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「霞が関はばか」か菅氏がばかか

 官僚から「2兆円を使ったら目いっぱいで2兆円の経済効果だ」と説明を受けたことで、菅国家戦略担当相が日頃の官僚嫌いもあって、「霞が関なんて成績が良かっただけで大ばかだ」と吼えたらしい。
 普通なら「おうおう、やっているわい」と冷笑しとけばいいんだろうが、関連アイテムで「めくら蛇におじず」「故石井紘基先生に捧ぐ」などを綴って来た身としては、黙っているわけにも行かない。

 これだけのやり取りではバカはどちらか軍配の揚げようが無い。
官僚の説明だって「経済のボーダーレス化、変動為替などの影響もあって、近年は何処に経済投資を出動しても、産業関連表やその他の指標で見ても最大でも投資と同額程度しか経済効果は出ないんです」と言っているのかもしれない。
 もっと深読みで「投資フローを経済メカニズムの中で自由な流れに任しておけば、もっと大きな効果が期待できるのに、必ずセンセイ方が寄ってたかって利益誘導に走る結果、資本フローを不自由にして投資の発揮効果に纏足がっちりかましてしまう結果、わが国ではケインジニアン・センセイ方の常套理屈に反して、投資額以上の経済効果は無いんです」と皮肉ったつもりだったかも知れない。
 それを冒頭から自分の生齧りのケインズ理論に反するとして相手の説明も聞かず、あるいは耳に入らず「霞が関は大ばか」だとやったとしたら、大ばかは菅直人副総理兼国家戦略担当相の方になる。
 特に相手の主旨が纏足皮肉にあったとしたら、かなり笑えるやり取りになる。明日2日に霞ヶ関がどっと沸いていたらこれである。
全省庁で受けない限り民主党本部までは聞こえないだろうから、こっそり様子を窺いに行ったほうが良い♪。
 しかし、国会議員の職務を忘れ四国お遍路さんをやっても、もって生まれたものか俗っ気はなかなか抜けませんね。それに滅私により鋭くなるはずの物事を見通す直感も眠ったまま。

 菅氏がどうしても「霞が関は大ばか」だとやりたいのなら、国の産業関連表は兎も角、市や県、道庁の超ミクロ産業関連表の乱立を承知しながら、その成立基盤の無意味さに思い至らず、税金の無駄遣いだから止めようと地方自治体を教導できず、その猖獗を看過している点にこそ向けられるべきである。
更に輪をかけて、レゾンデートル皆無 (関連部署の糊口の手段としての一見仕事している風、仕事しているつもり以外) の地方の超ミクロ産業関連表の猖獗を見て「おうおう、色々と、気付かれ難い税金の無駄な使い方を考え出すものだ、俺達もあやかろう」と言うのが霞ヶ関の共通認識なら、菅氏は大手を振って「霞が関は大ばか」だと言って良い。

 何れにせよ、「目くそ鼻くそを笑う」と同等のバカ比べに見えないことも無いが、もう一人役者が居た。
顛末を「官僚嫌いで知られる菅氏は、学業は優秀でも過去の例にとらわれて柔軟な発想に欠けると言いたかったようだが、官僚の反発を招きそうだ。」と纏めた記者氏である。
 原発の事故報告などの記事で、弁グランドリークと弁上蓋漏洩の峻別もしない技術記事の危うさを紹介しつつ、「経済だって、政局だってその程度の専門知識をバックボーンにして記事を書いているんでしょう?なんで技術記事だけ小学校学級新聞工場見学記レベルになるの?」と言ったが、どうしてどうして技術以外にも専門知識とは言わず初等知識も欠如しているとしか思えない記事が出てくるものだ。と言うより知識としては潤沢に詰め込んであるから、それらしい記事は掛けるんだろうが、その応用力が無いんじゃないの?
 だって、菅氏が反発したのは明らかに、自分の知っているケインズ理論に反することを官僚が言ったと言う点であり、従ってその点を菅氏が確認追求したのか、官僚が上記などの補足説明をしたのか、彼らが最低限の知識をものにして切れば血の出る論戦に臨んでいるのかどうか、どちらが国をリードするに相応しいレベルか、国民に代わって確認するのが報道に携わる者としての矜持だろう。
 「過去の例にとらわれて柔軟な発想に欠ける」などという平板的言い様ではなく、またわざわざ記者氏に教えてもらわなくても、誰でも読めば感じる「官僚の反発を招きそうだ」等とフニャフニャの無意味な言辞で升目を埋めるのではなく、国民に代わってお目付け役として存在する意義を感じるべきである。
 腕章をして色んな人にマイクを突きつけられるんだ。「国民の知る権利」などをひけらかして、バカな質問ばかりしたり、ゴシップだけを追いかけていても、これじゃ「国民の知る権利」を貶めている張本人じゃないか。
 皆が少しずつでも努力して頑張らないと、国民もこんな平板な記事ばかり読ませられていると、その内外国にもバカにされる「大バカ」になってしまって、官僚もセンセイも記者氏も等しくわりを食うミゼラブルな国になってしまうよ。

 1週間後、更にまだまだ判らないことが続く。
菅国氏が今度は、6日の閣議後会見で「平成21年度1次補正予算の一部執行停止(2兆9259億円)により、経済成長率が0.2%程度押し下げられるとの試算を明らかにした」ということだ。
 経済成長率とはGDPの伸び率だよね。するとGDPを500兆円とすると、その0.2%は1兆円である。
菅氏の言っていることは「3兆円の執行を止めたら、経済効果は1兆円相当の引き下げになる」と言っているのじゃないか。
すると、2兆円を使ったら「目いっぱいで」2兆円の経済効果だという官僚の説明は、「目いっぱいでも」と読めばその限りで正しいと思って良いではないか。
 無駄を省くとは言いながら補正を一部停止して経済を鈍化させる自らの行為のエクスキューズとしては、経済への影響を「目いっぱい」過小評価しても良いのか?数字の意味を理解できないパープリンか?それとも僅か1週間前の自らの言動忘却プチアルツか?自己行動規範不統一行き当たりばったりか?

 出動と取り止めで効果の効き方が違う場合もあるのかと見ると「麻生前政権は総額14兆7000億円の補正予算で1.9%の押し上げ効果があるとしていたため、補正予算による押し上げ効果は1.7%程度に圧縮されることになる。」とある。
500兆円の1.9%は9.5兆円である。1.7%は8.5兆円である。
14兆7000億円の補正予算を組んでも、GDPベースで9.5兆円相当の経済効果しかないと言っている訳で、目いっぱいで「も」2兆円の経済効果だと言う官僚の説明はどう見てもその限りで正しいと言うか、真実はどうであれ整合は取れている。
いよいよ何を持って「霞が関は大ばかだ」と吼えたのかが判らないし、今回はほとんど数字の意味を理解して無いんじゃないか。
 筆者も2年間霊的活動だけをさせてもらったが、あれは後々直感力が極めて強くなるものなんだ。四国御遍路で逆に恍惚域に入ったか?素人行は危ないよ。
 「いやそうじゃない、俺は民主党だからもともとケインズ理論には組しない。「経済効果は投入資金より大きいはずだ」と思っているんじゃなくて、「2兆円は2兆円だ」と、財政出動とそれがもたらす経済効果の区別がまるでついていなくて、同額だと言い切るところが「大ばか」なんだ」と言うところかも知れないが、そんな人が「学業成績優秀な」御役人に居るんだろうか。
ちゃんと「目いっぱいで」と、正確に伝えようとしているじゃないか。

 またこれは、菅氏の説明か記者氏他の追加説明か不明で、誰に噛み付いて良いのか判らないが、「総額14兆7000億円で1.9%の押し上げ効果があるとしていたため、補正予算による押し上げ効果は1.7%程度に圧縮される」と言う点である。
14兆7000億円で1.9%が、2兆9000億円差し引かれて11兆8000億円になってどうして1.7%程度に圧縮されるんだ、
こんな所で単純にポイント同士差し引きしていいんだろうか。筆者だって誰だって微小の差分と差分は加減算でやるが、ベースの金額が違うのか増減額の成長率への効き具合も違って来ているじゃないか。
 門外漢だが、投資フローの循環の初期において、過剰債務などで消費性向の低い経済主体を循環する場合と逆の場合には、最終の経済効果に大きな違いがあることは理解できる。フロー循環全体の平均消費性向が同じでも、最初に何処に金を掛けるかで経済効果が違うのは当然である。
 前稿からの一連の話はただためにするだけに、細かい点をあげつらっているわけではない。
国をリードするお役人や、センセイ方はその辺も充分理解して物事を扱わないと、数字の上っ面だけをなぞるだけでペラペラ喋る癖がついていると、妙なところで「大ばかだ」と波風立てたり、行政として意味の無い仕事に入れ揚げたり、間違った数字が一人歩きして国の行方を誤らせる可能性があるから、ちょっと立ち止まって「これはどう言うことを表しているんだ?」「背景には何があるんだ?」「比率の分母は何だ?」などと定量的に考える癖を付けてくれ、数字にパープリンになるなという意味で、指摘しているのである。
 勿論われわれ一般庶民も、自戒怠らない必要があるが。

 世の中には、一見ゴージャスなあるいは複雑そうな外見をしていても中身の軽薄なあるいは無意味な物事があるものである。
 筆頭に上げたいのは、市や県や道庁ごとに作られている産業関連表である。ボーダーレスとは言いながらそれなりの境界があり纏まりのある国の産業関連表はともかく、全く経済的境界線の引きようの無い矮小な地域ごとに括る超ミクロ産業関連表が何の役目も果たせないことはちょっと考えればわかる事で、何百部門別マトリクスなどとして出てくるのに対して「おお、凄い労作だな」と言う反応は間違いで、「おうおう、とうとう纏めるのもお手上げになってしまって、電算機のパワーで機械的に強引にカッコウつけただけじゃないか。こんな無意味なところでオラッチの投げなしの血税使うな╬」と言うのが、市民の正しい反応である。
 この辺は「めくら蛇におじず」「故石井紘基先生に捧ぐ」に詳述してある。
 「筆者の言う3DDuo4D5D重相関図だっておどろおどろしい容貌をしているが、大した意味は無いだろう」と言われるかも知れないが、どうしてどうして、機器効率の各相に定量的に肉迫しつつある。
この間も冷却水薬液2液化によるスライム抑制に伴うCOP0.05程度の効率上昇を発見できた。
 この辺のポテンシャルに限りは無い。次に冷却塔性能が把握できれば、効率優先の熱源機器の完全自動運転が可能となる。

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故石井紘基先生に捧ぐ

 「めくら蛇におじずⅡ」ページで、市や県、道庁ペースで作られているローカル超ミクロ産業関連表の無意味さについて見た。
基本的に、自分の出来ないことを人がやらないからと言って批判しない性質だから、「そこまで言うならお前に代案でもあるのか」と言う反発があった事にして、考えて見よう。
 途中で「広漠すぎる。マトリクスが膨大になり過ぎて実現不可能だ」と言うような反論があるとして、それが地方行政のローカル超ミクロ産業関連表関係者の反発なら、「実現不可能と言うのは何れリソースの充実、アルゴリズムの開発でその内何とかなる。貴方達のやっていることは、中途半端に簡易すぎて実現可能で一見形は有ってもそれ以上に無意味なことだったんですよ。それが成立できる根拠も考えられなくて」と返してやる。
また、学者先生の指摘なら、「超ミクロ圏に於いてそれでも産業関連表なるものの存在意義がありうるとすれば、この程度は考えないと意味ないでしょう。これが出来ないとなればそれこそローカル超ミクロ産業関連表が完全否定されるだけです。可能性があるなら更なる前進に向けてお知恵を貸してください。内在するメリットも多そうだから」となる。

 それではその姿はどうかというと、下図のようになる。ハイパー産業関連表。

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 一言で言えば、ミクロ経済圏の産業関連表は国の産業関連表のマトリクスをスライスした一部であり、それを集計していけば、市→県→地域→国の産業関連表となる構造である。
但し産業部門区分は従来のを踏襲しつつも、思惑あってあらゆるタイプの市民の生活充実指数に関連付けやすい区分分けに見直す。
 ミクロ経済圏の産業関連表で言う移出入とは、隣接する同等規模経済圏との移出入を現す部門別関連マトリクスになるだろう。
これは例えば県同士で総当りにしても意味が無い。45^2≒2,000のマトリクスになる必要は無い。例えば島根県と群馬県にどれほどの直接産業関連があるのだろうか。
 隣接関係、人的・資本的・物質的交流、同一幹線・空路沿い、同一海洋に面して漁港がある、同種産業がある、主幹産業と関連産業の関係にある、原材料の需給関係にあるなどの liaison の強度で移出入マトリクスの存否が決められるだろう。
勿論2,000のマトリクスとして残しておいても、「関連、極めて希薄」と出てくるだろうけど、市同士の移出入などを想定して、メインフレームのリソースが心配な場合は切り捨てる必要もある。
 この関連移出入マトリクスを介して、ある市・県・地域の経済動向は他のミクロ経済圏に波及する。
もし、市レベルで経済波及効果を計算して、その上位階層の県レベル、さらにその上位の地域レベルでの波及効果計算結果と乖離するようであれば、何らかの微調整が必要かもしれないが、学者先生なら適当な手法を編み出してくれるだろう。

 ハイパー産業関連表が出来れば、現状のローカル超ミクロ産業関連表だけでなく、当然国の産業関連表も無くなる。と言うより全てがハイパー産業関連表に統合される。
従って国の「産業関連表」および、地方、都道府県、道庁、市など全てのレゾンデートル不明の「ローカル超ミクロ産業関連表」を廃止して出てきたリソースをこれに当てることで新たな費用は発生しない。
 国が、県・市ごとのデータを集計してやっても良いし、その逆でも良い。ポイントはデータ構造がこの様に階層構造になっていると言う点である。
 これを認識すれば、早速最初のメリットが出てくる。即ち、内部データ相互の比較によるデータのチェックが可能という点である。
例えば緯度・経度に依存する自然現象に関連する値があったら、東京は北海道と沖縄の中間に位置する事が容易に想定される。
その値が千葉と東京で大きく乖離していれば何か間違いじゃないかと気づく。あるいは、人口密度に依存するはずの値が鳥取と島根より、鳥取と東京の方が近ければ、基本的な間違いか鳥取のデータが違っている事になる。現行でもその程度の相互チェックはしてるだろうが、(誰に対してチェックして見せるの?してなきゃほんとに孤陋、唯我独尊だしぃ)ハイパー産業関連表の場合全てが内部データのため、頻繁に高速にチェックできる。
 入力段階で異常値を撥ねる事も可能である。
更に一般化して必要なインデックスの高次空間において、ある程度の個数のサンプルが有れば、必要ならデータを採取しなくても仮のデータを作成して代用する事も可能である。 (当 blog に散見する重相関計算プログラムでも良い)
 更に精度の低下が許容範囲であれば、1県ずつ飛ばしてデータ採取し、間の県をはしょれれば、労力・経費が半減する。

 ここまでは、学者先生に「ローカル超ミクロ産業関連表の存在ありきとすれば、この程度は考えないと意味ないでしょう」と言った範疇で、殆ど現状の延長線上で作製できる。
生活と銘打ったのは、市民の生活満足や充実度あるいは食の安全度などの指数を定量化して、これと産業関連部門との関連付けを志向すると言うことである。
 折角のアイデアだから、これ以降ラジカルに変更を加えてみる。ハイパー産業・生活関連表になる。
人によっては、以降余りにラジカル過ぎて「ほら見ろ、こいつの言っていることは殆ど実現性の無いアイデア倒れの一人よがりだ。ハイパー産業関連表などと言っても同じ様なものだろう」と反発されるかも知れないが、今まで見てきた前半は理論的で大人しいアイデアだと思っている。しつこいがミクロ経済圏でどうしても「産業関連表」を扱いたいなら、ここまで行かなければならないのは理の当然である。ラジカルなのはこれからだ╬
 
 まず、産業関連マトリクスだけでなく、当該地域の生活に関するあらゆるデータが蓄積される。
気象条件、雪かき作業率、住宅点在率、住宅仕様別冷暖房費、土木・建築部門の技術的知見、私有林率、国別外国人居住割合、農閑期長、通勤先マトリクスおよび列車トラブル時の振替え輸送困難度、嫁取り困難率なんていうのまで入っており、可能な限り客観・精密・定量的に地域ごとの指標が判るようになっている。
これは何のために使うかお判りだろう。
 無機質な産業関連表ではない。産業各部門とインデックス付けられた、生活関連マトリクスがあり、予算が入力されると、市民の生活にどの様に生かされるかが定量的にわかる。もし現在「ローカル超ミクロ産業関連表」を予算と併記していて、何か意味あることを期待するなら、ここまで行くのが本筋である。
どの行政サービス・公共投資をどこに、どのような比率で展開すれば良いかが直ちにわかる。
 データは可能な限り緻密に構築されるが、当然、適宜最新のものに更新される。要するにスタティックな緻密さ、ダイナミックな最新値の取込みである。
前半のハイパー産業関連表で、なぜ「頻繁に高速にチェック」する場合があるか疑問に思ったら、答えはこの点である。
 そうすると更に次のメリットが出てきた。
 土木・建築部門の技術的知見では、今までの様に全国一律の仕様じゃなく、雪国・寒冷地・台風直撃地・強風地・南国・多雨地・農村・ベッドタウン・商業地などの区分における、道路舗装仕様、歩道仕様、側溝仕様、縁石仕様、ガードレール仕様、道路標識仕様、屋根傾斜、断熱仕様、給排気仕様などが細かく入力されていて、直ちにその地区で最も合理的な工事仕様が選択可能となっていて、予算の有効な使い方ができる。
 従来なら規定の仕様でないと補助金が出ないため、無理に全国一律の仕様にあわせ大げさ、無駄になる道路建設費に対しては、「そこの道路は耕運機ばかりゆっくり走行なのでそんな仕様にしなくても補助金出ますよ」とか、「市の風力発電など、『つくば降し』の言葉に幻惑されて適当なアセスで慌てて作っても、殆どの無風時期は稼動できず無駄ですよ」というのも、「そこには公共下水道があるから農業用排水施設は2重投資になりますよ」と言うのも、また「こんな所に健保の保養所を作っても直ちに立ち腐れですよ」というのも、すぐ客観的にわかる。
 ダイナミックな更新の効果で大きいのは、年度末予算の駆け込み消化は殆ど不必要。
また数十年前の道路整備計画の陳腐度等も露になり、「今やっても効果は無い、施行の必要なし」と否定され、極めて合理的な公共投資、補助金の運用、予算執行が実現する。

 辟易しながらもここまで付き合えたら、更にラジカルさに輪が掛かる。Deep Perple の Highway Star の BGM フェードイン♪
 以上により、これからは予算件名、額と注入点を入力すると、幾つかのパターンで計算し、最も合理的な執行案を比較出力してくれるが、その計算経過は何処からでもアクセスでき、客観性が担保される。
「計算経過が何処からでもアクセスできると、入札予定金額も入札業者にわかり、契約率が上がるじゃないか」と言う心配は無用。表層・低レベルの疑問で、まだハイパー産業・生活関連表の威力と言うか社会の動き・人間心理を理解してない。
 何処からでもアクセスできると、必ず、私ならこう出来る、7掛けで出来るというアイデアマンが現れる。入札業者に入札業者のオリジナル仕様と、アイデアマンの仕様を選択させて再入札させる。
アイデアに触発されて新たな工事手法を採用するもよし、単なる空論と捨て去りオリジナルで行くのも勝手。アロアランス内で、勿論一番安いのが落札。
 要するに、予算でも一部の人が囲い込むから、談合の対象にもなり、結果契約率も上がる。完全にオープンにすれば自然にあるべきところに落ち着く。
 すると早速次のメリットが出てきた。
入札業者も何時もいつもオリジナル案の金額がアイデアマンのよりかけ離れて高いと恥ずかしい、工事方法と技術研究と材料調達の合理化に拍車がかかる。

 更にメリットがある。
 アイデアマンは多分、2007年以降勇退した団塊世代の人たち。日本中のノウハウがここに集まっていて、その威力は凄い。かれら自身最早金銭的インセンティブは少ないかも知れないが、少しは無いと励みにならない。これで行政が合理化されると、回り廻って年金給付が多少上昇する仕組み。
しかし大半はそれよりも現役時代に、いろんな理由で実現出来なかった合理化・アイデアをここでやってみたいという希求の方が大きいかも知れない。
 もっと安く出来る合理化アイデアはあったが、それを実現できる技術が今やっと出てきた。
談合で落札予定者になったので目一杯高くした。為替変動吸収で常に高め維持していた。
行政認可対象なので、引き下げ申請が面倒くさくそのまま高めで走っちゃった。
 中には自分の作った安全率の式の適用範囲の考え方が捩れていて、この場合はもっと小さくても良いなどという多少自己悔悟的な合理化案も出てくる。
 彼ら、もしかしたら想像以上の張り切り方をするかも知れない、今までは組織の一歯車として、価格競争だ安くしろ。予算消化だ高くしろ。その案は陳腐だ俺の案でいけ。今回は○○会社が落札の番だ判ってるね。いろんな雑音の中で、好きなように仕事出来なかった。
出来たとしてもただの一企業の1つの仕事、1つの製品。
 今度は違う、誰もチャチャ入れない、勝負は純粋に技術的・社会的合理性だけ、これに筋が通っていれば話は通る、また影響範囲が断然違う、うまくいけば全国に適用してもらえる。
 自分のアイデアで財政合理化何百億なんていう結果になる場合がある、こんな面白い仕事退職してはじめて知った、組織の頚木から解放されて、社会の鳥瞰はじめて出来た。
これぞ正しく技術屋の本懐、事務屋の本領。「Crank the BGM up!」  【タキシード、Jason Isaacs】
 みんな、ハイパー産業・生活関連表へのアクセスと、入札前のアイデア攻撃で、指と頭を使ってかくしゃくとして来る。介護何とかなんてまるで縁がない。財政合理化トリプル効果。
 落札者が決まり、最終仕様が確定すると再度ハイパー産業・生活関連表にかけ、効果を確認する。これによる各級予算の無駄の排除の累計は膨大な額となり、国家財政の健全化に大きく寄与するが、更に国のハイパー産業・生活関連表のメンテ要員を残して、国・地方・特殊法人・公団の企画・計画・予算策定部門は殆んど不要となり、施工手続・管理部門だけとなるため、行政の大幅な合理化も進む。
 併せて財政合理化 Quadruple 効果。
 えっ、「BGM に押され、逸る気持はわかるが、数学的にそんなもの成立するか」だって?
 全国のブレーンがハイパー産業・生活関連表に突っ込んでくるのは、数値の妥当性だけじゃない、新しい解析手法だって、計算アルゴリズムだって次々出てくる。方程式が複雑になってクロージャープロブレムが生じても、入り組んだ相関項に対する記述モデルがどんどん提案される。
冒頭に学者先生に「可能性があるなら更なるステップ実現に向けてお知恵を貸してください。内在するメリットも多そうだから」とお願いしたのはこの点である。

 これが出来れば、石井紘基先生のような悲劇も2度と起こらない。

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五輪招致失敗は天恵?

  [ 約20秒、右のスクロールバーの長さが1/3になるまで、ダウンロードが続きます ]

 オリンピックはリオに持って行かれ、横浜の開港150年祭もはかばかしくない結果に終わって、各首脳の責任論まで出ている。
オリンピックも来て欲しかったけど、無視出来ないほど反対もあるということは、必ずしも合理的でない形で税金をかけた行政誘導お仕着せのお祭り騒ぎの空しさに市民も気付いている、あるいは辟易しているのではないか。
 確かに、イベントは子供達には良い思い出を作ってくれるかもしれないが、ギリギリの生活に明け暮れる市民の立場からみて、オリンピックで国威を掲揚してみせて、果たしてその後に何か残るものがあると思えたんだろうか。
アスリート達の活躍の勇姿には感動するが、それを見て「よし俺も頑張るぞ」と元気を回復する余裕があると言うほどの連帯感は有ったんだろうか。
 机上で考えたお祭り騒ぎの空しさでなく、毎日を血の滲む様な戦いに明け暮れる小市民の欲しているものは自分達に返ってくる「実利」だろう。
都知事、前横浜市長をトップとする各行政のメンタリティも、この辺の市民の気持ちから乖離しているのではないかと感じられてならない。要するに実存感が希薄。「雇用不安なんて何処の話?」

 我田引水で、じゃあ「実利」を兼ねた「お祭り」とは何かと訊かれた事にすると、例えば各現場に於ける省エネがあるだろう。
現場では膨大なエネルギー費を消費している。ちょっと楽しく努力するだけで年間数百万の経費削減のネタがゴロゴロ。
 「うちは省エネはし尽くした。もう鼻血も出ない」という人は単なる思考停止に陥っているだけだ。これは明らかである。
そういう人に限って、例えば「保温徹底による給排気ファンの停止」のようなアイデアに気付いてないはずである。当 blog には平均的地冷事業所に於ける事例が一杯ある。楽しみながら一件年間数百万、小さくても数十万である。
 従って都も、150億を使う余裕があれば、省エネコンテストでもどんどんやればよい。
今だって、「都民の健康と安全を確保する条例」に基づき、「地球温暖化対策評価」プログラムで、優秀な所は顕彰しているじゃないかというかも知れないが、あんなのは都知事の表彰状だけじゃないか。AA+なんて紙切れ1枚もらっても嬉しくとも何ともない。アイデアで下げても、高効率の機械を買ってリプレースしても同じなんだろ?
役人がやるとなんであんなに堅苦しく、面白くないもので良しとするんだろう。不思議だ。
 そうじゃなくて、事業所種別、事業規模別に分けて、一般投票でも何でもいいから省エネ率・アイデアの奇抜さも含めて評価して順位を決める。特等賞は少なくても「金○○○万円。副賞、都知事との晩餐会 (石原軍団のメンバーでも良い。銃後の奥さんのテンションも上がるだろう♪) 付き」以上のものを四半期1回位のペースでやる。
 勿論、熱設備現場だけではない。ヒートポンプを始めとした高効率機器の開発コンテストや、低温熱源有効利用の高効率プラント設計コンテストなどと言う、リードタイムが勿体無いので実機の裏は取れてないが即実現性のある計画だけでも勝負は出来るだろう。
ポイントは、行政の常である硬さではなく、徹頭徹尾お祭りイベントである点である。
 鳩山さんでも良い。今からこれを始めれば、温暖化ガス25%カットなんて、もしかして国民みんなのお遊びのうちに実現してしまうかもよ。副賞は総理ご夫婦との晩餐、UFO搭乗噺付きだね。アペリティフには筆者の場合ブーヴクリコグランダム♡。

 子供達向けには、ロボコンのようなものだろう。プロコンもあるようだが、こういうのに行政もどんどん主体的に出て行くべきである。共催しているのかも知れないが、金だけ出すと言うんじゃ折角の金 (税金) が死んでしまう。出す方が頭使ってないからバカが伝染してしまう。
子供・学生のコンテストは、テレビや新聞のメディア関係だけに任せないで、日本の将来だから、行政が戦略的にどんどんやる。
権威あるかつ楽しいイベントがどんどん行われ、参加のモチベーションが湧く様なインセンティブ付けがなされれば、各校こぞって参加してくる。
 そしてお祭りだから入賞の評価方法、副賞は出来るだけ面白く楽しくする。と言うと、上の行政主体と言うことと反するようだが。行政の中にもお祭り好きの見所のある人は居るだろう。
 理科などの実験アイデアコンテスト、計算式解法コンテスト、単なるゴムパワー力比べなど毎回主題を変えてもいいじゃないか。年齢別にでも幾らでも考えつくだろう。これなら月1回のペースでも良い。
副賞も、太陽発電パネル据付込みというのも、パパに電気自動車および充電設備一式というのも良いだろうし、種子島・フロリダのロケット打ち上げ特等席に家族でご招待。あまた有る科学技術館入場および交通手段の保護者込み1年間フリーパス。年替り最高スペックパソコン無料貸与10年間。自衛隊機による台風近傍観察フライトなど子供がワクワクしそうな賞品も盛りだくさん。
150億から考えると何と言うこともないだろう。
 子供達の科学離れがたちまち解決する。

 もしかして東京オリンピック招致の失敗は天恵だったのかもしれない。というよりこの様な技術お祭り爆発で天恵にしてしまえばよい。
石原さん、反省答弁でこの程度はぶち上げてください。
 温暖化対策完遂、日本の技術立国再びと言うことになるだろう。

 話は一転、個人マターのマイナー話題に。
 仕事上で色んな現場を見せてもらい組合のオルグでも全国を廻ったので、個人旅行も含めて日本全国で足を踏み入れてないのは鳥取・島根だけである。出雲に興味が無いわけではないが、行く必要があれば必ず行けるだろう。
Yahoo!の「blog に地図を」というのを使わせてもらって、技術関連を主に少し土地勘のある所を見てみたい。
 しかし最後には酒か食べ物の話に行くのはなぜだろう。
 以下は、前稿とちがって読者の得るものは殆ど何も無い。面白い小噺だけ。御用とお急ぎの人はパスしてください。地図のダウンロードにも時間が掛かるようだし。って、ここまで読めたらダウンロードは終わってるか。

釧路、北海道

 津波実況ロケーションの定番、釧路の幣舞橋も土地感のあるところである。



 釧路へは今まで3度程行く機会が有った。
炭鉱の視察、1993釧路地震後の機器ダメージ調査、クリンカ(溶融石炭灰)切出し装置稼動状況調査である。
 当時、釧路人口はたしか20万程で、産業は最大の水揚げを誇る漁業と、製紙と、炭鉱でそれぞれ年間200億程度となっていたが、漁業は漁師・船主へ、製紙は山林地主へと金は流れ、まるまる地元におちるのは炭鉱の金だけであると聞いた。
 したがって、太平洋炭鉱も自負と責任感があり合理化意欲も満々「これから通産に行って、効率アップのため構内電圧の規制を3kVから6kVに上げてもらうよう交渉に行く」などといっていた。
 従業員は3千5百人、これから坑内に入るという人達、上がってくる人達も汗ムンムン、エネルギッシュ。
地下600メートルの海底下まで降りて、切端で塊炭の襲撃を避けながらカッターの稼動状態も見せてもらったが、これじゃブルで掻くだけでよい露天掘りの海外炭とは採算で勝負にならない。
しかし、意欲はある。なんとか頑張ってほしいと思ったものである。

 湿原にも行ったし、摩周湖面も快晴バッチリ見えた。
それほど健啖家でなかった昭和天皇がお代わりを頼んだという蕎麦屋もたしかあったよね。
冬、湿原の帰り「この後、船積み設備を見ていただきます」といっているが外は真っ暗。「もう夕飯じゃないか」と時計を見ると、まだ4時。
そう言えば長崎の外海では、夏場、仕事が終わって島から本土に渡り、屋上ビアーガーデンで1時間ほど飲んでいると夕日が沈んだ。

 太平洋炭鉱は現在、規模は縮小したが釧路コールマインとして、海外員研修などにも手を広げ頑張っている。

高槻、大阪

 最近、ポンプのインペラーカットで、「タービンポンプではないし、インペラーは新作するんだから、要求仕様にマッチした流量維持、揚程だけ6割の新しい曲線のインペラーができるはずだ」と殴り込みをかけたポンプ屋さんの工場。



 「現状の曲線がコンピューターで設計した最適なもので、これの外周を削るのが最も効率的。すると流量を維持するために揚程も9割にしか低減できない」と強く反論され、孤軍奮闘も空しく敗れ去った。
 どちらかと言うとポンプ屋サイドのスタンスだった東京から同行の面々が、筆者の気持ちを慰撫すると言うのでもなかろうが、京都の丸山公園の坂本竜馬・中岡慎太郎像の裏の料亭で一席設けてくれて、丹波の赤ワインというのもご馳走になった。

紀ノ川河口、和歌山

 中学生だから45年以上前、運転開始間も無い火力発電所を見学した。黒色酸化鉄皮膜のタービンローターがむき出しで置いてあったのが今でも記憶にある。運開後余り時間が経っていない事と、ローターのかなり使い込んだ様子に違和感があった。質問しなかったがあれはなんだったんだろう。



 また同じ頃、理科室の実験で石炭の微粉の爆発実験をやった記憶がある。ビーカーの中に糸ヒューズをセットし、下から微粉炭を吹き上げてヒューズを飛ばしてドッカーン!
今こんなことはやらせてもらえるんだろうか。高校じゃないよ中学の理科だよ。小学校には蒸気機関の模型があって、動きに見とれていた記憶もある。
 今考えると、昔は低学年から、かなり社会実務に近接した授業内容だったような気がする。

敦賀、福井

 敦賀発電所と、ふげんの工事サイトをセットで見せてもらったことがある。
原発ではパンツ1枚になって衣類を着替えて、原子炉内に入ったことも有り、「blogのツールを原発へ」ページなどの管理区域のイメージもわかる。
 ふげんはまだ基礎工事中で、レーザーで進路を微調整しながらトンネルを掘り進めているのも興味深く説明を受けた。レーザーは【007】で見るぐらいで、それ程ポピュラーではなかった時代だから。



 またその後、関電の大飯発電所も見せてもらったことがある。その後福知山線を通って帰って来た。事故の10年程前だが。
北陸はなんせカニの宝庫だね。

相生、兵庫

 30年前、「一兆円の営業コンサル」をやった時の、顧客との顔合わせを行ったメーカーI社工場内のVIP用ハウス。



 当社からは運転課長・運用担当(31歳の筆者)・計装担当の3名が出席。ヒートフラックスメーターなるものの実態がいまいち理解できないので、同期の計装担当者に声をかけて同行してもらった。
 顧客オーストラリアECNSW側は、火力部長が工学博士、試験責任者も工学博士の総員7名。
I社のシェフが腕によりをかけた豪勢な晩餐のさなかに、計装屋とECNSWの担当がヒートフラックスメーターに関して会話しているのであろう「カッパ-、コンスタンタン」と言うような単語が聞こえてくる (と言うことは、こちらはただひたすらご馳走と、銘酒に集中している)
 この顛末は「一兆円の営業コンサル」に詳述だが、I社T社グループはECNSWから火力プラント10基余りを受注したはず。筆者の取り分は菓子折り1箱۵。

加古川、兵庫

 K重工の工場で、狭隘敷地内リプレースには不可欠のアイテムであるパイプコンベアの試験装置があった。
行ったのは、神戸大震災の直前である。
目の保養になる洋酒の壜のズラッと並んだK重工の寮で一席設けてもらったが、土地勘があったため、スプリンクラーでコンピューターのメディアが全部駄目になったとか、地震の影響をきいても生々しく想像できた。

坂出、香川

 同じく省スペースコンベアと貯蔵の試験設備を見に行った記憶がある。
何故か就航最後間近いというプロペラ機で高松空港まで揺られて行き (プロペラのセンターリングが悪いのか、窓から見てセンターが降られているのが見えると共に、数時間その騒音と振動に悩まされ続けた)、
高松辺りは何度か行っている。



 25年程前のある時四国から揖保の糸のお中元が届いた。○美というそれらしい名前の人からである。高松にどんな美人の知り合いがいたかな?しばらく楽しく記憶をたどったが、思い出せない。
素麺を頂き始めて思い出したのは、CICGの会議にご一緒した委員長さん。飛行機が隣席でアンカレッジ辺りでしきりにパスポートを繰り返し見せてくれる。そんなもの何度も見たいものじゃない。おかしいなと思って気付いたら、彼氏今日が誕生日なのである。
 向こうについてディナーの時に「今日は最初の顔合わせですが、○○さんの誕生日を兼ねて祝いましょう」と矮小出身母体と身分をわきまえず、客が客だから旅行社も部長を出してきた courier の口上に掣肘して仕切ってしまったが、その感謝の想いが素麺にインカネーションしたものであった。

ハウステンボス、長崎

 5年間の長崎単身赴任があったので、オランダ村やハウステンボスは馴染みだったが、その後横浜企業連合の視察に所長代理が俺の代わりに行けと言うことになり、コースにハウステンボスの淡水化装置の見学と言うのがあった。



 そのこと自体はなんという事は無いが、同行のKビール生麦工場の副工場長さんと、夜の佐世保を荒らして廻ったのが何故か記憶にある。
義兄が同工場に勤めていて (かみさんの兄、今は嘱託でビール手作り教室の指導をやっている) 、副工場長さんも「知っていますよ。背が高い人でしょ」と言われたが、積極的に先導して夜の佐世保の飲み屋をはしごしながら、必ずKビールの営業をするのには頭が下がった。

長崎と外海、長崎

 三菱重工の町である。ここには狭隘敷地事業所リプレース工事のダウンウォッシュの風洞実験の立会いと、通産技官のCOM技術開発の試験装置の視察に同行したことがある。



 前者は前稿にもある15年程前のFEMの後始末だが、後者は30年近く前の筆者のMITI担 courier の筆下ろしであったから記憶にあるのかも知れない。エネ庁の係長と技官がK電力のSK火力5号の竣工式に出るので、その後長崎に寄り、COM試験装置を見たいと言う連絡があった。
2人の最後の泊まりはどこかK電の担当者に確認して、全く土地感の無かった長崎に1人降り立ち、ホテルの場所だけは確認した。
 翌日ホテルにお迎えにあがり、タンカー搬送中の油中の微粉炭の沈殿と、ローリングによる攪拌の関係を試験していた重工COM試験装置を視察し、その後会社の施設へ。
そこでは、筆者の前任者で通産の廊下とんびもやった先輩が九州支社に課長代理で居るなど、その辺の知己の人間に「全員集合」と号令かけていた。
眼下に夜景を望みながら、昔お世話になった連中が集まって旧交を温めた。
 全員引き上げて、泊まりの3人だけでしばらくビッフェでナイトキャップをやっていたら、若い技官がしみじみ
「昨日は竣工式で、ご馳走も一杯、酒も一杯、ついでにコンパニオンも一杯で楽しいはずだが知らない人ばかりで人見知りした。ところが今日は御社の懐かしい人も一杯集まってくれて、こんなに楽しいことは無かった」
「全員集合」大成功。

瀬戸内海のとある海域、広島

 この2人には広島にある設備の使用前検査もお願いした事があり、危うく溺れさせるという事件があった。
出張は本来なら筆者が御同行することになるんだが、1人では役不足、平社員。他の仕事も忙しいということで、部長代理に頼んで3人分切符を手配して、それぞれ手渡す。(勿論、技官の分は後でちゃんと返済して貰っている)
「私は残念ですが別件もありご一緒出来ませんが、何時何分の新幹線を手配しましたのでよろしく」とお願いして帰社すると、現地からなんでお前が来ないのかと言う詰問。
委託事業の掻き入れ時で多忙、とてもそちらには手が回らない。大部長代理殿に頼んだからから大丈夫」と一旦断った。
しばらくすると課長に呼ばれ同じ詰問。現地もしつこい。「斯く斯くしかじか、○部長代理にお願いして、もう列車も出ました」と言うが、「絶対行け、It's an order!【バルジ大作戦、James MacArthur】」
パンツァーリートが効きすぎて、建設機械課長辺りが強く拘ってるらしい。
 旅行の準備も何もしてないが、件の愛用アタッシュケースだけひっつかんで、技官達の乗った1本あとの新幹線に飛び乗った (博多行きの1本あとね。八重洲だから直ぐ行けた)
 ちょっと遅れて、発電所所長室に飛び込んだら、技官たち「あれ、忙しかったんじゃないの」何と言い訳したか忘れた。

 所長は給水加熱器穴開きの時の所長で、歓待してくれる。
翌日、使用前検査も滞りなく終了して刻印を貰い、技官を社有クルーザーで、瀬戸内海島巡りにご案内ということになった。
技官2人、建設所長代理、筆者と、キャプテン。凪の瀬戸内海を快調に飛ばすと、風も心地よい。
 係長は、海と釣りが好きだと言うことで「sasayan 気持ちいいね」などと、いつもところっと違う微笑みなんかも見せる程のサービス振り。



 あれが何島、これが何島と快走していたが、そのうちにスピードが落ちてきて止まってしまった。
エンジン冷却水のビニールチューブが破損し、エンジンピット内に海水の浸入。
キャプテンと建設所長代理が腕まくりで海水をかき出し始めるが、みっともないことこの上ない。事故の行方に対する心配は全く浮かんでこない、「みっともない」だけ。
「2人に任せて、中に入りましょう」、技官達とキャビンに入り、K係長が海図チャートも読めると言うので、「この辺の海流はこうですね」なとど気をそらせようとした。
 やがて海水の浸入は止まり、沈没の心配は無くなったが、今度は寄港の心配。
K係長も「明日は、○電力の検査があるが帰れるか」とご心痛、「絶対大丈夫です」と請合った。
 船舶無線も無く、周りに船は通るが気づいてくれない。
船長が操舵室の上に立ち上がり作業着を振って合図することしばし、やっと小型漁船が気付いて近づいてくれて、事業所まで牽引してくれた。

 デッキに付くなり、建設所長代理が脱兎のごとく走り出し、後で聞いたら真っ青な顔で「検査官を溺れさせるとこだった」と建設所に駆け込んだそうな。
帰りの新幹線は4人仲良く相席で楽しく歓談しながら帰った。酒のつまみは、建設所長代理の慌てぶり。

 竹原市には誠鏡の醸造元があり、出張のついでに技官に託送したこともある。
誠鏡の幻の赤が my favorite sake

諫早、長崎

 長崎の現場で、貯炭場排水処理装置を追設することになった。
なんせ東シナ海経由の生まれたて台風・豪雨の凄さは首都圏などに居たら想像もつかない。秒速60mの風でスレート外装が高さ30mから70mまで1列きれいにベロッと剥がれたのも経験している。
 水処理メーカーはO社かK社だったが、制御盤は現場近くの諫早の工場に外注とのこと。
完成検査で諫早の新興工業地域に出かける、中小企業の工場が大分集まって来つつあった。



