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annoying result.

 吸収式の教科書には冷水出口温度を上げると、効率が改善すると書いてある。
曰く、「冷水温度が高くなると、蒸発器の蒸発温度、蒸発圧力が高くなり、蒸発した冷媒は溶液の濃度が低くてもよく吸収されるようになります。
即ち同じ冷却水温度で冷却している限り、冷水温度が高いほど溶液濃度は低くなり、再生器における溶液温度も下がってきます。
これはいいかえると、煮詰める温度も濃度も低くてよい訳ですから、燃焼に要するガス量もその分だけ少なくてすみます。」
そして、7℃→9℃でガス消費率-2%程度のカーブが示されている。
(日本冷凍空調工業会1989年発行「ガス吸収冷温水機・吸収冷凍機新しい運転管理の実務」より抜粋)

 省エネに命を懸ける身 (♪) としては見逃す手は無い。
冷水出口設計温度7℃に対し、供給温度への影響が許容される範囲として夏場のSVを7.2℃、冬場7.5℃に変更して、その恩恵に浴そうとやって来た。結果はダウンロード AR_CSTmp_Cop.xls (224.5K)に機器ごとに纏めてある。
ただし、冷却水温度も負荷率も変化しており、その中に隠れた変動だから、時期ごと (SVごと) に相関式を求め、同じ冷却水温度・負荷率で比較するようにしてある。また変動30%のトリムもかけてあるが、データ数の少ないものも、寄与率の小さなものもあり、データの確からしさに多少の不安が残るが、とりあえず見てみよう。
 開いたままのAR-4などは全くその通りである。冷水出口温度が上がるとCOPが上がり、冷水出口温度が下がるとCOPが下がっている。青色の濃さは傾向がより強いことを示す。黄色の濃さは反対の傾向を示すが、データ的に外挿の範囲だとして無視しても良いだろう。即ち教科書どおりである。
次いでAR-5を開いてみると、傾向は弱含みだが理屈どおりである。7℃→7.5℃でガス消費率-1%程度だとしてCOP比でも+0.01程度のオーダーで見ていれば色つきの範囲はその範囲である。最後の区分比較はこの冬のデータバラツキ大として無視すればよい。
 ところがAR-3などではこの関係が崩れてくる。もともと相関式経由の比較で隔靴掻痒の気もあるし、少数データ・小寄与率のものを無理やり比較しているから、比較行為そのものが成立しないということもありうるが、AR-1,2などは更に反対の関係が強い。
「省エネアイテムがまた有った」とルンルンで運用し始めたが、やればやるほど悩ましさが募る。Do my eyes deceive me?【サイバーネット、Joney Lee Miller】
 皆さんのところで、冷水出口温度上昇の省エネの実績データはあるんだろうか。勿論負荷率一定での話だが。

 AR-1,2,3はパラレルフロー、AR-4,5はシングルフローである。以前パラレルフローは傾向が逆になるのかメーカーさんに見てもらったことがあるが、メーカーさんの回答は「吸収冷凍機の一般的特性として冷水出口温度を上げると効率は良くなります (従って溶液フローには無関係?) が、冷水出口温度が6.0~7.5℃程度の狭い運転領域においては、効率への影響度が小さいため (7℃→7.5℃で1%程度向上) 、計測データのバラツキ等により予想通り結果が得られない可能性があります。」
 ここはやはりプロの言うとおり、冷水供給温度への影響を恐れる余り微少の温度上昇で結果を見ようと言うのはちょっと虫の良い話なのかも知れない。少なくてもデータの扱い方法が、冷却水温度や負荷率の大きな外乱の中から微少の変動を拾い上げるには適してないのかもしれない。 http://www.nedo.go.jp/informations/other/180905_2/07happyou.pdf などにもあるように、この辺は僅かな変動だろうから。
 しかし運転している感じとして、冷却水温度や負荷率を出来るだけ一定にして冷水出口温度だけを上げていっても、「運転中冷水出口温度変化」シートのように、蒸気流量は少なくなりCOPは上がるが、冷水出口温度が上がった分負荷率も下がっているから、冷水出口温度だけで高効率になったと言う手ごたえが感じられないのも事実である。
小さなシフトでの冷水出口の影響を拾いにくいとすれば、今後さらに温度SVに大きなドリフトをかけて状況を見てみる必要があるんだろうと言うことにして終わっても良いんだが、しかし、事業所によっては当所と同様、供給契約を変えてまで冷水温度を上げるのはしないと言うところも多いはずだ。
 従って冷却水温度や負荷率など大きな変動の中における、微少変化幅の冷水出口温度変化の影響を拾えないか、もう少し粘ってみよう。

