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温水供給するところのメリット

 前頁で舌足らずのところが有ったので追加すると、吸収式内部計算は何も何処かの内部漏洩を発見しようとしているだけではない。「現状の2倍程度の監視ポイントを作っておけば、色々トラブル対応、合理化に活かせませんか」と言うことである。
現状は何か異常と思われることが起こったらサービスマンが来てくれて、パソコンや手作業でデータを採取して状況を判断し、場合によっては設計まで回るが、色んな運転状態の時の正常時のデータも完備しているわけでもないだろうし、万が一温度計を貼り付けるのなら場所もいつも違うだろうし、棒状温度計ならウェルにごみがあるかも知れない。要するに1回限りのデータの可能性が高い。
 監視ポイントの初期投資が2倍だったとしても、これで時々正常時のデータも採取しておけば、メーカーとユーザー間で次のようなやり取りが可能となる。
「時々データを吸い上げさせてもらってましたが、少しチューブの汚れが出てきたので、そろそろ清掃しましょう」 (現状無条件で <うちはDTを見ながらやってると言われれば頭が下がるが> やっている洗浄の頻度によれば、これだけでも監視ポイントの初期投資なんか数年で償却出来ないか?)
「機械の内部状態の計算はバランスしていますが、それから換算するとちょっと冷水出口温度に0.5℃程度の誤差があるようです。系統の冷水流量からもチェックしてみてください。変えたほうがいいですよ」
「機械の内部状態の計算はバランスしていますが、それから換算すると蒸気の計量に誤差が出ています。COPもおかしくなっていませんか?計装でチェックしてみてください。当社でドレン流量を測りましょうか?実費で」
「パラレルフローですが、高再行きと低再行きの量のバランスが崩れています。調整したほうが効率が良くなるでしょう」
「御社の大体の運転状況がわかってきましたが、少し循環量を変えた方が効率が良くなるでしょう」
「ずっと見ていますが、実際の濃溶液温度は結晶点より常に15℃以上上回っています。御社の冷却塔に余裕があれば、冷却水温度を後5℃下げたら効率的です。この場合冷却塔電力は○○kwまでなら増えてもそっちの方が有利です」
「濃溶液温度は一点計測だけではなく内部状態計算で相互チェックしますので、信頼性が向上しました。これにより結晶温度との差を見ながら、冷却水温度を大幅に下げられる制御に使用することが出来る様になりました。余裕が無くなって来たら、入熱制御や、冷却水温度上昇で自動的に結晶を回避できますので、大幅な効率上昇になります」
「当社はオンラインで製品の常時監視サービスを開始しました。トラブル監視、効率監視が可能です。インターネットに繋ぐのは、監視装置メーカーとしてもネットからの進入などの心配をするところもあるし、ユーザーさんとしてもデータが覗かれるんじゃないかと嫌がるところがありますが、本 blog のアイデアのように別のPC間でファイル渡しをすれば、進入の逆流を防げるし、かなり安心できるんじゃないですか?転送データを峻別しても良いし、常時オンラインでなくても定期転送でもいいでしょう、暗号化して貰っても良いんですが」
 吸収式メーカーとして省エネミシュランで星が付く条件になる。というより、省エネメーカーを標榜するなら必須のアイテムじゃないか?

 と言うことで本題に入る。あまり考える余地の無いアイテムなので後回しにしていたが、ダブルバンドルのターボ冷凍機の運転に関してみてみよう。
当所のエネルギーフローは下図の通りである。温水は11月~5月間供給する。

Eflow   

 このフローにおけるプラント効率を2つの係数で説明しようとして、ターボ温熱製造量と吸収冷凍機のCOPを採用した。温水供給時の22日間の回帰は次のようになる。
 土日は蓄熱がフルスイングできなかったり、吸収式が運転しなかったりでイレギュラーになりやすいので除いた。月曜も同じような観点から除いた。プラント効率は単純に製造熱量と、各一次エネルギーの熱量のトータルとの比である。
 結果は
プラントCOP =  1.307128 + 7.486622E-06 × (ターボ温熱製造量^2×吸収冷凍機総合COP)
        寄与率= .6545548
となった。
 プラントCOPとしたのは、効率といった場合「なぜ100%を超えるんだ、熱力学の法則も知らないのか。昔NEDOが出来た頃その名前から勘違いしてよく飛び込んできた、永久機関の売り込みと同じじゃないか (筆者の悪友がNEDOに出向していて、大げさかどうか知らないが1日に1件は永久機関の補助申請があると聞いた。古き良き時代の話。また筆者が永久機関を認めないのかと訊かれれば、答えない♪)」と言われるのを回避するため。
 余り相関が良くないのは、ボイラー効率を「ここでの話題では無いから」とか「蒸気依存率40%以下だから」などの理由で除いたからもあろう。
 この式から何が言えるか?吸収冷凍機のCOPが効くのは当然として、多少強引になるがターボ温熱製造量が増えれば増えるだけプラントCOPは良くなるということである。
 これをビデオにすると次のようになる。




