 「既存のシステムのように、画面を選択して切り替えるのとどう違うんだ」と言われるだろうが、最初に屁理屈を言ってしまうと、 seamless の名に恥じないよう全く同一空間内で管理されている。頭で「次に何の画面を見ようか」と考えて選択するのではない。右側に何があったか覚えていれば、そちらを覘き見るだけである。
今回第一ステップとしてフラット画面までにしたが、これを更に進展させて円筒形パノラマ監視画面にすれば、完璧 seamless になってしまう。この次は円形にしてみようっと♪
 更に孫の地球儀みたいに (Google Earth 大好き) すれば、どうなるんだろう。
 機器配置とフォント描画 (3D-FFT の高調波スペクトル表示と同様、座標変換できなければならない) でちょっと悩みそうだが、監視効果では面白いものが有るのではなかろうか。
使い方のアイデアがあったら教えてください。実装して、無料進呈します。
 最初の画面 (第2面) から右回りの画面 (第5面) では、冷却水系統の詳細データが表示されている。冷却塔のグラデーションは冷却水出口温度36~26℃を赤~青に対比させてみた。温度のばらつきは実際にはファンの運転極数 (赤:高速4ポール、橙:低速8ポール) および朝の立ち上げ時で極数を切り替えたばかりか否かによる。
運転が落ち着いたら、これらを見ながら冷却塔のL/Gを調整する余地はある。
 勢いあまって、冷凍機の冷却水出口配管までグラデーション配色にしてしまった。レンジは同じ36~26℃である。

 最初の画面から左回りの画面 (第4面) では、第一画面に精力を取られて、平坦な蓄熱槽になってしまった。各層温度が15~4℃でグラデーション配色しているが、ただそれだけである。

 後の第3面も同様で単なる冷水加圧タンクお茶を濁してしまった。一応レベルだけ+30~-30[mm]でグラデーション配色している。

Seamless5_2

 さてここで、この描画密度の差について考察してみよう。
第3面、4面などの図は難なく第2面に追加表示できるものである。その気になれば第5面の冷却水も行ける。小さく描画して大きく拡大表示が可能なことを思い出して欲しい。
これらをあえて別画面としたのは、最後の seamless  回転の例示をしたかったためだけである。
 従って「この程度の別画面を設置するために、わざわざ回転が必要なのか。何とまあ無駄で複雑なことを」と言うのはロンパリの視線である。
「ほほう、この表示密度で4画面できると言うことは、情報量は膨大なものになり得るな」と見切れるのが、技術審査眼を有する貴方のまともな反応なのである。
そして「当社でも、やってみるか」と続けるのが。

 もうお判りだろうが、図形描画は全て OpenGL 3D空間で処理している。ダウンロード Seamlessdisp.exe (893.0K) を実行してみてください。例によってglut32.dll (232.0K)が必要である。
 vaio系のPCなどでグラフィックカードの仕様か何かの関係か、画像の奥行き方向の分離がしにくいものがあるようだがご容赦願いたい。
 拡大縮小は、視線の前進後退である。回転は座標変換である。今回はx軸中心回転だけに留めた。
中途半端な回転で正面に戻したい時は「Q」を押せば、その時のメイン画面にマトリクスがイニシャライズされる。
 表示されるものは機器図形とプロセス値表示である。両者は1つの xls ファイルに次の様式で記述される。ちょっと複雑だが実際の監視画面の設計もこんなものだろう。
多分一番煩雑でトライアンドエラーの繰り返しになるのがleft,top,width,heightの設定だろう。これは支援警報の時も同じだったが、これらはCADにして図形を貼り付けたら自動的に作成できるように出来る。

Seamless7

 実際のデータは「ana_data」シートに表示されている。今回は読者のダウンロードの利便性に配慮してリソースで埋め込んである。

 勿論、pick (マウス右ボタンクリック) にも対応する。図形を構成するポリゴン群は図形グループとして一括管理されているから、どの機器が選択されたか判る。
 普通の機器はとりあえず pick されたと言うメッセージだけだが、「AR-1」「AR-2」号機は特殊なメッセージを返してくれる。これはミスオペ防止の意味も含め、最終的にはコンソール操作に応動する前に最低限この程度の確認をさせたいなと言うレベルの、オペレーターとのやり取りである。

Seamless8   

 プラントの特性に合わせ色々な手法が考えられるだろう。
勿論緊急時には煩雑だと言う意見に対しては、確認動作 kill の設定が可能だろう。

 表示 controller は不表示も可能で、この場合でも「↑」「↓」で視線の前進後退、「←」「→」で水平移動が可能である。
 最後におまけで電光掲示板のフリーソフトがあったので、プラントの現状を1言で表す表示をさせた。これも seamless だと得意の牽強付会もありうるが、他人の褌で相撲を取ってもしょうがないから止めておく。
これを起動するとかなりパフォーマンスが厳しくなっている。この次の時は単にビットマップを回転させるだけにしてみよう。大分楽になるはずだ。特殊なコンポーネントとしての別記 .pas も不要だし。と言うことはこの次は、パスカルソースも添付するつもりだな♪

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2液化中間報告(副題:冷却水は半量にしてはならない)

 カテゴリー省エネに初来訪の人のために、本題に至る前振りを少々。
① 冷凍機のCOPは、冷却水温度が低いと高くなるがそれだけでなく出力によっても変る。「吸収冷凍機の負荷率・冷却水温度とCOP
② 吸収式は出力が大きいとCOPは下がり、ベーンコントロール型ターボは出力が大きいとCOPは上がる。「吸収式各号機のCOPの特性」「ターボ冷凍機の特性
③ その程度は「相関が見られる」と言う程度に納まらず、ターボはより大きく、吸収式でも場合によっては冷却水温度と同等の傾きになる。
  「同等」とは、通常の変化幅の上限と下限で「同じ位の」の差が付くと言う意味で使っている。
④ 従って、COPの値を評価する時には、冷却水温度、負荷率の2つを対比してみる必要がある。更には冷却水流量も影響する。
⑤ 暫く冷却水流量一定で話をすると、冷却水温度、負荷率の2つに差がある場合にCOPの値を比較する場合は、その差を補正する必要があり、従って2つの変数とCOPの間の関係が判る必要がある。
⑥ 当 blog では、COP = f (冷却水温度、負荷率) 等という関係を計算するツールがあり、縦横無尽に活用している。「立体重相関図の最終機能
  これを図示するには、数値が3つ出てくるから3D図になる。
  更に進めると、COP = f (冷却水温度、負荷率、冷却水流量) という関係も成り立つが、これは4D図になる。「4D重相関ヘビーデューティ
⑦ また、負荷率を分解して COP = f (冷却水温度、冷水流量、冷水温度差) などと言うのもあるが、現在4D図が上限で、それ以上の図示方法は考え出していない。「5D相関図への道
⑧ 一方、当然冷却水流量もCOPに影響する。問題はこれも影響度合いが小さくないことである。
  当所には冷却水ポンプ2台の吸収式があり、50%負荷の時は1台運転にしてポンプ動力を半減できるが、50%負荷でも冷却水を全量相当流した時の効率と、50%負荷冷却水50%の時の効率差による入力エネルギー差はちょうどポンプ1台動力分に相当する。「冷却水半減で省エネ?
⑨ 従って当所のこの号機に限っては、冷却水に関する経済性に関して、50%負荷時にポンプを1台にすべきかどうかで悩む必要は無い。どちらでも良い。
  ただし、ピーク時電力調整契約などのメリットを引き出すため、出来るだけ電気を使わないと言う場合などは、自ずと選択が決まる。
⑩ また、冷却水ポンプがインバーターで、流量を吸収式冷凍機本体からカスケード制御しているものがあるが、これも制御を AUTO にして意識的に冷却水流量を上げてやると効率が上がる。今の所効率を上げる方がインバータ動力増より経済的である。「You've told me that a thousand times already.
⑪ つまり冷却水を減らす場合は、それに比例して冷却水ポンプ動力も下がってくる場合に、そのメリットは辛うじてトントンである可能性がある。例えばインバーターはこれに準ずるかも知れないが、冷却水ポンプ出口弁をただ絞っただけで流量を下げる場合は、流量が減った分動力は下がるが反面出口弁の圧損分ポンプの出入口部の揚程が上がるからモーター動力は流量に比例して下がらない。冷凍機の効率はそれ以上に下がっており、明らかに省エネに逆行する手法である。
⑫ これに気付かないのは、上記の通りCOPに2つ3つの説明変数があり、これを分析しにくいからである。当 blog ではツールをいたるところで (ソースも付けて) 提供している。「idea Delphi ソース」「UltraSuperDreadnoughts Delphi ソース」「1年分検索最低2秒、これが Delphi の実力だ
⑬ 更に冷却水流量低減で気になるのは、冷却水のスピードが下がるとスライムの成長が促進されるのではないかと言う心配である。
  日本冷凍空調工業会の「冷凍空調機器用水質ガイドライン」JRA-GL-02-1994 には次のような知見がある。「You've told me that a billion times already.
  これは初期付着誘導期における、流速とスライム付着量との関係だと言う事であるが、大げさに取れば設計流速で1[mg/dm2 month]以下、半量で4[mg/dm2 month]程度と見えないこともない。