 教科書の説明を見ると、冷水出口温度だけの話ではなさそうだ。冷水入口温度の話として平均で比較してみたらどうだろうと、反対の挙動を示したところにはクドクドと書いてある。青は理屈どうりの動きで、赤は反対である。入口温度で説明しようとすると定性的には辻褄が合う範囲が増えたように見えるが、五十歩百歩の差でしかない。
 次いで、一番理屈に合致しないAR-1号機について冷水入口温度が低い時は除外しようと、これを13.5℃以上の条件に限定して同様の処理をやっても傾向は変らない (「AR-1 (CRTmp>13.5)」シート)。さらに出口温度の変動幅が小さいんだから、冷水入口温度も狭い範囲で行こうと14.1℃~14.5℃に限定しても、寄与率は改善されるが、温度とCOPが逆になると言う傾向は変らない (「AR-1 (14.1<CRTmp<14.5)」シート)。
痺れを切らせて更に、「出口温度で変化が掴めないという事は、出口温度で区分しなくても良いんだろう。入口温度区分だけで見てみよう」とAR-1号機でやってみたのが、「AR1_CRTmp_Cop 」シートである。
冷水入口温度との関係では、基調は理屈どうりである。途中13.5℃前後で条件によって反転するのは、低温部は負荷率の影響が無い、または通常範囲では負荷率逆比例でCOPが変る事が判っているから、12.5~13.5の範囲では負荷率による変動要素が拾い切れなかったため、この繋ぎ目で曲面の交差が起こったものと考えれば、ほぼ理屈に従っていると言う見方が可能だろう。しかしどうもしっくり来ない。

 歯切れの悪い物言いに終始しているが、纏めると、「当所では、吸収式のCOPの説明変数として冷却水温度と負荷率を採用したが、この2者で説明すると、ほかに別途『冷水出口温度を上げると効率が良くなる』という定量的データは現在得られていない」と言うことになる。
この大きな原因として、「変化幅が小さいため、他のメジャーな変動の影に埋没して、現状の手法では拾いきれない」と言うのがある。これが真相だとすれば大きく振れば出てくるんだろう。
もう一つは「冷水出口温度の変化による負荷率変化と、その他の、特に冷水流量による負荷率変化を一緒にしていが、これらは本来峻別すべきものであり、その区別を付けないまま、負荷率を説明変数に取り込んでいるから、純然たる冷水出口温度の影響も見えなくなっている」というのもありうるかもしれない。(しかしその場合でも共線性の問題はあるだろうが、冷水出口温度に関連した変動は見えて来るはずだが)
 しかし、万が一「メカニズムの定性的説明はガス炊きだけあるいはシングルフローだけなど一部のタイプに適用できるもので、蒸気式パラレルフローの場合は成立しない、或いは逆になる」と言うようなことがあればみっけものである。
「新しい説明手法が発見できた。うれピー♪」なんてちんけな理由ではない。その様なことがあれば、吸収式のタイプが混在するプラントでは、あるいは意識的に設計すれば、片方の温度を上げ、片方の温度を下げ、供給温度は相殺させたまま、省エネが追及できるようになるチャンスが増えるからである。
 今は1台しか吸収式が動いてないから出来ないが、冷熱が出始めたら、供給温度に気兼ねなくドラスティックにやってみよう♪。The important thing is that you all keep searching for your own answers.【コンタクト、ジョディ・フォスター】

 時々目障りな英語が顔を出す由来はここに在ります。

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