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ターボ冷凍機(定速度ベーンコントロール型)の特性

 本稿ではターボ冷凍機(固定速度ベーンコントロール型・以下本 blog で同様)の特性に関して、次の切り口で見てみる。
1.ターボCOP=f (冷却水温度・負荷率)の重相関を3D図で眺める。
2.冷却水温度が下がればCOPが上昇することは吸収式と同じであるが、固定速度ベーンコントロール型負荷率方向の特性は吸収式とは逆である。
  インバーターターボは回転数低下に伴う動力低下の影響で、部分負荷のCOPは広い範囲でかえって良くなる。
3.ターボは定格付近でもう一段効率の改善が見られるが、その先には更なる改善があるようだ。
4.その辺りでは、チューブ清掃等の効果も一段と顕著である。
5.この様な運転を指向するためには、蓄熱槽上部温度を上げるよう努力する余地がある。

 その前に、ターボで製造した冷水と、更にダブルバンドルで作った温水を使えば、プラント総合COPに有利に効いて来るというビデオを見てください。



1.ターボCOP=f (冷却水温度・負荷率)の重相関3D図は、ダウンロード trcop.exe (689.0K)である。
 3D描画にOpenGLを使用しているため、glut32.dll が必要であるのは前と変らない。
「F1」~「F6」キーなどで色々回転させて眺めると、冷却水温度が下がればCOPが上昇することは吸収式と同じであるが、負荷率が上がると効率も上がることが目視で理解できる。
 ターボに特定した3D図はこれだけであるが、最近の表示例は下図のようになる。
右方向に負荷率が高くなっている。奥行き方向に冷却水温度が高くなっている。従って特性曲面は手前に向って上がり気味である。この辺は上記3D図で眺めるのが一番。

Tr_cop_3d_first

 これ以降汎用相関3D図としてどんどん進化しており、現在idea7まであり、パスカル ソースまで開示されている。機器選択の操作が必要だが、「立体重相関図の最終機能」「超弩級データマイニングギヤー堂々完成」などを色々覘いてみてください。
 参考までにビデオを3つほど置いておきます。
冷却塔電力を、(湿球温度-冷却水温度)と冷却塔入熱で説明する重相関3D図と、吸収式冷凍機の性能を冷却水温度と冷水流量、冷水DTで説明する重相関4D図、並びに当所プラント全ての吸収式、冷却塔、ボイラーの重相関3D性能図に運転状態をプロットして総合効率を計算できるシミュレーターです。







2.冷却水温度が下がればCOPが上昇することは吸収式と同じであるが、負荷率方向の特性は吸収式とは逆である。即ちターボは定格で運転すべきである。
従って、蓄熱槽を有しターボが定格で安定運転できる所はこの点を享受できる。
 また冷却塔の能力のある所は幸せである。結晶の問題が無いため、吸収式と切り離し単独で運転できる時はかなりの効果が期待できるだろう。
3D図を見て「そう言う割には余り努力してないね」と言われそうだが、他のアイテムを積極的にやって来たので、比較的簡単なターボについては余り進んでいない。また冷却水が吸収式と共通で、結晶問題のあるそちらに足を引っ張られている。3D図を見たら判るが、26℃で並んでいてそれ以下のデータは無い。これは冷却水下限温度設定によるものである。
 従って冷水はターボによる蓄熱主体、吸収式はそれなりに停止しているという寒期に期待出来る筈だが、もう一つ足踏みする要素がある。平成20年度は25℃である。
これは近い将来に予想される炭素枠企業間売買の制度が見えてないからである。省エネ既努力分は遡及して考慮すると言う風聞があるが、「何時までどの様に」が明確に表明されないから、ついつい様子見気分にならざるを得ない。
要するに、「炭素枠は今日からスタートです。今日からの省エネで浮いた分が売買できます」となった場合である。これは一企業に限らず、業種別業界別でも自然同じメンタリティになるだろう。
行政さん、何時までも灰色のまま引っ張っていると省エネを足踏みさせるだけだよ。
この辺を「結局ターボCOPは幾ら改善したの?」ページに憎たらしく書いてある。