 外形検査から始まるが、そんなもの検査してどうするんだろう。メーカーだって、「うちはちゃんと外形も正確に出来てます」って、そんなことも出来なきゃどうするの۵。
 メガーから進んで、当所の運転状況の特徴を思い出した。
「ちょっと停電させてみてくれない、弁の動きみたいから」
「大丈夫ですよ、ちゃんとROMに書き込んであるから。装置停止中の弁開閉状態になるだけです」自信満々。
「いいから、ブレーカー切って2,3秒で入れるだけだから、やってみて」
ブレーカー切って入れたら、弁の開閉めちゃくちゃ。

 諫早のウナギ食って帰ってきた。

最後に組合関係で2つ

白川郷、岐阜

 白川郷で合掌造りの家に昇った。今は世界文化遺産である。



 その上の雪の発電所では4,5名を相手にオルグを始めようとすると、
「そんなものはいい、今から本部と一晩中カラオケ合戦だ、久しぶりに東京人の歌を聴こう」
雪に閉ざされると、少ないメンバーで、マージャンか、酒か、カラオケの3つしかない。
子弟教育もあって、家族は地方都市、下手すると東京の社宅住まい。珍客をてぐすね引いて待っていた。
百人2百人の世帯の現場から見て、水力はやはりかわいそうな職場だなと思い、精一杯付き合った。
 東京人と言われりゃしょうがない、「東京の灯よいつまでも、お願いします」。歌はど演歌۵。

札幌、北海道

 何度か行ったが、最初のは組合の越冬手当大幅引上げ凱旋オルグ、雪祭り付き。
下図の灯油価格最高値のタイミングで、越冬手当を改定した経緯は「労組本部専従」にあるが、すったもんだの交渉中の朝、テレビをつけて「OPECの増産体制に調整の目処がついた」との報道を見て、一気呵成にかたを付けたからである。

Toyu

 前の本部に「今年は定年延長という大きな取り組み課題があり、とても越冬手当まで手が廻らない」と邪険に扱われて涙を飲んで帰還した代議員達を始め、その年の冬のオルグは北方の分会からぜひ賃対部長に来て欲しいとご指名、引っ張りだこ (この辺の熱さは、「労組本部専従」を見ないと判らないかも) 。
特に北海道分会は熱烈。着いたらちょうど札幌雪祭りの日で (ねらった訳ではない着陸前の機内のポスターでに気づいた。本当に) 夜の懇親会でも数十人残ってくれて、凱旋将軍みたいな気分。飲み屋2階の個室にギュウギュウ詰めで脂の載ったホッケの干物をつついた記憶がある。
 北海道分会には家庭の事情で転勤した後輩が居て、最後の最後まで付き合ってくれた。
2人ですすき野中を覘いて回り、和服の女の子ばかりのクラブに入った。横浜からだというと「あなた達は度胸がある、この店は見た目高そうで一見の客はこわくて絶対入らないのに」と褒められた (おだてられた) 。

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マンパワーの拡張

 本稿は筆者のパソコン暦である。
「昔のスペックと対比して懐かしむ図なんだろう。陳腐だ。こちとら御用とお急ぎだから、パス」と言う人は、もしかして折角の有意義な出会いをフイにするかも知れない。

1.チューブ清浄度

 30年以上前、最初のマシンはアップルⅡ64kbyte 搭載、当時の最高機種、ヘビーデューティ。
仕事は、エネルギー現場運転管理だったから、タービン出力、海水入口温度、復水器真空度から復水器チューブ清浄度を求める一覧表を作って、他事業所に説明したりしていたが、その程度の使い方。

2.委託労務費管理

 30歳頃本社勤務となった。
まだNEDOも出来てない頃、そういえばサンシャインだって出来たばかり、通産から石炭利用技術開発業務を受託していたが、MITI担となりこの辺もどっぷりと浸かった。但し技術担当ではなく単なる何でも屋 liaison であるが。
 技術部が通産の委託の話を受けてきたが、何故か会社の中では力が弱い。企画部だけは乗り気だが、頭はあるが実務戦力にはならない。他は「やりたければ勝手におやりなさい。但し最低限の手助けしか出来ませんよ」と言うことで、委託費算定の労務費に関しても関係者の賃金台帳は見せてくれるが、その他一切は筆者一人で管理・算定することになる。
 委託事業は排ガス乾式脱硫技術、COM (Coal and Oil Mixture) ハンドリング燃焼技術、排ガス脱硝技術、USC技術等で、各事業所で数分の一規模で展開されていて、関連社員数百名。
 これら個々が、ある日は会社事業本来業務、ある日は委託事業の業務と、どちらの仕事をしたのか。それにより委託事業費はどうなるのか。通産監査、会計検査院監査を受ける資料の作成業務がある。
 各事業の期末になると、飛行機で各事業所の該当勤務表を集めて廻り、それを元に労務費を計算する。
屋上真下の、クーラーを入れてくれない休日のだだっ広い技術部の部屋で、1人ポツンとパンツ一枚になって仕事する。
 「冗談じゃない。こんなの手作業でやってられない」と言うことで、上記アップルⅡを持ち込んで、委託事業遂行日時を入れると、労務費が按分されて出てくるように自動計算させる事にした。

 MITI担と言うのは、他に工事計画認可申請など窓口仕事が一杯あって、それを1人でやるんだからね。

3.OA委員

 ご他聞に漏れず、当社にも OA 化の波がやってくる。情報システム室と言うのが出来て、各部から委員を出せと言われて、上の実績もあったのか、技術部初代OA委員というものになった。
「将来的には1人1台のパソコン貸与とするが、各部はどの機種が良いか考えておけ」と言う仕事もあった。
 当時の主な選択肢として、M電機、F通が肩を並べていて、PR攻勢を受けることになる。
マイクロソフトも出て来ていない時期で、各社毎に表計算の初期のものが搭載してあったが、多量データハンドリングユーザーとしては、どれだけ多くのデータがメインメモリーで扱えるのか知りたいところである。当時のヘビーデューティとは言うものの64kbyteでは如何せん不自由だったし、外部メモリーは更に遅かったから。
 M電機のプレゼンの時訊いたら「コンピューターの内部では、数値は1と0で表されていて・・・」と始まった。こちらはそんなに暇な身じゃない「当表計算は○○byteの浮動小数点値だから、○万件まで行けます」と1言で答えてほしかったんだが。
何故か新橋向こうの日比谷通りの中華料理屋でF通の営業と昼飯を食った。「表計算のセルとセルの間で、自由に関数計算が出来たら便利ですね」と思いつきを言ったら、営業が一生懸命手帳にメモッている。
 この2者の違いで、「技術部はF通」と決めてしまって報告したら、「情報システム室に伺ったら、技術部はF通と決めたらしいですが、弊社のは何処が弱かったのですか?後学のため伺いたい」というねじ込みが数回繰り返された。
 「どの機種が良いか考えておけ」と言ったり「技術部が決めたんだから、ワシャ知らん」と言ったであろう事後の対応など、「情報システム室もなかなかやるのー」

 その後暫くして気付いたら、筆者のイメージどおりの Excel が出来ていた。拘りもあるから「Excel 関数 DLL」のような使い方もしてやろうと言うものである。

4.組合賃金集計

 本社勤務・MITI担も脂が乗ってきたころ、組合専従にさせられた。
技術部の仕事の後任は筆者より上の先輩が3人である。筆者の業務執行に何か問題があったのかも知れないが、その後顔を出しては「私は1人で切り盛りしてましたよ。今は先輩が3人も居て幸せですね」と冷やかしていた。

 組合の担当は賃金対策部長。組合員は、2,500名。当然賃金データを蓄積しているが、電子化しているのは渋谷にあった計算会社に外部委託。
委託費もかかるし、集計に時間もかかる、分析依頼するのも隔靴掻痒。またもや自前のアップルⅡを持ち込んで、自前の組合員賃金データ-ベースを構築した。
 すると賃金制度交渉進展に即応したデータの解析・提示が可能となり、会社が何か理屈を言うと直ぐそれに合わない実例を何件も出してきたり、交渉のイニシャチブを完全に確保することが出来た。
労務のえらいさん、担当に「あんなシステム、会社も作れ」と言ったらしいけど「あんなの真似出来ません」、あんなファナティック。
 本部予算から、賃金データ集計委託費も消えた。
 最後には昭和37年以降要求し続けて一向に埒の明かない年齢別最低賃金制度と言うのを勝ち取るテコにもなった。
組合員には、全国展開する普通職2,000名と地元雇用の特定職500名の職種があり、後者の賃金水準を向上させようと言う趣旨である。
「全国に展開する事業所毎の賃金は、地域水準を反映させて然るべきだ。一律には決まらない」と言う会社の言い分は理解できる (地域でラスパイレス比較すると、首都圏の90%程度の賃金水準の地域があった) が、15年以上要求書の片隅に鎮座するアイテムは最早撤回するか、実現して見せるかしかない。
しかし組織合意として撤回がヤバイんなら「実現だ」とまなじりを決したわけでもない。
 最賃を始めとして、何くれと特定職にテコ入れしようとする筆者の行状を見て「余りマイナーな職種の条件向上に力を入れるのはいかがなものか」と言う、至極尤もな意見も非公式の席では出たが「いいか、俺が特定職、特定職と言うのは、目的はそこじゃない。俺が特定職、特定職と言って、会社がいや全国転勤しないのは楽なんだと言えば言うほど、他社と比べた当社の労働条件引き上げの理屈に使えるんだ」
 事実最後には、高卒の全ての年齢で業界トップの基準内賃金だと息巻いていた時がある。
 この方針と、先の賃金データ解析と、そして最後には本部常任内テロ「世界金属エネルギー労協総会に委員長の代行で出席すると手続きしてもらったが、この程度の制度の実現に、常任会の一致が得られないなら、特定職の組合費も使ってジュネーブなんかに行けない」(旅費は産別持ちだと言っても、その元は特定職の組合費だって入っているんでしょ。そんなの判っててゴネているんだから、真面目に反論しないでよ)

 制度は勝ち取ったが。組合を辞めるとき「最賃の実効は余り無い。他の制度とバーター取引で潰してしまってかまわないから」と後任に引き継いだが、どうなったか知らない。

 それにしても組合の組織名、並べて「法規対策部」「経営対策部」「組織対策部」「賃金対策部」。「法・経」「組・賃」。前者は何処かのクリニックのパンフにあった様な。

 その後長崎の孤島の勤務を5年間やった。YAMAHA DX-7×3台とワインで優雅な田舎生活を送ったが、ここではパソコンの出番なし。

 しかし、霊的にはそれなりの仕事をさせてもらったと思っている。
 だって島は炭鉱跡地だから労働者も罪人をつれて来るなど色々あったようで、「夜中のパトロール時にカンテラの揺れるのを見た」などは軽い方で。独身寮の特定のルート沿いの部屋の住民の霊感の強い若い人は「昨夜も出てきた」と慣れっこになっているのか、腫れぼったい目で朝飯を食べているし。日暮れ時に置屋の女の子が首をつるお決まり場所だった断崖を通って、長崎から返ってこなければならないし。本土側も平家の逃避行の最終地だという話もあり、長崎から外海へ道路が完備しているが、夜中運転していると運転席を覗き込まれたり、海中から峰に向かって行進する武者行列が見えたり、なんせ「赤首」という名の尤もらしい地名のバス停があったりする所だもの。
 年季が明け島抜けの時は、1人でも社有クルーザーがあつらえられ、物揚場から社員全員の「バンザーイ」と蛍の光に送られるしきたりだが、本土に渡ると昔の置屋の末裔だという家の女の子が待っていて、車で長崎まで送ってくれたもの、チャンと判る。
 つくづく神様のやることに無駄は無いと思う。

5.狭隘事業所運転継続リプレース

 その後首都圏に戻り、250m×500mの、規模から考えたらもともと他事業所の半分の敷地しかない場所に、旧設備を稼動させたまま、既設設備の2倍の新1号設備を建設し、これが運転開始した後に、旧設備を撤去し、更に新2号設備を設置するという工事計画をやった。

Rp2

 触りは「機会や機械が薫陶してくれる」にもあるが、マンパワー延長ツールとしてパソコンには活躍してもらった。
主なツールは、電気機械工事自動設計プログラム、燃料石炭ハンドリングシミュレーター、クリチカル工事作業要領3D-CG表示、温排水、ダウンウォッシュFEM計算などである。

6.電気機械工事自動設計プログラム

 全体工事計画の成否は、個々の詳細工事成立の可否にかかっている。工事費全体のスリムアップは個々の工事の合理的組合せ集約である。
 「ここからここへ○○sqのケーブルが何本いるよ」、「配管ルートはこっちを迂回させなければならないから太くなる」等瞬々かわる工事計画に対応して工事費の得失も同時に把握できるように電気工事・配管工事、後には小規模土木工事も含むパーソナル積算プログラムが必要になり作った。
 配管工事、ケーブル工事、電線管工事、掘削などの仕様毎の歩掛り表、および物価版を有し、工事内容を入れれば、直ちに資材費・労務費の直工費がわかり、間接比率・諸経費率をいれれば工事費一式が出てくる。
プリンターの連続用紙をミシン目で破りあとは表紙をつけるだけでそのまま予算書として通用させた。「書き直す時間なんかない、文句あるか」
 これが、たちまちキングファイルに一杯になって行き、幾つも出来る。

 何事も溜めて置けない性質だから資料が無く全部記憶だけで書いていたが、あれだけの仕事の痕跡、自分の身辺に本当に無いのかと探したら、当時の若い人の名前を冠した古いフロッピーが1枚出てきて.xlsファイルに工事リストがあった。
 既設代替設備関連分だけで、始まりは1996/4、終りは1999/4となっていて、360件ある。
下はリストの初めと終わりの部分であるが、これの計画 (全ての整合が取れていなければ成立しない。問題点をリストアップしたら500件あった。関連部署のキックオフの時、計画を説明しながら、皆の表情が硬く「こんなのやるの?」「こんなの出来るの?」と言うのがありありだったので、「立替計画の成否は、この500元連立方程式が解けるか否かに掛っている」と言ったら、一部連立方程式の判る人には受けた。と言うことは他は前途多難さにボーゼン) ・調整・手続、工事管理(筆者の分)が仕事だったんだぜ。

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7.燃料炭2炭種ハンドリング

 用地を生み出したのは、既設貯炭場を1/4に縮小して、そこに周辺設備 (重軽油、水処理、将来用貯炭サイロ) を新たに建設し、旧周辺設備を撤去、新本館用地を確保するというシーケンシャルな敷地のやり繰りに依るものである。
 貯炭場で言えば、要するに6,000m2の敷地で、7日分の燃料35,000m3をハンドリングする事になった訳だが、更に「今までやっていた三池・太平洋の2炭種運用は国内炭縮小ステップとして当所に於ける消費計画も、国の石炭政策にガッチリ組み込まれているから、リプレース工事とはいえ止められない」と言う難題が加わった。
 こんな面積で2炭種は無理だとどう説明しても判ってもらえないので、実際にそこで2炭種を運用したらどういう貯炭形状になるか、シミュレーションして見せた。
OpenGL もなく単なるワイヤーフレームだったが、港湾荷揚げ規程から、1日の荷揚げは燃料1日分5,000トン1隻の荷揚げで精一杯だから、高サルファー (太平洋炭の約10倍) の三池炭受け入れ時には、太平洋積み付けレベルより数メートル高い山積みになり、太平洋の上に崩落する。 
 2炭種の混炭比率はブルのストロークだけで決まるがほぼ7対1である。日本初の地方自治体と私企業の公害防止協定締結の実績のある現場であるが、その中の「燃料炭の硫黄分」の規定は守れそうに無い。
 しかし「百聞は一見にしかず」というが、これを見て「よし判った、俺が責任もって調整してやろう」なんて義侠心ある人は出てこない。
 最終的には、三池少量対応積み付け・払い出しコンベアを設置して、辛うじて目的を達した。

8.肥料工場コンベアアレンジ3D図

 更に構内には、関連会社、珪酸カリ肥料工場があり、一定の販路を得て好調に稼動していたが、その周囲での工事を想定すると、とてもそのまま構内での操業は続けてもらえそうにない。
工場長は大先輩で時々お茶をご馳走になりに行ったが、リプレースの大変さは判っている。
「このような工事になるので、早めに代替設備の目処をつけて置いて下さい」
「千葉の方に土地があるのでそこに移転出来るか検討中です」
 しばらく感触が良かったので、「肥料工場はクリアーにできるだろう。利用可能面積も多少増えてあり難い」と思っていたら、そのうち本社から「肥料工場は置いておくように」
撤去できるのと、居座られるのとでは±2倍できかない差が生じるが、関連会社の工場撤去なんて誰も仕切れない、自分の定年後の行き先一つ減っちゃう。

 将来既設貯炭場に代わる石炭サイロは極限まで肥料工場に肉迫し、受入れコンベアーは既設揚炭桟橋から肥料工場を囲うようにサイロまで登って行かなければならない。
「工場裏のサイロ用空地は一切使用できなくなる、また前の道路も工事車両、既設灰出しの迂回車両が通るし、サイロ向け受入れコンベアーが始まったら重機が座りっぱなしになる。また製品仮置きの既設建屋は全部使えない。意地悪ではない証拠に工場本体設備の撤去はしないで済みそうだが、これで操業できるのならやって下さい」
 既設揚炭桟橋から肥料工場と錯綜しながらサイロまで登っていく受入コンベアーのレイアウトがなかなか決まらない、というよりこれだけ錯綜すると三角法図面だけじゃ理解できない。
 当時出て来たサイクロン・ソリッドというCGツールでコンベアギャラリーと建屋を描いて、K重工輸送部に「こんなレイアウトにできるんじゃないか」などと説明したら部長が珍しそうに「うちも早くこんなの導入しなきゃ」といっていた。
少なくても一部のメーカーさんより先に行っていたわけである。

 この部長とはかつて長崎でも仕事をした。(ヒラと課長の時代)
自走灰切出装置で、本体が灰パイル上をどのように動いても、灰は固定払出コンベア上に落とせるよう、シュートアームは常に自動で位置制御されるという代物。
プレゼンでシュートの高さはレーザーで、X,Y位置も何かで制御すると滔々と説明されたが、後者は絶対うまくいかないと請け負ったら、その通り苦労していて、何時までも完成しない。

Ash

 何度目かの会議で強く言おうと待ち構えて、着席した相手を見てビックリ、後に死神が憑いている。
こりゃまずいと背後から伝わってくる。機械なんかどうでもいい、思いっきりにっこり笑って「どうです、うまくいきませんか」と言うと、ホッとした表情、みるみる内に顔の血の気が戻ってきた。
 関内のスペイン料理「casa de Fujimori」 (アンノン族御用達、野郎2人でいく所じゃない) で、ファウステイーノⅠ世というミディアムのワイン (my favorite wine \7,000) を飲りながら、気になっていたのでその時の話をしたら、
「あの時は死ぬほど落ち込んでいて、sasayanの笑顔に救われた」といっていた。
 この頃は筆者も次第に世紀末の鬱波動に付き纏われる状況に陥っていて、その反動で久々にワインの美味い店に連れてったようだ。
この世の現れの向こうには、その数倍数十倍の物語があって、それを昇華させてくれようとする神様の働きが感じられる。
 全てが無駄なく運ばれていてありがたい。

 サイクロン・ソリッドではその他に、既設165kv OFケーブルの直ぐ下に、新設循環水管を埋設するが、運転中のOFケーブルを抱き込んだ10トンに近いコンクリートブロックをどうやって支持するのか、とか、正門の位置が数メートルの距離で1メートルの勾配を消化し、更に90度横に振らなければならないが、守衛所とはどういう関係になるのか、工事車両はうまく回りこめるか等の問題に対して、地中の状況も含めたCGを作製して、解決策を探したりした。

9.温排水、ダウンウォッシュ有限要素法

 周辺企業に環境調査開始の挨拶に行っていた立地担当所長代理が帰ってきてすぐ所長室に来いと言う
「環境調査も結構だが、お宅かお隣さんか知らないが、冬場蒸気霧が発生して困っている。小型タンカーのへさきにワッチを配置しているがそれでも危なくてしょうがない」と言われてあわてて帰ってきたとのこと。
 おっとり刀で単身お隣さんにかけつけると、環境担当所長代理という名刺をもらう。さすが層が厚い。うちにそんなポストはない。
 更に、さすがはお隣さん、気温・湿度・出力などと蒸気霧の相関も計算し、衛星温度写真も入手していた。
衛星温度写真で見ても海峡全体が赤いがうちのほうがより赤い。「ははーん」大体判ったが、冷や汗がびっしょり。
 しかし奥ゆかしいことこの上ない、「お宅のほうが温度が高いよね」などとは一切口に出されない「技術屋だったら自分で判断出来るだろう」ということか
この奥ゆかしさは見習いたいが、今でも真似できない

 早速問題提起のため、温排水拡散の状況を有限要素法でシミュレーションして、海洋調査を前倒しさせ、データはお隣さんとも共有した。
この時の温排水拡散のFEMは殆ど、自己満足のレベルだったが、プログラム的には下のダウンウォッシュFEMの下地となった。
 またその後、南川越にある海洋調査会社でプロのFEMも見せてもらったが、当然メッシュは細かいが、ほぼ筆者のと殆ど同じパターンであった。

 構内敷地が狭いことから当然設備は上に伸びる。ボイラーの一般に後部伝熱部といわれる過熱器、再熱器、節炭器、空気予熱器などは火炉の上に行くよりしょうがない。結果としてボイラー建屋の高さ100m。
これの周囲に既設煙突が120m130m140mとある。煙突が風上にきたら、ボイラー上部の工事はどうなる?煙突が風下に来たらダウンウォッシュは起こらないのか。
 これも環境部に説明しても要領を得ないので、2次元だが有限要素法で風分布を計算してダウンウォッシュを起こして見せて (レイノルズ数をちょっと۵) 問題提起とし、長崎の重工風洞実験にも立ち会った。
 これは最初に200mの新設煙突を建て、既設の煙道を繋ぎ変えてそこから排煙し、然る後にボイラー上部建て方というシーケンスで回避することになった。

Stack

 プログラムは Quick Basic で、筆者のマシンでは朝出がけにスタートして帰宅したら計算が出来ていると言う程度のパフォーマンスだったが、既設埋設物調査工事で入っていた関連会社の66MHzのマシンでは1時間半とかなり早いと感じた。
関連会社のえらいさんも「当社も有限要素法位出来なきゃ」と触発されたようだった。
 同等プログラムは、今1.6GHzのマシンで Delphi でやってみると描画も含めて一瞬の内に終わる。ネイティブコンパイラーのスピードは一度経験したら、他に戻れない。

 今更ではあるが、パーソナルプログラミングのメリットは次のようになる。
1.マンパワーの拡張
 プログラミング中は大変だが、出来てしまえば何万力の助っ人になる。走らせておけば、人間は機械的業務から開放され、別の仕事に集中できる。
2.ロジック力の育成
 プログラムの初期は理論矛盾やデータ受け渡しの間違いが無数に出てくるだろうが、経験による帰納だけでなく、直感的に間違い内容がわかったり、場所がわかったりしてくる。
 この力はプログラムだけでなく、通常の仕事にも活かされるようになる。
3.観察対象範囲が広がる
 時間の制限無しに条件を変えて色んなパターンでの計算が出来るから、自分が認識できる範囲が広がり、思わぬ発見に繋がる。

 これらの背景により、現在花開いているのが、3D・4D・Duo3D重相関、3D-FFT、支援警報などである。
使って貰えば凄いものがあると思うが、これらがどれだけポテンシャルを発揮できるのか、この先何が出てくるのか判らない。

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めくら蛇におじずⅡ

 前々稿で、素人が盲蛇に怖じず、あえてプロのポンプ屋さんに議論をふっかけたが、もう一つ不思議に思ったことがあるので、同様に地方自治体の人に議論をふっかけたいと思う。
 ある時インターネットで調べ物をしていたら、○市産業関連表と言うのが出て来た。
「そんなバカな、市の産業関連表なんて存在する訳が無いじゃないか。検索エンジン狂ったか、文字化けか」と、あわてて切り替えたが変わらない。やがて大手の「Google」や「Yahoo!」でも出てくるから、「実際に存在するんだ」と渋々現実を認めさせられた。
最初に直感した疑義は、要するに「このグローバル・ボーダレス時代に超ミクロの市・県ベースで産業関連表などと言う物が成立しうる根拠が在るのか」と言うことである。
 グローバル時代でも超ミクロの市・県ベースで地域特性を反映した緻密な政策・制度を策定する必要はいくらでもあることは理解できる。
だからと言って、国の財政出動だって他国を潤している場合が多いと言われる程の、経済国境線さえ希薄になりつつあるボーダーレスの時代、小さな単位ごとのセクショナリズムの孤陋で産業関連表なんか作って、経済波及効果なんて計算して何か意味があるんだろうか。
 学校での、国の産業関連表を勉強するための便法としての地域版教材と言うならいざ知らず、税金をかけてやる行政の仕事だろうか?もしかして学生時代のメンタリティのまま?constitutional delayed puberty?【沈黙の戦艦、S・セガール】
 予算のチェックなんかで参考併記するルーティーンになってるのかも知れないが、だとしたらそのルール自体がおかしい。併記するのは勝手だが投資効果のチェックには全く意味ない筈だから。
この投入費用と活用効果を定量的に答えて欲しい。産業関連表で計算する経済波及効果じゃなくて、大事な税金を掛けて出来た超ミクロ産業関連表自身が発揮できる効果を。
 議員の人、市議会で質問してみてくれないだろうか。

 例えば移出入の比率をみてみよう、1/3ですね。まずこれが正しいとして、移出入とは相手あっての事だよね。相手にヘゲモニーのある移出入だって多いはず。さらに複数相手のそれを十羽一絡げで扱っちゃっていいの?
隣のA県の好況とB県の好況とC県の不況の影響はデータ収集時に自然にマトリクスに反映されてない?移出入を介してるの?複数相手を一括したことにより、個々の相手の好不況や、もし相手にヘゲモニーがあったとしても平滑されると言い切れる?
移出入の比率の大きさと、周辺変動の不安定さと、その影響の領域経済への自然浸透の可能性から考えて、産業関連表として成立しうる精度が維持できるのか、かなり疑問である。
 また「2/3は市内の動きだから、60%以上の精度は望めるじゃないか」と言うかも知れないが、実態としてこれは高々投資1順目の値だよ。2順目以降2/3が市内を循環しているなんて信じられる?
だとすれば、「産業関連表」とは最早呼べない。高々投資フロー1順目想定表だ。

 またデータ集計は、事業者・業界へのアンケートが大きなウエイトなんて言うんじゃないでしょうね。過半数の回答率は維持できているかもしれないが、全員に漏れなく訊いてるんだろうか。
その記入は、電力のCO2原単位の統一数値みたいに、大きな開きのある数値に対し、「判らなければこの値を使って計算してください」なんてこともまさかやってないでしょうね?
さらにデータが入手できなくて、「国の産業関連表を関連指標で按分しました」なんてのも無いでしょうね♪
 大枚かけて集めたデータ群だから、表だけは一見それらしいのが何百部門別なんて出てくるが、どれ程の効果が期待出来るのか。
ただ「ほら、使って見せたじゃないか」と言うのではなく、市の産業関連表があったことによって財政投資が有意義に回転したと言う、本当に意味のある使い道の事だが。
 何百部門別なんて出てくる事自体が、何の咀嚼も出来ていない証拠じゃ無いの?「詳細な観点からご利用頂けるよう、細分化したのも有ります」とか言うんだろうか?
統合されて出てくれば出て来たで、「計算機のパワーで機械的に強引に加算しただけでしょ♡」

 それに経済波及効果がいくらなんて計算できて、それが正しいかどうかどうやって検証するんだろう。
お笑いネタとして、「産業関連表で出てきた波及効果を全部逆行列に代入して計算したら、投入した額と全く同じ額が返ってきましたので100%完璧に正しい事が証明されました」なんて。
もう一つ「数年に1回でも 産業関連表を作成することにすれば、産業関連表関連部署の糊口のための仕事日照りもなくなるし、精度が問題になったらなったで、東京で精度向上検討会議でも開いてくれれば官費で上京できるし」
 県民の皆さん、市民の皆さん、こんなの各県個別でやってるんですよ、それだけじゃない政令指定都市プラスα。地域毎、支庁別にも作ってて、どんどん増える勢い。
移出入の比率を勘案すれば、あるいは「全国生産額を関連指標により按分しました」なんて文章のオンパレードをみれば、更に、複数相手の存在とそれぞれ好き勝手な経済活動が可能なことを認識すれば、誤差はかなり大きいはず。
 もしかして70個 (筆者は実際には未カウントだが) の虚構ナルシズム経済モデルの構築。よくて全国モデルのミニチュアクローン化。屋上屋を重ねるなんてレベルじゃない、屋上×屋上×70だ。
 産業関連表なんてのを机上で苦労して勉強して、何とかマスターした気分で頭でっかちになっちゃって、「よしっ、おらが市でも作ってみよう」。それがどういう条件なら成立するのか考え (感じられ) ないんだろうか。

 ここで次に繋げるため、いつものサービス、狭い適用範囲の産業関連表で、かつ現実がボーダーレスである事による無意味さのお笑い例。
 例えば土木工事関連のマトリクス、見てる範囲が狭いから今までの○○センセイのお声掛かりの仕事の流れだけを主に集計した結果のテーブルになってない?
○○センセイが所用でちょっと小菅の方に呼ばれて出かけちゃって♪、隣県の業者が殴り込んで来て、契約せざるを得ないとなると大分狂ってしまう。
 勿論、下請けの作業員は大半県内調達だから、さほど影響ないと言いたいだろうが、例えば、大田区・世田谷区なんかの大土建工事で、今までは○○センセイ関連の都内の業者が落札していて作業員も荒川区辺りから来ていたが、今度の業者は神奈川で、現場から多摩川を渡った直ぐのところの川崎区からつれてくるとなったら都内に落ちる金は大分違う。
 「そんなの、金が都内に落ちようが神奈川に落ちようが大した差は無いだろう。県境は国境じゃなし、金に色が付いてる訳じゃなし、~\雪に変わりが無いじゃぁなし、溶けて流れりゃみなおぉなじ、チャンチャンチャララランチャ、チャンチャンチャララランチャ~\、いやぐるぐる回って経済効果を創出していくんだから」と思った人は正常(?)、読者の大半がそうでしょ。
それを、何が何でも狭い領域で計算して作表して、辻褄合わさなければ気が済まないで、無駄な執念に大変な費用と労力を費やしているのが県および市の産業関連表。
 上の、現場と作業員宿舎の距離を資材・原材料調達費などにも置き換えたら、よく似た関係は全国中に有るんじゃないか。
 だからミクロ産業関連表の計算を安定させるためにも、官製談合もセンセイの力も必要ですって?
笑いが空振りでも (I can't resist making a joke.【natinal treasureⅡ、ニコラス・ケージ】) 。この文脈での議論はそれならそれで構わない。ミクロ産業関連表を止めれば、官製談合も無くなりセンセイも不要、財政合理化がトリプル (ミクロ産業関連表作製に係る費用、官製談合による契約率高騰抑制、議席減) で進んで万々歳だから。
 逆に言うとそれら不合理の力で市・県の産業関連表も辛うじてその体面を保っていられる。
精度を気にする人がいて精度をチェックできる手法があるとしてだが。

 何年前までさかのぼって集計したデーターをマトリクスにして、何年後まで適用させたいのか知らないが、経済パラダイムのダイナミックな動きを考えて、国の産業関連表と比較してもミクロ産業関連表の存在根拠が極めて脆弱なのが直ぐ判る。十年一昔と言いますよね。
① 国は経済変動の慣性が大きい。
  質量が大きいからドラスティックな変化も緩和され、また一度動き出したら暫く同一方向に動く。
② 国境による物流の制限で、外部変動の影響が抑制される。
  ボーダーレス時代とは言え国境は厳然として存在し、物・資本の動きは完全に自由ではないから、外乱力は抑制される。
③ 「輸出入」は正確に把握可能。
  課税対象で、税関チェック済みだから定量的にほぼ正確に把握可能であろう。
 これだから国に産業関連表があり、それなりに有意義だと信じるに足る基盤があるのである。それに比べたら県や市の産業関連表はどうなってる?
① 慣性が小さいと言うことは、センセイのお声掛りが無くなったり、駅前にデパートや大型店舗が出来ただけでかなり変わってくると言うことである。八ッ場ダム騒動でよく判るでしょ。今回の自民クラッシュで殆どのミクロ産業関連表が紙くずになったんじゃない?。
② 人・物・資本の動きは完全に自由だから、またおらが市の資本、我が県固有のアセットという概念はないから、有利な方へ自由に動く。従来の集計は役立たない。
③ 「輸移出入」の数値は何によって裏づけされていますか?まさか事業者・業界へのアンケートが大きなウエイトなんて言うんじゃないでしょうね。
  これらを勘案するとミクロ産業関連表の「このような点に注意して使用してください」と言うセリフは、精度の低さを過小評価している。殆ど自己満足だけ。だれか有意義だと信じて使う人が居るんだろうか。
 この不況の時代、そんなぬるま湯の中で糊口を凌いでいないで、もっと有意義なところに税金を使ってください。

 レオンチェフも苦笑している。
「もともと私はアメリカ1国のベースで産業関連表を研究したからノーベル賞を貰える精度が担保できたんですよ。対象区域のある程度の経済的 independence が前提。そうでなければ相手の動向把握を取り込めないと理論は破綻しますよ」とか、
「これだけボーダレス化して来たら、最早国ベースでの産業関連表も危うくなってきましたね。世界全体かマクロ経済圏ベースでしか意味が無いでしょうね」とか、
 「輸出入なんて妙な言葉はだれが言い出したんですか?日本の地方行政の人ですか?当 blog の筆者の造語センスを笑う資格はありませんよ♪」 とか。
万が一原文にあったら完全に滑っちゃうけど、原書を読む能力も伝も無いから、その場合は断筆だ。

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3D-FFT再登場

 絶大なるご支援(?16ヶ月、アクセス500件、延べ9時間)に応えて、3D-FFTを化粧直しで提示するが、その前に恒例、気候の挨拶である。

 柏崎刈羽7号機は安定して定格運転を継続している。他号機も同様に立ち上がり、料金的にも、CO2的にも有利になってくれば言うことは無い。
 また新潟県で、原発を不安定なものと忌避するのでなく、積極的に地域振興に活用しようという動きが出て来ているそうである。結構なことだ。
但し、お互いに少し努力しなければならない点も有り、その態勢作りが重要である。
 それは、原発部外者も最低限の技術知識・技術マインドを持つと言うことである。特にプレス関係者には責任がある。
もう一つは、原発も技術プロの審査眼にも耐えられる定量的観点での高度のものと従来どおりの平易なものと2本立てで広報を行うことである。
 例えば6月5日、柏崎刈羽7号機給水ポンプ出口弁よりリークが有ったが、「弁の上蓋が緩んで湯気が出た。蓋の緩みを閉めて止まった」とある。上蓋とは何だと写真を見たら、業界タームでは(そうもったいぶらず、門前小僧の耳学問レベルでも)これはグランドである。
「グランドリーク」と言うと「専門用語を使うな」と言われるから「上蓋から漏れた」と言っているんだろうが、弁の上蓋が漏れた場合と、グランドリークとでは技術的なシビアーさは全く違う。
 グランドとは弁シャフトが弁体を貫通している部分の漏れ止め機能で、弁開閉時にシャフトが回転または摺動する部分だから、パッキンの老化、締め方の弱さによっては漏れることもある。グランドのフトコロは深いから、湯気程度なら放射能でなければその内止まる事を期待して放って置く場合も少なくない。
しかし弁本体に蓋構造があり、これが漏れたと言うとこれは許容できない。可及的速やかに内圧を抜き、スパイラルガスケット交換を含めた修理をしないと、漏洩ルートの道筋も短いから急激に増えて来て、本体も削られる。
 今次不適合では、プレスも報告書も全て「蓋が漏れて締め付けた」となっているが、写真を見ると蓋がある様な構造ではなく、グランドしかない。
情報が余り簡略化されると、トラブルの軽重も判らなくなる。
 ブレスも受け取ったままフィルター無しでそのままオウム返しに報道するのではなく、この差が判る程度の技術素養を身に付けて「蓋と言うのは弁本体が蓋構造になっているんですか?そのリークだと重症ですね」位の確認が出来ないようだと、報道内容に対してズブの素人だと笑われてしまう。経済だって、政局だってその程度の専門知識をバックボーンにして記事を書いているんでしょう?なんで技術記事だけ小学校学級新聞工場見学記レベルになるの?
 原発を積極的に活用しようと言うコミュニティーの人たちも、前向きの姿勢だから違うと思うけど、他のグループのように「専門用語を使って煙に巻くな」と言うclichésに安住して最低限の技術審査眼が身についてないと、「原発を不安定なものと忌避するのでなく、積極的に地域振興に活用しよう」と言う前段の担保が危うくなる。
 「専門用語を使って煙に巻くな」と言う指摘をこれ幸いと渡りに船にして「簡略化された情報で、トラブルの軽重も判らなく」する狙いが原発側に無いとしても、実態は間違いなくその様な影響を与えているからである。
 この程度の内容レベルが広報だとは思えない。現状は「『不具合を全部詳らかにせよ』と言われたから、素人にも判るようにやってるじゃないか」と安易な定性的内容オンリーで開き直っているとしか思えない。技術屋の審査眼に耐えうる2本立てのプレスリリースにしてくれないと返って疑心暗鬼になる。
 海外メディアだって笑っていると思うよ。「学業レベルが落ちてきたとは聞いているが、いよいよ日本人の技術咀嚼力はこの程度になってきたのか。専門家は違うだろうと言ったって、もっと詳細内容を出せと言わないんだからその程度でしょ」
 何方かプレスの人、「東京電力・原子力運営管理部に緊急提言」「東京電力・原子力運営管理部に緊急提言そのⅡ・始めに言葉ありき」「blogのツールを原発へ」「プレコーションマインドで原発を包め・支援警報の威力」などに記述の疑問点を公開でぶつけてみてくれないだろうか。かなり盛り上がると思うよ。
これは意地悪や面白がって言っているのではない。原発にはエネルギー的に大きな期待がある (この後改めて判ってくる) から、しっかりして貰わなければならないのである。

 さて本題の3D-FFTだが、従来品(下記ビデオ)

 に比べて次の点が異なる。
1.代表的ベアリングの傷関数をオープンにした。
2.プログラムソースをオープンする。
3.汎用的使用を追及するためマイナーチェンジした。
 ① 元波形データをクリップボード経由で入力できるようにした。
 ② 60ヘルツ地域でも使用できるように、すべり調整可能とした。
 ③ 機器とベアリングの関係はユーザーが入力することとした。

 各項目について述べると、

1.代表的ベアリングの傷関数をオープンにした。
  ベアリング傷解析に興味のある人に見てもらえるよう、傷関数を覗ける様にした。
  代表的ベアリングをリストから選んでも良いし、****を選択すると全てを表示するから、ベアリング型番をクリックすると他の型式のも選択できる。
  但し、実運用した範囲でスペクトルと大体のところで一致することは確認しているが、全て正しいかどうかは責任持てない。
  確実なものが必要なら、売ってもいるようだからそちらから入手してください。

2.プログラムソースをオープンする。
  全てをさらけ出すようで、これが一番恥ずかしい۵
  継承も、オブジェクト指向も、視認性も全て無視した、フロー図による事前検討まるで無し、継ぎはぎ、独善、我流プログラムで2000行が1つのunitだけで出来ている。
  しかし一応動くので、パスカルの判る人は体裁から直して貰えれば、自分好みに訂正できるだろう。慣れてくればその後コアー部の機能アップにトライしてもらえばよい。
  売りは表現方法、表示のアイデアだと思っている。万が一メーカーさんで、自社の製品に組み込もうと言うところは全く自由である。This is profitable.【ラスベガスをぶっつぶせ、ケビン・スペイシー】
  「blogのツールを原発へ」で「ツールそのものは技術的には大したものではない。電力各社の関連ソフト会社でも軽く出来る。」と言っている。電力関連ソフト会社でも参考にしてより良いものを作って電力を中心に売り込んでください。
  おそらく電力程の関連会社なら「てやんでー、3次元表示のFFTアナライザーなんかとっくの昔に製品化してらぁ。今頃出て来て何言ってるんだ」と言う反論があるだろうが、これを触って見てなおかつそう言うんなら、某発電所の事故解析執筆者と同様、技術のバイタルポイントをつかみ切れないと言う弱点をさらけ出す。
  当該3D-FFTは意味無く単なるこけ脅かしで立体表示しているのではないと言うのはお判りだろう。波形のポリゴンをピックアップして細かい精度でスペクトル周波数を知ることが出来る。「スペクトルは、周波数軸の目盛りから読み取ってください」ではない。これはまだないと思うから、上の物言いになったものである。
  また、ベアリングの傷関数とこれ程容易に対比できるものはあるんだろうか。滑りまでコントロールできて。

3.汎用的使用を追及した。
 ① 元波形データをクリップボード経由で入力できるようにした。
  ユーザーは振動波計を色んな形で入手するだろうが、汎用的にはExcelに書かれるんだろう。様式も色々あるかも知れないが、縦一列の波形データと言う形は一般的だと思うので、これをコピーしてクリップボード経由で入力できるようにした。
  この場合、サンプル周期または、全波形時間を別途設定することになる。