Jra

⑭ 従って「インバーターで冷却水流量低減省エネ」を謳っても、この辺まで検討しておく必要がある。
⑮ 今般当所は冷却水薬剤を、防蝕・分散・殺菌の薬効オールインワンの薬から、殺菌剤と防蝕・分散剤の2種類の薬剤注入とし、個別に管理し始めたら、冷凍機チューブ内のスライムの成長が激減した。少しあっても粘り気が弱く、腰が無くなり、チューブ清掃直後の高効率が何時までも継続するようになった。「You've told me that a billion times already.
⑯ これによる経済効果も馬鹿にならないが、ここにも冷却水流量半減の影響としか思えない差異が現れていた。上記⑬の実証かも知れない。
 と言うことで、前振りを終わる。

本文の主旨は以下のようになる。
① 冷却水薬注を2液化して以降の冷却水清掃後 (AR-1:6/9、AR-2:1/26、AR-3:5/21、AR-4:6/8、AR-5:3/24) のデータが溜まってきた。即ち純然たる2液化の中での運転データである。ついては2液化前後の効率の差を比較してみる。
② 読者に手軽な様、データはプログラム埋め込みとした。
③ 定量的な改善量の評価については筆者の恣意的独断を排除するため機械的に、対応する相関曲面同士の差し引きを行い平均して評価した。読者には相関曲面をピックして比較するなど独自に判断してもらおう。
  読者がこれに専念出来る様更に操作を自動化し、ワンクリックで見える様にした。
④ またプログラム上の久々の大きな改良として、光源位置を図形の回転とは独立させたので見て欲しい。
⑤ 特別な機械では2液化による改善が見られない、これは冷却水半減に関係すると思われる。

 プログラムは ダウンロード arcmp_v2.exe (901.5K) である。glut32.dll (232.0K)が必要である。
同一ディレクトリーに置いて実行すると、データの入ったメモリー群の横に、赤いBold-Italic体の「OneClick」と言うボタンがあるから押してみよう。
自動的に色々切り替わるが、5秒後に目的の対比画面が表示されている。
 この間やっていることは、
① 選択号機の2液化前のデータをクリップボードにコピーする。
② 相関Ⅰの元データ表に貼り付ける。
③ 変化率20%以内でトリムする。
④ 残ったデータを相関計算して表示する。
⑤ 同一号機の2液化後のデータに対し、相関Ⅱプラットフォームにて①~④の操作を行う。
⑥ 相関ⅠⅡのグラフを対比表示する。
 人間が手でやると10ステップになるので、説明する方も面倒くさいし、やる方もそちらに精力がそがれるだろうと、自動化したものである。手動でやる場合の押す順番を付けてある。読者が同一フォーマットでデーターを作成し、計算・表示させたい時は、その順番で押してください。
下の様な様式のデータ群を Excel で作成してコピーし、相関ⅠまたはⅡに貼り付ければ計算・表示してくれます。これを可能とするため①②をクリップボード経由としているものである。単位が同じなら2つの相関を対比することも出来る。

Dataformat

 結果の3D対比図を順次提示するが、相関曲面にも影響されたくないと言う人は「Q」キーを押すと、相関曲面がオルタナティブでon/off するので、消したままじっと回転させて観察しても良い。
 対応する相関曲面同士の差し引きとは、相関曲面の説明変数が重なり合う範囲について同じ説明変数の面の新旧COPについて差し引きしたものである。従ってデーターの偏在がどのようになっているか等は反映されない。言うなれば「曲面平均の分布で運転したらこれだけ改善される」というものである。
 データドットの大きさはデータが重なり合うと分布傾向が判りにくいので、小さめにしてある。光線の当たり方などを見るには一番右下のスライダーを右に動かして大きくしてみてください。
 ついでにここで、光源位置と座標回転の独立の効果を見てみる。この場合図形を原点にシフト (to the origin) した方がわかり易い。
「F1」~「F6」キーによる回転は glRotated によっているが、従来ポリゴンも罫線も光源も全て同じ座標系に入れてあったので、全てが一体で回転してしまっていた。
物体の光の当たり方について言えば、物体が回転しても光源も全く同じ様に廻るから各面の照度は変らず回転の面白味が半減していた。
これに対し、スライダーで設定する光源座標を、物体の回転とは独立して同じ位置に固定できれば、物体の回転に伴い各面の照度は変わる。
 光源をワールド座標、物体をローカル座標に設定すれば良いんだろうが、今回は glRotated で回転させた後のマトリックスを取り出し、逆方向に光源座標に作用させることで、数行の追加で拍子抜けするほど簡単に出来た。

procedure glRotatez(dst:integer);                              //既存、getmessageでParamがF5,F6なら跳んでくる
begin
  if dst=1 then begin                                             //F5による回転
    if rtz<0 then rtz:=0;
    rtz:=rtz+0.015;                                                 //既存、回転量は加速させている
    rtx:=0;
    rty:=0;
   end;
  if dst=-1 then begin                                            //F6による回転
    if rtz>0 then rtz:=0;
    rtz:=rtz-0.015;                                                 //既存、回転量は加速させている
    rtx:=0;
    rty:=0;
   end;
  glRotated(rtz, 0, 0, 1);                                          //既存、座標を回転させている
  glGetDoublev(GL_MODELVIEW_MATRIX, @modelMatrix);//今回追加行、MODELVIEW_MATRIXを取り出す
  illumination:=DatoMat(modelMatrix);                         //今回追加行、illuminationは光源座標用Matrix

  reDraw;
end;

function DatoMat(mda:TMatrixDblArray):TMatrix;            //今回追加関数、OpenGLのArrayをMatrixに変える
begin
result._11:=mda[0]; result._12:=mda[1]; result._13:=mda[2];
result._21:=mda[4]; result._22:=mda[5]; result._23:=mda[6];
result._31:=mda[8]; result._32:=mda[9]; result._33:=mda[10];
end;

