3D-FFT再登場
絶大なるご支援(?16ヶ月、アクセス500件、延べ9時間)に応えて、3D-FFTを化粧直しで提示するが、その前に恒例、気候の挨拶である。
柏崎刈羽7号機は安定して定格運転を継続している。他号機も同様に立ち上がり、料金的にも、CO2的にも有利になってくれば言うことは無い。
また新潟県で、原発を不安定なものと忌避するのでなく、積極的に地域振興に活用しようという動きが出て来ているそうである。結構なことだ。
但し、お互いに少し努力しなければならない点も有り、その態勢作りが重要である。
それは、原発部外者も最低限の技術知識・技術マインドを持つと言うことである。特にプレス関係者には責任がある。
もう一つは、原発も技術プロの審査眼にも耐えられる定量的観点での高度のものと従来どおりの平易なものと2本立てで広報を行うことである。
例えば6月5日、柏崎刈羽7号機給水ポンプ出口弁よりリークが有ったが、「弁の上蓋が緩んで湯気が出た。蓋の緩みを閉めて止まった」とある。上蓋とは何だと写真を見たら、業界タームでは(そうもったいぶらず、門前小僧の耳学問レベルでも)これはグランドである。
「グランドリーク」と言うと「専門用語を使うな」と言われるから「上蓋から漏れた」と言っているんだろうが、弁の上蓋が漏れた場合と、グランドリークとでは技術的なシビアーさは全く違う。
グランドとは弁シャフトが弁体を貫通している部分の漏れ止め機能で、弁開閉時にシャフトが回転または摺動する部分だから、パッキンの老化、締め方の弱さによっては漏れることもある。グランドのフトコロは深いから、湯気程度なら放射能でなければその内止まる事を期待して放って置く場合も少なくない。
しかし弁本体に蓋構造があり、これが漏れたと言うとこれは許容できない。可及的速やかに内圧を抜き、スパイラルガスケット交換を含めた修理をしないと、漏洩ルートの道筋も短いから急激に増えて来て、本体も削られる。
今次不適合では、プレスも報告書も全て「蓋が漏れて締め付けた」となっているが、写真を見ると蓋がある様な構造ではなく、グランドしかない。
情報が余り簡略化されると、トラブルの軽重も判らなくなる。
ブレスも受け取ったままフィルター無しでそのままオウム返しに報道するのではなく、この差が判る程度の技術素養を身に付けて「蓋と言うのは弁本体が蓋構造になっているんですか?そのリークだと重症ですね」位の確認が出来ないようだと、報道内容に対してズブの素人だと笑われてしまう。経済だって、政局だってその程度の専門知識をバックボーンにして記事を書いているんでしょう?なんで技術記事だけ小学校学級新聞工場見学記レベルになるの?
原発を積極的に活用しようと言うコミュニティーの人たちも、前向きの姿勢だから違うと思うけど、他のグループのように「専門用語を使って煙に巻くな」と言うclichésに安住して最低限の技術審査眼が身についてないと、「原発を不安定なものと忌避するのでなく、積極的に地域振興に活用しよう」と言う前段の担保が危うくなる。
「専門用語を使って煙に巻くな」と言う指摘をこれ幸いと渡りに船にして「簡略化された情報で、トラブルの軽重も判らなく」する狙いが原発側に無いとしても、実態は間違いなくその様な影響を与えているからである。
この程度の内容レベルが広報だとは思えない。現状は「『不具合を全部詳らかにせよ』と言われたから、素人にも判るようにやってるじゃないか」と安易な定性的内容オンリーで開き直っているとしか思えない。技術屋の審査眼に耐えうる2本立てのプレスリリースにしてくれないと返って疑心暗鬼になる。
海外メディアだって笑っていると思うよ。「学業レベルが落ちてきたとは聞いているが、いよいよ日本人の技術咀嚼力はこの程度になってきたのか。専門家は違うだろうと言ったって、もっと詳細内容を出せと言わないんだからその程度でしょ」
何方かプレスの人、「東京電力・原子力運営管理部に緊急提言」「東京電力・原子力運営管理部に緊急提言そのⅡ・始めに言葉ありき」「blogのツールを原発へ」「プレコーションマインドで原発を包め・支援警報の威力」などに記述の疑問点を公開でぶつけてみてくれないだろうか。かなり盛り上がると思うよ。
これは意地悪や面白がって言っているのではない。原発にはエネルギー的に大きな期待がある (この後改めて判ってくる) から、しっかりして貰わなければならないのである。
さて本題の3D-FFTだが、従来品(下記ビデオ)
に比べて次の点が異なる。
1.代表的ベアリングの傷関数をオープンにした。
2.プログラムソースをオープンする。
3.汎用的使用を追及するためマイナーチェンジした。