 ② 60ヘルツ地域でも使用できるように、すべり調整可能とした。
  前回、関西では使えないことに気付いていたので、すべりをマイナス方向に振れる様にした。滑りは率で、50ヘルツ、60ヘルツ両方に対応した値になっている。また1クリックで50ヘルツのポイントに戻れる。

 ③ 機器とベアリングの関係はユーザーが入力することとした。
  前回のは当所仕様で、機器とベアリングの対照表があってそれから取ってきたが、これを別にしたからユーザーに選択してもらう。極数も同じである。

 ソースに行く前に、使い方だけ見て見る。
 プログラムは ダウンロード d5fftp.exe (840.0K)である。ダウンロード glut32.dll (232.0K)が必要なのは変らない。また波形操作用に信号処理用関数パッケージのフリーソフトを使わせてもらった。ダウンロード OTMATH.DLL (343.0K)が要る。
 他に波形データは ダウンロード vac11.xls (372.0K)ダウンロード hac11.xls (762.5K)ダウンロード vbp2.xls (919.0K)ダウンロード hbp2.xls (951.0K)である。
csvなら軽いんだろうが、汎用を狙ってxlsにしているので、アップロード制限により細切れのデータになってしまった。
 頭に「v」があるのは振動の速度波形である。「h」は場合によってH関数と呼ばれる、加速度波形を包括検波したもので、最終的にはこれをスペクトル分析して傷周波数と対比する。
従って、「v」の速度波形はプログラム内部で微分し、絶対値に直し、ローパスフィルターを通して「h」波形もどきにする。
 ac11とは空調器のモーターでかつて内輪傷を拾ったものであり、2秒間9600データである。これは時間軸方向は殆ど幅が取れない。
bp2とはボイラー給水ポンプで、2極で5秒間24000データである。これもFFTの精度を上げると時間方向が圧縮される。
時間方向の幅が少ないから、3Dと言うのは気が引けるが、ポイントはピックによる周波数読み取りでこれは絶対残す。
 また長期サンプルで判るが、スペクトルは時間方向で変化する。これが振動の実態だろう。増えているかどうかを知ろうとすると、多数の平均値などの比較が必要である。また下の「もどき」の理由などもあって絶対値の大きさは不問としている。
「h」波形もどきと言ったのは、途中の微分処理、LPFをotmath.dllで実施するが、この使い方を熟知してないためか結果に純然たる「h」関数のスペクトルに対して余計なスペクトルが出てしまうことである。
但しvitalなスペクトルは出るので、ペアリング探傷には余り問題は無い。このスペクトルは何だと悩むより、ベアリングのタイプを切り替えて言って傷周波数と一致するスペクトルを見ていけばよい。傷を見つける実用性第一と言うことにしておく。
 プログラムを触れる諸兄なら、使い慣れた薬籠中のコードがあるだろうからそれに置き換えればよい。

 それでは、 d5fftp.exeglut32.dllOTMATH.DLL、それにvac11.xlshac11.xlsvbp2.xls hbp2.xlsのデータを同一ディレクトリーにダウンロードしたら、d5fftp.exeを実行する。
 最初にデータファイル名としてhbp2.xlsが選択されている。Sheet 名、セル範囲、波形タイプ、サンプル期間、軸受け選択、機器名称、極数、など必要な項目はFFTのLog2(N)を除いて全て設定済みであるので、「データ取込み」ボタンを押す。
1,2秒後に「 24000個のデータをコピーしました。」となるから、Log2(N)でFFTの精度を決めて「FFT -> Display」ボタンを押す。
N=12のまま実施すると、結果は些か鈍っているが、スペクトルも一致しない。そこで6307ベアリングのタイプを「2/6」にすると、内輪1次にスペクトルが出ていることが判る。ボール1次も僅か出ているようだ。
 モーター滑りの値は、「R」をチェックして回転起因の振動スペクトルと一致させればほぼ正しい値に設定できるはずである。全く偏心のない振動のないモーターではこれは使えない事になるが。
その他、使いやすそうな機能満載なので一々説明しないが下のようなところを触ってみてください。

Bp2h_2   

 続いて速度波形でやってみる。vbp2.xlsを選択すると「v」波形となる。
今度は尖鋭にするためN=14で実施すると、内部で上記のような処理をした後FFTするが、データが24000個でも1回に16384個要るため3回しか分析してくれない。(FFTデータグループの両端はどうせ窓関数で抑制されるんだから、重なって取り出しても良いやとしている。それがシフトである)その分スペクトルはくっきりして、回転同期周波数との一致も良くわかるから、この時の滑りはR2、R4などが一致する下図の程度であったことが判る。
 また波形処理関数の使い方の不適合による外乱スペクトルも散見されるが、この場合気にせず傷に一致するスペクトルと回転同期スペクトルに集中すればよい。(所詮言い訳だね۵時間ができたら微分、LPB等もちゃんと勉強しよう)
例えば、「h」波形と同様ボールの1次スペクトルもはっきり出ている。「h」波形での周波数も86.44だったから、「v」波形から起こしたスペクトルの周波数も86.44で全く同一である。
また、内輪1次はこの場合はたまたま周波数が一致したが、0.5ヘルツ程度の誤差は発生すると見た方がよさようだ。これは振動計のサンプリング周波数によるところが最も大きいだろうが、回転同期周波数に補助線を入れ、回転スペクトルと一致させることでかなり補正できる。

Bp2v  

 次いで、hac11.xlsを実施する。選択すると全ての設定が変化する。
N=13でFFTを実行すると、データが少ない分時間軸がさらに狭まるが、ちょっとゆっくり廻っていて滑り3%程度で6205の2/4のタイプと比較して、内輪1次に卓越スペクトルが出る。ボール1次にも小さなスペクトルがあるようだが3ヘルツ乖離していて製作誤差か測定誤差が計算誤差かわからない。

Ac11h  

 次いで速度波形でやってみると、やはり使い方の不適合によると思われる外乱スペクトルが出てくる。しかし内輪1次は拾っているので、傷の検出だけは出来そうだ。

Ac11v  

 実はwavedataシートの表に各段階のデータが入っていて、マウスクリックで取り出せるようになっている。
2番目の列が入力データだから、読み込んだかどうかも見えるし、個数もチェックできる。「H」波形の場合はこの列を直ちにFFTに掛ける。
「V」波形の場合はこれを微分し、バンドパスフィルターリングし、検波し、ローパスフィルターを通したもの、即ち5列目をFFTに掛ける訳である。
 下図はその各ステップの数値であるが、この段階の何処かで不勉強に因るミスマッチが起こっている可能性がある。我と思わん者は自分のものとして直して下さい。そうすれば堂々とプログラムは自分のものだと主張できて製品化出来るでしょう。

Wave  

 このベアリングを分解したのが下図で、ぼやけて見難いが爪で引っかかってやっと判る程度のフレッティング前の傷が内輪に有って、当該手法の有意義さを改めて確認したものである。
ベアリング不具合の写真に出てくるようなのは最終段階で、あんなのが回っていた事自体が信じられない。既に手や音や熱で判るし、もしかしたら過電流でトリップした後のベアリングの写真である。まあ「軸受に気をつけて」「振動計売らんかな」の写真なんだろう。その前段階は下のようにとても絵にはならないから。
 スペクトル解析ではトラブル初期の段階ではっきり出てくる。これで初期段階で傷のあることをつかんでいれば、何かのついでにまたは「ちょっとインターバルには早いが、分解してベアリングも交換しましょう」とやれば、慌てないで、かつ合理的に保全が出来る。しつこく言っているプレコーションである。
貴プラントでもこれを導入すれば月1で充分だから常備する必要はなく、関連事業所たらいまわしでも良い。振動計は買っても10万強である。

6205  

 実はhac11.xls のmcbfr シートのデータと mcaft シートのデータは2時間のタイムラグである。この間でベアリングを交換した。その結果どうなったか、hac11.xls のシート名を mcaft にして実行してみよう。下図のように何もなくなってしまった。新ベアリングだから当然と言えば当然である。玉の6次スペクトルが出ているようだが、内輪1次の大きさから言えば取るに足らない。

Ac11aft  

 Delphiのコンパイルに必要なのは、ダウンロード d5fftp.dpr (0.2K)ダウンロード d5fft.pas (66.2K)ダウンロード d5fft.dfm (33.5K)ダウンロード brg.rc (0.0K)の他、ダウンロード OPENGL.PAS (74.5K)ダウンロード glut.pas (24.4K)、math.pas、ダウンロード WINMATH.PAS (29.2K)、またリソースにするためにダウンロード brglst.csv (179.8K)が同じディレクトリーに無ければならない。(何だ、これを見れば傷関数は全部判るじゃないか)
d5fft.pasは恥ずかしいが、一応全てのルーチーンに説明を入れたので誠意はわかって欲しい。後はどのように料理するかは貴方次第。
右端から始まっているルーチーンは筆者独自のもの、スペースを空けて始まるのはdelphi自動生成のものである。返って判りやすいでしょう?

 「ところでD^5-FFTとは何だ?」
実は、2つのスペクトルを同時表示し、過去の波形などと対比できることを考えて、面白がってネーミングが先行し、Dual-Dfft-3Ddisplay=D^5-FFTとぶち上げようとしたが、躓いた。
 Dual表示そのものは、すでにDuo-3Dで実現しているから問題は無く、周波数軸を含めて2つの波形の位置をコントロールでき、次第に近づけて行ってやがて最後にぴったり合致する様にすれば良いだけである。
躓いたのは、スペクトル計算結果表示スペースが取れないことである。2つのデータは滑りが異なるから、どうしても2つ要る。図と表は操作上どうしても同じ画面で見たい。そうすると最早Duo-3D波形そのものを表示するスペースが無くなる。ましてや徐々に近づけて最後にぴったり合致させるなどと言うお遊びの余地なんか何処にも無い。
 従って、アイデアだけは温存し、大型ディスプレイの採用か、表示機能の省スペース化か、条件が整ったら実現するために、ネーミングとしては取っておく。
 電力関連ソフト会社さんなど、このアイデアを先取りして製品にしてもらっても一向に差し支えない。

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プレコーションマインドで原発を包め・支援警報の威力

 以上3稿にわたって原発の状況を見る中で形を取り出した想いが、「原子力のシステムはデジタル過ぎて、それに釣られて人間側の思考様式もデジタル化し過ぎ、プレコーションの面で重要なアナログ的メンタリティがかなり希薄なのではないか。放射能以外トラブル多発の原因の一つはこれではないか」と言うことであった。
 デジタルとアナログと言えば、【ダイハード4】でBruce Willis がTimothy Olyphant (彼は【60セカンズ】の刑事役でも出てるね) に「You're a Timex watch in a digital age.」とバカにされているが、ここでいうのはちょっと違う。
 原発の不具合報告はパトロールで発見したものを除き、殆どが警報発報から始まるのである。その前段で警報レベルに向かうPVの動きがあって、これに気付いて回避操作を試みたが力及ばず発報してしまった、というのが殆ど無い。
 「報告件名だからそうなるのさ、表に出た報告書の影にはその様に未然に防げた不具合が結構有るんだ」と言うことにはならない。通常設備に比して表に出た報告書だって異常に多いのに、その裏に倍加する未然のトラブルがあったなどということは、それはもう気違い沙汰である。

 前稿のロジックを見ても判るだろうが、支援警報での「プレコーション」と言うのは、重大な事態に至る前の軽度のグレーゾーンにある内に異常の前兆を捕捉し、その芽を摘んでしまおうと言うことだから、この点が重要なのである。
ところが原発技術が向こう製で、人種固有の思考パターンによるものか、「正常か異常か、安全かアウトか、規定内か外れか」で全てを括ろうとするある意味判断無用2分法。ハッキリ言えばインテリジェントレス2分法の思想で出来ているように見える。
 これは誰かへの揶揄で使ったわけではない、「原子力は極度に厳格に管理されなければならない。従って人間の中途半端な判断は無用だから極力排除し、コミュニケーションレベル、管理レベルを含めて全てout か safe かで明確に峻別し表示し表現することにしている。従ってシステムも極力この思想を反映して構築されている。」と言うことかも知れないからである。
 緊急冷却装置などはその最たるものである。一気に冷水を入れる。この場合は非定常熱応力などを心配してる場合じゃないからだが、至る所にそれと同様の設計思想があるようにみうけられる。
トラブル報告書を読む限りシステムはそう見える。当然直輸入機はそうなっていただろうし (見たことが無いけど福島第一1号の警報窓なんかもGEが置いてった英語のままなんてことは・・・無いよね)、今も基本的な変更はされていないと思われる。
 電力各社が揃って検討した制御棒駆動装置不具合対策が、「「高高」時のポンプ停止または調整弁閉止または復水回収タンクへの逃がし」だと言うんだから想像できる。(無意味だとは言ってない。これが充分条件かもしれないが、「ただ周辺だけの対策の例だ」と言ってるだけ。後一つ付け加えるなら「「高高」が解除されれば直ぐ復帰するんだろうけど、その時の低下スピードが速すぎて復帰が間に合わず、「低」近くまで行き、その時逆止弁などの漏れが生じた場合などを考慮しても安全なんでしょうね」と言うような点。「そこまで考えたら切りが無い」と言われるかもしれないが、そこが「周辺だけの対策の域を出てない」と言う点でもある。CRD基本システムはそのままだから
 「原子力の基本システムを変えるには開発費を含め大変な金が要るだろう」と言うかも知れないが、国の原子力立地対策費だけでも1千億超えだよ。技術者の皆さん、貴方が年1,500億貰ったら、原子力の技術進歩にどれだけ寄与出来ると思う?これは唯、「原発反対の奴等の頬をひっぱたいて言うことを聞かせよう」と言う為の金だけど、それだけあれば、堂々と純技術的安定性理論で渡り合える技術開発が幾らでも出来るとは思わないかね。
 もう一つ上の表現が揶揄で無いと言う証拠として挙げるなら「原発を日本に持って行って、構成部品の信頼性がここまで低下するとは想定してなかった。その前提ならもっと違った安全サイドのインターロックも考えられたのに」と返される可能性もある。

 何れにせよ一方でそれに付き合う内、それをお守りする人間もその集合である組織も、思考傾向・行動様式が釣られて判断無用2分法となってしまい、out か safe かに至る途中の変化を殆ど気に掛けることが無くなっているのではないか。

 17/7/3柏崎刈羽5号グランド蒸気圧低、21/2/25福島第一1号機タービンバイパス閉などの話題について「システム」「監視」「操作」からの視点でその傾向を見てみよう。
 システムとしては、グランド蒸気圧低の報告書では補助蒸気ラインを開けた後何かのキューを出せば制御弁が切り替わるようになっている様だが、これが補助蒸気ラインを開けてから、アナログ的に蒸化器側の弁を徐々に閉められる構造であれば、途中で「グランド蒸気圧低」の警報が出るはずだから異常に気付く。
実際に補助蒸気の弁の開度が少ないことに気付いていた様だから、心配ならどこか蒸化器側の手動弁を様子を見ながら閉めていけば、「やはり補助蒸気が足らないや」と言うことに気付けたはずだが、システムもデジタル、行動様式もデジタルだから「おおよそマニュアル条件に合致♡」とエイヤッでそれはかなわなかった。
 勿論、「こういうシステムで、こういう風に運営しているんだから、外野にとやかく言われる筋合いではない」と言う言い方は可能だが、こちらの主旨は「それで一般より不具合が異常に多いと不評を買って、運転再開も覚束なくてもそれで良い訳ね」と言うことである。

 了解いただければ、支援警報のロジックは次のようになる。

 タービン真空0mmHg → not ➘
                                             and→「グランド蒸気圧低です。(蒸化器または補助蒸気操作を確認してください)」
 グランド蒸気圧0.3kgf以上→not➚

 このロジックを書きながら、原発に限らない警報ロジックのあり方に気付いた。
一言で言えば、「正常・異常に無関係の警報は出さない」となる。
福島第一1号の警報窓が日本語であれ英語であれ、タービン停止中なら「グランド蒸気圧低」は出ている。(この警報が無いとすれば、それは欠陥品だからね)
要するに、プラントが停止中なら、赤や橙の警報窓が満開だということである。その時、落ち着いて個々の件名を見れば、当該圧が低かったり、水位が無かったり、温度が低くて当然の表示だと理解しても、緊急突発時に短時間でその判断が出来るだろうか。停止中の点灯もデジャブの外乱となり、今本当に注目すべきアナウンスなのか、事象の転遷で発報しただけに過ぎないのかの瞬時の判断はこれは集中力を要する。
 事故初期のオペレーターの精力のかなりの部分を消耗するし、後の事故解析の断面に於いても同様である。
 原子力に限らず何処でも同様のロジックか、たまに発報条件をアンドで噛ましてあっても何かの行きがかり上の処置で、思想的バックは希薄で統一の取れてないのが殆どだと思われる。(勿論、完璧に同様の思想で統一されたスッキリ警報システムが皆無だと言うつもりはない。筆者でも直ぐ思いつく位だから)
従って、何か警報が発報してもオペレーターの第一の仕事は「これは本当に緊急な警報か、機器の発停で今出るべくして出た警報か」の吟味から入る事になる。そして1秒後に、人によっては10秒後に「これはヤバイ」または「何だ、ビックリさせて۵」となり、次のステップに進む。立ち上がりに時間が掛かるのである。
 ところが上記ロジックでは、真空が無ければグランド蒸気の有無も無関係として警報にしてない。
卑近な例だが、前稿の空調ファンベルト監視 (した場合) もそうである。監視対象が監視に値する状況にあって初めて警報としてvalid される。

 色んな監視対象設備毎にこれが統一され、実装されるとどの様な事になるか。
 当然ながら事故時に、オペレーターの最重要警報へのフォーカスインが容易になる。これは2つの要素でそうなる。1つは勿論数が少ないから見るにしても物理的に短時間であることである。もう一つも少数ゆえだが精神的なものである。数に圧倒されないので、「この程度なら直ちにキーポイントまでたどり着けるな」と思ってしまえば後は楽である。
 前稿のお笑い仮想反論「そんな余計な外乱情報がインプットされて、オペレーターの判断に悪影響を及ぼしたら大変だから、オペレーターに入る情報は出来るだけ少ない方が良いんだ」にカウンターで反論したことにもなる。(「最重要な場面ではその様にできるじゃないか」と言うことと「現状こそがそうなってないじゃないか」と言うこと)
 また必要な警報も作りやすくなる。前稿で「ホントにこの警報無かったの?」と訊いた (「タービンバイパス閉に気付いた」となっており「警報が出た」とはなって無いから。勿論「警報は存在したけど出なかった」と言うのも在り得るか。だとしたら駆動サーボから閉信号を貰っていたことになるから欠陥だったね。しかしこれは在り得ないことが判る。だって負荷遮断時などに直ちに開いて貰わなければならないほどの重要機能が駆動サーボから表示信号を貰っていたというのは明らかに是正すべきであり、今回の事故対策の一環として他号機、他の同様重要機器の表示取出しを点検し見直すとなってないもの) タービンバイパスも、無かったとすれば「停止中も運転中も、常時「タービンバイパス閉」が出っ放しは如何なものか」と躊躇された可能性もある。
それがこの通りできれば、何の躊躇も無く構築できる。と言うよりもこう書けば、バイパスは発電機一定負荷以下は制御棒全挿入との反対動作だから、この警報は必需だったと言うことに気付く。(判りやすくするため発電機負荷条件は割愛してある)

 制御棒全挿入 → not  ➘
                                       and→「タービンバイパスが閉まっています」
 タービンバイパス開→not ➚

 後日の事故解析に於いても、プリントアウト項目が基本的に重要なものばかりであれば、真の原因にたどり着くのも早いだろう。
 これは今明確に形を取ったことなので、実装の支援警報では、見てもらえばわかるが意識もせず、実装が煩雑になる回路もあり殆ど入ってないが、オペレーターに合わせて今後変更していくこともあるだろう。
 そして、この思いつきが、机上の独善に過ぎないのか、監視のブレークスルーになりうるのか。オペレーターの挙動、プリントアウトを含め、この手法を徹底して運用して見てみたいが、実は1つ大問題があった。
当所は事故が皆無なのである。事故らしい事故は、一昨々年の停電しかない。従って支援警報システムをどういじくっても応動のサンプルが採れない。どこかの現場でフィールドを貸してくれないだろうか。
 そうすれば御社には、最後に当該システムがそっくり運用できる形で残ることになるんだが。御社の受け入れに必要なことは。主監視装置が数秒に1回プロセスデーターをこちらが読める形でどこか共有できるディレクトリーに書き込んで貰うだけなんだけど・・・

 ところでシステムと言えば気になるんだが、ECCSなんかは何年に何度位実作動するものなんだろうか。水の温度差はあるんだろうから、金属肉厚を考慮した非定常熱応力と寿命消費なども把握してもらってると思うが、炉心シュラウドのクラックなんかも溶接の不備は兎も角この辺からも来てはいないんだよね。
素人のイメージとしてあんな肉厚の温まった金属のところに、冷水を一挙に注入するなんてちょっと想像できないもんで。

 「デジ/アナ」対比を監視の面に進めれは、上のタービンバイパス弁不具合でも、事態の始まりは「原子炉圧力高」警報で、やがて「バイパス閉」に気付き、「安全弁作動」となっている。
筆者として強く断定できないので良い例ではなかったが、原因究明図を見る限りガタが生じる方向は弁閉鎖方向であり、これが一時に抜け落ちたのでなく、最終段階でも次第に拡大したなら、バイパス弁が徐々に閉まっていったタイミングも在ったのではないか。
一気に抜け落ちたとしても、圧力上昇には内部エンタルピーの蓄積が要るから、上昇スピードが早くなっただけだが、そうすると上ではバイパス閉に気付くロジックだけ提示したが、「抜き出した制御棒本数から考えて、いつもより炉内圧力の上昇が早い」、支援警報で次のようなロジックもあり得るはずである。
 前稿でも出てきたが、見た目ほど怖いロジックではない。炉圧力上昇スピードを見たいだけで、どんなものでも良い。

Reactorpress

 また、これも同根だろうが、モーター電流などもあまり注意してもらってないようだ。
他のPV値でも、初期変動は余り気にならない。トリップや発報したら対応しましょうと言う事だ。
我々の時は電流を手で記録し、続けているうちに負荷や他の条件 (ファンなら気体温度など) によってどのように変るかが判るようになり、やがてそれを逸脱したら「おかしいぞ」となり、よく点検したら「軸受け損傷の寸前たった」「ベルトが緩んでスリップしていた」というようなことを発見したんだが、もしかしたら今は電流も数値でプリントアウト(デジタル)されるだけで、トレンドグラフ(アナログ。最近では過去任意日との対比表示もあるんだが、原発の場合は日替わりじゃないから、前回同一イベント時刻との対比だね)などでも殆ど注目されてないような感じも受ける。
 そして過電流でトリップしてからその対応で大わらわと言う事になる。
まさか「回転機器の電流は振っているから頼りにならない」「振っていて何処の値を見たらいいのか判らない」なんて言うんじゃないだろうね。
 サンプなどの排水ポンプが「何時もより多く回してます」 (染之助・染太郎。時間だからアナログ) かどうかを気にしている余裕はないと言ってもそれが一つ間違ったら、放射能水の漏洩に繋がるんだから、解決策として、支援警報に入れて自動監視し、長時間止まっている様ならオーバーフローする前に原因を排除するのは必然だろう。

 操作の面では、グランド蒸気圧低でも見たように、操作を短時間のうちにやってしまう。すこし開いてみて状況を確認すると言う場面が無い。一挙にルビコン河を渡ってしまう。度胸があり過ぎる。
 電気操作はそうは行かないのは知っている。たまにボイラー水圧なんかでポンプスイッチをインチングするようにチョイ入れチョイ切りする技術員が居るがみっともない。バルブで的確に絞ればそんなのは不要なんだよ。接点荒れやコンタクター荒れを想像してよ。起動の度にモーター回転子に熱が溜まっているの知らないの?
スイッチ操作や断路器やパワーヒューズはやると決めたら、力を入れなくても良いが一気に最後まで持って行けと指導している。しかしその他の殆どの操作は、様子を見ながらやる余地がある。
 使用済燃料プールの水位低下でも「プールゲート間の水を抜いた。そしたら「使用済燃料プール水位低」が発報したから、水を補給して問題が解除されてそれで良いじゃないか」の世界である。「少し抜いて見ていたらゲートシール部からの漏れ込みがあり、使用済燃料プールの水位も幾分下がってきたから、ヤバイと思って中止した」と言うのがない。
勿論「そもそもゲートの仕切り性能を確認するための作業だったからそれは気にしていたさ。だから少し抜いて見ていたら、ゲートシール部がボロボロで一挙に水位低まで行っちゃった۵」と言うのはありうるが。
 水張りでも、通常は少し水が入る音がしたらその開度で止め、他のブロー弁などから出てないか、圧力もゆっくり上昇しているかを見ながら、充水されるのを待つが、操作する入口弁とブロー弁など監視位置が離れていれば無線ヘッドフォンで連絡しあう。監視室でも親機で通話を聞いているから、今現場は何をやっていて監視室の画面ではその影響で何処の水位が下がっているかも見ている。意識して最初の濁水を捨てると言うのでなければ、とても98リッター捨てましたにはならない。
 純水補給の間違いだって、この様にやっていれば、弁を開けたと言うのに積算のカウントアップが無ければ、直ぐ現場捜査員に注意できるだろう。
まあ、原発内部は金属シールだらけで、無線もよく通らないと言うならこの方法は駄目だが。(あまり突っ込まないで引き下がっておく)

 ここで一つsuggestionを思いついたが、当所でもしつこく繰り返しているが、「操作する時、この水は何処から来て、何処を通って何処に行くかをイメージしろ」と言うことである。
作業ミーティングで「この弁を開けて水張りするけど、水は何処から来るの?」
「はいっ、補給水タンクです」
「何処を通るの?」
「補給水積算計を通ります」
「何処に行くの?」
「原子炉補機冷却系タンクに行きます」
「よし、それじゃあ手分けして見ていよう」
となれば19/1/18福島第一1号機のようにトリチウムが外に出ることも無かったろう。
 これはより抽象的には「今思い描いている系統の少なくても向うの閉止弁から、こちらの閉止弁までの間をイメージしろ。出来れば閉止弁の向うも意識して」と言うことだが、原発ではこの辺のテクニック継承はどうしてるんだろう。
 「そんな事、言われなくてもやっているけど効果が無いんだ」と言われると、資質にも関係してくるので言いにくいが、「そんなことをやっている暇が無いんだ」と言うことなら、ずばり支援警報で解消である。この場合「熱交の漏洩を」ずっと前に気付けて (前稿参照)、こんなミーティングの時間は充分あったはずだからである。
これがプレコーションの真髄である。
 どなたか客観的に考えてもらいたい。僅かの投資 (システムは無償だから、データポイント上げだけの話だよ) で異常の初期に補足して、上記のようなミーティングの後作業・操作したら、不具合の何パーセントが無用になるだろう。
当blogは単純・当たり前の事しか言ってない。

 少し読んだだけの報告書から、些か強引・牽強付会でストーリーを作ってきた可能性もあるが、この様にシステムの特徴に引きずられて、操作監視する側も2値的思考傾向が強くなっていて、前兆の微妙な「アナログ」値の変化を捉えきれず、エイヤッのルビコン河渡河行動が往々にして事態にマッチせず、結果として不具合の数として現れている可能性に思い至った訳である。
 強引・牽強付会の例としては、事故報告書の対策内容がある。張り紙やミーティングで注意喚起、事象の把握を徹底すると言う表現がかなり(半数ぐらい)出てくる。「これはアナログだろう。これを無視して2値指向ばかりとは、我田引水も甚だしい」と言う指摘がありうる。
ティモシー・オリファントに言わせると「You're a paperhanger in a digital age.」である。
 その通りである。2値判断の話は事故に至るまでの設備上の特徴、思考傾向、ビヘイビアの話であったが、逆に言うと、対策内容が「アナログ」だと言うのは、示唆に富む指摘ではある。
即ち、作業員の思考傾向、行動様式が2値的だとすると、これら張り紙などのアナログ対策はそれにマッチしてないから、充分受け入れられず、あまり効果的ではないと言うことになる。事実が示している。
 従って対策の有効を期すためには、ペースを合わせる必要があるが時間的にそんな悠長な話ではない。事態は進行中である。
従って、現時点で出来る有効と思われる策はどんどん取り入れる。統合、ジンテーゼを使う。
 「デジタル」的には、間違おうとしても間違えられないような物理的な仕組みである。電源飛び出し防止スペーサーや上記ロックナットのスプリングワッシャー、透明足場板などである。(これらをデジタルと呼べるか自信は無いが)
 また弁操作について、「開閉表示をしっかりやる」と言うような対策も上げられているが、これなどは労多くて効果少ないどころか、同様の多数の表示が災いして返って操作員の集中力を阻害してしまう。「開口部注意」の張り紙の前で、足を突っ込んでしまうんでしょう?
 一見立派な弁の管理に見え何処でもやられているが、筆者の毒舌を許してもらうなら「技術的にはロンパリ (死語?ロンドンとパリをそれぞれ片方ずつの目で同時に睨むような目線のこと) の対策」である。
 大体「この弁が開か閉かどうあるべきか」などは本体がどうなっていればどうすべきか誰にでもわかることであって、一々開閉表示をするのは無意味である。操作者の思考力を馬鹿にしている。然らば我々は何を知りたいかと言えば、今特殊な開閉状態にあるのはどれかと言うことである。
 当所の手法を言えば、定修でアイソレートしてある弁にはハンドルにガムテープが貼ってある。水抜きで開けてあるドレン弁も同様である。操作した人間はハンドルにテープを張る。もう一人はそれをチェックして機器別定修用弁リストに開閉と時間・2人の氏名を記入する。
 そうすると、当該弁が作業に伴い特殊な扱いになっていることが、誰にも一見して判る。何度か前を通って目にするたびに「ああ、今度水張りする時はあの弁を閉めるんだな」と何度も思うから、いざ操作と言う時に間違いようがない。勿論隣の弁を触ることもない。
これと弁リストの復旧欄の記入とで、弁の管理は完璧である。
 当所でも当直シフトにより操作員は毎日入れ替わるが、少人数の事もあり弁管理で問題は起きない。原子力では担当区分により更にはもしかして操作員の所属会社も違うかもしれないが、装置毎弁リスト(開閉日時・操作者・復旧日時・操作者)の運用とガムテープ(ハイグレードの現場だからそぐわないと言うんなら、かっこいい虎マークでもデザインすればよい)の貼付で弁の管理は充分だろう。どうしても開閉表示をやるんなら、弁リストと同じ事をマーカー記入するようにすれば、今度はガムテープで表示してあるから弁個体は特定できるから、開閉表示だけの時と違い確実に効果を現すかもしれない。
 弁操作でもう一つ、トラブル例にも「弁操作中、固くなったので閉になったと勘違いして操作を終わりにし、漏らした」事例があった。当所でも1回あったので大きく出なかったが、これからノンアスベストの固いグランドパッキンに置き換わってしまうと、このような勘違いが多発すると思われるので注意が必要である。
 当所では意識的に遠くから「あのバルブは開か閉か見てみて」と言う聞き方をして外見でもチェック出来るように教育している。どんな弁でもステムリフトで開か閉かは判るし、閉が本当に効いているかどうかは手で締まらなくなっても、ハンドル廻してチョンチョンと軽く当たるように指導している。

 労災防止に完璧に効くのが、行動の自己発声申告である。詳細は「東京電力・原子力運営管理部に緊急提言そのⅡ・始めに言葉ありき」にあり、効用についても詳述してある。

 「アナログ」的には、張り紙やチェックシートも良いが、何と言っても支援警報の導入である。不具合を前段で補足出来るから、対策ミーティング時間も充分取れ、唐突闇雲にやって失敗するというのもなくなるというのも見た。
また、従来の警報表示思想に比べ柔軟で、コンデンスした警報情報の表示も可能で、事故時のオペレーターの立ち上がりの迅速化が図られることも見た。
 更に、お仕着せの警報ではなく、自らが設計あるいは認定したロジックが作動したのでトレースするというのは、精度・スピード的にどの程度優位に働くことになるんだろう。
 なお、再発防止ではなくまたそうなっているだろうが、復水器の海水リークは、リーク箇所、復水ポンプ運転パターン、検出器取り出し位置の関係で検出感度に大きな差が出るから、取り出し箇所を多くして自動切換え、配管も太くするのが、早期発見の観点から重要だね。念のため。

 原発の現状打破に対して、支援警報のようなプレコーションシステムの構築は渡りに船である。少々ポイント追加に金を掛けたとしても、プレコーションマインドを喚起し、もともと○か×か、yes かnoかで割り切れない繊細な認識能力を有する日本人独自の原発運用方法を確立することになり、事故も激減、他国の模範ともなれる原発システム構築に繋がる可能性が充分ある。
 もしかして今我々は、原発というシステムとフィールドを通して、彼の世界の○か×か、yes かnoかの峻別思考が今後も技術面で有効に機能できるのか、グレーゾーンも受容できる繊細な日本固有のものの見方が、プレコーションビヘイビアとも直結し、技術との新しい向き合い方として結実することになるのか、壮大な歴史の転換の瞬間を目の当たりにしているのではなかろうか。(なんちゃって、ちょっと硬過ぎ)
 電力さんで少しでもこの論調に心引かれた方がいれば、今まで3稿の行き掛りに囚われず (最初の2稿なんか相手から見て完璧に喧嘩をふっ掛けられたんだろうね) じっくりと考えてみて欲しい。

 「この警報は、こう言うロジックで動作させたい」「この監視時間はもう少し長くしたい」「圧力変化は10分1MPaだね」、まさにユーザー技術の最たるものである。
前稿の「その構築の主体はユーザーであり、この手段の入手により、技術者としての矜持もいや増すはずである」と言うのもあながち言いすぎでも無いだろう。

 いろいろ痛いところを衝いたかもしれないが、実は筆者は本当は東電大好き人間で、更に原発の稼働率が上がれば自らの省エネに加えCO2の電力原単位も下がって、「今後色々有利になるんだがなー」と期待している部分もある。
 昔、東電本社の1階で「彼が近い将来我が社の社長になる那須さんです」と紹介されたこともある (デジャブではない。直接だったかどうかは忘れたが、相手は確実にそう言った。彼はその後鹿島共同火力の重役に転出されたが)し、前連合会長の○森氏が東電労組本部書記長の時は、よく田町辺りで情報を貰いに会いに行ったし、伊勢佐木町で飲んでいた青婦の若い部長は、福島原発に転勤したし、何しろ狭隘事業所建替え計画の時、図々しくも7,000m2の土地を貸してくださいと門をたたいて行って永久に借り受けたのは東電さんである。このときお世話になった環境担当所長代理は、筆者の「ダイヤモンド」のキーボード演奏をみて、自分も昔取った杵柄ギターバンドを再開したと言うような他にも色々に交流いただいたものである。
 従って、現状をちょっと見ていられなくて、奮起をお願いするつもりで書き始めたが、最後に設備の日本的運用思想にまで拡張する思索の展開となった。

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 前回、前々回と東京電力原子力発電所の不具合の勉強をさせてもらって、益々その意を強くして行ったので、ポイントをくっきりと際立たせて改めて纏めてみる。なお、以下は筆者の読んだ範囲に限定しての記述である。

 主旨は、

1.原子力発電プラントに於いては、以下の理由によるものだろうか、通常プラントより構成機器の作動信頼性が格段に低い。
 ① 放射能による作業時間制限もあるのか、増し締め不足や弁リフト・トルクスイッチなどの調整不十分による不要動作が目立つ
 ② 制御棒駆動装置など膨大な数の設備が稼動しており、部品一個一個の信頼性は同等だとしても、自然不具合発生率は高くなる
   (弁体リークがあるがあれはたまたまか。逆止弁は大丈夫か)
 ③ 輸入技術のため、日本での改良があるにしても根本部分には至らず、上っ面・周辺だけの改良になることが多く、返って冗長なものになり信頼性低下を来たす可能性も有る
 ④ 一部だけ、周辺機器だけと信じたいが、低品位の品物 (前々稿に一例) が稼動している

2.従って運転員には、本来の操作監視の負荷の他に、各機器の作動が正しいか確認する必要もあり、それを見逃すと対外報告マター・プレスリリース件名追加になってしまう。

3.当所ではプレコーションで、トラブル対応に係る監視・リカバー労力を極力削減し、余剰パワーを省エネに活用しようという思想の支援警報システムがあるが、この特徴がこの実態によくにマッチしている。これを縦横に活用すれば、かなりのウエイトで不具合件名削減が可能であると思われるので、過去のトラブル事例のうち適用可能なものを具体的に見てみる。

4.更に読んでいくと、復水器真空度のあるべき値が摑みにくく、色々苦労している場面が出て来たが、これは当blogの3D,4D相関図を利用すれば傾向がわかるので、それに付随したトラブルも発生しなくなる。さらに圧力計読み取りや3D-FFTも重要な部分で活用出来るのがわかった。

5.また一連の報告書の範囲で見る限りにおける、原子力運転監視の特徴も垣間見えてきたので、「プレコーション」およぴ「アナログ対デジタル」と言う切り口で見てみよう。これは次稿で詳しく述べる。

 支援警報システムと言っても、通常のロジックと変るところは無い。本来の監視システムデータを適宜(当所では3秒毎)横目で見ていて、自分のロジックが成立したら発報するだけであるが、ポイントはソフトがロジック記述xlsを読み込み自動的に回路を作成することで、オペレーターはxlsの書換えだけだから、ロジックの追加・変更を1分以内で直ちにやってしまえる点にある。
流れは一方通行だから、xlsの誤記でメインの監視システムが影響されることは無い。
ユーザーが追加・訂正できる既存の同様システムはあるが、それなりの教育が要るようで活用される頻度も少なく、少ないから覚えなくて敬遠されがちではないか。
 また原子力の場合、「原子力のシステムは一個一個が論議しつくされ、関係者の認知の上構築されているものであり、そのようなフレキシブルな改変は認められない」と言う反論もあるだろうが、まあどれだけ有効か見てからでも遅くは無い。首肯したら、原子炉主任技術者をふくめたロジック作成の部内小規模稟議体制を作ればよい。
 当該システムは下の成り立ちで見るようにオペレーターが「おれはこう言う観点でプラントの数値を見ていて、機器の不具合を発見したんだ」と言ういわばノーハウのシステム化であり、ましてやそれにより直接何らかの機器を発停制御するものではなく、途中でそれこそベテラン諸兄の判断の介在する余地は幾らでもあるわけだから、「俺は外野の雑音は何が何でも気に食わない」と言うのでなければ「原子力ではオペレーターが、その培ったノーハウなどと言うものを発揮して、トラブルを未然に捕捉する必要は無い」または「そんな余計な外乱情報がインプットされて、オペレーターの判断に悪影響を及ぼしたら大変だから、オペレーターに入る情報は出来るだけ少ない方が良いんだ」と言うことにはならないだろう。
 繰り返すが、「こういう情報が欲しい」と言うのはオペレーターの要求で、オペレーター自身がビルドアップするものなのである。
 もう一点は従って、ポイントを見てないものはどうしようもない。当blogで「If we have the explossives.」と言っているのは、そのことである。従って多少はポイントの追加を要する部分も有るが、ざっと見て次のような件名は、当支援警報により早期に気付き回避できる。
入興したとは言え、こちらも時間が充分有るわけではない。余りの多さに辟易し、また読者の気力にも配慮して柏崎刈羽と福島第一原発の一部に限ったが、何れ他所、PWRにも目線は行くだろう。This is what I call a target-rich environment【トップ・ガン、トム・クルーズ】.全不具合の何パーセントになるだろうか。

○ 支援警報マター

17/9/1柏崎刈羽5号機使用済燃料プールの水位低下
18/1/10福島第一5号機サービス建屋温水ボイラー供給重油配管リーク
18/1/19福島第一6号機高電導度サンプルタンクオーバーフロー
18/7/3福島第一2号機隔離時冷却系タービン停止中回転数指示
18/7/16福島第一6号機所内ボイラ室火災警報の発生ならびに非放射性の水の漏えい
18/7/31福島第一4号機純水補給水系統におけるトリチウムの検出
18/9/14福島第一5号機タービン主油タンク冷却水漏れ
18/9/25福島第一5号機原子炉冷却材浄化系ポンプ停止
18/9/23福島第一4号機隔離時冷却系タービントリップ
18/10/25福島第一4号機原子炉冷却材浄化系ポンプ停止
18/11/6福島第一2号機原子炉建屋床ドレンサンプ水漏
19/1/16福島第一2号機直流電源地絡停止
19/1/16福島第一4号機の復水器洗浄装置不良
19/1/18福島第一1号機の原子炉補機冷却系への復水補給水系の水の混入
19/2/57柏崎刈羽雑固体廃棄物焼却炉建屋におけるプロパンガス漏れ
19/4/25柏崎刈羽給水ポンプ軸シール水排水管腐蝕貫通漏水
21/2/25福島第一1号機圧力異常、安全弁動作、停止
21/4/11柏崎刈羽予備品倉庫空調火災

○ 3D,4D相関図関連

16/6/21柏崎刈羽1号機真空度低下減負荷
17/3/25福島第一3号機気体廃棄物処理系流量増加
17/12/3福島第一4号機真空度低下減負荷
17/12/10福島第一4号機高圧復水ホンプ入口サンプリング配管疲労割れ(上記の付帯効果)
17/12/○福島第一4号機気体廃棄物処理系流量増加に伴う排気管Uシール水喪失による、排気モニター値上昇(上記の付帯効果)

