石炭関連企業はコンプレッサー開発が急務。副題「ダブルチェックからパラレルチェックへ」
又もや柏崎刈羽原発の話題と2本立てで、表題もしっちゃかめっちゃか。
「7号は安定、営業運転再開。6号は試運転開始、行け行けどんどん。これ以上何か文句あるのか?」と言われそうだが、一筆啓上。
6号機制御棒駆動機構と制御棒の結合不良に関する最終報告を原子力安全・保安院へ提出した。機械的に間違えないだろう再発防止対策も中長期的に実施だそうだ。
「物理的に間違えられないような構造を考えよと言ったから、そうしたじゃないか」と言えば取りあえず及第点だが、それは一つの原因に対する対策でしかない。
1基200本以上のCRDシステムの改造は工期的にも、経費的にも大変だろうし、対外公約だから然るべきタイミングで実行されるんだろうが、それまでの間は「チェックシートの見直し・作成」「判定基準の明確化」「ダブルチェック出来るような体制の見直し」だそうである。
是非とも最後の検討で気付いて欲しいのは「ダブルチェック出来るような体制の見直し」なんだから、今まで指摘したように「技術屋同士で会話が出来る体制を意識的に作る」ということである。
間違えようとしても物理的に間違えられないような構造が今後は必要だと言ったが、所詮それはある1つの不具合の可能性排除の個別対策でしかない。それよりももっと重要・汎用的な点が外されていると指摘していた。「いかにも、原発技術屋同士に会話の痕跡が無い」と言う点である。
既述を何度も嫌味たらしく繰り返したくないが、めくり返すのが面倒だという人のために簡単に触れると、労災で声を掛け合ったら防げただろうと言うのは除いても、
潤滑油30リッター漏洩などは、「ノズルが緩んだ。ちょっとホースを上げて持っているから、その間に廃油缶持ってきてぇ!」と叫べば1リッターもこぼれようがない。
(お判りだろうが、潤滑油が30リッター漏れたことをとやかく言っているのではない。その程度はままあることで、原発としてこの程度も不具合としてオープンにしなければならない立場には同情するものである。そうでは無くて、その事故原因はホース先端のノズル外れとしているが、ノズルの有無は漏洩とは無関係と認識出来るか否かの問題である。ノズルがあっても漏らせるし、無くても回収できる。誰でもおかしいと判断できるはずの解釈を天下に堂々と開示してはばからない姿勢は問題だと言っているのである。作業員の申し立てを何の疑問も無くそのまま羅列したか、もっと大きな事を隠すための配牌か知らないが、即ち、前者であれば厳密な原子力をマニピュレートする基本的観察力がそもそもお有りですかと言う疑問であり、後者であれば企業のコンプライアンス姿勢は兎も角、「もっと上手に嘘をつけ!」となる。)
圧力抑制プールの水位上昇だって、プールの波立ちはパンフにも表現しているほど既知のRCICS運転時の常態だとすると、廻りの同僚・グループ長・当直長などが、「圧力抑制プールの水面は波立つことがあるから、四方のレベル計の動きを見て、同じ様に変るようなら注意しろよ」とか言えばハッと気付いた可能性は大きい。
「圧力抑制プールの水位は増えてないね」と、訊くだけでなく自分でちょっと立って行って後から覘き見たりしないんだろうか。
言われなくてもその位やっているさ。それでも不具合は起こったんだ」という事なら大変だが。
水張り時の過剰ブローだって、「今から水張りするところの、エアベントとドレン弁はこことこことここだよね。はいバルブは閉めたでしょ。こことここは1人で見れるから、2人で監視していてね、今から水張りするから。何か在ったら怒鳴って教えてね」と言えば良いだけの話である。
原子炉補機冷却水系への復水補給水系の水の混入だって純水を補給しようとする時、「今から純水補給弁を開けるから、補給水タンクの水位が下がってくるはず。また補給水積算計がカウントするから見ていて、動きが無かったら連絡してね」と言えば、間違いは気付いたはずで、復水補給水系のトリチウムが外に出ることも無かったろう。
この辺は、コンビネーションで仕事をしているプラント操作員から見れば言うほどの事もない当たり前の話であり、この程度の会話があれば起こりえない不具合が、1人1人は寡黙で真剣に作業しているであろう原発では頻繁に起こるのである。