① 元波形データをクリップボード経由で入力できるようにした。
② 60ヘルツ地域でも使用できるように、すべり調整可能とした。
③ 機器とベアリングの関係はユーザーが入力することとした。
各項目について述べると、
1.代表的ベアリングの傷関数をオープンにした。
ベアリング傷解析に興味のある人に見てもらえるよう、傷関数を覗ける様にした。
代表的ベアリングをリストから選んでも良いし、****を選択すると全てを表示するから、ベアリング型番をクリックすると他の型式のも選択できる。
但し、実運用した範囲でスペクトルと大体のところで一致することは確認しているが、全て正しいかどうかは責任持てない。
確実なものが必要なら、売ってもいるようだからそちらから入手してください。
2.プログラムソースをオープンする。
全てをさらけ出すようで、これが一番恥ずかしい۵
継承も、オブジェクト指向も、視認性も全て無視した、フロー図による事前検討まるで無し、継ぎはぎ、独善、我流プログラムで2000行が1つのunitだけで出来ている。
しかし一応動くので、パスカルの判る人は体裁から直して貰えれば、自分好みに訂正できるだろう。慣れてくればその後コアー部の機能アップにトライしてもらえばよい。
売りは表現方法、表示のアイデアだと思っている。万が一メーカーさんで、自社の製品に組み込もうと言うところは全く自由である。This is profitable.【ラスベガスをぶっつぶせ、ケビン・スペイシー】
「blogのツールを原発へ」で「ツールそのものは技術的には大したものではない。電力各社の関連ソフト会社でも軽く出来る。」と言っている。電力関連ソフト会社でも参考にしてより良いものを作って電力を中心に売り込んでください。
おそらく電力程の関連会社なら「てやんでー、3次元表示のFFTアナライザーなんかとっくの昔に製品化してらぁ。今頃出て来て何言ってるんだ」と言う反論があるだろうが、これを触って見てなおかつそう言うんなら、某発電所の事故解析執筆者と同様、技術のバイタルポイントをつかみ切れないと言う弱点をさらけ出す。
当該3D-FFTは意味無く単なるこけ脅かしで立体表示しているのではないと言うのはお判りだろう。波形のポリゴンをピックアップして細かい精度でスペクトル周波数を知ることが出来る。「スペクトルは、周波数軸の目盛りから読み取ってください」ではない。これはまだないと思うから、上の物言いになったものである。
また、ベアリングの傷関数とこれ程容易に対比できるものはあるんだろうか。滑りまでコントロールできて。
3.汎用的使用を追及した。
① 元波形データをクリップボード経由で入力できるようにした。
ユーザーは振動波計を色んな形で入手するだろうが、汎用的にはExcelに書かれるんだろう。様式も色々あるかも知れないが、縦一列の波形データと言う形は一般的だと思うので、これをコピーしてクリップボード経由で入力できるようにした。
この場合、サンプル周期または、全波形時間を別途設定することになる。
② 60ヘルツ地域でも使用できるように、すべり調整可能とした。
前回、関西では使えないことに気付いていたので、すべりをマイナス方向に振れる様にした。滑りは率で、50ヘルツ、60ヘルツ両方に対応した値になっている。また1クリックで50ヘルツのポイントに戻れる。
③ 機器とベアリングの関係はユーザーが入力することとした。
前回のは当所仕様で、機器とベアリングの対照表があってそれから取ってきたが、これを別にしたからユーザーに選択してもらう。極数も同じである。
ソースに行く前に、使い方だけ見て見る。
プログラムは ダウンロード d5fftp.exe (840.0K)である。ダウンロード glut32.dll (232.0K)が必要なのは変らない。また波形操作用に信号処理用関数パッケージのフリーソフトを使わせてもらった。ダウンロード OTMATH.DLL (343.0K)が要る。
他に波形データは ダウンロード vac11.xls (372.0K)、ダウンロード hac11.xls (762.5K)、ダウンロード vbp2.xls (919.0K)、ダウンロード hbp2.xls (951.0K)である。
csvなら軽いんだろうが、汎用を狙ってxlsにしているので、アップロード制限により細切れのデータになってしまった。
頭に「v」があるのは振動の速度波形である。「h」は場合によってH関数と呼ばれる、加速度波形を包括検波したもので、最終的にはこれをスペクトル分析して傷周波数と対比する。