○ 圧力計画像認識ソフト

16/6/16柏崎刈羽5号機CRDアキュミュレーターN2圧低

○ 3D-FFTマター

18/10/25福島第一4号機原子炉冷却材浄化系ポンプ停止

 個々の件名に行く前に、支援警報の成立ちを一席。

 手前味噌になるが、当所のオペレーターは昔とった杵柄、技術屋としての矜持を維持し続けている。彼ら自身は特に意識して無いがプレコーション行動は素晴らしいものがある。
 配管塗装膜の下地の小さな変色から、ピンホール前兆を発見したりする。これは若年者だがこれには筆者も驚いた。
出入りのメーカー作業員に「外したボルト類は高所の鉄骨の上に並べずに、ちゃんとバケツに保管しろ」「鋼管足場を、薄いどんがらの吸収式の本体から組上げていったらだめだ。組み立て前の350Aの鋼管を何本も乗せるんだろ?場所が無ければ上の鉄骨から支持しろ」など、他人のプレコーションまで気を使っている。(しかし、こう言うのを教える人が居なくなったのか。当人達も考えないのか)
 また「むこうのCGS冷却水ポンプの運転号機により、もって行く冷却水量が違う。多分逆止弁の動作不良だ」と連絡し、正にそのとおりで、たまに停止号機が逆転していた、と言うような事もある。
更に、CGS停止後暫くしても、還水返送ポンプ停止してないことを発見。CGS側に連絡し給水ラインの漏れを発見させたということもある。要するに「こういう状況の時は機器はこういう運転になっているはずだ」という観点で監視しているから、それに合わない事が起こるとおかしいとなる。勿論この程度は考えなくても直感で気付くはずだが。
 また、ターボベーン制御用のリレーの接点が焼き付いて交換したが、リレー動作を解析して「ベーン駆動電流をここでonoffしている。そんな必要は無い。こういうシーケンスに直したら、頻繁にonoffしてもここで電流を切らなくなるから接点消耗もなくなるはずだ」と回路を変更した。1年様子を見ているが再発は無い。
 このような彼らの、ノーハウと言うかプレコーションの観点での意見でユーザー独自の警報ロジックを設定し、軽度のうちに対処し不具合に掛る負荷軽減を図ったものが支援警報と読んでいるものである。(運転支援PCで動作させるからそう呼んでいる。何の芸も無い)
 下図は、下の xls  の24~38行目に相当するロジックで、あの入力だけで自動的に作図してくれる。
ディレイ・プリミティブの動作進行状況も表示している。

Ann_3

 安全弁のプレコーションは次のようになる。
 当所ボイラー消火時にもボイラー主蒸気弁は閉操作しない。蒸気ヘッダーとの逆圧は逆止弁で持ってもらう。
ところが、垂直方向スペースの関係からボイラー蒸気管が立て方向に振れないで、逆止弁が横引きで付いている (ただ付いてりゃいいってもんじゃないよ。「エア抜き配管はずっと天井まで引き上げるのが作法だ」と言った御人、逆止弁の配置方向のしきたりはどうなんだ?)。すると少しでも水平が順方向に下がっていると、ボイラー圧がゆっくり下がった場合逆止弁がうまく機能しなくなる。当所4号ボイラーはその気があって、停止後20~30%の確率で閉まっていない事がある。
 一方コンスタントのCGS蒸気引き受けは、蒸気負荷の変動によりヘッダー圧の上昇を来たすことが多い。余裕を持ってCGS蒸気を引きたいが大口契約で単価を下げているため、使ってくれ引いてくれとせっつかれ、ついつい無理をして多めに受けてしまうが、こちとら省エネ邁進中、ちょっと蒸気消費が減ると圧が上がる。
 ボイラー蒸気逆止弁が閉まらない時に、蒸気ヘッダー圧が上昇すると、場合によってはボイラー安全弁が作動する可能性がある。
CGS蒸気放散弁設定を下げても良いが、途中1kg/cm2程度の圧ロスを見込むためどうしてもその分高めになる。蒸気の消費が少ないと言うことは圧ロスも無くなると言う事で、最悪放蒸弁圧までヘッダー圧が上昇すると考えてもおかしくない。これはボイラー安全弁吹き出し圧に等しいか高いので、ボイラー安全弁の噴出し圧のふらつきから考えてもこれが作動する可能性は大である。
この設定はボイラー則に依るから上げられない。
 と言うことで、支援警報プログラムの出番である。停止後30分以内に缶内圧とヘッダー圧の差が一定値以内にあると、女の子が「4号ボイラー逆止弁動作不良の可能性があります」と警告してくれる。
そうすると如何するかって?Dying to know?♪
現場に行って、給水ポンプをちょっと回す。すると缶内圧がすっと下がって逆止弁が効き後は再点火まで、閉まったまま。

 また、自動待機後の立ち上がりを含め、ボイラー点火指令が出て9分後にガス流量が無ければ「ボイラー点火しません」と言うのもある。この間でシーケンス上よく(1台、年1回)引っかかるものに、プレパージ時の高燃焼位置および続く点火前の低燃焼位置の検出不良がある。
5個の各部ダンパーのリミットスイッチが全て正確に動作してくれないと、タイマーモーターは停止したまま。もう少し長く停止していると後追いで出てくる警報もあるが、これを正常動作(8分)+αのタイミングでチェックし、現場に急行して運がよければ原因をつかめるようにしてある。
 当然普通のフレームデテクターもあるが、点火に至るずっと手前の時間帯に於けるトラブルの話である。
 また、「冷凍機溶液結晶温度が上昇しています」あるいは「結晶温度と実温度差が10℃以内になりました」と言うような警報も予定している。いわずと知れた、溶液結晶のプレコーションである。

 他に、例えば空気ヘッダー圧力低の前に「計装コンプレッサーが2台起動したら通常状態ではない」、「ポンプや装置が通常より長く運転している」あるいは「運転していない。レベル計は正常か?」(=異常との間のグレーゾーン=プレコーション)などと判断して、注意を喚起するようにしている。
 これを、通常状態の延長のグレーゾーンにあるうちに発見し、対処してしまえばその労力も桁違いに軽減できる。当所では省エネに人的エネルギーを傾注出来るよう、可能な限りこれを軽減しようとしている。

 ここまで来て、「オペレーターが設定できると言う点を除けば、既存の警報と何も変わらないね。ソースをあげるなんておこがましい、もっと立派なのが幾らでも作れる」と笑う関連ソフト会社もあるだろう。そこに落とし穴があることに気付けないから。
 「技術スペックの進歩と、運用ソフト面の進歩の強調が取れてない」と言えば何を言いたいか判ってくれるだろう。
 こんなツールは、コンピューターソフト的にはなんと言うことは無い。高校生のプロコン以下である。しかしソフトの高度さだけで評価して、安心、勝ったと思って。実現場でそのツールの稼動したときのポテンシャルに気付けず、また理解もできないと言うことは、ハード仕様の数値だけの改善だけを全てだとして、システム運用の一面だけしか見えていないと言うことで、オペレーター、作業員のメンタリティ面の動きまで踏み込んだ作業精度向上の取組みなどは望み得ない。

 また「主要監視システムに屋上屋を重ねるだけじゃないか。煩雑な警報システムは、かえって運転監視の邪魔になるだけだ。シンプルイズベスト」という反発も想定されるが、そのキーワードは危機管理的に何の根拠も無い。一見理念風単なる思考停止の思い込み。
 プラントに於ける、運転情報のインプット数と人間の認知処理能力の鍛錬についても筆者には一家言あるんだが、別の機会に回しここでは平易な例示に留めると、当所では「心臓に悪い監視装置のビープ音より、女の子に先にそっと教えてもらう方が精神的にも良い」と言う60歳超えの人の希望で、同じ警報をわざわざ低いところに掛けてあるものまである。
 もう一点追加すれば、「シンプルイズベスト」と胸をはれるのは、他の制御回路も完璧の信頼度を維持できる自信のある場合であり、原子力のタービンバイパスのように「開いていたのを確認したものが、知らない間に閉まっていた۵」等と言う程度の物 (メンテ再組み立て時のエラー防止対策 〈「定期的に分解点検を行い、ゆるみ防止用ナットの締めつけ状態も管理する」らしいが、その効果はどの位持つんだろう。硬いスプリングワッシャーを入れて締め付けたら駄目なんだろうか〉 を含めて) しか無い場合に、「シンプルイズベスト」と胸をはるのは正に喜劇である。
 果たして「運転監視」と括った場合に、この様な2面性(「プラントの各部状態はリーゾナブルか」と「各機器は正常に応動しているか」)は明確に意識され区分されているんだろうか。
その内特に後者を当該システムが主として受け持つことにより、その2面監視のマンパワー低減と、万が一プレコーションが奏功した場合の、リカバリー労力の低減の2種類のメリットが期待できるのである。
最終警報に至るということは、大きな相移転が起こるということである。通常操作の延長線上ではリカバー出来ない労力を必要とする。特に原子力の場合は社会的影響もそれ以上である。

 原子力の既存の警報も、重軽3ランク位に分かれていて、表示窓の色も違ったりしそうだが、重故障には2段階ぐらいのプレコーション警報、中故障にも1段階のプレコーション警報を設定して置くのはどうだろう。
 当所のはダウンロード ann.xls (23.5K) にロジックを書き込めば良いようになっている。追加削除1分である。それさえもユーザーの手に余るようなら、ユーザーの希望でメーカーが作成してやればよい。誰が作成するかは重要ではなく、グレーゾーンへの相移転警告・プレコーション対応こそが、当該警報システムの主要機能なのである。そして下位概念として「既存機器・シーケンスの作動監視」というコンセプトもあった。
 その構築の主体はユーザーであり、この手段の入手により、技術者としての矜持もいや増すはずである。

 前置きが長くなったが、それでは個々の件名に入る。女の子がアナウンスしてくれたら張り切っちゃうと言うセリフも()書きした。どうせなら皆で人気投票したアイドルの音声フォルマントで作ったら更に身が入るよね。

* 17/9/1柏崎刈羽5号機使用済燃料プールの水位低下

 ゲートのシール性能を確認しようとして、プールゲート間の水を抜いたら使用済燃料プールの水位が低下した。
重要なプールだからレベル計ぐらいあるだろう。これを取り込む
下は今後も出てくる、漸減監視であるが見た目ほど怖いロジックではない。プールの水位低下スピードをoff delayで見ているだけで、off delayに規定したい低下スピードを入れておく

Poollevel_2

 普通仕切りがあるにしても、プールゲート間の水を抜く時は、少しは隣接のプールの水位も横目で見るもんなんだけどね。これも「マニュアルに無い」か?

* 18/1/10福島第一5号機サービス建屋温水ボイラー供給重油配管リーク

 設置して無ければ、サービスタンク入口、重油タンク出口に計量器を付ける。

 (重油タンク出口計量値-∑サービスタンク入口計量値)>0→「(重油タンク出口以降の重油漏れを確認してください)」

 これでかなり広範囲(∑)をカバーできるから安いもんでしょう。
監視はリアルタイムだから急激な漏洩もその初期に把握できる。監視時間を挿む1パルスぐらいのプラスマイナスは許容範囲とする。

* 18/1/19福島第一6号機高電導度サンプルタンクオーバーフロー

 レベルスイッチ動作不良でポンプが回らなかったもので、支援警報御誂え向き?のトラブルである。
当所でもCGS給水タンクのレベルスイッチ引っ掛かりで還水返送ポンプが回らないのが、今年も2月と4月に起こった。CGS側で流石に問題になったのかレベルスイッチのタイプを変えるらしい。
 現時点のサンプル水流量で正常に機能している時のポンプ停止時間を設定しておき、それより長く停止したら発報させる。
サンプル水流量は色々な条件で変るだろうが、設定は現状のサンプル水流量に対応して、何時でも直ちに変えられる。

 サンプルポンプ運転→not→delay(設定時間)→「サンプルポンプ長時間停止(電源・リミットスイッチを確認してください)」

 サンプル装置等と現場I/Oモジュール間には計装ケーブルに空きがあるはずだから、殆どデジタルのポイント上げだけで実現する。

* 18/7/3福島第一2号機隔離時冷却系タービン停止中回転数指示あり

 電源装置異常発見 (別途後述) でも良い。「監視で気付いたじゃないか」と言われるが、それが支援警報の端的な側面である。
要するに「停止中のタービンの回転数指示値などに注意する程マンパワーの余裕があるんですか」と言う点である。こんなのは支援警報の女の子に任すに限る。
するとオペレーターはここはパスし、本来の重要な監視にフォーカスできる。

* 18/7/16福島第一6号機所内ボイラ室火災警報の発生ならびに非放射性の水の漏えい

 これも「何処まで手を広げる気だ」と言われるだろうが、ダンパーの開が確保できず自然に閉まり、安全扉作動、火報が発報し、電源手動停止により給水のオーバーフローまで起こす騒動がありうるんなら、所内ボイラの主要ダンパー開閉リミット信号も取り込み支援警報の女の子に見てもらうしかないだろう。

* 18/7/31福島第一4号機純水補給水系統におけるトリチウムの検出

 前日の純水補給水系使用量積算と各使用先合計に乖離があった。8/6復水補給水系連絡弁が開いているのを発見。8/6管理区域外へトリチウムが出た。

 (純水補給水系使用量積算値-∑各号機純水補給積算値)>0→「純水補給量アンバランス(弁操作を確認してください)」

 支援警報はリアルタイムだから急激な漏洩もその初期で把握できる。「この5分間に何かやったか?」と言うのと「昨日の補給水系の作業で水量に影響しそうなものは?」と言うのでは、調査の立ち上がり、進展にかなり差があるだろう。
監視時間を挿む1パルスぐらいのプラスマイナスは許容範囲とする。
 また逆止弁がリークした事も問題だが (原子力の逆止弁はこんなに信頼性が無いのか?制御棒駆動系にも幾つか使われているね。もし横引きで設置されているのなら、出口上の縦引きにすれば、構造にもよるが、かなり信頼性が上がるよ。レポートの通り一時的に開閉して、シートの当たり具合が変りリークしたと言う様な見込みが正しいとすれば余り期待出来ないが。) 、同様の状況の場合、使用先の何処がおかしいかの見当も付く、4号機は定格運転中だったらしいから、逆転防止付き積算計だったとしても、有る期間全く補給が無いのはおかしいと言える。

 (今回純水補給水積算量-前回純水補給水積算量)=0 → 「純水補給なし(他の流入系統を確認してください)」

* 18/9/14福島第一5号機タービン主油タンク冷却水漏れ

 冷却水系のポンプサクションタンクが有ると思うから、レベル計を支援警報に取り込む。
2000リッター漏洩だから、そんなに大きくは無いだろうが、5m×5mだとしても8mmとなりこの程度は充分発見できる。但し油面は変動するだろうから、それを見越すか、平均移動とする。
ロジックは、上記17/9/1柏崎刈羽5号機使用済燃料プールの水位漸減(平均移動)のようなものが考えられるし、現在のレベルょりちょっと下を睨んでおく(変動を見越して)のでも良い。

* 18/9/25福島第一5号機原子炉冷却材浄化系ポンプ停止

 ベアリング不良による過電流継電器正常動作であるが、当該モーター電流が監視室にないか、そんなモーター電流は高頻度 (と言ってもかなりの期間、同様の状況で運転されていたと思われるんだがね) で見ていられないんであれば支援警報に任す。
ロジックは、固定の設定値でも良いし、漸増パターンでも良い。但し電流値は変動するから、何個かの平均移動とする。

* 18/9/23福島第一4号機隔離時冷却系タービントリップ

 制御電源ユニット内部巻線抵抗の発熱断線による制御電源装置の異常である。
18/7/3の2号機隔離時冷却系タービン停止中回転数指示の時は、そこまでやる必要があるのだろうかとはばかれたが、構成部品が低品位故かどうか電源の異常も頻発するから、ブロックごとに各電源装置出力電圧ありをアンドで一括して取り込む位の事は、冗長監視だといわれても、正当性は堂々と主張出来そうだ。
制御電源装置異常で機器本体が即トリップした場合はフォロー出来ない面もあるが。

* 18/10/25福島第一4号機原子炉冷却材浄化系ポンプ停止

 2項上と同様である。但し今回は絶縁不良ともあり、写真で見てベアリングも酷いことになっており、振動が絶縁にも影響するほどの大変な事象だったことが想定される。
 当blogの3D-FFTの適用の実際では、一見目で見えない傷でもはっきり検出しているから、こんなのは一発でわかったと思う。後は波形測定の頻度だけである。

もし振動の遠隔監視をしているんなら、そのルートで振動波計を取り込むためのアナログモジュールとソフトの追加だけで3D-FFT表示できる。

* 18/11/6福島第一2号機原子炉建屋床ドレンサンプ水漏れ

 「高」レベルで交互運転するはずの相手方の排水ポンプが電源点検のため停止、またその次の起動キックとなるはずの「高高」レベルスイッチは作業のため隔離中でポンプ起動せず、さらに排水作業実施という些か込み入った原因の結果ポンプが回らずオーバーフローした不具合だが、18/1/19のと同様支援警報でレベルを見ていれば任せられる。
 しかし「高」レベルで交互運転する相手方が点検のため停止していたら、「私はさっき起動したから今回は私の番じゃない。停止中の人に言ってよ」と拗ねて誰も回ってくれないのも、変なシーケンスだね。
 対策は相変わらず「操作盤に排水作業中の掲示」で注意喚起と「計器点検と電源点検を重複しないようにマニュアル反映」だけだけど大丈夫かよ。ベタベタ張り過ぎて注意喚起じゃなく注意散漫になってない?
支援警報は注意散漫にはならない。

* 19/1/16福島第一2号機直流電源地絡停止

 原子炉格納容器内で、ケーブルが潰されたそうだから、一気に潰されて接地した場合は事前にキャッチできたかどうかは不明だが、直流制御電源のプラス側マイナス側それぞれの対地間電圧を見ていれば、浸水など徐々に進行する接地抵抗低下なら直ぐ判る。

 abs(プラス側対地間電圧-マイナス側対地間電圧)>>0→「直流電源不平衡(○側の接地抵抗が下がっています)」

 
* 19/1/16福島第一4号機の復水器洗浄装置不良

 復水器海水入口圧が上昇したので、逆洗したら洗浄装置ボール捕集器が途中で止まったと言う事例であるが、「復水器内に付着していた海生物」が多すぎたということである。
「これは海水入口圧が上昇した」と言うことで判るが、その量も循環水ポンプ電流で有る程度想定が付く。循環水量は殆ど一定だろうし、サイホンで運転しているから、電流変化は詰り要素だけである。
もともとこのポンプは低揚程軸流ポンプでサイホン効果もあり、清浄(正常)なら復水器入口で±0kgf 位で運転しているはずであり、これが上昇したとあるから、復水器入口圧と潮位との差を見ていても詰りは想定できる。
 何れの方法でも、復水器詰りの初期に傾向が掴めて、洗浄装置ボール捕集器に影響するほど異物が溜まってしまってから、あわてて逆洗しなければならないような事態は避けられる。

 モーター電流の場合、電源電圧で補正しかつ何個かの平均移動 (電流は振るだろうから) に対して、固定の設定値でも良いし、漸増パターンでも良い。
復水器海水入口圧の場合は、潮位で補正しかつ何個かの平均移動 (水圧も振るだろうから) に対して、固定の設定値でも良いし、漸増パターンでも良い。

 更に、下の真空度管理とも関連するが、発電量と海水出入口温度差が把握できていれば、発電量が増えてないのにこれが上がってきたら、海水流量が下がり傾向であるとわかる。
従ってこれだけに起因する海水温度差のデータ改ざんもしなくて済む♪
 上記3件個々の初期詰り捕捉の確実性が低くても、これら3つを組み合わせれば把握できるだろう。筆者に似合わず弱気な言い方は、復水器以外の海水冷却のウエイト(流量・熱量)を知らないからである。

* 19/1/18福島第一1号機の原子炉補機冷却系への復水補給水系の水の混入

 2つの断面があり、それぞれ支援警報で予兆の捕捉が可能である。
 1つは原子炉補機冷却系熱交換器の漏洩により、原子炉補機冷却系内水が海水に漏れていた。もう一つはこれにより原子炉補機冷却系タンク水位が下がったため、純水を補給しようとしたが、復水補給水系弁を誤って開けた為、原子炉補機冷却系熱交換器からトリチウムが外に漏れたというものである。
 原子炉補機冷却系タンク水位漸減で原子炉補機冷却系熱交換器の漏洩の可能性がわかる。
復水補給水積算計があるのかどうか図では判らないが、例えば次のようにすれば、今回の誤操作も補足できたる

 原子炉補機冷却系タンク水位漸増 ➘
                                           and→「原子炉補機冷却系タンク水位上昇(原因不明です)」
 純水補給水積算計増加 → not  ➚

* 19/2/57柏崎刈羽雑固体廃棄物焼却炉建屋におけるプロパンガス漏れ

 濃度警報器があるから、その入口アナログ値は採れないだろうか。無ければ別途ガス濃度計を設置して低いレベルでも漸増すれば捕捉出来る。まあこれは現状の警報設定を下げるだけでも良いけどね。(この辺も我々には理解しにくいんだが、何故高めにセットして発報してから慌てるんだろう。プロパンガス漏れというのは許されないんだから濃度計測定限界直ぐ上の所にセットして極初期に補足して然るべき対応をすれば良いだけの話じゃないんだろうか)
またはボンベ圧力計が見えれば、後述のソフトでも読めて低下スピードが速ければ捕捉出来る。
「何処まで手を広げる気だ」と言う反発も予想されるが、そこが支援警報の特徴の一つである。
常時オペレーターが気にする必要は全く無い。女の子が見ているだけで、漸減のロジックなどにより教えてくれるだけだから。それにこれは発電オペレーターの管轄外で周辺設備支援警報として纏まるだろう。

 
* 19/4/25柏崎刈羽給水ポンプ軸シール水排水管腐蝕貫通漏水

 前稿でみた腐蝕穴あきである。排水温度を低くすれば余程変な(局部的圧力低下を来たすような)配管引き廻しでない限りキャビテーションは起こらない。
当該軸シール部の外側に、別途更にシール機構が無ければここの温度は100℃以下のはずだから、

 軸シール水排水温度95℃以上→「(給水ポンプ軸シール水流量を増やしてください)」

Stuffing

* 21/2/25福島第一1号機圧力異常、安全弁動作、停止

 当たり前だが以下でタービンバイパス閉が判る。その後炉圧高、安全弁まで時間余裕がどれだけか知らないが。

 制御棒全挿入 → not  ➘
  発電機最低負荷以下 →  and→「タービンバイパスが閉まっています」
 タービンバイパス開→not ➚

 ホントにこの警報無かったの?

* 21/4/11柏崎刈羽予備品倉庫空調火災

 空調ファン運転          ➘
                                              and→「モーター低電流です。(ベルトを確認してください)」
 定格電流の80%以上 → not ➚

 こんなのは周辺設備支援警報か、単に現場各空調機に空転防止リレーの設置だね。

* 16/6/21柏崎刈羽1号機真空度低下減負荷
* 17/3/25福島第一3号機気体廃棄物処理系流量増加
* 17/12/3福島第一4号機真空度低下減負荷

 最近起こってないようだから同様の手法を見つけたんだろうか。
 復水器真空は、海水温度と負荷およびチューブ清浄度により変るから一律にはあるべき値は判らない、従って色々苦労しているようだが、当blogでやっている3D相関図で現在の清浄度に合せて真空度特性を掴んでいれば、ちょっと下がってきたので真空調整をやるかと言うようなことがわかる。

 海水入口温度➘
            (計算復水器真空=f(海水入口温度・発電出力)-大気圧補正実真空度)>0
 発電出力   ➚                             →「(復水器真空度調整または逆洗して下さい)」

 相関計算には arcopcmp.exe(with glut32.dll)等が使えるから、AR5_WTR.xlsのようなデーターを準備してやってみてください。

 (arcopcmp.exe を実行すると、「相関Ⅰ」というシートが開いてある。
AR5_WTR.xls を開き、2007年度分の青の枠内を正確に選択してコピーする。
arcopcmp.exe に戻って、「相関Ⅰ」シートの中央の表を右クリックすると「clipbrdCopy」のメニューが表示されるので選択すると、コピーした内容が表に収まる。
②③を順次押すと直ちに3D相関図が出来る。そのまま相関図を眺めても良いが、冷却水温度と負荷率低下で上がり傾向のCOP図だから一瞥したら、次に行く。
 AR5_WTR.xls の2008年度分のピンクの枠内を正確に選択してコピーし、今度は「相関Ⅱ」シートの中央の表を右クリックする。
同様に「clipbrdCopy」のメニューを選択すると、表にペーストされるから、②③を順次押して3D相関図が出来る。
 3D相関図が出来たら「相関Ⅱ」シートに戻り、「相関Ⅰ/ⅡCMP」ボタンが enable になっているから押すと、二つの図が表示される。)


 また清浄度が定量的に把握できるのなら4D重相関図にも出来ます。即ち復水器真空=f(海水入口温度・発電出力・チューブ清浄度)です。すると1年中同一テーブルで運用できます。
 下のビデオは、吸収式冷凍機効率=f(冷却水入口温度・冷熱製造量・冷却水流量)であるが、真空度の定性的傾向も冷却水入口温度が海水入口温度に、冷熱製造量が発電出力に、冷却水流量がチューブ清浄度に相当するだろう。
ビデオで寄与率が良くないのは、当所の蒸気分解能が悪く計算した効率がバラついたせいも有るので、大気圧補正した1値の真空度などではもっと綺麗なグラフになるだろう。

 さらに真空度に係る騒動がなくなることにより、これに付帯して起こった
* 17/12/10福島第一4号機高圧復水ホンプ入口サンプリング配管疲労割れ
* 17/12/10福島第一4号機気体廃棄物処理系流量増加に伴う排気管Uシール水喪失による、排気モニター値上昇
等のようなトラブルも無用となる。

* 16/6/16柏崎刈羽5号機CRDアキュミュレーターN2圧低

 当所ならN2ボンベCO2ボンベは、接続後納入者立会いの下泡チェックで異常無いことを確認してから受け取っているが、原発ではマニュアルに無くてやらないんだろう。
 計装ユニットに圧力計らしきものが付いているから、これを「圧力計画像認識ソフト」のプログラムで読んでいれば、最初のボンベ装着時からリークのあることに気付く。

 駆動装置の配置がわからないが1列ズラッと並んでいるのならカメラを直線上で移動させればよい。入り組んでいるのなら、今取り組んでいる「OpenGLのunproject関数」による位置決め装置が欲しくなるからちょっと待ってください。
 そこまでやるかと言われそうだが、原発のCRDでOリングもまともに座らないこんな事が起こるなら、少々大掛かりでもしょうがないんじゃないか?

N2

 以上、原発トラブル回避に対して、blogのツールがどれだけ有効か見てきたが、この後もどんどん視線が拡張する予感がする。
ツールそのものは技術的には大したものではない。電力各社の関連ソフト会社でも軽く出来る。
技術的に平易だろうが、原発という今物議をかもしているフィールドで、これらの機能を活用した場合に内在することになるポテンシャルをどれだけ評価できるかと言う審査眼だけの問題である。
 大半はblogの該当ページを読めば判るが、詳細ご希望の方は一報いただければ無償で対応する。
ソースは出し惜しみしている訳ではない。オープンに出来るだけのお化粧をする時間が勿体無いだけの話である。Pascalが判ってそのままで良ければ今すぐでもメールで送る。

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東京電力・原子力運営管理部に緊急提言そのⅡ・始めに言葉ありき

 前稿では、取り急ぎ漏洩・火災の関連項目について、報告書の内容が皮相的なあまり、それでも幾つか疑問・矛盾点に引っかかったのを、こちらも同一レベルに降りて皮相的なスタンスでお相手したが、それだけで終わっては誠意が無い。
 労災を含めてもう少し突っ込み、可能であればより深いレベルの問題点と、対応策にも迫ってみたい。

 今回の騒動の一面は、震災後の膨大かつ短時間での復旧工事の施工の必要性の中で、多数の一定水準の作業員の確保、広範な区域・作業業種に亘る作業管理体制、なかんずく安全・防災体制の確立の面で、所在が地方都市である1事業所として展開可能な作業規模の上限に挑む試みである点である。
更にそれに加えて、またはそれにひきずられるように、従来の作業管理の弱点があぶり出されて来た面もある。
 この点を意識しながら再度目に付いた不具合事例と、労災件名を見てみるが、その前に今次震災の初期対応で感じた、もしかして不具合多発の遠因に繋がるかもしれないと思われることがあるので触れる。

 震災後の復旧の冒頭、「天井クレーンが壊れてその復旧に1ヶ月かかる。これが直ってから、詳細な主要機器ダメージの点検開始になる」という報道があった(範囲やディテールは間違っているかもしれないが)が、これを聞いて耳を疑った。
20年前、東電さんが156kvのOFケーブルのパンクを2,3日で直してしまったのを見たことがあるからである。
OFケーブルの補修は、油を抜く→必要な範囲のケーブルを新たに繋ぎかえる→油を入れ窒素で加圧する→耐圧試験という工程を踏み、外野の感じでは少なくても1週間から10日、資材の納期などと言う与件が入ると1ヶ月に手が届くだろうと思っていたが、瞬くうちに直してしまい、「大東電の威光を持ってすれば、メーカーだって何だって、出来ないことは無いんだな」と感心したものである。
 「それが今回、たかが天井クレーンの立ち直りに1ヶ月も掛かると言うのはどういうことか、レールを全長引き直すのか」と驚いた。勿論部外者の知らない、法手続き(これだって緊急時に、電気設備の検査前使用、試験使用みたいなのが認められるのではないか)、原子力内作業のクリチカルパス、更には「慌てて直しても放射線減衰待ちで、どうせ中には直ぐには入れないからゆっくりでいいよ」というような条件が有ったのかもしれないが、単なるメーカーや役所の駄々なら、従来なら技術力に裏打ちされた迫力で一発で粉砕していただろうと思われた。

○ 平均出力領域モニターおよび制御棒引抜監視装置の電源カセットの飛出し。20/4/25

 「ランプ表示等に使用するもので、装置の本来機能に問題は無い」
 「中越沖地震以降本来機能に対する、要求は無い」
 「中越沖地震による影響も含めて位置ずれの原因を調査」とある。

 上2項は、事象の影響の欄だから左程拘る必要は無く、そのまま聞いておけば良いんだろうが、ランプ表示電源であることまた本来機能の要求がなかったのはたまたまの僥倖に助けられただけであり、重要機能に関する電源だったらどうだったのか。
「ランプ表示電源であり、また本来機能の要求はなかったから重大には至らなかったんだ」で思考停止してしまうと。「軽度の不具合でしかなかったんだ」となって、それ以上の追求のモチベーションが希薄になってしまい、根本の事故要因まで至らなくなる可能性がある。今までのストーリーでもその様な思考傾向を覗わせるような展開があったので、あえて。
 原因の調査結果は何処かに出ているんだろうか。

 写真で見ると、本来は下に爪があって、これが掛かっているものは飛び出してない。
当該地震を体感してないので何ともいえないが、カセットの想像重さと、背面コネクターがあるはずで、そのグリップ力から考えると、爪の掛け忘れのものだけが、地震で飛び出したと言うのはちょっと考えにくいとすれば、定期検査中に発見とあるから、点検関連で誰かが引き出した可能性がある。筆者などは後者のような気がするし、そうだとすればちょっと過剰な反応のような気もする。
勿論後者であれば、不適合件名だからそれなりの話題になっているはずで、名乗り出が無いとなると基盤抜き差しの管理が出来てないということにもなるが。
 前者であれば、爪の掛け忘れのチェックと、中央監視室だから盤内も地震後の点検対象範囲にあったのではないか、ランプが「G」「R」などどれかが付いている設計だとすれば、9ヶ月間両方共不点灯に気付かなかったことになり、それぞれの点が指摘されることになる。
 しかしここで重要なのは、それよりも、これがもし発見されなくてそのままだった場合、何処かでリカバーする体制が確立されるかどうかである。従って、

 再発防止には、① 飛出しや爪の欠け忘れがあった場合、中扉が閉まらなくする。スペーサー取り付けだけで済むから簡単だろう。メーカーもこれからはこの様な、間違えようとしても物理的に間違えられないような点をどんどん取り入れた設計が必要になる。② プラント立上げ時や引渡し時など然るべきタイミングで、補修担当と運転担当が両者立会いで、飛行機の離陸チェックリストのように呼称しながらチェックしていく。等の対策が考えられる。
勿論、「そのまま気付かなくても、本番で機能要求が起こった時応動が無く、点検したら電源が抜けていて発見できるじゃないか」というのもありうるが、それが不具合多発の元である。
当所出入のメーカー作業員にも、この様なメンタリティの人が多い。若い人は殆どかもしれない。
 「応動が無い」と言うことに気付く担保も危ういし、気付かなければその上のトラブル惹起となる。また本番で発生した場合の時間・労力ロスも馬鹿にならないはずだ。
これは、誰かを標的にして嫌味を言っているのではない。筆者の基本的スタンスである。「これからは人間の監視や注意力 (今これが急激に低下しているから) だけに担保される安全は出来るだけ排斥し、「支援警報プログラム」「省エネの条件整備」ページにあるような、即変更可能ユーザーオリエンテッドのプレコーション対応監視システムが不可欠である」
プレコーション意識で先行して対処する癖が付いていると、ロスもリスクも激減する。

○ 低圧タービン火災20/11/22

 今までもそうだったが、報告書を読んでいて奇異な感じを受けるのは、執筆者は現場の当該作業の背景・実情を知悉し、認識をも共有しているのだろうかという点である。It's a little detached from reality.【ブーメラン、Robin Givens】
 「タービンの洗浄液が危険物であったにもかかわらず、危険物として扱う意識が不足していたこと。そのため防爆構造を採用していない洗浄機を使用していたこと」とあるが、このニュアンスからすると、当該発電所では震災復旧対応の面もあって、この作業は殆ど初めての体験であり、手探りでこれに取っ掛かったが、何度か失敗も重ねながら、作業方法を確立させようと言う試行錯誤の途中だったと言ようなイメージになる。
 全体工事の同時施工規模の大きさは兎も角、個別作業は手探りのはずは無く、会社としては何度も経験済み、作業方法から使用備品、薬剤の類まで一式全部そろって技術陣の知見・マニュアルの蓄積があるんだろう。
勿論その中に「危険物としての観点からの洗浄液に対する規定が何処にもなかった」とすると「元請となる協力企業に対し、当社が工事施行時の安全管理ができる体制となっているかどうかを確実に評価する」のなどは、やってもらってかまわないけど、精々が総花的事故防止対策の一環でしかない。
 色々拡散して筆者の記述力を越えそうだから1点だけに絞ると、今まで何度かこの点が疑問だっが「原子力は、メーカー指導員の招致は無いのか」と言う点である。それが有れば起こりえないと思う不具合が散見され、究極はこの事故である。
 参考になる実績が会社に無かったとしても、作業実績の蓄積はメーカーにある。メーカー指導員は1年365日その同様設備をメンテしているわけで、表面に頭の出たボルトの内側の状態まで知悉しているはずで、その指導によれば今まで出てきたような「蓋の閉め忘れ」や「配管の緩み」など起こすはずも無く、「洗浄液を危険物として扱う意識」が不足する事も無い。
 メーカー指導員の招致が少ないという実態であったのであれば、不具合の少なくない割合の防止対策は簡単である。どういう経緯(で少ないように見える)か知らないが、技術員招致のメリットの方が、不具合報告を何枚も提出するより、余程理にかなっているだろう。
 もしかして「指導員招致はあった。しかし作業員がそれを全く無視して、独断で仕事をしてこう言うことになってしまったから、反省して「元請となる協力企業に対し、当社が工事施行時の安全管理ができる体制となっているかどうかを確実に評価する」事にしたんじゃないか」と言うことかも知れないが、そうすると原因は「タービンの洗浄液が危険物であったにもかかわらず、危険物として扱う意識が不足していたこと。そのため防爆構造を採用していない洗浄機を使用していたこと」とは全然別の表現になるね。

 最後に確認だが、ローターは本当に火災の影響を受けてないんだね?
 「火災ではローターの表面は○℃、最終翼やシュラウドは○℃までしかなっておらず、消火作業に於ける冷却スピードも○℃/min程度だから、焼入の面でも焼戻しの観点でも材料性質に影響は与えてない。
また、上記は炎の側と反対側でアンバランスも無かったから、回転してからも応力の偏りなども起こらない。
 更に今回の温度変化でのローター寿命消費は1/○○○だから問題ない」と言う定量的解析が出来ていると信じて良いんだね。
 只「4極だから、3千回転の1/4の応力だ、大丈夫」だけで思考停止じゃないんだよね。これだけは頼むよ。

○ 非常用発電機燃料デイタンクのマンホールから軽油37ミリリットルの滲み出しをパトロールで発見 21/4/15

  新しい事象で、「滲み出し」と言う表現と、「こんな不具合だって、普通の現場ではそう見られたものではないよ」と言う点以外に特別言うことは無いが、20/4/4の漏油の供給元タンクであり、これがジーゼルと同じフロアーレベルなら、殆どヘッドは1m強となり、300ccの漏洩量に対するあそこでのもの言いはもっと強いものとなる。

 続いて労災を見てみるが、余りにも多いのに根負けして、8年度下期だけに限定した。
項目と対策および、それに対するちょっと引っかかる疑問点を併記してある。
「大半は筆者の斜視・無知・理解力に起因する疑問だろう。普通に読めば誰でも判る」と言われれば、それはそれでよいが、筆者の気持ちは、ためにするだけのイチャモンのつもりではない。
これだけの疑問の出る(チャチャが入れられる)程の対策と言うのは、本当に真摯に考えたものなのか、と言う指摘のつもりである。

○ 復水器の弁の点検準備中、架台上の開口部に足を踏み外し負傷 20/9/22
  対策:可能な限り開口部が生じない様に作業手順の見直しを図り、再発防止に努める。

 少なくても今回は、設備上の既設開口部への踏み外しであり、「開口部注意」の表示板もある中での事故である。
 表示板も注意を引かないのであれば、虎コーンの配置など物理的侵入防止が要るだろう 

○ ショベルカーで土留め板を押し込む作業中、添え板と仮設手すりの間に左手親指を挟まれ切断 20/10/14
  対策:定められた作業手順を遵守し、再発防止に努める。

 重機稼動部近傍の介添え的補助作業は、基本的にさせられないね。
 どうしても必要なら、年齢や運動神経などで峻別した作業員によることになるだろう。

○ 耐震強化工事に伴う防振器(140kg)の仮止め溶接が外れ落下、下の作業員に当たり骨折 20/10/16
  対策:同様の事象が生じないように作業手順の見直しを図り、再発防止に努める。

 図では仮止めの筈の防振器で既に配管が支持されている。
 仮止め状態であることの管理方法、周知方法、下部の立入り規制方法などに関する監督は居ないのか。殆ど無秩序に作業員が作業しているように見える。
 配管を付けたら落ちたと言う以外に、本付けの確認方法はあるんだろうね。また、本付けの仕様(溶け込み深さ等の)チェックは要らないんだろうね。

○ タービン翼の取付作業で、翼を押さえていた作業員の左手小指を、誤って振り下ろしたハンマーで叩き骨折 20/10/16
  対策:同様の事象が生じないように作業手順の見直しを図り、再発防止に努める。

 作業手順の見なおしとは、ハンマーでは叩かないと言う事か、手で介添えはしないということか?
 自分の思うところにハンマーを振り下ろせない(支持者の手を見てあそこに当ててやろうとは思わないはずだから)人に当該作業をやらせると言うことは翼そのものにも変形を与える可能性は大きい。
 ダイナミックバランスまで影響するとは考え難いかもしれないが、固定翼とミリ、コンマ単位で管理するはずのギャップの管理はどうするつもりなのか。「そんな部分は叩いてない。根元の肉厚部分だけだ」と言っても、その担保が無いんだよ。
 柏崎刈羽では、今後そんなのが1,500rpmで回る事になるのか?

○ ケミカルアンカーを挿入したが、誤ってカプセルを割り、破損したガラスで左手負傷 20/10/21
  対策:同様の事象が生じないように注意喚起するとともに、作業手順の明確化を図り、再発防止に努める。

 保護用手袋をすると手順にあった場合、それをより明確化するとは?

○ 基礎工事型枠解体中電線管の上に乗っていてバランスを崩し、手摺の単管接続金具に手を衝き負傷 20/10/23
  対策:同様の事象が生じないように注意喚起するとともに、作業環境の整備を図り、再発防止に努める。

○ 地盤改良のための装置を移動させる際に装置の下の鋼管コロと床の間に左手人差し指を挟み負傷 20/11/13
  対策:同様の事象が生じないように注意喚起するとともに、作業手順の明確化を図り、再発防止に努める。

○ ボーリング作業中の協力企業作業員がボーリングマシンの駆動部に左手小指を挿み負傷 20/11/18
  対策:当該ボーリングマシンの駆動部に、指侵入防止用の金網を設置するとともに、同様の事象が生じないように注意喚起を行い、再発防止に努める。

 当該ボーリングマシンだけ特別指が入りやすい構造上の特徴があったのか。
構内で稼働中のマシンはこれだけで、増える見込みも無いから、それで良いのか。

○ H鋼(6m、300kg)設置作業、位置調整中誤って落下させ(1.6m)1人が右手中指左膝を切り、もう1人が左足負傷 20/11/27
  対策:重量物落下災害等の同様の事象が生じないように注意喚起を行うとともに、作業手順書を見直し再発防止に努める。

 図と落下したことから、4名が頭上1.6mに300kgを支え持っていたように見えるが、監督は居なかったのか。もともと見直すべき「作業手順書」は有効に徹底されていたのか?