CRのカップリング作業でも、1人がじっと目を凝らして作業を実行するのではなく、隣の同僚と「ほら荷重は良いよね、これで○○CRカップリング完了。確認して」「OK、○○CRD荷重良し、カップリング完了確認」とやれば「工事担当者の思い込みにより、CRの荷重のみかかっていることをもって、問題ないと判断した」 (さぶーっ、「当社の技術力は、何時までも同じような繰り返しで前進しないね」「それを改善しょうと言う取組みも奏功しないね」「これを臆面も無く『これが原発の実態だからしょうがないじゃないか』と繰り返す自分達管理部門とは何なんだろう」と思えば、「さぶーっ」となら無いんだろうか) と言うようなことも起こらないだろう。
1人が黙々と確認作業を200本もやっていれば、色々雑念も浮かんでくるだろうし、余程気を引き締めていなければ勘違いも起こるだろう。頭はあらぬ事を考えていて、「良」に○をくれる可能性は有る。
原発不具合の再発防止対策として「チェックシートの見直し・作成」「判定基準の明確化」「張り紙やミーティングで注意喚起」「事象の把握を徹底する」の羅列は、作業員にこの様な過度の精神力を求めているに過ぎない。そして何度も同じ様に裏切られている。
「ダブルチェック体勢」と言うのも同様な事が起こりうる。1人が真剣にある作業をチェックして、然る後にもう一人がチェックリストで同様に真剣にチェックしてもそれをすり抜ける不具合はあるだろう。
この「ダブルチェック体勢」と言うのを明瞭に「パラレルチェック体勢」と捉えなおして、同時にかつ会話により相互チェックすれば、しつこいが、発声の段階で軽いストレスが起こり、前葉頭の活性化を促し相手の結論と自らの観察結果の対比により、正確な判断が確保される。
折角「ダブルチェック」まで来たんだから、「パラレルチェック」体勢の確立まで前進させ、ついでに作業員全員に予定行動発声申告制を導入し、さらに支援警報導入でプレコーションマインドを喚起すれば、原発の不適合はたちまち改善される。嘘ではない、それでも改善されない場合があるとすれば、作業要領書の不備であるから、機械の裏まで知悉しつくしたメーカー技術員の招致を増やして、協力会社単独の技術作業を無くす。
前稿でも見たように、地球温暖化対策での原発のウエイトは極めて大きいんだから、頑張って貰わなければならないとして、言いたくないことも言っているのである。
新潟工科大学で、電力の協力も得て原発の耐震性研究施設を設置との事で、「市民の安心感の醸成に繋がる」と期待も膨らむそうだが、上記の (詳細は当該ページで) 対策を実施すれば、たちまち原発は安定し市民の安心感は倍加されるだろう。
さて本題である。前稿で、政府の「2020年までの温室効果ガス排出削減目標を05年比15%減」とする中期目標発表に際して、これを炭酸ガスに限定して、当 blog の今までのアイテムでこれが何処まで達成できるか見てみた。
ハッキリ言って数字遊びだったし、「そう上手く行くはずもない」と言う見方も有るだろう。多少言い足らなかったこともある気がするので、チャンスがあればやろうと思っていた追加件名を行ってみる。
復水器冷却水の温熱の回収である。
「火力発電所は発電機能付き海水ヒーター」などと揶揄されながら、コンバインドサイクルを除けば効率は殆ど改善されない。
蒸気サイクルの上方面、蒸気条件改善の努力はなされるが、低品位熱源である多量の排熱については手付かずのままである。
低温熱の回収については、一部電力系DHCに於いても温度差熱回収は実現しているが、ご本家の火力発電所では「火力というのはこんなものだ」と手付かず、紺屋の白袴状態に陥っている。
原因の一つは、熱サイクル上には適当な熱回収先が無いからである。
ちょっと計算してみれば判る。復水器が30mmHg程度の真空度で運転しているとして、飽和温度は30℃、蒸発潜熱は低圧タービン排気蒸気1kg当たり580kcal/kgである。これを海水で冷やして復水にしている訳である。低圧タービン出口湿り度があればその分は既に水になっているから、もう少し少ないが。
そこでヒートポンプなどで高温が得られて、サイクル上の低温部に回収しようとしても、蒸気量≒復水量≒給水量とすると、この50%でも回収するためには、給水温度は320℃ (=30℃+580×50%) になってしまう、あるいはならなければならない。
低圧タービン出口湿り度5%、抽気量20%としても250℃である。
つまり既設サイクルの最終給水加熱器出口温度に近い。即ち抽気は全て不要で再生サイクルが成立しない。またヒートポンプで250℃の温度上昇が合理的に出来るかと言う問題もある。
そこまで頑張らなくても、少し回収しようとしても、そのままでは復水・給水の温度が上がった分抽気の凝縮能力が減り、結果として抽気量低減即ち再生率が下がって効率増に結びつかない。