3.ターボは定格付近でもう一段効率の改善が見られるが、その先には更なる改善があるようだ。
 3D図の相関計算では拾ってくれなかったが、メーカー提示のターボ電力消費率を逆にCOPにしてみると、下図のようにターボは定格付近でもう一段効率の立上がりがある。

Tr_maker_cop

 *** 3D図の相関計算では拾ってくれなかったが ***
 当所のターボのデータ、トリム後2000件を3D図でみると下図のようになる。冷却水の影響を排除して見るため、冷却水方向の相関面が最小になるような視点から見ている。
すると、当所では定格以上のデータ(赤い方の点)が殆どだから、相関計算で右上がり2乗の特性はここの影響であり、それ以下の分布は実は点線のようであると見えないこともない。とすれば、高いところの傾きを強く相関計算で拾っていたことになる。即ちメーカーさんの図と同じ傾向である。

Tr_cop_2d

 *******

 当所のターボの冷水流量は一定である。また冷水出口温度も5℃で一定だが、負荷が変動する。これはターボの冷水入口温度が変わっているからである。
その時モーターの入力はどうなっているかを見たのが下図である。これの観察で、上記の特徴が実機に現われている事を発見したものである。

Sort1_2   

 データは前ページと同じ2007/4/1~2007/10/31間の1889時間のデータを、対前時間変化10%以内の条件でトリミングした1380時間のデータを、ベーン開度・冷水入口温度・冷水出口温度でソートしたものである。この程度のデータ集計は、既述のシステムでExcel作業とあわせ、10分以内に出てくる。
またデータをリソースにしたものはもう1回りスピードが速くなるのを経験できる。「1年分検索最低2秒、これが Delphi の実力だ」ページ参照。
 
 モーターの入力は、データ点500より右側は460KW~470KW (グラフ数値×10) で一定である。ここの積算パルスは一発10KWのため誤差範囲であるが、COPなどの計算には表れてくる。上記3D図で気付いた人も居るだろうが、COPが離散した分布になっているのはこのせいである。
 データ点500より右側のモーター入力ほぼ一定の範囲でも、冷却水温度が12.2℃から13℃ (グラフ数値/10+10) まで変わるに従い、製造熱量も6.6GJ~7.6GJ (グラフ数値/10) まで変化し、当然COPも4から4.5 (グラフ数値/10) まで変化している。
冷却水熱量も8.4GJ~9.4GJまで変化しているから、製造熱量が増えていることは間違いない。これはベーン開度・冷水熱量でソートした下図でよくわかる。繰り返すとモーター入力に変化無しでである。

Sort2

 その他に熱量に影響する冷水流量は220m3/h (グラフ数値×10) で変わっていない。
 データ点200,300あたりの状況は何かと言うとベーン開度でソートしたが、ベーン開度が98%や97% (グラフ数値/10) の時でも殆ど全開と同じだから、冷水入口温度が高ければあるいは冷水出口温度 (グラフ数値/10) が低ければ結構出ますよと言うことが現れているのである。

 該当機の定格は、500usRT、6.3GJ/h、冷水条件216m3/h、12℃~5℃、冷却水条件320m3/h、32℃~40℃、電動機入力 455kW、冷水4℃取出可能型である。冷水出口温度検出による圧縮機入口ガイドベーン制御となっていて、かつ電流が定格の49.5Aを越えるとベーンを自動で閉操作するシステムになっている。
要するに、モーター入力は絶対これを超えない構造になっているが、その範囲の中でも冷水出入口温度差等で、高負荷運転になれば高COPとなる。
 当所ではこのポイントを享受するため、許容できるまで定格を超えて運転できるよう設定してもらっている。
 またベーンの固定が悪く、徐々に締まってくると逆の動きとなり、電力はあまり変らないが、COPが下がっていると言うことがある。「知らないうちに効率が ۵」ページ参照。

4.その辺りでは、チューブ清掃等の効果も一段と顕著である。
 定格越えの高効率に気付いて意識的に運転していたが、その状態でのチューブ清掃の極端な効果を見てもらおう。
再度断るが出力が低下し効率が極端に悪くなっていたから、チューブ清掃したら大幅な効果が出てきたという事例ではない。もともと出力は100%以上を維持していたものだが、チューブ清掃だけでその性能が大きく出てきたというものである。