○ 杭打ち作業中油圧ホースの外れを整備中作業用ゴンドラを動かし、他の作業員がワイヤーと滑車に右手小指を挿み負傷 20/12/3
  対策:巻き込まれ災害等、同様の事象が生じないように作業者間の連絡・合図方法の徹底。
      また、突発的な事象が発生した場合もKYを実施するなど、安全確認を徹底していく。

 「安全確認を徹底していく」主体者を明確に指定する必要がある。
 作業者間で勝手にKYする。作業者間で連絡・合図するでは不十分だろう。

○ ケーブルトレンチ内に汚泥の流入の無いことを確認しようとして、高さ20cmの堤に躓き転倒、その1m下の主排気ダクトトレンチに落下、右腕負傷 20/12/8
  対策:作業箇所周辺に危険箇所がある場合は、転倒や落下防止などの安全処置を施すよう、関係者に通知する。

 果たして前もって、「ケーブルトレンチ内の汚泥の流入の有無を確認するとき、躓く」可能性に気付くか。
 転倒防止の安全措置とは「足元注意」の表示だろうが、安全表示がポピュラーになりすぎて、返って注意を引かなくならないか。20/9/22の開口部への足踏み外しのように。
 1mの落差は落下防止策対象範囲になるか。

○ 放射線管理区域境界のアルミ製敷居に左足を乗せたときにバランスを崩して転倒、左足負傷 21/1/24
  対策:靴履き替えエリアーに滑り止めテープを張り、敷居の上に「乗るな」の表示。

 滑り止めテープが逆に正常な歩行を阻害しないか、それともその抵抗が注意喚起に繋がるか、確認を要する要素がありますね。

○ 地盤改良工事中、固化剤送気ホースの清掃後通気を確認しようとして空気の反動で転倒、20m先の作業員に固化剤が当たった 21/2/4
  対策:飛散防止養生

 飛散防止も良いが、20m跳んだと言うことは、上方も囲うことになるんだろうか。
 本人の転倒は問題ないのか。安全な通気確認方法が必要。

○ 仮設足場の開閉式足場板の上に塗料バケツを置いていたら、下から上がってきた作業員が足場板を押し上げ、バケツが落下、足場近傍4.5m下に居た別の作業員に当たった 21/2/17
  対策:四面に落下防止ネットおよび落下防止紐と蓋付き用具の使用等安全措置を施す。

 安全を見る監督は居ないんだろうか。
 メーカーマターだが、強化プラスチックなどの透明足場板も良いね。

○ 原子炉ウエルの除染作業中に体調不良を訴えた。脱水症状 21/2/21
  対策:体調管理のため、休憩や適度な水分補給を心がけるよう注意喚起する。

○ 仮設架台撤去時、鋼材(85cm×85cm×4.3m180kg)のボルトを緩めたら片側が落下し、下にいた作業員の当たった。 21/3/23
  対策:取り外し部を予め仮受け処置を施してから作業を行うこととする。

 正解だと思うが20/11/27の事故後なぜそれが実施されないでいたのか。

 折角の対策内容を有効にするための注意事項を伝授するとすれば、
① 対策実施者を主語として明確に表記する。出来れば朱筆。
 協力企業を含めどのように、通達し掲示し徹底しようとしても、聞く方が自分のことを言われていると思わなければ是正しない。
② 逆説的だが、水平展開などしようと思わないこと。
 現状の器量ではそれを狙うと却って抽象化した表現と内容になってしまうが、「広範な範囲を網羅したから止むを得ない」と言う内心の自己弁護も可能になり、具体的に何をすべきか言った方も聞く方も判らなくなってしまう。
 取りあえず、今回の事故に限って、再発防止はどうすべきか考える。
 ここで「ボーリングマシーンはあれだけじゃないだろうと言ったじゃないか」と返せば、本質論の判らない資質が露呈する。


 それでは以上見てきたことを纏めて、筆者の考える不具合防止対策について説明する。
重要かつ効果的なものから数えて3つある。(本当は技術作業員の社会的地位と処遇の改善という、根本的問題提起〈「俺はセレブだ、奴等は技能見合いの低給で可愛そうに」と束の間優越感に浸っても、常に彼らのメンテする機械に命を預けざるを得ない。彼らの技量が落ちれば ۵ と言うこと〉があるが今回は間に合わない)

① 「常に、声を出して自分の次の行動を自分と周囲に申告する」アクションを全員に導入する。
  これは2つの面でのメリットを期待するものである。
 当所でローリングタワー(高さ3.6m、床面1.8m×1.8m×足場板敷設率50%)に乗っていた時、JVの若い人が誰にともなく「○○(彼自身の名前)さん、鉄骨に上がります」と申告してから、さらに上のH鋼梁によじ登っていったのを見て驚いた。
狭隘の高所足場の上でも一緒に居る相手の次の挙動がよく判り、互いの行動にとって極めて安全だからである。教育の行き届いた会社だなと感心して「お宅ではそんな教育をやっているのか」と訊くと、彼氏が編み出した手法だと言う。
その後、チャンスがある度に若い人の安全教育で披露している。
 柏崎刈羽の例でも、これをやれば防げた労災が幾つかある。

 それよりも、これの効用はもっとメンタル的な面にある。
 人間は何気なく歩いていると、平地でも足を取られることがある。要するに無自覚だと、どんなに安全標識をぶら下げても効果はない。周辺環境に自らの安全を脅かす要素が潜んでいても想像できない。
 「ご安全に」と言われても耳にタコで聞いてない。前頭葉が働いてない。聞いていても自分の行動として何をすべきか判らない。そして躓く。
 ところが声に出して発言すると、前頭葉が光り、「ああ自分は今これをやろうとしているんだ」と自覚できる。意識が明瞭になってくる。不思議なことに不安全な行動は是正される。

 一人指差呼称でも、声に出すと出さないでは大きな差が出る。例えば定修等で「2号ボイラー」「2号ボイラー」と言う言葉が耳についていて、無声一人指差呼称で無自覚に「2号給水ポンプ起動」とやっても、3号給水ポンプを起動してしまう場合がある。
声に出すと、それだけの精神的負荷だから、まず目で「2号」か「3号」かを読み取ろうとする。
次いで、間違って「3号給水ポンプ起動」と言っても、最近耳についている「2号ボイラー」と言うキーワードとの乖離を耳または口で判断できて、間違いに気付く。更にそれで気付かなくても、回りの人間の耳に引っ掛り「2号だろう」と教えてもらえる僥倖もある。
 ことほど、発声することは重要であるが、更に意識の覚醒の面では大きな効果がある。
ポイントは微少の精神的負荷である。これに対処するため、意識の覚醒がおこる。
ただ漠然と行動するのではなく、常にこの様な発声で自らの行動を規制し、明確な意識で行動する時、事故の大きな誘因は無くなる。
 上記労災事故例を順に例えれば、
「ただ今前進中。足元に開口部なし」と声に出して唱えていれば、足を踏み外さない。
「ケミカルアンカー挿入作業中。保護手袋良し」
「今電線管に乗っている。バランスを崩して手すりにつかまるのはあそこだ」
「これから機械を動かす。指を取られない様に注意」
「これからマシンを見る。指を取られない様に注意」
「鉄骨を上げるが、この人数で良いか」
「ゴンドラを動かす。周辺錯綜作業員なし」
「ただ今前進中。足元に障害物なし」
「エアー出具合確認する。ホースが振られないよう支持した」
「バケツを置く、ここは固定床で落下なし」
「足場板、上げるよー」
「鉄骨を緩める。下は無人」
 この様な発声で自らの行動規制と、危険予知を具現化してみせるとき、あのような事故は防げるだろう。作業員の安全意識は一挙に向上する。
またある意味、自己を守る、周囲の人を危険にさらさないと言う宣言でもある。初めに言葉ありきである。
安全災害撲滅にはこれを強く推奨する。即効性はこれしかないだろう。
 常時と言うと、最初は抵抗があるだろう。しかし本気で事故撲滅を願うなら、「声に出さない行動はしてはならない」位の強い意志で徹底すれば、たちまち作業員意識は目覚め、相互コミニュケーションは強固なものとなり、無事故無災害が出現するだろう。
 これに比べれば、以下の対策は2次的なものである。
東電の人見てるだろうか。関係者は東電社員に教えてあげてください。貴方独自のアイデアだと言うことにしても一向に構わない。
 「防塵マスクで発声しにくい」と言うのは、やらない理屈である。声が外に出ないものは、コミュニケーション効果は無いにしても、前頭葉覚醒は間違いない。

② 強い権限の安全監視要員および火災予防要員の常時パトロールを行う。

 労災内容を見ると、作業監督の影が薄く、個々の作業員がそれぞれ勝手に、①項とも通ずるが互いに声の掛け合いも無く、無秩序に作業をしているような感じをうける。地盤改良のための装置の移動、ショベルの介添え、仮設鋼材の落下などはその例である。脱水もそうかもしれない。
有る意味素朴で懸命な、作業員の姿勢を纏め上げることが出来ず、逆にベクトルを拡散衝突させて労災を起こすことになってしまっている。
 作業単位でみても同様である。個別の小単位作業が、互いの関連を気にすることなく、錯綜作業を遂行している。この場合スーパーバイザー的監督が要るが、報告書からは存在の形跡が読み取れない。
固化剤ホース通気時の転倒、仮付け防振器の外れ、塗装バケツの落下もそうだろう。
 危険物火災についても、監督は何処にも出てこない。

 昔一時期、請負工事に於ける労災事故の責任が及ばないように、発注者は工事施行方法の特に安全に関しては何も言わない、責任が遡及されそうな文書も出さないと言う風潮が瀰漫したことがあって、文書の内容まで茶々を入れられ、正反対のメンタリティの濃い筆者なんか内心反発したものだが、役所的企業にはまだ残っていたのか?
 長年それで大過なくやって来れて安穏としている内に、現場作業を見る目を失い、ところが一方「原子力発電会社」と言う看板は更に重くなり、とても「安全は施行方法の問題です。それには直接タッチしていません」と言う言い訳は通用しない時勢に、震災と言う契機に見舞われ、冒頭に書いた1事業所で展開できる工事規模の限界に挑戦と言う事態になり、従来の付け(低品位品の稼動など)と相まって問題点が一挙に顕在してきたのが現状か?
 
 細かく広範に亘る危険物関連規則をたくさん編纂し、関係者に満遍なく徹底しようとしても、「それを守るのが、作業側の責任だ」と思っても、余り効果はない(勿論、当然法遵守のための人員は充足するんだよ)。返ってそれに気を取られるあまり、他の安全対策が疎かになる可能性も無いとは言えない。
 事業所で扱う全ての危険物について、揮発ガス比重、燃焼範囲、着火温度、爆発範囲などを熟知した火災予防要員を管理区域ごとに常時パトロールさせ、スペシャリストとしての目で火災の要因が潜んでいると思われたら直ちに是正させる権限を与える。
 当然、可燃ガス濃度測定、有効な初期消火設備の配置、帯電可能性の有無などの点検なども合せて実施する。
 同様に労働安全に対してもスペシャリスト要員を常時パトロールさせ、徹底して労災の目を摘み取る。また突発な手直し工事が発生した場合は直ちに、安全監視要員に連絡し、注意事項の指摘を受け、作業員が理解したことを確認してもらってからでないと、実作業に入れない。

 「そんな体制は実施済みだが、相変わらず事故は起こるんだ」ということなら、監視要員の資質の問題でなければ、再度上①項の話題に戻り、「全員・常時発声」が出来てなければ、隗から始める。
 監視要員から声を出して、指示・注意を交換すれば、それだけでも危険の芽は減っていくし、徐々に作業員に拡大していけば①項導入への抵抗も少ないだろう。
例えば「これを人力で動かそうとすると指を挟む可能性があるね、監督さんジャッキは無いの?」「ショベルの介添えは、梃子の原理ではね返るから、貴方直ぐ逃げられる?」というような、口頭での直接作業員に対する細かい注意である。また「いざと言う時に、どう逃げるかやってみて」と言うのもあるだろう。
 更に、当該要員は、作業完遂の目標に対して1対の上下関係を形成する監督と作業員の間を、安全を媒体としてもう一つのコミュニケーションパイプで繋ぐことが出来る。要するに「この作業方法はかなり危険な気がしてならないが、上には逆らえない」と言う1方通行のカバーである。

 もしかして、安全管理体制評価プロセスとして「元請となる協力企業に対し、当社が工事施行時の安全管理ができる体制となっているかどうかを確実に評価する」事にしたので、これから安全パトロールももっと機能するだろう。と言うかもしれないが、そんなもの確実に評価できてどうするんだ。何時まで理屈の世界に没頭すれば気が済むんだ。またぞろ管理会社の癖が首をもたげて来たか?
相手の問題じゃなくて「原子力発電会社」の看板を掲げざるを得ない自分の問題だろう。
 「評価プロセス」などと格好つけてる間に何故現場に飛んでいって、ずかずか入っていって「こんな作業じゃだめだ」と直接指摘が出来なかったのか。安全担当も含めて旧態依然のメンタリティなら、期待しているらしい「評価プロセス」を踏もうが踏むまいが、何も変わらないよ。

③ メーカー指導員招致範囲の大幅拡大。

 これは作業の技術品質の問題であるが、説明は不要だろう。
 しかし、不祥事リストに、メーカー指導員が居たら起こらないだろうと想像される事例が散見されるのは何故だろう。
 彼ら(大半のメーカーの彼ら)は、one of them では無く「今、会社の看板を背負っている」と言う意識があるから、モラルと矜持は高いよ。中途半端な仕事は絶対しない。こちらから必要なお願いはするにしても。
 「協力企業の総力を結集して、全ての作業をこなしてみせる」と言っても、協力企業そのものがえらいさんの天下り先で、そういう人達に限って現場に疎いから、社風が親会社と同じミニチュア管理大好き会社になっていて、本来なら現場作業の汗と特性を知悉して親会社を補佐、場合によって指導すべきところが、それが満足に出来てないんだろうね。
 「管理大好き会社とは言い過ぎだ」と言う反論があるかもしれないが、それが垣間見える例を挙げれば、開口部への足踏み外しの写真がある。ちゃんと「開口部注意」のパネルが吊り下げてある。「我々はやることはやっている。設備上止むを得ない開口部だからちゃんと注意は喚起してあるのに起こったんだ。我々に瑕疵は無い」と言わんがために使ったのかも知れないが、筆者が責任者ならこんな写真は載せない。「目の前に注意書きがあるのに、事故は起こった」と笑われるのが恥ずかしいからである。
 「恥ずかしい」これは技術的矜持を維持する1つの重要なモチベーションではないだろうか。「『目の前の注意書きにも拘わらず事故は起こってしまった。その原因はなんだろう」とステップを踏み出すのが、他の中小企業なら兎も角、大型設備工事をこなす電力のリーディングカンパニーとしての本来の取組みだろうに、全社そんな感受性も喪失か?』と笑われるのは嫌だから、更に突っ込んで基本的な原因と対策に迫ってみよう」となるからである。それが開口部が生じない様に作業手順の見直しを図り、再発防止に努めるらしい。
 これは既設備の開口部だったんだろ?「既設だろうが仮設だろうが開口部が減って、事故要因が減るじゃないか」と言うだろうが、表示にもかかわらず踏み外したと言うのは相変わらず残る。お宅の再発防止対策の多くは表示など注意喚起の徹底なんだよ。それに実際に開口部を生じないようにした事例が知りたいもんだ。偉そうに言っているが、筆者のソリューションは①に既述だからね。
 「恥ずかしい」と言う感受性が有れば、事故報告書の半分は書き直しになる。

 さらに仕事の仕上がり品質は、それだけでは説明できないレベルの低さがある。
理由は判らないが一般的傾向に筆者の妄想を加味するならば、協力企業といっても、親会社ビルの管理や消耗品・薬剤・樹脂類・油脂類納入のマージンピンはねトンネル会社 (利益の半分は本当の納入業者の涙、半分は電気料金上乗せから来ている。対料金比率は高くないが。そして行き先は天下り役員のポケット) なら、その程度のメンタリティでも何とか大過なくやっていけるだろうが、峻厳たるトップ技術とは対峙できない。
 定年前の親会社の現場部課長クラスをどんどん受入れて、(と言っても勿論、技術の根幹は親会社に残しておかなければ、普通のトラブル報告書もまともに書けなくなってしまうが) 彼らに現場の中心となる若手を鍛えなおしてもらって初めて少しは格好がついてくるが、十分ではない。
 技術の真髄はやはり、メーカーの叩上げ技術指導員のノーハウの伝承だろう。
 ここから筆者の妄想に入るが、「1日10万円の技術者をどんどん招致されたら、親会社の修繕費・設備費のうち我々の取り分が大幅に減少するから、大抵の事は自前で出来るからやらしてください」と言いつつも、現場疎遠のため必要な技術組織作りの方法がわからず、問題点を吹き上がらせたのが現状じゃないのか。
 更に、問題点が噴出しても「後半年で俺はここも定年。2度目の退職金をがっぽり貰って、後は頑張ってね♡」じゃ目も当てられなくなる。
 もしかして、安全管理体制評価プロセスとして「元請となる協力企業に対し、当社が工事施行時の安全管理ができる体制となっているかどうかを確実に評価する」事の必要性を認識し出したのは、この辺を暗示しているのではないか。

 震災からの早期復旧と周辺の運転再開同意獲得という現在置かれた立場から考えると、餅は餅屋、メーカーの技術の導入範囲を大幅に拡大しても良いのではないか。
 自社や協力企業のレベルアップにも繋がる。

 以上だが、本社のお偉いさんも、早急にこれらの対策を (特に騙されたと思って①を) 何が何でも取り入れるよう指示すべきだ。減給等の処分に甘んじたとしても捲土重来を期す仕事の最初のステップである。It should be the first on your list of things to do today.【トランスポーター、ジェイスン・ステイサム】
 しかし処分理由が火災に限定されているように見えるのは、相変わらずそれ以外の労災は、上②の考えのままなんだろうか。(そうするとこれは火災と労災の法整備の違いになるが、ますます広がりそうだから止めよう)

 筆者も個人的には、現場復旧工事に参加したくてウズウズして来た。これだけの問題山積の現場で、自分が口先だけでなくどれだけの実績を挙げられるかと言うのは、今の仕事(省エネとデータ解析)より余程血湧き肉踊りそうだから。

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東京電力・原子力運営管理部に緊急提言

 何度も同じような題名で恐縮だが、またもや原子力に対する疑念が湧いてきたので、ちょっと真剣に考えてみた。
 柏崎刈羽原発の運転再開に向け、県知事が態度を保留した運転再開前と言う重要な矢先、またもや倉庫空調の小火が発生したとのニュースに触れたからである。
当該原発が中越沖地震の直撃で各種のトラブルを起こし、一躍有名になったことは同情するところもあるが、その後2年足らずの間に9件の火災というのは、原子力の特殊事情を差し引いても、なぜだと言う疑問を禁じ得ない。
 筆者の30年の現場人生で、火またはその跡を見たのは、CTオープンと、電源スリップリング焼損と、サイリスター噴破と、コンタクター焼損位で、全部電気事故だが、とてもそんな数字にはならない。当該原発の1/5位の規模の同一事業所 (構内常駐500名、1年3ヶ月の工事期間は2,000人) で最大、5年間で2件である。
 ましてや、今「プレコーションで省エネ余力創出。ツールも提供」と謳いあげている立場としては、何故そういうことが起こるのか、考えないでは居られない。
 これを言い訳に、当該発電所のプレスリリースについて火災および漏洩というキーワードで1つ1つ見せてもらった。
記述内容に些かウンザリもしたが、労災はヒヤリハットの先に何があるか事例の宝庫である。設備的にも、ガス保安協会、地冷協会等の業界トラブル事例を一人でしょっている感じである。これを全部勉強すれば、一人前の危険予知技術者になれる。
 「長い技術屋人生とやらの、苦い経験も風化・美化、瑕疵忘却・失敗忘れ・良い所取りの思い込み優越感だけで、原子力ゆえの各種手枷足枷の厳しさも想像できず、現役の血のにじむような努力を俎上に載せるのはやめろ」と反発されそうだが、ちょっと謙虚に耳を貸して頂きたい。
 その前に上の4つのトラブルの内容に触れておく。4件とも盤の内部部品が焼けただけで、その内2回事業所停止はあったが消防マターではない。この辺原子力より俄然有利なんだろうが。

① CTオープン

 実は前稿で、原因究明に時間が掛かる例の1つに挙げているのが、この経験である。
30年前のある休日。計量設備のPCT盤が焼けたから直ぐ出て来い、という呼び出しでタクシーを飛ばしたのを覚えている。
 2次コイルリード線の顕微鏡写真の結果、ゴムモールドの2次回路取り出し端子の内側のコイルリード線が余裕の無いギリギリの長さで端子に半田付けされており、年次点検時の締付けチェックで、端子外側に対する締付けが、貫通部と一緒に内側も回転し、リード線の引っ張りで切断に至ったと言うことがわかった。
要するに外からの外力が、容易に内側に伝わるような柔らかいモールドはだめだとして、全てブチルモールドのCTに替えた。
 今思い起こすと、これもT社製でブチルモールのCTは数十個直ぐ出て来た。「機会や機械が薫陶してくれる」でもレオナード制御やコアーメモリーなどT社製骨董品を買わされた形跡があるので、歴代のT社の盤屋さん、相手が気付かないと商売が上手かったのかも知れない。

 他の現場でも、小型低電圧レギュレーターの出力端子の年次点検の締付けチェックの増締めでビスそのものがねじ切られ、出力が出ないのを外観で発見するのに苦労したことが有り、何でもかんでも締め付ければ良いものではないという考えがあるから、今でもメーカー作業員には「バカ力で締付けを確認しようとするな。スプリングワッシャーがあるはずだから、それが閉まって少しのところで良い」と注意している。

 それにしても前稿「防衛産業に緊急提言・営業コンサル・コンセプトは迅速・正確」のアップロードが4/8、今回の小火が4/11である。あそこではこんな展開になるとは想像してなかったが、その頃から流れは本稿に向かっていた訳だね。

② 電源スリップリング焼損

 単身赴任の着任日、○○旅館に夕方6時までに来てくれという連絡を受けてその通り到着した。ただ○○旅館とは?
ちゃんと単身寮が在るはずだと思ったら、大広間に課員が一杯集合していて、ご馳走も一杯。ただし歓迎会じゃない、飲み会と着任日がたまたま一緒になっただけ。
ただ自己紹介してもらったので、みんなは一人一人歓迎の言葉を言わざるを得ない。
 ところが、電気担当と言われていたが、仲間がずっと遅れてきて、翌日発電所に着任したら、機械の方でも歓迎の挨拶だとてぐすね引いて待っていた。
アンローダーのスリップリングが焼損していて、この仮ケーブル繋ぎこみから仕事に入った。
 アンローダー上部可動部は360度以上連続回転可能で動力はスリップリングを介して供給していたが、カーボンのスリップ面の部分侵蝕で接触抵抗が増え、過熱焼損したものである。
やむを得ず補修完了までの応急処置としてケーブル直繫ぎとし、本来なら何回転でも出来るところを、ケーブルの動く許容範囲の前方90度の動きに制限させてもらった。
 またこれの2次事故で、動力と制御が同居している接続端子箱内でも発火した。
本来は別布設、最低でもセパレートを入れるはずの動力と制御それもミニコンの入力信号ケーブルが同じ端子台内部で接続・延長されており、更に動力が下方にあったため、下の動力端子台の熱で、上の制御ケーブルの被覆も全て焼損・融着してしまっていた。
動力のアークがミニコンの入力端子に過電圧となって入り、ダメージを与えてないか心配しながら一つ一つチェックしたが、幸い弱電側もケーブル端末処理し直しだけで済んだ。
 スリップリングは一段高電流密度のものに交換して、その後再発なし。
 いま、セパレート無しの端子台配置を見るとき、動力は計装ケーブルより下のほうが安心するが、その様な配置は見ない。こういう所のちょっとした気遣いが事故の影響の大小を決定するはずなんだが。

③ サイリスター噴破

 何の前触れも無く、静かに運転中の界磁回路サイリスタ(「機会や機械が薫陶してくれる」ページのとは別号機、別メーカー)が突然火を噴いてトリップした。
原因がなかなかつかめなかったがサイリスタ盤の上に登って点検すると、盤の上のパンチングメタルにワイヤーブラシの切れ端が2,3本乗っている。
数ヶ月前の定期点検時、近傍でタービン車室手入れのためワイヤーブラシを使っていたが、それが飛来し、パンチングメタルに乗っかっていたが、やがて振動で落下してショートさせ、アークが電磁力によりサイリスタースタック内を走ったものである。

Wire

 ワイヤーブラシのワイヤーは想定するよりずっと遠く、20メートル位飛ぶこともあるという知見も出てきた。
また盤天井はパンチングメタルだけで有効な異物防止対策は無かった。
 早速、当該盤を含め、漏水滴下を含み同様な周囲環境にさらされると判断される盤について異物の進入防止対策工事を行ったが、たまたま来所していた他部門の先輩がポツリともらした。
「だからパンチングメタルだけじゃ駄目だって、前からT社に言ってたのに」
機会や機械が薫陶してくれる」ページのメーカーのは立派過ぎる位のフードにフィルターまでついていて、異物は絶対進入できないようになっていた。
 今でも盤を見ると上がどうなっているか確認する癖がついている

④ コンタクター焼損

 電気屋なら誰でも遭遇する、接点不揃いか接触抵抗による極めて小容量のコンタクター焼損。

 これらも参考に、当該発電所のプレスリリースの中から、地震前後から火災および漏洩というキーワードで件名を見てみる。原子力門外漢故の間違いがあったら、ご叱責願う。

○ 巡視により点検停止中の冷凍機(非管理区域内)から100リッターの潤滑油漏洩発見。冷凍機油タンク内ポンプの点検用開口部から漏洩、一部は排水口から回収タンクに流れ込み。18/11/18

 潤滑ポンプがあることからターボ冷凍機で、28φの油ポンプ点検窓があることからそれもかなり大型の機械だと思われるが、100リッターの漏油はいただけない。ドラム缶半分である。
殆ど開口部の下淵まで潤滑油喪失ではないか。従ってまず、機械の面から潤滑油レベルに関する警報は無いのか、停止中は発報しないのかが問題である。
次に原因だが、停止中で油圧力も無い状態だとしたら、100リッターも漏れるのは、「締付け部からの漏洩」とは言わない。殆ど締め・付け忘れである。メーカー作業員がやった仕事または技術指導員が指導した仕事でならこんなことが起こるんだろうか。
 非管理区域と言う当該区域のパトロール頻度は判らないが、幾らかは「締め付け」た状態で「漏洩」が続いていたとしたら、殆ど1ヶ月以上誰も気付かなかったことになる。従ってそれが無いとすれば、「締め・付け忘れ→油充填後至近日に発見」だろう。

 再発防止には、① 冷凍機潤滑油タンクレベル低警報追加+停止時でも発報。② 排水口漏油検知器追加。③ メーカー指導員を入れる。④ 締付けチェックリストを作り運用させる(チェック者は別)。を推奨する

○ 資材搬入出用クレーン(定格10トン)の変速機と油抜き配管接続部から65リッターの油漏洩。18/11/25

 上から落ちてくるんだから直ぐわかったんだろうが、作業開始時に気付いたのは同慶である。
ただし、「調査結果」が「変速機と油抜き配管接続部」と言うのは寒すぎる。そんなのは一見して判る事で、調査とは言わない。
「調査結果」と言うのは、その漏洩部が、長期にわたる腐食(この場合油だから考え難いとすれば、何らかの接触による繰返し応力)によるか、急激な外力でクラックが出来たのかというような調査のことである。
 クレーン則で定期点検しているはずで、その時は異常が無い(微量の滲みは見逃したとしても)から、発見当日前後に急激に漏れ出したことが想像できる。
「クラック進行が首の皮1つで繋がっていたのが、稼動開始後の急激な発進・停止で破断に至り、急に漏れ出した」と言うのでなければ、油ドレン配管を何かにぶつけて壊した、漏れではなく、衝突事故の可能性がある。
 
 再発防止には、① 10トン程度のクレーンはグリース潤滑で十分、② 油配管にはarmorをつける。

○ 落雷により、取水電源室電源盤に雷サージが侵入、一部部品に短絡、火災発生。19/1/12

 「落雷で送電線が一瞬停止しましたが、高速再閉路成功です」あるいは「再閉路に失敗しました」と言うことは聞くが、「落雷で電気設備が火を吹きました」と言ったら、電気屋仲間に笑われるんではなかろうか。
東シナ海の嵐とも5年間付き合って、高さ数十メートルのアンローダーのアームに落雷するのも何度か見たが、火災どころかそれによるトラブル後遺症さえ無かった (制御はミニコン+レオナードの微妙なものだったが)。航空障害灯の管制器の小さなPNPトランジスタは良くパンクして、直営で交換するはめになったが。
 「構内への落雷によるサージが取水電源室に侵入と想定」とあり、複雑なルートが想像されるが、落雷は何処にあったと想定されるのか。線路側を来たのか、アース側か。
 前者なら適当なところにアレスターは無かったのか。後者なら定期的に構内接地抵抗を測っているはずだから、天候や潮位等で弱いところは無かったのか。

 再発防止には、① 今一度避雷針カバー範囲を立体的にチェックする。② アレスターの有効配置を検討する。③ 接地抵抗は原子力固有の一回り厳しい基準を設け、接地網毎に天候や潮位別に測定し、未達の場合は接地極を追加して抵抗を下げる。

○ 再循環ポンプMGセット室(非管理区域内)、オイルクーラー漏洩検出口のオイル受けから5リッターのオーバーフローを発見。19/2/23

 定検停止中の事例で、ふき取りだけだから補修作業に伴う残油処理のオーバーフローなんだろう。
 この既述で原子力設備の複雑さが垣間見える。停電時炉冷却材の再循環ポンプに数秒間電源供給するのにフライホイール付きのMGセットが必要であり、それを冷却する潤滑油があり、オイルクーラーの設置があるという具合である。
ただ記述が無いので判らないが、延々と潤滑油系統が引っ張り回されていたりすると、フライホイールの重量にもよるが、冗長設備の可能性がある。筆者の経験では5~600kw程度なら、クーラー無しのオイルバスかき上げ潤滑のMGセットの例もあったから。
まあこれは門外漢の戯言としておこう。

 再発防止には、① 設定可変のレベル低警報器などはどうだろう。5リッターということは貯槽の断面が1m四方だとして、5mmである。運転中のレベルのちょっと下(運転中変動、停止すると油面が上がる場合はそれらを見越して)に設定しておけば、今回程度の漏れも巡視に頼らず拾ってくれる。油漏れが頻発している現場には有用だろう。

○ 給水ポンプ軸封部のシール水排水管→第3給水加熱器接続配管のオリフィス上流のエルボ部で腐蝕貫通漏水。19/4/25

 「オリフィス口径が設計より大きく、当該ラインの温度に対する飽和圧力より実圧力が低くなり、2層流になって減肉に至った」という説明であり、写真で見ると確かにキャビテーションに見えるが、発生メカニズムから対策まで疑問が残る。
 ここは、シール水の排水温度を見ながらシール水量を管理するのではないのか?当該軸シール部の外側にもう一段シールがない限り、排水温度は外にフラッシングしないように100℃以下に押さえるはずだが?

Cavi

 そうすると、なかなか飽和圧力以下にはならず、図のように予め二相になっていて「A系、B系配管でも二相流となっていたが、配管接続位置など構造上の条件により、水が多く流れている状態となっていたため、減肉しにくい状態であった」というよりは、エルボ部の形状により圧力の下がり方に差が付いて、よりS字型の強いC系が減肉したと考えられる。(但し、この図の通りの引き回しだとしてだが。ABC系で弁が図に対して垂直方向に引き出しているのは無いんだろうか)
だとするとポイントは圧力に加え、エルボ部の形状も同程度に重要な意味をもつことになる。
 また同様のメカニズムで、より圧力の低いオリフィスや弁の下流側で、なぜキャビテーションが起こらないのか確認しておいた方が良いだろう。配管形状に話が戻る可能性がある。
もともとこの様なS字の配管引き回しは、減肉の最たる起因となり、ましてやキャビテーションの起こる可能性の有る場合は、特に忌避されるべきである。第3給水加熱器の側まで給水ポンプ室天井を這わしておいて、第3給水加熱器側に沿って上げればもっと単純な引き回しになるのではないか。

 オリフィスの小径化が再発防止の充分条件となるかも知れないが、他の対策として、
① 特にC系のS字引き廻しを止める等、配管形状も合せて是正する。② 給水ポンプ軸封部のシール水量管理方法、特に排水温度について再検討する。

○ 調整運転中のタービン制御油漏洩警報発報。蒸気加減弁のアクチェーター4台のうち2台から油漏れ。19/7/4

  これも判りにくい。説明は、
① 油駆動装置を制御するサーボ弁接続部から、漏油
② サーボ弁と油駆動装置の接続部のOリングに微少な傷が付いている
③ 4台ともOリング溝の周辺等にもひびが発生している
④ タービン制御装置の主蒸気圧測定方法を、機械式から電気式に変えたら、サーボ入力にもノイズの含有が生じた
これらから、ノイズによりサーボが微少動作を繰り返し、Oリング溝の周辺にもひびが発生し、Oリングも傷付き、接続部から漏洩したというものである。

Servo

 「防衛産業に緊急提言・営業コンサル・コンセプトは迅速・正確」に「原子力で起こってもらったら困るけど」といったが、軽度なノイズは起こっていたわけだ。
 それは兎も角、漏洩した接続部と機械的摺動部は離れている。どうしてサーボの微少動作がOリング溝のひび、Oリングの傷に繋がるのか。
シリンダーに行く圧力が変動してそうなるにしても、Oリングの締め付けが弱く、溝も大きく、さらにひびでなく傷なら金属片混入がある場合に限って、純粋にひびなら溝の外側肉厚が極端に薄い場合に限ってそれが起こる可能性は有る。
 また、警報がタンクレベルによるものか、漏油検知器によるものかにより漏洩油量は違うが、ここの入口油圧は15kgfぐらい、もしかしたら20kgf行くかも知れないが、Oリングの微少傷で、警報に至るまでの油量が短期に漏れるとは考えにくい。図では面接触に見えるからまともに締まっていれば尚更漏れは少ないはずである。
 もう一つは、ノイズによる開閉繰り返しでアクチェーターに振動が有った場合、サーボ弁に質量があれば、接続部がダメージを受ける可能性がある。しかしだとすると、FC(周波数制御)に入れられている火力はどうなるのか、FC水力だって油圧サーボが同様の繰り返し動作をしているはずである。
 「ノイズはFCの信号よりサイクルがずっと早い」と言うかも知れないが、パイロット部およびピストンの時定数の影響でかなり遅くなっているはずで、「Oリング溝に与えられる」力は、火力も水力も左程変らないはずである。(同じとは言ってない。「その程度のスピードは追従する仕様のはずだ」という意味である。但し加減弁機構には急速閉止するための加速機能が在る筈で、サーボが4つに分かれているなら油ではなく電子回路の可能性が大きく、この設定によりノイズの影響がどう変わるかまでは想像できないが)
 更にこの場合、並列前なら回転数、並列後 (全周噴射起動ならパーシャル制御になってから) なら発電出力も微少変化していたはずで、何故異常と判断しなかったのかという指摘も出てくる。「異常と判断して、現場確認中に漏油警報が出た」と言うことなら、漏れは今思っているより更に大きかったことが想像される。補助(または制御)油ポンプ起動→警報まで短時間だった可能性があるから。
 どの点から押しても、何らかの最初からの緩みを仮定しないとストーリーにならない。


 *** 加速機能 ***
 
 サービス精神と取ってもらうか、落ち着きの無い雑談オンパレードととられるか ۵

 30年前、本社転勤の1日目、事業部筆頭課の何でも屋。
挨拶もそこそこに、これから通産に○○事業所の工事認可申請ヒアリングに同行せよと言われ、分厚い図書を運ぶ。
通産省は建替える前の古色蒼然たる旧庁舎だったが、すぐに場所を変え、その前の、飯野会館9階キャッスル。
白いテーブルクロスの上に図面・書類を広げてヒアリングを受ける。
 色々突っ込まれるなーと興味深く末席を汚していたが、技術的中身はさほど難しくは無い。
昼になり、ご馳走とビールが出る、いっぺんで本社勤務が好きになる。さすがにワインは出なかったが、こんな職場見たこと無い。
帰社は遅くなったが、満足な1日目だった。
しばらくの間新職場はどうかと聞かれると、「初日から、昼飯フランス料理ビール付、言うことなし」

 あるとき、自分のセットしたヒアリングの席で、タービン制御装置の図面を指して技官が、「この加速リレーというのは何」とご下問。
現場から来た建設機械課長も、お付の担当も答えられない。本社の建設部のメンバーも答えられない。
 バルジ大作戦のパンツァーリートを歌い始める時の兵士のような顔で廻りを伺っていたが、我慢できなくなって、
「加速リレーというのは、ガバナーの制御が一定のスピード以上になると、急激に、加減弁を閉める方向に制御し、異常時のタービン回転上昇を押さえるものです。
このバイパス弁が絞ってあって、制御スピードがゆっくりの時はオイルが弁を通りきれるため、ピストンはフリーですが、スピードが早くなったらオイルが弁を通過しきれないで、ピストンが動きにくくなるので、そこがリンクの支点となり、加減弁を操作する早さが加速されます。
ここに書いてある数値が加速リレーが働きはじめるロッドのスピードで、バイパス弁の開度で調整します。
GE系の油圧タービン制御には必ずついてます。WH系は電子油圧制御なので電気回路になっています」
みんな驚いて聴いている。

 *** バルジ大作戦のパンツァーリートを歌い始める時の兵士 ***
 
 雑談ついて来れる?