                                   //既存、描画時の光線ベクトル計算
lv:=vvector(TrackBar11.Position,TrackBar13.Position,TrackBar12.Position);
                                   //既存、光源座標、TrackBarはそれぞれX,Y,Z座標
if lightfreeze then lv:=VTransform(lv,illumination);     //今回追加行、illuminationは上記光源座標用Matrix、
lvv:=Vdotproduct(lv,normi)/100;               //既存、面の照度は法線 normi と光源方向との内積

 これで、全体が glRotated で廻っても、光源はそれに影響されず固定とすることが出来る。物事常に前進だね。
lightdir をチェックすると、黄色の光線方向が表示される。実際の光源はこれの100倍先にあるが。
lightfreeze をチェックすると、座標変換で図形を回転させても光源の位置は変らない。例えば光線が視線方向 (手前) から当たるように設定すると、図形をどの様に廻しても陰影が全く無くなってしまう。
但しカメラ設定の変化では光源は図形と一緒に変る。
 ついでに、「3Dデューリング線図」のところで「だれかフォントくれーッ」とおらんでいたが、誰もくれないので仕方が無い、自分で作った。
自作ったって、まさか手作業でシコシコ作ったんじゃないからね。そんな根気はない。
通常のコンポーネントに普通に書いた文字列をビットマップにして文字ごとに区切り、自動的にフォントにしただけのこと。これにより今後どんな字体でも OpenGJ のラスターフォントにできることになった。「物事常に前進だね」再び。
 但し、管理の関係から英数字だけだが。
 念のため言うと、画面で新旧相関式が書かれているのは、Delphi の RichEdit、ピック結果とCOP差が出てくるのは、Edit コンポーネントであり、何れもシフトできる。
これに対し、3軸の名称、単位、値の表示は OpenGJ のラスターフォントとして描画されている。
 そして、カメラ前進・後退のスライダーが真ん中あたりを越えたところでフォントの大小が切り替わり、図の大きさにより見合ったフォントになる。

 またお遊びで、データと曲面の色が変るから配色の妙を楽しんでください。以下は余りセンスの無い一例である。
色を変えるには「相関Ⅰ曲面」「相関Ⅱdata」等のチェックボックスのラベルを右クリックすると、カラーリストがプルダウンするから、そこから選択する。

 それでは各号機の対比結果を見てみよう。赤系統色が昨年 (2液化前) 、青系統色が今年 (2液化後) で季節要素の差を排除するため同一期間としている。
 AR-1
 全ての点で一様に改善している。全ての機械がこの様であれば、説明でも苦労することがないんだが。

Ar1_2lq

 AR-2
 相関曲面が冷却水低側でクロスしたこともあり、そのままでは改善量 (相関曲面の差し引き、以下同じ) が0.03と低めになってしまった。
この機械は、「溶液結晶温度・実濃溶液温度対比」「冷却水温度が下がっても結晶裕度は増えた」などで見たように溶液循環量が変動している影響を受けて、冷水出口温度、蒸気入力などが常にハンチングしているもので、変動が去年より次第に大きくなっていて、今回これも効率の足を引っ張っているのではないかと6/23に、循環量および高再低再分配比率を調整してもらった。
 まだ変動は残っているが、この調整前後比較でCOP的には0.015改善された。
 この調整後の新旧比較になってしまったのでデータ個数的に不十分であるが、改善の跡は充分みえる。

Ar2_2lq

 AR-3
 これが問題の機械で、改善の跡は全く見えない。後でAR-5と比較してみて見る。

Ar3_2lq

 AR-4
 AR-1同傾向。相関曲面は一部クロスしているが、データ点の分布だけ見れば問題は無いだろう。データ数が少ないから何とも言えないが、相関曲面のクロスにより改善量が低めに評価されている可能性もある。

Ar4_2lq

 AR-5
 改善量が0.016と他号機に比べて低い。
 上のAR-3とこれだけが冷却水量可変である。AR-3は半量運転時冷却水ポンプが1台運転となる。AR-5は冷凍機負荷率により、冷却水量をカスケード制御する。半量だけでなく、全量⇔半量間を連続的に変化する。

Ar5_2lq

 2液化後チューブ清掃以降の運転中の流量変化は以下の通りであり、それぞれ800[m3/h]以下300[m3/h]以下を半量時間比率と呼べば、AR-3が昨年50%今年50%、AR-5が昨年10%今年25%である。
AR-5が半量まで落ちる頻度は少ない。この差が、改善量に利いているのではないか。

Halfcolflow

 上記冷凍空調機器用水質ガイドラインの記述などと重ね合わせると、半量運転により強固に生成した初期付着誘導期のスライムは全量運転になっても、なかなかせん断剥離されにくく、効率まで悪影響を及ぼすのではないか。
 とすると「スライム抑制による冷凍機効率の改善(速報)」などで、「冷却水インバータ化で思ったほど効果が上がらないところは、2液化で多少なりとも挽回の余地がある」と言ったが、半量運転などを相変わらず採用しようと目論んでいる所は、2液化の効果も少ない可能性があり、その既述は正確ではない。
 何処から押しても、冷却水は常時全量相当流すのが一番である。

 もう一度明確に言おう。冷却水薬注2液化は、それだけで吸収式では4%近いCOPの改善 (1.4→1.455) が期待出来る場合がある。しかしそのメリットを充分引き出そうと思う時は、決して冷却水量は半量に近づけて運転しないことである。

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蒸気サイクル低温熱回収計算ツール

 前回簡略化した熱回収蒸気サイクルのツールを作って動かしている内に、色々と考えることがあった。
今回は抽気を詳細に計算してみようと言うことだったが、その辺もちゃんとみて可能なら反映させる必要がある。
 蒸気サイクルから見た目標の1つは、どうやって回収熱量を増やせるように受け入れ先の条件を整備するかである。
ヒートポンプCOPとの関連で回収温度の上限が決まるなら、回収熱量を多くするための受け入れ先の条件整備は流量を増やすか、入口の温度を下げるかとなる。
 前者に関しては抽気を減らせばよいが、するとタービン排気も増えるので復水器排熱は増える。復水器排熱に対する回収率は変らない。
もう一つ抽気のドレンを熱回収の入口に戻せば回収部の流量としては増えるが、このドレン温度は熱回収出口温度以上だから、熱回収温度に上限がある中では結局熱回収増には繋がらない。
 もし将来100℃程度以下から150℃程度までポンプアップできる (この後も暗黙の内に「経済的に」「合理的に」という言葉が全て入る) 媒体が見つかれば、ドレンを冷やして、これを合流させることにより、下図の様に熱回収Ⅰの熱量を増やせる。