Tr

 清掃は9月9日である。やったことは神に誓って冷却水・冷水のチューブのブラシ清掃だけである。出力は15,6%増えたが、モーター電力は殆ど増えていない。
 実は、ベーンの実開度の低下の症状(通常運転中にたまに出力が定格を割る。電流が電流制限の復帰位置[96%]まで到達しない)が又々起こってきたので、8月17日にちょっと多めに開けてもらっていたものである。即ちこの領域は電流制限で出力は一定に保たれている、定格越えの範囲であり、上述の「出力は増えるが、モーター動力は殆ど増えないように見える」範疇である。
もう少し実績の積み重ねが必要だが、その範囲の運転ではチューブ清掃の効果が事のほか大きいようだ。一般的にこの程度の改善実績はチューブ化洗の実施例として例示されているから。
 ダブルバンドルより多少ヌメリが有るかとも思ったが、ダブルバンドルでは差は然程でてない。返ってモーター入力が減る方向で効率が上がっている。

Dtr

5.この様な運転を指向するためには、ベーンの開度設定だけではなく、蓄熱槽の上部温度を上げるよう努力する余地もある。
 モーター入力は電流制限により絶対設定を超えない構造になっているが、その範囲の中でも冷水出入口温度 (=冷水蓄熱槽上部温度=冷水還り温度) が高ければ、温度差は大きくなり高負荷運転が可能であると言うことがある。
 当所は、蓄熱払い出しに冷水熱交を2台設置してあり、15GJ以上で2台運転を行うことになっていた。ところが経年で、冷水熱交は熱伝達率が低下する。下図は当所の例であり、2次入口温度(=冷水還り温度) と1次出口温度(=冷水蓄熱槽上部温度) のDTが通過熱量でどう変わるかを見ている。
このDTは絶対温度の変化スピードにも影響され、またトリミングもしていないので、あまりきれいな纏まりのあるデータとなっていないが、青の竣工至近年度に比べ、7年後の黒は経年による汚れが出ている。
1台運転中でも通過熱量が増えると、冷水2次側戻り温度と1次側戻り温度に1.5℃の差が付く事もあり、折角高い温度で客先から帰っているのに、蓄熱槽上部はそれ程でないということがあった。

Chxdt3_2 

 立体的にはダウンロード chxdt.exe (798.0K)のようであった。(要glut32.dll )
 ここのDTが増え、戻り温度が低下するとターボの能力が逆に悪くなるので、当該熱交の点検清掃を計画しようとしたが、プレート式熱交で伝熱板が数百枚ある。分解するとパッキンだけでもそれの何倍。それにノンアスベスト。費用が千万円以上ということで、実施しないでいる。
 プレート式熱交は近年多くのところで使用されているが、これが一斉に清掃必要な時期に到達したら、業界でのちょっとした問題になるのではないか。「買った方が安いんじゃないか」「長期使い捨てか」などと言う騒ぎになりかねない。
 それは兎も角この現状に対し、熱交を通過熱量に拘わらず常時2台運転となるように改造(熱量で発停する回路を外すだけだから簡単)した結果、上図赤の様にDTが改善された。「What's gonna go wrong? その2」「熱交並列運転による合理化試験」「続報」参照。
 これで冷水蓄熱槽上部温度を高めに維持し、その分高効率とする運転を行っている。色んな要素があってこの熱交2台運転だけでターボの効率が幾ら改善されたかは、一概に言いにくいが、COP 0.18 UPというような数字も導き出せる。「結局ターボCOPは幾ら改善したの?」参照。
 さらに、マイナーだが、これに付随して熱交冷水の通過損失が小さくなったことにより、インバーターポンプ動力も減り、年間20,000kwh/年の電気代節約にも繋がっている。

Cp67kwpara
 
 その他本 blog には、吸収式の特性および結晶温度の挙動・省エネツールプログラム(4D相関図・パスカルソース・更にUltraSuperDreadnoughts!OpenGL10基搭載!などと言うのもある)・保温省エネ・マイナーおよびメジャー省エネアイテムなど、現場での実績をふんだんに使用した話題が目白押し。エネルギー現場の人に限らず省エネに興味のある人必見です。

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