 アルデンヌの連合軍に反撃する戦車隊長に任じられたへスラー大佐は、新しい部下達をみて驚く。
「Boys. too many boys」
今までは気心知れたベテラン達と共に戦ったのに、こいつら大丈夫かいなと閲兵して廻る。
今度の作戦は illusion だといった侍従も「だから言ったでしょう」と目線で返す。
その時まわりを伺っていた1人の戦車長が、突如パンツァーリート(戦車行進曲)を歌い始める。

Boys

Ob's stumt oder schneit,
Ob die Sonne uns lacht
直ぐに大合唱となり、足音のリズム
Der Tag gluend heiB
Oder eiskalt die Nacht., ダンダン
 やがてへスラー大佐と侍従も唱和。
世代を越えて反撃の気運が盛り上がり、めでたしめでたし?というお話。
フリークだな、井筒監督が好きな映画なんていうとよけい。
 結局「バルジ大作戦」は都合7回出てきた、ビデオで楽しみ(一時、3歳半の孫に戦車戦シーンを見たいと何度かせがまれたが、爆発シーンは実は中で人が死んでいると言うのが理解出来て来たようで、見たいと言わなくなった。)、シナリオを落とし、ドイツ語の歌も覚え、おまけに7回もお遊び、3,900円と高かったけどお買い得。別にワーナーの回し者じゃないが。

   侍従 Conrad はHans Christian Blech
   「史上最大の作戦」で連合軍を迎えるオマハビーチ第352沿岸砲兵師団プルスカット少佐役
   「レマゲン鉄橋」で省エネプログラム群の名付け親になってくれた人

 ヒアリングが終わってから、建設機械課長が「よく知ってたね」
「GEのタービンやってたら常識ですよ、年一回油圧制御でダンプテストだってやってんでしょ。そこで図面開いたらすぐ疑問に思うじゃない。たまに若い人に質問されるもの」

 *******


 管理区域の考え方がわからないが、(「直ちに現場を確認した」とあるから、絶対立ち入り禁止でもないようだが)通常設備なら、このタイミングの主機周りは、請負作業員・運転員・管理職が常に巡回していて、この様な不具合は直ぐ発見できるんだが、原子力には動き始めたら直ちに側を離れる、あるいは無人を確認して起動する(管理区域は当然だが)など、別のしきたりがあるようだ。
 だとすると頼りはITVである。普通の映像では微少リークは見つかりにくいが、当blogでは、過去画像との同一アングル比較により、輝度・染みなどにより発見する巡視ロボットのアイデアの実現に向け、努力している。
取りあえず、圧力計画像認識ソフトを実現しているが、今過去画像と同一アングルで撮影できるように3軸調整するため、OpenGLのunproject関数を利用した、画像からのカメラ位置決めアルゴリズムをテスト中である。(忙しくて、ころっと忘れていた۵)

 対策として、① マンホールなど締付けチェックリストの運用(実施済みかもしれないが、こう頻発するとね)。作業終了後起動前の作動試験時の点検リストの見直し。② メーカー技術員招致またはその指導力の絶対化(こんなところは素人は触らない。技術指導員がいるのなら、その指示はちゃんと聞く)。③ 危険区域は、自動走行、巡視ロボットにより監視強化(もうちょっと待ってください)。

○ 非常用ジーゼル発電機の噴燃ポンプ入口部から軽油のにじみ出しを巡視で発見。300ccふき取り。20/4/4

  これも非常に判りにくい不具合である。月一試験運転していて、前日のパトロールでも異常なかったと言う。
 普通にじみのパターンは、「少しにじみが出てきたな、ちょっと締めたけど止まらない。指に付くけどまあ問題ないだろう」「少し垂れて来たから、増し締めしてみよう」「もう閉め代が無くなってきた、今度分解してガスケットを交換しよう」と言うようなステップを踏むんだが、突然1日で300cc出ると言うのは、前日パトロール後に試運転したが、その時何らかの原因で締め付け部が緩み、次の日に発見されたと言うストーリーになるが、圧力は燃料タンクのヘッドだけの入口配管の緩みで1日で300ccと言うのは、それでもちょっとつらい。殆ど、悪意のサボタージュを仮定したくなる。
 しかしここが踏ん張り所で、法令報告不要などにチェックを入れず、じっくりと分解点検して真摯に原因調査し、潰していく事の積み重ねが、所としての不具合撲滅に繋がるのではないだろうか。また、対外的報告書のジェスチャーに止まっているうちなら許されるかも知れないが、この程度を滲み出しと表現して憚らないメンタリティーが、本気で関係者の共通スタンスとなっていると、安全確立はおぼつかない。

 対策として、① 対外報告を含め、「にじみ出し」「しみ出し」などの表現を、世間一般に慣用される当たり前の技術的深刻度に対応した表現に変える。(「滲み出しと言うのは目で見えた発見手段のことで、漏れ量は数字で表示してあるじゃないか」と言うイラ公的エクスキューズからの転換も含めて)
できればより一層重大さを仄めかした表現に変える。(しかし一丸となって「はるか沖地震」などと表現して、日本語の微妙な言い回しを楽しんで、悦に入ってる業界だもんなぁ۵)
 そうすれば、毎回ワープロをルンルンで (だって、こちらのひねくれだろうが、誠意がまるで感じられないんだもの。逆に開き直られた感じさえする) コピー・ペーストした様な「当社は、安全意識をより一層高めるとともに、協力企業各社も含め一丸となって災害発生の未然防止に努めてまいります♪」などと言う文末の表現も、前回何を言って、その後何が有ったかによって、反省と検討の進捗状態を踏まえたもっと違う文章になるだろう。

○ 軽油タンク出口部から軽油のにじみ出しを巡視で発見。250ccふき取り。20/5/19

  文章からは当該弁からの漏れ理由が不明だが、ここでは問わない。作業指示書の確認を徹底とあるが、それより、

対策として、① 操作は2人で行く、出来れば違う会社が良い。「この弁は今回、点検しないから、このままで良いね」「このバルブを閉めても、ラインは封じ込めにならないよね」というように2人指示、相互確認で操作をして行く。
 念のため「ラインの封じ込めはないよね」を説明すると、特に重油配管は2箇所で閉めず、必ず1箇所で閉めるようにしてタンク側に膨張逃しを作っておかないと、封じ込めてしまったら、ヒーター停止忘れなどで大きな温度変化があった場合、内圧で配管が湾曲してしまうことがあるからである。

○ 残留熱除去系配管水張中排水弁閉め忘れで、98リッターの水がダイヤフラムフロアーに滴下。20/8/29
 
  指差呼称の再徹底とあるが、「東電の原発では指差呼称さえまともに出来て無いのかとなるから、それより上記と同じ対策を推奨。

○ 放射線監視設備電源から発煙。電源切断により発煙停止。20/7/22

  電源の小型トランスの設計不良とあるが、戦時中のトランスのミスプリかと目を疑った。今時秋葉原のジャンク屋探してもこんなトランスお目にかからないよ。

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 口出し線の固縛方法なんか見てよ。日本製なんだろうね。JIS規格は通ってるんだろうね。
さらに個数が問題、同様なものが3台だという。
 以上から、小火の多さにも繋がるかも知れない、次のような問題点が浮かび上がってくる。
① 設備費の大幅削減か、部品の品位まで審査する目が無いのか判らないが、低級品が納入されて稼動している。
② 機械内部・構成部品は納入業者がより詳しいはずだが、業者も重要な原子力設備への納入だと言う緊張がまるでない。安く造ったのが、高く売れて万々歳の世界か?
  まさか御エライさん天下り先「東電協力会社」納品じゃないだろうね。
③ モニタリングポストなど電源はもっと多いはずで何期かに分けて固めて設置するはずだが、同様機種がたった3台だという。と言うことは、設備の統一が取れていない。悪く言えば行き当たりばったり発注だと言うことになる。機種管理がしにくく、同じトラブルからの水平展開や機器の特性がつかみにくい。

対策として、① 昔有った「電力規格」の上を行く「原子力規格」を作って、必要な仕様を規定する。今だってあるのかも知れないが、小型トランスに限っては有効ではなかったね。② 妙なもの(機器の品質によると思われる小火などを惹起した物)を納入した業者は以後出入禁止にする。③ 工場立会い検査で見て、低品位の部品は最初から納入させない。

○ サービス建屋冷凍機の潤滑油抜き取り中ホースとノズル先端のバンド締め付けが外れ30リッターがこぼれた。20/11/20

Oil

  写真から見て、締め付けバンドが外れてもそのままホースを回収缶に突っ込むか、その口元に持っていけば、30リッターにはならない。
気が動転してと言うかも知れないが、インチのホースでも30リッター通すには、60mの油が通過しなければならない。ポンプは運転して無いだろうから、ヘッドも1m程度で温度も低く粘度は高い、「油を売る」の語源の通り、かなりの時間が必要だったはずだ。秒速1mは軽油ならともかく有り得ないが1分、秒速10cmなら10分である。
 予備の缶が近傍に無かったとしても、ホースをちょっと上げれば、取り出し口より上になり流出は止まる。後は周りに誰も居なければ大声でどなって廃油缶を持ってきてもらえば良いだけの話。
 締め付けバンドと同様にまるで気が緩んでいたか、無人だった可能性も有る。
 報告書執筆関連者が、確信犯で間違って書いているのでなければ、その資質に問題がある。(物性を知らない。信じやすい。後者は信仰的には長所だが)
受け取った役所関連者も同様である。(「俺達は受け取ってない」と言う所も、今注目すべき管轄範囲の企業が、この程度の似非報告をwebに流しているのを見逃しているという点も含めて)

対策として、① 原子力作業員が売り手市場なら無理だが、下請け孫請けまで重大なミスをしたらやめて貰うという契約を最初からしておく。了解の人のみ雇用する。② 大体目を見ればヤル気があるかどうか判り、重要な仕事が任せられるかどうかの判断要素になるから、管理側はそのような審人眼も必要である。③ 会社全体として確信犯で間違って書いているのでなければ、事故原因究明スタッフを入れ替える。消防・保安院関係者も同様。

○ 圧力容器水抜き作業中、排水量を調整していたが、排水口の空気抜き管から噴出した。20/12/14

  通常設備でも排水のオーバーフローは面白くないものだ。こういうつまらんところで、感を必要とする調整要素が入ることは極力排除する。

対策として、① 配水管が太く出来ないのであれば、排水口の容積を可能な限り大きく特に縦方向に伸ばし、ヘッドを稼いで水を流れやすくする。

○ 避雷鉄塔の航空障害灯制御盤不点灯、耐雷トランス上部の保安器等の焼損。21/2/8

  「避雷鉄塔の耐雷トランスの保安器が雷撃にやられた」これは何かのジョークなんだろうか。
または、It's a contradiction in terms.【GOOD MORNING VIETNAM、Noble Willingham(彼は惚けた味でワシントン狂想曲などにも出ているね)】
 上に挙げたように、東シナ海の嵐の雷撃は何度も経験して、200m煙突の航空障害灯管制盤の特定の1個のPNPトランジスタはよくパンクしたが、盤そのものの焼損どころか、他のトラブル経験も無い。
「多重の落雷が発生したことにより避雷鉄塔下の地面が高電位になり」とあるが、筆者の知識不足なら謝るが、地下にコンデンサーの蓄電機能でも有ると言うのか。それならば前にも言ったように、当該鉄塔の接地抵抗から解き明かしてもらいたい。

Arrester

 接地抵抗が全てだとは思わないし、低抵抗だから測定も難しいのは知っている。ここで接地抵抗を要求するのは、故無い事ではない。
一連の事故報告書に定量的見地からの解明の痕跡が全く見えないからである。せめて、蓄電機能があるとして「接地抵抗はコンマ何オームだから、1回の落雷の電荷は何秒経たないと、放電しつくしません。したがって何秒おきにいくつ落雷した場合、地面電位は何ボルトとなり、機器の耐圧を超えます」位のストーリーにして欲しいと言っているのである。
 更に、「東電の避雷鉄塔の仕様として、何秒に1回の落雷までは障害灯などの周辺機器を含めて対処可能となっていますが、今回はそれを超えた頻度の落雷が集中したと推定されます。今後避雷鉄塔の落雷回数などの機能向上に向け、全社一丸となって取り組む所存です」と言うような記述を入れてくれれば言うことは無い。♪
 勿論そのような数値をそのまま記述してくれと言っているわけでもない。定量的解明に裏付けされた技術的にしっかりした内容にしてくれと言っているのである。
例えば2項目前の事件だって、ちょっと数字を当たれば、かなり無理なストーリーであることに直ぐ気がつく。全てがこの調子なのである。
 また、高圧帯電板の上に乗って平気な人間のように、全体の電位が上がっても一様に上がるなら機器は大丈夫である。電圧の股割きが起こってそれが耐圧を越えた場合のみ故障するのは常識である。説明図は東電の描いた図ではない。
世の中こんなのが大手を振って罷り通るなら、説明の出来ない事象はなくなる。
 対策を見れば、執筆者自身自らの解析を信じていないのが判る。「損傷した保安器と制御基盤を交換し、正常に動作することを確認しました」だけである。
接地性能に関しては何もしない。解析を信じているんだとすれば、また同様の事態になれば同様の結果を招いて、学習能力の無いことを露呈しても、「避雷鉄塔の耐雷トランスの保安器が雷撃にやられた」というジョークで笑われても一向にかまわないと言うことらしい。

 「専門用語羅列の報告書なんか見ても判らない。素人にも判るようにやさしく書け」と言う指摘を受けてだろうが、所々解説が入っていて、そこはそれなりに努力しているのはわかるが、素人受けを狙って、内容も定性面が主体となり、「滲み出し」や「極微小漏れ」などの言葉遊びに快感を覚えているうちに、やがて技術図書にも載せられない程のお笑い似非技術噺の類に堕してしまっている。または「どうせ素人には判らないだろう」。
 出す方も出す方だが、消防も原子力保安院もよくこの程度のものを有り難く受け取るものだ。
同様に技術素人の、机上の定性論大好き人間ばかりか?それとも、「これ以上住民に危機感を与えたくない。何とか説明できれば、それで良いじゃないか」の同じ穴の狢たちか?(これと同様な記述も「防衛産業に緊急提言・営業コンサル・コンセプトは迅速・正確」に有った。明らかにあの時から流れはこちらに向かっていた)
だとすると余りにも地元住民の技術力を馬鹿にし、見縊ってもいる。
こんなやり取りを何度繰り返しても、事故の撲滅に繋がらない所ではなく、ますます助長する方向になる。
  
 昔筆者が丁々発止やりあった技術東電の戦士達は何処に行ったんだろう。
同年代か上だからもう定年か。それにしても東電技術の気風はどうなったんだろう。「事故報告は現地所掌だ、現地が勝手に提出して事後報告だから知らない」か?それとも物言えば唇寂しか?
彼らは違った。会社が何時までも世間の笑いものになっているなんて放って置けなかったはずだ。あの頃はそんな風潮は全く無かったが。
 また、他電力の技術屋はどう思っているんだろう。「明日はわが身で、人のことを心配する余裕は無い」か?折角毎日研鑽の日々が、同列に見られてしまうんだよ。リーディングカンパニーがこれじゃ。

対策は① 放射線監視設備CFCV電源の時と同様。② この次の雷事故報告の時は接地抵抗の値を記述する。

○ 原子炉隔離時冷却系ポンプ室内火災。21/3/5

  「帯電性ポリ袋に包まれたエタノール缶の位置をずらした際、ポリ袋に帯電、放電現象が発生し、保管箱底部に揮発して滞留した洗浄剤に着火した」とある。筆者の経験を越えるから判らないが、消防と保安院が受け取ったんだから、「帯電性ポリ袋が秒速何メーターのスピードで何センチ擦ったら、放電することが有る」と言う知見があって納得して受け取ったんだろう。

対策は① 可燃性ガス濃度検知器の使用。(ガスによっては、無ければ開発してやろうと言う気概も含めてだよ。精度は要求して無いんだから)

○ 予備品倉庫空調機モーター発煙。21/4/11

対策は① 当所なら、ベルト磨耗・切断検出には電流低の警報を支援警報システムで追加するね。実際はベルトは全て外観で見えるし殆ど省エネで保温強化で停止しているから不要だと判断してるけど。

○ 所内トランス火災。19/7/16

  「停止1.6秒後に発電機電圧の急激な低下と、一度ゼロになっていた電流が再度大きく増えた」とある。
 これを読んで思い出したのは、3,4年前JVの電気屋さんが、冷却塔ファンの極数切替時の停止タイマーを長くしていったことである。
聞くと、特に高速から低速に切り替える時、高速運転から一旦コンタクターが切れた後、短時間で低速コンタクターが入るとファンのイナーシャーと残留磁気で起電力が残っており、電圧位相によっては過電流が働くことが判ったので、コンタクターが入るまでの停止時間を長くしているということであった。
 これは誘導電動機の話であるが、同期発電機でも同じである。停止しても鉄心内残留磁気で短時間は電気が出てくる。
そういえば、チェルノブイリはこの電力をトリップ直後の機器保全に活用するためのテストで失敗したのでは無かったか。
 
 発電機がトリップしてからも暫く電圧があるとして、その出力は何処につながっているんだろう。IPBで主要変圧器、所内変圧器に直接接続されている。その間に開閉器は設けていない。
これは普通の火力でも同様であるが。その途中が地震で破壊され地絡・短絡するとスパークが起こる。近くに可燃物があると火災になる。
 IPBとは相分離母線( isolated phase bus)のことで、円筒の筒で囲われたアルミバーが3本発電機から、トランスまで繋がっている。IPB終端とトランス基礎の相対変位が生じ、ケーシングやIPB剛構造部がトランス口出しブッシングに強く当たると破壊する。
それだけで運が悪ければ、スパークと冷却油の揃い踏みである。
 またトランス2次側も、並列用遮断器まで同様にGISなどで接続されていれば同じことが言える。トランスで電磁的に結合されているから、2次側が短絡しても同様にスパークする。地絡の場合は接地抵抗の値による。

 これは不可抗力的発電であったが、原子力にはさらにMGセツトのイナーシャーのように積極的に電力を残しておきたいという希求が有る。この出力回路は、盤内を除きIPBの様な剛体構造ではなくケーブルのはずだから、地震時のダメージは少ないだろうが、何処かで相互接触すればスパークする。可燃物があれば火災になる。

対策は① 発電機⇔変圧器間に遮断器を入れ、地震事故時には開放してしまう。② MGセツト⇔再循環ポンプ間のケーブルに対してもMGセツト出口に遮断機を設け(これは有るだろう多分。しかし地震で開放するか否かは、再循環ポンプの重要性によるから、通常保護だけになるかも知れない)、基礎の相互変位に強い構造とし、周辺に可燃物の接近が無いような配置を考える。

 以上真面目に付き合ってきたが、もしかして筆者の方が笑われているかも知れない。
「あそこの事故報告は、どれだけ事象を面白おかしく脚色しているかを、反トンデモ本的に防災・原子力保安院、場合によっては反原発グループなど斯界の玄人が楽しむものであって、真面目に反論するもんじゃないんだよ。皆が楽しみに待っているのを知っていて頑張っているんだから」?
・・・この位言わないと、あの報告書のスタンスは変わらないね。

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May peace prevail on earth.

 文章を書いていて、常々物足りないことがあった。
内容が、ちょっと研鑽すれば誰でも書ける内容だからである。
省エネなんか、現場で何故なんだろうと疑問を持つ癖を付ければ、何れ回答が得られる範疇である。Delphi プログラムはプロから見れば片腹痛いだろう。4D相関図だって、3D図をちょっと拡張することに気付けば思いつく。
 要するに相対的範疇の記述である。
 実は筆者には、本当に書きたい、筆者しか書けないと思われる絶対的体験があったのである。勿論「そんな馬鹿なことは信じられない。俺なら絶対やらない」と言う意味で「誰も書かない」と言うケースも含んでであるが。

 blog では、技術的な内容で飛ばしているが、筆者の意識の中では、メタフィジカルな面、はっきり言えば霊的な面も全く矛盾無くシームレスに認識されている。
 技術屋マインドから言えば、オカルトの範疇だろうが、単純な実証主義におもねらない。次元が異なるんだから、この世の実証に掛からない方が当たり前だろう。霊界の有無(より高尚的には、それすらないと言う事であるが)などはこの世の次元で実証しようと言うのが、端から無理と言うことである。
両次元の統合的観点から見て、両者の動きがより合理的に説明出来れば、有るとすれば良い。It means that I keep my options open infinitely.【レッドオクトーバーを追え、Richard Jordan】
 「あの世が有るんなら実証してみろ」と言う言い方は、筆者には「俺には別の世の中を演繹する知能も(モチベーションも)無い。単純に(楽に)見たものしか認識できないんだから見せてくれ」と言っているようにしか思えない。
 とは言うものの、今のところ科学と宗教の統合(たまたまダン・ブラウン「天使と悪魔」を見て)などと言うこともありえないと思う。科学がその由って立つ基盤を逸脱してまで、歩み寄る必要は無い。
それぞれがそれぞれ純粋なスタンスを維持したまま真っ直ぐ進むことにより、例えば科学が高度な視点を入手した時、それぞれが合わせ鏡のように真実を記述するかもしれない。
 例えば、例は適当ではなくオカルトだが、「太陽は実は人が住めるほど低温なんだ。放射される波動が途中の空間で熱に変換されて、地球では熱く測定される」などという主張があるが、そんなもの口角泡を飛ばして論議しても (「太陽の赤道と極地の10日の自転スピードの違いはどう説明するんですか」と返せば黙るかも知れないが、現代科学もそれなりの考察で積み上がっているんだから、それに反して好き勝手何を言っても良いってもんじゃない) しょうがない。この世では太陽は6000Kと観測されるし、黒点はもう少し低温、この放射を受けて、半導体による太陽光発電もあるんだから、それを受け入れ享受すればよいのである。
 従って「全く矛盾無く」ではなく、矛盾を生じさせる対比がそもそも成り立たないと言うスタンスである。一方の次元の知見で、(もしかしたら高次の)他方を理解しようとする方がおかしい。そう考えると物事は非常にシンプルになる。
このスタンスでの、まさに「誰にも書けない」近年の行動に触れる。
 技術アイテムで来てくれている人たちだから、これを読んだら一斉に引いてしまうかも知れないがが、かまわない。

 物心付いてから、メタフィジカルな面にも興味を持つことが多かった。
神仏と言うものがあるとすれば、我々の心の一部を含む集合意識だと言う想いも有った。太陽をじっと見つめる時もあったし、戯れに精神統一で物体を移動させようとしたこともあった。
 幼少の頃悪事を働こうとすると、「お前がそれをやると、必ずこの様な罰が下るぞ」という極めて明瞭で確固たる意思が伝達され、それでもあえて実行すると、それは必ず実現した。あまりの確かさと、学習能力もあるから、1,2度で止めたが。
 予見と実現の一致よりは、予見伝達そのものの身近さに慄いたものである。目にこそ見えないが直ぐ後からの直接指導である。その距離感は、成長に伴い、雑多な思考に取巻かれ、ピュアーな精神が失われていくようになると、次第に広がっていった。
ノートの面に「神と対話できる数少ない存在」と書いて(自然に湧いてきた認識だったんだが)、友達に見せて怪訝な顔をされたこともある。
 また同様な動機で、「人は肉を食べなくても生きられる」ことを示そうと、暫くの間食餌から肉片を取り除いたりしたこともある。栄養士の賄さんには詫びを入れつつ。

 数々の齟齬の結果、天空を縦横飛翔するようにしてしまったミサイル群を仰ぎ見て「ああ、われら過てり」と、自らが蒸発するまでの僅かな猶予の期間、頭髪逆立つ恐怖と、断腸の悔悟と、血の悲涙にくれるビジョンと言うよりは古い記憶を思い出すに至っては、これはもう押すに押されぬパラノイアである。

 そして忘れられないのは「アセンション」と言う本を読んだことである。
「都市にはより一層カルマが渦巻いている。世の終りに、神の使いが○つのラッパを鳴らし、最後に○色の馬が現れるとき、都市は最もその影響を受けるだろう。都会の人々は恐れおののき山に隠れようとする。しかし私ならそうはしない。この体をカルマの真っ只中に留め、この身を神の御業のその光の媒体に供すだろう」幾つラッパが鳴ろうが、どんな色の動物が出没しようが知ったことじゃなく、記憶も定かでないが、もっと格調高いセンテンスで、この身を都会に留め神業に供すると謳い上げているのは強く心に響いていた。
 昨今の世知辛い終末論「貴方はこうすれば乗り越えられる」ではなく、狂おしいと言ってよいほどに、地上での共同歩調を繰り返し訴えていて、「そういう時になったら俺もそうしよう」、密かに決するところを喚起するに充分の力があった。

 また20代の一時期、某教団に入って、暁の祈りや、呼吸の訓練をしたことがあった。自分としては本物の宗教はここだという確信があったが、その後仕事多忙かつ脂が乗ってきて面白くなり、1年程で疎遠になってしまった。
「戻れ」と独身寮までわざわざ翻意を促しに来てくれた同志もいたが、「仕事が多忙で」と断った。別れ際のもの寂しそうな表情を覚えていて、20年後に会ったら、この人はその後宗教上大変な経験をしたらしい。もしかしてこちらも分担すべき何らかの役割があったのを、一人で背負ったのかも知れないが、そうだとすると申し訳ないことであった。
 俗事に係わりながらも、何度か戻りたいなと言う希求が生じたが果たせず、そして20年近く技術廻りの何でも屋として、フィジカルまたは正反対の分野の仕事に邁進することになる。
 エネルギー現場運転管理MITI担労組専従九州離島電気保守である。

 1990年代になって、狭隘事業所事業継続→新設建替工事の担当となり、常識的にはスクラップアンドビルドしかありえない中で、その選択の許されない困難な工事計画と格闘していたが、景観問題で計画は2年足踏みすることになり、景観へのソリューション対応で、フィジビリティスタディだけはスクラップアンドビルドを何度か繰り返して収斂させながら1995年に入った。
 1995年は冒頭に阪神・淡路大震災が勃発し、テレビ報道でこれは大変な事態になったと思ったが、さらにサリン事件が発生し、世は騒然としてきた。これはただ事ではないと思い始めるのと平行して強烈な憂波動に付き纏われるようになた。
これは説明しにくいが、一言で言うと「情けない」(自己懺悔の情けないではなく、他者に虐げられて情けない、自らの運命を呪った情け無い。要するに憤怒でない自殺者が最後に感じるであろうような思いに近い)と言う、人の恨みと悲哀のこもった想いが一気に掛かって来るような感じである。憂と鬱がないまぜになったような気分で押し寄せ、包み込んでくる。
何をしていても、眩い陽光に包まれていても気分が晴れることが無い。気を引き立てようと努力しても精神的には地の底を這いずり回るだけ。
 最初は、工事計画がクリチカルすぎてこれに没入する余り、鬱の気に襲われたかと思った。実際に工事計画の相方は何度もその様な状況に陥り、上司の命を受けて、個人情報だと言う足かせが有る中、病院に状況を聞きに行かされたりもしたが、それとも違うようだ。
 何もヤル気が無いのではない。工事計画などは、問題が出てきてもやがて解決できる。ただひたすら嫌な波に包まれるだけである。
自分から発したのではない。他から受けている。

 世紀末と言われる今の時節に関係しているんじゃないか。
「私ならカルマ渦巻き激変を免れない都市の真っ只中に留まり、この身を神の御業のその光の媒体に供すだろう」というかつて何度か読んだセンテンスが浮かび上がってきて離れない。
そして居ても立っても居られず、やがて毎日、仕事が終わるや否や首都圏各線の駅に直行し、雑踏の中で小一時間昔取った杵柄の称名をしながら立ちづくした。かつてCICGダイアモンドヘッドの中でやった事もあるが、真剣さは桁違い。
 
 通常ならとてもこの様な行動には繋がらないんだろうが、その波動のプレッシャーたるや通常の域を遥かに逸し、まさに自分自身のメンタルは「世紀末」以外の何物でもなかった。
あの時点で何時もと違う波動を感じなかった霊能者が居るとすれば、大した者じゃないんじゃないかと思われてならない。あるいは余程強力なガーディアンが付いているか。
 一時期、黒装束編み笠袈裟懸けの人たちが同じ様に駅や街角の雑踏に立って、あるいはお布施を集めていたが、こちらはそんな気楽な精神状態ではない。通勤服の普段着だが必死の形相で祈る。
 休日は時間が許すと、首都圏だけではなく、何故か新大阪、東名バスで浜松あたり、信州の松本あたりまで出張ったこともある。
 引き揚げは9時をまわる。事故多発の交差点などは近づけば判る。いかにも欲望の想念淀む繁華街。物悲しい区画。
夜遅くまでやればやるほど余計鬱が悪化するような気もするが、止められない。
 この間食べ物は殆どソバ位で、駅の盛り場の焼肉の匂いで気分が悪くなったりもした。今でもターミナル駅でその匂いを嗅ぐと当時を思い出す。
 しかしこの時、鶯谷駅の南口「天下御免蕎麦」を発見しているから、食い意地だけは喪失して無かったようだ。

 首都圏の祈り足跡が100箇所ぐらいになった9月16日(土)。何故か足は房総御宿に向かう。砂丘に立って大海原に向かい必死に祈り、月の砂漠記念館の見物もそこそこに帰りの電車に乗ると、大原駅辺りで、大型の台風が近づいているとのニュース。
その翌日翌々日は風雨のため休み。さて再開しようとするとまるで(または文字通り)つき物が落ちた様な脱落感。出ようとする気が起こらない。それでも行動にはイナーシャーがあるから、2日ほど最寄の駅でスケジュールを消化したが、その後プッツリと途絶えてしまった。

 実行するのが精一杯でこの一連の行動は何の意味があるのか深く考えなかったが、その後、ニュースで聞いた大型台風と関連があることが判った。
この超大型台風12号は、伊勢湾・室戸台風に比肩する大きさで、関東地域に上陸寸前だったのである。
 各級防災組織は相当の被害を覚悟して待機していたそうである。これが上陸すれば、神戸震災・サリンに次ぐその年3つ目の大惨事になるはずであった。

Tp12

 その到来の霊的意味を感知していた向きもあるようだし。一堂に会していた別のある訓練されたグループは、一気にその能力を発揮し見る見るうちに台風進路を変化せしめたと言う。
 お判りだろうが「進路が変わるのは不思議でもなんでもない。偏西風か高気圧の配置のせいだ」と言うのは的外れである。それが何故そうなったかの話だから。
 筆者の孤立・緩慢の奮闘も、店じまいの時の心の動きとタイミングの一致から、これに対応したものだと確信しているし、無名の同様な人々の同種の活躍があったであろうことが強く想起されてならない。
 この事態が終わっても、しかし鬱波動はTPOにより益々強くなる。これだけやったのだから、また入れてもらえるだろうと、昔通った教団の門を再び潜った。殆ど20年ぶりだが、懐かしいやら有り難いやらで、滂沱の涙。遅れを取り戻そうと言うのではなかったが、鬱波動を祓い清められるならと、精進カリキュラムを積極的に消化しようと努力した。
 
 例えば教団では、年に一度ピラミッドの中で数時間瞑想する行がある。これを申し込んで前々日、暁の祈りを始めるととたんに腹痛と下痢と嘔吐に見舞われた。その後ずっと上から下から吐き出しながら2日間過ごしたが、これはピラミッドの行が終わるまで続き、帰りのマイクロバスでようやくかみさんが作ってくれた笑ってしまうほど小さい直径1インチ程の具無しおにぎりを、時間を置いて2個消化することが出来た。
余程業が溜まっていたと思われる。

 一方仕事の方は着実に進み、合理化案どしどし実現して既設関連工事費は75%の実績、勿論無事故無災害で周辺設備建設切り替え、既設周辺設備撤去、更地にして新設設備建設部隊に引き渡した。
その後このまま新設建設を続けようとも思ったが、それまでの強権などもあったかも知れないが「一息ついてくれ」、本社に栄転らしいとのこと「新しい血で進めてもらうのも良かろう」とそれ以上の根回し活動はしなかった。
 転勤の辞令があり、送別会に数十名集まってくれた。「よく空を見つめていたが、本社では普通にやってくれ」と言う暖かいはなむけの言葉も頂戴した。
「本社事業部は15年前に経験している。部の初代OA委員もやったし、通産の廊下とんびもやった。今行っても面白い仕事は無いんじゃないか、悪い予感がする。」と挨拶したが、事実その通りになってしまった。
 広告会社とPR館のコンセプト作りや、現地工事費の管理をやったりするが、前から、コンセプトを考えるなどと言うものは、真贋の見えない人を誘い込もうとするだけの虚業だと思っているし、工事費も自分の知恵を絞って下げるわけではない。現場主義で飛び歩いた身にはとても間が持たない。関連部署が多数、何度も集まっては閑々諤々、時間だけが過ぎる毎日。
鬱波動も益々強くなりこそすれ、解消されない。世紀末が喧伝される今、他にやるべきもっと重要なことがある気がしてきた。3年前に一つの形もやって見せた。
 鬱々と楽しまない日々を送りながら、状況の変化を祈念していたら、唐突に組織改革で早期退職優遇制度が出て来た。50歳で最も退職金の上積みが多い。80日の準備休暇ももらえる。
「そうか、条件が整った」確信に変る。新制度に一番で乗ってやるのも30年お世話になった会社への最後の奉公。
 家族には、「この2年間だけで良い、好きなことをやらせてくれ。小さい時からこの時のために生きて来たという確信があるんだ。後はまた真面目に仕事するから」と言うセリフで不祥不祥首肯させ、手続きしたら、「だからおれは大幅上積みはだめだと言っていたんだ、自信のあるやつから辞める事になる」と労務担当の先輩。また部筆頭課の課長 (更新計画時の本社側担当) はリップサービスか「おれの後釜に考えていたのに」と言ったがもう遅い。

 翌日から単身、首都圏世紀末無事越年祈願の行脚が始まった。
基本的には前回と同様だが、それに印を伝授されている。
 また、釈尊がその前世でおこなったという行に似た、道行く人に「貴方は神なんです」と想念する行もあった。これは2年間で延べ200万人となった。東京・横浜の7人に1人の上に意識を止めたことになる。
 今ノドンが飛んで来ても怖くない。首都圏には結界が結ばれている。The understanding of God is not our understanding.God is our refuges and strength.【天地創造、ジョージ・C・スコット】
 足は電車とバスと地下鉄で街頭・公園・墓地所かまわず祈り、印を組んでいく。気付いた人は奇異の目線を呉れるが、知ったことじゃない。何を見ているんだろうと虚空を見上げる視線をたどる人も居る。
 それに無収入だし、肉体要素の希薄化にも好都合だと、食事も一日1000カロリーに落とす。これを2年間続けた。当然禁酒禁煙。久々に会った後輩が痩せて顔色も悪いと心配してくれた。その時の渋谷でのビール一杯が殆ど1年ぶり。

 第3者は呆れるだろうが、本人には「今の行動が間違っていない」と確信させる出来事が次から次へと出てくる。
 例えば池袋で、都全体を見下ろせる、ゆっくりと祈れる場所を見つけた。印を組んでいるとやがて頭上をヘリコプターがやたら飛び回りだしてちょっと尋常ではないので、かみさんに携帯したら、例の池袋のサンシャイン通りの殺傷事件勃発の瞬間であった。
また、古川橋の近くで祈ったら翌日に首都高速の車両爆発事故が発生するようなこともあった。
要するに事故や災難の至近の場所、時点で祈っているのである。
 中目黒の地下鉄事故後の現場は当然祈ったが、事故前にも確か何度か近くに出没している。
 日本だけではない、外国の大使館も祈りの対象となる。
あるとき、「韓国大統領が来日との事だがあの中に居られるんだろうか」などと思いつつ麻布台の坂を下りたが、その日の午後に曙橋をバスで通過中、ちょうど反対から来たバスに急に乗り換えたくなり、それで女子医大の前まで来ると大変な人だかり。降りてみると大統領夫人が隣の学校を視察訪問とのことで、ごく近くでご尊顔を拝することもあった。この時は流石に大きく印を組むチャンスは無く、静かに韓国の平和を祈っただけである。どこにSPが居るか判らないから。
 この様に、当時は「ああ、これもそうなのか」と思い当たる事柄が一杯あったように記憶しているが、今具体的には一々思い出せない。

 20世紀最後の年、いよいよクライマックスが近づくのが判る。
年が変って教団のピラミッド神事が改めて申し込めることになったが、当初はあまりその気がしなかった。
数ヶ月経ってようやく申し込み、前回のような下痢も嘔吐も起こらず無事終了して帰り際、尊顔を拝した理事長さんに挨拶したら、「今日は」とにこやかに返されたが、翌日唐突に「日時を合せて、全員一斉に祈り印を組むこと。これを年一杯続けよ」と言う神示が会員一斉に通達される。「昨日は理事長さんも余裕の表情だったよ」と思うが、こんな指示形態は初めてである。ピラミッド神事を受けたくなったタイミングがくっきりと際立つ。
 日時とは、7日、14日、21日、28日の、7時、14時、21時からそれぞれ1時間である。待ってましたとばかり、早朝出来るだけ都心近くと言うわけで、7時には日比谷公園などに滑り込み祈るスケジュールを始めた。
 晴れの早朝の日比谷公園は気持ちよい。四方に向かって印を組む。何度も霞ヶ関に向かって組みながら、「これをやって役所は大丈夫なんだろうな」と思っていたら、その後急激な勢いで、汚職・辱職の露見・告発が続いて、さも有りなんと思った。
この辺、誰か2000年前後の露見件数の比較をしてみてくれないだろうか。この上ないエビデンスになるんだが。

 祈りは、東京・横浜の中心部全域で、地図を見比べながら殆どじゅうたん爆撃のように祈りの足跡を残した。祈る場所は直感に頼るところも多かったが、意識的にも効果的と思われるところを選んだ。特に墓地、刑場跡地などであり、また歌舞伎町界隈は、かつて逆の立場で馴染になったところでもあり、頻度は少なくなかった。
東京タワーの下にあるような小さな祠も拝んだし、幾つか有る富士塚にも昇って印を組んだ。
 神田の古本屋も一軒一軒覘いた。東京女子マラソンの日には水道橋のガード下で戦列と遭遇したが、これの出来る我が身が無性に有り難く、うれし涙にくれながら御茶ノ水の方に坂を昇った。
 数万人の同士が、今同様に祈り、印を組んでいると思うと、自然身も入り、気も強くなる。
鈴が森刑場も幾度か祈ったが、慰霊碑の前に座り込み、危ないかなとも思いつつ「貴方達の思いは、俺が受けてやる」と念じて、印を組んだ。
南千住の回向院、伝馬町なども同じであるが、これは人には勧められない。
また、本郷の麟祥院では、慰霊碑に向かって印を組み終えてふと後ろを向くと、一瞬何百人のギャラリーに囲まれているようでびっくりした。
  
 途中で霊視能力が開きかけた時もあった。繊細さが最高潮に維持されている段階で、秋葉原の電気屋の階段で事のほか憂波動が強くなり、立ち止まったら、踊り場の壁からスターゲート状に残ばら髪を振り乱した、「情けなや」という恨み想念一杯の水死体と思しき顔が現れた。
何か想起するより早く「危ないっ」と言う意識が先行し、下腹に力が入り強力な意思でゲートを閉じてしまった。これ以降2度とその様な状況は発生しない。ちょっと残念な気もするが、多分耐力不足なんだろう。

 個人的思いばかりでエビデンスが無いので、誰でも調べられる事を一つ紹介するが、差し支えが大きいので、来訪が多くなるとこの段落は削除することになる。
 一連の工程の中の7月25日、皇室では香淳皇后の斂葬の儀が行われた。ところが海外からの弔問臨席も多い中、皇太子妃のご出席が無いのである。下世話で言えば、祖母の葬儀に跡取りの孫の嫁が出席しないのである。それも海外からの弔問も多い名家である。
これは余程体調が悪いんだろう放って置けないと、有って無きが如しの予定を変更して四谷から赤坂、青山1丁目の角を廻って、脂汗とへっぴり腰で祈りながらグルっと一回りした。光が降りてくるのを念じながら。
すると7月31日には、岐阜での高体開会式にご出席になるとの事で、観衆ににこやかに手を振っておられる。
 このような1週間での変貌を、何方か合理的に説明できる人が居たらお願いいたしたい。

 やがてK2問題も含め、大過なく世紀が変わり、家人との約束どおり新しい仕事に付いた。
欝波動も消えていた。
 しかし、人の行動にはイナーシャーがある。また「更にニューヨークで祈りたい」と言う痛烈な思いがあった。これは時既に遅くなったが、「宗教はこれっきり」と約束したものを、ばれないだろうとこっそり参加していたら見つかってしまって、娘が泣きながらかみさんの実家に駆け込むに至って、やむを得ず縁が切れた。今は心の中だけで、称名をするとすれば「天之御中主大神」「至誠聖天老祖」である。
 欝波動は消えたが、刑場での約束も有ってか、固有の業か知らないが、疾病を得て耐えている。しかし肉体の苦痛などは、あの精神的苦悩に比べればまだましである。
 途中で会った霊能の開けた人に「今守護霊さんが七転八倒で苦しんでいる」と言われたことがある。時節柄、集まっている全員に対する一般論かと思っていたが、昨今、あれはもしかして「貴方の」が抜けたか聞き取れず、更に10年後の現在の姿を霊視して「守護霊さんの七転八倒」と言う指摘になったのかも知れない、とも思う。
と言うのは霊能の有る人の話を聞くが、どうもこちらの想念または背後を感受して話しているように思える事が多かった。回答や内容が全てこちらの思っている通りなのである。数値なども一致し、質問しても、確信にはなったが改めて教えてもらえることは余り無かった。
 しかし霊視に関しては、こちらに無いことで、大変参考になった。
ある時車で移動中、運転者が唐突に方向感覚を失い「あれっ、あれっ」と言いながら、空き地に車を乗り入れ方向転換しようとしている。「これはこの地の霊が、4人の光で清めてくれと呼び寄せたものなんだ」と言うようなことがよくあった。
彼は、秋葉原の水死体のようなのの出没は日常茶飯事だと言うことで、それはそれで大変な毎日だと同情する。

 また一連のイベントが終わって落ち着いてからだが、思いもよらない褒美を頂くこともあった。
常々かみさんが実家の90歳になるおばあちゃんの近くに引っ越して身の回りを見てやりたいという希望が有り、一度横浜行脚の途中で、市バス終点の車庫で乗り換える時、素晴らしいマンションの築山やキャナルの工事中なのを見て「好条件だ、こんなところに住みたいな」と思ったが、当時はそれ所ではなくそれっきり忘れていた。一戸建ても買ったばかりで、ローンもかなり残っていた。
 どういう経緯か忘れたが、不動産屋の紹介があり、実家の近くに良い物件がある。抽選に当たった途端に転勤で、住むことなく中古として売り出しているというのである。
場所はかつて仕事の関係で、土壌調査関係の調べものをしていたらインターネットで引っかかって覚えていた、もと自動車教習所の跡地である。
 見に行くと何と、かつて「住みたいな」と思ったマンション群の1室である。「ははーぁ、そう来ますか」である。人智の度し難さを思い知る。住みたいと思ったが、その可能性さえ思いよらなかったからである。
更に、眺めが良いと売り出し時のパンフのMM21の写真をとった代表的な眺望の部屋だと言う。
 更に、ローンの借り換えになるがこちらは新しい仕事を見つけたばかり、大銀行は勤続不足で借りられないと言う。「何を言っているんだ、社会人になってこの方お宅一筋、億の取引実績があるじゃないか」と言っても、ルールは曲がらない。
不動産屋さんの紹介で別の都市銀行にお願いしたら、1%強の低利で貸してくれると言う。計算したら今までの返済の月額2/3。
 更に、無収入期には当人の食費を切り詰める経験も積んでいる♪。返済枠も増やして5年程で瞬くうちに完済してしまった。
 今かみさんは頻繁に、相鉄で一駅はなれた実家に徒歩でもいそいそと通っている。

 「神よ、我を使いたまえ」と取り返し念じている。今精神的には、次のお呼びが掛かるのかどうかじっと待っている状況である。何時でも投げ出す心構えは出来ている。
2012年というキーワードが喧しいが、どうなるか判らない。唐突に指示が来たりするからである。上の方でも状況を見ていて、必要な対応をどんどん仕掛けてくるように思える。
しかし、今かみさんが鍋料理の肉を「満腹だ」と断ってもどんどん盛り付けて呉れるから、暫くは肉体波動を希薄化する事態にはならないようだ。

 この様に筆者の意識の中では、フィジカルとメタフィジカルは共存している。実証する必要は無い。のべつ無く起こる体験から、実際にあることだと確信してみせる必要さえ無い日常茶飯事だから。
 実証してみせるつもりはないが、もし上からの確たる指示があれば、エジソンが最後に手掛けようとした霊界通話装置でも、永久機関でも何でも果敢に実現させようと取り組むだろうとの気持ちは強いものが有る。