 当たり前じゃないかと言われそうだが、その他の人向けに続ける。To the rest of you.【天才マックスの世界、ビル・マーレイ】
ダブルバンドルの温水製造は冷却水と同じである。冷却水を例えば32℃→39℃に上げて冷却塔に捨てる代わりに、温水を例えば42℃→49℃に上げて蓄熱槽に貯める訳である。但しそのままではそこまで温度が上がらないので、凝縮機の圧力を、R134aなら冷却水の時の例えば0.95MPaから温水製造時1.25MPaに上げてその飽和温度を取り出す。(実際は凝縮機取り出し温度が上がるから圧力が上がる)
この辺は、「Excel 関数 DLL」ページにある ltbrfunc2.xls の Function mp_kgfa(MP) や hfcp_t(P) に数値を入れてみて確認して欲しい。貴プラントでR134aを使っている時だけで良いけどね。
 従って、冷専運転時なら冷却塔の負荷にしかならない熱を回収し、有効利用しようとするものであるから、プラント効率が上がるのは当然と言えば当然なのである。
既述系統において、それを実施するためにはどうするか?蒸気熱交を極力低減すればよい。「じゃあそうしよう」と言う結果が下表である。
どうしても蒸気熱交をゼロに出来ないのは、一時的な蒸気使用量の落ち込みがあってもこれで何とかCGSを引いてやろうと言う親切心の現われである。

Shx_2 

 「蒸気量が 1,000 ton 減った。めでたしめでたし。温水が出来た分濡れ手に粟」と行きたいが本当にそうか?温水製造にコストは掛かってないのか?

 当所に於いて夏場のある期間ダブルバンドルで冷水を 8,700GJ 製造し、この時のモーター電力は 727,000kwh かかった。83.6kwh/GJである。
一方冬場のある期間ダブルバンドルで冷水を 6,440GJ 、温水を 8,350GJ 製造し、この時のモーター電力は 679,000kwh かかった。冷水でみれば105.4kwh/GJである。
従って冷専だけなら冬場も83.6kwh/GJ程度で製造できただろうが、温水を作ることにより原単位が上がってきたんだから、これを温水コストとして見えるだろう。
ダブルバンドルの年間冷水製造量は24,850GJ、温水製造量は14,100GJ、モーター電力は2,248,000kwh だから 2,248,000kwh-24,850GJ×83.6kwh/GJ=170,540kwh が温水コストに相当する。
 他に当所の場合55kwの冷却水ポンプの変わりに30kwの温水ポンプで良くなる (「ポンプのオーバースペックの影響」ページの冷却水系統の過大の揚程を出す代わりに、出入り口とも蓄熱槽ヘッド配管ロスを稼ぐだけの運転でよくなるから。えっ「そのポンプも出口弁絞ってないのか」って?実はそうなんです。とほほ、となるところだがもっと違う意味合いがあった。いずれ触れることになるだろう)、一方温水熱交の払い出しポンプの負荷が増えるなど、若干の調整要素はあるが無視しよう。
 また蓄熱が半分温水に取られることにより、その分夜間の冷水製造が有効活用できない点もあるが、そこまで突っ込まない。温水供給しなければならないシステムは変えようがないし、余りマニアックに計算してもしょうがない。

 これで計算した温水製造コストは従量料金的に170,540kwh/14,100GJ=12.1kwh/GJ である。貴プラントの夜間従量料金ではどうなるだろう。一方蒸気は1,000 ton 減った、貴プラントの蒸気単価ではどうなるだろう。あっそうそう、冬季のガス単価の高い時の話であるから念のため。

 念のために付け加えると、ここで言っている論議は既にダブルバンドルが設置されているプラントでの話である。
これから新しいDHCでシステムを検討していくと言うところでは、話が違ってくる。
 上記の冷専と熱回収運転との冷熱COPの対比は、今度は、ダブルバンドルと通常のターボとの比較になる可能性がある。
 当所でダブルバンドルの冷専時のCOPは3.4、ターボのCOPは4.5出る。
この差は、ダブルバンドルの方は高い凝縮圧に出来るようなインペラー形状としているが、冷専時はダンパーでその揚程を殺しているから、低い凝縮圧だけにマッチするような形状にすれば良いターボに比べその分マイナスになるなどの理由によるのではないか。
 そうすると全て高効率のターボにしておいて、温水が必要なら別途ヒートポンプで製造するという手法も考えられる。冷却水と温水の10℃程度の差は、ヒートポンプのCOPには有利なはずだ。
 それらを総合的に判断して、システムを構築する必要がある。

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