Heatpump

 「ところで熱回収ⅢとあるがⅡはどうしたのか?」よく聞いてくれた。聞くも涙、語るも涙の物語。一方「入口の温度を下げても排熱回収量は増えるはずである」と次の検討を始めた。
 熱回収入口温度とは何か→復水温度である→これを下げるにはどうするか→復水器真空度を上げればよい→真空度を上げるにはどうするか→海水入口温度を下げればよい→海水入口温度を下げるにはどうするか→ここにも熱回収を入れればよい。
 熱回収は、何も復水器出口だけでなくても良いだろう。復水器に入る前からも回収できる。しかし回収先は復水にすると元の木阿弥、入口温度が上がってしまう。
そうすると、残りは復水器出口海水である。本当か?結局は復水器排熱が動力分増えそれに対する回収率はあまり変らないのではないか?
 勿論そうかも知れない。しかし今気にしているのは、受け入れ先の入口温度を下げて熱回収増のポケットをつくることである。まずこれは幾許かの改善があるだろう。
 また復水器真空が上がれば、蒸気サイクル効率そのものが上がる。
ただ復水器真空が上がればタービン排気湿り度が増加して、効率だけでなくエロージョンの心配も出てくるが、それには再熱蒸気圧を下げるか再熱温度を上げて最初の入口エントロピーをあげておけば良い。再熱蒸気から断熱膨張で等エントロピー変化するだけだから (断熱効率分エントロピーが高めになる) 。

 ついでにお笑いとして、「中国が火力・原子力をどんどん建設して温排水を出し始めると、日本の回りも海水温度が上がってくる」と言うのがあるが、日本側プラントとして1つの防衛策にもなる。そこまで行かなくても、建設時には自分の排水が取水に回り込まないように深層取水や防潮堤を考慮しなければならないが、これが多少緩和されるだろう。ちなみに夏場火力近傍の海水温度の垂直分布は次の傾向である。

Seawater_tmp

 ということで、ルンルンで検討を始めたが、定量的には無駄骨だということに気付いた。
海水流量を見れば一目瞭然である。350,000[Mcal/H]の排熱を温度差7℃に押さえるためには、50,000[m3/h]の海水量となる。1℃変えるだけで、本体の熱回収と同程度の運搬熱量となる。
 勿論それに見合うメリットがあれば汗を掻くのにやぶさかではないが、復水器の真空はどの位上がるんだろう。
これは飽和温度に効いて来るんだからと言うことで、プログラムの排気圧を0.05→0.04[ata]に変えて計算してみた。下表である。

Condenser

 0.05→0.04[ata]の復水飽和温度差は4℃であり、発電出力3[MWH]増、発電η0.26[%]増である。計算が正しいと言うつもりは無い。オーダーチェックのつもりだが、どうも食指の動く改善幅ではない。そして1℃で得られる回収熱増分は高々800[Mcal/h]である。
 そして極めつけは回収動力である。目盛り目一杯動かしてCOP9として回収動力6.5[MWH]となる。温度関係からもっと良い値になる場合があるかも知れないが、それにしても発電増分まで下がる事は無いだろう。効率増で得られる出力以上のポンプを追加して効率増を図る馬鹿はいない。本件も打ち止めとする。

 以上により、前回考えていた延長線上に落ち着いた。
 抽気については、再生サイクル効率改善より、熱回収の上限温度からボイラー給水温度まで加熱するのが、主な役目に変わりつつあるから、既設で言えば脱気器辺りから上だけ考慮すれば良いんだろうが、このツールは「熱回収でこんな効率になります」と言うより「こんなプラントで採用したらこれだけ改善されます」と言う見方だから、やはり既設によく似た系統にしておく必要はある。
 しかし既設→熱回収切替時に抽気の状態は変るし、他の条件も大幅に変るから、これが本当に新旧比較と言えるかどうかは、読者に判断してもらうしかない。
 各抽気による給水の加熱は次のように考え、簡略化する。
① 抽気圧はユーザー設定により一定とする。
② 給水加熱器内では、抽気復水化放出潜熱とドレン冷却熱量により、給水温度が抽気飽和温度になるまで抽気がとられるものとする。
  ドレン出口、給水入口温度差は0とする。
③ 給水側出口温度は抽気飽和温度以降過熱戻し部のエンタルピーを加算されて更に温度上昇するものとする。
④ ドレンは直ちに給水に合流される
 ④は実際は脱気器またはドレンポンプまで戻ってから合流するが、計算簡略化した。許容範囲だろう。
 ②により実機と同様、給水入口温度により抽気量が変る。また本プログラムでは、給水温度が抽気飽和温度以上では抽気を取らなくなる。
これを8段やってみる。

Htr_ind

 プログラムは ダウンロード steamcyclep2.exe (532.5K) である。これと ダウンロード Steam97.dll (116.0K) をダウンロードして (DLLの扱いは周知とする) 実行すると、h-s線図という画面が表示される。蒸気h-s線図上にモデル火力のヒートサイクルをプロットしたものである。
 単位が古い[kcal/kg]、[ata]であること、水色と黄色の曲線は水の飽和曲線であること、貫流ボイラーではなくドラム型を表していること、サイクル図は各端部を直線で結んで描画してあることなどは前回と同様である。
 前回と違うのは、抽気を8段に分けて扱ったことである。抽気圧は可変である。
 抽気・給水加熱器まわりの加圧水は殆ど温度≒エンタルピーとしているが、ご容赦願うとして、各段での断熱効率を全て真面目に計算したら、断熱膨張中それらしい図示配置になった。
 抽気取出し点は赤で、抽気飽和蒸気点は黄色で、抽気飽和水点はグリーンの丸で表示してある。線分では結ばなかった。給水温度が抽気飽和温度以上で抽気を取らなくなったらこれらの表示は消える。
 第一抽気量が多いようで圧力を下げてみてもよいが、確かここは定格出力時はプラス圧だったような記憶があるから、実機ではその前段にグランド蒸気やエジェクターのコンデンサーがあって少し復水よりは温度が上がっているから、実機ではもう少し抽気量が少ないんだろう。
しかし、熱回収でこの辺は軒並みパスしてしまうから、余り細かくフォローしないことにする。
 実は、このサイクルの各値は全て記憶で書いている。物を残せない性質で資料は無く、ヒートバランスも web でもちょっと見かけないから、適当な抽気量の配分で設定した。
実機を扱っている人は実機に合わせてもらえば良い。スライドの範囲外でも窓に書き込めばその圧力で計算してくれる。
但しこの場合、計算のキュー出しには当該抽気以外のスライダーを動かす (またはクリックする) 必要がある。また妙な組み合わせだと計算が収束せず、図形が描画できないのでその場合はあしからず。
 最終抽気圧もどの辺か忘れてしまった。今回の抽気の働きは給水加熱というウエイトが大きいから、この辺で多量に抽気するように配分することもあるだろうから、第6抽気ぐらいまでは再熱の前後から抽気出来るようにした。
 「計算が収束せず」云々は、前稿の抽気量固定と違いこの抽気の計算手法では、給水入口温度で抽気量が変る→復水量が変る→熱回収がある場合は給水入口温度が変る、の繰り返し計算が必要だからである。
収束条件は、復水流量などを主とし、変化量1%以内で収束することにしてある。
 前回も又は今回熱回収が無い時でも最低3回計算するが、1回目各値設定、2回目全数値計算、3回目収束条件確立確認の手続きを踏むからである。これは筆者のものぐさを表していて、計算式の順番をじっくり考えていられない。従って式を思いつくままに記述して、後の方から計算できた値をもう一回パスを廻すことで前の方の式に代入すると言うような手法を取っているからこの様になったものである。
 熱回収が出てくれば、上記の当然の繰り返しが必要になりこの手法を採るエクスキューズにもなるが、最高9回ぐらい繰り返し計算しているようである。
 なお設定パネルおよびメモは邪魔な場合、上方でも何処でも画面外に隠しておける。✥のカーソルになったらドラグできる。