 技術系の貴方、これを信じられるだろうか。

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機会や機械が薫陶してくれる

 おそらく筆者は技術屋(専門技術は無いから技術周辺?)としては最も面白い人生を歩かせて貰っている。今もそうで、syo-ene はその1Phase に過ぎない。
 標記は適当な言葉遣いではないが、当人としてはその様にしか感じられない経験を何度もしているので触れてみたい。「なんだ、あること無いこと滔々と」と思われたら飛ばしてもらって良いが、受けようと無理をしている所はあるが、内容はこれでも控えめである。

 *** GE系油圧制御 ***

 GE系の油圧制御との縁は、社会に出て直ぐだった。
当直に配属され、先輩の講義を拝聴し現場パトロールに同行する。員数外半人前。
タービンの上に昇って、「これが、さっき説明した蒸気加減弁だこれが第1、こっちが第3」
「なるほど、ところで第1加減弁のローラーがカムに乗ってないんですが」
 加減弁の開閉制御は、スプリングの力で閉まろうとする弁シャフトを、油圧機構から駆動されるカムが回転してローラーを押し上げスプリングの力に押し勝って加減弁を開くようになっている。

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 従って、加減弁が開いているのに、ローラーとカムの間に隙間があるはずが無い。
もちろん弁が全閉以下のときは、カムはずっとバックしていてギャップは出来る。
事実、第3加減弁は全閉のため隙間があるが、第1加減弁は起動時最初ッから開いているはずであり、ここに隙間はあり得ない。
 講義のときシンプルだがうまく出来ているなと感心して拝聴していたので、その理屈に合わないことが出てくると、こだわりたくなる。
「これはどこかおかしいですよ」
 ところが先輩の方が黙り込んでしまった。
これが正常で、自分の理解のしかたがどこか違っていると考えているみたい。
中央制御室に戻ってオペレーターに報告するが、なんせこちらは入ったばかりの新米、研修中の身。当直長も現場を見るが信じてくれない。
 やがて、初期運転も落ち着いてきていたので、徐々に引上げ準備を始めていたメーカーのスタートアップが顔を出し、
「ああこれは、加減弁がスティクしてますね、解除するには加減弁を大きくスイングする必要があります」
 高圧蒸気の内部と外部の貫通部は蒸気の漏れ出しを抑制するため、非常に小さな間隙のラビリンスになっているが、そこにスケールが噛み込み弁がスティックして動かない状態だと言う。
 指令所に出力変化を要求し、増減出力を何度か繰り返すと加減弁の動きはスムーズになりやがて、ローラーはカムに鎮座ましました。

 *** 偶然の妙 ***

 その2年後、新号機に初めて、それも何気なく行った日に不具合に遭遇した。
その日は、だれかの休暇の代直で、お客だから軽く1号ボイラーパトロールでいいよと言われた。
「そういえば2号の現場まだ見てないな、これから長い付き合いだから挨拶に行こう」と思い立って早々に1号ボイラーのパトロールを切り上げ、そのまま何故か2号タービンを廻り始めた。

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 主蒸気止め弁からタービン本体下の加減弁点検架台を昇って近づくと、普通と少し違う音がする。
1号タービンと音響が違うのかなと思って聞いていたが数十トン3000rpmの本体の騒がしい回転音の向こうに、僅かな蒸気漏れのような音。
 タービン入口蒸気は167kg/cm2、566℃ (1050゜F)「蒸気漏れがわかっても絶対近づくな」これ鉄則。この温度では保温の中の鉄も真っ赤、蒸気も霧にならず目に見えない。
 聴診棒にウエスを縛り付け、突き出しながらリーク音のする方に恐る恐る昇っていくと、加減弁室温度計取り出し辺りで、ウエスがたなびく。
さぐっていると、高温蒸気のせいでたなびいている白い布がたちまち褐色に炭化してくる。
「蒸気リーク、間違いないっ!!」
オペレーターに連絡→皆で確認→メーカー連絡→停止手続き→クーリングダウン→タービン停止→更に数日かけて冷却。
 調べると温度計ウェル溶接部 (10年前のもんじゅの事故と同じもの、もんじゅはナトリウム漏れこちらは蒸気、深刻さのレベルは全く違うが) にクラックが入っていた。

 一段落して、課長代理がきて「表彰したいんだが、10分前に本来のパトロールが通った後なので、表彰したらそっちを罰しなければならない、今回は勘弁してくれ」、毛頭期待してない。偶然の妙を楽しんでいるだけ。
だって、正直 (筆者の性質のことじゃない。本来の当直勤務のこと) ではオペレーターだったから、暫く現場には行かない。これが偶然一つ目。
1号ボイラーからなぜか2号タービンに行きたくなる偶然、これが2つ目。初めて新号機に行ってという偶然、3つ目。

 *** 指示者・被指示者・修理担当 ***

 ついでに蒸気サイクルの給水過熱器について。
タービン復水器からボイラーエコノマイザーまでの給水系統は、復水器ホットウエル→復水ポンプ→低圧給水加熱器→脱気器→給水ポンプ→高圧給水加熱器→ボイラーとなっている。
 給水加熱器はそれぞれ2系統あったが、あるとき所長がやってきて、「日報で見ると高圧給水加熱器出口の温度指示に2系統で差がある。異常じゃないか」とのご指摘。
 たしかに280℃以上の温度にA系B系で数℃の差があるのは気づいていたが、通常そのような差が出ることは考えられないので、温度計の水銀が飛んだか何かだろうと、勝手に判断してずっとめくら判を押していた。
「本体に異常があるのではないかという観点で調査せよ」
 温度計を交換したが、差はついたまま。
温度計がウエルにちゃんと収まっているか確認するが、問題なし。
 これは本物かなあと思いつつ、高圧給水加熱器の片肺運転、途中の抽気(蒸気サイクル効率改善のため、タービン内で仕事途中の蒸気を部分的に抜取って給水の加熱に使う)を色々なパターンで停止するとヒートバランス計算で8台の高圧給水加熱器のうちのひとつが充分に機能してないという計算になる。
 本来、そのような事態になれば、抽気のドレン(復水)量に変化が現れ、ドレン調整弁の開度からも異常が発見できるはずであり、これに変化が無いためめくら判となった部分もあったが、後で反省すれば、ドレン調整弁ポートにはスケールの付着が進行し、ドレン量と弁開度は必ずしも一致しないことがあることを失念していた。
 その悔しさもあって、原因は給水仕切板穴明きによるショートパス。穴の大きさは計算で直径32ミリとまで断定してレポートにまとめた。
その次の定期点検 (定検) 時に水室を分解し、点検したところほぼ算定した通りの大きさの穴明きが発見されたらしい。

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 その10年後、勇退された所長のご自宅に時々のみに行くという先輩がいて「昔ヒーターの穴明きを見つけた」と自慢話を聞いたという。
一度いっしょに行きましょうということで2人で酒壜かついで訪問し、昔話を始めたらやはり出てきた。
「高圧給水加熱器の温度が違っていて、穴あきだとの確信があり、定検であけて見ろと指示した。分解するのに1千万円かかると、補修課長と運転課長が2人揃って猛反対したが、頑としてやらせたら思ったとおりの穴が開いていた」
「そうでした、そうでした、あの時所長のご指摘で、調査させてもらったんでしたよね」
尊敬する先輩だったので精一杯気を使ったんだが、その配慮、成功したかな?
 これを聞いてやっと納得した事があった。

 「計算では穴が開いていることになるが、本当のところはどうか。水室が開く当日は、溶接部がカットされ仕切り板が現れるのを、今かいまかと手に汗を握りながら待っていた。大砲のbreechのような(当然直径だけは、大和の主砲より一回り大きい)水室が下ろされ、現れた仕切り板は、おおどういうこと。計算どおりの直径の穴が開いていて、やったぁ。思わずVサインでついでにレポートまで持ってきて、物証と一緒に写真に納まった」なんてことは全くない。
途中で、このトーンはおかしい、いつものペースじゃないと気付かなけりゃ読者として本物じゃない♪。
レポート出したらもう終わり、間違ってたらどうしようなんて少しも心配しない、というか興味が無くなる。だって、温度指示が正しかったら、学校で習った理論どおり計算して、それしか有りえないんだもの。
 定検に入って2,3日たった休日、寮の鉄棒にぶら下がっていたら、補修課の担当が来たので、
「そう言えばヒーターの水室開けた?」
「うん」
「仕切り板穴開いてた?」
「うん」
「計算どおりの大きさ?」
「うん」
「Thank you, you've been helpful.」
 その時はずいぶんつっけんどんなリアクションだなと思ったが、今気付いた。つまり彼は空けるのに反対した補修課長の部下であり、自分の仕事。一緒になって反対したか、もしかしたら反対の筆頭者。
嫌々開けた結果がレポート通り。相手に下るのは面白くない。

 *** ドレン量と弁開度は必ずしも一致しないことがあることを失念 ***

 知らなかったのに恰好つけてるわけではなく、本当に失念していたのである。
 そのちょっと前に、高PH環境・高圧で、Feイオンを含む高温水が、調整弁ポートを通過し膨張する時、イオンが酸化鉄となってポートの下流側に析出する問題などを、電気現場技術という雑誌の執筆依頼で書いたことがあり、頭には入っていた。
 依頼の題名「給水加熱器の保守点検の実際」
執筆依頼が名指しで来るほど有名じゃない、当たり前。会社に来た依頼が、最終的に当事業所の当直から日勤に出たばかり、29歳の若造のところでルーレットの針が止まっただけのこと。
 当所の給水加熱器は管板からの漏洩、ドレンアタック (抽気が復水に戻ったときに加熱管にぶつかり管を侵食する) による漏洩が多発しており、聴音による判定などはお手の物。4,5人で聴診棒で聴いて、チューブ漏洩の有無で間違った判断したことない。
修理の方も会社の中では経験豊富だろうで白羽の矢。
 そしてあいつが相応しいだろうと、上からご指名選任されていた執筆予定の大先輩に突如の昇格転勤辞令。交代で日勤に出ることになった筆者にお鉢が回ってきた。但し修理担当と連名。
次のような内容で升目をうめて原稿用紙27枚プラス図表つき、原稿料3千円か5千円。
  ○ 高圧給水加熱器チューブ漏洩の検出方法
  ○ ドレンアタック対策の具体例
  ○ 縦型給水加熱器管板補修の問題点
  ○ 低圧給水加熱器真空側空気吸込みトラブルと発見方法
  ○ ドレン調整弁絞りによる溶存鉄析出の問題点
 締め切り間際に鬼怒川レクレーションがあり、東武特急車内で原稿書上げ(本当にしらける奴۵)の台にするため原稿料を当てにして買ったのが現在のアタッシュケース。以来、海外組合を問わず旅行のお供は何時もこれだけ。この間はワイン1本入れて長岡に
海外ホテルのパジャマ代わりの浴衣、スリッパ、ドライヤー+電源プラグセット、髭剃り、着替え全て入ってしまう。勿論帰りのカミユのブックプラチナ3個は入らないので別途紙袋。
原稿料では足が出たが、30年間使ってもと取った。
 しかし、会社もこんな若造にそんな原稿書かせて大丈夫だと思ったんだろうか、失敗したら世間に恥かくところだった。
その後「成功してよかったけど」とつなげたいんだが、実は本に載ったの見てない。原稿料も間違いなく貰ったし、共同執筆者は雑誌を入手したと言っていたが、自分は仕上がり見ていない。
終わったことは、あまり気にしない。普通は記念にとって置くんだろうけど。
これで「失念」。または頭だけの理屈で「応用できなかった」。

 *** 骨董品在庫一掃セール ***

 長崎の孤島の電気設備のお守りをした。



 アンローダーが4基あり、横行・回転は単なる交流モーターだが、アームとバケット(1掴み10トン)の巻上、前後進、開閉はミニコン+リレー+レオナードのハイブリッドで制御され、オペレーターのレバー操作でコントロールできるようになっている。
ところがこれに、原因不明のトラブルが多発した。
すぐ動かなくなったり、不要な動作をしたりする。
 運搬船は日本郵船の6万トン船で、これをほぼ3日で揚げるスケジュールだが、万が一アンローダーがトラブルと遅れが生じ、そのペナルティは滞船料1日300万円。滞船料は当然荷揚げ業務を請け負っている協力会社に負担がかかる。
したがって、トラブルは直ちに担当筆者に連絡が入り、おおよその状況を聞き、オシログラフなど点検機材をアンローダー電気室まで運びあげる。
これだけでも一仕事。
 そしてオペレーターに故障の内容を詳しく聞くが、現地採用の人が多く、レアーな九州弁でかつ興奮してまくし立てられると、ヒアリングできないところも多い。
制御装置もハイブリッドで入り組んでいて何処がトラブルの第一原因か突き止められない。
 ミニコンプログラム、オシロ波形を解析するが原因不明のまま正常に復帰したりする。
何時までも直らず、時間だけが経ってくると、後ろに7、8人の協力会社社員の人ぶすま。
無言、有言、九州弁のプレッシャーがかかる。
 どうしても判らないと、メーカーに確認するが、携帯の無い時代。電話は事務所、アンローダーとの連絡用ページング装置を介して、隔靴掻痒のやり取りをする。
システムはT社製で、相手は東京府中。
「直ぐ来てくれ」といっても航空チケットを取って、船でも渡るから1日半はかかる。
従って、自然直営補修が主となり、ユーザー技術の重要さを身をもって嫌というほど思い知る。
 休日に長崎に出ようと山の上から事業所を見下ろし、入船してないか4基のアンローダーが忙しげに働いているとホッとする。

 ある時ふと何気なくアンローダーに登って、正常運転中の制御装置の挙動をじっと見ていると、リレーの中にチャタリングと間違えるほど、激しく開閉動作をするものがある。
良く見ると、それらだけ接点廻りに微細な銅紛も付着している。
ブレーキソレノイド駆動用についている容量増幅のためのリレーである。
その動作を再度ミニコンに信号として取り込んでいるため、接点が荒れるとミニコン動作も不安定になる。
 同様機能のリレーをリストアップしたら1台当たり24個程度、計100個。筆者 (新米課長代理) の決定権限50万円相当購入し、無条件に全て交換したらトラブルは解消した。
 事業所は出来て4年目だったのでレオナード制御も意外だったが、ミニコンのメモリーがコアーだと知った時は心底驚いた、T社の骨董品在庫一掃セール買わされたんじゃないか。

 *** 腰抜け2丁拳銃 ***

 共通コントロールセンターという母線は電圧は440Vと低いが、一般的に受電先が事務所や通信、補助油ポンプ、消火ポンプなど共通かつ重要なものが多く、ここの停電作業は補機をあらかじめ別系統から受電しておくなど準備が大変である。
保安規定無視の確信犯か۵ しばらく点検していないことに気付き準備を始めた。
 切り替え時の短時間停電なら許せるが、8時間の連続停電は許容出来ない受電先十数か所を、仮ケーブルで他の母線に繋ぎ替える。
仮ケーブルといっても、電圧が低く容量が大きいためケーブルも太い、100sq以上のがゴロゴロ共通コントロールセンターを中心に広がる。
布設も接続も重労働。
 1週間かけて準備していざ当日、順次停止していって、事務所電源を止めようとすると客が来た。

 総務から連絡されていたが、出来たばかりの長崎の中国領事が土曜日にわざわざご来所。
公式行事でもなく、アンローダー積荷の関連か何かで来所のこととて、所長以下最少人員で対応し、先に進めていた共通コントロールセンタ停電作業も予定通り実施するという方針だった。
 ところが、中国領事の周りに一杯張り付いている、赤いネクタイで鋭い目つきの人たち、
「事務所停電は困る、警備に責任が持てない」
「後から来たそっちが悪い、天気も良いし明るいじゃないか。島にゴルゴが現れたという情報は無いし、ジャッカルはパリでルベル警視に射殺されたはずだ」
なんてとても言える雰囲気ではない、懐にチャカ呑んでる。
 こっちは丸腰、実力行使になったら絶対勝ち目は無い。
昔、早撃ちの練習した記憶はあるが、ボブ・ホープ【腰抜け2丁拳銃】やタイ・ハーデン【バルジ大作戦にも】の西部劇を見てのイメージトレーニングが主だったし、fanning で命中率もイマイチ、子供の時の事でそれ以来やってないから、めっきり腕も落ちてるだろう ۵
「停電は来週にして下さい」

 次の週は来客も無く、停電の邪魔はない。
 メガー測定すると、ある線はゼロ、危機一髪。
また、揚炭桟橋の受電盤はウエスで拭くとかえって悪くなる、拭けば拭くほどメガーは落ちてくる。
作業終了時間は刻々と迫るが受電できる状況にない。盤を開けた時、粉塵でかなり黒かった。「そうか」

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 ウエスで、かえって微粉の汚れを広げているんじゃないかと思い立ち、軍手を脱ぎ、率先して素手でケーブル被覆表面の汚れを揉むように拭い取っていく。
作業員も見守っていたが、同じ様に頼むとメガーは瞬く内に回復した。

 *** 呼吸器疾患は? ***

 古い設備では、直流回路のマイナス・ケーブルに粉塵が長い期間に亘って付着し、堆積しているのは知っていたが、唐突に中央制御盤のバックヤードを中心にして直流回路のケーブルに同様の症状が発生し始めた。
粉塵の発生原因がなかなか掴めなかったが、各担当で近年特別な変更をしたことが無いか調べると、1年程前、建築担当にて制御室の空調加湿水を純水から、原水に変更したことが判った。
 加湿装置が加熱蒸発式であれば、水中の混濁物質は缶内にスケールとして残るだけであるが、超音波微粒気化式であったため、混濁物質が微水粒中にキャリオーバーし、水の気化に伴って単独で空気中に浮遊し、長期間に亘って直流回路に付着したものであることが判明した。
 制御シーケンスはほとんど直流であり、ケーブルの被覆にちょうど理科の時間に磁石に振りかけた鉄粉を細かく白くしたような具合で、混濁物質が付着している。
ケーブル被覆のは飛散しないようにふき取ればよいが、問題はリレー接点に付着している場合である。どんな重要な回路に付着したか外見での点検は不可能。
 緊急時に接点はONしたが、接触抵抗が大きくて次の重要リレーをドライブできず機能が働かないことを想像すると、ぞっとする。

 しょうがない。リレーテスターを購入し、接点の接触抵抗を測定して、多くは無かったが規格外のものを交換した。
但し、何百個ある全てのリレーを試験するわけにも行かないで、アクリルの透明ケースに穴明きのある接点が明らかに外気接触のものは全数、ケースで密閉型のものは抜取りチェックとした。
 更に当該制御室シーケンス全回路について、接点接触不完全の場合のシーケンス挙動解析を行い操作員に注意喚起した。
「この回路のこのリレー、万が一接触抵抗が大きいと、このスイッチ操作してもこれが動かない場合があるので言ってきてね」
 結果としてこれに起因するトラブルは発生しなかったが、今反省すると、機械はトラブラなかったが人間の呼吸系統は大丈夫だったんだろうか。

 *** 肺炎なら直ぐ治る ***

 リレー接点の接触不良も怖いが、直流接地もそれ以上に怖い。
不完全接地なら抵抗にもよるがまだ余裕がある。完全接地が出ていて、更にもう一箇所接地したら大切な直流電源の短絡か、そうでなければリレーを不要に励磁し、重要なインターロックを動作させる可能性がある。
 東シナ海の暴風雨のあと2,3日後、不完全接地がよく発生し、判る範囲で雨水浸入防止対策を強化したが、たまに完全接地も起こり、たしか東北電力関連会社が開発したという接地検出器を購入した。
 直流回路は高抵抗接地しているため、健全な時はP極は対地間+50V、N極は対地間-50Vであるが、完全接地すると接地した方が対地間0Vとなる。
 ブレーカーやヒューズで切っても支障の無い回路があれば停止してみてそれで直るようなら、その範囲に接地箇所がある。
調べる範囲の適当なところ、普通は大もとに880Hzオーディオ波形を印加し、トレーサで順次サーチしていく。
完全接地だと、接地している方向と、してない方向の分岐点で音の大きさが違うので、ケーブル敷設方向がわかれば、確実にたどっていける。

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 これで、給水ポンプ駆動用タービンのトリップソレノイドのコイル内部接地をトレース発見したことがある。
何故か米国製のソレノイドで金属片がコイル内側に食い込んでいた。
対地間電圧 40,60V 程度の不完全接地だと分岐点での区別が付かない。従って、
「接地箇所を知りたいんなら、せめて対地間 20,80V 位まで悪化させてくれ。そしたら1時間もあれば突き止めてやる」と豪語していた。
 このせりふ前半、お笑いなのわかるよね。
医者が「風邪は治しにくいが、肺炎なら直ぐ治してやる」というのと同じ。

 *** 鬼人 ***

 技術的に色々な問題を経験すると、ヒューマン的要素が大きなウェイトを占めていることに気づく。
 ローター持ち出した定検の時、発電機全分解、固定子の絶縁劣化測定、水素密封油のローター軸シール部修理の作業が重なり、3つの作業の指導員は営業に頼んで全て指名させてもらった。
3人ともT社のその仕事ではトップで、安心して任せられた。そうじゃなきゃ、ローター修理の件もあり、やってられない。

 特に発電機組立ての指導員が凄まじかった。
発電機は300トンの重さがあり、組立の最後にこれとタービンをセンターリング (軸中心を合わせる) するが、許容誤差は百分の何ミリ。カップリングフランジの上下左右4方の外周と面間でこれ以下に収める。
 ダイヤルゲージの数値により、作業員が100トン油圧ジャッキをいくつもかませ右に、左に発電機をふるが、なかなか収まらない。
その時、件の指導員「みんな下がってろ」と作業員を全員退避させ、大ハンマーを大きく振り上げ、発電機をドカンドカンと2,3回どついて測ったらぴったり許容値内。
鬼人神をも動かす。
プロの技に惚れ惚れした。
 「一度に、T社の発電機屋の錚々たるトップ3人揃えちゃった」と酒の席で言ったら笑っていたが、この人はその後、途上国にスタートアップで行き、海水浴中に急死したと聞こえてきた。

 *** 癖に۵Ⅰ ***

 揚運炭コンベアの数百kwのモーターが接地した、モーターはH社製で遮断機はT社のVCB(真空遮断器) とくれば、古い経験者はニヤリとするかも知れないが (もう居ないか) 互いに責任のなすりつけあいが始まる。
「うちのモーターは弱くない。VCBは電流入り切りのスピードが速いから、大きなサージ電圧が発生し、コイルを痛めつける。それが積み重なって絶縁が破れるんだ」
「サージが問題になったのは、VCBが世に出たころの話。うちのVCBにはちゃんとサージキラーがついている、異常電圧など出るわけがない」
 揚運炭コンベア系の10台以上の同種モーターが同じシステムで毎日稼動している。何時までも両者の言い合いを「そうかそうか」と聞いているわけには行かない。

 当事者と言うことで、T社に格安で測定システムを現地に急遽セッティングして貰い、サージを測るが問題のある波形は出てこない。
そうこうしていると、補修課長から「おかげで今年の修繕費余りそうだが、だれか使いたいパートはないか」という、これも絵に描いたような展開 (本当なんだって)
「はーい」手を上げて、1千万円で同じモーター十数台、コイル巻きなおしてランクも上げちゃった。

 台風一過、まだ湿度100%の環境下で発電機界磁接地警報が発報した。
点検すると界磁回路整流器サイリスタ・スタック内部で小さなコロナが無数に発生している。分解清掃を要する。

Stack

 メーカーに、取説には運転中スタックを1個ずつ引き出せると書いてあるがユーザーがやっても良いか確認する。
「技術員が行くまで待ってください」と言われるが、そこが九州の外れ、それも孤島の悲しさ。待ってられない。接地警報出っ放し。
 運転中の発電機の界磁回路のサイリスタ・スタック66個を2日がかりで順次取り出し、分解・清掃・筐体水洗・ふき取り・乾燥組み立てて事なきを得た。

 このとき運転中の界磁回路からのスタック着脱は全数自分でやった。
「何かあった時の責任は俺が取る」なんてかっこいい理由じゃない。部下や作業員を信頼してない訳でもない。
あえて言うなら「こんなスリルある面白い作業、人に取られたくない」

 *** 末慮国の倭人 ***

 長年発電機組立てをやってきたというH社指導員が、何度か来てくれた。
定年も過ぎたが、2007年問題もあり (20年前からあった) 、嘱託で頑張っていると言う。
 発電機には運転中は冷却効率の良い水素が封入されているが、定期検査中は水素を抜きとり外気と触れ合っている。
東シナ海の風雨をもろに受ける立地条件もあり、若い人の提案でその間ずっと四六時中温風を機内に吹かして、少しでも湿気による絶縁劣化を防ごうとしていたり、色々なアイデアで設備の保全に努めていたこちらの技術屋の誠意を感得するのか、最後の仕事だという別れの時、
「この年になると発電機の1台1台が我が子のように思える、皆さんはそれを大切に扱ってくれていてありがたい。私はもう来ないが今後とも末永く可愛がってやってください」
との挨拶にはジンときた。

 ・・・補修関連協力会社に「末永」という名前の、松浦 (魏志倭人伝の末慮国) 出身の若手がいた。(この流れ、自然に出てきて驚いている)
 ある時博田駅前の九州支社にいたが、現地で緊急出力減をしたという情報。
状況を聞くと、ボイラーの誘引通風機のモーターの冷却ファンをオペレーターが誤操作で停止してしまったため、2台ある誘引通風機が1台運転となり、半分まで緊急減出力だという。
とりあえずこちらに出番はない、ゆっくり仕事をすませた。
 帰ると、話が電気に振られていて。曰く、
「誘引通風機1台ごとに、2台ついている冷却ファンの運転中のものを誤って停止したが誘引通風機本体が運転中なのに重要な冷却ファンが停止出来るようになっているのは怪しからん。早急に、本体が運転中は誤操作しても停止できないように改造すべきだ」
 誤操作の擁護か、事故の落としまえか知らないが、そう云うのって言いがかりって云うんじゃない?
それを云い出したら、誤操作は全て機械のせいになる、同様のインターロックは一杯在る。全部直せと云うの?
 まあ、誤操作できないシステムと言うのも、ある意味究極の形だろうし、なんといっても、それを考えてビルトインするのは断然面白いから、やってあげるけど、
「技術屋の矜持なんて、かなぐり捨てちゃってかまわない訳ね」
と言うことで、リレーシーケンスをチョッチョッと書いて、末永某に次期停止時に改造するよう依頼した。
 こちらから回路図が出てきたことにも驚いたようだが、彼氏一瞥してシーケンスが冗長だと言う。
「sasayanのはリレー3個使っているがそんなにいらない。単純な回路だから1個で出来ますよ(やっぱり素人はだめだな。こういうのは現場たたき上げの俺たちにまかせてよ)」
そう来ると予想していたのでニヤッとして、「1ヶ月あるから時間は十分、ゆっくり考えて、出来たら教えてよ」
 接点協調でやっぱり3個いると彼が納得したのは、1週間後。
それまで、ときどき覘くと「おかしい、そんなはずはない」と頭をひねっていた。

 *** 2万アンベアのCT ***

 取引用積算計のPCTの検定切れを迎え、電気計器検定所の出張検定を依頼した。
検定所の係官と、補助作業員が試験設備を運ぶ車で一緒に来所するという、計5名。
 相手が相手なので、事業所迎賓館とも言うべきクラブ施設に宿泊手配し、一席設けることにする。
なんせ検定証書貰えなかったら、検定満了以降は○○○億の料金をやり取りする根拠がなくなる。
ところが、総務課代の若いの「クラブは海外の来賓などを迎えるのに作った。係官はしょうがないが、作業員・運転手はふさわしくない、宿泊分けてくれ」
 別ルートから、出張検定の体勢を聞くと、出張検定はバンド仲間、検定係官から結線補助、運転手と上から下まで一心同体で全国やって来ている、分け隔てなんかすると問題だぞという話。
後で考えると検定係官5名と書いとけば良かったんだが、向こうから来たリストを宿泊手配にそのまま添付しちゃった。忙しかったので。
「昔、俺だって泊まったぞ、社員は寮泊なんだろう」
「それは、MITI役人と同行だったからじゃないの」
「じゃあ同行だったら運転手だっていいじゃないか」こんなに簡単には行かなかったが、とうとう前代未聞、補助作業員も運転手もご宿泊、慰労の宴もみんな同席、めでたしめでたし。

 電気計器検定所は田町の裏にあったが、あるときもう一つ持込検定の物件があって行くと、一般には見せない検定所内部だが、Fさんを知っているなら、見せてくれるという。
Fという積算電力量計のオーソリティがいて、斯界の泰斗。ご本人から直接聞いたから間違いない。
電力量計の精度向上などで、力になったり、なられたりした仲なんだろう。検定所よりは金が使える。多分。
定年で関連会社Aに居て、先ほどの別ルートというのはこのルート。
 大電流CT対応の、磁気相殺のためにリターン回路で囲まれたブスなどもあり興味深く見せてもらったが、ひとつ文句。
「お宅は今回○○事業所の2万アンベアのCTを検定してくれと言って来た、うちは1万アンベアしか検定装置がないのに如何するつもりだったんだ、電流を増やす時はちゃんと相談してくれなきゃ困る」
「それは申し訳ないことをしました、それでどうなりました?」
何の事は無い、1万アンベアの装置を2台パラで突っ込んだ。
要するに、必要なところにはちゃんと仁義を切っておけ。

 *** 500元連立方程式 ***

 一般的な事業規模当たり、元々半分程度の敷地に立っている設備を稼動させたまま、新設を追加・更新するという仕事をしたことがある。



 始めると何処までも広がっていくので詳細は省くが、要するに250m×500mの敷地内で、次の様な工事をやることになったのである。
 これは、針の穴にラクダを通すような工事計画の最終のものであるが、実現の可能性を求めて幾つもの手法をF.S.するはめになった。
「お前ら(2人)が居ると皆出来ると思ってしまう。そんな工事は出来ないと早めに投げ出せ。作業員を殺す気か」と言うような横槍も入ったものである。
 F.S.のとばくちで「新号機は既設本館の南にすべきだ。いや北が良い」本社・現地のお偉いさんが、暫くの間真剣に口角泡を飛ばしていたが、
「どちらでもいい、とにかく実現出来る目処がついてから、そんな贅沢な論争してよ」

Rpplan  

 この最終計画においても、現在明らかな問題点、今後生じるであろう検討課題をリストアップするとちょうど500件になった。それも緊密に関連し合っている。
 本社関連各部との現地でのキックオフの時、それらを説明しながらみんなの表情が硬いので、
「リプレース計画の成否はこの500元連立方程式が解けるかどうかにかかっている」といったら連立方程式のわかる人にはうけた。
 みんなの表情が硬いのは「こんなのやるのー?」「こんなのできるのー?」と言う表情がありあり。
しかし「これは絶対不可能です、私下ろさせて頂きます」 と席を立つ人はいない。
 実はこれをやる可能性が一番高いのは筆者だったが、残念ながら推進側の席でそれも計画立案・説明者。
途中で「私下ろさせて頂きます」とやったら、大うけだったんだろうが、そこまでやるサービス精神はない、500元連立方程式噺がせいぜい。

 *** 工事仕様の妥当性 ***

 「ここからここへ亘長も長いから電圧ドロップも考慮して、○○sqのケーブルが何本いるよ」、「配管ルートはこっちを迂回させなければならないから長くなる」等瞬々かわる工事仕様に対応して工事費の得失も同時に把握できるように電気工事・配管工事、後には小規模土木工事も含むパーソナル積算プログラムを作った。
工事仕様を入れれば、直ちに直工費がわかり、間接比率・諸経費率をいれれば工事費一式が出てくる。
 プリンターの連続用紙をミシン目で破りあとは表紙をつけるだけ、そのまま予算書として通用させた。「書き直す時間なんかない、文句あるか」
勿論、たちまちキングファイルに一杯になっていく。
 最近当時の若い人の名前を冠した古いフロッピーが1枚出てきて.xlsファイルに工事リストがあった。既設関連分だけで、始まりは1996/4、終わりは1999/4となっていて、360件ある。
 下はリストの初めと終わりの部分であるが、これの計画 ・調整・手続、(自分の分の)工事管理が筆者の仕事だったんだぜ。

Rp  

 この既設切替工事費のヒアリングを受けるためT電本社に出向いた。
 前もって資料は渡してあり、「厳い」という感触を持ったという窓口の先輩たちと、工事の困難さがどれだけ定量的に把握評価されるだろうか、と心配しながら行ったが、そもそもこの工事はなぜ必要かという質問はほとんど無く、主に仕様の妥当性をチェックされた。
 またその決定の早さには驚いた。このころのT電さんは凄かった。
いわく「このタイプのコンベアはうちでは実績が無い、従ってお宅を信用して査定しません」
実はコンベアメーカーからT電の聴き取り調査があったことを予め聞いていたので「?」
「仮設貯炭場のケーブルSHVVは全部CVにしてください」
「当社の貯炭場内ケーブル仕様は難燃性なのですが」軽くこだわってみるが、
「当社の電気屋は全てCVでやると言っているので、それでやってください」軽くいなされる。
「ハハーッ」もうひれ伏すしかない。
 他に、塗装の下塗り回数に対してだか査定されたが、枝葉の部分であり96%以上の妥結率。
「これで工事が出来る」ほっとしながら新橋のガードをくぐった。

 *** 癖に۵Ⅱ ***

 狭隘敷地内事業所継続稼動、新設更新計画の話題が続く。
 既設は運開以降25年、灰処理装置・排水処理装置・排脱装置設置を含め幾たびかの増改造を経ており、ケーブルがざっと見積もって2万本、配管も大変な量になり、地中埋設物もかなり複雑になっているが、既設運転継続であるから、これらのうち vital important なケーブル・配管にボーリング・シートパイル・掘削工事で損傷を与えるわけに行かない。
 また、切替方案の策定にも不可欠であるため、1年間大枚(現地決裁権限以上)かけて調査を決行した。
 稟議書の現地決裁を受け、浅草線だけで済む本社に持ち込む途中、ふと思いついて念のためにと、市ヶ谷と靖国神社の中間にある関連会社Aに「こんな仕事があったんだが、今回申し訳ないけど、B社特命でやります」と仁義を切りにいったら、
「俺が今聞いたことになったら、上に怒られる」と、かっての大先輩。
文句言うんだったら、親会社がこれだけの大仕掛を始めようとしているんだからアンテナぐらい張っていてよ、こんなところでくつろいでないで。
 情報は取りに行くもの。目が覚めたみたいにその後出入が激しくなった。
先行調査工事なんて想像しなかった?

 工事施工図類から、リストアップし、図面に落としていくが、施工図(計画は承認図で徹底的にチェックされ、朱記訂正を繰り返した最後に施工図となるため竣工図≒施工図であり、従って直営工事・小規模工事で残っているのは施工図だけのことが多い)が残っている工事ばかりではない。現場合わせのやっつけ仕事も多いはず。
 どうしても不明なものについては回路を停止し、開線・導通チェックを行って特定しようやく調査終了したが、それでもいざ工事に入ると、掘削した地中から図面にない不明配管が出てきたりする。
そのたびに呼び出され、切断しても良いか最終決断を迫られる。
 作業スケジュールには、そのための調査時間などはみていない、もうすぐ日も落ちる。
場合によってはかつてその工事に携わったOBが構内協力会社にいたりして、忙しいだろうに直ぐに来てもらって、参考意見を求めた。

 自信が無いのに切断することにして、その後数秒間何も起こらないのを待つ、あの緊張は癖になりそう。

(漏れ聞く話では、2,3年前遠州の某原発でも、地面を掘っていたら使途不明の太い電源ケーブルにぶち当たって、補修担当部署の偉いさんが青い顔で飛んできたんだってね。)

 *** ムーズ河目前の戦闘シーン ***

 既設貯炭場に建設するサイロ・新重軽油タンク・新水処理タンク建屋の設計から開始するため、既設貯炭場のボーリング調査が始まった。
 ボーリングは貯炭の上から建築屋にやってもらえばいいと思っていたら「施工は現地」。また「貯炭の10m分にボーリング代は払いたくない」。
今なら10m分に係数をかけて何とかしろと言うところだが (と言っても櫓が安定しないんだよね)、ボーリング工事の設計なんて全く経験無し。
本社からリモコン操縦、設計書を送り付けられ、稟議起案と施工は現地の機電屋。

 やむを得ず、貯炭にブルでグランドキャニオンさながらの溝を切りながら、その中で同時に3~4基ずつボーリングすることにするが、石炭は自然発火防止対策でブルで填圧し (押し固め) ているため、法面が安息角までゆるやかにならない。切り立った崖下の作業となる。

Boling

 工事内容は事前に説明してたのに、始めて2日目、仕事が軌道に乗り始めた頃に安全担当所長代理が真っ青になって飛んできて「こんな危険な作業は認めない!」。
「ブルで押しても崩れないから、やむを得ずこの状態でやっているんです。ブルで崩れないぐらいだから、絶対大丈夫ですよ」
「地震が来たらどうする、みんな埋まってしまうじゃないか」
 ブルの運転手に「炭の上に乗ってブレードで叩き崩してみて」というと絶対いやだという。
何とか頭を下げてやってみると、1回2回は恐る恐るのため崩れなかったが、段々慣れてきて強くドスンと叩きつけたら、ザシャー、ブルの乗っている下の炭まで大きく崩落。
10m下から見上げていてキャタピラーの下側が見えた。

Bull

 バルジ大作戦の戦闘シーンも真っ青。生涯を通じてこの時以上のショックは記憶にない。
「もういい、もういい、もう止めて۵!」この既設貯炭場のボーリングから建設記録の撮影は始まった。

 *** 土砂崩落実態調査の最適地 ***

 所長代理の台詞が「大雨が降ったらどうする、みんな埋まってしまうじゃないか」なら発生確率はぐんと跳ね上がる。
積み上げただけの石炭の法面は45度だが、多量に含水した石炭の安息角は10度程度となる。
当該縮小貯炭場の貯炭高さと擁壁高さ・擁壁までの距離を次の様に特殊可燃物管轄の消防署に説明したことがある。
「h1の高さの擁壁からh2離してh3の高さに積めば、大雨が来て安息角10度となっても面積S1=S2であるから石炭は外部に流出しません」 (有効面積はh2分更に狭くなる)

Enko

 土木学部で実規模での土砂崩落の実態研究を希望する学生がいたら、石炭の屋外貯炭場がお勧め、特に長崎のような東シナ海の暴風雨をもろに受けるところは、1ヶ月も待つことなく貴重なデータが豊富に入手できること請け合い。
 円弧すべりの実態を知っていたら、災害時に良く見る路肩崩落の防止対策はあれじゃ不十分だと思うよね、だって一個の塊で崩落しようとする土砂同士を互いに固めてもしょうがないんじゃない。かえって円弧滑り助長の可能性だってある。
今度災害ビデオが出たら見てください。必ず円弧で滑っているから。
 地震より確率は高く、これが起こったら大変だったろうが、当該ボーリング工事は防寒服でビデオに写った記憶から、冬場のことで大雨の季節ではなかった。

 *** 500件の内の1つⅠ・Ⅱ ***

 また、当時太平洋炭と三池炭十数%とを混焼していたが、縮小した有効面積6,000m2貯炭容積3万m3 (既設7日分)のスペースで2炭種運用は不可能だとして社内調整を開始した。
 受入炭積み付け位置は2点、払出し口も一箇所だけ、ブルの走行さえ危ぶまれる中で三池炭は太平洋の10倍の高サルファー、ちょっとブレンドが多すぎると市との公害防止協定の規定 (燃料の硫黄分) を逸脱する、低すぎるとカロリー低下となる。
日本初の公害防止協定だから、何が何でも遵守しなければならない。コンプライアンス精神満々。
 三池の入船は7日毎、1船5,000トン。6,000m2の1/7のスペースにそれだけ入ったらどういうことになる?
貯炭の変動をCGでシミュレーションすると三池と太平洋の積み付け高さの差が数メートルになる。「三池が太平洋側へ崩落するじゃないか」 (この時のCGはワイヤーフレーム表示。OpenGLやDirectXは未だない、windowsの出る前。初期のレンダリングソフトは持っていたが)
 「三池を小型船で入れたらどうか」えらいさんの思いつき。
1日の消費量が5,000トン弱、夜間荷揚げ作業の出来ない当該港湾では離着岸の時間をとると、たとえ小型船であっても2隻の荷揚は1日では終わらない。従って実現性無し。
 もうすぐ三池は閉山するという情報があり、「閉山するんだから、残りは炭鉱により近いT事業所で面倒見てよ」と主張するが、燃料部は「閉山しても山元には1年分位貯炭してある」。
(この辺もボーリング現地施工の件も、今考えると相手のたなごころの上で上手い具合に転がされていたような気がする。よく言えば純真、バカ。だって数十万トンの石炭を1年間も寝かして置けるか?って20年後に気づいてどうする)
 強硬派を懐柔するつもりでもないだろうが、本社への陳情・打合せの後銀座でビール付昼飯奢られながら (三笠会館でワインを期待したんだが۵<昼休みだろ>)
「石炭審議会で消費計画は先の先まで決定している。三池の受入を止めたら、更新計画も潰れるよ」と脅される。消化に悪い。

 ちいさなブル燃料タンクさえ設置スペースがなく「毎回ローリーで運んで下さい」とお願いしたが、
道路はつぶされるのに、ブル車庫までどうやってアプローチするの?」
 三池積み付け位置を僅か西にずらすと何とか可能性が開けることに気付き、機長15メートルの三池専用受入コンベアを既設受入コンベアの下に直角にぶら下げる形で追設することにした。
三池炭が焚けるならということで、そのコンベアの必要性を云々する人は居ない。本社への話も簡単に進んだ。
 既設受入コンベア架台がその重量を支えられるかどうかは、何とかクリアーしたが、コンベア本体と据付重機を受入コンベア真下まで進入させるため、貯炭の約3分の一を減らすことが必要になり、約2週間受け入れを止めて炭を寄せ、進入路を作った。

Tyotan  
 サイロ工事エリアは貯炭場に食い込んでくる、仮設貯炭場は更に圧縮され、擁壁前後の工事高さ差25メートル、擁壁高さ7m。建築基準法の確認申請を要する擁壁高さの3倍。これも確か課題500件の内の一つだった。
調べてもらったら、建築基準法のは住宅の基礎擁壁などに関する規定であって今回のような仮設備の場合は、適用外とのこと。
「そうは言っても、毎日上を走り回るブルの運転手の命はどうなるの」

 *** 500件の内の1つⅢ ***

 計画では重軽油タンクも一時期既設新設同居する。消防法的には、同時に存在する既設重軽油タンクと、新設重軽油タンク両者にその間消火水を供給できるようになっていなければならない。
「旧タンクを空にして、しかる後に新タンクに貯油すれば逃げられないか?その間既設2基の同時停止期間を出来るだけ短くして」と検討を始めたが、そうは問屋が卸さない。
「旧タンクの廃止手続きは、空にしただけではだめ、水洗して可燃物が全く排除されたのを消防が検査終了してから、更に廃止の書類手続きにも時間がかかる」とのこと。
 それが済んでから新油タンクの受入れ試運転になる。そんなに長く、既設2基とも同時停止で置いておけない。
 やむを得ず新旧タンク両方をカバー出来る消火設備にすることにする。
新旧の間の配管距離700メートルで水利計算も大変である。消火ポンプ室がその中間に位置することが唯一救いといえば救いかと思っていたら。
「ところで新ボイラーには消火栓は要らないのか、100メーターだぞ」
「見学ルートなど設置して不特定多数の往来を認めたら必要だろうね」
「サイロ上部は当然必要だ」
と言うことで、水量だけでなく揚程も大きくなり、消火ポンプ室に入らない大きさのポンプの図面が出てきた。
消火ポンプはモーターの他に、停電対応でジーゼルエンジンでも駆動できるが、これがことの他大きくなり、大物搬入口から入らない。
 建築に相談するが、「変更できない」

 土木・建築は機電の上物ローディングデータをベースに設計するが、当然工事は上物より数ヶ月先行するため、仕様は早めに確定したい。
いつもせっつかれていた。
一方、恒久的新設備を設計する本社建設部は、この辺のタイミングを知ってか知らずか (好意的に解釈すれば、新設もスペースの問題はある訳で検討課題は多く、その影響は周辺設備にも及ぶこととなる) 最終決定だねとしつこく確認した後でも。場合によっては、型枠にコンクリートを流した後でも変更を要求してくる。
 現地で額を突き合わせている機電屋はそのたびに土木・建築に頭を下げることになる。
工程的に「変更できない」? 仏の顔も3度まで、これ以上「変更してやらない」?