ガス炊き発電所はコンバインドサイクルという手段があって、より合理的に効率を上げているが、石炭などはこれの倣いとしてPFBC (加圧流動床上で石炭を燃やして、その排ガスでタービンを廻しかつボイラーも加熱する。炉を加圧するため些かグロテスク。温度分布もコロコロ変わるだろうから、非定常熱応力も大変なものだろう。またタービンを廻せるクリーンな排ガスにする技術として、原点に帰って石炭ガス化もある) などの技術が研究されているが、今の所実機にはなっていない。
火力温排水は従って、回収どころか反対に蒸気霧の主犯説などで公害防止協定では低めの値を約束する事になり、益々回収とは縁遠くなっている。更にはこの制限が守れないでデータの改ざんまでやってしまう羽目になっている。殆どトホホの世界である。
蒸気霧は冬季自然に発生することもあるんだから、小型船の往来の激しい所は論外としても、行政も余り画一なことを言わないで、「少し高めにしておいた方が将来熱回収しやすいんじゃないですか」位の懐の深さを見せて欲しいものだ。「その代わり、放水口を市民の釣り場に開放してください」と言っても良い。
プラントサイクルへの回収は難しいとなると発電所外への回収となるが、民生にするにしても近傍に適当な回収ターゲットはない。
また物理的には民生ターゲットへの熱回収が成立する条件があったとしても、発電所と周辺の往来が希薄で実現しにくいと言う点もあるだろう。公害源としての不人気もあるだろうし、発電所から見て運転に直結した顧客対応は敬遠する部分もあるかも知れない。
観点は違うが、先ほどの放水口は最高の釣り場になるが殆どの発電所で構内立入り禁止、釣り場としては開放してないはずである。最近では変わってきたかも知れないが。
この点DHCはお客様直結商売だから、多少進んでいる。低温熱でも回収して民生需要に結びつける。
「CO2排出05年比15%減」に、原子力への追い風要素もあって全面協力するなら、電力にとってもここの改善も重要である。(えっ、「その辺は余り頑張らず、15%未達にして置いて、だから徹底して原子力じゃなければ駄目なんですよ」に持っていく?)
今後、特に石炭火力などはPFBCや石炭ガス化によるコンバインドしか道は無いのか。
発電所近傍のビニールハウスなど農芸需要、都市部の発電所で運よく集合住宅がある場合の暖房供給など、民生も含めて頭を絞って積極的に低位熱の回収を考えないと、何時までも「発電機能付き海水ヒーター」じゃガス以外の火力はお先真っ暗。
ボイラーまたは原子炉+蒸気タービンシステムに於いて、技術改善により実現可能なヒートポンプの能力とCOPを反映した、再生サイクルの設計変更の可能性は無いのか。
回収により復水給水温度が上がって抽気の余地が減少したとしても、元々再生率を上げてきたのは、海水に熱を奪われるのを出来るだけ少なくしようと蒸気の復水器通過をバイパスしたためである。今回これがヒートポンプである程度回収できるとすると適当なバランス点は無いんだろうか。
従来のヒートポンプの性能なら、そんな気も起こらなかったが、炭酸ガスの超臨界圧使用などヒートポンプも効率性能共に進歩した。考えてみる余地も出てきたように思える。
勿論、入力の半分以上を海水の昇温に費やしているシステムである。これを回収しようとしても装置的にかなりグロテスクなものになることが予想されるが、然らばその程度はどうか。その効果の確認とともにやってみようと言う気は出てこないんだろうか。
これを概観してみようとプログラムを作った。
ダウンロード steamcyclep.exe (527.0K)と ダウンロード Steam97.dll (116.0K)を同じディレクトリー (DLLの扱いは周知とする) にダウンロードして実行すると、h-s線図という画面が表示される。蒸気h-s線図上にモデル火力のヒートサイクルをプロットしたものである。
まずこれから見ていく。単位は古い[kcal/kg]で表示してある。こちらの方が℃との関連付けも容易で直感的に使いやすい。ついでに圧力も[ata]である。
水色と黄色の曲線は水の飽和曲線である。図をクリックしてください。少し大きくなります。
左下にボイラー給水エンタルピーの赤丸が表示されている。これから右上に上がると、このスケールでは見にくいが、蒸発部の等圧曲線が蒸発部の圧力とエンタルピーの動きと共に記述されている。
つまり貫流ボイラーではなくドラム型であり、ここの圧力は主蒸気圧+10[ata]である。
その後主蒸気条件まで上昇するが、本来なら、圧力ロスが無ければ圧力一定のカーブで上昇するんだろうが、直線で結んで描画してある。