Fig1

 さて実行した最初の状態から熱回収量を徐々に上げていってみる。復水温度が上がる分抽気が減って発電量は増えるが、復水器排熱量も増えていく。
熱回収量が40,000[Mcal/h]を越えた時点で第1抽気がゼロとなり、50,000[Mcal/h]を越えた時点で第2抽気が、60,000[Mcal/h]を越えた時点で第3抽気量がゼロとなり表示が消えた。
 これは定性的には、実機と同じ挙動だろう。前稿で予想していたとおりである。
筆者は30年前、このような特性を見て、4段ある高圧給水加熱器の途中のものの給水出入口仕切り板の穴開きをその大きさと共に検知したことがある。
 次いで採るべき進む道としては、抽気をできるだけ下げないで発電出力も上げない、効率だけ注目する方向と、抽気を下げ復水量を確保し、回収温度を下げる方向があるだろう。勿論その中間も。
 回収温度とCOPはスーパーヒートポンプのそれぞれのトップ値に近いものが同時に達成されるとした。同時に達成と言うのは聞かないが、スーパーヒートポンプと同様の挑戦が今もどんどん進んでいるんでしょう?
 結果の纏めと、それぞれのサイクル図は下図である。

Result_3   

Fig2

Fig3

Fig4

 まず、どうしても抽気取出しが大きく変わる。これに伴うタービンダイヤフラム前後差圧の許容値確認と合わせ、タービン本体の改造が出てくるから、既設は一部手直し (発電機直結回収動力回路または所内変圧器の設置ぐらい) で、殆ど直ちに燃料減を享受できるということにはならないだろう。
 また発電機容量についても、もしかしてメーカーさんが許容するかもしれない5%程度以内の増容量に留め、何とか送電端電力は維持するという範囲の選択肢もありそうだが、原子力については、サイクル入熱が減るにしても原子力は熱出力を下げても余り意味がないから、発電機をそれに見合った大型にしなければならない。
 つまり、このアイテムを完全な形で実機に反映するためには、抽気取り出しおよび給水加熱器配置・タービンダイヤフラム耐圧・発電機容量全てに亘って設計し直しが必要である。またコンプレッサーは蒸気タービン駆動だという人が出てくるだろう。既設には簡単に反影できない。
従って例えば2020年と言う時限を考えるとこのアイテムはちょっと適用できない。
 そして当然「そんな温度に対する、そんな容量の、そんなCOPの熱回収が出来るのか?」という疑問はあるだろう。そこが本ツールを上梓した意味合いで、「ほほう、ここを改善すれば、蒸気サイクルではそんな効率になるのか」「うちの技術では後一歩だな」「温度では駄目だがCOPを頑張ったらどうなるんだろう」と言う見方で触ってもらえば、幸いである。
 更に、「蒸気計算の精度が悪い。もっと高性能詳細なのを作ってやろう」という、メーカーさん学生さんのインセンティブ喚起になっても、うれピー。
 媒体開発、設備開発も、その経済効果を考えて皆が前向きに取り組むと加速されるだろうと言うことで、得意の取らぬ狸の皮算用をやってみる。
要するに170℃以上、COP6の設備があれば送電端・入熱比で7%の効率アップが期待出来る。このメリットを国全体で2つの側面で享受できるとする。
 1つは、原発にこれが適用されて、同じ熱出力に対して送電量が増え、その分石炭火力の稼働率を減らせると言うものであり、もう一つは残った化石燃料火力にもこれが適用されて燃料が減るという側面である。2重取りに注意しよう。
 「原発システムはそんな入出力比の問題じゃないよ。入力は殆ど関係ない。立地さえ出来れば送電端には幾らでも電力は出てくるんだ。」という意見があるだろうが、ここでは炉熱出力が一つの制限枠だと考えれば、上記考え方も成り立つだろう。即ち、リプレース (同じ敷地内と言うつもりは無い) の断面などを考慮しても現在の合計熱出力は一応は確保済みというようなスタンスの時である。火力の煙源枠と同じである。
 2005年度の原発発電量を3060[億kwh]とすれば、同じ熱出力で210[億kwh]増えることになる。送電端増比率を発電端増比率としている。
その分石炭を減らす。
 次に、この再配分した電源構成に対して、化石燃料は7%のCO2発生減をもたらすものとする。但しガスは半分程度がコンバインドだと想定され、もともとそれなりに高い効率に対してモチベーションが沸くかどうか疑問だし、また蒸気サイクルがシステムの半分を占めるから、ガス火力に対しては半分の減率を適用した。
 結果は下表の通り、4,160[万トン]と国全体の2005年度の3.2%になる。計算範囲は事業用発電所だけだが、コンビナートにある私企業の自家発まで対象が広がればもう少し大きくなる。
 この計算ではCO2のカットに注目したため、ちょっと適当でないが、7%の燃費ダウンとCO2上のメリット (取引・炭素税) は、個々の企業にとってどの程度のインセンティブになるんだろう。

Deco2

 意気込んだ割にはちょっとパンチ力に弱い気がする。
もっと大きければ、「この程度の回収規模とCOPの実現が少々困難でも、これだけの経済性があるんだから、猪突猛進で取り組んで実現を目指そうと言う気概は出ませんか」と強引に纏めようと思っていたんだが。
 企業の温暖化対策姿勢に訴えようとしても、全員で「選挙違反無用宣言禁止法」のように「抜け駆けで、余計なことはやらない事にしよう」とソッポを向かれたら一向に進まない可能性がある。
残りは行政の強力なテコ入れだけが頼りだが、何処かメーカーさんで技術・効率・制作費の突破口を開いてくれたら進むかもしれない。
 もしかして中部電力さん辺りが最も実現に近いかもしれないが、特に石炭関連企業は頑張る必要があるだろう。

 最後に Delphi ソースはダウンロード steamcyclep2.dpr (0.2K)ダウンロード steamcycle2.pas (34.6K)ダウンロード steamcycle2.dfm (13.0K)、それに Steam97.dll 用ヘッダー ダウンロード SteamDLL.pas (4.0K) である。
多分プログラムを見ようと言う人は熱力は余り馴染みが無いはずなので、筆者にしてみればしつこいぐらいコメントを書き込んである。
上記の通り何度かループ計算を行っていて、途中経過を図示していたためそれ用のイメージが残っている。ループは19回廻せるように用意したが、条件をラフにして短時間で収束するため9回程度のようだ。
後はシコシコと作っているので、上記抽気・給水加熱器関係の他、以下のような変数ネーミングが慣れないとわかり難いかもしれない。
 またSteam97.dllは今回かなり幅広いレンジで使う事になり、使い方の所為か一部で関数が計算してくれないところがあり、バイパスしている。また単位設定もわからない所がある。この辺は使わせてもらっている立場として全てこちらで確認対処する。また代入変数の順序の入れ替えは Delphi では常に注意しておく必要がある。

Cycleind

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石炭関連企業はコンプレッサー開発が急務。副題「ダブルチェックからパラレルチェックへ」