従って、「v」の速度波形はプログラム内部で微分し、絶対値に直し、ローパスフィルターを通して「h」波形もどきにする。
ac11とは空調器のモーターでかつて内輪傷を拾ったものであり、2秒間9600データである。これは時間軸方向は殆ど幅が取れない。
bp2とはボイラー給水ポンプで、2極で5秒間24000データである。これもFFTの精度を上げると時間方向が圧縮される。
時間方向の幅が少ないから、3Dと言うのは気が引けるが、ポイントはピックによる周波数読み取りでこれは絶対残す。
また長期サンプルで判るが、スペクトルは時間方向で変化する。これが振動の実態だろう。増えているかどうかを知ろうとすると、多数の平均値などの比較が必要である。また下の「もどき」の理由などもあって絶対値の大きさは不問としている。
「h」波形もどきと言ったのは、途中の微分処理、LPFをotmath.dllで実施するが、この使い方を熟知してないためか結果に純然たる「h」関数のスペクトルに対して余計なスペクトルが出てしまうことである。
但しvitalなスペクトルは出るので、ペアリング探傷には余り問題は無い。このスペクトルは何だと悩むより、ベアリングのタイプを切り替えて言って傷周波数と一致するスペクトルを見ていけばよい。傷を見つける実用性第一と言うことにしておく。
プログラムを触れる諸兄なら、使い慣れた薬籠中のコードがあるだろうからそれに置き換えればよい。
それでは、 d5fftp.exe、glut32.dll、OTMATH.DLL、それにvac11.xls、hac11.xls、vbp2.xls 、hbp2.xlsのデータを同一ディレクトリーにダウンロードしたら、d5fftp.exeを実行する。
最初にデータファイル名としてhbp2.xlsが選択されている。Sheet 名、セル範囲、波形タイプ、サンプル期間、軸受け選択、機器名称、極数、など必要な項目はFFTのLog2(N)を除いて全て設定済みであるので、「データ取込み」ボタンを押す。
1,2秒後に「 24000個のデータをコピーしました。」となるから、Log2(N)でFFTの精度を決めて「FFT -> Display」ボタンを押す。
N=12のまま実施すると、結果は些か鈍っているが、スペクトルも一致しない。そこで6307ベアリングのタイプを「2/6」にすると、内輪1次にスペクトルが出ていることが判る。ボール1次も僅か出ているようだ。
モーター滑りの値は、「R」をチェックして回転起因の振動スペクトルと一致させればほぼ正しい値に設定できるはずである。全く偏心のない振動のないモーターではこれは使えない事になるが。
その他、使いやすそうな機能満載なので一々説明しないが下のようなところを触ってみてください。
続いて速度波形でやってみる。vbp2.xlsを選択すると「v」波形となる。
今度は尖鋭にするためN=14で実施すると、内部で上記のような処理をした後FFTするが、データが24000個でも1回に16384個要るため3回しか分析してくれない。(FFTデータグループの両端はどうせ窓関数で抑制されるんだから、重なって取り出しても良いやとしている。それがシフトである)その分スペクトルはくっきりして、回転同期周波数との一致も良くわかるから、この時の滑りはR2、R4などが一致する下図の程度であったことが判る。
また波形処理関数の使い方の不適合による外乱スペクトルも散見されるが、この場合気にせず傷に一致するスペクトルと回転同期スペクトルに集中すればよい。(所詮言い訳だね۵時間ができたら微分、LPB等もちゃんと勉強しよう)
例えば、「h」波形と同様ボールの1次スペクトルもはっきり出ている。「h」波形での周波数も86.44だったから、「v」波形から起こしたスペクトルの周波数も86.44で全く同一である。
また、内輪1次はこの場合はたまたま周波数が一致したが、0.5ヘルツ程度の誤差は発生すると見た方がよさようだ。これは振動計のサンプリング周波数によるところが最も大きいだろうが、回転同期周波数に補助線を入れ、回転スペクトルと一致させることでかなり補正できる。
次いで、hac11.xlsを実施する。選択すると全ての設定が変化する。
N=13でFFTを実行すると、データが少ない分時間軸がさらに狭まるが、ちょっとゆっくり廻っていて滑り3%程度で6205の2/4のタイプと比較して、内輪1次に卓越スペクトルが出る。ボール1次にも小さなスペクトルがあるようだが3ヘルツ乖離していて製作誤差か測定誤差が計算誤差かわからない。
次いで速度波形でやってみると、やはり使い方の不適合によると思われる外乱スペクトルが出てくる。しかし内輪1次は拾っているので、傷の検出だけは出来そうだ。