蒸気温度は、即ち1050[゚ F]になっている。
タービンに入った主蒸気は等エントロピーで断熱膨張して仕事をするが、実際には断熱が完遂出来ない分多少のエントロピー増大を来たす。タービン断熱効率というが、この辺も端折って直線で引いてある。
仕事をした蒸気は、まだ大分過熱度を持ったまま再熱器に導かれ再加熱される。再熱蒸気圧=再熱戻圧としている。
再熱蒸気は仕事の途中で抽気され、給水の加熱に使われる。即ちその分それ以降のタービンでの仕事は減るが復水器通過熱量が減り、サイクル効率は改善されるわけである。
ここでは抽気は25%一挙に行うとしている。実機では8段ぐらいに分けて合理的に実施されるが、計算の簡略化のため1本化とした。
ちょっと無謀な仮定とも思えるが、過熱戻し部(ピンク部)、復水部(緑部)およびドレンクーリング部の伝熱面積などは充分あるものと仮定する。
残った75%の蒸気は最後までタービン内で仕事を継続し、7%程度の湿り領域の状態で復水器に排気される。これも原子力を除き実際よりちょっと大き目かな。
主蒸気から再熱戻りまでのエンタルピー差、および再熱蒸気から抽気点までの全量、抽気点から排気までのエンタルピー差の75%がタービンの入力である。
復水器の真空は0.05ataと置いてあるから、タービン排気のエンタルピー570[kcal/kg]は、勿体無いが海水で32.56℃まで冷やされる。計算では346,972[Mcal/h]となっている。ボイラー入熱の51.4%である。
これが効率低の原因であり、抽気を多くしてここを通る熱量を減らしたり、蒸気圧・温度を上げてここの通過熱量のウエイトを少なくしようとするのが今までの効率改善の取組みであるが、ここにヒートポンプの最新の技術を取り込んで捨てる熱量を回収してみようと言うのが、本稿の主題であった。
サイクルを進めると、32.56℃の復水は全体の75%645[ton/h]であるが、833[kcal/kg]のエンタルピーを持った全体の25%の抽気215[ton/h]で加熱されて、かつ合流し、232[cal/kg]の給水となってボイラーの節炭器に入る。この規模のプラントの温度よりちょっと低めの数字である。この辺も抽気一括などの端折りもあり、また排熱回収によりどう変るかを見るためだけとしてこのまま進める。
水の部分は、復水ポンプ、給水ポンプ、脱気器排気などの熱出入があるが無視している。また飽和曲線と紛らわしくなる部分もあるため、加圧水ラインは描画してない。
ボイラーの出力は主蒸気エンタルピーとこの給水エンタルピーの差および再熱蒸気と再熱戻蒸気エンタルピーの差であり、ボイラー入力はこれをボイラー効率0.92で割り戻してある。
右端に電力関係が図示してあるが、既述のタービン入力をタービン機械効率と発電機効率で96%とおいて、860[kcal/kwh]で割ると発電機出力となる。
これとボイラー入力の比が発電端効率である。
蒸気量860[ton/h]で計算したが、一般的原発の1/4規模のプラントとなっている。
発電機出力は一部発電に必要な補機類のモーター動力に使われ、残りが送電される。これとボイラー入力の比が送電端効率である。
発電に必要な補機類のモーター動力と発電機出力との比は所内率と言うが、ここではこれを5%と置いてある。実は、補機で最大のものは給水ポンプでありこれをモーターで回すか抽気駆動のタービンで廻すかで所内率は大きく変わる。また、次に大きいのはボイラー通風動力である。特に排ガスの処理を行う必要があり、そこの通風損失が大きい石炭などは通風動力も大きくその分所内率は高めである。
色々な観点があるため決めにくいし、また定義は補機動力と発電出力との比ではあるが、これを一定とするのにも疑問はあるが、このプログラムの主旨は熱回収による変化を見ることだから余り拘らず5%と置いたものである。
但し熱回収には膨大な動力が必要だから、その分別建てとしてある。
左上のコントロールパネルでこの内の幾つかの条件が可変である。
ヒートP入熱は本稿の主題であり、直ぐにも触ってみたいが、その前にプラントの特性、特にプラント効率改善の努力がどの様に奏効するかを見てみる。
まず主蒸気温度・圧力・再熱蒸気温度を上げ下げしてみて欲しい。
これらを上げれば上げるほど効率は上がる。既述のとおり上の熱量が上がり復水器持ち出し熱量のウエイトが下がるからである。言わば間接的効率改善である。
これを上げる時貴方はUSC (UltraSuperCritical ・超々臨界圧) の取組みの成果を確認しているわけである。色々実機とは異なるところがあるから定性的にだが。