 又もや柏崎刈羽原発の話題と2本立てで、表題もしっちゃかめっちゃか。
 「7号は安定、営業運転再開。6号は試運転開始、行け行けどんどん。これ以上何か文句あるのか?」と言われそうだが、一筆啓上。
6号機制御棒駆動機構と制御棒の結合不良に関する最終報告を原子力安全・保安院へ提出した。機械的に間違えないだろう再発防止対策も中長期的に実施だそうだ。
 「物理的に間違えられないような構造を考えよと言ったから、そうしたじゃないか」と言えば取りあえず及第点だが、それは一つの原因に対する対策でしかない。
1基200本以上のCRDシステムの改造は工期的にも、経費的にも大変だろうし、対外公約だから然るべきタイミングで実行されるんだろうが、それまでの間は「チェックシートの見直し・作成」「判定基準の明確化」「ダブルチェック出来るような体制の見直し」だそうである。
 是非とも最後の検討で気付いて欲しいのは「ダブルチェック出来るような体制の見直し」なんだから、今まで指摘したように「技術屋同士で会話が出来る体制を意識的に作る」ということである。
間違えようとしても物理的に間違えられないような構造が今後は必要だと言ったが、所詮それはある1つの不具合の可能性排除の個別対策でしかない。それよりももっと重要・汎用的な点が外されていると指摘していた。「いかにも、原発技術屋同士に会話の痕跡が無い」と言う点である。

 既述を何度も嫌味たらしく繰り返したくないが、めくり返すのが面倒だという人のために簡単に触れると、労災で声を掛け合ったら防げただろうと言うのは除いても、
 潤滑油30リッター漏洩などは、「ノズルが緩んだ。ちょっとホースを上げて持っているから、その間に廃油缶持ってきてぇ!」と叫べば1リッターもこぼれようがない。
(お判りだろうが、潤滑油が30リッター漏れたことをとやかく言っているのではない。その程度はままあることで、原発としてこの程度も不具合としてオープンにしなければならない立場には同情するものである。そうでは無くて、その事故原因はホース先端のノズル外れとしているが、ノズルの有無は漏洩とは無関係と認識出来るか否かの問題である。ノズルがあっても漏らせるし、無くても回収できる。誰でもおかしいと判断できるはずの解釈を天下に堂々と開示してはばからない姿勢は問題だと言っているのである。作業員の申し立てを何の疑問も無くそのまま羅列したか、もっと大きな事を隠すための配牌か知らないが、即ち、前者であれば厳密な原子力をマニピュレートする基本的観察力がそもそもお有りですかと言う疑問であり、後者であれば企業のコンプライアンス姿勢は兎も角、「もっと上手に嘘をつけ!」となる。)

Oil

 圧力抑制プールの水位上昇だって、プールの波立ちはパンフにも表現しているほど既知のRCICS運転時の常態だとすると、廻りの同僚・グループ長・当直長などが、「圧力抑制プールの水面は波立つことがあるから、四方のレベル計の動きを見て、同じ様に変るようなら注意しろよ」とか言えばハッと気付いた可能性は大きい。
「圧力抑制プールの水位は増えてないね」と、訊くだけでなく自分でちょっと立って行って後から覘き見たりしないんだろうか。
言われなくてもその位やっているさ。それでも不具合は起こったんだ」という事なら大変だが。
 水張り時の過剰ブローだって、「今から水張りするところの、エアベントとドレン弁はこことこことここだよね。はいバルブは閉めたでしょ。こことここは1人で見れるから、2人で監視していてね、今から水張りするから。何か在ったら怒鳴って教えてね」と言えば良いだけの話である。
 原子炉補機冷却水系への復水補給水系の水の混入だって純水を補給しようとする時、「今から純水補給弁を開けるから、補給水タンクの水位が下がってくるはず。また補給水積算計がカウントするから見ていて、動きが無かったら連絡してね」と言えば、間違いは気付いたはずで、復水補給水系のトリチウムが外に出ることも無かったろう。
 この辺は、コンビネーションで仕事をしているプラント操作員から見れば言うほどの事もない当たり前の話であり、この程度の会話があれば起こりえない不具合が、1人1人は寡黙で真剣に作業しているであろう原発では頻繁に起こるのである。

 CRのカップリング作業でも、1人がじっと目を凝らして作業を実行するのではなく、隣の同僚と「ほら荷重は良いよね、これで○○CRカップリング完了。確認して」「OK、○○CRD荷重良し、カップリング完了確認」とやれば「工事担当者の思い込みにより、CRの荷重のみかかっていることをもって、問題ないと判断した」 (さぶーっ、「当社協力会社の技術力は、何時までも同じような繰り返しで前進しないね」「それを改善させようと言う取組みも奏功しないね」「これを臆面も無く『これが原発の実態だからしょうがないじゃないか』と繰り返す自分達管理部門とは何なんだろう」と思えば、「さぶーっ」となら無いんだろうか) と言うようなことも起こらないだろう。
 1人が黙々と確認作業を200本もやっていれば、色々雑念も浮かんでくるだろうし、余程気を引き締めていなければ勘違いも起こるだろう。頭はあらぬ事を考えていて、「良」に○をくれる可能性は有る。
原発不具合の再発防止対策としての「チェックシートの見直し・作成」「判定基準の明確化」「張り紙やミーティングで注意喚起」「事象の把握を徹底する」等の連発は、【ダイハード4】でティモシー・オリファントに「You're a paperhanger in a digital age.」と笑われたが、作業員にこの様な過度の精神力を求めているに過ぎない。そして何度も同じ様に裏切られている。
 「ダブルチェック体勢」と言うのも同様な事が起こりうる。1人が真剣にある作業をチェックして、然る後にもう一人がチェックリストで同様に真剣にチェックしてもそれをすり抜ける不具合はあるだろう。
この「ダブルチェック体勢」と言うのを明瞭に「パラレルチェック体勢」と捉えなおして、同時にかつ会話により相互チェックすれば、しつこいが、発声の段階で軽いストレスが起こり、前頭葉の活性化を促し相手の結論と自らの観察結果の対比により、正確な判断が確保される。
折角「ダブルチェック」まで来たんだから、「パラレルチェック」体勢の確立まで前進させ、ついでに作業員全員に予定行動発声申告制を導入し、さらに支援警報導入でプレコーションマインドを喚起すれば、原発の不適合はたちまち改善される。嘘ではない、それでも改善されない場合があるとすれば、作業要領書の不備であるから、機械の裏まで知悉しつくしたメーカー技術員の招致を増やして、協力会社単独の技術作業を無くす。
 前稿でも見たように、地球温暖化対策での原発のウエイトは極めて大きいんだから、頑張って貰わなければならないとして、言いたくないことも言っているのである。
新潟工科大学で、電力の協力も得て原発の耐震性研究施設を設置との事で、「市民の安心感の醸成に繋がる」と期待も膨らむそうだが、上記の (詳細は当該ページで) 対策を実施すれば、たちまち原発は安定し市民の安心感は倍加されるだろう。