 例によって暁の啓示
「消火栓が横に広がるのと縦に伸びるのはタイミングが違うよね」
 最初の新旧タンクをカバーする大容量低揚程ポンプと、本館・石炭サイロをカバーする少容量高揚程ポンプに分け、「低圧大容量消火ポンプ」「高圧小容量消火ポンプ」と2本立てなら大容量高揚程はさけられ何とか収まる。
「低圧消火ポンプは既設でつくり、高圧消火ポンプは基礎まで仕上げておいて新設側で作ってもらおう、既設重軽油タンク撤去後に不要になる低圧消火ポンプ容量は、新設排煙処理装置内の危険物消火栓などに使ってもらえば無駄も少ない」

Syinkyu_tk  

 *** 500件の内の1つⅣ ***

 既設主ケーブルはOFケーブルで導体の周囲を絶縁油が覆っている、外周は金属である。
 普通の電力ケーブルはCVケーブルといいビニール被覆で、現在では高耐圧の物も出来るが、既設当時はこの電圧ではOFケーブルしかなかった。
金属だから繰り返し応力で疲労する。何度か油圧が低下する症状が現れており、メーカーは「30年間毎日の電流増減の繰り返しで寿命を超えている」という。
 このケーブルが色々なところで今次工事に絡んでいた。
 何箇所か当該ケーブルの下を掘削する。
一部が陥没してギロチンにかけてはならない。
数ミリも低下し、不要な応力をかけて絶縁油を喪失させ、接地事故を誘発してはならない。
道路横断部は数トンのコンクリート中の電線管を通っている、掘削前の支持はどうするか。これもCG(名前を忘れたレンダリングソフト)で絵を描き、また工法もこと細かく決め、そのとおり施工してもらった。

Pcable   
 また、既設の電気担当が「ケーブルの至近距離で矢板を打つが一回の衝撃で発生する数十回の振動波形は全て繰り返し応力にカウントされるのではないか」と心配している。
試験的にくい打ちを行い地面振動を測定したり、波形をFFTし、応力を想定して土木担当には無振動くい打ちを採用してもらったりした。(スペクトルにしたのは、地中減衰スピードが違うだろうから)

 何ミリ何ミリという話をするので、土木屋さんには嫌われた。あるとき、
「俺たちの仕事の、掘削の許容誤差は20センチですぜ」
「いいじゃない、精度が一挙に50倍になる、good chance to broaden your horizon.」(カテゴリーの命名はここから来ている)

 *** 500件の内の1つⅤ ***

カステラで思い出すこと」ページ参照。

 *** 500件の内の1つⅥ・Ⅶ ***

「正真正銘の」ボイラー効率2%増」ページ参照。

 *** 500件の内の幾つか、項目だけ ***

 国のエネルギー政策も複数物体の同一時空占有問題もライフライン中間ルート喪失も土木掘削精度問題も建物強度確認申請も景観問題も作業競合問題も車両通行も地域開発計画も産業廃棄物処理も下水BOD問題も農業肥料生産も工事費リアルタイム積算も対行政交渉も300Km先の発電所の遠方監視切替も土地貸与交換も港湾荷役もFEM数値計算もFFT振動解析も法規・条例・基準へのcomplianceも自然現象・災害もアセス説明も実現性・経済性検討のため立案・比較・破棄された実際工事の数倍にのぼる工事計画も電気事業会計規則に定める規模毎の数千を越える設備の除却損の月別展開も失念する程おもしろかった4kv幹線ケーブル工事も、ハアッ、ハアッ酸素ボンベ!

 *** 500件の内の1つⅧ・Ⅸ ***

 新設循環水管敷設スペースが無く、既設道路をつぶしてそれに当てたが、実は循環水管だけでなく、新設の取水装置を設置するスペースも無かった۵

Cwp

グランド (下は既設取水管) から市道をはさんだ隣接企業の産廃処理場7000m2に目をつけ、永久的に貰い受けることにし、図々しく交渉しにいった。
最初は「産廃処理場の無い事業所運用など考えられますか」と拒否されたが、「当方には一切そんなものありません」ということと、同業者の事業展開に協力ということで実現した。
 これに伴い、市道の付け替えを行った

 またある時、既設ボイラー建屋 (50m) から虎視していて「お隣さんのグランド広いなー」
事務所類の行き場もなかったため、隣接企業のグランドの端15mを借り受け建設事務所および既設事務所用地にすることにした。
借用期間は新1号建設中としたが、その間野球大会・運動会など狭いスペースしかない中で、さぞかし不自由をおかけしたことと考える。

 お隣に居候が決まったんだから、事務所移転はそのまま引越しすれば良いようなもんだが、事務所には通信関連設備および何故か宮城にある事業所の遠方監視・簡易制御のための通信設備もあり、これらは既設本館計器室に移設することとなった。
作業条件は、
「切り替えに際し、宮城事業所休業は出来ない」
「遠方監視制御切替時の停止中は事業所サイトに監視要員を配置するが、人員不足のため夜勤は組めない。日勤の時間帯で全て完了してくれ」
「勝手なことばかり言いやがって」
 また同時に他の通信設備の移設、ケーブル切替約60本もこなさなければならない。
なぜか、先行して施工できなかったラッピンングワイヤー工事約100本を実施の上、切替後のシーケンス試験(通信単体・制御盤取合い・ループ試験)まで無事に完了した。
 しかし、ケーブル工事とラッピンング工事が同一盤内で、脚立の上下で干渉しあうため時間を決めてシリーズ作業としたが、この先行作業の終了が遅れ、後が決まっている後続の作業員とのあわやつかみ合いという場面もあったがこれを収拾した。甲だもの、楽。言うほどのことは無いんだが、巨視的にも微視的にも、如何に錯綜していたかの例示。


 ***  500件の内の1つⅩ 頭上は無限のスペース ***

 各メーカーには現説の冒頭で「基本的に自分の作業範囲しか工事用スペースは無いということで計画してください」と無理なお願いをした。
 ところが、「こんなタイトな工事をやらせてもらえて、経験になるし、キャリヤにもなって有り難い。このプロジェクトは一緒にぜひ成功させたい」と言いきった某水処理メーカーの営業はかっこよすぎる。

 純水用水処理装置は従来イオン交換樹脂法だったが、スペース的に有利なろ過膜方式を採用することにした。
水処理室は3階建てで1階が消火ポンプ室、2,3階が膜装置と電源・制御盤。
ただ膜式は濃縮排水が当時の技術で製造純水の20%発生する。その処理ルートをメーカーに描いて貰うと下のようになっていた。

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 一方建設工事中も公害防止協定の数値は一切増やしませんと市に約束しているが、排水処理装置放流枠100m3/日は守れるのか。コンプライアンス堅持は可能か。
 現在協定値一杯一杯の排水実績があり、これに20%の排水(プラント補給水250m3/日位であるから50m3/日) のベクトルが加わると、どうしても放流枠を超えてしまう。
排水処理装置から回収タンクに回収できる水は水質および各タンクレベルの条件がある。

 例によってアイデア
「排水の水質はどうなの」
「もとは工業用水で、純水にするため除去した成分が5倍に濃縮しているだけです」
水質は雑用水として問題ない、
「排水処理装置に迂回させる必要は全く無い、回収タンクに直接回収しよう」
排脱補給水として水の使用は常にある

Wt2

 これにより、ポンプ・水槽および配管の削減が見込める、しめしめと喜んだのもつかの間、水処理メーカーよりクレーム。
「今回のタンク群は高すぎる、排水の圧力は0.5キロなので5mしか上がらない、タンクに直接回収は不可能」
「大丈夫、3階建てでタンクの縁は排水出口より3mしか高くない、充分流れる」
「出口圧が変動したら排水流量も変動して純水水質が安定しなくなる」
「大丈夫安定させてあげる。タンクの縁の高さは一定で、これを越したら水はタンク内に落ちるから、ここをサイホンにしなければ背圧は一定になる」
続いて身内からもクレーム。
「新設は乾式脱硫だから水の使用は微々たるもの、雑用水の使用量に純水製造量が左右されてしまうではないか」
「コンベア洗浄水・クリンカーホッパー補給水など雑用水使用量1日50m3位は十分いきますよ。それに近い将来排水量ももっと少なく出来るでしょう」
 本社経由でメーカーに排水率低減のテストを直ちに始めてもらった。

 これはアイデアという程の物ではなく、「メーカーさんの考えにも、ユーザーにとって更に合理化する余地が有るよ」程度の、あるいは威張るとすれば、「どんな課題でも片っ端から処理できた」と言う程度の例示だが、暁の啓示はその後も必要な時に浮かび、新たな問題が出てきても、軽く受け止められるようになっていた。
 「解決策の無い問題は無い」などとこの手の場合のステロタイプ風には言わないが、「より合理的なところに必ず落ち着く」と確信するようになっていた。
 「八方塞がりに見えても、頭上は無限のスペース」
これは今も変わらない。

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一兆円の営業コンサルタント

 余りにもこじ付けめくが、内容は事実なので数ページに亘る道草を容赦願いたい。また20年前の事なので固有名詞に確信はない♪
(人は誰でも文法を理解し、固有名詞から先に忘却と言う焚書の炎の中に投げ入れ始める♪貴方も経験があるでしょ)

 GE系の発電機に界磁接地事故が発生した。
同期発電機界磁コイルはロータースロット内に絶縁体を挟みながら、複数の銅バーで形成されている。
一方タービンと発電機は停止中たわみを生じさせないよう常時ターニングを行っているが、このターニングに伴って銅バーがスロット内のギャップ、コンマ何ミリ分相対摺動を繰り返し、銅紛が発生→絶縁体をバイパス→界磁接地に至るというのである。WH系はガッチリ固めてあるからこれは無い。

Dobar

 したがって事故に至る寿命は、据付以降ターニングで何回回転したかによる事となるが、ターニング回転数はタービンシステムによって異なる。
タービン車室は高圧、中圧、低圧とあるが、これら全てが一本に串刺しされているタンデムコンパウンドは1秒1~数回転程度、タービン軸2本のクロスコンパウンドでは起動時に2つの発電機をどうやって同期させるかで分かれる。
ターニング中に人間が同期合わせするシステムでは10秒1回転程度。高速自動同期ではタンデムとほぼ同じ。
 古い機械でも、余寿命を残している場合もあるし→クロスコンパウンド&ターニング中手動同期、新しい機械でも、寿命が来ている場合もある→その他
 筆者のところの発電機は後者であり、至急対策する必要があった。
対策はスロットルから全てを出し、同一ターンを形成する銅バーを点付けするという至ってシンプルなものだったが、もうひとつ同種発電機で界磁取り出し部の曲がり加工部の傷痕に応力集中した折損・焼損事故もあり、その対策も含め大きな工事費となった。
 本社契約部とT社営業が億のラインを挟んで攻防を繰り返していて、現地で発電機分解工事が始まっても契約が成立しない。
発電機からローターが引き抜かれ、1000トン船と、同じく1000トンフローティングクレーン (これはデカイ、積荷とは不釣合いだが、長崎の神の島の護岸工事から小遣い稼ぎにちょっと出て来たといっていた、船は砂利運搬の帰り舟、海上輸送シンジケートもうまく出来てるなと感心した) が待ち受ける物揚げ桟橋に向かって、山鉾のごとく静々と動き始めても契約が成立してない。
こちらも定期点検スケジュールがある、それぞれのステップごとに仕事を進めても良いかどうか契約部に確認をしながらここまで来たが、もう限界。
「今から船に乗せるんだけど、海に落ちたら船舶保険効いているの」
「T物流が保険に入っているから大丈夫です」
「その上位契約が成立してないんでしょ」
「もうすぐ契約するから船に乗せても大丈夫です」
よくわからないのでそのまま乗せてしまったが、途中の航路は、常に船長に船舶電話をかけて、無事を確認した。

 T社工場に無事ついて修理中の、ローターの立会い検査申請がきて出向く。
うまくいきましたと言われた界磁取り出し部の曲り加工部を見ると、まだ若干傷状の痕が見える。
組み立て後の内部のこととて、こだわるのもどうかと思ったが、せっかくT社さん、工場内作業方法を洗いなおして再発防止対策と銘うち、カラー写真付でわざわざ九州の外れまで説明して廻っているのに、素人が気になるような傷を残すな、という意味も含めて修整依頼した。

 事務所に引上げ途中、ふと1つの区画を見ると、発電機が組み立て中で、「ECNSW殿マウントパイパー発電所向け」との表示がある。
思い当たる節があり「ECNSWから十プラント余り発注された内の1つではないか」と聞くとその最後の発電機だという。
一挙に10年前の記憶がよみがえって来た。

 昭和54年暮オーストラリア・ニューサウスウェールズ電力 (ECNSW。近年渇水だったそうだけど、湿式脱硫なんかやってたら大変だっただろうね) より日本の火力プラントメーカーH社およびI社グループに、ベイズウオーター炭燃焼火力二十数プラント発注するとの打診が有った。
ただし先方の懸念として「日本メーカー両者ともベイズウオーター炭燃焼の経験は無いはずであり、その特徴を燃焼設計にどのように反映できるかを明確にする事」との条件付きである。
 H社は、
「膨大な異炭種の燃焼設計データベースを有しており、いかなる炭種の燃焼設計にも対応可能」と説明し、受け入れられた。
一方 I 社は、
「燃焼試験にて詳細データを採取し設計に反映したい。ECNSWは日本の○○社と技術提携しているはずであるが、○○事業所ボイラーは I 社の設計である。交通の便もよく、そのルートから共同燃焼試験依頼をしたらどうか」と提案し、ECNSWは文書でその旨依頼してきた。
その後半年に亘るベイズウオーター騒動の幕開けである。

 試験条件は、
「ボイラー各部位の吸収熱量を測定するため、ヒートフラックスメーターを予め既設ボイラーに設置する。定格出力下でまず日本の代表炭、ついでベイズウォーター炭燃焼試験を行い、データーを採取。その差分を抽出し設計に活かす。他燃料の助燃・混焼は認めない」
というものである、フムフム、ここまではOK。
ところがFAXされて来たベイズウォーター炭の品位を見て驚いた。高位発熱量5,800kcal/kg、当所ではとてもじゃ無いが使い物にならない。
燃料比0.8台でこれも苦しい。思わず「冗談じゃないよ」

 *** 燃料比 ***
 =揮発分/固定炭素であり、この値が大きいほど揮発分経由で石炭に火がつきやすく燃焼しやすい

 ボイラー燃料炭の設計発熱量は、高位6,200kcal/kgであるが、もともとボイラー能力が不足気味であったところに、当時低NOx調整のため炎は極限まで弱められており、高サルファーであるが高カロリーの三池炭十数%の混焼を行うことにより辛うじて定格出力を維持している状況であった。
従って、5,800kcal/kgの単味専焼で定格出力を維持するのはどう考えても不可能で、営業運転中の事業所でそのような暴挙は出来ない。
どうしてもというなら出力を下げるか重油助燃をする必要がある。
また設計燃料比は1.2であるが、低NOx火炎のためもありベイズウォーターの値では、石炭灰・石膏に未燃炭素分が多量に混入することになることが想定され、製品規格外で別途処理が必要となる。

 *** 石膏 ***
 湿式排煙脱硫装置の副製品、排ガス中の硫黄酸化物を石膏の形に固定化し有効利用する。タイガーボードなど。

 何度か本社担当部の大御所たちと会議を持つが、返事はいつも「こうすれば実現できるという回答しか受け付けない。」ECNSWになんか面子があるのか。
また、I 社にとっても死活問題であり「専焼定格運転は可能」とそこいら中触れ回っているらしい。
そのとおりなら I 社をも巻き込んだ今までの能力不足の苦労が一挙に解決してご同慶の至りではないか。
I 社の理屈は
「ミルに予め粉砕した微紛を送り込み、その粉砕能力の一部をカバーしてやれば低カロリーでも定格出力が出るはずです」
「ミルの粉砕能力が低いのは事実であるが、それが能力低下の主原因ではないと I 社も言っていたではないか、粉塵対策は誰がやるのか、また防爆対策はどのようになるのか。粉塵炭爆発の怖さ知っているよね」 (筆者は学校の理科の実験で体験していた。すりつぶした微粉炭中を吹き上げ、その中でヒューズを飛ばしてドカーン。昔は中学でもこの位やったよ) 根拠も希薄なためうやむやになってしまった。
 こう対策すれば専焼定格運転可能とは書かなかったが、専焼定格運転のためには表面水分を出来るだけ少なくする、未燃分対策はこうするなど種々の対策が必要というレポートになった。だってそれしか受け付けないって言うんだもん ۵

 次いで兵庫・相生の I 社工場内のVIP用ハウスでのECNSW側との顔合わせ。
当社からは運転課長・運用担当(31歳の筆者)・計装担当の3名。ヒートフラックスメーターなるものの実態がいまいち理解できないので、同期の計装担当者に声をかけて同行してもらった。
名刺交換したECNSW側は、部長が工学博士、試験責任者も工学博士、総員7名であった。
I 社のシェフが腕によりをかけた豪勢な晩餐のさなかに、計装屋とECNSWの担当がヒートフラックスメーターに関して会話しているのであろう「カッパ-、コンスタンタン」と言うような単語が聞こえてくる。 (と言うことは、こちらはただひたすらご馳走と、灘の銘酒に集中している)

 4月の定期点検期間を利用して試験準備工事、特にヒートフラックスメーターの取り付けである。
ヒートフラックスメーターは断面1平方センチ・長さ15センチ程度の円柱状、内部はサーモカップル (カッパ-・コンスタンタン) で、断面に受けた熱量による温度上昇をサーモカップルの起電力で捉えるようになっている。
これを100個余り、ボイラーのフィン付チューブのフィン平坦部に穴をあけ、指定された寸法だけ炉内に突き出すように設置して保温する。勿論工事は I 社自前である。またその起電力即ちヒートフラックスを1個1個切替えながら計測・記録するスキャナーを缶前に設置し、その間をケーブルで接続する。
1号ボイラーがたちまち針ネズミ状を呈していく。

 そしていよいよ試験開始。
ECNSWの面々に加え、ヒートフラックスメーターのメーカー、米「エバスコ」の社員も来所し、これらとのコミュニケーションのため I 社手配の通訳までスタンバイ。
まず日本炭試験からである。定格出力可能なカロリーを手配してあるため問題はないと高をくくっていたら、2,3日でスキャナーの数値が9999とオーバーフロー表示するものが発生しだした。
素線の断線である。
 原因究明のための会議で、ガムをクチャクチャしながらエバスコ社員が「指定した寸法を超えて炉内に突き出している可能性がある」などと言い出す。
施工指示書の寸法がエバスコの指定どおりであることを確認する。問題なし。
次いでのたまう「指示図どおり施工されてないのではないか」。
数百度で運転中のそれも保温材の中の状況を確認するのは大変であるが、何とか数本露出させバック寸法から寸法どおり設置されていることを証明する。
 「日本側だけでなく、そちら側も問題点を解明する余地は無いのか」と質すと
「本国はただいま夜中である」
「すぐ動いたらどうか」
「明日連絡し、解答は速くても明後日のミーティングになる」
I 社側も何もいわない。

 次回会議で
「日本製のスキャナーの切り替え時に大地間に過電圧が印加され、素線切れする可能性がある」と逆印加が想定されるというループ回路を黒板に書き始めた。相変わらずガムをクチャクチャ。
いつもは温和な計装担当も、さすがにそんなバカなと声を荒げる。
「まあまあ」となだめ、押し問答をしていても埒が明かないので、シンクロスコープを用意してスキャニング時の電圧波形を気の済むまで確認してもらう。
それらしい波形はなくきれいなものである。(日本製品なんだぜ)
このような状況で現場を走り回るシチュエーションにおいては、通訳も十分に対応できず結果として片言英語でコミュニケーションせざるを得なかったが、技術屋同士の技術上の会話であるからさほど痛痒はなかった。

 やがて日本側の反撃が始まる。
計装屋が聞く「カッパ-コンスタンタン素線の太さはいくらか」
「0.3ミりである」
「それは、この温度帯で使用するにしては細すぎるのではないか」
「そんなことは無い、多くの実績がある」
ECNSWの火力部長もエバスコに入れ知恵されているらしく、「当該品はアポロの燃焼試験にも使用された信頼性の高いものである」と援護射撃。
ちょっと分析室に降りていって、一期先輩の化学屋を捕まえて見解を聞くと、「サルファー雰囲気中ではカッパーは弱い、特に高温では顕著だ原因はおそらくそれだ」という。
「それを云ってやって、云ってやって」というが会議には出てくれない、シャイ。
分厚いJIS規格表を広げ、ヒートフラックスメーターの規格は無いが、同等温度計の素線に関する日本の規格を見せる。JISでは倍の太さとなっている。
「日本ではこのような温度条件でカッパ-コンスタンタンを使用する場合、素線の太さは2倍のものを使うことになっている。」
「もともと石炭炎での使用実績はあるのか。アポロ云々というが高度に精製されたロケット燃料なんかきれい過ぎて問題外。石炭炎はダーティなのである」ッテヤンデーベランメー、神田の生れではなく高知だが、ほとんど巻き舌。

 例によって2日後のエバスコ回答とECNSWの調整結果、断線前までのデータを最大限活用することとし試験続行となった。

 *** 石炭炎はダーティなのである ***
 それを封じ込め、処理するのが人智である。脱硝装置・電気集塵機・脱硫装置にてダーティ成分を除去し、外にはクリーンな排ガスしか絶対出さない。
 念のため。

 ECNSW部長殿はこの問題の処理のためか帰国したが、日本炭試験再開である。
試験責任者の博士殿が、米国ベーレー社製ボイラーフューエルマスター90%以上の動きを目ざとく見つけて聞いてくる。
「燃料が一杯一杯で厳しそうだが」
「そうだ、今日の燃料分析結果は後で出てくるがカロリーは6,300位にしてある、それでもこの程度だからベイズウオーター専焼はかなり厳しいと予想せざるを得ない、何度もそう言った」
 実際に現地で見て厳しさを感得したようでもあり、前もっては知らされてなかったようでもある。
こちらも余り詳細には言わない、誰が傷付くか判らない。
ECNSWとの窓口、試験総括の技術部長代理Nさん、一体どうするつもりだったのか。ほんとに出来ると思っていたのか、「何とかなるわ」か、今でも判らん。

 *** ボイラーフューエルマスター ***
 ボイラー燃料制御信号、規定の設定値よりボイラーの圧力が下がり気味だと信号を増やす。
この信号が石炭・燃焼系の出力となり、風量にも連動する。90%以上は殆ど目一杯燃料が入っている。

 やがて数日後「ベイズウオーター専焼試験は取りやめ、日本炭試験結果と、想定される差分を極力設計に反映させることとする」ということになり、どこかのコールセンターで出番待ちのベイズウオーター炭5000トンも買い手がついたらしく、オーストラリアに送り返されたとは聞こえてこなかった。
そして各社めでたくプラントを半数ずつ受注し、1年後の定期点検でヒートフラックスメーターも全て撤去され、ボイラーチューブフィンの穴も復旧された。

 そして再び10年後、T社工場 ( I 社グループのタービン・発電機はT社が作る)
その夜は、このような苦労話で酒席を盛り上げ、「I 社からでもT社からでも、多額の営業コンサルタント料をもらってもバチは当たらないんだ」 (火力発電プラント10基だぜ、1兆円はいく) と冗談を言ったが、菓子折りをひとつもらって帰ってきた。

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労組本部専従

 昔労組本部の専従を3年ばかしやったことがある。

 労組委員長より本部常任をやらないかという勧誘が来るようになった。
確かに、生まれ落ちた時からプロのプロレターリだし、ユニオンショップ労使関係の一社員の責務かとも思って分会でも書記長まで勤めたが基本はノンポリ、どちらかというと右寄り、ラグビーでもライトウイングしかやらせてもらえなかった。とても本部の器じゃないと断り続けた。
 MITI胆の仕事も脂が載ってきて面白い。
 しかし、しぶとさは向こうが上、とうとう根負けして、後から考えるとそれ程は期待されてなかったようだが「どうせやるなら専従だよ」と引き受けてしまった。
(筆者の誕生日は5月1日である。誕生日には全国津々浦々の集会や、デモ行進で労働者の皆さんに祝ってもらえる幸せ身分。その恩返しの意味もあった。生まれた時からのセットアップ♪)
 次期本部としての定期大会で、北方の代議員達が「何とか越冬手当を上げてくれ、冬が越せない」とタグを組んで、入れ替わり立ち代り訴えている。
本部の回答は「今年は定年延長という大きな取り組み課題があり、とても越冬手当まで手が廻らない」
 北の代議員達「そんな回答じゃ分会に帰れない」
たしか総入れ替えとなる本部は、次期本部によけいな課題を残したくないと思うのか絶対に「やります」という言質を取らせない。
賃金対策部長だと言われていたので、やってやればいいじゃないと思いながら議論を聞いていた。
 早速本部常任委員会では「越冬手当をやりたい、定年延長があるので書記局には面倒かけない。一人でやるから、任せて欲しい」といったら、いやな顔をしていた常任も居たが一任を取り付けた。
労務の担当に時間を割いてもらい、灯油の価格推移などを解きながら「たまに会社側から提案するのも、労務も仕事しているなと、かっこいいんじゃないの」などと訳のわからない攻め方をする。
相手も当然事態の深刻さは認識していて、早晩このままじゃ済まない事は解っている。
やがて、アップ率の議論になる。
自分としては初めての仕事でもあり派手に行きたいし、前回改定時からの灯油価格推移からも70%アップ位だとこだわる。
労務はさすが、世間の常識というものが、よーく解っていて、「そんな水準の手当て改定はあり得ない、30%が限度」
「そんなこと言ったって、今まで放っておいたのが悪いんじゃないか」
しばらく押し問答を繰り返していたが、その間にも灯油は上がる。「今に見ていろ、もうすぐリッター100円はいく、俺が請合ってやる」
 むこうの言い値が50%アップ程度に上がったとき、朝テレビをつけたら、OPECの増産体制に調整の目処がついたとの報道。「今だ!」
出勤して労務に「今のレベルでいいから、直ぐ会社から提案して。組織には絶対文句出させないから」
落とし所の話はついたので、書記局に渡す。
例によって、会社から最初は低めの提案、組合は「灯油価格情勢をふまえ会社から提案してきた事は評価に値するが、レベルが低い。一層の上積みを図る」などと、小刻みに組織の意見集約を図ったりしている。
そんなことやってる場合じゃないって。イライラする。やっと平均50%何がしアップで妥結したら、灯油が下がり始めた。絶妙のタイミング、しばらくは「Sasayan に騙された」

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 もう一つ。
 時代はちょうど労働界が統一再編成の動きの真っ最中。 (労働界の統一で力を集結しよう→同盟・総評など4ナショナルセンターベースでは統一が進まない→政策提言の部分でまずは協力→政策推進労組会議→全民労協→民間連合→連合)
 一方国際金属エネルギー労協の総会と言うのが4年に1度 Centre International Conférences de Genève (CICG) で開催される。
 我が労組の委員長はかつて政策推進労組会議の仕事をしていたこともあり、殆ど外回りの仕事が多く、自民・民社などの若手議員などとも交流しているようだが、本部にはあまり帰ってこない。
従ってよく代行を仰せつかっていて、この時も副委員長のお前が代わりに行けということになった。

 *** ローザンヌの交通お巡りさん ***
 国際金属エネルギー労協の総会も終わり、韓国電力労働者連合会長とその秘書室長そして筆者と3人でジュネーブからローザンヌ観光に出かけたことがある。
 以前から韓国は日本に追いつけ・追い越せで、産業の根幹をなす電力に労働争議などあっては困るとのことで、その総元締めである電力労働者連合会長は大変なステータス。
噂では政府差しまわしのロールスロイスで毎日ご出勤だとか、秘書室長がついているのもむべなるかな。要するにVIPなのである。
 6人掛けコンパートメントで、それぞれの部屋には既に何人かの先客がいるが、碧眼の人たちは見飽きたので、2、3室のぞいてパスしたら東洋系の女の子が2人いた。空いているか聞いて、入ってすわる許可をもらう。
少しずつコミュニケーションを始めると2人ともアメリカから観光に来たという。見た目じゃ判らない。
 片言で当り障りの無い話をしていたら、ところで他の2人も日本人かと聞く。
韓国だというと、「それは奇遇、自分たちももとは韓国人だが米国に帰化した」とのこと。
米国生活が長いので韓国語はまったく話せない。一方同行2人は英語が全く話せない。
 不思議なことに、互いに挨拶程度の会話もしない。「How do you do.」「アニョンハセヨ」位、素養があろうが無かろうが、誰でも言えるでしょう。
韓国人同士でいろいろ会話はあるだろうが、直接のコミュニケーションが成立しない。
わざわざ東洋系の女の子の部屋を選んだのに、1時間半通訳の真似事をさせられるはめに。

 「あなた達サムソン知ってる?」恥ずかしながら自分は知らない。
「サムソンを知ってるかきいてるけど」
「勿論」
「サムソンの president は My uncle なの」
俄然話のピッチがはね上がる。
こちらもVIPだということを判らせたいんだろう、ちょっとセンテンスを考え込んだりしていると「早く訳して」。
写真を取り、電話番号の交換、住所の交換。今まで対等に接していたのが、一挙にVIP間の通訳の立場になってしまった。
年も違うし、しょうがないか、向こうは多分60代と50代、こちらは30代半ば。

 韓国の女の子達とはローザンヌ駅で別れたが、ローザンヌは店頭のチョコレートの飾り付けと、特級美人の交通お巡りさんしか記憶に無い。
結局何しに行ったんだろう。


 やがて3年後の退任。最後の定期大会に於いて、来年度活動方針提案は副委員長、筆者の役目。
演壇で口上を始めたが、なかなか個々の具体的活動内容に入らない。
「テンガロンハットに2丁拳銃で待ち受けるレーガンの前に、東の新しいヒーロー、ゴルバチョフが現れました、今後の世界情勢はこの2人の肩に・・・」などと (神聖な組合の定期大会、落語講演会じゃないのは十分承知だが、何故か口が自然に・・・) 持ち時間の半分ぐらい『我々を取巻く周囲の情勢』というのをやって、後の半分で具体的活動方針内容にチョッチョッとふれておしまい。
大会議長団、前半どうなる事かとヒヤヒヤしたそうな、とにかく時間内で終わってくれてホッとした。

 まさにそのその4ヶ月後、1985年11月レーガン・ゴルバチョフがCICGで歴史的会見を行い「和平のための共同声明」を発表するのである。そして事態は東西冷戦の終結、ソ連崩壊へと展開していくのである。

 テンガロンハットに2丁拳銃のくだりは今思い出したが、これも某社労誌にこのせりふ通り載っているはず。速記者がちゃんと仕事をしていて、「こんなの定期大会議事録に相応しくない」と誰かの朱筆が入ってなければ。

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君の瞳に乾杯

 ある時、DVDの字幕を読み取るOCRプログラムを作った。

(・・・100ページに亘る前段が事情により一挙に削除されたので、極めて唐突な始りになってしまった ۵)

 スクリーン字幕はOCRの対象としては安易な部類に入る、文字の位置は決まっているし字体も同じ。
ただ字幕の色調と同じ色がスクリーンにある場合のノイズだけが問題で、(色調だけで切取っていたら字幕と思って読もうとするから) これをエジェクトするアルゴリズムがちょっとあるだけ。
あるだけというのは自然に出てきたので、今、作ったはずの自分が改めて説明できない ۵
 BMPを黒でBrushして、FloodFillして、元画像とandを取るだけ、これでほぼ完璧に字幕だけが浮き上がる。
だれかこのアルゴリズム分析して教えて欲しい、パスカルのソースあげるから。
このセリフだけでプログラムをやる素質が無いことになるが、アルゴリズム忘れただけだから許して欲しい。
(だからそのセリフがプログラムをやる素質が無いことになるんだが?)
 読み取った文字は単語にして、英字郎100万語の辞書と照合し、読み取りミスで辞書になければ赤で表示される「そんな単語、辞書にないよ、どこか間違ってない?」。
単語ベースでのヒット率90%以上。後で、残る10%の赤い単語だけチェックする。

 変換スピードは、Device independent bitmap のscanlineを使用しているため高速で、辞書との照合、解読結果のテキストファイルへのアペンド、チェックのための字幕のBMPのファイルセーブも入れて、字数が多くても1画面最大1000millisec。字幕の有無の確認だけなら200millisec。
(1.6GHz Pentiam4にて) 従って字幕の見逃しはない。
これでDVDを楽しみながら、リアルタイムで英語字幕がテキストに落ちる。

 百聞不如一見、実例挙げる。下は「君の瞳に乾杯」なんて極限に意訳された字幕のBMP。

Looking







 昔、映画のシナリオ対訳2,3千円で売っていたが、790円のDVDでそれもカバーできる。

 (「安物のDVDは翻訳の水準も」と言う意見を耳にするが、値段に限らず確かに意訳の成功例は少ないね。勿論、「この秀逸のストーリーを味わってもらうため、あえて煩雑な日本語表記は避けて出来るだけシンプルにした」という気配りもあるだろうし、「字義通りではなく向こうではこのニュアンスで使われているのよ。向こうの生活が長いから良く知っているんだから」と言うのもあるだろうし、「That's just their way of talking.You mustn't any attention to that.【砂漠の狐 ジェームス・メィソン】」と言うのもあるだろうが、中には文学的素養が紡ぎだす言い廻しや、レトリック上のユーモアやアイロニックな表現を台無しにしている比率はかなり高い。まるで手抜きみたいなのも。
字幕を読んで (原語をヒアリングしてではないから) 初めて笑うという場合も少なくない。 最近の例示
 【ラッシュアワー2】でクリスタッカーが香港マフィアのボス、ジョン・ローン (懐かしいね) の車を追えとタクシーの運転手に迫る
「Follow  that limo. This is a chase, okay?・・・Wherever he goes,you go.」
「○△□◎▽□△◎」広東語
「You're not movin',this is opposite of chasin'!」 (「追えよ、なぜ止まってる」・・・これも他に訳し様があるだろうに)
「○△▽■□◎▽■」広東語
「I will slap you if you din't move this car.」
「○▽○△□◎▽■」広東語
「I'm gonna slap you.」
「○△□□◎▽◎▽」広東語
しょうがないと、運転手に札束を渡す。とたんに、
「Now you're speaking my language..」 (「追ってやるよ」)
 これなどは、ガチガチの直訳でもよほど笑える。
その後、ジョン・ローンの後を追ってタクシーを降りて、
「Wait right here.I'll be right back. You understand?」
「Yes I understand !」
と言った途端に走り出すタクシーの布石にもなるんだけど。

 もう一例。
【36 hours】で捕虜のジェームス・ガーナーに情報を吐かせる手段について、SS 大佐のウェルナー・ピーターと軍医のロッド・テイラーとの主導権争いのやり取り。
「Why don't you turn the prisoner over to me now and avoid the risk of failure,huh?」
(捕虜を今渡せば失敗のリスクは避けられるぞ)
「And in that way,you could avoid the risk of my success.」
(成功されたら困るか?)
折角機知に富んで、相手の avoid で返してるんだから、
(それで君は私の成功のリスクを避けられる訳か?)
位にはなるんではないか。
脚本家もその辺は意識しているんだろうから、翻訳でも意を汲んでやりたいね。

 また翻訳かどうか知らないが「喫煙は貴方にとって肺がんの原因の一つとなります」これ何処の国の言葉だ?)

 センテンスをSpeechエンジンに入力すれば、英語のシナリオとして読み上げてもくれる。
テリーサバラスのアクのあるダーティなセリフを、いかにも貞淑な女の子の声で読ませるのも一興。

 もう一つ、最近のプログラム作品を紹介する。

いくつかの説明変数から重相関式を求め、その内相関の高い2個をピックアップしてX1,X2とし、それと説明係数Yの関係式 ( Y = f ( X1 , X2 ) ) の曲面と元データを3D表示するもの。
表示にはOpenGLを使用しているため、その機能を全て利用できる。
 OpenGLでは、視点の位置・視線方向をコントロールすることにより、図形の表示は自由自在。
またPICKにより、マウスカーソル下の表示図形を選択できる。
更に、OpenGL表示の前にデータを座標変換することでX1,X2,Y軸を中心にリアルタイム回転も出来る。
 例図のデーターは某ベアリングメーカーの密封型軸受けのグリース寿命の図表を手でたどるのは自動化出来ないのでむりやり相関式にして、計算で出てくるようにしたもの。

Length_2 

 上図矢印は何個かあるデーターの一つをPICKしたところ。
8番目のデーターで、内径100ミリのベアリングを設計スピードの3分の1で使ったらグリース寿命は2万1千時間だと言うことを示している。
 このようなデーター組数十個から解析した相関式がbegin~end間のとおりで、これは当然データー群毎に変わるので、インタープリター上で数値計算して曲面を表示させていたが、数秒のその時間に我慢できなくなって、プログラムからコンパイラを起動し、コンパイルしたdllの実行時リンクで計算させるようにした。
 これらを自動で瞬時にやってしまう。相関式曲面の区切りが多く、計算回数が大きい時はスピード上のメリットが出てくる。dllが出来ていればコンパイル時間も不要だから、同一データの2度目からの計算は一瞬で表示できる。
下は視点を前進して、pick図形にズームインしたもの (pickした図形は赤色化)。
直方体の中心がデーターで式の曲面とほぼ同じ位置であるから、ここでは実データーと相関式の値がほぼ一致している。
相関式も当然pickできる。

Pick  このように式とデーターを回転させ、上から下から左から右から眺められ、ズームイン・ズームアウトとあわせ、自由自在に観察できる。
 更に、データーの定義はユーザーにオープンしているため、使い方はあなたのセンス次第。
データー欄の一つにオペレータの名前を入れておいて、平均から外れた点をPICKして表示して「こんな下手な運転したの誰だ」なんて、嫌がられるだろうなこれは。
 寡聞だが、こんなのまだ世間にあまりないと思うから、やっつけ仕事のプログラムでもよい、引受けて立派に製品に仕上げてやると言うメーカーさんがいたら全て無償で差し上げる。

 関連プログラムが、左サイドバーからダウンロード出来ます。
但し、dll など色々と必要なので、本文で説明されるまで、楽しみにお待ちください♪
 また、blog の background-image はこれで作成した相関図です。某所ではこのような3Dならびに4D相関図が65インチスクリーンにドカーンと出ます。

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