実はwavedataシートの表に各段階のデータが入っていて、マウスクリックで取り出せるようになっている。
2番目の列が入力データだから、読み込んだかどうかも見えるし、個数もチェックできる。「H」波形の場合はこの列を直ちにFFTに掛ける。
「V」波形の場合はこれを微分し、バンドパスフィルターリングし、検波し、ローパスフィルターを通したもの、即ち5列目をFFTに掛ける訳である。
下図はその各ステップの数値であるが、この段階の何処かで不勉強に因るミスマッチが起こっている可能性がある。我と思わん者は自分のものとして直して下さい。そうすれば堂々とプログラムは自分のものだと主張できて製品化出来るでしょう。
このベアリングを分解したのが下図で、白い楕円の中が本件の傷であるがメタルを一見しただけでは判らない。爪で引っかかってやっと判る程度のフレッティング前の傷が内輪に有って、当該手法の有意義さを改めて確認したものである。
6205の大きさと比べて如何に繊細かが理解できるだろう。
ベアリング不具合の写真に出てくるようなのは破壊直前で、あんなのが回っていた事自体が信じられない。既に手や音や熱で判るし、過電流でトリップした後のベアリングの写真である。まあ「軸受に気をつけて」「振動計売らんかな」の写真なんだろう。その前段階は下のようにとても絵にはならないから。
スペクトル解析ではトラブル初期の段階ではっきり出てくる。これで初期段階で傷のあることをつかんでいれば、何かのついでにまたは「ちょっとインターバルには早いが、分解してベアリングも交換しましょう」とやれば、慌てないで、かつ合理的に保全が出来る。しつこく言っているプレコーションである。
貴プラントでもこれを導入すれば月1で充分だから常備する必要はなく、関連事業所たらいまわしでも良い。振動計は買っても10万強である。
実はhac11.xls のmcbfr シートのデータと mcaft シートのデータは2時間のタイムラグである。この間でベアリングを交換した。その結果どうなったか、hac11.xls のシート名を mcaft にして実行してみよう。下図のように何もなくなってしまった。新ベアリングだから当然と言えば当然である。玉の6次スペクトルが出ているようだが、内輪1次の大きさから言えば取るに足らない。
Delphiのコンパイルに必要なのは、ダウンロード d5fftp.dpr (0.2K)、ダウンロード d5fft.pas (66.2K)、ダウンロード d5fft.dfm (33.5K)、ダウンロード brg.rc (0.0K)の他、ダウンロード OPENGL.PAS (74.5K)、ダウンロード glut.pas (24.4K)、math.pas、ダウンロード WINMATH.PAS (29.2K)、またリソースにするためにダウンロード brglst.csv (179.8K)が同じディレクトリーに無ければならない。(何だ、これを見れば傷関数は全部判るじゃないか)
d5fft.pasは恥ずかしいが、一応全てのルーチーンに説明を入れたので誠意はわかって欲しい。後はどのように料理するかは貴方次第。
右端から始まっているルーチーンは筆者独自のもの、スペースを空けて始まるのはdelphi自動生成のものである。返って判りやすいでしょう?
「ところでD^5-FFTとは何だ?」
実は、2つのスペクトルを同時表示し、過去の波形などと対比できることを考えて、面白がってネーミングが先行し、Dual-Dfft-3Ddisplay=D^5-FFTとぶち上げようとしたが、躓いた。
Dual表示そのものは、すでにDuo-3Dで実現しているから問題は無く、周波数軸を含めて2つの波形の位置をコントロールでき、次第に近づけて行ってやがて最後にぴったり合致する様にすれば良いだけである。
躓いたのは、スペクトル計算結果表示スペースが取れないことである。2つのデータは滑りが異なるから、どうしても2つ要る。図と表は操作上どうしても同じ画面で見たい。そうすると最早Duo-3D波形そのものを表示するスペースが無くなる。ましてや徐々に近づけて最後にぴったり合致させるなどと言うお遊びの余地なんか何処にも無い。
従って、アイデアだけは温存し、大型ディスプレイの採用か、表示機能の省スペース化か、条件が整ったら実現するために、ネーミングとしては取っておく。
電力関連ソフト会社さんなど、このアイデアを先取りして製品にしてもらっても一向に差し支えない。
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