 さて本題である。前稿で、政府の「2020年までの温室効果ガス排出削減目標を05年比15%減」とする中期目標発表に際して、これを炭酸ガスに限定して、当 blog の今までのアイテムでこれが何処まで達成できるか見てみた。
 ハッキリ言って数字遊びだったし、「そう上手く行くはずもない」と言う見方も有るだろう。多少言い足らなかったこともある気がするので、チャンスがあればやろうと思っていた追加件名を行ってみる。
復水器冷却水の温熱の回収である。
 「火力発電所は発電機能付き海水ヒーター」などと揶揄されながら、コンバインドサイクルを除けば効率は殆ど改善されない。
蒸気サイクルの上方面、蒸気条件改善の努力はなされるが、低品位熱源である多量の排熱については手付かずのままである。
低温熱の回収については、一部電力系DHCに於いても温度差熱回収は実現しているが、ご本家の火力発電所では「火力というのはこんなものだ」と手付かず、紺屋の白袴状態に陥っている。
 原因の一つは、熱サイクル上には適当な熱回収先が無いからである。
ちょっと計算してみれば判る。復水器が30mmHg程度の真空度で運転しているとして、飽和温度は30℃、蒸発潜熱は低圧タービン排気蒸気1kg当たり580kcal/kgである。これを海水で冷やして復水にしている訳である。低圧タービン出口湿り度があればその分は既に水になっているから、もう少し少ないが。
そこでヒートポンプなどで高温が得られて、サイクル上の低温部に回収しようとしても、蒸気量≒復水量≒給水量とすると、この50%でも回収するためには、給水温度は320℃ (=30℃+580×50%) になってしまう、あるいはならなければならない。
 低圧タービン出口湿り度5%、抽気量20%としても250℃である。
つまり既設サイクルの最終給水加熱器出口温度に近い。即ち抽気は全て不要で再生サイクルが成立しない。またヒートポンプで250℃の温度上昇が合理的に出来るかと言う問題もある。
 そこまで頑張らなくても、少し回収しようとしても、そのままでは復水・給水の温度が上がった分抽気の凝縮能力が減り、結果として抽気量低減即ち出力が上がるが既設ではそれを許容出来ない。
 ガス炊き発電所はコンバインドサイクルという手段があって、より合理的に効率を上げているが、石炭などはこれの倣いとしてPFBC (加圧流動床上で石炭を燃やして、その排ガスでタービンを廻しかつボイラーも加熱する。炉を加圧するため些かグロテスク。温度分布もコロコロ変わるだろうから、非定常熱応力も大変なものだろう。またタービンを廻せるクリーンな排ガスにする技術としては石炭ガス化もある。IGCC) などの技術が研究されているが、日本では今の所商用運転にはなっていない。
 火力温排水は従って、回収どころか反対に蒸気霧の主犯説などで公害防止協定では低めの値を約束する事になり、益々回収とは縁遠くなっている。更にはこの制限が守れないでデータの改ざんまでやってしまう羽目になっている。殆どトホホの世界である。
蒸気霧は冬季自然に発生することもあるんだから、小型船の往来の激しい所は論外としても、行政も余り画一なことを言わないで、「少し高めにしておいた方が将来熱回収しやすいんじゃないですか」位の懐の深さを見せて欲しいものだ。「その代わり、放水口を市民の釣り場に開放してください」と言っても良い。

 プラントサイクルへの回収は難しいとなると発電所外への回収となるが、民生にするにしても近傍に適当な回収ターゲットはない。
また物理的には民生ターゲットへの熱回収が成立する条件があったとしても、発電所と周辺の往来が希薄で実現しにくいと言う点もあるだろう。公害源としての不人気もあるだろうし、発電所から見て運転に直結した顧客対応は敬遠する部分もあるかも知れない。
観点は違うが、先ほどの放水口は最高の釣り場になるが殆どの発電所で構内立入り禁止、釣り場としては開放してないはずである。最近では変わってきたかも知れないが。
この点DHCはお客様直結商売だから、多少進んでいる。低温熱でも回収して民生需要に結びつける。
 「CO2排出05年比15%減」に、原子力への追い風要素もあって全面協力するなら、電力にとってもここの改善も重要である。(えっ、「その辺は余り頑張らず、15%未達にして置いて、だから徹底して原子力じゃなければ駄目なんですよ」に持っていく?)

 今後、特に石炭火力などはPFBCやIGCCしか道は無いのか。
発電所近傍のビニールハウスなど農芸需要、都市部の発電所で運よく集合住宅がある場合の暖房供給など、民生も含めて頭を絞って積極的に低位熱の回収を考えないと、何時までも「発電機能付き海水ヒーター」じゃガス以外の火力はお先真っ暗。
 ボイラーまたは原子炉+蒸気タービンシステムに於いて、技術改善により実現可能なヒートポンプの能力とCOPを反映した、再生サイクルの設計変更の可能性は無いのか。
回収により復水給水温度が上がって抽気の余地が減少したとしても、元々再生率を上げてきたのは、海水に熱を奪われるのを出来るだけ少なくしようと蒸気の復水器通過をバイパスしたためである。今回これがヒートポンプである程度回収できるとすると適当なバランス点は無いんだろうか。
 従来のヒートポンプの性能なら、そんな気も起こらなかったが、炭酸ガスの超臨界圧使用などヒートポンプも効率性能共に進歩した。考えてみる余地も出てきたように思える。
 勿論、入力の半分以上を海水の昇温に費やしているシステムである。これを回収しようとしても装置的にかなりグロテスクなものになることが予想されるが、然らばその程度はどうか。その効果の確認とともにやってみようと言う気は出てこないんだろうか。
 これを概観してみようとプログラムを作った。

 ダウンロード steamcyclep.exe (527.0K)と ダウンロード Steam97.dll (116.0K)を同じディレクトリー (DLLの扱いは周知とする) にダウンロードして実行すると、h-s線図という画面が表示される。蒸気h-s線図上にモデル火力のヒートサイクルをプロットしたものである。
まずこれから見ていく。単位は古い[kcal/kg]で表示してある。こちらの方が℃との関連付けも容易で直感的に使いやすい。ついでに圧力も[ata]である。
水色と黄色の曲線は水の飽和曲線である。図をクリックしてください。少し大きくなります。

P_s1 

 左下にボイラー給水エンタルピーの赤丸が表示されている。これから右上に上がると、このスケールでは見にくいが、蒸発部の等圧曲線が蒸発部の圧力とエンタルピーの動きと共に記述されている。
つまり貫流ボイラーではなくドラム型であり、ここの圧力は主蒸気圧+10[ata]である。
 その後主蒸気条件まで上昇するが、本来なら、圧力ロスが無ければ圧力一定のカーブで上昇するんだろうが、直線で結んで描画してある。
蒸気温度は、即ち1050[゚ F]になっている。
 タービンに入った主蒸気は等エントロピーで断熱膨張して仕事をするが、実際には断熱が完遂出来ない分多少のエントロピー増大を来たす。タービン断熱効率というが、この辺も端折って直線で引いてある。
 仕事をした蒸気は、まだ大分過熱度を持ったまま再熱器に導かれ再加熱される。再熱蒸気圧=再熱戻圧としている。
 再熱蒸気は仕事の途中で抽気され、給水の加熱に使われる。即ちその分それ以降のタービンでの仕事は減るが復水器通過熱量が減り、サイクル効率は改善されるわけである。
ここでは抽気は25%一挙に行うとしている。実機では8段ぐらいに分けて合理的に実施されるが、計算の簡略化のため1本化とした。
ちょっと無謀な仮定とも思えるが、過熱戻し部(ピンク部)、復水部(緑部)およびドレンクーリング部の伝熱面積などは充分あるものと仮定する。
残った75%の蒸気は最後までタービン内で仕事を継続し、7%程度の湿り領域の状態で復水器に排気される。これも原子力を除き実際よりちょっと大き目かな。
 主蒸気から再熱戻りまでのエンタルピー差、および再熱蒸気から抽気点までの全量、抽気点から排気までのエンタルピー差の75%がタービンの入力である。