再熱蒸気圧は下げた方が効率は良くなる。これは再熱温度が変らなければ、低圧の方がエンタルピーが高く上と同じ傾向になるからである。
抽気を下げると、発電機出力は上がるが、給水加熱が減少して給水エンタルピーが下がり、ボイラー入力がそれ以上に増えて、発電端効率は低下する。
抽気圧力は上げるとボイラー入力も下がるが、タービンでの仕事が減って効率は低下する方向だが、今回1発抽気にしてしまったので余り意味は無さそうだ。
それではお待ちかね。ヒートポンプによる回収を始めよう。と言っても筆者にはヒートポンプのトップの知見は無い。皆さんが出入口温度と媒体流量、コンプレッサー動力を見ながら、俺ならあるいはうちの技術ならこの程度は実現出来るなと考えながら触ってもらいたい。勿論この程度が出来れば良いなという、門外漢の気楽な操作でもかまわないが。
全てを初期に戻すため、再度実行し、ヒートポンプCOP5のまま、回収量(海水冷却側熱量)を10,000[Mcal/H]にして見る。これは復水器放熱量の2.9%を回収していることになる。
回収先は回収出口エンタルピー(青丸)が51.17[kcal/kg]に上昇し、ボイラー給水エンタルピー(赤丸)も246.43[kcal/kg]に上昇した。
発電端効率は39.88→40.66%に増加し、回収用ヒートポンプ動力が2.33オンしたものの送電端効率は37.88→38.32%と0.5%改善された。
続いて回収量を20,000[Mcal/H]にしたのが下表である。
ここで一つ断っておくが、「この抽気で本当に給水温度がそんなに上がるの?」と言う疑問がある。あえて表示してあるが抽気圧の飽和温度は211.4℃である。また抽気のエンタルピーは833.1[kcal/kg]、抽気圧の飽和蒸気のエンタルピーは668.4[kcal/kg]である。
したがって給水加熱器の復水戻し部の温度は210℃程度で一定として、過熱戻し部のエンタルピー差は164.7[kcal/kg]でこれが加熱すべき給水の0.25しかないから温度的には41℃しか上がらないはずである。
これは計算の簡略化のため、抽気を1段と極端な仮定を入れたため、起こった矛盾点である。実機に於いては、この程度の規模では抽気は8段ぐらい分けて行われ、この程度の給水温度は確保されている。抽気のバランスよい配分により、給水温度と抽気飽和温度ドレン温度との関係は維持され、給水温度は徐々に上昇していく。
従って、現時点の考察にあたっても実機ではその様に配分されると言うことで、余り極端な場合を除いて多少の矛盾は無視しこのまま継続する。一応参考として、抽気飽和温度から過熱戻し部のエンタルピーで上げられる熱量をlimitとして表示した。この辺の議論は温度≒エンタルピーとしている。
更に回収量を上げていく。40,000[Mcal/H]で回収温度が100℃を超えた。134Aの臨界飽和温度である。
50,000[Mcal/H]で給水エンタルピーが300[kcal/kg]を超え、また回収動力も11MWHとなり、何台か並列運転するにしても大変なコンプレッサーになる。分割するにしても筆者にはちょっと想像できない。大きすぎるから、抽気タービン駆動か、モーターでも発電機電圧直接ドライブにするんだろうか。
言い忘れたが、媒体の動きも想定しようと、200[kJ/kg]の蒸発潜熱相当で幾ら流れるかも参考表示している。ここでこれが1000[ton/h]をこえた。
このままの抽気圧・抽気率で直進するのは止め、またドリームジャンボCOPも許していろいろ動かしてみる。
一つの候補が最後の行である。プロに聞いたら無理だよと言う (炭酸ガスの超臨界圧理想サイクルでもこの温度だとCOP6程度) し、ヒートサイクルとしては一発抽気の無理もあって定性的な吟味に耐えないことが判ったので、今回はこれで打ち止めとしよう。送電端で4%アップだが、回収温度は134aなら100ataであり、1700ton/h以上流れる。
しかし、やはり煩雑でも5~8断程度の分割抽気にしないと、回収部からボイラー給水までの解析比較は出来ない。従って竜頭蛇尾の感は免れないが、今回は前振りとしてこれで筆を置き、直ちに次のステップに進むことにした。しかし石炭関連会社で今後販路を維持したいと思うところは、ぜひとも大型・高圧・高性能のコンプレッサーの開発と、また有効な媒体の開発が必要なことは容易に想像が付く。
程なく新ツールをお目に掛ける。ソースも開示できるだろう。
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