 復水器の真空は0.05ataと置いてあるから、タービン排気のエンタルピー570[kcal/kg]は、勿体無いが海水で32.56℃まで冷やされる。計算では346,972[Mcal/h]となっている。ボイラー入熱の51.4%である。
これが効率低の原因であり、抽気を多くしてここを通る熱量を減らしたり、蒸気圧・温度を上げてここの通過熱量のウエイトを少なくしようとするのが今までの効率改善の取組みであるが、ここにヒートポンプの最新の技術を取り込んで捨てる熱量を回収してみようと言うのが、本稿の主題であった。
 サイクルを進めると、32.56℃の復水は全体の75%645[ton/h]であるが、833[kcal/kg]のエンタルピーを持った全体の25%の抽気215[ton/h]で加熱されて、かつ合流し、232[cal/kg]の給水となってボイラーの節炭器に入る。この規模のプラントの温度よりちょっと低めの数字である。この辺も抽気一括などの端折りもあり、また排熱回収によりどう変るかを見るためだけとしてこのまま進める。
 水の部分は、復水ポンプ、給水ポンプ、脱気器排気などの熱出入があるが無視している。また飽和曲線と紛らわしくなる部分もあるため、加圧水ラインは描画してない。
 ボイラーの出力は主蒸気エンタルピーとこの給水エンタルピーの差および再熱蒸気と再熱戻蒸気エンタルピーの差であり、ボイラー入力はこれをボイラー効率0.92で割り戻してある。

 右端に電力関係が図示してあるが、既述のタービン入力をタービン機械効率と発電機効率で96%とおいて、860[kcal/kwh]で割ると発電機出力となる。
これとボイラー入力の比が発電端効率である。
 蒸気量860[ton/h]で計算したが、一般的原発の1/4規模のプラントとなっている。
発電機出力は一部発電に必要な補機類のモーター動力に使われ、残りが送電される。これとボイラー入力の比が送電端効率である。
 発電に必要な補機類のモーター動力と発電機出力との比は所内率と言うが、ここではこれを5%と置いてある。実は、補機で最大のものは給水ポンプでありこれをモーターで回すか抽気駆動のタービンで廻すかで所内率は大きく変わる。また、次に大きいのはボイラー通風動力である。特に排ガスの処理を行う必要があり、そこの通風損失が大きい石炭などは通風動力も大きくその分所内率は高めである。
 色々な観点があるため決めにくいし、また定義は補機動力と発電出力との比ではあるが、これを一定とするのにも疑問はあるが、このプログラムの主旨は熱回収による変化を見ることだから余り拘らず5%と置いたものである。
但し熱回収には膨大な動力が必要だから、その分別建てとしてある。

 左上のコントロールパネルでこの内の幾つかの条件が可変である。
ヒートP入熱は本稿の主題であり、直ぐにも触ってみたいが、その前にプラントの特性、特にプラント効率改善の努力がどの様に奏効するかを見てみる。
 まず主蒸気温度・圧力・再熱蒸気温度を上げ下げしてみて欲しい。
これらを上げれば上げるほど効率は上がる。既述のとおり上の熱量が上がり復水器持ち出し熱量のウエイトが下がるからである。言わば間接的効率改善である。
これを上げる時貴方はUSC (UltraSuperCritical ・超々臨界圧) の取組みの成果を確認しているわけである。色々実機とは異なるところがあるから定性的にだが。
 再熱蒸気圧は下げた方が効率は良くなる。これは再熱温度が変らなければ、低圧の方がエンタルピーが高く上と同じ傾向になるからである。

 抽気を下げると、発電機出力は上がるが、給水加熱が減少して給水エンタルピーが下がり、ボイラー入力がそれ以上に増えて、発電端効率は低下する。
抽気圧力は上げるとボイラー入力も下がるが、タービンでの仕事が減って効率は低下する方向だが、今回1発抽気にしてしまったので余り意味は無さそうだ。

 それではお待ちかね。ヒートポンプによる回収を始めよう。と言っても筆者にはヒートポンプのトップの知見は無い。皆さんが出入口温度と媒体流量、コンプレッサー動力を見ながら、俺ならあるいはうちの技術ならこの程度は実現出来るなと考えながら触ってもらいたい。勿論この程度が出来れば良いなという、門外漢の気楽な操作でもかまわないが。
全てを初期に戻すため、再度実行し、ヒートポンプCOP5のまま、回収量(海水冷却側熱量)を10,000[Mcal/H]にして見る。これは復水器放熱量の2.9%を回収していることになる。
 回収先は回収出口エンタルピー(青丸)が51.17[kcal/kg]に上昇し、ボイラー給水エンタルピー(赤丸)も246.43[kcal/kg]に上昇した。
 発電端効率は39.88→40.66%に増加し、回収用ヒートポンプ動力が2.33オンしたものの送電端効率は37.88→38.32%と0.5%改善された。
 続いて回収量を20,000[Mcal/H]にしたのが下表である。

P_s3

 ここで一つ断っておくが、「この抽気で本当に給水温度がそんなに上がるの?」と言う疑問がある。あえて表示してあるが抽気圧の飽和温度は211.4℃である。また抽気のエンタルピーは833.1[kcal/kg]、抽気圧の飽和蒸気のエンタルピーは668.4[kcal/kg]である。
したがって給水加熱器の復水戻し部の温度は210℃程度で一定として、過熱戻し部のエンタルピー差は164.7[kcal/kg]でこれが加熱すべき給水の0.25しかないから温度的には41℃しか上がらないはずである。
 これは計算の簡略化のため、抽気を1段と極端な仮定を入れたため、起こった矛盾点である。実機に於いては、この程度の規模では抽気は8段ぐらい分けて行われ、この程度の給水温度は確保されている。抽気のバランスよい配分により、給水温度と抽気飽和温度ドレン温度との関係は維持され、給水温度は徐々に上昇していく。
従って、現時点の考察にあたっても実機ではその様に配分されると言うことで、余り極端な場合を除いて多少の矛盾は無視しこのまま継続する。一応参考として、抽気飽和温度から過熱戻し部のエンタルピーで上げられる熱量をlimitとして表示した。この辺の議論は温度≒エンタルピーとしている。

 更に回収量を上げていく。40,000[Mcal/H]で回収温度が100℃を超えた。134Aの臨界飽和温度である。
50,000[Mcal/H]で給水エンタルピーが300[kcal/kg]を超え、また回収動力も11MWHとなり、何台か並列運転するにしても大変なコンプレッサーになる。分割するにしても筆者にはちょっと想像できない。大きすぎるから、抽気タービン駆動か、モーターでも発電機電圧直接ドライブにするんだろうか。
言い忘れたが、媒体の動きも想定しようと、200[kJ/kg]の蒸発潜熱相当で幾ら流れるかも参考表示している。ここでこれが1000[ton/h]をこえた。
 このままの抽気圧・抽気率で直進するのは止め、またドリームジャンボCOPも許していろいろ動かしてみる。
一つの候補が最後の行である。プロに聞いたら無理だよと言う (炭酸ガスの超臨界圧理想サイクルでもこの温度だとCOP6程度) し、ヒートサイクルとしては一発抽気の無理もあって定性的な吟味に耐えないことが判ったので、今回はこれで打ち止めとしよう。送電端で4%アップだが、回収温度は134aなら100ataであり、1700ton/h以上流れる。

P_s2

 しかし、やはり煩雑でも5~8断程度の分割抽気にしないと、回収部からボイラー給水までの解析比較は出来ない。従って竜頭蛇尾の感は免れないが、今回は前振りとしてこれで筆を置き、直ちに次のステップに進むことにした。しかし石炭関連会社で今後販路を維持したいと思うところは、ぜひとも大型・高圧・高性能のコンプレッサーの開発と、また有効な媒体の開発が必要なことは容易に想像が付く。
 程なく新ツールをお目に掛ける。ソースも開示できるだろう。

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